JPH11309376A - 排ガス浄化用触媒及びその製造方法 - Google Patents

排ガス浄化用触媒及びその製造方法

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JPH11309376A
JPH11309376A JP10119494A JP11949498A JPH11309376A JP H11309376 A JPH11309376 A JP H11309376A JP 10119494 A JP10119494 A JP 10119494A JP 11949498 A JP11949498 A JP 11949498A JP H11309376 A JPH11309376 A JP H11309376A
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noble metal
zeolite
catalyst
exhaust gas
particles
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JP10119494A
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Masahiko Takeuchi
雅彦 竹内
Hitoshi Kato
加藤  仁志
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ゼオライトを担体とし貴金属を担持した排ガス
浄化用触媒において、貴金属の粒成長を一層抑制する。 【解決手段】貴金属の担持濃度を、ゼオライト粒子の内
部が表面近傍より相対的に高濃度となるようにした。内
部の微細な細孔に担持された貴金属粒子は分散性が高く
なり、また細孔に余分なスペースがなく高温時の貴金属
粒子の移動が抑制されるため、耐久試験後の粒成長が抑
制される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゼオライト粒子に
貴金属を担持した排ガス浄化用触媒とその製造方法に関
し、詳しくは担持された貴金属の粒成長が抑制された排
ガス浄化用触媒とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ゼオライトは、別名分子篩いとも称され
るように、分子の大きさに匹敵する細孔を有し、吸着材
として利用されるほか、触媒として多くの反応に利用さ
れている。また主成分である酸化アルミニウムの負電荷
を中和するために陽イオンを含み、この陽イオンは水溶
液中で他の陽イオンと容易に交換されるため、陽イオン
交換体としても利用されている。
【0003】ゼオライトのこのような性質を利用して、
近年、自動車の排ガス浄化用触媒への利用が検討され、
例えば特開平3-232533号公報には、ゼオライトに白金や
パラジウムなどの貴金属を担持した排ガス浄化用触媒が
開示されている。ゼオライトは、化学的にはテクトアル
ミノケイ酸塩であり、種々のSi/Al比をもつゼオライト
が知られている。そしてこのSi/Al比の値によって、ゼ
オライトの触媒特性が大きく変化することがわかってき
た。
【0004】Si/Al比の小さなゼオライトは酸点が多
く、高いクラッキング能と高いHC(炭化水素)吸着能を
示す。しかし酸点の多いゼオライトでは、細孔内に吸着
したHCが炭化して容易にコーキングし、細孔内を閉塞す
る結果HCの吸着能が経時で低下するという不具合があ
る。また酸点の多いゼオライトでは、水熱耐久を行うと
脱Al(ゼオライト構造中の四配位が六配位となる)によ
り容易に酸点が消失し、クラッキング能が低下するとい
う不具合がある。さらに、このようなゼオライトに触媒
金属を担持した触媒では、水熱耐久試験時に脱Al反応が
生じ、それに伴って触媒金属が粒成長して活性が低下す
るという不具合もある。
【0005】一方、Si/Al比の大きなゼオライトは、酸
点が少ないのでクラッキング能が低い。しかし、コーキ
ングが生じないので経時のHC吸着能の低下は生じず、脱
Alによる触媒金属の粒成長も比較的抑制されるため、耐
久性に優れているという利点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところがゼオライトに
白金やパラジウムなどの貴金属を担持した排ガス浄化用
触媒では、Si/Al比の大きなゼオライト用いても、耐久
試験を行うと貴金属にある程度の粒成長が生じ、耐久性
が低下して排出される排ガス中の有害成分量が増加する
という問題があった。
【0007】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、ゼオライトを担体とし貴金属を担持した排
ガス浄化用触媒において、貴金属の粒成長を一層抑制す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する請求
項1に記載の排ガス浄化用触媒の特徴は、ゼオライト粒
子の全体に貴金属が担持されてなる排ガス浄化用触媒に
おいて、貴金属の担持濃度はゼオライト粒子の内部が表
面近傍より相対的に高濃度であることにある。請求項1
に記載の排ガス浄化用触媒において、貴金属がゼオライ
ト粒子全体に0.5〜3重量%担持されている場合に、
ゼオライト粒子の表面から2nm以内の範囲に担持された
貴金属の担持量は1.0 原子%以下であることが望まし
い。
【0009】また上記排ガス浄化用触媒を安定して製造
できる請求項3に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法の
特徴は、貴金属化合物溶液をゼオライト粒子に接触させ
ることによりゼオライト粒子に貴金属を担持する排ガス
浄化用触媒の製造方法において、貴金属化合物溶液を貴
金属担持後のpHが8〜10のアルカリ性となるように
調整することにある。
【0010】請求項3に記載の排ガス浄化用触媒の製造
方法において、貴金属化合物溶液はアンモニアの添加に
よりアルカリ性とすることが望ましい。さらに上記排ガ
ス浄化用触媒を安定して製造できる請求項5に記載の排
ガス浄化用触媒の製造方法の特徴は、ゼオライトを疎水
化剤と接触させてゼオライト粒子表面を疎水化し、その
後貴金属化合物溶液と接触させて貴金属を担持すること
にある。
【0011】請求項5に記載の排ガス浄化用触媒の製造
方法において、疎水化剤は構造式R1R2R3SiX又は R1R2Si
2X(ここでR1〜R3はC1〜C6のアルキル基などの親油基、
Xはハロゲン,H,アルコキシル基などの親水基)で表
されるシランカップリング剤であることが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】ゼオライトは、構造に由来する数
Å程度の細孔の他に、構造欠陥などに起因する数nm〜数
10nmのメソ細孔を有し、そのメソ細孔は表面近傍の細孔
に比べて内部の細孔の方が微細であることが明らかとな
っている。そこで請求項1に記載の本発明の排ガス浄化
用触媒では、貴金属はゼオライト粒子の内部が表面近傍
より相対的に高濃度となるように担持された構造とし
た。
【0013】内部の微細な細孔に担持された貴金属粒子
は分散性が高くなり、また細孔に余分なスペースがなく
高温時の貴金属粒子の移動が抑制されるため、耐久試験
後の粒成長が抑制される。したがって貴金属を内部に多
く担持することにより、担持された全貴金属のうち粒成
長するものの割合が低くなり、触媒性能の耐久性が向上
する。
【0014】またゼオライト粒子の表面から2nm以内の
範囲に存在する細孔は、それより内部に存在する細孔に
比べて径が大きいものが特に多い。そこで請求項2に記
載のように、貴金属がゼオライト粒子全体に 0.5〜3重
量%担持されている場合に、ゼオライト粒子の表面から
2nm以内の範囲に担持された貴金属の担持量を1.0 原子
%以下とすれば、耐久試験時の貴金属の粒成長を一層抑
制することができる。
【0015】貴金属がゼオライト粒子全体に 0.5〜3重
量%担持されている場合に、ゼオライト粒子の表面から
2nm以内の範囲に担持された貴金属の担持量が1.0 原子
%を超えると、耐久試験時に粒成長する貴金属の割合が
多くなり耐久性が低下する。なお1.0 原子%という数値
は、ゼオライト粒子全体に担持されている貴金属の量に
応じて比例的に変化する。またゼオライト粒子全体に担
持される貴金属の量は、 0.1〜10重量%の範囲で変化さ
せることができる。貴金属の担持量が 0.1重量%未満で
は充分な触媒性能が得られず、10重量%を超えて担持し
ても触媒性能が飽和するとともにコストが高騰するとい
う不具合がある。好ましくは上記のように 0.5〜3重量
%である。
【0016】ゼオライトとしては、モルデナイト、ZS
M−5、Y型ゼオライト、フェリエライト、ゼオライト
βなどの天然又は合成ゼオライトを用いることができ
る。これらから選ばれた単独種類を用いてもよいし、複
数種類を混合して用いることもできる。また用いるゼオ
ライトは、Si/Alの比率がモル比で 800以上の高シリカ
ゼオライトであることが望ましい。高シリカゼオライト
を用いることにより、脱Al反応に起因する貴金属の粒成
長が抑制される。
【0017】貴金属としては、白金(Pt)、ロジウム
(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)などを用
いることができる。また場合によっては、鉄、コバル
ト、ニッケルなどの卑金属を併用してもよい。貴金属の
担持濃度を表面近傍より内部が高くなるようにする一つ
の方法として、請求項3に記載した本発明の製造方法が
ある。この製造方法では、貴金属化合物溶液を貴金属担
持後のpHが8〜10のアルカリ性となるように調整して
いる。
【0018】すなわち貴金属化合物溶液をアルカリ性と
することにより、通常では貴金属化合物イオンの吸着が
起こらないようなゼオライトのシラノール基(SiOH)が
相対的に酸性となりプロトンが解離し易くなるため、貴
金属化合物イオンがシラノール基のHとイオン交換する
ようになる。したがって貴金属が高分散、高担持効率で
担持される。
【0019】さらに、アルカリ性とするために添加され
るアルカリイオンも貴金属化合物イオンと同様にゼオラ
イトのシラノール基のHとイオン交換されるが、アルカ
リイオンと貴金属化合物イオンのシラノール基のHとの
イオン交換反応は競争吸着反応であり、アルカリイオン
のない従来の方法に比べてゼオライト内部までイオン交
換が起こる。これにより貴金属化合物イオンはより内部
まで吸着され、内部の貴金属担持濃度が高くなると考え
られる。
【0020】アルカリイオンの量が少ないと競争吸着反
応が生じにくく、ゼオライト内部への貴金属の担持効率
が低下する。またアルカリイオンが多すぎると、貴金属
化合物イオンとシラノール基のHとのイオン交換が阻害
されるために担持効率が低下する。一方、アルカリイオ
ンが吸着されるにつれて溶液のpHが低下するが、貴金属
の担持効率を高めるためには担持工程の間常にアルカリ
性を保持することが好ましい。したがって本発明では、
貴金属化合物溶液を貴金属担持後のpHが8〜10のアルカ
リ性に調整することとしている。
【0021】アルカリ性とするために添加されるアルカ
リ物質としては、アンモニア、アミンなどが例示され
る。アルカリ金属などを用いることもできるが、触媒中
に残存すると触媒性能に悪影響を及ぼすものもあるの
で、触媒製造時の加熱により焼失あるいは揮発するアン
モニア、アミンなどを用いることが望ましい。本発明の
製造方法に用いられる貴金属化合物としては、テトラア
ンミン白金ヒドロキシド、ヘキサアンミン白金ヒドロキ
シド、テトラアンミンパラジウムヒドロキシド、ヘキサ
アンミンロジウムヒドロキシドなどが例示される。これ
らを水溶液あるいはアルコール溶液などとし、アンモニ
アやアミンなどのアルカリ物資でアルカリ性とした後、
ゼオライトを混合する。その直後はpHが高いが、貴金属
化合物イオンとアルカリイオンが吸着されるにつれてpH
が低下するので、必要であればアルカリ物質を追加して
吸着完了後のpHが8〜10のアルカリ性となるようにす
る。その後濾過・洗浄し、 250〜 500℃で焼成すること
で、貴金属の担持濃度がゼオライト粒子の表面近傍より
内部が相対的に高濃度である触媒が得られる。
【0022】なお貴金属化合物溶液とゼオライトを先ず
接触させ、次いでアルカリ物質を添加してアルカリ性と
することもできるが、競争吸着反応を促進させるために
は、貴金属化合物溶液とアルカリ物質を混合してアルカ
リ性溶液とした後ゼオライトと接触させるのが好まし
い。例えばテトラアンミン白金錯イオンを用いてPtを担
持する場合において、アンモニウムイオンの有無による
イオン交換反応の模式図を図1及び図2に示す。アンモ
ニウムイオンが存在しない場合には、テトラアンミン白
金錯イオンは図2に示すようにゼオライト粒子表面のシ
ラノール基のHとイオン交換され、内部にはほとんどイ
オン交換されない。しかしアンモニウムイオンが存在す
ると、アンモニウムイオンとテトラアンミン白金錯イオ
ンとの競争吸着反応が生じ、図1に示すようにゼオライ
ト粒子内部にもアンモニウムイオンとテトラアンミン白
金錯イオンがイオン交換され、結果的にゼオライト粒子
内部のPt担持量が多くなる。
【0023】請求項3に記載の製造方法では、モル比
(Si/Al)が 800以上の高シリカゼオライトを用いるこ
とが好ましい。モル比(Si/Al)が 800未満の低シリカ
ゼオライトでは、Al原子に起因する負電荷への偏りを補
うために存在するカウンターカチオンと称されるイオン
交換点においてイオン交換反応が生じ、シラノール基の
Hとのイオン交換が生じにくくなるため、上記作用が発
現しにくくなる。
【0024】貴金属の担持濃度を表面近傍より内部が高
くなるようにするもう一つの方法として、請求項5に記
載した本発明の製造方法がある。この製造方法では、ゼ
オライトを疎水化剤と接触させてゼオライト粒子表面を
疎水化し、その後貴金属化合物溶液と接触させて貴金属
を担持している。この製造方法では、ゼオライト粒子の
シラノール基に疎水化剤が結合し、その反応はゼオライ
ト表面側から生じる。したがってゼオライト表面が疎水
化されているため、貴金属化合物イオンはゼオライト表
面ではイオン交換が困難であり、ゼオライト細孔を通っ
て内部に浸透し選択的に内部のシラノール基とイオン交
換される。したがって内部の貴金属担持濃度を表面より
高くすることが容易にできる。
【0025】疎水化剤としては、構造式R1R2R3SiX又は
R1R2Si2X(ここでR1〜R3はC1〜C6のアルキル基などの親
油基、Xはハロゲン、H、アルコキシル基などの親水
基)で表されるシランカップリング剤を代表的に用いる
ことができる。このうち分子中に親水基が一つであるR1
R2R3SiXを用いることが特に望ましい。分子中に親水基
が二つ以上存在すると、シラノール基との反応後にも親
水基が残り、その親水基と貴金属化合物イオンが反応す
るため表面に担持される貴金属濃度が高くなってしま
う。
【0026】なお疎水化剤としては、他にフルオロシラ
ンなどを用いることもできるが、シラノール基と反応後
に有機基のみをもつものが望ましい。これによりゼオラ
イトに結合した疎水化剤は焼成時に焼失するため、触媒
中に不純物として残留するのが防止される。疎水化剤に
よるゼオライトの疎水化処理は、ゼオライト表面が少し
でも疎水化されれば効果がある。また疎水化剤を過剰に
用いても、ゼオライト内部に浸入できる疎水化剤はわず
かであり、表面の疎水化処理が飽和した後に溶液中に残
存する疎水化剤による不具合もほとんどない。したがっ
て疎水化剤とゼオライトとの混合割合は特に規定されな
い。
【0027】また、この製造方法に用いられる貴金属化
合物としては、テトラアンミン白金ヒドロキシド、ヘキ
サアンミン白金ヒドロキシド、テトラアンミンパラジウ
ムヒドロキシド、ヘキサアンミンロジウムヒドロキシド
など請求項3の製造方法と同様のものを用いることがで
きる。例えばテトラアンミン白金錯イオンを用いてPtを
担持する場合において、シランカップリング剤( R1R2R
3SiX)によってゼオライトを処理すると、図3に示すよ
うにゼオライトのシラノール基にシランカップリング剤
が結合する。この反応はゼオライトの表面側で先ず起こ
り、一旦シランカップリング剤が結合すると、シランカ
ップリング剤どうしの立体障害によりシランカップリン
グ剤がさらにゼオライト内部に浸入するのが抑制され
る。
【0028】そして次にテトラアンミン白金錯イオンが
接触すると、テトラアンミン白金錯イオンは分子構造が
比較的小さいため結合したシランカップリング剤の隙間
をすり抜けて内部に浸入し、ゼオライト内部のシラノー
ル基のHとイオン交換されると考えられ、結果的にゼオ
ライト粒子内部のPt担持量が多くなる。この製造方法に
おいても、含まれるSiとAlのモル比(Si/Al)が 800以
上の高シリカゼオライトを用いることが好ましい。モル
比(Si/Al)が 800未満の低シリカゼオライトでは、Al
原子に起因する負電荷への偏りを補うために存在するカ
ウンターカチオンと称されるイオン交換点においてイオ
ン交換反応が生じるため、シラノール基に起因する上記
作用が発現しにくくなる。なお、シラノール基のHとの
イオン交換反応はアルカリ性雰囲気において一層促進さ
れるので、この製造方法の方が請求項3の製造方法に比
べてAl原子の影響が大きい。したがってこの製造方法で
は、一層高いモル比(Si/Al)の高シリカゼオライトを
用いることが望ましい。
【0029】また、請求項3の製造方法と請求項5の製
造方法の両方を行うことも好ましい。その場合は、先ず
請求項5の製造方法にいうゼオライトの疎水化処理を行
い、次いで請求項3の製造方法にいうアルカリ性溶液に
て貴金属を担持する。このように請求項3の製造方法と
請求項5の製造方法の両方を行えば、ゼオライトの表面
と内部における貴金属の担持濃度差を一層大きくするこ
とができ、表面に担持される貴金属量をきわめて少なく
することができるので、耐久試験時における貴金属の粒
成長が一層抑制され、触媒の耐久性が一層向上する。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 (実施例1)白金を 1.6重量%含有するテトラアンミン
白金ヒドロキシド水溶液を用意し、アンモニア水をアン
モニア換算で0.00353mol/Lとなるように添加した。こ
のとき溶液の初期のpHは11〜12であった。そこへ所定量
のZSM-5(モル比Si/Al=2000)粉末を添加し、2時間
攪拌混合した。攪拌中にpHは徐々に低下し、pH 7.5〜8
で安定した。
【0031】これを濾過・水洗し、 120℃で2時間乾燥
後、 300℃で2時間焼成し、全体にPtが2g/L担持さ
れた本実施例の触媒を調製した。得られた触媒における
Ptの表面濃度をXPS(X線光電子分光法)を用いて分
析し、その結果を表1に示す。また、得られた触媒を定
法でペレット化してペレット触媒とした。このペレット
触媒を2000cc直列4気筒のガソリンエンジンの排気系に
装着し、回転数4000 rpm一定で、負荷により触媒入りガ
ス温度が 800℃になるように調整して、25時間の耐久試
験を行った。
【0032】耐久試験後のペレット触媒を耐久試験と同
様のエンジンの排気系に装着し、触媒入りガス温度を種
々変化させてHC浄化率を測定した。そしてHC50%浄化温
度を算定し、結果を表1に示す。 (実施例2)アンモニア水の添加量をアンモニア換算で
0.00853mol/Lとなるように添加したこと以外は実施例
1と同様にしてPtを担持した。このとき溶液の初期のpH
は11〜12であったが攪拌中にpHは徐々に低下し、pH8〜
9で安定した。そして実施例1と同様にしてペレット触
媒とし、同様にPtの表面濃度と耐久試験後のHC50%浄化
温度を測定し、結果を表1に示す。
【0033】なお、この触媒について、耐久試験後の粒
子構造を示すTEM(透過電子顕微鏡)写真を図4に、
その説明図を図5に示す。図4及び図5より、ZSM-5粒
子1の表面に沿って担持されているPt粒子2は図で数10
0 nm〜1μm程度の大きな粒子となっているのに対し、
内部に高分散して担持されているPt粒子3はきわめて微
細であり粒成長が抑制されていることが明らかである。
【0034】(実施例3)アンモニア水の添加量をアン
モニア換算で 0.0853mol/Lとなるように添加したこと
以外は実施例1と同様にしてPtを担持した。このとき溶
液の初期のpHは11〜12であったが攪拌中にpHは徐々に低
下し、pH9〜11で安定した。そして実施例1と同様にし
てペレット触媒とし、同様にPtの表面濃度と耐久試験後
のHC50%浄化温度を測定し、結果を表1に示す。
【0035】(実施例4)アンモニア水の添加量をアン
モニア換算で1mol/Lとなるように添加したこと以外は
実施例1と同様にしてPtを担持した。このとき溶液の初
期のpHは11〜12であったが攪拌中にpHは徐々に低下し、
pH10〜11で安定した。そして実施例1と同様にしてペレ
ット触媒とし、同様にPtの表面濃度と耐久試験後のHC50
%浄化温度を測定し、結果を表1に示す。
【0036】(比較例1)アンモニア水を添加しなかっ
たこと以外は実施例1と同様にしてPtを担持し、同様に
Ptの表面濃度と耐久試験後のHC50%浄化温度を測定し、
結果を表1に示す。 (評価)
【0037】
【表1】 表1より、Ptの担持時にアンモニアを添加することで表
面Pt濃度が減少し、それに伴ってHC浄化率が向上してい
ることがわかる。また NH3添加量には、0.00853mol/L近
傍に最適値が存在することもわかる。
【0038】(実施例5)ZSM-5粉末(モル比Si/Al=
約2000) 100gをトルエン中で攪拌し、シランカップリ
ング剤であるジメチルプロピルクロロシランを4μmol
/g投入して、90℃環流下で5時間処理した。次いで真
空乾燥によりトルエンを除去し、疎水化ZSM-5を調製し
た。
【0039】次に白金を 1.6重量%含有するテトラアン
ミン白金ヒドロキシド水溶液を用意し、疎水化ZSM-5を
所定量混合して、室温で4時間攪拌混合した。これを濾
過・洗浄後、大気中にて 500℃で2時間焼成して本実施
例の触媒を調製した。そして実施例1と同様にしてペレ
ット触媒とし、同様にPtの表面濃度と耐久試験後のHC50
%浄化温度を測定し、結果を表2に示す。
【0040】(実施例6)ジメチルプロピルクロロシラ
ンの添加量を8μmol/gとしたこと以外は実施例5と
同様にして疎水化ZSM-5を調製し、同様にペレット触媒
としてPtの表面濃度と耐久試験後のHC50%浄化温度を測
定し、結果を表2に示す。 (実施例7)ジメチルプロピルクロロシランの添加量を
34μmol/gとしたこと以外は実施例5と同様にして疎
水化ZSM-5を調製し、同様にペレット触媒としてPtの表
面濃度と耐久試験後のHC50%浄化温度を測定し、結果を
表2に示す。
【0041】(実施例8)ジメチルプロピルクロロシラ
ンの添加量を85μmol/gとしたこと以外は実施例5と
同様にして疎水化ZSM-5を調製し、同様にペレット触媒
としてPtの表面濃度と耐久試験後のHC50%浄化温度を測
定し、結果を表2に示す。 (実施例9)ジメチルプロピルクロロシランの代わりに
メチルプロピルジクロロシランを用い、その添加量を34
μmol/gとしたこと以外は実施例5と同様にして疎水
化ZSM-5を調製し、同様にペレット触媒としてPtの表面
濃度と耐久試験後のHC50%浄化温度を測定し、結果を表
2に示す。
【0042】(実施例10)ジメチルプロピルクロロシラ
ンの代わりにトリヘキシルクロロシランを用い、その添
加量を8μmol/gとしたこと以外は実施例5と同様に
して疎水化ZSM-5を調製し、同様にペレット触媒として
Ptの表面濃度と耐久試験後のHC50%浄化温度を測定し、
結果を表2に示す。
【0043】(比較例2)シランカップリング処理を行
わなかったこと以外は実施例5と同様にしてPtを担持
し、同様にPtの表面濃度と耐久試験後のHC50%浄化温度
を測定し、結果を表2に示す。なお、この比較例2の触
媒は比較例1の触媒と同一である。 (評価)
【0044】
【表2】 表2より、ZSM-5を予めシランカップリング剤で処理す
ることで表面Pt濃度が減少し、それに伴って耐久試験後
のHC浄化率が向上していることがわかる。またシランカ
ップリング剤の種類によって効果の程度が異なること、
その添加量には最適値がありそうなこともわかる。
【0045】なお、実施例1〜10及び比較例1(2)の
結果から、表面Pt濃度とHC50%浄化温度との関係をグラ
フ化して図6に示す。図6より、表面Pt濃度とHC50%浄
化温度の間には相関関係があり、表面Pt濃度が低いほど
高いHC浄化能を示していることが明らかである。すなわ
ち、各実施例及び比較例において触媒全体に担持されて
いるPt量はいずれも同一であるから、表面Pt濃度が低い
ということは内部Pt濃度が高いことを意味し、Ptの担持
濃度がゼオライト粒子の表面近傍より内部が相対的に高
濃度であるものほど高いHC浄化率を示していることが明
らかである。
【0046】
【発明の効果】すなわち本発明の排ガス浄化用触媒によ
れば、Ptの担持濃度がゼオライト粒子の表面近傍より内
部が相対的に高濃度であるため、耐久試験後にも貴金属
の粒成長が抑制され、初期の高い浄化性能を長期間保持
することができ耐久性に優れている。
【0047】そして本発明の排ガス浄化用触媒の製造方
法によれば、上記した優れた性能を有する触媒を安定し
て確実に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項3に記載の製造方法の作用を説明する説
明図である。
【図2】従来の製造方法の作用を説明する説明図であ
る。
【図3】請求項5に記載の製造方法の作用を説明する説
明図である。
【図4】本発明の一実施例で製造された触媒の耐久試験
後の粒子構造を示す顕微鏡写真である。
【図5】図4の説明図である。
【図6】表面Pt濃度と耐久試験後のHC50%浄化温度との
関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1:ZSM-5粒子 2:表面に担持さ
れているPt粒子 3:内部に担持されているPt粒子
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年6月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゼオライト粒子の全体に貴金属が担持さ
    れてなる排ガス浄化用触媒において、該貴金属の担持濃
    度は該ゼオライト粒子の内部が表面近傍より相対的に高
    濃度であることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
  2. 【請求項2】 前記貴金属が前記ゼオライト粒子全体に
    0.5〜3重量%担持されている場合に、前記ゼオライ
    ト粒子の表面から2nm以内の範囲に担持された前記貴
    金属の担持量は1.0原子%以下であることを特徴とす
    る請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  3. 【請求項3】 貴金属化合物溶液をゼオライト粒子に接
    触させることにより該ゼオライト粒子に貴金属を担持す
    る排ガス浄化用触媒の製造方法において、 該貴金属化合物溶液を該貴金属担持後のpHが8〜10
    のアルカリ性となるように調整することを特徴とする排
    ガス浄化用触媒の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記貴金属化合物溶液はアンモニアの添
    加によりアルカリ性とすることを特徴とする請求項3に
    記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
  5. 【請求項5】 ゼオライトを疎水化剤と接触させて該ゼ
    オライト粒子表面を疎水化し、その後貴金属化合物溶液
    と接触させて貴金属を担持することを特徴とする排ガス
    浄化用触媒の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記疎水化剤は構造式R1R2R3SiX又は R1
    R2Si2X(ここでR1〜R3はC1〜C6のアルキル基などの親油
    基、Xはハロゲン,H,アルコキシル基などの親水基)
    で表されるシランカップリング剤であることを特徴とす
    る請求項5に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
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