JPH11310527A - 医薬組成物 - Google Patents

医薬組成物

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JPH11310527A
JPH11310527A JP10250896A JP25089698A JPH11310527A JP H11310527 A JPH11310527 A JP H11310527A JP 10250896 A JP10250896 A JP 10250896A JP 25089698 A JP25089698 A JP 25089698A JP H11310527 A JPH11310527 A JP H11310527A
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JP
Japan
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formula
falcarindiol
pharmaceutical composition
falcarinol
inflammatory
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Application number
JP10250896A
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English (en)
Inventor
Joji Yamahara
條二 山原
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NOMURA KK
Nomura N & Co Ltd
Original Assignee
NOMURA KK
Nomura N & Co Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A50/00TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
    • Y02A50/30Against vector-borne diseases, e.g. mosquito-borne, fly-borne, tick-borne or waterborne diseases whose impact is exacerbated by climate change

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  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒュウガトウキ含有成分であるポリアセチレ
ン系化合物を含む新規な医薬組成物を提供する。 【解決手段】 ヒュウガトウキの地下茎をメタノールで
還流抽出し、濾液を減圧濃縮してメタノールエキスを得
る。これをHP−20カラムクロマトグラフィーで粗分
画後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、逆相OD
Sカラムクロマトグラフィーを用いて分離、精製を行
い、ファルカリノール、ファルカリンジオールを得る。
得られた両物質は、ポリアセチレン系の既知化学物質で
はあるが、これまで医薬組成物としては知られていな
い。両物質が種々の炎症に関与している一酸化窒素の産
生を効果的に抑制し、抗炎症剤として利用できる。また
ファルカリンジオールは、糖尿病性末梢神経障害治療薬
及び抗肝炎剤としても有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒュウガトウキ
(Angelica furcijuga Kitagawa)含有化学物質を有効
成分とする医薬組成物、特に抗炎症剤、糖尿病性末梢神
経障害治療薬、抗肝炎剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ヒュウガトウキ(Angelica furcijuga K
itagawa)は、セリ科植物(Umbelliferae)のシシウド属
(Angelica L.)に属する植物であり、宮崎県から大分
県の南部に分布する九州特産で、丘陵や山地のやや乾い
た草地に生える多年草である。最近では、近似した種の
植物であるイヌトウキ(Angelica shikokiana Makino)を
有効成分とする肝機能改善用あるいは抗高脂血症用医薬
組成物が知られている(特公平4−3365号)。ただ
イヌトウキ含有化学物質としては、数種のクマリンと二
種のステロールが知られているのみであった。このクマ
リン系化合物、イソエポキシブテリキシンについては、
ヒト白血球を用いる実験において、抗アレルギー、抗炎
症剤が知られている。(特公平5−48233号公
報)。本発明にかかるヒュウガトウキは、以前は上記し
たイヌトウキと誤認されていたが、1971年北川政夫
により新種であると発表され、その後栽培における観察
実験による比較で、異なる種であることが証明されてい
る。(宮崎産業経営大学研究紀要第5巻第1号/199
3年1月)(宮崎県地方史研究紀要第18輯/宮崎県立
図書館/平成4年3月)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、ヒュウガ
トウキからの抽出物につき精査した結果、ポリアセチレ
ン系の既知化合物ではあるが、これまでヒュウガトウキ
に含まれていることが全く知られてなかった化合物に、
炎症の種々の場面に作用する一酸化窒素の産生を強力に
抑制する抗炎症作用、糖尿病性末梢神経障害のひとつで
ある眼レンズアルドース還元酵素阻害作用、血清中のト
ランスアミラーゼ(s−GOT、s−GPT)の上昇抑
制作用などの薬理効果を見いだし、本発明にいたった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の医薬組成物は、
前記知見にもとづくもので、化3に示すファルカリノー
ル(falcarinol)及び化4に示すファルカリ
ンジオール(falcarindiol)からなる群か
ら選ばれた少なくともひとつを有効成分とすることを特
徴としている。
【0005】
【化3】
【0006】
【化4】
【0007】尚、ローマ数字は特許庁がサポートしてい
ない文字のため、本明細書に記載されているtereb
inthacoside1、terebinthaco
side2、terebinthacoside3、p
raeroside 2及びpraeroside4の
それぞれのアラビア数字は、下記数1〜4に示すローマ
数字の代用として使用している。
【0008】
【数1】
【0009】
【数2】
【0010】
【数3】
【0011】
【数4】
【0012】前記化3及び化4に示すファルカリノール
(falcarinol)、ファルカリンジオール(f
alcarindiol)は、抗炎症剤としての用途が
期待できるが、特にファルカリンジオールは、抗炎症
剤、糖尿病性末梢神経障害治療薬、及び抗肝炎剤のいず
れにおいても優れている。
【0013】ポリアセチレン系の化合物であるファルカ
リノール及びファルカリンジオールは、これまでヒュウ
ガトウキに含まれていることは全く知られていなかった
が、後述するようにヒュウガトウキのアルコール抽出物
から単離して、取得することができる。いずれも、炎症
に関係する一酸化窒素の産生を抑制するすぐれた作用を
有し、種々の抗炎症剤として利用できる。また、すぐれ
た眼レンズアルドース還元酵素阻害作用を有し、糖尿病
性末梢神経障害治療薬として利用できる。さらに、免疫
反応を介した急性肝障害モデルであるD−ガラクトサミ
ンとリポポリサッカライド(大腸菌由来菌体内毒素)を
併用することにより誘発される著しい肝臓障害で、血清
中のトランスアミラーゼ(s−GOT、s−GPT)が
上昇するのを抑制する抗肝炎剤として利用できる。
【0014】
【発明の実施の形態】ファルカリノール及びファルカリ
ンジオールは、ヒュウガトウキから例えば次の方法によ
る単離、取得できる。ヒュウガトウキの地下茎をメタノ
ールで還流抽出し、濾液を減圧濃縮し、メタノールエキ
スを得る。これを常法にしたがいHP−20カラムクロ
マトグラフィーで粗分画後、順相、逆相シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー、順相、逆相高速カラムクロマト
グラフィーを用いて繰り返し、分離、精製を行い、ファ
ルカリノール、ファルカリンジオールを得る。得られた
ファルカリノール及びファルカリンジオールは、下記の
化学的、物理的性質及び薬理活性を有する。
【0015】ファルカリノール(falcarinol
=panaxynol) 分子式 C1724O(分子量=244) 無色油状物質 [α] 28−25.2°(c=1.6、CHCl) UVλMAX EtOH[logε(nm)]:3.97
(230) IR(cm−1):3600(OH)、2250(C≡
C)、1640(C=C) 薬理活性:炎症の種々の場面に関係する一酸化窒素の産
生を抑制する抗炎症作用。
【0016】ファルカリンジオール(falcarin
diol) 分子式 C1724(分子量=260) 無色油状物質 [α] 28 180°(c=1.1、CHCl) UVλMAX EtOH[logε(nm)]:3.24
(232)、3.22(245)、3.08(25
8)、2.89(266) IR(cm−1):3595、3365(OH)、22
50、2150(C≡C)、1650(C=C) 薬理活性:炎症の種々の場面に関係する一酸化窒素の産
生を抑制する抗炎症作用、糖尿病性末梢神経障害のひと
つである眼レンズアルドース還元酵素阻害作用、免疫反
応を介した急性肝障害モデルであるD−ガラクトサミン
とリポポリサッカライド(大腸菌由来菌体内毒素)を併
用することにより誘発される著しい肝臓障害による血清
中のトランスアミラーゼ(s−GOT、s−GPT)の
上昇抑制作用。
【0017】後述する薬理活性試験からみて、ファルカ
リノール及びファルカリンジオールの抗炎症剤としての
ヒトに対する1回あたりの有効服用量は10〜15mg
である。またファルカリンジオールの糖尿病性末梢神経
障害治療薬としての有効量は、ヒト1回当たり100〜
150mg、抗肝炎剤としての有効量は10〜25mg
程度であれば有効である。いずれの場合も、剤形は適当
な賦形剤を添加して顆粒や錠剤にしてもよい。また医薬
の他、健康食品、健康飲料としても利用できる。
【0018】
【実施例】(抽出及び単離)宮崎県産ヒュウガトウキ
(Angelica furcijuga Kitagawa)の新鮮地下茎4,0
00gを熱時メタノール約10,000mlで抽出後、
減圧下溶媒留去し、メタノール抽出エキス217.0g
(5.4%)(以下カッコ内はいずれも新鮮地下茎から
の収率を示す)を得た。メタノール抽出エキスのうち、
195.2gをダイアイオン高速−20カラムクロマト
グラフィーに付し、HO→MeOH→MeCOMe→
MeOHの順に溶出させ、水溶出部140g(3.89
%)、第1分画分6.6g(0.17%)、第2分画分
17.7g(0.49%)、第3分画分25.0g
(0.69%)をそれぞれ得た。水溶出部及び第1分画
分は、薄層クロマトグラフィーの検討から糖類及びアミ
ノ酸など一次代謝成分であったことから、第2分画分に
ついて、順相及び逆相シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー、及び高速液体クロマトグラフィー(ODS)によ
るMeOH−HO、MeCN−HO、2PrOH−
Oで順次溶出した結果、新規リグナン配糖体ter
ebinthacoside 3(11)、クマリン骨
格中のラクトン部が開環した型の新規配糖体tereb
inthacoside 2(10)(0.0029
%)、新規アグリコンを有するクマリン配糖体tere
binthacoside 1(6)(0.00079
%)、falcarindiol(0.040%)、他
にクマリン配糖体apiosylskimmin(0.
030%)、hymexelsin(0.00099
%)、praeroside 2(0.012%)及び
4(0.019%)、marmesinin(0.00
089%)、(R)−peucedanol 7−Ο−
β−D−glucopyranoside(0.004
4%)、リグナン配糖体(+)−pinoresino
l Ο−β−D−glucopyranoside
(0.00010%) を得た。また第3分画分につい
て、順相及び逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー、高速液体クロマトグラフィー(ODS)によるMe
OH−HO、MeCN−HO、2PrOH−H
で順次溶出し、次いで高速液体クロマトグラフィー(c
n)によるn−Hexane−2−PrOHで順次溶出
した結果、三種の新規ケールラクトン型クマリンter
ebithacin B(16)(0.0019%)、
terebinthacin C(21)(0.014
%)、terebinthacin A(15)(0.
011%)、isoepoxybuterixin
(0.040%)、anomalin(0.013
%)、pteryxin(0.017%)、isopt
eryxin(0.040%)、suksdrfin
(0.014%)、seravschanin(0.0
022%)、bergapten(0.0011%)、
(−)−falcarinol(=panaxyno
l)(0.0021%)、falcarindiol
(0.0046%)、β−sitosterol(0.
032%)が単離された。
【0019】
【試験例1】(抗炎症薬理活性)薬理活性は、次の方法
により確認された。ddy系雄性マウス(体重約30
g)を頚椎脱臼により安楽死させ、腹腔内に緩衝生理食
塩水(PBS)を6〜7ml注入し、軽くマッサージし
た。得られた腹腔滲出液をPBS、次いでRPMI16
40(10%牛胎仔血清、100ユニット/mlペニシ
リン、100μg/mlストレプトマイシンを含む)培
地で洗浄した。96穴平底マイクロプレートに1ウェル
当たり5×10個/100μlの細胞を加え、37
℃、5%炭酸ガス−95%空気下で1時間培養した。浮
遊細胞をPBSで洗浄し、上記培養液にリポポリサッカ
ライド(シグマ社製、サルモネラエンテリティディス由
来)10μg/ml及び被検物質を含むものを200μ
l加え、20時間培養した。培養上清100μlにグリ
ース試薬(1%スルファニルアミドと0.1%N−1−
ナフチルエチレンジアミン ジハイドロクロライドを
2.5%燐酸に溶解したもの)100μlを加え、室温
で10分間放置した。マイクロプレートリーダーによっ
て吸光度を測定した(測定波長562nm、対照波長6
30nm)。亜硝酸ナトリウムを標準物質として培養液
中に蓄積したNOの量をNOの生成量とみなして判定
した。被検物質としては、実施例で取得したファルカリ
ノール、ファルカリンジオール及びイソエポキシブテリ
キシンと、抗炎症作用が知られている対照薬としてハイ
ドロコーチゾンを用いた。結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】表1から明らかなように、ファルカリノー
ル及びファルカリンジオールの一酸化窒素の産生抑制作
用は、対照薬ハイドロコーチゾンの約1/10と天然物
中では非常に強力であり、同じイヌトウキ由来の従来の
抗炎症剤イソエポキシブテリキシンの約10倍である。
特にファルカリンジオールは優れている。
【0022】
【試験例2】(糖尿病性末梢神経障害治療薬薬理活性)
ラット眼レンズからのアルドース還元酵素の分離と反応
は、Dufraneらの方法(Dufrane S.
P. et al, Biochem. Med.32,9
9−105(1985))に、少し改変を加えて実施し
た。すなわち、ラットの眼レンズを10mMの2−メル
カプトエタノールを含有する135mMのNa、K−燐
酸緩衝液pH7.0でホモジネイト後、遠心分離を10
0000×gで30分行った。その上清を酵素液とし
た。反応液は135mMのNa、K−燐酸緩衝液pH
7.0に100mMのLiSO、0.03mMのNA
DPH、1mMのD6−グリセルアルデヒドを加え、1
00μlの酵素液を添加した。総容量は0.5mlで、
添加する試料は25μlとし、試料はジメチルスルホキ
シド(DMSO)に溶解させた。反応は、NADPHを
添加、30℃、30分間行い、150μlの0.5Nの
HClを添加して止めた。10mMのイミダゾールを含
有する0.5mlの6NのNaOHを加え、60℃で1
0分間加温して、NADPを蛍光物質に変換した。蛍光
は室温で蛍光光度計(650−10型、日立製)を用
い、励起波長360nm、照射波長460nmで測定し
た。結果を表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】表2から明らかなように、ヒュウガトウキ
抽出エキス含有ファルカリノール及びファルカリンジオ
ールには、ラット眼レンズ由来のアルドース還元酵素の
阻害が認められた。対照薬には、小野薬品製医療用合成
薬エパルレスタットを用いた。アルドース還元酵素は、
末梢神経、血管網膜、水晶体、腎、赤血球など、糖尿病
の合併症が多発する組織に多く分布していることから、
アルドース還元酵素阻害作用を有するヒュウガトウキ抽
出エキス含有ファルカリノール及びファルカリンジオー
ルは、糖尿病性末梢神経障害治療薬として有効性を示す
ものと考えられる。
【0025】
【試験例3】(D−GalN/LPS肝障害保護)25
〜27gのddy系雌マウスを用い、D−ガラクトサミ
ン(D−GalN)350mg/kg及びリポポリサッ
カライド(LPS)10μg/kgを腹腔内注射し、肝
障害を誘発した。表3の各テストサンプルは、D−Ga
lN/LPS注射の1時間前に与えられた。採血は、D
−GalN/LPS注射10時間後に行った。各値は、
S.E.Mによる平均値を示す(p<0.05、p<
0.01)。各サンプルの投与量及び血清トランスアミ
ラーゼ活性値(s−GPT、s−GOT)を表3に示
す。
【0026】
【表3】
【0027】
【試験例4】(D−GalN誘発細胞毒性の保護作用)
ヒュウガトウキ抽出成分の肝保護作用は、初代培養肝細
胞を用いて3−(4,5−ジメチルチアゾル−2−イ
ル)−2−,5−ジフェニルテトラゾリウム ブロマイ
ド(MTT)カラーメトリックアッセイにより測定し
た。肝細胞は、ウィスター系雄ラット(130〜160
g)からコラーゲン散布法により分離した。仔牛血清1
0%、ペニシリン100ユニット/ml、ストレプトマ
イシン100μg/ml、インシュリン1μM、デキサ
メタゾーン1μMを含むウィリアム培養液100μl中
に4×10セルからなる細胞懸濁液を96ウエル組織
培養プレートに接種、5%CO雰囲気中で37℃、4
時間予備培養した。培養液をD−GalN(1mM)と
テストサンプルを含む新鮮培養液に変え、肝細胞を44
時間培養した。培養液をさらに100μlの培養液に変
更、これに10μlのMTT溶液(PBS中5mg/m
l)を加えた。4時間培養後培養液を除去し、次いで
0.04NのHClを含むイソプロパノール100μl
を加え、細胞中に生成されたフォルマザンを溶解した。
フォルマザン溶液の光学濃度(O.D)は、マイクロプ
レートリーダーにより、570nm(リファレンス:6
55nm)で測定した。抑止率は、次式で求めた。結果
を表4に示す。
【0028】
【数5】抑止率(%)={(サンプルO.D−対照群
O.D)÷(正常群O.D−対照群O.D)}
【0029】
【表4】
【0030】表3から明らかなように、対照群ではD−
GalN/LPS投与の10時間後に著しい肝障害によ
り、血清トランスアミナーゼ活性(s−GPT、s−G
OT)が約6000単位まで上昇したが、ファルカリン
ジオールをはじめ、ヒュウガトウキ由来物質投与群では
いずれもs−GOT、s−GPTの上昇を有意に抑制し
た。
【0031】この実験モデルにおいては、D−GalN
でやや障害を受けた肝細胞にLPS刺激で活性化したマ
クロファージが作用することによって強い障害が発生す
ると考えられている。そこで、作用機序を解明する目的
で、初代培養肝細胞を用い、D−GalNによる細胞毒
性からの保護作用についてMTTアッセイ法により検討
した。MTTアッセイ法は細胞の脱水素酵素によって黄
色のMTTが赤紫色のホルマザンに変化することを利用
した細胞数測定方法である。その結果、表4に示すよう
に、イソエポキシブテリキシンには濃度依存的な肝細胞
保護作用が認められた。一方、ファルカリンジオールに
は、逆に肝細胞に対する毒性がみられた。その他の微量
成分としてイソプテリキシン(isopteryxi
n)に保護作用が認められた。
【0032】また、試験例1において、すでに述べたよ
うに、LPSによるマクロファージの活性化にともなっ
て産生される一酸化窒素(NO)の量を指標に、マクロ
ファージの活性化を抑制するかどうか検討した。NOは
ただちに酸化されNO−に変化するため、培養液中の
NO−の量をNOの量とみなした。イソエポキシブテ
リキシンおよびファルカリンジオールは、表1に示すよ
うにマクロファージに対して細胞毒性を示さない濃度で
NOの産生を強く抑制した。またアノマリン(anom
alin)、ベルガプテン(bergapten)、セ
ラブシャニン(seravschanin)、イソプテ
リキシンや新規化合物テレビンタシンAにも抑制作用が
認められ、特に、ファルカリンジオールに強い活性が認
められた。従って、イソエポキシブテリキシンは肝臓側
に作用して肝保護作用を示すののみならず、マクロファ
ージの活性化を抑制することによってD−GalN/I
PSによる肝障害を抑制するものと推察される。また、
ファルカリンジオールは肝細胞毒性を示すにもかかわら
ず、マクロファージの活性化を強く抑制するため、この
肝障害を強く抑制したものと考えられる。
【0033】
【発明の効果】本発明のファルカリノール及びファルカ
リンジオールは、マウス腹腔内のマクロファージを大腸
菌由来菌体内毒素リポポリサッカライドで刺激すること
により放出される一酸化窒素の産生抑制作用を有するこ
とにより、種々の炎症に対して抗炎症作用を示すと考え
られ、天然由来の安全な抗炎症剤としての利用性は高
い。また、高齢者に多い糖尿病性末梢神経障害の発症や
その予防を毎日手軽に行える糖尿病性末梢神経障害治療
薬として、古くから民間治療薬として服用されている事
実から、長期にわたり服用しても安全である。さらに、
手軽に利用できる抗肝炎作用により、治療の困難な肝炎
の症状を緩和する。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化学式で示すファルカリノール(f
    alcarinol)及びファルカリンジオール(fa
    lcarindiol)からなる群から選ばれた少なく
    ともひとつを有効成分とすることを特徴とする医薬組成
    物。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 請求項1記載のファルカリノール(fa
    lcarinol)及びファルカリンジオール(fal
    carindiol)からなる群から選ばれた少なくと
    もひとつを有効成分とすることを特徴とする抗炎症剤。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のファルカリンジオール
    (falcarindiol)を有効成分とすることを
    特徴とする糖尿病性末梢神経障害治療薬。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のファルカリンジオール
    (falcarindiol)を有効成分とすることを
    特徴とする肝炎治療薬。
JP10250896A 1998-02-25 1998-09-04 医薬組成物 Pending JPH11310527A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100380759B1 (ko) * 2000-12-27 2003-04-18 경상북도 농업기술원 식방풍으로부터 추출정제한 팔카린디올을 이용한 항진균제
KR100380760B1 (ko) * 2000-12-27 2003-04-18 경상북도 농업기술원 식방풍으로부터 추출정제한 팔카린디올 및 그 제조방법
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