JPH11308852A - 渦電流式減速装置 - Google Patents

渦電流式減速装置

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JPH11308852A
JPH11308852A JP11362298A JP11362298A JPH11308852A JP H11308852 A JPH11308852 A JP H11308852A JP 11362298 A JP11362298 A JP 11362298A JP 11362298 A JP11362298 A JP 11362298A JP H11308852 A JPH11308852 A JP H11308852A
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昭佳 石田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐久性の高い渦電流式減速装置を安価に提供
する。 【解決手段】 渦電流式減速装置のロータを強磁性体の
円筒部と、円筒部を回転軸と連結するディスクとの一体
物で構成し、ディスクには風穴および回転軸の締結ボル
ト穴を設け、ロータの円筒部の軸方向長さL、ロータの
円筒部の肉厚t1 、ディスクの肉厚t2 、ロータの内半
径R、風穴の個数n、風穴半径r1 、および回転軸から
風穴中心までの距離r2 のそれぞれの寸法関係を、L/
1 ≦12、0.60≦t2 /t1 ≦1.25、0.1
0≦(n×r1 2)/R2 ≦0.20、0.85≦r2
Rとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トラックやバス等
の大型自動車に使用される渦電流式減速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】大型自動車の制動装置には、主ブレーキ
であるフットブレーキ、補助ブレーキである排気ブレー
キの他に、渦電流式減速装置が使用される。これは長い
坂道の降坂時等に安定した減速を行い、かつフットブレ
ーキの焼損を防止するためである。この渦電流式減速装
置には磁石として永久磁石を使用するものと電磁石を使
用をするものがある。
【0003】図1(a) 、(b) は、永久磁石を使用した渦
電流式減速装置の一例を示す部分側面図および縦断面図
である。同図において、符号1はロータ、2はロータの
アーム、3はロータの円筒部、4は冷却フィン、5はス
テータ、6は永久磁石、7は磁石の支持リング、8はポ
ールピース、9はピストンロッド、10は空圧装置、1
1は回転軸、12は案内棒、13は回転軸取り付け部材
である。
【0004】同図において、ロータ1は、回転軸取り付
け部材13を介して回転軸11にボルトどめされてい
る。ロータ1にはアーム2を介して強磁性体からなる円
筒部3が配置されており、ロータ1の円筒部3は、回転
軸11と一体に回転する。
【0005】ステータ5には空圧装置10のピストンロ
ッド9に結合された支持リング7が設けられ、この支持
リング7の周囲には永久磁石6が複数個配置されてい
る。支持リング7は空圧装置10により、複数の案内棒
12に沿って回転軸11の軸方向に往復する。この往復
によって永久磁石6がポールピース8の位置、すなわち
ロータの円筒部3と磁気的に対向する位置まで挿入され
た状態(図示の軸の上側の状態)が制動オンの状態であ
る。反対に、永久磁石6がポールピース8から離れた位
置にある状態(図示の軸の下側の状態)が制動オフの状
態である。ステータ5のポールピース8とロータ1の円
筒部の内周面の間にはギャップが保たれている。
【0006】制動オンの状態では、永久磁石6から発す
る磁束を横切って円筒部3が回転するので、円筒部3の
内周面の表面近傍に渦電流が流れる。この渦電流と磁束
の相互作用によってロータ1には制動トルクが発生す
る。
【0007】制動オン時に円筒部3に誘起される渦電流
はジュール熱を発生し、冷却フィン4によって空冷され
る。このため、円筒部3には、制動のオン・オフ制御の
繰返しによって著しい熱サイクルが負荷される。
【0008】電磁石を使用した渦電流式減速装置におい
ても制動トルクの発生原理は、永久磁石の場合と同じで
ある。ただし、永久磁石を用いる場合には、前記のよう
に磁石が往復運動することによって制動のオン・オフを
行うのに対して、電磁石を用いる場合には、電磁石コイ
ルの電流を調整することによって制動のオン・オフを行
う。つまり、永久磁石式と電磁石式の主な相違点は制動
オン・オフの磁束の制御方式のちがいであり、以下で述
べる本発明品は永久磁石式と電磁石式のいずれの渦電流
式減速装置へも適用が可能である。
【0009】上記のように、制動オン・オフの繰返しに
伴って、ロータの円筒部には著しい熱サイクルが負荷さ
れ、熱膨張収縮を繰り返す。熱膨張がロータのアームに
よって拘束されると円筒部に大きな熱応力や熱ひずみが
発生し、円筒部の熱変形(永久変形)や円筒部内面での
熱疲労によるき裂の発生などロータ損傷の原因となる。
このため、ロータのアームが円筒部の熱膨張を拘束しな
いような各種の構造が採用されている。
【0010】図2は実開平5−18262号公報に開示
された渦電流式減速装置のロータの概要図である。同公
報の技術は回転軸取り付け部材13に支持金物14を突
設し、円筒部3を支持するスポーク状のアーム2の根元
の支持片16との間をゴムブッシュを介して結合した構
造を有する。この構造はロータ円筒部3の熱変形を吸収
するため、アーム2は回転軸取り付け部材13に対して
半径方向に変位可能な構造となっており、円筒部の熱膨
張を拘束しないようになっている。
【0011】図3は実開平4−114783号公報に開
示された渦電流式減速装置のロータの概要図である。同
公報の技術は回転軸取り付け部材13とロータの円筒部
3を曲がり梁状のアーム2によって連結した構造を有す
る。ロータの円筒部3の熱変形に伴い、アーム2が弾性
変形することによってロータの円筒部3の熱膨張を吸収
する構造になっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前記の従来のロータに
は以下のように製造コストの問題がある。 (a) 前記実開平5−18262号公報に開示の技術は円
周方向に多数のアームを使用するため、部品点数が多
い。さらに、アームとロータ円筒部は溶接などによって
連結されるが、この製造工程に多くの労力が必要であ
る。このため、ロータの製造コストが高い。
【0013】(b) 前記実開平5−18262号公報およ
び実開平4−114783号公報に開示の技術はアーム
をロータ円筒部に連結する際、多数のアームを均等に連
結することが困難であり、連結後の回転バランスの調整
に労力と時間を要する。この結果、ロータの製造コスト
が高くなる。
【0014】本発明の目的は従来のロータの上記問題を
解決し、低コストで、かつ耐久性に優れた渦電流式減速
装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】発明者らはアームによる
支持方式を用いた上記の従来型の複雑な構造のロータに
おけるコストアップ問題を解決するため、極力シンプル
な構造を検討した。従来はシンプルな構造では熱ひずみ
の問題を解決できないものと考えられていたが、適切な
構造・条件によっては、解決可能であることを確認し、
下記の知見を得た。
【0016】(a) 基本構造は円筒部と回転軸部を連結す
る部材を、ディスク状とし、円筒部と一体形成する。 (b) 永久磁石が円筒部からの輻射により、または電磁石
の場合には自己発熱によって高温にならないよう、前記
ディスクに風穴を設ける。
【0017】(c) このような構造を採用した場合には、
ロータ円筒部やディスクに、塑性変形や熱疲労き裂の発
生のおそれがあるが、有限要素法による熱応力解析と、
ロータ材の材料強度特性に基づく熱疲労寿命評価の結
果、円筒部、平板部、風穴の寸法を適切に選ぶことによ
り、円筒部の熱ひずみに耐えうる強度を維持することが
できる。
【0018】本発明は上記の知見に基づいて完成したも
のであり、その要旨は以下の通りである。磁束の制御が
可能な複数個の磁石が配設された回転しないステータ
と、回転するロータとを有する渦電流式減速装置であっ
て、前記ロータは一体に構成された円筒部とディスクと
を有し、前記円筒部は強磁性体からなり、前記円筒部は
前記磁石と対面しており、回転中に磁石の磁束によって
渦電流が誘起され、制動力が加わるように構成されてお
り、前記ディスクには風穴を有し、ロータ各部の寸法が
以下の条件であることを特徴とする渦電流式減速装置。 L/t1 ≦12、 0.60≦t2 /t1 ≦1.25、 0.10≦(n×r1 2)/R2 ≦0.20、 0.85≦r2 /R、 ここで、Lはロータの円筒部の軸方向長さ、t1 はロー
タの円筒部の肉厚、t2はディスクの肉厚、Rは円筒部
の内半径、nは風穴個数、r1 は風穴半径、r2は回転
軸から風穴中心までの距離である。
【0019】
【発明の実施の形態】図4(a) 、(b) は本発明の渦電流
式減速装置のロータの構造を示す部分側面図および縦断
面図である。同図において、ロータ1はディスク15、
円筒部3、冷却フィン4、風穴17、回転軸と締結する
ためのボルト穴18の各部で構成されている。
【0020】同図に示すように、円筒部3をディスク1
5と連結し、一体構造とすることにより、ロータのアー
ムを不要とし、部品点数の低減と製造工程の簡略化を行
い、ロータの製造コストを低減する。
【0021】ロータの円筒部3の内側には図1の渦電流
式減速装置と同様のステータが配置されるが同図には図
示していない。制動オン時のロータの円筒部3の発熱に
よって永久磁石6(図1参照)も加熱される。この永久
磁石6の昇温を抑制するためにはディスク15に風穴1
7を設け、永久磁石6の近傍に通風する必要がある。
【0022】円筒部3の熱膨張・熱収縮などの熱変形を
吸収するためには、ディスク15の剛性をできるだけ低
くし、ディスク15によるロータの円筒部3の熱変形の
拘束を小さくする必要がある。ディスク15の剛性を小
さくする方法としては、ディスクの肉厚を薄くするか、
風穴17の径や個数を増加し、開口部を大きくすれば良
い。
【0023】このように、ディスクの剛性の低下は円筒
部の熱変形、熱応力の発生や熱疲労き裂の発生を抑制す
る有効な手段である。ただし、ディスクの剛性を過度に
低くした場合には、円筒部の熱膨張・熱収縮に伴ってデ
ィスクに生じる熱応力や熱ひずみが大きくなる。特に、
ディスクには前述の理由によって風穴を設けているた
め、応力集中によって風穴底から熱疲労き裂が発生する
おそれがある。したがって、ディスクの剛性には適正値
がある。
【0024】また、ロータの熱応力を小さくするために
は円筒部3の剛性を低減し、円筒部が自由に変形できる
構造とすれば良く、このためには円筒部3の肉厚を薄く
すれば良い。ただし、過度に円筒部3の剛性を低くする
と、熱変形量が大きくなり、磁石と円筒部の間隔が変化
する。例えば、制動時には円筒部は熱膨張によって半径
方向の外側へ移動するが、この結果、円筒部3と図示さ
れていないポールピースの間隔が広がって制動トルクが
低下する。さらに、制動オン・オフの繰返しに伴ってこ
の変形が進行する場合には、制動トルクが次第に低下す
るとともに、最悪の場合には円筒部が破損する。したが
って、円筒部の剛性には適正値がある。
【0025】本発明においてこれらの寸法値を限定した
理由を以下に述べる。ロータ円筒部の長さLと円筒部肉
厚t1 の比L/t1 を12以下とする。L/t1 が12
より大きいと、ロータ円筒部の半径方向の熱変形量が大
きくなり、耐久性の低下や制動力の低下の原因となる。
下限は特に定めないが、L/t1 を過度に小さくする
と、ロータの軸方向長さが短くなり、磁石と対向する部
分の面積が減少し、制動力が低下するため、下限を5と
するのが妥当であり、好適範囲は7〜11である。
【0026】ディスクの肉厚t2 とロータ円筒部の肉厚
1 の比t2 /t1 を0.60以上、1.25以下とす
る。t2 /t1 の値が0.60より小さい場合にはディ
スクの剛性が不足し、ディスクの風穴底から熱疲労き裂
が発生する。また、この値が1.25より大きい場合に
は、ディスクの熱疲労破壊は抑制できるが、円筒部の熱
変形量が大きくなり、耐久性の低下や制動力の低下の原
因となる。好適範囲は0.7〜1.2である。
【0027】ロータ内半径R、風孔半径r1 および風孔
個数nの関係は、0.10≦(n×r1 2)/R2 ≦0.
20、とする。ディスクを回転軸方向から見た時の表面
積はπ×R2 で表される(冷却フィン部、円筒部を除
き、中心部を含む)。風孔1個当たりの開口部の面積は
π×r1 2であり、全風孔ではn×π×r1 2である。従っ
て、両者の比(n×π×r1 2)/(π×R2 )=(n×
1 2)/R2 はディスクの表面積に対する開口部の割合
を代表するパラメータである。
【0028】この(n×r1 2)/R2 の値が0.10よ
り小さい場合には、ディスクの開口部が少ないため、風
穴を通って磁石に達する風量が少なくなる。このため、
磁石が高温となり、磁石の劣化や制動性能の低下をもた
らす。一方、(n×r1 2)/R2 値が0.20より大き
い場合には、風穴による磁石の冷却効果は十分に得られ
るが、ディスクの開口量が多いために、ディスクの剛性
が不十分となり、ディスクの塑性変形や風穴底からの熱
疲労き裂の発生などのディスクの損傷が生じる。好適範
囲は0.11〜0.16である。
【0029】円筒部の内半径Rと回転軸から風穴中心ま
での距離r2 の比、r2 /Rを0.85以上とする。デ
ィスクの開口部は磁石の冷却のために設けられるもので
あるが、磁石は円筒部と対向する位置、すなわち、ディ
スクの外側近傍に位置している。したがって、磁石を効
率的に冷却し、その昇温を抑制するためには風穴位置を
ディスクの半径方向の外側とした方が良い。また、風穴
の内側にはロータを回転軸に固定するためのボルトがあ
り、この位置でディスクの熱変形が拘束される。したが
って、風穴とボルト部の間隔が近い場合には、風穴のボ
ルト側穴底での熱応力や熱ひずみが大きくなり、この位
置から熱疲労き裂が発生する。以上の理由によって、r
2 /Rが0.85より小さく、風穴が相対的にディスク
の半径方向の内側に位置する場合には、風穴から熱疲労
き裂が発生し、耐久性の低下をもたらす。r2 /Rの好
適範囲は、0.86〜0.90である。
【0030】なお、図4において風穴の壁の断面形状は
真直としているが、強制的に磁石に通風するため、穴壁
面を傾斜させ、軸方向の通風効果を狙う構造としてもよ
い。また、図4においてディスクは平板形状としている
が、ディスクの耐曲げ剛性を損なわない範囲で、ディス
クに同心円状の凹凸すなわち、ディスクの径方向断面で
の屈曲部を設け、円筒部の熱変形に対して、ディスクの
熱応力を緩和する構造としてもよい。
【0031】
【実施例】本発明の効果を実施例によって説明する。図
4の形状の永久磁石式渦電流式減速装置用ロータを、表
1に示す寸法で作製した。作製した渦電流式減速装置は
10ton車用(内半径200mm、比較例1〜10、
本発明例1〜10)と4ton車用(内半径160m
m、比較例11、本発明例11、12)であった。設計
制動トルクは10ton車用が50kgf・m、4to
n車用が20kgf・mである。
【0032】これらの渦電流式減速装置のロータの材質
はMo系低合金鋼である。ロータ円筒部は、ローリング
鍛造(鍛造温度1100℃)により素材を円筒状に鍛造
し、その後、機械加工によりロータ外周部の冷却フィン
を形成した。ロータディスクは、素材を所定の形状に機
械加工した。次に、ロータ円筒部とディスクを溶接によ
り接合した後、ロータ内径、取り付け座面の仕上げ加工
及びボルト穴の加工と風穴の加工を行った。
【0033】
【表1】
【0034】表1に示す各種のロータを装備した渦電流
式減速装置の性能を調査するため、制動オン・オフを2
0サイクル繰返す試験を行った。オン・オフサイクル試
験の方法は、制動オン中にロータの円筒部の内周の表面
温度を監視し、この温度が650℃となった時点で制動
をオフにし、100℃まで冷却されたとき、再度、制動
オンとする方法であった。
【0035】同時に磁石の温度を測定した。磁石の温度
は制動オンで上昇し、制動オフで下降するが、最高温度
で見ると最初の数サイクルでは、順次上昇するが、以後
はサイクルによらず、ほぼ一定値となった。20サイク
ル終了後、一旦ロータを取り外し、ロータ円筒部の残留
変形を測定した。残留変形とは半径方向の最大変位量、
すなわち内径の増加量(mm)である。表2に20サイ
クル目での磁石温度、ロータ変形量および制動トルクの
測定結果を示す。
【0036】
【表2】
【0037】ロータの円筒部と磁石の間の空隙は設計上
1.0mm以下としているが、ロータに0.1mmを超
える残留変形があると、設計制動トルクが確保できない
ため、20サイクル試験での残留変形量が0.1mmを
超えるものを耐久性不良の判断基準とした。
【0038】表2に示すように、ロータのL/t1 値が
大きい比較例1、2や、t2 /t1値が大きい比較例5
では円筒部の残留変形量が0.1mmを超えており、耐
久性不良と判断した。
【0039】磁石種類によって異なるが、永久磁石は長
時間100℃以上の環境に置くと減磁が進行し性能が劣
化する。実車装備時の余裕を勘案して、磁石温度の上限
を90℃とした。
【0040】表2に示すように、ロータの(n×r1 2
/R2 値が小さい比較例6、8では、ロータ円筒部の熱
変形や制動トルクに問題はなかったが、前記の磁石の限
界温度90℃を超えたため、この点で不合格と判断し
た。
【0041】上記の20サイクル繰り返し試験に続い
て、制動オン・オフを長期にわたって繰り返す耐久試験
を実施した。ただし、前記の比較例1、2、5、6、8
のロータは20サイクル繰り返し試験での円筒部の変形
が大きかったり、磁石温度が異常に高温になったため、
耐久試験から除外した。
【0042】耐久試験の目標は6000サイクルであ
る。これは、トラック等が長い坂で渦電流式減速装置を
使用して、ロータの円筒部温度が650℃にまで上昇す
る回数が2回/日、年間300日稼動で10年間の寿命
(2×300×10=6000)を想定したものであ
る。
【0043】耐久試験の制動オン・オフ条件は前記の2
0サイクル繰り返し試験と同じとした。この試験では最
長6000回まで制動オン・オフを繰返したが、途中で
ロータのディスクの風穴から熱疲労き裂の発生が確認さ
れた場合には、その時点で試験を中止した。
【0044】表2に試験結果を併記する。ロータのt2
/t1 値が小さい比較例3、4、(n×r1 2)/R2
が大きい比較例7、9、11や、r2 /R値が小さい比
較例10、11ではこの耐久試験の途中で風穴部から熱
疲労き裂が発生し、耐久性の点で不合格となった。特
に、(n×r1 2)/R2 値が大きく、r2 /R値が小さ
い比較例11では最も早期に熱疲労き裂が発生した。
【0045】一方、本発明例の渦電流式減速装置では、
いずれも、6000サイクルの時点では熱疲労き裂は発
生していなかった。このように、本発明例は以上の性能
調査試験、耐久試験のいずれにおいても、不具合は発生
せず、制動性能や耐久性の点で優れていることが確認さ
れた。
【0046】本発明のロータの製造工程では、従来のア
ーム式ロータを製造する場合に比べて、部品点数が大幅
に少なく、その工程も簡略である。このため、低コスト
で短時間での製造が可能である。また、上記実施例では
ロータの円筒部とディスクを別に作製した後、溶接によ
って連結したが、一体鍛造や鋳造によって、両者を一度
に作製することも可能である。
【0047】
【発明の効果】本発明により、耐久性の高い渦電流式減
速装置を安価に提供することができ、大型車両の安全性
が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】渦電流式減速装置の構造を示す概要図で、同図
(a) は部分側面図、同図(b) は縦断面図である。
【図2】従来のアーム支持式のロータの構造を示す概要
図である。
【図3】従来のアーム支持式のロータの構造を示す概要
図である。
【図4】本発明のロータの構造を示す概要図で同図(a)
は部分側面図、同図(b) は部分縦断面図である。
【符号の説明】
1 ロータ 2 アーム 3 円筒部 4 冷却フィン 5 ステータ 6 永久磁石 7 支持リング 8 ポールピース 9 ピストンロッド 10 空圧装置 11 回転軸 12 案内棒 13 回転軸取り付け部材 14 支持金物 15 ディスク 16 支持片 17 風穴 18 ボルト穴

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁束の制御が可能な複数個の磁石が配設
    された回転しないステータと、回転するロータとを有す
    る渦電流式減速装置であって、前記ロータは一体に構成
    された円筒部とディスクとを有し、前記円筒部は強磁性
    体からなり、前記磁石と対面しており、回転中に前記磁
    石の磁束によって該円筒部に渦電流が誘起され、制動力
    が加わるように構成されており、前記ディスクには風穴
    を有し、前記ロータの各部の寸法は以下の条件にあるこ
    とを特徴とする渦電流式減速装置。 L/t1 ≦12、 0.60≦t2 /t1 ≦1.25、 0.10≦(n×r1 2)/R2 ≦0.20、 0.85≦r2 /R、 ここで、Lはロータの円筒部の軸方向長さ、t1 はロー
    タの円筒部の肉厚、t2はディスクの肉厚、Rは円筒部
    の内半径、nは風穴個数、r1 は風穴半径、r2は回転
    軸から風穴中心までの距離である。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003106259A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Tokico Ltd 往復動型圧縮機

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JP2003106259A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Tokico Ltd 往復動型圧縮機

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