JPH11316216A - 超音波探触子 - Google Patents

超音波探触子

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JPH11316216A
JPH11316216A JP10122553A JP12255398A JPH11316216A JP H11316216 A JPH11316216 A JP H11316216A JP 10122553 A JP10122553 A JP 10122553A JP 12255398 A JP12255398 A JP 12255398A JP H11316216 A JPH11316216 A JP H11316216A
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JP
Japan
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ultrasonic
wedge
damper
slope
ultrasonic probe
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP10122553A
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English (en)
Inventor
Hirohisa Yamada
裕久 山田
Mitsuhiro Hoshino
充宏 星野
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JAPAN PROBE KK
Nippon Steel Corp
Original Assignee
JAPAN PROBE KK
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 くさび内に残ったノイズの影響を最小限に抑
え、SN比を向上させて被検体の表面付近に存在する欠
陥についても的確に検出できる超音波探触子を提供す
る。 【解決手段】 超音波探触子10は、山部と溝部が一定
のピッチで繰り返される階段状の凹凸面を有するくさび
11と、凹凸面の各溝部の左側の斜面(第一の斜面)1
4に振動面を接するようにアレー状に取り付けられた超
音波振動子12と、超音波振動子から送出される超音波
の波数を調整するためのダンパー13を有している。ダ
ンパー13の厚さは、従来のものよりも厚くしてあり、
これにより各溝部の右側の斜面(第二の斜面)15の全
体がダンパー13の側面で覆われている。また、このダ
ンパー13は、その底面が超音波振動子12と接着され
ているだけでなく、側面も第二の斜面15と適当な接着
剤を用いて接着されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼材の溶接箇所等
の欠陥を超音波を用いて非破壊で検査するための超音波
探傷装置又は超音波探傷方法に用いられる超音波探触子
に関連する。
【0002】
【従来の技術】鋼材の溶接箇所に生じうる欠陥を非破壊
で検査する方法として、超音波斜角探傷法が知られてい
る。この方法には、超音波を被検体中に入射させ、かつ
欠陥で反射された超音波を受信するための超音波探触子
が用いられる。かかる超音波探触子の一例が、特開平7
−229879号公報に記載されている。同公報記載の
超音波探触子は、階段状のくさびに多数の超音波振動子
を取り付け、これらを電子的に所定の順番及びタイミン
グで走査する斜角探傷用電子走査式アレイ超音波探触子
(以下「超音波探触子」ともいう)であり、その長手方
向の垂直断面は図8のようになっている。
【0003】この超音波探触子は、くさび50と、アレ
イ状に配置された多数の超音波振動子51からなる。く
さび50の寸法は、例えば長さ(図8の左右方向の長
さ)が100mm程度、奥行き(図8の紙面に垂直な方
向の幅)が10mm程度、厚さ(図8の上下方向の厚
さ)が数mm程度である。くさび50の底面は、被検体
の表面に接触させる平坦面である。くさび50の上側
は、山部と溝部が、一定のピッチで繰り返される階段状
の凹凸面で、その長手方向の垂直断面は、図8のような
鋸歯状となっている。この凹凸面の各溝部の左側の斜面
(第一の斜面)52はそれぞれ平行であり、また、右側
の斜面(第二の斜面)53もそれぞれ平行である。超音
波振動51は、各溝部に一つずつ、第一の斜面52にそ
の振動面を接するように取り付けられている。
【0004】超音波振動子51の背面には、ダンパー5
4が張りつけられている。このダンパーは、超音波振動
子51から送出される超音波の波数を調整するためのも
のである。ダンパーを設けない場合には、超音波振動子
51から送出される超音波の波数、すなわち波の繰り返
しが多くなり、その分、欠陥検出の位置分解能が低下す
る。これに対して、ダンパー54を設けることによっ
て、送出された超音波は速やかに減衰し、その結果波数
が少なくなって、欠陥検出の位置分解能を高めることが
できる。
【0005】図8の超音波探触子は、その長手方向が鋼
板等を突き合わせ溶接した溶接箇所に対して垂直となる
よう近接して配置し、かつ、間に接触媒体(グリセリン
等)を介在させて、底面を鋼板の表面に接触させる。そ
して、くさび50に取り付けられた各超音波振動子51
のいくつかを、電子的に左から右に(あるいは右から左
に)順番に励起させ、超音波を発生させる。更に、この
超音波が鋼材中で反射されて返ってくる反射波も、超音
波振動子51によって検出する。この検出された反射波
の特性から、溶接箇所における欠陥の有無及び欠陥の位
置を調べる。このように長手方向に取り付けられた各超
音波振動子51を順次励起させて測定することで、溶接
箇所の厚さ方向を走査することができ、また、このよう
な動作を溶接箇所に沿って移動させながら所定距離だけ
移動するたびに行うことによって、溶接箇所全体を走査
することができる。
【0006】媒質中を伝播する超音波の減衰量は、伝播
距離が長くなる程大きい。このため超音波のくさび中で
の伝播距離が、その超音波が発せられる超音波振動子に
よって異なると、被検体中に入射する超音波の振幅も、
超音波振動子によって異なる。このため、図8のような
全体的に薄いくさびが用いられた超音波探触子が提案さ
れる以前の超音波探触子、すなわち、超音波振動子から
被検体との境界面までの距離が超音波振動子によって異
なる超音波探触子の場合には、くさび中の伝播距離によ
って超音波振動子の発振強度を変えるか、あるいは受信
した反射波に基づく測定値について何らかの補正をする
ことが必要となっていた。
【0007】これに対して、上記公報記載の斜角探傷用
電子走査式アレイ超音波探触子は、超音波振動子51が
配置されている第一の斜面52の中央の法線がくさび5
0の底面と交わるまでの長さがすべて等しいので、くさ
び中の伝播距離は各超音波振動子について等しい。この
ため、図8に示した超音波探触子の場合は、前述のよう
な補正が不要になるという利点がある。
【0008】図8に示す超音波探触子において、超音波
振動子51を被検体表面からみて傾いた斜面(第一の斜
面)52に取り付けているのは、以下の理由による。溶
接箇所の探傷では、一般に屈折角が45°から70°ま
での横波が利用される。くさびの材質として一般的に用
いられるアクリル樹脂の内部での縦波超音波の音速は2
730m/sec、標準的な鋼材中での横波超音波の音
速は3230m/secであり、屈折角が上記の範囲と
なる横波超音波を鋼材中に伝播させるには、スネルの法
則から、くさびと鋼材との境界面において縦波超音波の
入射角を37°から53°の範囲とする必要がある。
【0009】しかし、一個の超音波振動子の幅を1mm
程度、探傷周波数を5MHzとして計算すると、この超
音波振動子の指向角は約31°となり、被検体と平行な
平面に超音波振動子を配置したのでは、入射角を上記の
角度範囲とすることはできない。このため、入射角を上
記の角度範囲にするためには、超音波振動子を被検体に
対して傾ける必要がある。かかる目的のために、図8の
超音波探触子では、くさび50の階段状の凹凸面の一つ
おきの斜面に超音波振動子51を取り付けている。
【0010】図8に示した超音波探触子を使って、被検
体内部に超音波を送出し、これを受信して、適当な信号
処理を施した結果は、図9のようになる。ここで、横軸
は超音波が発生してからの時間、縦軸は信号強度を示し
ている。被検体内部に欠陥があって、これに超音波があ
たると、そこから超音波エコーが超音波探触子に戻って
検出される。したがって、検出される欠陥に対応する信
号が現れる時刻は、欠陥の位置によって異なる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図9に示す
ように、超音波を送出してから時間の短いところでは、
信号に多くのノイズ成分が含まれている。その主な原因
は、くさび50の形状を、図8に示すように階段状に
し、全体的な厚さを薄くしたことにある。超音波振動子
51から発せられた超音波は、そのすべてを被検体に入
射させることはできず、一部はくさび50と被検体の境
界面で反射されてくさび内に残る。この超音波は、図8
に示すように、階段状に形成されたくさび50の第二の
斜面53に当たり、ここで反射されて、再び同じ経路を
反対にたどって、その超音波を発生した超音波振動子5
1に戻り、これがノイズとなって検出される。この経路
は比較的短いため、超音波を送出してから時間の短いと
ころで多くのノイズが検出され、時間が経過するととも
にかかるノイズは徐々に小さくなる。したがって、超音
波エコーが短時間で戻ってくる被検体の比較的浅い部分
に存在する欠陥に基づく信号は、図9に示すように、ノ
イズ成分の多いところと重なる。このような場合には、
特に欠陥が微小なほど、そこからの超音波エコーも小さ
く、したがって信号がノイズの中に埋もれて適正に検出
できないことがある。
【0012】本発明は、上記事情に基づいてなされたも
のであり、くさび内に残ったノイズの影響を最小限に抑
え、SN比を向上させて被検体の表面付近に存在する欠
陥についても的確に検出できる超音波探触子を提供する
ことを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの請求項1記載の発明である超音波探触子は、階段状
のくさびと、前記くさびの各階段状部分を構成する第一
の斜面にアレイ状に配置された複数の超音波振動子と、
前記超音波振動子から送出される超音波の波数を調整す
るために各超音波振動子の背面側に取り付けられてたダ
ンパーを有する超音波探触子において、前記各ダンパー
を、前記くさび内を伝播して前記くさびの各階段状部分
を構成する第二の斜面に到達する超音波を吸収するため
の吸収材として利用することを特徴とする。
【0014】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記ダンパーの高さを、その側面で対応す
る階段状部分を構成する第二の斜面の大部分又は全部を
覆うように当該第二の斜面に接着したことを特徴とす
る。請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明におい
て、前記ダンパーとして、前記くさび内を伝播した超音
波を十分に吸収できるように、その音響インピーダンス
を前記くさびの音響インピーダンスと等しいか又は同程
度としたことを特徴とする。
【0015】請求項4記載の発明である超音波振動子
は、階段状のくさびと、前記くさびの各階段状部分を構
成する第一の斜面にアレイ状に配置された複数の超音波
振動子を有する超音波探触子において、前記くさびの各
階段状部分を構成する第二の斜面に、前記くさび内を伝
播する超音波の波長の4分の1の深さの溝を設けたこと
を特徴とする。
【0016】請求項5記載の発明は、階段状のくさび
と、前記くさびの各階段状部分を構成する第一の斜面に
アレイ状に配置された複数の超音波振動子と、前記超音
波振動子から送出される超音波の波数を調整するために
各超音波振動子の背面側に取り付けられてたダンパーを
有する超音波探触子において、前記ダンパーの背面を、
前記超音波振動子と接する面と非平行となるように形成
したことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、本発明の
実施形態について説明する。図1は、本発明の第一実施
形態の超音波探触子の長手方向の垂直断面図であり、従
来の超音波探触子を示した図8に対応する。なお、図1
では、8個の超音波振動子が設けられている例を示して
いるが、実際にはこれよりも多い、あるいはこれよりも
少ない超音波振動子を設けている場合であってもよい。
【0018】図1に示した超音波探触子10は、従来の
超音波探触子と同様に、山部と溝部が一定のピッチで繰
り返される階段状の凹凸面を有するくさび11と、凹凸
面の各溝部の左側の斜面(第一の斜面)14に振動面を
接するようにアレイ状に取り付けられた超音波振動子1
2と、超音波振動子から送出される超音波の波数を調整
するためのダンパー13を有している。但し、ダンパー
13の厚さは、従来のものよりも厚くしてあり、これに
より各溝部の右側の斜面(第二の斜面)15の全体がダ
ンパー13の側面で覆われている。また、このダンパー
13は、その底面が超音波振動子12と接着されている
だけでなく、側面も第二の斜面15と適当な接着剤を用
いて接着されている。
【0019】超音波振動子12からくさび11中に送出
された超音波は、くさびの底面を介して被検体中に伝播
してゆくが、その一部は、図1に示すようにくさびの底
面で反射されてくさびの上面に達し、階段状の溝部の右
側の斜面(第二の斜面)15で反射されて、その後、同
じ経路を逆に辿って元の超音波振動子に戻る。このよう
な経路を辿った超音波は、被検体内部の欠陥から反射さ
れる超音波エコーに基づく信号に対するノイズとなり、
SN比を低下させる原因となる。これまでの超音波探触
子は、このようなノイズによるSN比の低下が大きかっ
た。
【0020】これに対して、本実施形態では、図1に示
すように、ダンパー13の厚さを従来のものより厚くす
ることにより、かかるノイズを効果的に低減させる。図
2は、図1のダンパー13の部分を拡大して示した図で
ある。ダンパー13を図1又は図2のように、その側面
が第二の斜面15の全体を覆うように取り付けることに
より、矢印Aで示した超音波、すなわち、超音波振動子
12(この場合は、図2に示した部分よりも右側に取り
付けられた超音波振動子)から送出され、くさび11と
被検体との境界面で反射された超音波Aの大部分は、ダ
ンパー13の側面からダンパー内部へ透過し、ここで吸
収される。
【0021】なお、上記ではダンパー13の側面で第二
の斜面15を完全に覆った場合について説明したが、十
分なノイズの低減が得られるのであれば、必ずしも第二
の斜面15の全面を覆う必要はない。次に、ダンパー1
3としてどのようなものを用いると効果的であるかにつ
いて説明する。一般に、二つの物質1,2(それぞれの
音響インピーダンスをZ1 ,Z2 とする)が接している
場合に、物質1から物質2へ向かう超音波の界面におけ
る反射率rは、 r=(Z2 −Z1 )/(Z2 +Z1 ) (1) で表される。ここで、Z1 をくさびの材料として一般的
に用いられるアクリルの音響インピーダンス(≒3.
3)とし、Z2 をこれと接するダンパーの音響インピー
ダンスとすると、ダンパーの音響インピーダンスZ
2 が、くさびの音響インピーダンスに近いほど、反射率
rが小さいことが分かる。反射率が小さければ、それだ
け多くの超音波が、界面を通過して物質2の内部へ到達
する。
【0022】ダンパーとしてしばしば用いられるもの
に、タングステンと樹脂の複合材(これを複合材aとす
る)、およびタングステンとゴムの複合材(これを複合
材bとする)がある。これらの複合材の音響インピーダ
ンスは、複合材aが約12、複合材bが約7である。こ
れらの複合材をダンパーとして用い、かつ、図1又は図
2に示すように、その側面を第二の斜面15を覆うよう
に接着したときの超音波の反射率は、上記(1)式よ
り、複合材aを用いたときには約58%、複合材bを用
いたときには約37%となる。
【0023】したがって、図1又は図2との関連で説明
したような態様でダンパー13を取り付ける場合には、
ダンパー13の材料として複合材aを用いる場合より、
複合材bを用いた方が反射率が小さくなり、より多くの
超音波をダンパーの中で減衰させることができる。図3
の太い線で示した波形(下側)は、上記のようにして、
ダンパー13の側面でくさび11の第二の斜面15を覆
い、かつ、音響インピーダンスがよりくさびのそれと近
いもの(複合材b)を選択した超音波探触子を用いて得
られる信号波形である。なお、図3において細い線で示
した波形(上側の波形)は、図9に示した従来の超音波
探触子を用いた場合の信号波形である。両者を比べると
分かるように、太い線で示した信号波形は、細い線で示
した信号波形に比べ、超音波を送出してから時間の短い
ところのノイズが全体的に小さくなり、したがってSN
比が向上する。これにより、欠陥が被検体の比較的浅い
部分に存在し、その欠陥で反射される超音波エコーを示
す信号の強度が比較的小さい場合でも、感度よく欠陥を
検出することが可能になる。
【0024】次に、本発明の第二実施形態について説明
する。本実施形態の長手方向の垂直断面を拡大した断面
図を図4に示す。本実施形態の超音波探触子も、第一実
施形態の場合と同様に、山部と溝部が一定のピッチで繰
り返される階段状の凹凸面を有するくさび21と、凹凸
面の各溝部の左側の斜面(第一の斜面)24に振動面を
接するようにアレイ状に取り付けられた超音波振動子2
2と、超音波振動子から送出される超音波の波数を調整
するためのダンパー23を有している。但し、各溝部の
右側の斜面(第二の斜面)25には、細かい溝26が複
数設けられている点が、図4に示した超音波探触子の特
徴である。
【0025】溝26は、第二の斜面25の表面におい
て、図4の紙面に垂直な方向に細長く形成されている。
また、各溝26の深さは、λ/4とする。ここで、λ
は、くさび11内の超音波の波長である。また、ダンパ
ー23を、図4に示すように、第二の斜面25を覆うよ
うに配置する場合には、図5に、より拡大して示すよう
に、第二の斜面25とダンパー23の側面を密着させず
に、図5の楕円で示すように、微小な隙間を設けること
が望ましい。
【0026】図4に示すように、くさび21の第二の斜
面25に溝26を設けると、矢印Bで示した超音波、す
なわち、超音波振動子22(この場合は、図4に示した
部分よりも右側の取り付けられた超音波振動子)から送
出され、くさび21と被検体との境界面で反射された超
音波Bには、溝26の底部26aで反射するものと、溝
26の先端部26bで反射するものがある。前述のよう
に、第二の斜面25とダンパー23の側面との間に隙間
を設けてあれば、溝26の底部26aの反射率と、先端
部26bのそれとは等しくなる。そして、溝26の深さ
がλ/4であることから、これら二つの反射波の位相は
相互に180度だけずれる。なお、くさび21の材質で
あるアクリルの音速は2730m/secであるから、
超音波の周波数を5MHzとすると、λ≒0.546m
mとなり、必要な溝の深さは、λ/4≒0.137mm
となる。
【0027】その結果、二つの反射波は互いに打ち消し
合い、第二の斜面25で反射される超音波の強度は非常
に小さくなる。これにより、図3で説明したのと同様の
効果が得られ、超音波を送出してから時間の短いところ
のノイズが全体的に小さくなり、SN比が向上する。こ
のため、欠陥が被検体の比較的浅い部分に存在し、その
欠陥で反射される超音波エコーを示す信号の強度が比較
的小さい場合でも、感度よく欠陥を検出することが可能
となる。
【0028】なお、図4の超音波探触子では、ダンパー
23として、その厚さが階段状の部分より厚いものを用
いたが、第2の斜面の溝26によってくさび内部に残っ
た超音波を減衰させることができるので、ダンパーとし
ては、従来のように薄いものを用いることも可能であ
る。次に、本発明の第三実施形態について説明する。本
実施形態の超音波探触子の長手方向の垂直断面を拡大し
た図を図6に示す。本実施形態の超音波探触子も、第一
及び第二実施形態と同様に、山部と溝部が一定のピッチ
で繰り返される階段状の凹凸面を有するくさび31と、
凹凸面の各溝部の左側の斜面(第一の斜面)34に振動
面を接するようにアレイ状に取り付けられた超音波振動
子32と、超音波振動子から送出される超音波の波数を
調整するためのダンパー33を有している。
【0029】本実施形態の超音波探触子の特徴は、ダン
パー33の上部の形状が、第一、第二実施形態のそれと
異なるという点である。第一、第二実施形態の超音波探
触子に設けられたダンパーは、いずれも細長い直方体で
あり、上面と、超音波振動子に張りつける面(底面)と
が平行になっていた。これに対して、本実施形態のダン
パー33の上面は、図6に示すように、超音波振動子に
張りつける面と非平行とされている。
【0030】超音波振動子の背面にダンパーを設けるの
は、前述のように超音波振動子から送出される超音波の
波数を少なくして欠陥の位置を特定する際の空間解像度
を高めるためである。しかし、ダンパーを設けると、超
音波振動子によって発生される超音波は、直接くさび中
に送出されるだけでなく、図7に示すように、超音波振
動子の背面からダンパーの中にも送出される。この超音
波はダンパーの上面で反射され、ダンパーおよび超音波
振動子を通過して、くさび中に入射する。この超音波
は、本来の欠陥検出に用いる超音波と同じ方向に向かっ
て、時間的に幾分遅れて後を追うようにして伝播する。
したがって、ダンパーを設けて波数を調整して空間解像
度を上げたとしても、図7に示したように上面と底面が
平行なダンパーだと、上記のような後追いの超音波が欠
陥の位置特定に影響を与えるために、解像度が低下する
という問題があった。
【0031】そこで、本実施形態では、図6に示すよう
に、ダンパー33の上面と底面(超音波振動子に張りつ
ける面)とを非平行にすることにより、ダンパー33の
上面で反射される超音波の進行方向をほぼ垂直下向きに
する。したがって、超音波振動子の背面からダンパーの
中に送出された超音波が、本来の欠陥検出のための超音
波に悪影響を及ぼすことはなく、その結果、検出された
信号のSN比を向上させることができる。なお、図6で
は、ダンパー33の上面を水平にしてくさびの底面と平
行になるようにしたが、上面と底面が非平行で、かつ、
上面で反射される超音波が超音波振動子から直接くさび
内へ送出される超音波に悪影響を及ぼすことがなけれ
ば、ダンパーの上面の角度は、任意に決めることができ
る。
【0032】本実施形態のようにダンパー33の上面を
底面と非平行にする方法は、第一及び第二実施形態と同
様に、通常の直方体のダンパーを超音波振動子32とと
もにくさび31の第一の斜面34に取り付け、また、必
要に応じてダンパーの側面も第二の斜面35に張りつけ
た後に、ダンパー33の上部を研磨機などで研磨加工す
る。ダンパー33は、幅が1mm程度、高さが3mm程
度、長さ(図6の紙面と垂直な方向の長さ)が10mm
程度の細長い直方体なので、このようにダンパー33を
超音波振動子32とともにくさび31に張りつけた後で
上面を研磨加工すると、ダンパー33を張りつけるとき
に上面からくさびに押しつけることができるので、作業
がし易いという利点がある。但し、この方法は一例に過
ぎず、予めダンパー33の上面を、底面と非平行にとな
るように加工した後で、超音波振動子に張りつけること
も可能であり、このような方法も本発明の技術的範囲に
含まれる。
【0033】なお、本発明は、上記各実施形態に限定さ
れるものではなく、その要旨の範囲内で種々の変更が可
能である。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
超音波振動子から送出される超音波の波数を調整するた
めに各超音波振動子の背面側に取り付けられてたダンパ
ーを、超音波を吸収するための吸収材として利用するこ
とにより、超音波振動子が超音波を送出してから時間の
短いところのノイズが全体的に小さくなり、したがって
SN比が向上し、これにより、欠陥が被検体の比較的浅
い部分に存在し、その欠陥で反射される超音波エコーを
示す信号の強度が比較的小さい場合でも、感度よく欠陥
を検出することが可能になる。
【0035】また、前記ダンパーの高さを、その側面に
よりくさびの階段状部分を構成する第二の斜面の大部分
又は全部を覆うように接着し、更に、ダンパーの材料と
して、その音響インピーダンスがくさびの音響インピー
ダンスと等しいか又は同程度のものを用いることによ
り、上記のSN比を向上させるという効果を更に高める
ことができる。また、くさびの前記第二の斜面に、くさ
び内を伝播する超音波の波長の4分の1の深さの溝を設
けることによっても、相互に半波長ずつ異なる反射波同
士を打ち消し合わせて、SN比を向上させることができ
る。
【0036】また、本発明によれば、ダンパーの背面
を、前記超音波振動子と接する面と非平行となるように
形成することにより、超音波振動子の背面からダンパー
の中にも送出され、ダンパーの上面で反射される超音波
を、超音波振動子から直接くさび内に送出される超音波
と異なる方向に進行させることができるので、超音波振
動子の背面からダンパーの中に送出された超音波が、本
来の欠陥検出のための超音波に悪影響を及ぼすことはな
く、その結果、検出された信号のSN比を向上させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態の超音波探触子の長手方
向の垂直断面図である。
【図2】図1の一部を拡大して示した垂直断面図であ
る。
【図3】第一実施形態の超音波探触子により得られた信
号波形を、従来の超音波探触子により得られ信号波形と
比較し示した図である。
【図4】第二実施形態の長手方向の垂直断面を拡大した
断面図である。
【図5】図4の一部を拡大して示した垂直断面図であ
る。
【図6】第三実施形態の超音波探触子の長手方向の垂直
断面を拡大して示した断面図である。
【図7】超音波が、超音波振動子の背面からダンパーの
中にも送出されることを説明するための図である。
【図8】従来の超音波探触子の長手方向の垂直断面図で
ある。
【図9】超音波探触子を使って被検体内部に超音波を送
出し、これを同じ超音波探触子で受信したときに得られ
る信号波形を示した図である。
【符号の説明】
10 超音波探触子 11,21,31,50 くさび 12,22,32,51 超音波振動子 13,23,33,54 ダンパー 14,24,34,52 第一の斜面 15,25,35,53 第二の斜面 26 溝

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 階段状のくさびと、前記くさびの各階段
    状部分を構成する第一の斜面にアレイ状に配置された複
    数の超音波振動子と、前記超音波振動子から送出される
    超音波の波数を調整するために各超音波振動子の背面側
    に取り付けられてたダンパーを有する超音波探触子にお
    いて、 前記各ダンパーを、前記くさび内を伝播して前記くさび
    の各階段状部分を構成する第二の斜面に到達する超音波
    を吸収するための吸収材として利用することを特徴とす
    る超音波探触子。
  2. 【請求項2】 前記ダンパーの高さを、その側面により
    対応する階段状部分を構成する第二の斜面の大部分又は
    全部を覆うように当該第二の斜面に接着したことを特徴
    とする請求項1記載の超音波探触子。
  3. 【請求項3】 前記ダンパーとして、前記くさび内を伝
    播した超音波を十分に吸収できるように、その音響イン
    ピーダンスを前記くさびの音響インピーダンスと等しい
    か又は同程度としたことを特徴とする請求項2記載の超
    音波探触子。
  4. 【請求項4】 階段状のくさびと、前記くさびの各階段
    状部分を構成する第一の斜面にアレイ状に配置された複
    数の超音波振動子を有する超音波探触子において、 前記くさびの各階段状部分を構成する第二の斜面に、前
    記くさび内を伝播する超音波の波長の4分の1の深さの
    溝を設けたことを特徴とする超音波探触子。
  5. 【請求項5】 階段状のくさびと、前記くさびの各階段
    状部分を構成する第一の斜面にアレイ状に配置された複
    数の超音波振動子と、前記超音波振動子から送出される
    超音波の波数を調整するために各超音波振動子の背面側
    に取り付けられてたダンパーを有する超音波探触子にお
    いて、 前記ダンパーの背面を、前記超音波振動子と接する面と
    非平行となるように形成したことを特徴とする超音波探
    触子。
JP10122553A 1998-05-01 1998-05-01 超音波探触子 Withdrawn JPH11316216A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011237208A (ja) * 2010-05-07 2011-11-24 Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd 超音波検査装置及び超音波検査方法
KR20140009673A (ko) * 2012-07-12 2014-01-23 삼성전자주식회사 곡면프레임을 포함하는 트랜스듀서 모듈, 상기 트랜스듀서 모듈을 포함하는 초음파 프로브 및 상기 곡면프레임을 제조하는 방법
CN104764806A (zh) * 2015-03-20 2015-07-08 江苏大学 一种缺陷量化参数估计方法
CN108088912A (zh) * 2018-01-04 2018-05-29 常州市常超电子研究所有限公司 衍射反射联合法探头

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