JPH11310633A - 新規ポリアミド共重合体およびその製造方法 - Google Patents

新規ポリアミド共重合体およびその製造方法

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JPH11310633A
JPH11310633A JP12800998A JP12800998A JPH11310633A JP H11310633 A JPH11310633 A JP H11310633A JP 12800998 A JP12800998 A JP 12800998A JP 12800998 A JP12800998 A JP 12800998A JP H11310633 A JPH11310633 A JP H11310633A
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JP
Japan
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polyamide
acid
substituted maleimide
unit
group
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JP12800998A
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English (en)
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Tetsuharu Hirano
徹治 平野
Tsutomu Oishi
勉 大石
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ガラス転移温度の高いポリアミド共重合体およ
びその製造方法の提供 【解決手段】繰返し単位(A)および/あるいは(B) (ここで、R1は炭素数4〜18の脂肪族基を示す。) (ここで、R2、R3は炭素数4〜18の脂肪族基又は芳
香族基を示す。)で表されるポリアミド単位60〜9
9.5重量部と繰り返し単位(C) (ここで、R4は水素又は炭素数1〜18の脂肪族基又
は芳香族基を示す。)で表されるN−置換マレイミド単
位0.5〜40重量部からなるポリアミド共重合体はガ
ラス転移温度が高い。この共重合体は繰返し単位(A)
および/あるいは(B)からなるポリアミドあるいは該
ポリアミドのモノマーと少なくとも分子末端にカルボキ
シル基またはアミノ基と反応する官能基を有するN−置
換マレイミド化合物とを150〜300℃の温度で加熱
重合することにより製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱的性質に優れた新
規なポリアミド共重合体に関し、さらに詳しくは、特定
のポリアミド単位とN−置換マレイミド単位とからなる
ガラス転移温度の高い新規ポリアミド共重合体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ナイロン6やナイロン12などのポリア
ミドは機械的性質、耐薬品性、成形加工性などに優れて
いるため、射出成形品、中空成形品、フィルム、シー
ト、繊維などに加工され、各種用途で利用されている。
しかし、ガラス転移温度(以下「Tg」と記載する。)
はそれほど高くない。Tgは測定法により得られる値は
異なるが、固体粘弾性アナライザー測定による損失弾性
率G”のαピークから求める方法では、例えば、ナイロ
ン6のTgは乾燥状態では約75℃、吸湿すると50℃
以下、吸湿量が多いと室温以下の温度である。そのた
め、ナイロン6から得られる成形品は実用時の温度、い
わゆる、長期実用温度に制約があった。この長期実用温
度はTgが高いほど高くなるため、Tgの高いポリアミ
ドが求められていた。
【0003】Tgの高いポリアミドとして、分子鎖中に
イソフタル酸などの芳香環を導入したポリアミドやポリ
アミドとTgの高いポリマーとをブレンドしたものなど
に関する提案がされている。分子鎖中にイソフタル酸を
導入したポリアミドに関しては数多くの提案があり、例
えば、特公昭45−19712号公報や特公昭49−3
6959号公報などが有り、イソフタル酸を分子鎖中に
導入することにより、ポリアミドのTgが高くなること
が公知となっている。
【0004】また、ポリアミドとTgの高いポリマーと
をブレンドする方法としては、特開平2−17574号
公報にポリアミドとポリ(N−フェニルマレイミド)と
からなる溶融混練物が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、分子鎖中にイ
ソフタル酸が導入されたナイロンは溶融時の流動性が悪
く、溶融成形時の樹脂温度を300℃以上の高温にした
場合でも、成形加工性がそれ程良く無い。また、ポリア
ミドとポリ(N−フェニルマレイミド)とをブレンドし
たものは、両者を均一に溶融混練することが難しく、ま
た、溶融混練時に熱劣化が起こり易くなるため、Tgの
高い溶融混練物を得る事が難しく、機械的性質も不十分
であった。
【0006】本発明は、従来法の様な問題点の無い、T
gの高いポリアミド共重合体とその製造方法の提供を課
題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来法の
ような問題点が無く、Tgの高いポリアミド共重合体を
得るため、ポリアミド共重合体を構成する組成について
種々研究した結果、特定のポリアミド単位とN−置換マ
レイミド単位とを共重合させることにより、Tgの高い
ポリアミド共重合体が得られることを見出し、本発明に
到達した。
【0008】すなわち、本発明は繰り返し単位(A)お
よび/あるいは(B)
【化4】 (ここで、R1は炭素数4〜18の脂肪族基を示す。)
【化5】 (ここで、R2、R3は炭素数4〜18の脂肪族基又は芳
香族基を示す。)で表されるポリアミド単位および繰り
返し単位(C)
【化6】 (ここで、R4は水素又は炭素数1〜18の脂肪族基又
は芳香族基を示す。)で表されるN−置換マレイミド単
位からなり、該ポリアミド単位が60〜99.5重量
部、該N−置換マレイミド単位が0.5〜40重量部で
あるポリアミド共重合体である。
【0009】従来、繰り返し単位(A)および/あるい
は(B)で表されるポリアミド単位と繰り返し単位
(C)で表されるN−置換マレイミド単位とからなる共
重合体に関する先行技術は見当たらない。この共重合体
のTgが高いことを見出したことは本発明の特徴であ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、詳細に本発明を説明する。
本発明の繰り返し単位(A)で表されるポリアミド単位
は、該ポリアミドのモノマーであるアミノカルボン酸お
よび/あるいはラクタムから形成される。アミノカルボ
ン酸は炭素数4〜18のアミノカルボン酸であり、具体
例としては、5−アミノ吉草酸、6−アミノカプロン
酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9
−アミノノナン酸、10−アミノカプリン酸、11−ア
ミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などが挙げ
らる。また、ラクタムは炭素数4〜12の環状アミド化
合物であり、具体例としては、α−ピロリドン、メチル
ピロリドン、カプロラクタム、エナントラクタム、ウン
デカンラクタム、ドデカラクタムなどが挙げられる。こ
れらのアミノカルボン酸やラクタムは単独でも、あるい
は2種類以上を適宜組合せて使用しても良い。この中で
は、アミノカプロン酸、アミノドデカン酸、カプロラク
タムおよびドデカラクタムは取扱い容易で、重合反応性
も良いため、好ましく使用できる。
【0011】本発明の繰り返し単位(B)で表されるポ
リアミド単位は該ポリアミドのモノマーであるジカルボ
ン酸あるいはそのエステルとジアミンとから誘導され
る。また、ジカルボン酸あるいはそのエステルとジアミ
ンとを当モルで反応させて得られるナイロン塩からも誘
導される。
【0012】本発明のポリアミドに使用できるジカルボ
ン酸は炭素数4〜18のジカルボン酸であり、具体例と
しては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,
5−ナフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレン
ジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸やコハク酸、ア
ジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ドデカンジカル
ボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの脂肪族
ジカルボン酸が挙げられる。また、必要によりトリメリ
ット酸、トリメシン酸、ヒドロトリメリット酸などの3
価以上のカルボン酸を併用することもできる。また、本
発明で使用できるジカルボン酸のエステルとはジメチル
テレフタレートなどの前記ジカルボン酸の低級アルコー
ルエステルである。これらのジカルボン酸やジカルボン
酸のエステルは単独で使用しても良く、2種類以上を混
合して使用しても良い。
【0013】本発明のポリアミドに使用できるジアミン
は炭素数4〜18のジアミンであり、具体例としては、
エチレンジアミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジア
ミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、ジエチレントリアミンなどの脂肪族ジアミン、4,
4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ジア
ミノシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどの脂環族
ジアミンやキシリレンジアミン、テトラメチルキシリレ
ンジアミンなどの芳香族ジアミンなどが挙げられる。こ
れらのジアミンは単独で使用しても良く、2種以上を混
合して使用しても良い。上記のジカルボン酸とジアミン
とは任意の組合せが使用できる。しかし、芳香族ジカル
ボン酸と芳香族ジアミンとの組合せは、生成するポリア
ミドの融点が高く、成形加工性が悪くなることが有るの
で、この組合せは好ましくない。
【0014】繰り返し単位(C)で表されるN−置換マ
レイミド単位は、分子末端の少なくとも一方にカルボキ
シル基またはアミノ基と反応する官能基を有するN−置
換マレイミドから誘導される。カルボキシル基またはア
ミノ基と反応する官能基としてはカルボキシル基、アミ
ノ基、水酸基、イソシアネート基またはエポキシ基など
が挙げられる。
【0015】分子末端の少なくとも一方にカルボキシル
基またはアミノ基と反応する官能基を有するN−置換マ
レイミドは、N−置換マレイミドとカルボキシル基、ア
ミノ基、水酸基、イソシアネート基またはエポキシ基な
どを有するアゾ化合物、過酸化化合物、メタクリル酸エ
ステルモノマー、ビニルモノマーなどと反応させること
により合成できる。
【0016】この合成は、例えば、N−置換マレイミド
とカルボキシル基やアミノ基などの官能基を有するアゾ
化合物および/あるいは連鎖移動剤とを混合し、0〜1
20℃、好ましくは40〜100℃の温度で、3〜12
時間、溶液、乳化あるいは懸濁状態で反応させることに
より実施できる。この反応により、前記の官能基を有す
るN−置換マレイミド単量体だけでなく、2量体以上の
各種分子量を有するN−置換マレイミド(以降、これら
を「ポリ(N−置換マレイミド)」と記載することがあ
る。)が得られる。これらはいずれもポリアミド共重合
体の成分として使用できる。ポリ(N−置換マレイミ
ド)の分子量はこの(N−置換マレイミド)0.5gを
クロロホルム100mlに溶解し、25℃で、ウベロー
デ粘度計を使用して測定した溶液粘度ηsp/cで知る
ことができる。本発明では、ηsp/cが0.05以
上、好ましくは0.05〜2.5、より好ましくは、
0.08〜2.0のものが使用される。ηsp/cが
0.05より小さいとTgがそれほど高くならず、ま
た、2.5より大きいとポリアミドとの反応性が悪くな
ることがある。
【0017】合成に使用するN−置換マレイミドの具体
例としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−
エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソ
プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−イソ
ブチルマレイミド、N−ターシャリブチルマレイミド、
N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミ
ド、N−クロルフェニルマレイミド、N−メチルフェニ
ルマレイミド、N−ブロモフェニルマレイミド、N−ナ
フチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、2−ヒド
ロキシエチルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレ
イミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−カルボ
キシフェニルマレイミド、N−ニトロフェニルマレイミ
ドなどを挙げることができる。これらのN−置換マレイ
ミドは単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用
しても良い。これらのなかでは、N−フェニルマレイミ
ドやN−シクロヘキシルマレイミドが取扱いの容易さや
耐熱性の点から好ましく使用できる。
【0018】また、カルボキシル基、アミノ基などを有
するアゾ化合物の具体例としては、4,4’−アゾビス
(4−シアノ吉草酸)、ジメチル−2,2’−アゾビス
(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス
(2−メチル-プロピオンアミド)、2,2’−アゾビ
ス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピ
オンアミド)があり、過酸化化合物としては、サクシン
酸パーオキサイド、t−ブチルパーオキシマレイン酸な
どを挙げることができる。
【0019】また、カルボキシル基、アミノ基などの官
能基を有する連鎖移動剤の具体例としては、メルカプト
酢酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプト安息香酸、
メルカプト琥珀酸、アミノエタンチオール、システイ
ン、システインメチルエステルなどを挙げることができ
る。
【0020】本発明のポリアミド共重合体は、繰り返し
単位(A)および/あるいは(B)からなるポリアミド
あるいは該ポリアミドのモノマー60〜99.5重量
部、好ましくは、65〜99重量部と分子末端の少なく
とも一方にカルボキシル基またはアミノ基と反応する官
能基を有するN−置換マレイミドおよび/あるいはポリ
(N−置換マレイミド)0.5〜40重量部、好ましく
は、1〜35重量部とを、150〜300℃、好ましく
は不活性ガス雰囲気下に混合し、公知の溶融重合法や溶
液重合法により製造される。
【0021】本発明のポリアミド共重合体の製造で繰り
返し単位(A)および/あるいは(B)からなるポリア
ミドを使用する場合、ポリアミドの分子量は公知の末端
基滴定法による数平均分子量で1000から40000
程度のものが使用できる。ポリアミドあるいは該ポリア
ミドのモノマーが99.5重量部より多くなると、Tg
が高くならず、一方、60重量部より少なくなると、得
られるポリアミド共重合体が脆くなり、実用的強度が低
下するため、好ましくない。
【0022】本発明で得られるポリアミド共重合体の分
子量は、ポリアミド共重合体0.5gをm−クレゾール
100mlに溶解し、35℃で、ウベローデ粘度計を使
用して測定した溶液粘度ηsp/cの値が0.5以上、
好ましくは0.5〜6.0、より好ましくは、0.6〜
4.5である。ηsp/cが0.5より小さいとTgが
それほど高く無く、また、6.0より大きくなると、共
重合体の溶融流動性が悪くなることがある。本発明のポ
リアミド共重合体の分子量分布や末端基の構造について
は、特に制約は無い。
【0023】また、本発明のポリアミド共重合体の分子
量や分子末端の構造を制御する必要がある場合は、ポリ
アミド共重合体製造の際、アミンやカルボン酸またはカ
ルボン酸のエステルなどを添加することができる。これ
らは共重合体製造の原料混合時、重合時、重合終了時な
ど、何時添加しても良い。この目的で添加できるアミン
としては、ラウリルアミン、ステアリルアミン、ベンジ
ルアミンなどのモノアミン、エチレンジアミン、N−ヒ
ドロキシエチルエチレンジアミン、テトラメチレンジア
ミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン
などの脂肪族ジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘ
キシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソ
ホロンジアミンなどの脂環族ジアミンやキシリレンジア
ミン、テトラメチルキシリレンジアミンなどの芳香族ア
ミンなどが挙げられる。
【0024】また、分子量や分子末端の構造を制御する
目的で添加できるカルボン酸としては、酢酸、安息香
酸、ラウリン酸、ステアリン酸などのモノカルボン酸、
テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,5−ナフ
タル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボ
ン酸などの芳香族ジカルボン酸やコハク酸、アジピン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、
ジフェノキシエタンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボ
ン酸などが挙げられる。また、エステルとしては、これ
らカルボン酸のエステルが挙げられる。
【0025】本発明のポリアミド共重合体には、その特
性を損なわない範囲で、強化材、充填剤、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、安定剤、顔料、滑剤、難燃剤あるいはそ
の他の添加剤を含有させることができる。
【0026】本発明のポリアミド共重合体は公知の射出
成形法、押出成形法、ブロー成形法などにより、成形
品、フィルム、繊維あるいはモノフィラメントに利用で
きる。成形温度はポリアミド単位とN−置換マレイミド
単位との割合により異なるが、300℃以下の温度で成
形可能で、成形加工性は良い。
【0027】
【実施例】実施例および比較例に記載した特性評価は次
の方法で行った。
【0028】1)ポリアミド共重合体のTg(ガラス転
移温度)の測定 レオメトリックス・ファーイースト社の固体粘弾性アナ
ライザーRSAIIを用い、試験片サイズ;縦35mm、
横5mm、周波数;10Hz、歪み;0.05%の条件
で引張モードの動的粘弾性測定で得られた損失弾性率
G”のαピーク温度をTgとした。
【0029】2)N−置換マレイミドのTgの測定 パーキン・エルマー社製DSC(DSC−7型)を用
い、昇温速度10℃/分で測定した。
【0030】3)N−置換マレイミド化合物の溶液粘度
ηsp/cの測定 クロロホルムを溶媒として、サンプル0.5gを100
mlのクロロホルムに溶解し、25℃でウベローデ粘度
計を用いて測定して、次式により溶液粘度ηsp/cを
求めた。 ηsp/c={(t−t0)/t0}/c ここで、t;溶液の流出時間、t0;溶媒のみの流出時
間、c;溶液濃度
【0031】4)ポリアミド共重合体の溶液粘度ηsp
/cの測定 m−クレゾールを溶媒として、サンプル0.5gを10
0mlのm−クレゾールに溶解し、35℃でウベローデ
粘度計を用いて測定して、次式により溶液粘度ηsp/
cを求めた。 ηsp/c={(t−t0)/t0}/c ここで、t;溶液の流出時間、t0;溶媒のみの流出時
間、c;溶液濃度
【0032】5)ポリアミド共重合体中のN−置換マレ
イミド単位の重量分率 WM ポリアミド共重合体の熱水抽出成分中にはN−置換マレ
イミド成分は含まれないとして、次式により計算した。 WM=100×W0/p ここで、W0;重合に使用した原料中のN−置換マレイ
ミドの重量分率、p;抽出後の残存率=(抽出後のポリ
アミド共重合体重量)/(抽出前のポリアミド共重合体
重量)である。
【0033】少なくとも分子末端にカルボキシル基また
はアミノ基と反応する官能基を有するN−置換マレイミ
ドの合成 合成例1 窒素導入管、温度計、撹拌機および冷却器を備えた4つ
口フラスコに、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸
(以下「ACPA」と記載する。)18.36部を仕込
み、1,4−ジオキサン1200部に溶解した。ACP
Aが完全に溶解した後、N−シクロヘキシルマレイミド
50部を仕込み、窒素気流下、室温で撹拌することによ
って完全に溶解した。60℃で6時間重合させた後、こ
の重合溶液をメタノール6000部に投入して析出物を
濾過、乾燥することにより、未反応のモノマーを除き、
カルボキシル基を有するポリ(N−シクロヘキシルマレ
イミド)(以下「PCHMI−1」と記載する。)を得
た。得たPCHMI−1の溶液粘度ηsp/cは0.1
5で、Tgは232℃であった。
【0034】合成例2 窒素導入管、温度計、撹拌機および冷却器を備えた4つ
口フラスコに、ACPA1.86部を仕込み、テトラヒ
ドロフラン5000部に溶解した。ACPAが完全に溶
解した後、N−シクロヘキシルマレイミド50部を仕込
み、窒素気流下、室温で撹拌することによって完全に溶
解した。60℃で6時間重合させた後、この重合溶液を
メタノール12000部に投入して析出物を濾過、乾燥
することにより、未反応のモノマーを除き、ポリ(N−
シクロヘキシルマレイミド)(以下、「PCHMI−
2」と記載する。)を得た。得られたPCHMI−2の
溶液粘度ηsp/cは0.08で、Tgは198℃であ
った。
【0035】合成例3 窒素導入管、温度計、撹拌機および冷却器を備えた4つ
口フラスコに、ACPA18.36部を仕込み、1,4
−ジオキサン1200部に溶解した。ACPAが完全に
溶解した後、メルカプト酢酸10部、N−シクロヘキシ
ルマレイミド50部を仕込み、窒素気流下、室温で撹拌
することによって完全に溶解した。60℃で6時間重合
させた後、この重合溶液をメタノール6000部に投入
して析出物を濾過、乾燥して、未反応のモノマーを除
き、ポリ(N−シクロヘキシルマレイミド)(以下、
「PCHMI−3」と記載する。)を得た。得られたP
CHMI−3の溶液粘度ηsp/cは0.37で、Tg
は247℃であった。
【0036】実施例1 6−アミノカプロン酸10部、カプロラクタム80部と
合成例1で得たPCHMI−1を10部とを窒素導入管
および撹拌機を備えた反応容器に仕込み、窒素気流下、
180℃で1時間、250℃で5時間反応した。冷却し
てから反応物を粉砕して、熱水抽出により未反応のカプ
ロラクタムを除去した後、乾燥してポリアミド共重合体
を得た。得たポリアミド共重合体中のPCHMI−1は
11重量%であり、また、溶液粘度ηsp/cは0.7
0であった。得たポリアミド共重合体を250℃でプレ
ス成形して、厚さ120μmのフィルムを作成し、測定
したTgを表1に示した。尚、表1中の「PCHMI」
はカルボキシル基を有するポリ(N−シクロヘキシルマ
レイミド)の略である。
【0037】実施例2、3 PCHMI−1の仕込量を表1に示す量に代えた以外
は、実施例1と同様に実施した。得られたポリアミド共
重合体のTgを表1に示した。
【0038】実施例 4 アミノカプロン酸89.2部、ヘキサメチレンジアミン
0.8部およびPCHMI−1を10部使用した以外
は、実施例1と同様に実施した。得られたポリアミド共
重合体中のPCHMI−1は12重量%であり、溶液粘
度ηsp/cは1.07であった。このポリアミド共重
合体のTgを表1に示した。
【0039】実施例 5 窒素導入管および撹拌機を備えた反応容器にアミノカプ
ロン酸90部、合成例2で得たPCHMI−2を10部
とを仕込み、窒素気流下、250℃で5時間反応した。
冷却してから反応物を粉砕し、熱水抽出を行い未反応の
カプロラクタムを除去した後、乾燥してポリアミド共重
合体を得た。このポリアミド共重合体の溶液粘度ηsp
/cは0.60であった。このポリアミド共重合体を2
50℃でプレス成形により、厚さ120μmのフィルム
を作成し、Tgを測定した。このTgを表1に示した。
【0040】実施例 6 PCHMI−1の代りにPCHMI−3を用いた以外
は、実施例1と同様に実施した。得たポリアミド共重合
体のTgを表1に示す。
【0041】比較例 1 PCHMI−2を使用しないで、アミノカプロン酸のみ
を用いた以外は、実施例5と同様に実施した。得たポリ
アミド(ナイロン6)のTgを表1に示す。
【0042】比較例 2 アミノカプロン酸50部、ヘキサメチレンジアミン4部
およびPCHMI−1を46部用いた以外は、実施例1
と同様に実施して、ポリアミド共重合体を得た。このポ
リアミド共重合体中のPCHMI−1の重量分率は48
重量%であり、溶液粘度ηsp/cは0.54であっ
た。この共重合体のプレス成形を試みたが、非常に脆
く、フィルムが作成できなかったため、Tgは測定しな
かった。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】繰返し単位(A)および/あるいは
(B)
【化7】 (ここで、R1は炭素数4〜18の脂肪族基を示す。)
【化8】 (ここで、R2、R3は炭素数4〜18の脂肪族基又は芳
香族基を示す。)で表されるポリアミド単位60〜9
9.5重量部と繰返し単位(C)
【化9】 (ここで、R4は水素又は炭素数1〜18の脂肪族基又
は芳香族基を示す。)で表されるN−置換マレイミド単
位0.5〜40重量部からなるポリアミド共重合体は高
いTgを有する。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繰り返し単位(A)および/あるいは
    (B) 【化1】 (ここで、R1は炭素数4〜18の脂肪族基を示す。) 【化2】 (ここで、R2、R3は炭素数4〜18の脂肪族基又は芳
    香族基を示す。)で表されるポリアミド単位および繰り
    返し単位(C) 【化3】 (ここで、R4は水素又は炭素数1〜18の脂肪族基又
    は芳香族基を示す。)で表されるN−置換マレイミド単
    位からなり、該ポリアミド単位が60〜99.5重量
    部、該N−置換マレイミド単位が0.5〜40重量部で
    あることを特徴とする新規ポリアミド共重合体。
  2. 【請求項2】 繰り返し単位(C)で表されるN−置換
    マレイミド単位が少なくとも一方の分子末端にカルボキ
    シル基またはアミノ基と反応する官能基を有するN−置
    換マレイミドから誘導されることを特徴とする請求項1
    記載の新規ポリアミド共重合体。
  3. 【請求項3】 繰り返し単位(C)で表されるN−置換
    マレイミド単位がN−シクロヘキシルマレイミドおよび
    /あるいはN−フェニルマレイミドから誘導されること
    を特徴とする請求項1記載の新規ポリアミド共重合体。
  4. 【請求項4】 繰り返し単位(A)および/あるいは
    (B)からなるポリアミドあるいは該ポリアミドのモノ
    マーと少なくとも一方の分子末端にカルボキシル基また
    はアミノ基と反応する官能基を有するN−置換マレイミ
    ドおよび/あるいはポリ(N−置換マレイミド)とを1
    50〜300℃の温度で反応させることを特徴とする請
    求項1、2、3のいずれか1項記載の新規ポリアミド共
    重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1、2、3のいづれか1項記載の新
    規ポリアミド共重合体から製造される成形品、フィル
    ム、繊維あるいはモノフィラメント。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009251513A (ja) * 2008-04-10 2009-10-29 Sumitomo Bakelite Co Ltd 光学部品用組成物及び光学部品
CN104558594A (zh) * 2013-10-29 2015-04-29 中国石油化工股份有限公司 一种全芳香族聚酰胺的合成方法

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