JPH11310261A - 液体用容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】安全性を向上し得るようにする。 【解決手段】本発明は、液体を溜めるタンク部と、当該
タンク部から液体を汲み上げて吐出するポンプ部と、こ
のポンプ部から吐出された液体を受けて溜める受け皿部
と、当該受け皿部の開口部に被せられて用いられ、上面
にポンプ部に対向する孔部が設けられた蓋部とを設ける
ようにしたことにより、ポンプ部が比較的素早く操作さ
れ、タンク部から汲み上げた液体が勢い良く吹き出して
受け皿部の内周面に吹き付けられることにより当該吹き
付けられた液体が飛散した場合でも、この飛散した液体
を蓋部の下面で受けて受け皿部内に落とすことができる
ことから、この飛散した液体が作業者の目や口に入るこ
とを確実に防止することができ、かくして安全性を向上
し得る液体用容器を実現することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は液体用容器に関し、
例えばアルコールを溜める液体用容器に適用して好適な
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えばクリンルームにおける半導
体素子の製造工程においては、半導体素子に付着した塵
埃を除去するためにアルコールが用いられており、この
ようなアルコールを溜める液体用容器として、図２に示
すように構成されたものがある。

【０００３】すなわち図２に示すように、この液体用容
器１は、アルコールを溜めるタンク部２の口部に蓋３が
螺設されると共に、当該蓋３にポンプ部４が設けられて
いる。

【０００４】この場合ポンプ部４は、管状部材５と、当
該管状部材５の上端に設けられた押下部６とからなり、
この管状部材５が蓋３に設けられた孔部に差し込まれて
固定されている。

【０００５】また押下部６の周側面には、複数の孔部６
Ａが設けられており、この押下部６を押下することによ
り管状部材５を介してタンク部２内から汲み上げたアル
コールを各孔部６Ａから吐出し得るようになされてい
る。

【０００６】そしてこの管状部材５の上端部には、受け
皿部７が設けられており、押下部６の各孔部６Ａから吐
出されたアルコールを受けて溜めることができるように
なされている。

【０００７】これによりこの液体用容器１では、受け皿
部７に溜めたアルコールを半導体素子に付着した塵埃の
除去に用いることができるようになされている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ところがかかる構成の
液体用容器１においては、押下部６が比較的素早く押下
されると、押下部６の各孔部６Ａからアルコールが勢い
良く吹き出して受け皿部７の内周面に吹き付けられ、こ
の結果このアルコールが飛散して作業者の目や口に入る
場合があり人体に悪影響を及ぼすおそれがあつた。

【０００９】またこのとき受け皿部７から飛散したアル
コールが製造途中（又は完成品）の半導体素子に付着す
る場合もあり、この場合には、半導体素子に付着したア
ルコールが乾燥して染みになることから、この半導体素
子が規格どおりに製造されていても工程終了時の品質検
査で外観不良となる問題があつた。

【００１０】かかる問題を解決する方法として、液体用
容器１において受け皿部７の開口部をウエスで覆う方法
がある。

【００１１】ところがこの方法によると、受け皿部７の
内周面で飛散したアルコールをこのウエスで受けて外部
に飛散することを防止することができるものの、クリー
ンルームのように作業環境が比較的厳しく管理された場
所ではこのウエスが塵埃の発生源となる問題があつた。

【００１２】本発明は以上の点を考慮してなされたもの
で、安全性を向上し得る液体用容器を提案しようとする
ものである。

【００１３】

【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め本発明においては、液体を溜めるタンク部と、当該タ
ンク部から液体を汲み上げて吐出するポンプ部と、この
ポンプ部から吐出された液体を受けて溜める受け皿部
と、当該受け皿部の開口部に被せられて用いられ、上面
にポンプ部に対向する孔部が設けられた蓋部とを設ける
ようにした。

【００１４】この結果、ポンプ部が比較的素早く操作さ
れ、タンク部から汲み上げた液体が勢い良く吹き出して
受け皿部の内周面に吹き付けられることにより当該吹き
付けられた液体が飛散した場合でも、この飛散した液体
を蓋部の下面で受けて受け皿部内に落とすことができる
ことから、この飛散した液体が作業者の目や口に入るこ
とを確実に防止することができる。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下図面について、本発明の一実
施の形態を詳述する。

【００１６】（１）本実施の形態による液体用容器の構
成 図１において、１０は全体として本発明による液体用容
器を示し、アルコール（図示せず）を溜めるタンク部１
１の口部にキヤツプ状でなる蓋１２が螺設されていると
共に、当該蓋１２にポンプ部１３が設けられている。

【００１７】この場合ポンプ部１３は、管状部材１５
と、当該管状部材１５の上端に設けられた押下部１６と
からなり、この管状部材１５が蓋１２に設けられた孔部
に差し込まれて固定されている。

【００１８】この管状部材１５の内部の所定位置には、
絞り部１５Ａが設けられており、当該絞り部１５Ａと押
下部１６との間にこの絞り部１５Ａの孔１５Ｂを塞ぐよ
うに球体１７が入れられている。

【００１９】また押下部１６は、内部に設けられたコイ
ルばね１８により矢印ａに示す上方向に付勢されている
と共に、周側面に複数の孔部１６Ａが設けられている。

【００２０】これによりこのポンプ部１３は、押下部１
６が押下されたときに、管状部材１５の絞り部１５Ａよ
りも上側内部（以下、これを加圧室と呼ぶ）１５Ｃ内に
正圧が生じ、当該正圧に基づいて加圧室１５Ｃ内のアル
コールを各孔部１６Ａを介して吐出する一方、この後押
下部１６がコイルばね１８の付勢に基づいて上方向に移
動したときに、加圧室１５Ｃ内に負圧が生じ、当該負圧
に基づいて球体１７が絞り部１５Ａの孔１５Ｂから浮い
てタンク部１１内のアルコールをこの管状部材１５を介
して加圧室１５Ｃに汲み上げ得るようになされている。

【００２１】そしてこの管状部材１５の上端部には、受
け皿部２０が設けられており、これによりこの受け皿部
２０が押下部１６の各孔部１６Ａから吐出するアルコー
ルを受けて溜めることができるようになされている。

【００２２】かかる構成に加えてこの実施の形態の場
合、受け皿部２０の開口部には、キヤツプ状でなる蓋部
２１が被せられおり、当該蓋部２１の板部２１Ａは、そ
の下面が押下部１６の各孔部１６Ａよりも上方に位置す
ると共に、押下部１６の上面と対向する位置に孔部１３
Ｂが設けられている。

【００２３】これによりこの蓋部２１は、孔部２１Ｂを
介して押下部１６を押下させることができると共に、当
該押下部１６が比較的素早く押下されることによりこの
押下部１６の各孔部１６Ａから吹き出したアルコールが
受け皿部２０の内周面に吹きつけられて飛散した場合で
も、この飛散したアルコールを板部２１Ａの下面で受け
て受け皿部２０内に落とすことができ、かくして受け皿
部２０の内周面で飛散したアルコールが外部に飛散する
ことを防止し得るようになされている。

【００２４】またこの蓋部２１の板部２１Ａは、上面が
外周部から孔部２１Ｂに向かつて凹むようにテーパ状に
形成されており、これにより受け皿部２０内に溜められ
たアルコールをこの板部２１Ａの上面のテーパ状に形成
された部分（以下、これをテーパ部と呼ぶ）２１Ｃに溢
れさせて溜めることができ、かくしてこのテーパ部２１
Ｃに溜められたアルコールを半導体素子に付着した塵埃
の除去に用いることができるようになされている。

【００２５】なおこの実施の形態の場合、蓋部２１は、
周側部の内径が受け皿部２０の上端の最外周よりもわず
かに小さくなるように選定されており、これにより受け
皿部２０の開口部から容易には抜け落ちないようになさ
れている。

【００２６】またこの実施の形態の場合、蓋部２１は、
ステンレス材（例えばSUS-304 ）を用いて形成されてお
り、これにより錆や腐食を防止すると共に、受け皿部２
０の開口部に被せられる際に削れる等して塵埃を発生さ
せることを防止することができ、かくしてクリーンルー
ムのような作業環境が比較的厳しく管理された場所でも
用いることができるようになされている。

【００２７】（２）本実施の形態の動作及び効果 以上の構成において、この液体用容器１０では、受け皿
部２０の開口部に押下部１６に対応する孔部２１Ｂが設
けられた蓋部２１を被せ、当該蓋部２１の孔部２１Ｂを
介して押下部１６を押下させる。

【００２８】従つてこの液体用容器１０では、押下部１
６が比較的素早く押下され、当該押下部１６の各孔部１
６Ａから勢い良く吹き出したアルコールが受け皿部２０
の内周面に吹きつけられて飛散した場合でも、この飛散
したアルコールを蓋部２１の板部２１Ａの下面に受けて
受け皿部２０に溜めることができ、かくして受け皿部２
０の内周面で飛散したアルコールが作業者の目や口に入
ることを確実に防止することができる。

【００２９】これに加えて受け皿部２０の内周面で飛散
したアルコールが製造途中（又は完成品）の半導体素子
に付着することも防止することができ、かくして規格ど
おりに製造された半導体素子がアルコールの乾燥した染
みによつて外観不良となることを確実に防止することが
できる。

【００３０】この結果、従来の液体用容器１（図２）の
ように受け皿部７（図２）の開口部をウエスで覆わなく
とも、受け皿部２０の内周面で飛散したアルコールが外
部まで飛散することを蓋部２１によつて容易に防止する
ことができることから、この液体用容器１０をクリンル
ームのような作業環境が比較的厳しく管理された場所で
も用いることができる。

【００３１】またこの液体用容器１０では、蓋部２１の
板部２１Ａに孔部２１Ｂを設けると共に、当該板部２１
Ａの上面をテーパ上に形成することから、当該蓋部２１
を受け皿部２０の開口部に被せても、当該受け皿部２０
内に溜めたアルコールを増量させることにより、当該ア
ルコールをこの孔部２１Ｂを介してテーパ部２１Ｃに容
易に取り出すことができる。

【００３２】さらにこの液体用容器１０では、受け皿部
２０の開口部に蓋部２１を被せることから、従来の液体
用容器１０に比べて受け皿部２０に溜められて空気中に
さらされるアルコールの量を大幅に減らすことができ、
かくしてアルコールが空気中へ蒸発する量を減少させて
当該空気が汚染されることを防止することができる。

【００３３】さらにこの液体用容器１０では、作業者が
誤つて転倒させた場合でも、受け皿部２０に溜められた
アルコールが外部にこぼれる量を大幅に低減させること
ができる。

【００３４】さらにこの液体用容器１０では、受け皿部
２０の深さよりも蓋部２１のテーパ部２１Ｃの深さが格
段的に浅いことから、この受け皿部２０にアルコールを
溜める場合に比べて、テーパ部２１Ｃにアルコールを溜
める場合の方が作業者がこのアルコールの量を目視確認
し易く、従つて当該テーパ部２１Ｃからアルコールがオ
ーバーフローすることを防止することができる。

【００３５】以上の構成によれば、受け皿部２０の開口
部に押下部１６に対応する孔部２１Ｂが設けられた蓋部
２１を被せるようにしたことにより、押下部１６が比較
的素早く押下され、当該押下部１６の各孔部１６Ａから
勢い良く吹き出したアルコールが受け皿部２０の内周面
で飛散した場合でも、この飛散したアルコールを蓋部２
１で受けて受け皿部２０内に溜めることができることか
ら、この飛散したアルコールが作業者の目や口に入るこ
とを確実に防止することができ、かくして安全性を向上
し得る液体用容器を実現することができる。

【００３６】（３）他の実施の形態 なお上述の実施の形態においては、本発明をアルコール
を入れた液体用容器１０に適用するようにした場合につ
いて述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の作
業工程等において用いられる、この他種々の液体を溜め
る液体用容器に適用することができる。

【００３７】また上述の実施の形態においては、蓋部２
１を受け皿部２０に被せるようにした場合について述べ
たが、本発明はこれに限らず、受け皿部２０の上端部を
加工し、当該受け皿部２０に蓋部２１を螺設するように
しても良い。

【００３８】さらに上述の実施の形態においては、ステ
ンレスでなる蓋部２１を用いるようにした場合について
述べたが、本発明はこれに限らず、タンク部１１に溜め
る液体の種類及び液体用容器１０を用いる環境等に応じ
て、ゴム等のようにこの他種々の材質からなる蓋部を用
いるようにしても良い。

【００３９】さらに上述の実施の形態においては、液体
を溜めるタンク部として、タンク部１１を適用するよう
にした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、
タンク部１１と蓋１２とを一体に形成し、これをタンク
部として適用するようにしても良い。

【００４０】さらに上述の実施の形態においては、ポン
プ部から吐出された液体を受けて溜める受け皿部とし
て、受け皿部２０を適用するようにした場合について述
べたが、本発明はこれに限らず、蓋１２と受け皿部２０
とを一体に形成し、これを受け皿部として適用するよう
にしても良い。

【００４１】さらに上述の実施の形態においては、液体
を溜めるタンク部と、ポンプ部から吐出された液体を受
けて溜める受け皿部とを別々に設けるようにした場合に
ついて述べたが、本発明はこれに限らず、この液体を溜
めるタンク部とポンプ部から吐出された液体を受けて溜
める受け皿部とを一体に形成して用いるようにしても良
い。

【００４２】

【発明の効果】上述のように本発明によれば、液体を溜
めるタンク部と、当該タンク部から液体を汲み上げて吐
出するポンプ部と、このポンプ部から吐出された液体を
受けて溜める受け皿部と、当該受け皿部の開口部に被せ
られて用いられ、上面にポンプ部に対向する孔部が設け
られた蓋部とを設けるようにしたことにより、ポンプ部
が比較的素早く操作され、タンク部から汲み上げた液体
が勢い良く吹き出して受け皿部の内周面に吹き付けられ
ることにより当該吹き付けられた液体が飛散した場合で
も、この飛散した液体を蓋部の下面で受けて受け皿部内
に落とすことができることから、この飛散した液体が作
業者の目や口に入ることを確実に防止することができ、
かくして安全性を向上し得る液体用容器を実現すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による液体用容器の構成の一実施の形態
を示す略線的断面図である。

【図２】従来の液体用容器の構成を示す略線的斜視図で
ある。

【符号の説明】

１０……液体用容器、１１……タンク部、１２……蓋、
１３……ポンプ部、１５……管状部材、１６……押下
部、１６Ａ……孔部、２０……受け皿部、２１……蓋
部、２１Ａ……板部、２１Ｂ……孔部、２１Ａ……テー
パ部。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】液体を溜める液体用容器において、 上記液体を溜めるタンク部と、 上記タンク部から上記液体を汲み上げて吐出するポンプ
   部と、 上記ポンプ部から吐出された上記液体を受けて溜める受
   け皿部と、 上記受け皿部の開口部に被せられて用いられ、上面に上
   記ポンプ部に対向する孔部が設けられた蓋部とを具える
   ことを特徴とする液体用容器。
2. 【請求項２】上記蓋部は、 上記上面が外周部から上記孔部に向かつて凹むようにテ
   ーパ状に形成されたことを特徴とする請求項１に記載の
   液体用容器。
3. 【請求項３】上記蓋部は、ステンレス材を用いて形成さ
   れたことを特徴とする請求項１に記載の液体用容器。