JPH11310472A - 塩基性不定形耐火物成形体およびその製造方法 - Google Patents

塩基性不定形耐火物成形体およびその製造方法

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JPH11310472A
JPH11310472A JP10114965A JP11496598A JPH11310472A JP H11310472 A JPH11310472 A JP H11310472A JP 10114965 A JP10114965 A JP 10114965A JP 11496598 A JP11496598 A JP 11496598A JP H11310472 A JPH11310472 A JP H11310472A
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magnesia
refractory
particle
mass
less
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JP10114965A
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English (en)
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Koji Tsutsui
康志 筒井
Shiro Sukenari
史郎 祐成
Toyoyasu Obana
豊康 尾花
Tetsuo Fujii
哲郎 藤井
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Harima Ceramic Co Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Harima Ceramic Co Ltd
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厚さ数百mmの厚肉成形体の乾燥中にも、マグ
ネシアの消化反応を防止できる、塩基性不定形耐火物成
形体およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 全ての粒子が0.1mm以上で純度98%
以上のマグネシアを35〜85%、全ての粒子が1mm以
下で平均粒径がマグネシアよりも小さいアルミナを15
〜65%、全ての粒子径が0.1μm以下の超微粉末を
外掛けで0.01〜1.0%含有し、不均一粒子群に適
用されるAndreasenの粒度分布式[通過積算重
量分布={(粒子径)/(最大粒子径)}q ]のq値が
0.3以上になる粒度構成を有し、少なくとも使用開始
時に平均細孔径が5μm以下である塩基性不定形耐火物
成形体、およひ減圧雰囲気下でマイクロ波を照射して、
耐火物内部温度が100℃未満になるように制御して乾
燥するその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩基性不定形耐火
物成形体およびその製造方法に関し、特に、耐用性に優
れた、溶融金属容器、特に脱ガス精錬炉用の内張り塩基
性不定形耐火物成形体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、溶鋼精錬設備であるRH(R
uhrstahl−Heraus)、DH(Dortm
unt−Horde)といった真空説ガス処理炉の内張
り耐火物には、主として焼成マグネシア−クロムれんが
が使用されてきた。真空脱ガス処理炉の内張りは、真空
条件下、1600℃以上の高温下で、高塩基度(C/
S)スラグに常時接触し、しかも、溶鋼流動による物理
的摩耗を受けるという極めて過酷な使用条件のために、
マグネシア−クロム質れんが以外では対応できないのが
実状である。
【0003】しかし、この種の耐火物は、製造時の成形
・焼成工程のためにコストが高くなること、築炉に特殊
技能と多くの工数が要求されること等の問題点を抱えて
いることから、真空脱ガス処理炉の内張りにおいても、
近年、不定形耐火物化が強く求められている。
【0004】これら対し、作業が簡便な流し込み施工が
行え、スラグに対して高耐食性で、しかもスラグ浸透が
比較的少ない塩基性不定形耐火物の発明が、特開平8−
188476号公報で開示されている。すなわち、この
発明の要旨とするところは、耐火性粒子として、すべて
の粒子が0.1mm以上の粒子径を有するマグネシアと、
すべての粒子が1mm以下の粒子径を有するアルミナを配
合し、その配合割合がマグネシア35〜85質量%、ア
ルミナ65〜15質量%の範囲にあり、使用開始時の成
形体の平均細孔径が5μm以下であることを特徴とする
不定形耐火物である。
【0005】しかし、上記不定形耐火物のように、混練
の際に加える水分と乾燥時に体積膨張を伴う消化反応を
起こし易いマグネシア粉末を含み、これを真空脱ガス処
理炉のように内張り耐火物の厚みが数百mmに達するもの
に適用する場合は、ガスバーナーや熱風マイクロ波照射
のような大気中で乾燥する方法では、内張り耐火物の背
面側の発生蒸気圧が耐火物表面側に比べ大幅に大きくな
り、水の沸点は110℃を超えてしまって、マグネシア
の消化反応に伴う乾燥亀裂が発生し、実使用できない状
況に陥るという問題が生じる。
【0006】一方、近年、内部を減圧状態にしながらマ
イクロ波を照射し、加熱する乾燥方法が開発され、実用
化されている。この方法により、容器内の自由水の沸点
が低下することから、低温での乾燥が可能となり、マグ
ネシア粉末が消化反応を起こし難い環境をつくることが
できる。しかも、発生蒸気圧が大気乾燥に比べ大幅に小
さくなるため、緻密な耐火物組織体を形成できる。
【0007】この減圧下における材料のマイクロ波乾燥
技術として、特開平7−167567号公報には、小さ
な設備投資額で、耐火物だけを選択的に効率よくマイク
ロ波加熱することができる発明が開示されている。すな
わち、容器内にマイクロ波を導入するための導波管と、
容器内を減圧状態にするための排気管を備え、且つ前記
容器上に載置して容器内の気密を保つことができるよう
なシール構造を有する蓋状の装置であって、容器にかぶ
せ、内部を減圧に保った状態でマイクロ波を照射する不
定形耐火物の乾燥装置の発明が開示されている。
【0008】また、内張り不定形耐火物を減圧下でマイ
クロ波照射して乾燥運転する際の好適条件に関する発明
が、特開平6−300438号公報で開示されている。
すなわち、この発明の要旨は、容器内部を250Torr以
下、30Torr以上に保持し、マイクロ波を耐火物1kg当
り0.5W以上、15W以下照射するというものであ
る。
【0009】しかし、上記の減圧下マイクロ波乾燥法に
おいても、容器内部の減圧度は高くても、耐火物内部は
耐火物の開気孔を通じて減圧されるため、この開気孔が
抵抗となって、耐火物内部の減圧度は容器内よりも低
く、かつ耐火物厚みとともに直線的な圧力勾配が生じる
ため、耐火物背面ほど水の沸点は上昇する。しかも、緻
密な不定形耐火物ほど、耐火物内部に生じる圧力勾配は
大きくなる。そこで、このように、減圧下でのマイクロ
波照射で乾燥し、緻密な耐火物組織体を形成するにして
も、物理的にマグネシア粉末表面を不活性化して、含有
するマグネシア粉末の消化反応を防止する何らかの手立
てが必要になる。
【0010】マグネシアの消化防止対策として、特開平
8−157268号公報では、シリカの被膜で覆われた
マグネシア粉末の発明が開示されている。また、特開平
8−268769号公報では、粒径20μm以下のマグ
ネシア微粉を1〜15質量%含むアルミナ−マグネシア
系流し込み材において、マグネシアの消化防止対策とし
て、SiO2 換算で0.01〜1.5質量%のSi化合
物をマグネシア微粉に被覆する発明が開示されている。
【0011】ところで、現在、溶鋼鍋の一般壁に適用さ
れている不定形耐火物の主流は、アルミナ−マグネシア
系に成りつつある。この場合のマグネシアの消化防止対
策としては、粒子径0.1μm以下のシリカ超微粉末を
1.0〜3.0質量%添加する技術が知られている。な
お、この材料は、大気雰囲気下の乾燥を前提に、マグネ
シア粉末は粒径50μm以下で、10質量%前後の量を
含む材料である。また、ここでの溶鋼鍋の一般壁部の内
張り耐火物の厚さは、200mm以下であり、真空脱ガス
処理炉に比べ、大幅に施工厚みは薄い条件である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】真空脱ガス処理炉のよ
うに内張り耐火物の厚みが数百mmに達するものは、減圧
下でマイクロ波照射しても、耐火物内部に生じる圧力勾
配が大きくなるため、場合によっては、マグネシアの消
化反応を抑え切れず、乾燥亀裂を発生させてしまい実使
用に供せられない状態になる。
【0013】マグネシアの消化反応は、一般的には、低
純度原料または合成クリンカーのマグネシア粉末を使用
することで、抑えることができるが、真空脱ガス処理炉
の内張り耐火物のようにマグネシア含有量が高い材料系
統は、原料自身の耐火度の低下により、マグネシア含有
量が高い割りに、スラグに対する耐食性が低く、マグネ
シア−クロム質れんがと同等の耐用性を確保することは
不可能である。
【0014】また、上記従来技術の特開平8−1572
68号公報や特開平8−268769号公報で開示され
ている発明では、マグネシア粉末を被覆するという事前
処理が必要であり、材料単価の高騰を招くため、本来の
不定形耐火物を適用するメリットが無くなるという問題
がある。
【0015】また、真空脱ガス処理炉に使用すべく、マ
グネシアの配合割合を35〜85質量%と高く配合する
材料系統において、マグネシアの消化防止対策として添
加するシリカの超微粉末は、相対的に多量に配合する必
要があることが容易に類推される。しかし、シリカの超
微粉末を多量に加えると、高温下での生成液相量が増大
し、スラグに対する耐食性が大幅に低下し、マグネシア
−クロム質れんがと同等の耐用性を確保することは不可
能である。
【0016】そこで、本発明は、真空脱ガス処理炉の内
張り耐火物のようにマグネシア含有量が高い耐火物材料
系で、厚さが数百mmに達する厚肉の不定形耐火物成形体
の施工における乾燥に際しても、マグネシアの消化反応
を有利に防止することができる、塩基性不定形耐火物成
形体およびその製造方法を提供することを目的とするも
のである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決するため
の本発明の要旨は、下記の通りである。 (1)MgO純度が98%以上のマグネシアを35〜8
5質量%、アルミナを15〜65質量%、シリカまたは
ジルコニアの超微粉末を外掛けで0.01〜1.0質量
%含有する化学組成を有し、かつ、前記マグネシアのす
べての粒子が0.1mm以上であり、前記アルミナのすべ
ての粒子が1mm以下の粒子径であって、平均粒子径がマ
グネシアよりも小さい粒子径であり、前記超微粉末のす
べての粒子径が0.1μm以下であるミクロ組織であっ
て、不均一粒子群に適用される下記のAndrease
nの粒度分布式に当てはめた際のq値が0.3以上にな
る粒度構成を有し、少なくとも使用開始時に、その成形
体の平均細孔径が5μm以下であることを特徴とする、
塩基性不定形耐火物成形体。 通過積算重量分布={(粒子径)/(最大粒子径)}q (2)MgO純度が98%以上のマグネシアを35〜8
5質量%、アルミナを15〜65質量%、シリカまたは
ジルコニアの超微粉末を外掛けで0.01〜1.0質量
%含有する化学組成を有し、かつ、前記マグネシアのす
べての粒子が0.1mm以上であり、前記アルミナのすべ
ての粒子が1mm以下の粒子径であって、平均粒子径がマ
グネシアよりも小さい粒子径であり、前記超微粉末のす
べての粒子径が0.1μm以下であるミクロ組織を有す
る塩基性不定形耐火物の施工体を養生後、減圧雰囲気下
でマイクロ波を照射して、耐火物内部温度が100℃未
満になるように制御して乾燥することを特徴とする塩基
性不定形耐火物成形体の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明は、耐火粒子として、すべ
ての粒子が0.1mm以上の粒子径を有するマグネシア
と、すべての粒子が1mm以下の粒子径を有するアルミナ
を配合し、その配合割合がマグネシアが35〜85質量
%、アルミナが65〜15質量%の範囲にある耐火物組
成である。0.1mm未満の粒子径のマグネシアを使用す
ると、焼成時の細孔径が大きくなり、スラグ浸透が大き
くなる。また、粒子径が1mmを超えたアルミナを使用す
ると、スラグに対する耐食性が顕著に劣化する。一定の
耐食性を維持するためには、35質量%以上のマグネシ
アが必要であるが、85質量%を超えると、微粉部のア
ルミナをもってしてもスラグ浸透を防止することができ
ず、膨張が大きく熱間強度特性に劣るようになる。
【0019】また、純度98%以上のマグネシア原料を
使用することで、マグネシア配合量とともに、スラグに
対する耐食性は直線的に増大し、マグネシア−クロム質
れんがに比べ圧倒的に高い耐用性が期待できる。純度9
8%未満の低純度マグネシア原料を使用すると、マグネ
シア配合量とともに、スラグに対する耐食性は直線的ら
増大するものの、その勾配は著しく小さくなり、マグネ
シア−クロム質れんがに対する優位性は大幅に損なわれ
る。
【0020】しかしななら、純度の高いマグネシア原料
の粒子表面はより活性であるため、乾燥時のマグネシア
消化の危険性は高くなる。マグネシアの消化を抑制する
には、物理的に粒子表面を不活性化し、水との反応性の
指標となる湿潤熱を大幅に低減させる施策が不可欠であ
る。種々検討した結果、一般的にシリカフラワー、ジル
コニアフラワーと呼ばれるような、0.1μm以下の耐
火性の超微粉末を微量添加することが効果的であること
が判明した。例えば、純度98%の電融マグネシア原料
に対して、0.5質量%のシリカフラワーを添加する
と、湿潤熱は約1/3に低下し、マグネシアの消化反応
性は大幅に低下する。これは、予め配合した耐火性の超
微粉末が、施工水を加え、混練している際に、超微粉末
がゾル状になり、全ての耐火粒子表面に近接し、養生時
にはゲル状になってマグネシア粉末の表面を覆ってしま
うことによるものである。
【0021】耐火性の超微粉末は、0.01〜1.0質
量%の範囲で添加する。0.01質量%未満では全ての
粒子表面を覆うことは不可能であり、1.0質量%を超
えると顕著にスラグに対する耐食性が添加量の増大とと
もに低下していき、熱間強度も大幅に低下していくから
である。
【0022】しかしながら、マグネシア粉末の表面をゲ
ル状になった超微粉末で覆われていても、乾燥時に耐火
物内部の発生蒸気圧が高くなると、超微粉末と超微粉末
の隙間から水蒸気または水が侵入し、やはりマグネシア
の消化が起きてしまう。それを防止するには、発生蒸気
圧を抑える必要があり、それには減圧雰囲気に晒し、よ
り低温乾燥を行わなければならない。しかも、隙間から
の侵入を防止するには、発生蒸気圧を1atm 以下に抑え
なければならず、それには100℃未満で乾燥しなけれ
ばならないからである。また、施工厚みが大きい場合に
は背面側ほど発生蒸気圧が大きくなることから、より発
生蒸気圧を小さくするには、内部加熱でき、雰囲気制御
できる熱源としてマイクロ波照射は有効な手段である。
【0023】次に、施工厚みと適正な不定形耐火物の粒
度構成の関係について述べる。先ず、最適な減圧度の範
囲は、30Torr以上、250Torr以下である。30Torr
よりも下がると、乾燥装置内で生じるマイクロ波の放電
現象により、マイクロ波のエネルギーが浪費されてしま
い、250Torrを超えると、水の沸点が70℃を超え、
低温での乾燥が困難となるからである。
【0024】また、高純度マグネシア粉末の消化反応
は、温度ともに指数関数的に反応性が増大し、80℃以
上では消化反応に伴う体積膨張により、乾燥中に耐火物
施工体に亀裂が発生する。しかし、シリカフラワー、ジ
ルコニアフラワーと呼ばれるような、0.1μm以下の
耐火性の超微粉末を微量添加することで、100℃未満
まで、物理的にマグネシアの消化反応を防止できる。
【0025】不定形耐火物は、粗い粒子から細かい粒子
まで、時には超微粉末まで含む不均一粒子群であり、ま
た水を添加し、混練して施工するから、必ず耐火物内部
に欠陥が生じ、開気孔が存在する。そして、この開気孔
を通じて耐火物内部が減圧されるが、開気孔の抵抗によ
り、耐火物内部の減圧度は容器内よりも低い。しかも、
耐火物内部は直線的に圧力勾配が生じ、耐火物背面の水
の沸点は耐火物厚みとともに上昇する。また、開気孔の
量、及び大きさにより、圧力勾配の傾きが変わることが
容易に想像され、開気孔の量、大きさは粒度構成で制御
できることが知られている。
【0026】溶鋼鍋のように、耐火物の成形体厚さが2
00mm未満の場合、どんなに緻密な耐火物組織体を有し
ていても、乾燥容器内の雰囲気部の減圧度をより小さめ
に留意することで、耐火物の成形体背面の水の沸点は7
0℃以下に制御できるため、マグネシアの消化を防止す
る0.1μm以下の耐火性の超微粉末を微量添加する必
要もなく、問題無く乾燥できる。
【0027】しかし、真空脱ガス処理炉のように成形体
厚さが200mmをはるかに超える場合には、耐火物の粒
度構成を考慮しないと、耐火物背面における水の沸点が
100℃以上に達してしまう。それにより、0.1μm
以下の耐火性の超微粉末を微量添加していても、完全に
脱水させるために、耐火物内部温度を100℃以上に上
げると、マグネシアの消化反応がやはり発生して乾燥中
に亀裂が入り、また、100℃未満で乾燥した時には、
完全に脱水できていない状態に陥る。このような問題に
対処するためには、耐火物内部の通気性を高め、耐火物
背面側の減圧度をより大きくし、背面における水の沸点
を下げてやる必要なある。通気性を高めるには、開気孔
の量または大きさを拡大させることが有効な手段であ
る。
【0028】種々検討したところ、不均一粒子群に適用
されるAndreasenの粒度分布式、通過積算重量
分布=(粒子径/最大粒子径)q に当てはめた際のq値
で整理できる粒度構成を有する耐火物成形体には、容器
内の減圧度が一定の時、特定厚みの成形体背面の水の沸
点との間に相関性があることが判明した。成形体厚みが
200〜800mm程度では、q値が0.3以上の粒度構
成を有する耐火物成形体背面の水の沸点は、100℃未
満となり、厚肉成形体においてもマグネシアの消化反応
を発生させることなく、完全に脱水することができる。
但し、乾燥後、焼結した状態となる使用開始時に、その
成形体の平均細孔径が5μm以下に保たれるように設計
する必要がある。平均細孔径が5μmを超えると、スラ
グ浸透の抑制効果が小さくなるからである。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例及びその比較例を示
し、本発明の特徴とすることをより一層明確にする。
【0030】(実施例1)ここでは、厚肉成形体を前提
に、0.1μm以下の耐火性の超微粉末添加によるマグ
ネシアの消化防止の効果を検証するための試験を、RH
下部槽の内張り流し込み耐火物について行った。その結
果を表1にまとめて示す。なお、本発明例及び比較例で
用いた0.1μm以下の耐火性の超微粉末は、シリコン
フラワーとジルコニアフラワーであり、その配合割合は
外掛けで種々変えて評価した。なお、条件を揃えるた
め、不定形耐火物の粒度構成はAndreasenの粒
度分布式に当てはめるとq値が0.35一定になるよう
にし、混練時に添加する水の量は外掛け5.0質量%一
定、成形体厚みは500mm一定にして、一面方向からの
みマイクロ波が入射する条件で行った。また、乾燥容器
内の雰囲気部の減圧度は100Torr一定で乾燥を行っ
た。
【0031】表1に示すように、98%以上の高純度マ
グネシア原料を用い、消化防止剤のシリカフラワー、ジ
ルコニアフラワーを全く添加していない比較例2、3の
例では、100℃未満の乾燥でも消化が起き、成形体に
亀裂が発生した。なお、同じ材料系で、70℃の低温で
乾燥した比較例1では、長時間乾燥しても完全に脱水で
きなかった。これは、成形体背面の水の沸点が70℃を
超えていたためである。また、純度95%のマグネシア
原料を用いた比較例4の例のように、低純度マグネシア
原料を使用する場合には、0.1μm以下の耐火性の超
微粉末を添加しなくても、消化を起こさずに乾燥でき
る。しかしながら、低純度マグネシア原料を使用する
と、スラグに対する耐食性の低下、熱間強度の低下が著
しく、現行品のマグネシア−クロム質れんが(比較例1
2)に対する優位性が損なわれてしまう。
【0032】それに対して、消化防止剤のシリカフラワ
ー、ジルコニアフラワーを微量添加し、100℃未満の
乾燥を施した本発明例1〜7、比較例7、9〜11で
は、消化を起こさずに乾燥できる。但し、比較例4の例
のように、100℃以上で乾燥すると、やはり消化によ
る乾燥亀裂が発生する。また、ただシリカフラワー、ジ
ルコニアフラワーを配合するだけで良いのではなく、そ
れには適正な添加量の範囲が存在する。比較例6、8の
例のように、0.01質量%未満では消化防止剤の効果
が薄く、やはり消化が起き、乾燥亀裂が発生する。比較
例7、9のように、1.0質量%を超えると、消化防止
剤の効果が過剰になり、スラグに対する耐食性の低下、
熱間強度の低下など、特性への影響が強く、現行品のマ
グネシア−クロム質れんが(比較例12)と同等以上の
耐用性を確保することは困難である。
【0033】本発明例5〜7、及び比較例10、11よ
り、マグネシアとアルミナの配合比には適切な範囲があ
ることがわかる。マグネシアが多すぎると、スラグ浸透
の増大が顕著になり、マグネシアが少なすぎると耐食性
の低下が顕著になり、現行品のマグネシア−クロム質れ
んがと同等の耐用性は期待できない。
【0034】本発明の実施例に示す施工体を実機にて評
価した結果、いずれの場合も現行品のマグネシア−クロ
ム質れんが(比較例12)と同等以上の耐用性を示し
た。これは、焼成過程を経たれんがの方が若干耐食性に
優れるものの、耐スラグ浸透性、耐スポール性の面では
本発明例1〜7が断然優れ、総合的に本発明の不定形耐
火物成形体の方が実炉での耐用性に優れる結果になった
と考えられる。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】(実施例2)ここでは、0.1μm以下の
耐火性の超微粉末添加によるマグネシアの消化防止機能
に対する不定形耐火物成形体の厚さと通気性の影響を検
証する試験を、RH下部槽の内張り流し込み耐火物を対
象として行った。その結果を表2にまとめて示す。な
お、本発明及び比較例で用いた不定形耐火物は、一定の
配合比の材料を用い、消化防止剤は添加重1.0質量%
一定のシリコンフラワーを使用した。そして、成形体厚
さ、並びに粒度構成を種々変えて評価を行った。なお、
粒度構成はAndreasenの粒度分布式に当てはめ
たq値が変わるように配合した。また、条件を揃えるた
め、混練時に添加する水の量は外掛け5.0質量%一定
で、乾燥容器内の雰囲気部の減圧度は100Torr、耐火
物内部の最高温度95℃一定で、一面方向からのみマイ
クロ波が入射する条件で行った。
【0039】表2に示すように、q値が0.25と、緻
密な耐火物成形体を有する比較例1〜3の例では、20
0mm未満の厚みなら乾燥できるものの、200mm以上で
は十分に時間を掛けても完全に脱水できず、未乾燥の状
態である。これは、乾燥容器内の雰囲気部の減圧度が十
分高くても、耐火物内部の圧力勾配が大きく、成形体背
面の水の沸点が乾燥時の耐火物内部温度を下回る成形体
厚みに限界があるからである。したがって、厚肉成形体
でも乾燥するには、耐火物の通気性を高め、耐火物内部
の圧力勾配を小さくしてやる必要がある。本発明例1〜
5、比較例4のように、q値を0.3以上に大きくする
と、800mmの厚肉成形体でも短時間で乾燥が終了でき
る。但し、比較例4のように、通気性を高めすぎたため
に、使用開始時の平均細孔径が大きくなりすぎ、スラグ
浸透の増大によって、現行品のマグネシア−クロム質れ
んが(比較例6)と同等の耐用性を確保するのは困難な
状態になる。また、マイクロ波の能力の限界から、成形
体背面の沸点が95℃以下でも、比較例5の例のよう
に、1000mmと成形体厚みが大きい場合には十分乾燥
できないことも有り得る。これは、成形体厚みがマイク
ロ波の電力半減深度の2倍を遥かに超え、均一加熱がで
きず、耐火物背面の温度が十分に上昇しないからであ
る。
【0040】本発明の実施例に示す施工体を実機にで評
価した結果、800mm以内なら施工体厚みに関係無く、
短時問で乾燥でき、耐用性も現行品のマグネシア−クロ
ム質れんが(比較例6)と同等以上の耐用性を呈した。
【0041】なお、流し込み不定形材料の種類により、
施工水分量が大きく異なり、施工水分量によっても耐火
物の通気性は変わるので、実機に供し得ないq値は0.
45以上とは限らない。
【0042】
【表4】
【0043】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
真空脱ガス処理炉の内張り耐火物のようにマグネシア含
有量が高い耐火物材料系で、厚さが数百mmに達する厚肉
の不定形耐火物成形体の施工における乾燥に際しても、
マグネシアの消化反応を有利に防止することができ、そ
の結果として、耐用性の高い厚肉の不定形耐火物成形体
を提供できるため、本発明は工業的に価値の高い発明で
あるといえる。
フロントページの続き (72)発明者 尾花 豊康 兵庫県高砂市荒井町新浜1丁目3番1号 ハリマセラミック株式会社内 (72)発明者 藤井 哲郎 兵庫県高砂市荒井町新浜1丁目3番1号 ハリマセラミック株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 MgO純度が98%以上のマグネシアを
    35〜85質量%、アルミナを15〜65質量%、シリ
    カまたはジルコニアの超微粉末を外掛けで0.01〜
    1.0質量%含有する化学組成を有し、かつ、前記マグ
    ネシアのすべての粒子が0.1mm以上であり、前記アル
    ミナのすべての粒子が1mm以下の粒子径であって、平均
    粒子径がマグネシアよりも小さい粒子径であり、前記超
    微粉末のすべての粒子径が0.1μm以下であるミクロ
    組織であって、不均一粒子群に適用される下記のAnd
    reasenの粒度分布式に当てはめた際のq値が0.
    3以上になる粒度構成を有し、少なくとも使用開始時
    に、その成形体の平均細孔径が5μm以下であることを
    特徴とする、塩基性不定形耐火物成形体。 通過積算重量分布={(粒子径)/(最大粒子径)}q
  2. 【請求項2】 MgO純度が98%以上のマグネシアを
    35〜85質量%、アルミナを15〜65質量%、シリ
    カまたはジルコニアの超微粉末を外掛けで0.01〜
    1.0質量%含有する化学組成を有し、かつ、前記マグ
    ネシアのすべての粒子が0.1mm以上であり、前記アル
    ミナのすべての粒子が1mm以下の粒子径であって、平均
    粒子径がマグネシアよりも小さい粒子径であり、前記超
    微粉末のすべての粒子径が0.1μm以下であるミクロ
    組織を有する塩基性不定形耐火物の施工体を養生後、減
    圧雰囲気下でマイクロ波を照射して、耐火物内部温度が
    100℃未満になるように制御して乾燥することを特徴
    とする塩基性不定形耐火物成形体の製造方法。
JP10114965A 1998-04-24 1998-04-24 塩基性不定形耐火物成形体およびその製造方法 Withdrawn JPH11310472A (ja)

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