JPH11313669A - 抗ヒト胃ムチンモノクローナル抗体 - Google Patents

抗ヒト胃ムチンモノクローナル抗体

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JPH11313669A
JPH11313669A JP10134272A JP13427298A JPH11313669A JP H11313669 A JPH11313669 A JP H11313669A JP 10134272 A JP10134272 A JP 10134272A JP 13427298 A JP13427298 A JP 13427298A JP H11313669 A JPH11313669 A JP H11313669A
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JP
Japan
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mucus
hybridoma
cells
monoclonal antibody
mouse
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Application number
JP10134272A
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English (en)
Inventor
Makoto Kurihara
誠 栗原
Kazuhiko Ishihara
和彦 石原
Kyoko Hotta
恭子 堀田
Isao Okayasu
勲 岡安
Hiromi Uchiyama
宏美 内山
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Kanto Chemical Co Inc
Original Assignee
Kanto Chemical Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヒトの胃表層型粘液の測定に使用可能な新規
なモノクローナル抗体の提供。 【構成】 ヒトの胃の表層型粘液細胞が産生するムチン
と特異的に反応するIgG1クラスモノクローナル抗体
および該モノクローナル抗体を産生するハイブリドー
マ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒトの胃粘膜の表層粘
液細胞およびヒト胃粘膜表層型粘液を産生する粘液細
胞、例えば、胃型化生細胞、胃型腫瘍細胞の染色に有用
なモノクローナル抗体に関する。更に本発明は、上記の
ヒト胃粘膜表層型粘液を産生する粘液細胞が分泌するム
チンの測定に有用なモノクローナル抗体に関する。詳し
くは、本発明のモノクローナル抗体または本発明のモノ
クローナル抗体の標識誘導体を用いて免疫組織染色を行
うことにより、ヒトの胃の表層型粘液細胞およびそれら
の細胞が分泌する粘液を特異的に染色することができ、
また、ELISA(enzyme-linked immunosorbent assa
y)を行なうことにより、ヒトの体液、例えば、胃液、膵
液、血液、喀痰中に含まれる胃の表層型粘液細胞由来の
ムチンを質的、量的に分析することができる。本発明の
モノクローナル抗体は胃粘膜防御機構の研究の他、癌の
検診または診断に利用できる。
【0002】
【従来の技術】消化管粘膜の上皮に存在する粘液産生細
胞は粘液を合成、分泌することで消化管の機能維持に寄
与していると考えられる。とくに胃の粘液は胃酸やペプ
シンなどの攻撃因子から胃の粘膜を保護するための防御
因子の一つとして重要な役割を担っていると考えられて
いる。
【0003】ヒトの胃の粘液産生は胃粘膜表層上皮に存
在する表層粘液細胞(被蓋上皮細胞)と胃腺の底部に存
在する腺上皮粘液細胞で行なわれているが、近年、これ
らの粘液細胞が産生する粘液を個々に識別する試みが成
されている。組織化学的には表層粘液細胞と腺上皮粘液
細胞それぞれの粘液に固有の糖成分に対して特異的な染
色法が開発され、両者を識別することが可能となってい
る。すなわち、表層粘液細胞はガラクトースオキシダー
ゼ・コールドチオニン・シッフ(GOCTS)反応で特
異的に染色される粘液をもち、腺上皮粘液細胞にはコン
キャナバリンAパラドキシカル染色法(PCS法)(Kat
suyama, T. and Spicer, S. S. (1978)J. Histochem. C
ytochem. 26, 233-250)によりIII型に分類される粘
液(III型粘液)が特異的に存在することが認められ
ている(Ota, H. et al. (1991)Histochemical J. 23,
22-28)。また、胃粘膜の表層を覆い、胃粘膜防御の最
前線に位置している粘液ゲル層にはGOCTS反応陽性
粘液とIII型粘液が交互にしかも地層を形成するよう
に存在していることが認められている(Ota, H. etal.
(1992) Histochemical J. 24, 86-92)。
【0004】上述した2種類の粘液の同定は胃の生理機
能の研究だけでなく、病態生理学的な側面からも重要な
意義をもっている。太田らはヒト胃生検標本をGOCT
SとPCSの重染色法で染色し、びらん面や潰瘍辺縁の
標本ではIII型粘液の付着がみられるのに対してGO
CTS反応陽性粘液は少ないことを報告している(太田
等、(1990) 消化性潰瘍−臨床と基礎、9、155-165)。また、
Shimizu等は"definitebiological carcinogen"とWHO
/IARCに指定されているHelicobacter pylori(Inte
rnational Agency for Research on Cancer, World Hea
lth Organization (1994) IARC Monogr. Eval. Carcino
g. Risks Hum. 61, 218-220)に感染している胃粘膜標本
をGOCTS−PCS重染色法で染色し、Helicobacter
pyloriが粘液ゲル層、とりわけ表層粘液細胞由来の粘
液層に多量に存在していることを見出している(Shimiz
u, T. et al. (1996) Helicobacter 1, 207-218)。こ
れらの研究成果は胃表層粘液細胞と腺上皮粘液細胞由来
の粘液がそれぞれ固有の性状と機能をもつことを示して
いる。
【0005】また、Ota等は胃幽門部に認められるよう
な組織形態、すなわち、粘膜の表層上皮にGOCTS反
応陽性粘液が存在し、深層部にIII型粘液が局在する
といった形態は正常な膵臓、肺、結腸、卵巣組織では見
られないが、化生や癌化した組織ではこのような幽門粘
膜型の形態を呈するものが多いことを報告し、胃幽門粘
膜化生と癌との関係について言及している(Ota, H. et
al. (1995) Acta Histochem. Cytochem. 28, 43-5
3)。これらの研究成果は、体液中に分泌された胃型の
粘液を測定することにより、癌疾患、もしくは、癌にな
る可能性についての診断のためのデータの提供が可能と
なることを示している。
【0006】ヒトの胃腺上皮型粘液を特異的に検出する
ための方法としては、前記のPCS法以外にこれと特異
的に反応するモノクローナル抗体が本発明者らによって
提供されており(特開平6−335396号公報)、胃
腺上皮型粘液の定量的な測定が可能となっている。一
方、胃の表層粘液については前記のGOCTS法やガラ
クトースオキシダーゼ・シッフ(GOS)法といった酵
素化学的な方法しか知られていない。これらの検出法は
試料が固定標本に限られるため、分泌粘液または可溶化
した粘液の測定に対しては適用することができず、ま
た、染色の再現性を期待することができないという欠点
があるため、これまで胃表層型粘液を定量的に測定する
ことはできなかった。
【0007】
【発明の開示】本発明は、ヒトの胃表層型粘液の測定に
使用可能な新規なモノクローナル抗体を提供するもので
ある。すなわち、本発明は、胃の表層粘液細胞およびそ
の分泌粘液と強い親和性を有し、かつ、腺上皮粘液細胞
およびその分泌粘液と交差性を有しない新規なモノクロ
ーナル抗体を提供するものである。本発明者らはヒトの
胃表層型粘液を特異的に認識するモノクローナル抗体に
ついて鋭意研究を重ねた結果、ヒト胃粘液の主要成分で
あるムチン(粘液糖タンパク質)を免疫抗原に用いるこ
とにより、ヒトの胃の表層型粘液細胞およびその分泌粘
液に対して高い特異性をもつ新規なモノクローナル抗体
を得ることに成功した。さらに、本発明により、このモ
ノクローナル抗体を産生するハイブリドーマが提供され
る。
【0008】本発明に係るモノクローナル抗体を産生す
るハイブリドーマは以下に述べるとおり、ケラーとミル
シュタインの方法(Kohler, G. and Milstein, C. (197
5) Nature 256, 495-497)によって得られる。すなわ
ち、好適な方法で調製されたヒト胃ムチンを用いて、マ
ウスを免疫した後、このマウスの脾臓細胞をマウスミエ
ローマ細胞と融合させ、得られたハイブリドーマから目
的とする抗体を産生し分泌するハイブリドーマを選別
し、単離することができる。以下に本発明に係る上記の
ハイブリドーマならびにモノクローナル抗体の調製法お
よび同モノクローナル抗体の特性について詳述する。
【0009】A.抗原の単離、精製:免疫抗原としては
ヒトの手術切除胃の正常粘膜部位からの抽出物を用いる
ことができる。好適にはそれら抽出物から得られるムチ
ンを精製して用いる。例えば、ヒト胃粘膜から小原らの
方法(Ohara, S. et al. (1986) Comp. Biochem. Physi
ol. 83B, 273-275)により抽出、精製したムチンが用い
られる。後記の実施例では、ヒト胃粘膜抽出物からゲル
ろ過によって分子量1500000以上の画分を得、こ
の画分からセシウムクロライド密度勾配遠心法によって
糖タンパク質画分(ムチン含有画分)を得た。このよう
にして得られたムチンを免疫抗原として使用した。
【0010】B.マウスの免疫:免疫動物として、好適
には4−8週齢のBALB/cマウスを用いることがで
きるが、他の系のマウスも使用することができる。免疫
スケジュールおよび抗原濃度は十分な量の抗原刺激を受
けたリンパ球が形成されるよう選ばれる。例えば、マウ
スの腹腔内に好適なアジュバンドと共に前記のムチン1
00μg/匹を投与する。以後数日〜数週間おきに、初
回免疫に使用したものと同じ抗原を数回投与する。2回
目の免疫以後、眼底静脈より採血し、血液中の抗体価に
ついて検討する。抗体価の測定はELISA法により好
適に行なうことができる。
【0011】C.細胞融合:免疫したマウスより脾臓を
摘出し、これから脾臓単細胞懸濁液を調製する。これを
適当なマウス骨髄腫細胞と適当な融合促進剤を使用して
細胞融合させる。骨髄腫細胞は脾臓細胞を得た動物と同
種の動物のものを用いるのが好ましく、また、抗体を産
生しないものが好ましい。後記実施例においては8−ア
ザグアニン耐性マウス骨髄腫細胞Sp2/0−Ag14
(Shulman, M. et al. (1978) Nature276, 269-270)を
使用した。脾臓細胞と骨髄腫細胞の使用割合は細胞数比
で約20:1〜約5:1とするのが好ましい。好ましい
融合促進剤としては例えば平均分子量が1000〜40
00のポリエチレングリコールを有利に使用することが
できるが、この分野で知られている融合促進剤を使用す
ることもできる。
【0012】D.融合した細胞の選択:別の容器内で未
融合の脾臓細胞、未融合の骨髄腫細胞および融合した細
胞の混合物を、未融合の骨髄腫細胞を支持しない選択培
地で未融合の細胞を死滅させるのに充分な時間培養す
る。培地は薬物抵抗性(例えば8−アザグアニン抵抗
性)で未融合の骨髄腫細胞を支持しないもの、例えばH
AT培地が使用される。未融合の脾臓細胞は非腫瘍性細
胞なので、この選択培地中では未融合の脾臓細胞と未融
合の骨髄腫細胞は、ある時間後、死滅する。融合した細
胞は骨髄腫の親細胞の腫瘍性と脾臓細胞の性質とを併せ
もつため、選択培地中で生存する。
【0013】E.ハイブリドーマの産生する抗体の確認
(スクリーニング):上記の操作によってハイブリドー
マが検出された後、その培養上清を採取し、ヒト胃ムチ
ンに対する抗体についてスクリーニングする。このスク
リーニングは例えば、ELISA法により好適に行なう
ことができる。さらに、表層型粘液細胞およびその分泌
粘液を特異的に認識する抗体についてスクリーニングす
る。このスクリーニングは例えば、ヒト胃粘膜固定標本
切片の免疫組織染色法により好適に行なうことができ
る。
【0014】F.目的の抗体を産生するハイブリドーマ
のクローン化と抗体の産生:目的の抗体を産生するハイ
ブリドーマを適当な方法、例えば、限界希釈法でクロー
ン化した後、所望の抗体を得るには2つの方法を用いる
ことができる。第1の方法はハイブリドーマを一定時
間、適当な培地で培養する方法であり、その培養上清か
らハイブリドーマの産生するモノクローナル抗体を得る
ことができる。第2の方法は、ハイブリドーマを同質遺
伝子、または半同質遺伝子を持つマウスの腹腔に接種す
る方法である。一定時間後、接種されたマウスの血液中
および腹水中より、ハイブリドーマの産生する所望のモ
ノクローナル抗体を得ることができる。
【0015】G.モノクローナル抗体の標識および標識
モノクローナル抗体の利用:上記の方法により精製した
モノクローナル抗体は、広く用いられている生化学的手
法によりペルオキシダーゼ、アルカリフォスファター
ゼ、ビオチンなどを用いて、標識することができる。標
識法としては、例えば、酵素の過ヨウ素酸酸化生成物を
抗体と結合させる方法、グルタルアルデヒドを架橋剤に
用いて酵素と抗体とを結合させる方法などが用いられ
る。このようにして得られた標識モノクローナル抗体は
免疫組織染色法、あるいは、ELISA法におけるサン
ドイッチアッセイ法に好適に使用できる。ELISA法
については、例えば、一次抗体として本発明に係るモノ
クローナル抗体をELISAプレートの各ウエルに吸着
させ、さらに、ウエルの未吸着部位に反応に関与しない
物質(例えばスキムミルク)を吸着させた後、同ウエル
に試料溶液を添加し、洗浄した後、適当な濃度の標識モ
ノクローナル抗体溶液を添加、洗浄し、次に酵素の基質
溶液を添加することにより、試料中のムチンの定量分析
を行うことが可能である。以下、本発明を実施例によっ
てさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に
限定されるものではない。
【0016】
【実施例】実施例1 (1)ムチン抗原の調製 北里大学東病院で胃癌と診断された女性患者(21才:
血液型A型)の切除胃(癌部の肉眼的分類:Borrmann
II型)から非癌部粘膜を分取した。胃粘膜層を擦過剥
離した後、Triton X−100を2%含有させた50m
Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.2)で抽出した。抽出
物をBio-Gel A1.5m(Bio-Rad社製)カラムを用いた
ゲル濾過にかけ、カラムの排除限界容量付近に溶出した
画分を分取し、さらに、セシウムクロライド密度勾配遠
心を行ない、比重1.4±0.4g/mlの糖タンパク
質画分(ムチン画分)をフラクションコレクターによっ
て採取した。
【0017】(2)免疫マウス脾臓細胞の調製 4週齢のBALB/c雌マウスに対し、フロイント完全
アジュバンド50μl(Difco社製)および上述の方法で
得られたムチン抗原100μg/匹を腹腔内投与し、免
疫した。以後、3週間おきにフロイント不完全アジュバ
ンド50μl(Difco社製)および初回免疫したものと同
じムチン抗原100μg/匹を腹腔内投与し、2回以降
の免疫とした。2回目の免疫以後、免疫の3〜4日後に
眼底静脈より採血し、血清中の抗ムチン抗体を、以下の
ELISA法にて確認した。
【0018】ELISA法:ムチン抗原を、0.05M
炭酸ナトリウム−炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH9.
6)に、2μg/mlの濃度になるように溶解した後、
同じ緩衝液を用いて倍数希釈系列を作製した。これらの
希釈液をELISA用マイクロプレート(Corning社製)
の各ウエルに100μlずつ分注し、4℃で一夜放置し
た。各ウエルをTween20を0.05%含有させた
PBS(PBS-Tween)で3回洗浄した後、各ウエルにスキ
ムミルクを2%含有させたPBSを満たし、1時間放置
した。PBS-Tweenで3回洗浄した後、次に試料としてマ
ウス血清の1000倍希釈液を各ウエルあたり100μ
l分注し、1時間反応させた。PBS-Tweenで3回洗浄し
た後、次に、二次抗体としてペルオキシダーゼで標識し
たヤギ抗マウスイムノグロブリン抗体(Tago社製)をPB
Sで10000倍に希釈した溶液を各ウエルに100μ
l加え、1時間放置した。PBS−Tweenで3回洗
浄した後、次に、ABTS−H22 ペルオキシダーゼ
基質液(Kirkegaard & PerryLaboratories社製)を各ウ
エルに100μl添加し、室温で30分間反応させた
後、マイクロプレートリーダーで415nmの吸光度を
測定した。ムチンの用量に依存して発色性を示すマウス
血清を抗体陽性と判定した。ムチン抗原に対する抗体の
確認されたマウスより脾臓を摘出した後、脾臓単細胞懸
濁液を調製し、細胞融合に用いた。
【0019】(3)マウス骨髄腫細胞の調製 8−アザグアニン耐性マウス骨髄腫細胞Sp2/0−A
g14を正常培地[RPMI1640(日水製薬社製)
(10.2g/l)に、炭酸水素ナトリウム(2.2g
/l)、L−グルタミン(0.3g/l)、ゲンタマイ
シン(40mg/l)および牛胎児血清(10% V/
V)を加えた培地]を用いて37℃で、炭酸ガスインキ
ュベーター中で培養した。
【0020】(4)細胞融合およびハイブリドーマの培
養 脾臓細胞をマウス骨髄腫細胞Sp2/0−Ag14と細
胞数比で10:1の割合で混合し、緩やかに撹拌しなが
ら融合補助剤〔ポリエチレングリコール4000(0.
5g)、ジメチルスルホキシド(0.05ml)、PB
S(0.5ml)〕を加えて融合させた。37℃で90
秒間インキュベートした後、培地[RPMI1640
(日水製薬社製)(10.2g/l)に炭酸水素ナトリ
ウム(2.2g/l)、L−グルタミン(0.3g/
l)およびゲンタマイシン(40mg/l)を加えた培
地]を液の全量が40mlになるまでを徐々に加えた。
遠心分離(1100rpm/10分)した後、上清を除
き、HAT培地[RPMI1640(日水製薬社製)
(10.2g/l)に炭酸水素ナトリウム(2.2g/
l)、L−グルタミン(0.3g/l)、ゲンタマイシ
ン(40mg/l)、牛胎児血清(20% V/V)、
ヒポキサンチン(100μmol/l)、アミノプテリ
ン(0.4μmol/l)およびチミジン(16μmo
l/l)を加えた培地]を加え、緩やかに細胞を懸濁し
た。この懸濁液を96穴培養プレートに分注し、5%の
炭酸ガスを含む培養器中で培養した。
【0021】(5)スクリーニングおよびクローニング 上記の96穴培養プレートにおいて、コロニー状に生育
した融合細胞の認められたウエルから培養上清を一部採
取し、後述のELISA法によりスクリーニングを行な
い、ムチン抗原と反応する抗体を産生する7種のハイブ
リドーマを選別した。7種のハイブリドーマが産生する
それぞれの抗体について、さらに後述の免疫組織染色法
によってスクリーニングを行ない、表層粘液細胞および
その分泌粘液と反応する抗体を産生する1種のハイブリ
ドーマを選択した。次に、このハイブリドーマをHT培
地[RPMI1640(日水製薬社製)(10.2g/
l)に炭酸水素ナトリウム(2.2g/l)、L−グル
タミン(0.3g/l)、ゲンタマイシン(40mg/
l)、牛胎児血清(15% V/V)、ヒポキサンチン
(100μmol/l)およびチミジン(16μmol
/l)を加えた培地]で1週間、次いで、正常培地[R
PMI1640(日水製薬社製)(10.2g/l)に
炭酸水素ナトリウム(2.2g/l)、L−グルタミン
(0.3g/l)、ゲンタマイシン(40mg/l)お
よび牛胎児血清(10% V/V)を加えた培地]で1
週間継代培養した後、限界希釈法によるクローニングを
2回繰り返し、3種のハイブリドーマを得た。これらの
ハイブリドーマを個々に4週間、正常培地を用いて継代
培養した後、各ハイブリドーマの培養上清液を後述のE
LISA法で分析し、最も高い発色性を示す培養上清液
のハイブリドーマ、HGM75(工業技術院生命工学工
業技術研究所:受託番号 FERM P−16779)
を選択した。
【0022】ELISA法:ムチン抗原を、0.05M
炭酸ナトリウム−炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH9.
6)に、1μg/mlの濃度になるように溶解した後、
ELISA用マイクロプレート(Corning社製)の各ウ
エルに100μlずつ分注し、4℃で一夜放置した。各
ウエルをTween20を0.05%含有させたPBS(PBS
-Tween)で3回洗浄した後、各ウエルにスキムミルクを
2%含有させたPBSを満たし、1時間放置した。PBS-
Tweenで3回洗浄した後、次に試料としてハイブリドー
マの培養上清液を各ウエルあたり100μl分注し、1
時間反応させた。PBS-Tweenで3回洗浄した後、次に、
二次抗体としてペルオキシダーゼで標識したヤギ抗マウ
スイムノグロブリン抗体(Tago社製)をPBSで100
00倍に希釈したものを各ウエルに100μl加え、1
時間放置した。PBS-Tweenで3回洗浄した後、次に、A
BTS−H22 ペルオキシダーゼ基質液(Kirkegaard
& Perry Laboratories社製)を各ウエルに100μl
添加し、室温で30分間反応させた後、マイクロプレー
トリーダーで415nmの吸光度を測定した。ハイブリ
ドーマの培養上清液の代りにミエローマ細胞の培養上清
液を加えた以外は同様に処理したウエルに対して強く発
色するウエルを選択し、発色したウエルに対応する試料
を陽性と判定した。
【0023】免疫組織染色法:ヒト胃体部粘膜をホルマ
リンで固定した後、パラフィンで包埋し、ミクロトーム
で切片(厚さ4−μm)を作製し、スライドガラス上に
固定した。同スライドガラスをキシレンに浸して脱パラ
フィンした後、過酸化水素を0.3%含有させたメタノ
ールに30分間浸し、次いで、PBSに30分間浸して
洗浄した。次に、この洗浄後のスライドガラス上の切片
に10%ウサギ正常血清(ニチレイ社製)を付着せし
め、1時間インキュベートした後、PBSで洗浄した。
次に、この洗浄後の切片に試料としてハイブリドーマの
培養上清液を付着せしめ、1時間インキュベートした
後、PBSで洗浄した。次に、この洗浄後の切片にビオ
チン標識したウサギ抗マウスIgG+IgA+IgM
(H+L)(ニチレイ社製)を付着せしめ、1時間イン
キュベートした後、PBSで洗浄した。次に、この洗浄
後の切片にペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン
(ニチレイ社製)を付着せしめ、1時間インキュベート
した後、PBSで洗浄した。次に、この洗浄後の切片を
ジアミノベンジジン(同仁化学研究所社製)(0.02
%)、過酸化水素水(0.005%)を含有させた0.
05Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.6)中に約4分間
浸し、発色させた。
【0024】(6)アイソタイプの確認 本発明に係るモノクローナル抗体のグロブリンクラスを
アイソタイピングキット(PharMingen社製)を用いたE
LISA法で調べた。すなわち、monoclonal rat anti-
mouse IgG1、 monoclonal rat anti-mouse IgG2a、 monoc
lonal rat anti-mouse IgG2b、monoclonal rat anti-mou
se IgG3、 monoclonal rat anti-mouse IgM、monoclonal
rat anti-mouse IgA、 monoclonal rat anti-mouse IgL
(κ)およびmonoclonal rat anti-mouse IgL(λ)の
各試薬をcoating bufferを用いて5倍希釈した後、EL
ISA用マイクロプレート(Corning社製)の各ウエル
にそれぞれ50μlずつ分注し、4℃で一夜放置した。
各ウエルをTween20を0.05%含有させたPB
S(PBS-Tween)で3回洗浄後、各ウエルにスキムミル
クを2%含有させたPBSを満たし、1時間放置した。
PBS-Tweenで3回洗浄した後、次に、各ウエルにHGM
75(寄託番号 PERM P−16779)を正常培
地[RPMI1640(日水製薬社製)(10.2g/
l)に炭酸水素ナトリウム(2.2g/l)、L−グル
タミン(0.3g/l)、ゲンタマイシン(40mg/
l)および牛胎児血清(10% V/V)を加えた培
地]で3日間培養した後の培養上清液を50μl分注
し、1時間反応させた。PBS-Tweenで3回洗浄した後、
次に、各ウエルにアルカリフォスファターゼで標識した
polyclonal rat anti-mouse Igs試薬を50μl加え、
1時間放置した。PBS-Tweenで3回洗浄した後、次に、
各ウエルにpNPP錠剤1個を基質溶解液5mlに溶解
して調製した基質溶液を50μl添加し、室温で30分
間反応させた。プレートを肉眼で観察した結果、monocl
onal rat anti-mouse IgG1試薬とmonoclonal ratanti-m
ouse IgL(κ)試薬で前処理した両ウエルにだけ強い黄
色い発色が認められ、他のウエルは無色透明であった。
これらの結果から、本発明のモノクローナル抗体はIg
1抗体であり、軽鎖はκ鎖であることが確認された。
【0025】実施例2 モノクローナル抗体の抗原特異性 (1)免疫組織染色法による抗原特異性の確認 実施例1で得たモノクローナル抗体のヒト正常臓器組織
に対する反応性を免疫組織染色法で検討した。ホルマリ
ンで固定後パラフィン包埋された組織標本をミクロトー
ムを用いて薄切、厚さ4−μmの切片を作製し、スライ
ドガラス上に固定した。同スライドガラスをキシレンに
浸して脱パラフィンした後、過酸化水素を0.3%含有
させたメタノールに30分間浸し、次いで、PBSに3
0分間浸して洗浄した。次に、この洗浄後のスライドガ
ラス上の切片に10%ウサギ正常血清(ニチレイ社製)
を付着せしめ、1時間インキュベートした後、PBSで
洗浄した。次に、この洗浄後の切片にハイブリドーマH
GM75(寄託番号 FERM P−16779)を正
常培地[RPMI1640(日水製薬社製)(10.2
g/l)に炭酸水素ナトリウム(2.2g/l)、L−
グルタミン(0.3g/l)、ゲンタマイシン(40m
g/l)および牛胎児血清(10% V/V)を加えた
培地]で3日間培養して得た培養上清液を付着せしめ、
4℃で一晩インキュベートした後、PBSで洗浄した。
次に、この洗浄後の切片にビオチン標識したウサギ抗マ
ウスIgG+IgA+IgM(H+L)(ニチレイ社
製)を付着せしめ、1時間インキュベートした後、PB
Sで洗浄した。次に、この洗浄後の切片にペルオキシダ
ーゼ標識ストレプトアビジン(ニチレイ社製)を付着せ
しめ、1時間インキュベートした後、PBSで洗浄し
た。次に、この洗浄後の切片をジアミノベンジジン(同
仁化学研究所社製)(0.02%)、過酸化水素水
(0.005%)を含有させた0.05Mトリス−塩酸
緩衝液(pH7.6)中に約4分間浸し、発色させた。
結果は表−1に示すごとくであった。
【0026】
【表1】 註:染色が認められるものを+、染色が認められないも
のを−で表す。
【0027】(2)ヒト以外の動物種の胃ムチンに対す
る反応性 実施例1で得たモノクローナル抗体のブタ、ウサギ、ラ
ットの各胃精製ムチンに対する反応性をELISA法で
検討した。ブタ胃は屠殺直後のブタから摘出された胃を
屠殺所から入手し、ウサギ胃は日本白色種のウサギか
ら、ラット胃はretired SDラットからそれぞれ摘出
し、各胃粘膜から後述のムチン調製法によりムチンを精
製した。各精製ムチンおよび陽性コントロールとしてム
チン抗原(ヒト胃精製ムチン)を、0.05M炭酸ナト
リウム−炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH9.6)に、
それぞれ1μg/mlの濃度になるように溶解した後、
ELISA用マイクロプレート(Corning社製)の各ウ
エルに100μlずつ分注し、4℃で一夜放置した。各
ウエルをTween20を0.05%含有させたPBS
(PBS-Tween)で3回洗浄した後、各ウエルにスキムミ
ルクを2%含有させたPBSを満たし、1時間放置し
た。PBS-Tweenで3回洗浄した後、次にハイブリドーマ
HGM75(寄託番号 FERM P−16779)を
正常培地[RPMI1640(日水製薬社製)(10.
2g/l)に炭酸水素ナトリウム(2.2g/l)、L
−グルタミン(0.3g/l)、ゲンタマイシン(40
mg/l)および牛胎児血清(10% V/V)を加え
た培地]で3日間培養して得た培養上清液を各ウエルあ
たり100μl分注し、1時間反応させた。PBS-Tween
で3回洗浄した後、次に、二次抗体としてペルオキシダ
ーゼで標識したヤギ抗マウスイムノグロブリン抗体(Ta
go社製)をPBSで10000倍に希釈したものを各ウ
エルに100μl加え、1時間放置した。PBS−Tw
eenで3回洗浄した後、次に、ABTS−H22
ルオキシダーゼ基質液(Kirkegaard & Perry Laborator
ies社製)を各ウエルに100μl添加し、室温で30
分間反応させた。プレートを肉眼で観察した結果、ヒト
胃ムチンで前処理したウエルは青色に呈色したが、ブ
タ、ウサギ、ラットの各胃ムチンで前処理したウエルで
はいずれも呈色反応が認められなかった。
【0028】ムチン調製法:胃を大弯切開後PBS中で
軽く洗浄し、内容物を除去した。胃粘膜層を擦過剥離し
た後、Triton X−100を2%含有させた50mMト
リス−塩酸緩衝液(pH7.2)で抽出した。抽出物を
Bio−Gel A1.5m(Bio-Rad社製)カラムを
用いたゲル濾過にかけ、カラムの排除限界容量付近に溶
出した画分を分取し、さらに、セシウムクロライド密度
勾配遠心を行ない、比重1.4±0.4g/mlの糖タ
ンパク質画分(ムチン画分)をフラクションコレクター
によって採取した。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/577 C12N 5/00 B (72)発明者 岡安 勲 神奈川県相模原市相模大野6−23−11− 507 (72)発明者 内山 宏美 神奈川県伊勢原市鈴川21番地 関東化学株 式会社伊勢原研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトの胃の表層型粘液細胞が産生するム
    チンと特異的に反応するIgG1クラスモノクローナル
    抗体。
  2. 【請求項2】 ヒトの胃の表層型粘液細胞が産生するム
    チンと特異的に反応するIgG1クラスモノクローナル
    抗体を産生するハイブリドーマ。
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