JPH11311520A - シリコンジャイロおよびその駆動方法 - Google Patents

シリコンジャイロおよびその駆動方法

Info

Publication number
JPH11311520A
JPH11311520A JP10117308A JP11730898A JPH11311520A JP H11311520 A JPH11311520 A JP H11311520A JP 10117308 A JP10117308 A JP 10117308A JP 11730898 A JP11730898 A JP 11730898A JP H11311520 A JPH11311520 A JP H11311520A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibrator
elastic legs
silicon
electrode
elastic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10117308A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Murata
眞司 村田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Alps Electric Co Ltd filed Critical Alps Electric Co Ltd
Priority to JP10117308A priority Critical patent/JPH11311520A/ja
Priority to US09/298,746 priority patent/US6257058B1/en
Publication of JPH11311520A publication Critical patent/JPH11311520A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定した角速度の検出を可能とするシリコン
ジャイロおよびその駆動方法を提供すること。 【解決手段】 シリコンウエハにより形成され、2箇所
の溝により分離された3個の弾性脚2を有するシリコン
ジャイロの前記弾性脚を2支持する振動子1の基部の一
部を基体3に固定し、前記弾性脚2間および外側方には
前記弾性脚2の並び面と垂直且つ前記弾性脚2に近接す
る水平電極4を配設するとともに、前記各弾性脚2毎
に、その弾性脚2の並び面と平行且つ前記弾性脚2と近
接する垂直電極5を配設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動子が振動しな
がら回転したときに発生するコリオリ力を利用して回転
角速度を検出するシリコンジャイロおよびその駆動方法
に係り、特に、安定した角速度の検出を可能とするシリ
コンジャイロおよびその駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、車掲載用ナビゲーションシステム
や無人走行車用の姿勢制御装置、さらにはビデオカメラ
の画面振れ防止装置などに使用される小型の振動型ジャ
イロスコープとして、2カ所の溝により分離された3個
の平行な弾性脚を有する振動子と、前記弾性脚に振動を
発生させる駆動手段と、前記振動子が回転したときに前
記弾性脚に生じる前記振動の方向と直交する方向への振
動成分を検出する検出手段からなるジャイロスコープが
開発されている。
【0003】前記ジャイロスコープの振動子としては、
圧電セラミックスや恒弾性金属(エリンバ)が用いられ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記振動子
として、前記圧電セラミックスを用いる場合、圧電セラ
ミックスはそれ自体に圧電性があるので、通電させるた
めの電極のみを形成すればよく、構造的には簡単なもの
になる。
【0005】しかし、一般に、圧電セラミックスは振動
のQ値が低い(20〜1000)。そのため、共振によ
る変位量の増大効果を大きくは期待できず、入力エネル
ギが大きくなることや、大きい入力エネルギのためにセ
ンサ素子自体が発熱してしまう欠陥があった。
【0006】また、圧電セラミックス材料は、熱に対す
るヤング率の変化(10〜200ppm)や線膨張係数
(10〜50ppm)も大きい。このため、環境温度変
化により、圧電セラミックスによって構成された振動子
に寸法変化が生じ、結果としてセンサの出力変化を生じ
ることがあった。また、圧電効果にも温度による依存が
あり(100〜5000ppm)、寸法変化を伴わない
場合でも、環境温度変化に伴って出力値が変動すること
があった。
【0007】さらには、環境温度変化がなくても、セン
サ自体の発熱があるため、センサに通電されてからセン
サが一定温度になるまでの間、出力変化が生じやすい状
態になる。例えば、出力のnull値が変動すること
は、角速度出力を積分して方位検出を行うジャイロセン
サにとって、方位角の誤差となって表われてしまうとい
う問題があった。
【0008】また、前記振動子として、恒弾性金属を用
いる場合は、恒弾性金属には圧電性がないため、圧電素
子を前記弾性脚に貼り付け、この圧電素子に通電するこ
とにより弾性脚を振動させ、それにより発生した振動で
恒弾性金属による振動子全体を振動させることとなり、
前述の圧電セラミックスを用いた場合の構造に比較する
と構造的に複雑になる。
【0009】図26は、この恒弾性金属からなる振動子
の構成を示す斜視図であり、図27は、その従来例の断
面図である。これらの図に示す従来のジャイロスコープ
の振動子200は、その互いに平行な各弾性脚201
a,201b,201cには、圧電素子202a〜20
2lが貼り合わせてあり、前記各圧電素子202と通電
するための電極203a〜203lが形成されている。
【0010】このように、恒弾性金属に圧電素子202
を貼り付けて使用する場合には、前述の圧電セラミック
スを用いた場合と同様の不具合の他、異種材料を貼り合
わせるため、熱膨張係数の違いから振動子200にひず
みを生じ、駆動と検出の共振周波数に差が生じたり、振
動子200の振幅変位による出力変動を生じるといった
問題や、さらには、圧電素子202と振動子200間に
空隙があると振動子200の振動に影響がでたり、コリ
オリ力による出力信号にも影響があるといった問題を有
するものとなっている。
【0011】また、従来のシリコンジャイロスコープの
駆動方法は、振動子の駆動方法に振動子と駆動電極間に
電圧を印加して、それによる静電力で振動子を駆動さ
せ、コリオリ力による振動子の変位量を振動子と検出電
極間の静電容量の変化として検出するものであった。
【0012】しかし、この従来の駆動方法によると、制
止した状態での静電容量が小さい(0.1〜3PF)の
みならず、コリオリ力によって振動子が変位することに
よる静電容量変化は非常に小さく(5〜500aF)、
一方、静電容量を電圧値に変換するC−V変換回路の入
力側はインピーダンスが高いため、電磁誘導等による外
乱ノイズに非常に弱かった。
【0013】また、デバイスの構造上、振動子と駆動電
極、検出電極は相対的に近接した位置関係にあり、駆動
電極による誘導ノイズをハイインピーダンスである検出
電極側に洩れないようにすることは困難であった。
【0014】さらには、振動子を駆動する周波数とコリ
オリ力による静電容量が変化する周波数は同じであるた
めに、ノイズと信号との分離ができずに、C−V変換回
路のゲインを下げざるを得ず、角速度検出感度を犠牲に
し、感度を低減させざるを得なかった。
【0015】そして、従来の駆動方法では、圧電素子の
伸び縮みにより振動子を屈曲させるので、圧電素子の材
料が均一でないことにより、駆動振動方向が振動の過程
で一直線にならず、ねじれを生じやすく、また、検出時
にも同様に振動方向と直交方向に生じるコリオリ力によ
る変位も揺らぎを生じ、駆動振動の方向と検出振動の方
向とが直交せず、このため、検出振動に駆動信号の機械
的結合が生じ、出力信号に影響を与え、出力信号のドリ
フトやオフセットといった誤差が生じていた。
【0016】以上のような点から、安定した角速度の検
出ができないという重大な問題があった。
【0017】本発明は前記した点に鑑みなされたもの
で、安定した角速度の検出を可能とするシリコンジャイ
ロおよびその駆動方法を提供することを目的とするもの
である。
【0018】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明の請求項1に係るシリコンジャイロは、シリコン
ウエハにより形成され、2箇所の溝により分離された3
個の弾性脚を有するシリコンジャイロであって、前記弾
性脚を支持する振動子の基部の一部を基体に固定し、前
記弾性脚間および外側方には前記弾性脚の並び面と垂直
且つ前記弾性脚に近接する水平電極を配設するととも
に、前記各弾性脚毎に、その弾性脚の並び面と平行且つ
前記弾性脚と近接する垂直電極を配設したことを特徴と
する。
【0019】また、請求項2に記載のシリコンジャイロ
は、請求項1に記載のシリコンジャイロにおいて、前記
水平電極をシリコンウエハにより形成し、前記垂直電極
を金属膜により形成したことを特徴とし、請求項3に記
載のシリコンジャイロは、請求項1または請求項2に記
載のシリコンジャイロにおいて、前記基体をガラス板に
より形成し、この基体に対し、前記水平電極および垂直
電極を形成したことを特徴とする。
【0020】さらに、請求項4に記載のシリコンジャイ
ロは、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシ
リコンジャイロにおいて、前記各弾性脚に対する垂直電
極をそれぞれ逆極性となる2つの電極で構成したことを
特徴とするものである。
【0021】これらのシリコンジャイロによれば、振動
子の材料として、単結晶シリコンを用いることにより、
高いQ値を得ることができ(1000〜20000)、
温度変化のある環境で長時間使用しても安定した出力を
得ることができる。
【0022】また、本発明のシリコンジャイロの振動子
には異種材料の付着がないため、振動子の振動が他の構
造体の影響を受け難いものとなり、シリコン自体の熱膨
張率は2ppm程度と小さいため、共振周波数に対する
影響は少なく、自励振回路を採用した場合、振動子の伸
び縮みに追従して発振周波数が変化し、常に共振状態を
維持することができる。
【0023】また、空気の誘電率の温度係数は5ppm
/℃であり、シリコンと空気の両方の温度依存性の影響
は、10ppm/℃以下である。
【0024】そして、請求項5に記載のシリコンジャイ
ロの駆動方法は、振動子を構成する各弾性脚に対し、そ
れぞれ2つの垂直電極を配接し、この2つの垂直電極の
それぞれに、互いに相反する逆極性のDC成分と、互い
に反転した逆位相のAC成分とからなる電圧を印加する
ことを特徴とする。
【0025】本発明のシリコンジャイロの駆動方法によ
れば、互いに相反する位相関係にあるAC成分と互いに
相反する極性関係にあるDC成分をそれぞれの電極に印
加することにより、互いの影響を相殺させることができ
る。こうして、各速度の検出感度を大幅に向上すること
ができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図1乃
至図25を参照して説明する。
【0027】図1および図2に示す本発明の第1実施形
態のシリコンジャイロ本体は、振動子1、基体3、水平
電極4、垂直電極5より構成される。前記振動子1は、
シリコンからなり、ベース部1aとベース部1aより伸
びた2カ所の溝により分離された互いに平行な3つの弾
性脚2a,2b,2cにより構成される。
【0028】前記振動子1はベース部1aの端部近傍
が、ガラスよりなる基体3と陽極接合等の手段により接
合されている。
【0029】本実施形態の水平電極4はシリコンからな
り、前記弾性脚2a,2b,2c間と前記弾性脚2a,
2cの外側に、前記弾性脚2と垂直に、且つ近接させて
配設されており、水平電極4a,4b,4c,4dは、
基体3と接合されている。
【0030】また、本実施形態の垂直電極5a,5b,
5cはクロムからなり、基体3の上面に凹設された溝3
a内に、前記弾性脚2a,2b,2cの並び方向と平行
に、且つ各弾性脚に近接させて配設されている。
【0031】振動子1が振動する際は、弾性脚2a,2
b,2cがベース部1aを支点として振動することとな
る。弾性脚2a,2b,2cの振動はベース部1aにも
伝達してくるが、そのレベルは弱く、ベース部1aの端
部においてはほとんど振動しない。本発明では、弾性脚
2a,2b,2cの振動に影響を与えないようにベース
部1aの端部を基体3と接合することとした。
【0032】図2は図1の振動子の寸法を示す平面図で
あり、この寸法にて製作された振動子1の共振周波数は
約2KHzである。また、図3は、図2の3−3断面
図、図4は図2の4−4断面図である。
【0033】これらの図に示すように、本実施形態の垂
直電極5と水平電極4は、直交する方向に配置されてお
り、振動子1を駆動する際は、振動子1は垂直または水
平方向に自由に振動することができるため、水平または
垂直方向に駆動する場合でも、振動子1はねじれること
なく振動することとなり、駆動方向と直交方向に生じる
コリオリ力による振動子1の変位は、駆動方向と直交方
向の成分のみ検出することを可能とするものとなる。
【0034】また、振動子1の駆動または角速度検出
は、本実施形態の振動子1に格子欠陥が少ない単結晶の
シリコンを用いれば、振動子1内部に歪みはなく、熱的
な特性も優れるし、振動子1の駆動や角速度検出を全て
非接触で行い、振動子1の振動に影響を与えるような付
加的な構造物は一切無いので、安定した角速度検出がで
きるものとなる。
【0035】つまり、振動子1の材料としてのシリコン
は純度が高く、欠陥のない単結晶材料を容易に使用する
ことができるので、高いQ値が得られる(1000〜2
0000)。また、格子欠陥が非常に少ないことから振
動による疲労が無く、大きな振幅で振動させても塑性破
壊が起こらず、シリコン内部に歪みや内部応力を蓄積し
ないため、温度変化のある環境で長時間使用しても安定
した出力を得ることができる。
【0036】また、本発明のシリコンジャイロの振動子
1には異種材料の付着がないため、振動子1の振動が他
の構造体の影響を受けずに安定した振動が得られるし、
振動子1に圧電素子や電極を形成する際に振動子1との
間に空隙を生じたり、振動子そのものに歪みや応力を与
えるということが無い。また、異種材料の熱膨張係数の
差による歪みが無く、異種材料による温度変化の影響を
受けない。さらに、シリコン自体の熱膨張率は2ppm
程度と小さいため、圧電素子に比べて共振周波数に対す
る影響は少ない。また、自励振回路を採用した場合、振
動子1の伸び縮みに追従して発振周波数が変化し、常に
共振状態を維持することができる。
【0037】また、振動子1をシリコン製とすること
で、フォトリソグラフィ技術を用いることにより一括で
大量に微細加工精度につくることができ、直交精度を良
好にして駆動振動が検出振動に与える影響を抑え、出力
信号に影響を与えることを防止することができるものと
なる。
【0038】図5は、本発明のシリコンジャイロの作成
フローチャートである。
【0039】本発明のシリコンジャイロは、大きくは、
基体3となるガラス単体の加工、振動子1となるシリコ
ンの加工、および基体3と振動子1の接合、振動子1部
分の加工の4段階からなる。
【0040】基体3となるガラスは、その上面に凹状の
溝3aを形成するためのパターニング後(ステップST
1)、エッチング(ステップST2)にて振動子1と前
記溝3aの底部との間に約20μmのギャップを設ける
ための溝形成を行う。
【0041】その後、垂直電極5となる厚みが約0.5
μmのクロム膜をスパッタリング法にて製膜し(ステッ
プST3)、電極のパターニングを行い(ステップST
4)、前記溝3aの底部に所望の電極形状を得る。
【0042】一方、シリコンの加工は、シリコンウエハ
の全面に絶縁膜を形成し(ステップST11)、拡散の
ためのパターニングを行い(ステップST12)、オー
ミックコンタクトを行うためのB(ボロン)の拡散を行
う(ステップST13)。特に、ベース部1aに設ける
前記オーミックコンタクトの位置は、振動子1の振動に
影響を与えないようにベース部1aの近傍で、後にガラ
ス製の基体3と接合される接合部の上方とする。その
後、前記絶縁膜を除去して(ステップST14)、新た
に、振動子1と水平電極4を形成するマスクとなる絶縁
膜を形成し(ステップST15)、パターニングを行う
(ステップST16)。次に、信号取りだし用のCr膜
のためのコンタクトホールを形成し(ステップST1
7)、信号取りだし用のCr膜を形成し(ステップST
18)、電極部以外のCr膜を除去するためのパターニ
ングを行う(ステップST19)。
【0043】基体3であるガラスとシリコンとの接合
は、陽極接合法により行う(ステップST21)。接合
後、振動子1と水平電極4を形成するためにエッチング
にて、溝形成および分離を行う(ステップST22)。
【0044】この後、フローには記載していないが絶縁
膜の除去や所望の大きさにチップをダイサー等で分割
し、回路基板に実装後、ワイヤーボンド等にて回路基板
と接続するようにする。
【0045】また、図6は、本発明の第1実施形態の駆
動および検出を示すブロック図である。
【0046】発振回路101により、振動子1の両端に
位置する弾性脚2a,2cとそれぞれに対向する垂直電
極5a,5cの間には、周波数50KHz、振幅5Vの
交番電圧が印加されている。さらに位相反転回路102
により、振動子1の中央脚2bと対向する垂直電極5b
に対して発振回路101とは逆位相の搬送波が加えられ
る。
【0047】振動子1の各弾性脚2a,2b,2cと垂
直電極5a,5b,5cとの間は、ギャップ20μmを
隔てて離間されており、静電容量を生じる。
【0048】これらの静電容量はC−V変換回路103
により電圧値に変換される。静電駆動による誘導ノイズ
の2KHzをカットするため、カットオフ周波数10K
HzのHPF104を通した後、同期検波回路105に
より、発振回路(器)101と同期した周波数と位相で
同期検波される。この出力をLPF106を通すことに
より、振動子1の3本の弾性脚2a,2b,2cと垂直
電極5a,5b,5cの間の垂直方向の静電容量の変化
が得られる。
【0049】振動子1は、低比抵抗のシリコンにより構
成されているため、振動子1の各脚2a,2b,2cと
対向する垂直電極5a,5b,5cとの間により静電容
量によって形成される交番電圧に対するインピーダンス
成分に対しては、電気的には導通していると考えてよ
い。すなわち、C−V変換回路103への3つの脚によ
る容量変化は、信号取り出し部100により直結され、
各弾性脚2a,2b,2cの容量変化がC−V変換回路
103により加算される。
【0050】また、水平電極4a,4b,4c,4d
は、水平電極4aと水平電極4c、水平電極4bと水平
電極4dが短絡されて、それぞれ発振回路120と位相
反転回路121に図示しないDC成分カット用のコンデ
ンサと分圧用の抵抗を介して接続されている。発振回路
120は、周波数70KHz、振幅5Vで発振する。
【0051】水平電極4a,4b,4c,4dと振動子
の3本の弾性脚2a,2b,2cは、ギャップ20μm
を隔てて離間されているため、両者間には静電容量が生
じている。これらの静電容量は、C−V変換回路103
により電圧値に変換される。
【0052】HPF109(カットオフ周波数10KH
z)を通した後、同期検波回路110により、発振回路
(器)120と同期した周波数と位相で同期検波され
る。この出力をLPF111を通すことにより、振動子
1と3本の弾性脚2a,2b,2cとの間の水平方向の
静電容量の変化が得られる。
【0053】さらに、水平電極4aと水平電極4c、水
平電極4bと水平電極4dは、図示しない分圧用の抵抗
を介して増幅およびDC重圧重畳回路118と同じく増
幅およびDC重圧重畳回路119に接続されている。
【0054】そして、電圧制御発振器(以下、VCOと
いう)の発振位相と振動子の振動位相を比較する位相検
出回路114、ループフィルタ115、そして前記VC
O116で構成されるPLL部113と、+90゜位相
シフト回路112とにより、PLL部113の出力は、
前記増幅およびDC重圧重畳回路118と119とによ
り増幅され、さらにDC電圧を重畳されているので、振
動子1の各弾性脚2a,2b,2cと水平電極4a,4
b,4c,4d間には静電引力が働く。そして、水平電
極4aと水平電極4cとに対して、水平電極4bと水平
電極4dは、位相反転器117により位相が反転した交
番電圧が印加されている。
【0055】増幅およびDC電圧重畳回路119の出力
と、C−V変換回路103の入力(すなわち、振動子1
の水平方向の振動)は、+90゜位相シフト回路112
により、常に90゜だけC−V変換回路103の出力が
遅れるように構成されている。すなわち、振動子1の水
平方向の振動が90゜遅れ、PLL部113によりその
位相がロックされ続けるような構成になっている。その
ため、振動子1は、振動子固有の共振周波数で、水平方
向に共振状態(振動子の駆動位相に対して実際の変位が
90゜遅れる)で発振を続ける。
【0056】このため、外部から温度変化があり、振動
子1の寸法が微小に変化して、振動子固有の共振周波数
に変化を生じても、常に、変位量は最大となる共振状態
で発振を続ける。また、PLL部113の出力は、同期
検波回路107の同期信号となっている。このため、振
動子1の垂直方向の容量変化成分において、PLL部1
13の出力と同期した成分のみが検波され、LPF10
8を通して所望の出力となるが、その際に、PLL部1
13により位相がロックされているため、同期検波回路
107による位相のずれは発生せず、安定した出力が得
られる。
【0057】ところで、シリコンジャイロスコープに、
振動子1の延長方向に角速度が生じたとき、水平方向に
振動する振動子1の各弾性脚2a,2b,2cにコリオ
リ力が働く。
【0058】速度V(ベクトル値)で運動する物体m
に、角速度w(ベクトル値)が印加されたときのコリオ
リ力Fcは、Fc=2m(Vxw)と表される(xはベ
クトル積を示す)。
【0059】例えば、振動子1が水平に振動すると、振
動子1の延長方向の周りに角速度が働いた時に、振動子
1は、コリオリ力を垂直方向に受けることとなる。コリ
オリ力により、振動子1は垂直方向に力を受け、水平方
向の振動と同期して垂直方向にも変位する。この変位量
は、印加角速度に比例している。
【0060】この振動子1の垂直方向の変位量は、垂直
電極5a,5b,5cとの静電容量変化に比例するの
で、振動子1の水平方向に同期した垂直方向の静電容量
変化を検出することにより、シリコンジャイロスコープ
に印加された角速度の大きさと向き(回転方向)がわか
る。
【0061】なお、水平駆動で垂直検出の本構成におい
て、水平電極と垂直電極並びにそれに接続されている構
成回路を入れ替えても、すなわち、垂直駆動で水平検出
するようにしても同様のことが成り立つ。
【0062】次に、この振動子1に駆動を与える方法を
図7および図8に示す。
【0063】図7と図8は、図6における増幅およびD
C電圧重畳回路118,119の出力を示す。両図にお
いて、横軸は時間を表し、縦軸は出力電圧を表す。縦軸
と横軸の交わるところを基準電位としてゼロボルトとす
る。振動子に対するC−V変換回路103の電位は、基
準電位と等価である回路構成になっているため、基準電
位から見た振動子の電位はゼロボルトと考えてよい。
【0064】図7と図8において、振動子1の電位は基
準電位であり、水平電極4a,4b,4c,4dの電位
は正弦波状に変化し、振動子1と水平電極4a,4b,
4c,4dとの間に電位差を生じている。実際には、水
平電極4a,4b,4c,4dには、発振回路120と
位相反転回路121により周波数70KHzの搬送波が
重畳されているが、説明のため、この周波数の成分は除
外して、図7と図8とに電圧波形を示している。除外し
ても回路の動作説明には支障がない。以下、同様であ
る。
【0065】水平電極4aと4cとの電位は図7のよう
に、交番電圧にプラス極性のDC電圧が重畳されてお
り、水平電極4bと4dとの電位は図8のように大きさ
が同じのプラス電極のDC電圧に位相が反転した交番電
圧が重畳されている。
【0066】この電界により振動子1の各弾性脚2a,
2b,2cが振動する様子を図9および図10により説
明する。図9および図10は、振動子1の各弾性脚2
a,2b,2cと水平電極4および垂直電極(図示せ
ず)との関係を模式的に示してある。これらの図におい
て、2重枠線で示された部分は水平電極4を示す。
【0067】図9において、ON/OFFと示されてい
るのは図7、図8におけるある時間t=T時の水平電極
の電圧値を示す。水平電極4aと水平電極4cとには、
図7のタイミングで電圧が印加され、時間t=T時に
は、振動子1と水平電極4a,4cとの電位差が最大に
なっている。これをONとする。また、このとき、図8
に示されるように、振動子1と水平電極4bおよび4d
間の電位差は極小となる。これを図9においてOFFと
する。
【0068】図9で時間t=Tでは、水平電極4aと水
平電極4cとがON、水平電極4b,4dがOFFであ
る。そのため、振動子1の両端に位置する弾性脚2a,
2cは、電界により図9において、左側に動き、振動子
1の中央に位置する弾性脚2bは、反対方向の右側に動
く。このとき、ジャイロスコープに、図上で時計回りの
各速度が印加されていると、図10での矢印に示す向き
にコリオリ力が働き、振動子1の各弾性脚2a,2b,
2cも矢印方向に変位する。そのため、各弾性脚2a,
2b,2cの垂直成分も変位し、図示しない垂直電極5
a,5b,5cとのギャップが図に示すように、弾性脚
2a,2cについては狭く、弾性脚2bについては広く
変化する。これにより、静電容量に変化が生じ、静電容
量の変化を検出することにより、角速度の大きさが検出
される。
【0069】なお、角速度の回転方向が反時計方向とす
ると、今までの説明における矢印の向きは逆になり、振
動子の変位と同期している同期検波回路の出力が反転す
るため、角速度の方向も検出できる。振動子1は交番電
圧により、振動しているので、振動子1がt=T時よ
り、位相がπずれている時、すなわち、逆位相の時は、
図11および図12にて同様に説明される。
【0070】C−V変換回路103は、静電容量の大き
さにより、発振回路101による搬送波の転幅が比例す
る回路構成になっている。例えば、図10において、振
動子1の左右端に位置する弾性脚2a,2cと垂直電極
(図示せず)とのギヤツプが狭まる事により、静電容量
が大きくなり、発振器101と同相の搬送波成分の振幅
値が大きくなるとする。
【0071】これに対して、中央に位置する弾性脚2b
により形成される静電容量は小さくなる。中央に位置す
る弾性脚2bと対向する垂直電極には、位相反転回路1
02により発振回路101と逆位相の搬送波が加えられ
ているので、逆位相の搬送波成分は小さくなる。
【0072】結果として、C−V変換回路の出力は、図
9、図10のタイミングでコリオリ力が働く時、発振回
路101と同相の搬送波成分が大きくなり、同期検波回
路107の出力をLPF108に通すことにより、例え
ば正極性の出力を得る。
【0073】これとは逆に、反時計回りの角速度が印加
されると、図10と図12におけるコリオリカの成分が
反転し、図10と図12における矢印方向が反転する。
その場合、LPF108後の出力は負極性となり、角速
度の方向が検出できる。
【0074】また、図13は本発明の第2実施形態のシ
リコンジャイロを示しており、図14は、第2実施形態
の振動子1の寸法を示す平面図である。この寸法にて製
作された振動子1の共振周波数は約2KHzである。ま
た、図15は、図14の15−15断面図、図16は図
14の16−16断面図である。
【0075】本第2実施形態のシリコンジャイロは、前
記垂直電極6が、振動子1の各弾性脚2a,2b,2c
に対し、それぞれ2本ずつ(垂直電極6a,6b,6
c,6d,6e,6f)形成されている点のみ、前述の
第1実施形態のシリコンジャイロと構成を異ならせてい
る。
【0076】図17は、図13に示す本発明の第2実施
形態のシリコンジャイロの駆動および角速度検出を示す
ブロック図である。
【0077】発振回路101により、水平電極4a,4
cには、周波数50KHz、振幅5Vの交番電圧が印加
されている。さらに位相反転回路102により、水平電
極4b,4dに対して、発振回路101とは逆位相の搬
送波が加えられる。振動子1の各弾性脚2a,2b,2
cと水平電極4a,4b,4c,4dとの間は、ギャッ
プ20μmを隔てて離間されており、静電容量を生じ
る。C−V変換回路103により、これらの静電容量
は、電圧値に変換される。HPF104(カットオフ周
波数10KHz)を通した後、同期検波回路105によ
り、発振器101と同期した周波数と位相で同期検波さ
れる。この出力をLPF106を通す事により、振動子
1と3本の弾性脚2a,2b,2cとの間の水平方向の
静電容量の変化が得られる。
【0078】振動子1は、低比抵抗のシリコンにより構
成されているため、振動子1の各脚2a,2b,2cと
対向する水平電極4a〜4d間による静電容量によって
形成される交番電圧に対するインピーダンス成分に対し
ては、電気的には導通していると考えてよい。
【0079】すなわち、C−V変換回路103には、弾
性脚2a,2b,2cによる容量変化が、信号取りだし
部100により直結され、各弾性脚2a,2b,2cの
容量変化がC−V変換回路103により加算される構成
になっている。
【0080】また、本実施形態において、垂直電極6
a,6b,6c,6d,6e,6fは、6aと6e、6
bと6fがそれぞれ短絡されており、図示しない分圧用
の抵抗を介して発振回路120に接続されている。そし
て、垂直電極6cと6dとが図示しない分圧用の抵抗を
介して位相反転回路121に接続されている。
【0081】発振回路120は、周波数70KHz、振
幅5Vで発振する。垂直電極6a,6b,6c,6d,
6e,6fと振動子1の3本の弾性脚2a,2b,2c
は、ギャップ20μmを隔てて離間されているため、静
電容量を生じている。
【0082】C−V変換回路103により、これらの静
電容量は、電圧値に変換される。HPF109(カット
オフ周波数10KHz)を通した後、同期検波回路11
0により、発振器120と同期した周波数と位相で同期
検波される。この出力をLPF111を通す事により、
振動子1と弾性脚2a,2b,2cとの間の垂直方向の
静電容量の変化が得られる。
【0083】さらに、垂直電極6aと6e、6dと6f
は、図示しないDC成分カット用のコンデンサと分圧用
の抵抗を介して、増幅およびDC電圧重畳回路135お
よび増幅およびDC電圧重畳回路134に接続されてい
る。垂直電極6cと6dは、増幅およびDC電圧重畳回
路132および増幅およびDC電圧重畳回路131に接
続されている。
【0084】そして、電圧制御発振器(以下、VCOと
いう)の発振位相と振動子の振動位相とを比較する位相
検出回路114、ループフィルタ115、そして前記V
CO116で構成されるPLL部113と、+90゜位
相シフト回路112により、PLL部113の入力と出
力間、つまり+90゜位相シフト回路112からの入力
とVCO116からの出力間に、常に+90゜の位相差
を与える。その際、PLL部113の出力は、増幅およ
びDC電圧重畳回路131,132,134,135に
より増幅し、さらにDC電圧を重畳されているので、振
動子1の各弾性脚2a,2b,2cと垂直電極6a,6
b,6c,6d,6e,6f間には、静電引力が働く。
【0085】増幅およびDC電圧重畳回路132,13
5の出力とC−V変換回路103の入力(すなわち、振
動子の垂直方向の振動)とは、+90゜位相シフト回路
112により、常に90゜だけC−V変換回路出力が遅
れるように構成されている。すなわち、振動子1の垂直
方向の振動が90゜遅れ、PLL部113によりその位
相がロックされ続けるような構成になっている。そのた
め、振動子1は、振動子固有の共振周波数で、垂直方向
に共振状態(振動子の駆動位相に対して実際の変位が9
0゜遅れる状態)で発振を続ける。
【0086】次に、垂直電極への電圧印加方法を、図1
8乃至図21で説明する。
【0087】図18は、図17における、増幅およびD
C電圧重畳回路134の出力を示し、図19は、図17
における、増幅およびDC電圧重畳回路135の出力を
示す。また、図20は、図17における、増幅およびD
C電圧重畳回路131の出力を示し、図21は、図17
における、増幅およびDC電圧重畳回路132の出力を
示している。
【0088】図18乃至図21において、横軸は時間を
表し、縦軸は出力電圧を表す。縦軸と横軸の交わるとこ
ろを基準電位として、0ボルトとする。振動子は、C−
V変換回路103に接続されているが、振動子1側から
みたC−V変換回路103の電位は、基準電位と等価で
ある回路構成になっているため、基準電位からみた振動
子1の電位は、0ボルトと考えてよい。そのため、図1
8乃至図21において、振動子1の電位は基準電位であ
り、正弦波上に変化している垂直電極6a,6b,6
c,6d,6e,6fの電位による電界を受ける。
【0089】振動子1の両端に位置する弾性脚2a,2
cに対向する1脚あたり2つの垂直電極6、すなわち、
垂直電極6aと垂直電極6b、垂直電極6eと垂直電極
6fは位相が反転し、さらに重畳するDC電圧の極性も
反転している。同様に、中央脚2bに対する2つの垂直
電極6cと6dも、図20および図21に示すように、
位相およびDC極性ともに反転している。
【0090】このような電圧を印加すると、図18乃至
図21において、ある時刻t=Tの時、振動子1の各弾
性脚2a,2b,2cが対向する電極から受ける静電力
は、下表のようになる。
【0091】 そのため、弾性脚2a,2cは電極へ近づく静電力が極
大になり、中央に位置する弾性脚2bは電極から受ける
力が極小になる。
【0092】また、弾性脚2a,2b,2cに働く静電
力と時計回りに角速度が働いたときの弾性脚2a,2
b,2cの動きおよびコリオリカを模式的に図示する
と、図22および図23のようになる。つまり、弾性脚
2aと弾性脚2cに働く静電力は、垂直方向に極大とな
り、弾性脚2bに働く静電力は極小となる。
【0093】この場合、コリオリカは図23のように働
く。これにより、静電容量に変化が生じ、静電容量の変
化を検出することにより角速度の大きさが検出される。
【0094】角速度の回転方向が、反時計方向では、今
までの説明における矢印の向きは逆になり、振動子1の
変位と同期している同期検波回路の出力が反転するた
め、角速度の方向も検出できる。振動子1は交番電圧に
より、振動しているので、振動子1がt=T時より、位
相がπずれている時、すなわち、逆位相の時は、図24
および図25にて同様に説明される。
【0095】C−V変換回路103は、静電容量の大き
さにより、発振回路101による搬送波の振幅が比例す
る回路構成になっている。例えば、振動子1の各弾性脚
2a,2b,2cが図23のようにコリオリカによる変
位を受けるとき、発振回路(器)101と同相の搬送波
成分の振幅値は小さくなり、位相反転回路102と同相
成分、すなわち発振回路101と逆位相の搬送波成分は
大きくなる。
【0096】結果として、C−V変換回路の出力は、時
計回りに角速度が印加され、図23のようなコリオリカ
が働く時、発振回路101と逆位相の搬送波成分が大き
くなり、同期検波回路107の出力をLPF108に通
すことにより、例えば負極性の出力を得る。
【0097】これとは逆に、反時計回りの角速度が印加
されると、図23と図25におけるコリオリカの成分が
反転し、図23と図25における矢印方向が反転する。
その場合、LPF108後の出力は正極性となり、角速
度の方向が検出できる。
【0098】ところで、C−V変換回路103は、ハイ
インピーダンスな静電容量を電圧値に変換する回路であ
る。このようにC−V変換回路103の入力側は、ハイ
インピーダンスであり、電磁誘導等によるノイズに弱い
構成になっている。コリオリカによる静電容量変化は数
十aF程度と非常に小さく、電磁誘導等による外乱ノイ
ズ内に埋もれてしまい検出できないことがあった。
【0099】前述の第1実施形態においても、振動子1
を振動させるのに静電力により振動させ、コリオリ力に
よる振動子1の弾性脚2a,2b,2cの変位量を静電
容量変化として検出しており、駆動するための周波数と
コリオリカによる静電容量の変化する周波数は同じであ
るから、駆動時の誘導ノイズが、C−V変換回路103
に混入する可能性はある。
【0100】しかしながら、本第2実施形態において
は、駆動電極を複数(本第2実施形態においては、各弾
性脚2に対する垂直電極を2つずつ)に分け、互いに相
反するそれぞれ逆位相のAC成分を加えることにより、
各弾性脚2a,2b,2cに与える駆動成分の影響度を
小さくしている。例えば、上表において、図13の弾性
脚2aにおける垂直電極6a,6bのAC成分のそれぞ
れの和をとると、互いに相殺されることがわかる。図1
3の中央または右側に配設された弾性脚2b,2cの垂
直電極6c,6d、6e,6fについても同様である。
【0101】このように駆動電極を複数に分け、互いに
相反する位相関係にあるAC成分を印加することによ
り、駆動電極を分けたことによる単位面積あたりの静電
力をほとんど損なうことなく、1つの電極での駆動と同
等の静電力が得られ、C−V変換回路103に与えるA
C成分の誘導ノイズを極小にすることが可能となる。
【0102】つまり、駆動電極を複数に分け、互いに相
反する位相関係にあるAC成分と互いに相反する極性関
係にあるDC成分とをそれぞれの電極に印加することに
より、互いの影響を相殺させ、検出電極側に誘導される
ノイズを極小化し、同じデバイスでも電極配置を換える
ことにより、検出感度の向上と高いS/N比を得ること
ができ、また、駆動電極を複数本に分けることで、単一
の駆動電極を用いる場合と比べて、振動子1に印加する
静電力をほとんど損なうことなく、同じ電圧で同等の静
電力を与えることが可能となり、本来の目的である振動
子1の駆動については単一の電極と同等の機能を果たす
ものとなり、さらには、誘導ノイズの原因となるAC成
分の振幅を微小に調整することにより、相殺の効果を高
めることができるという、前述の第1実施形態の場合以
上の効果を奏することができる。
【0103】なお、本発明は前記実施形態のものに限定
されるものではなく、必要に応じて種々変更することが
可能である。例えば、振動子の弾性脚を垂直方向に駆動
して、水平方向に働くコリオリカによる変位を検出する
ようにしてもよい。
【0104】
【発明の効果】以上述べたように本発明に係るシリコン
ジャイロは、振動子の材料をシリコンとしたことで、温
度変化のある環境や長時間の使用に対しても安定した角
速度検出を行うことができるものとなり、また、一括で
大量に高精度のシリコンジャイロを製造することをも可
能にし、振動子の弾性脚部分に付着物がないので、振動
子の振動が他の構造体の影響を受けることが無く、安定
した振動を得ることが可能となり、振動子の振動付与と
コリオリ力の検出も振動子に対して非接触で行われるの
で、コリオリ力の検出に与える誤差が介在し難く、ま
た、駆動振動と検出振動の直交精度を、振動子をシリコ
ン製とし、電極のフォトリソグラフィによる微細加工精
度で出すことができ、よって、駆動信号が検出信号に影
響を与えることを防止することができる等の効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るシリコンジャイロの第1実施形
態を示す斜視図
【図2】 図1のシリコンジャイロの平面図
【図3】 図2のシリコンジャイロの3−3断面図
【図4】 図2のシリコンジャイロの4−4断面図
【図5】 図1のシリコンジャイロの作成フローチャー
【図6】 第1実施形態の駆動および検出のブロック図
【図7】 図6の増幅およびDC電圧重畳回路119の
出力特性図
【図8】 図6の増幅およびDC電圧重畳回路118の
出力特性図
【図9】 図7のt=T時における弾性脚の駆動による
変位を示す模式図
【図10】 図7のt=T時における弾性脚のコリオリ
力による変位を示す模式図
【図11】 図9と逆位相で印加された場合の図7のt
=T時における弾性脚の駆動による変位を示す模式図
【図12】 図10と逆位相で印加された場合の図7の
t=T時における弾性脚のコリオリ力による変位を示す
模式図
【図13】 本発明に係るシリコンジャイロの第2実施
形態を示す斜視図
【図14】 図13のシリコンジャイロの平面図
【図15】 図14のシリコンジャイロの15−15断
面図
【図16】 図14のシリコンジャイロの16−16断
面図
【図17】 第2実施形態の駆動および検出のブロック
【図18】 図17の増幅およびDC電圧重畳回路13
5の出力を示す特性図
【図19】 図17の増幅およびDC電圧重畳回路13
4の出力を示す特性図
【図20】 図17の増幅およびDC電圧重畳回路13
2の出力を示す特性図
【図21】 図17の増幅およびDC電圧重畳回路13
1の出力を示す特性図
【図22】 図18乃至図21のt=T時における弾性
脚の駆動による変位を示す模式図
【図23】 図18乃至図21のt=T時における弾性
脚のコリオリ力による変位を示す模式図
【図24】 図22と逆位相で印加された場合の図18
乃至図21のt=T時における弾性脚の駆動による変位
を示す模式図
【図25】 図22と逆位相で印加された場合の図18
乃至図21のt=T時における弾性脚のコリオリ力によ
る変位を示す模式図
【図26】 従来の恒弾性金属からなる振動型ジャイロ
の一例を示す斜視図
【図27】 図26の恒弾性金属からなる振動型ジャイ
ロの27−27断面図
【符号の説明】
1 振動子 2 弾性脚 3 基体 3a 溝 4 水平電極 5 垂直電極 6 垂直電極 100 信号取り出し部 101,120 発振回路 102,117,121,130,133 位相反転回
路 103 C−V変換回路 104,109 HPF 105,107,110 同期検波回路 106,108,111 LPF 112 +90゜位相シフト回路 113 PLL部 114 位相検出回路 115 ループフィルタ 116 VCO 118,119,131,132,134,135 増
幅およびDC電圧重畳回路 200 振動子 201 弾性脚 202 圧電素子 203 電極

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコンウエハにより形成され、2箇所
    の溝により分離された3個の弾性脚を有するシリコンジ
    ャイロであって、前記弾性脚を支持する振動子の基部の
    一部を基体に固定し、前記弾性脚間および外側方には前
    記弾性脚の並び面と垂直且つ前記弾性脚に近接する水平
    電極を配設するとともに、前記各弾性脚毎に、その弾性
    脚の並び面と平行且つ前記弾性脚と近接する垂直電極を
    配設したことを特徴とするシリコンジャイロ。
  2. 【請求項2】 前記水平電極をシリコンウエハにより形
    成し、前記垂直電極を金属膜により形成したことを特徴
    とする請求項1に記載のシリコンジャイロ。
  3. 【請求項3】 前記基体をガラス板により形成し、この
    基体に対し、前記水平電極および垂直電極を形成したこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリコ
    ンジャイロ。
  4. 【請求項4】 前記各弾性脚に対する垂直電極をそれぞ
    れ逆極性となる2つの電極で構成したことを特徴とする
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシリコン
    ジャイロ。
  5. 【請求項5】 振動子を構成する各弾性脚に対し、それ
    ぞれ2つの垂直電極を配接し、この2つの垂直電極のそ
    れぞれに、互いに相反する逆極性のDC成分と、互いに
    反転した逆位相のAC成分とからなる電圧を印加するこ
    とを特徴とするシリコンジャイロの駆動方法。
JP10117308A 1998-04-27 1998-04-27 シリコンジャイロおよびその駆動方法 Withdrawn JPH11311520A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10117308A JPH11311520A (ja) 1998-04-27 1998-04-27 シリコンジャイロおよびその駆動方法
US09/298,746 US6257058B1 (en) 1998-04-27 1999-04-23 Silicon gyroscope and method of driving the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10117308A JPH11311520A (ja) 1998-04-27 1998-04-27 シリコンジャイロおよびその駆動方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11311520A true JPH11311520A (ja) 1999-11-09

Family

ID=14708542

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10117308A Withdrawn JPH11311520A (ja) 1998-04-27 1998-04-27 シリコンジャイロおよびその駆動方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11311520A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005055255A (ja) * 2003-08-01 2005-03-03 Sony Corp ジャイロ出力検出方法及びジャイロ出力検出装置
JP2006010659A (ja) * 2004-06-21 2006-01-12 Microstone Corp 振動ジャイロスコープ

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005055255A (ja) * 2003-08-01 2005-03-03 Sony Corp ジャイロ出力検出方法及びジャイロ出力検出装置
JP2006010659A (ja) * 2004-06-21 2006-01-12 Microstone Corp 振動ジャイロスコープ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8794068B2 (en) Non-degenerate mode MEMS gyroscope
US7316161B2 (en) Rotation rate sensor
KR20060096060A (ko) Z축 각속도 센서
JP2004518970A (ja) 回転レートセンサー
US20120216613A1 (en) Angular velocity sensor
JP2016507731A (ja) マイクロメカニカルz軸ジャイロスコープ
WO2002018875A1 (fr) Capteur de vitesse angulaire
JP2013024721A (ja) 振動ジャイロ素子、ジャイロセンサー及び電子機器
JP2012173055A (ja) 物理量センサー、電子機器
JP2002277248A (ja) 角速度センサ
JP4449128B2 (ja) 角速度センサ
JP2001208546A (ja) 角速度センサ
JP3780673B2 (ja) 角速度センサ
KR100361118B1 (ko) 2축 각속도 검출용 진동자 및 이를 구비한 진동 자이로스코프
US6257058B1 (en) Silicon gyroscope and method of driving the same
JPH11344342A (ja) 振動ジャイロ
JPH11311520A (ja) シリコンジャイロおよびその駆動方法
JP3002663B2 (ja) 振動性回転センサの振動モードを制御するための方法および装置
JP2004101392A (ja) 双音さ型振動ジャイロセンサ
WO2001036910A1 (en) Angular speed sensor
JP4440682B2 (ja) 振動ジャイロ
JP2785429B2 (ja) 角速度センサ
JP3767212B2 (ja) 振動ジャイロの支持構造および支持方法
JPH08233582A (ja) 振動ジャイロ
JP2000088580A (ja) シリコンジャイロ

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040903

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040914

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20041029