JP3721937B2 - 渦電流式減速装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制動補助装置としてバスやトラックなどの大型自動車に取り付けられる渦電流式減速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、バスやトラックなどの大型自動車には、主ブレーキであるフットブレーキや補助ブレーキである排気ブレーキの他に渦電流式減速装置が取り付けられるようになってきた。この渦電流式減速装置は、長い降坂時などに安定した減速を行い、フットブレーキの使用回数を減少させて、ブレーキライニングの磨耗やフェード現象を防止するとともに制動停止距離を短縮する効果がある。
【0003】
この渦電流式減速装置には、磁石として電磁石を使用するものと永久磁石を使用するものがあり、最近では、制動時に通電を必要としない永久磁石を使用したものが多くなっている。
【0004】
図1は、永久磁石を使用した渦電流式減速装置の一例を示す断面図であり、(a)は部分側面図、(b)は平面図である。
【0005】
渦電流式減速装置は、回転軸1に連結されたロータ2と車体部(例えば、トランスミッションリヤーケース)に固定されたステータ3から構成されている。
【0006】
ロータ2は、冷却フィン4を備える円筒部5がスポーク6およびスポーク支持部材7によって支持され、ボス8を介して回転軸1に連結されている。ボス8には、図示するようにパーキングブレーキドラム9が取り付けられることもある。円筒部は、導電性材料で製作されている。
【0007】
ステータ3は、永久磁石片10,10-1を備える支持リング11,11-1と高透磁率材料で製作されたポールピース12とを備えるケーシング13がトランスミッションリヤーケース(図示せず)などに固定されている。支持リング11,11-1は、ケーシング13の中にあって、それぞれの円周部に複数個の永久磁石片10,10-1が配置され、駆動装置(図示せず)によって片方の支持リング11が磁石片の取り付け1ピッチだけ円周方向に摺動する。支持リング11が摺動することによって、永久磁石片10,10-1の表面の磁極が軸方向で異なる配置になれば円筒部に制動力が働かず(制動オフの状態)、軸方向で同じ配置になれば円筒部に制動力が働く(制動オンの状態)ことになる。
【0008】
制動オンの状態では、永久磁石片10,10-1から発する磁束を横切ってロータ2の円筒部5が回転するので、ロータの円筒部の内周面の表面近傍に渦電流が流れる。この渦電流と磁束の相互作用によってロータ2には制動トルクが発生する。
【0009】
電磁石を使用した渦電流式減速装置においても制動トルクの発生原理は、永久磁石の場合と同じである。ただし、永久磁石を用いる場合には、前記のように磁石が摺動運動することによって制動のオン・オフを行うのに対して、電磁石を用いる場合には、電磁石コイルの電流を調整することによって制動のオン・オフを行う。
【0010】
制動オン時にロータの円筒部5に誘起される渦電流はジュール熱を発生するため、円筒部には制動のオン・オフの繰返しによって加熱・冷却の熱サイクルが負荷される。この熱サイクルによって、円筒部は膨張・収縮を繰返し、側板部には円筒部との結合部および回転軸のボスとの結合部に熱ひずみが発生する。側板部には、このほか回転によるひずみが重畳され、き裂が発生する。このため、例えば実開平5-18262号公報には、円筒部と回転軸のボスとの間をゴムブッシュなどの緩衝部材を内蔵するスポーク状のアーム構造として、円筒部の熱膨張を吸収する構造(たとえば、図1の符号6-1参照)が開示されている。しかし、この構造では、部品点数が多くなり、組立後の回転バランスの調整などに長い時間を要していた。
【0011】
特開平11-308852号公報には、ロータの円筒部を中心に開口部を有する側板(以下、これを単に「側板」という)で結合した構造の渦電流式減速装置が開示されている。これは、前述のロータのアームを円板状(側板)とすることによって、製造コストの低減および組立の容易さを可能としたものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように大型自動車には、フットブレーキ、排気ブレーキなどの減速装置およびパーキングブレーキが備えられている。渦電流式減速装置は、車体スペースを軽減するため、図1に示すようにパーキングブレーキ装置と併設されることが多い。パーキングブレーキ装置は、ブレーキドラムとブレーキパッドとの間隔を調整する必要がある。しかし、上述のロータの円筒部を側板で結合した構造では、アームで連結したもののように開口部がない。このため、パーキングブレーキの調整を行うには、ロータを回転軸のボスから取り外して行う必要がある。
【0013】
本発明の目的は、ロータを回転軸のボスから取り外すことなくパーキングブレーキの調整を可能とした側板で円筒部を連結した渦電流式減速装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
ロータの円筒部を側板で結合した構造の渦電流式減速装置で、ロータを回転軸に装着したままパーキングブレーキ装置の調整を行うには、パーキングブレーキドラムの調整穴に対向する側板側の位置に調整(以下、「パーキングブレーキの調整穴」又は単に「調整穴」ということもある。)を設けることである。しかし、側板に穴を設けることは、切り欠きによる応力集中部を増加させ、側板部の強度を低下させることになる。そこで、本発明者らは、穴の形状および穴を設ける位置について、計算および実験による検討を行い、これらを適正化することによって側板の応力集中を低減できることを見いだし、本発明を完成した。
【0015】
本発明は、図2に示す下記の渦電流式減速装置を要旨とする。
【0016】
回転する円筒部を磁界によって減速する渦電流式減速装置であって、円筒部が中心に穴を有する円板状の側板によって回転軸に連結されており、前記円筒部および側板の形状が下記(1)および(2)式を満足し、かつ側板部に下記(3)〜(9)式を満足するパーキングブレーキの調整穴が設けられていることを特徴とする渦電流式減速装置。
W/t1≦12 ・・・・・・・・・・・・・ (1)
2/t1=0.60〜1.25 ・・・・・・・・・(2)
1/R=0.55〜0.68 ・・・・・・・・・ (3)
2≧10mm ・・・・・・・・・・・・・・(4)
2/R≦0.18 ・・・・・・・・・・・・ (5)
3/r2≧0.30 ・・・・・・・・・・・・(6)
4/r2≧0.25 ・・・・・・・・・・・・(7)
L≧10mm ・・・・・・・・・・・・・・ (8)
L/{2π(r1+r2/2)}≦0.070 ・・・・・・(9)
ここで、
Wは円筒部の軸方向の長さ(mm)、
1は円筒部の厚さ(mm)、
2は側板の厚さ(mm)、
Rは円筒部の内側半径(mm)、
1パーキングブレーキの調整穴の回転軸中心から近い方の側面までの距離(mm)、
2パーキングブレーキの調整穴の側板半径方向の長さ(mm)、
Lは前記r2中心部の周方向の長さ(mm)、
3パーキングブレーキの調整穴の回転軸中心から遠い方の辺(上辺)の隅角半径(mm)
および
4パーキングブレーキの調整穴の回転軸中心から近い方の辺(下辺)の隅角半径(mm)
である。
【0017】
上記の磁界の発生は、永久磁石片で行うのが望ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の渦電流式減速装置を磁界を発生させる装置に永久磁石を使用した例について説明する。
【0019】
図2は、本発明の渦電流式減速装置のうち永久磁石を使用したものの構造の一例を示す図であり、(a)は部分縦断面図、(b)は回転軸の軸方向から見た部分正面図である。
【0020】
本発明の永久磁石を使用した渦電流式減速装置は、ロータ2を回転軸1に連結する側板14以外の構造は図1に示した従来の永久磁石を使用した渦電流式減速装置と同様である。
【0021】
ロータ2は、複数個の冷却フィン4を備える円筒部5の片側面が側板14の外周部の側面に一体に結合され、ボス8を介して回転軸1に連結されている。従来の渦電流式減速装置では、円筒部5がスポーク(図1の符号6、参照)の先端部側面に溶接され、スポークがスポーク支持部材(図1の符号7、参照)によってボス8に結合されていた。
【0022】
側板14は、中心に開口部20、周辺に複数個の風穴17が穿たれ、開口部20の周辺にはパーキングブレーキ装置を調整するための2つの穴15およびボス8に取り付けるための2つのボルト穴18が設けられている。
【0023】
ボス8は、回転軸に固定され、側板14、パーキングブレーキドラム9およびプロペラシャフト(図示せず)が取り付けられる。
【0024】
図3は、円筒部、側板、側板に設けられた調整穴と風穴の寸法およびボルト穴の位置を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は正面図である。
【0025】
円筒部5は、片側の面を側板14の外周部の側面に一体化されている。制動のオン・オフによる加熱・冷却サイクルによって円筒部5には、膨張・収縮が繰り返され円周方向の応力が生じる。また、円筒部が回転することによって円周方向の応力と半径方向の応力が生じる。したがって、側板との結合部に疲労き裂が発生する。これを防止するため、本発明では、円筒部の取り付け部の剛性をできるだけ小さくする。円筒部の取り付け部の剛性は、円筒部の厚さt1、円筒部の軸方向の長さW、側板14の厚さt2および冷却フィンの大きさによって変化する。
【0026】
円筒部は、制動力を確保するため渦電流による発熱を吸収するに必要な体積(熱容量)、すなわち円筒部の軸方向の長さWおよび厚さt1を確保する必要がある。また、円筒部には冷却するための冷却フィン4が設けられている。冷却フィンは、剛性および体積を増す方向に作用するが、その形状は複雑である。ここでは、フィンの影響を円筒部の厚さに付加(t1×1.2)した値を用いて計算を行った。
【0027】
円筒部の取り付け部の剛性を小さくする他の方法には、円筒部の厚さt1および側板14の厚さt2を小さくすればよい。しかし、円筒部の厚さt1を小さくすると、熱容量が低下するとともに熱変形量が大きくなり、ポールピース(図1の符号12、参照)と円筒部(図1の符号5、参照)との間隔が大きくなって制動力が低下する。円筒部の形状は、計算および実験結果から、軸方向の長さWが大きくなり厚さt1との比(W/t1)が12を超えると残留変形量(円筒部内径の熱変形量)が大きくなり、制動力の低下を招く。したがって、円筒部の形状は、軸方向の長さWと厚さt1との比(W/t1)を12以下とする。なお、W/t1の望ましい範囲は、7〜11である。
【0028】
側板14は、外周部で円筒部5の一端に一体化されているので、円筒部が熱膨張することによって半径方向の応力が生じる。また、回転することによる円周方向の応力と半径方向の応力が生じる。側板14と円筒部5との接合部の強度を確保するためには、円筒部の変形量を拘束しないような剛性を側板にもたせればよい。しかし、円筒部の厚さt1と側板の厚さt2との比(t2/t1)が0.6未満では側板の剛性が不足し、調整穴からき裂が発生する。また、t2/t1が1.25を超えると円筒部の半径方向の熱変形量が大きくなり、制動力の低下を招く。したがって、円筒部の厚さt1と側板の厚さt2との比(t2/t1)を0.6〜1.25とする。なお、t2/t1の望ましい範囲は、0.7〜1.2である。
【0029】
次に、調整穴の形状を決定する方法について説明する。
【0030】
渦電流式減速装置には、図2に示すように環状のステータ2の内側にパーキングブレーキ装置が設けられており、ブレーキドラム9とブレーキパツド(図示せず)との間隔を調整する必要がある。従来のスポーク式のロータでは、図1に示すようにパーキングブレーキドラムの調整穴16がスポーク6とスポーク6との間に設けられており、調整穴16に調整具(工具)を挿入することができる。しかし、本発明の側板式のロータでは、調整穴が側板で覆われている。このため、側板部に調整穴が必要である。
【0031】
調整穴の形状を決定するには、制動オン・オフ時の側板の変形状態を知る必要がある。制動オンでは、円筒部は渦電流によって温度が上昇し、膨張する。このため、側板部は、半径方向に引っ張りひずみが生じ、特に、内径側の応力が大きくなり、疲労破損することがある。なお、中心に穴のある回転円板に風穴および調整穴を設けたときの応力解析式は、たとえば一般的な教科書などに記載されているような単純な解析法ではなく、熱応力の影響も考慮するために有限要素法解析を行った。
【0032】
本発明は、上述したように側板の厚さを薄くして剛性を小さくしているため、調整穴を設けると強度が低下する。したがって、調整穴の最適な形状およびそれを設ける位置が重要である。
【0033】
調整穴の最適な形状は、有限要素法によって求め、さらに試験体による制動回転試験によって求めた。
【0034】
図3に示すように調整穴15の形状は、側板14の半径方向の長さをr2(mm)、そのr2の中央で側板14の円周方向の長さをL(mm)、穴の回転軸中心から遠い方(上辺)の隅角半径をr3(mm)、穴の回転軸中心から近い方(下辺)の隅角半径をr4(mm)とする。調整穴の位置は、側板の回転軸中心から調整穴の回転軸に近い側面(下辺)までの距離r1(mm)で示す。
【0035】
計算に用いた前提条件は、下記▲1▼〜▲5▼に示すとおりである。
▲1▼計算に使用するロータの各部の寸法は、図3に示すとおりである。
▲2▼円筒部5と側板14とは、円筒部5の一側面が側板14の円周部に剛に一体に連結されている。
▲3▼円筒部5は、内半径R=150mm、厚さt1=8mm、長さW=70mmであり、その外周部に50枚のフィンが45°方向に設けられている。フィンの断面形状は、底辺の長さ8mm、上辺の長さ4mm、高さ10mmである。
▲4▼側板は、厚さt2が5mm、外径が円筒部の外径にほぼ等しく、中心部に半径R1の開口部20を有する円板である。開口部は、図示するように繭の断面のような形状をしているが、半径R1=75mmの円とした。側板には、直径d2=260mmの位置に直径d1=30mmの風穴が14個穿たれている。
▲5▼ロータは、2000rpmで回転しながら制動をオンとし、円筒部の内面温度が600℃になったとき、制動をオフとする。そして、冷却後100℃となった時点で制動を再度オンとする熱サイクルを付加し、この熱サイクルに伴い調整穴の周囲に生じる塑性ひずみ量を求めた。したがって、円筒部の内面最高温度は600℃、このとき円筒部外周部の最高温度は510℃、フィンの最外周部の最高温度は420℃である。
【0036】
(1)調整穴の位置r1について:
回転軸中心から調整穴半径方向の下辺までの長さr1が小さくなれば、円筒部の熱膨張による応力および回転による応力との重畳によって調整穴の下辺に生じる円周方向応力が大きくなる。このため、調整穴の下辺には円周方向の非弾性ひずみが生じ、疲労き裂が発生する。また、r1が大きくなれば、調整穴の位置がステータの位置と重なり合うため、パーキングブレーキを調整することができない。したがって、回転軸中心から調整穴半径方向の下辺までの長さr1は、円筒部内径をRとした場合、r1/Rの比を0.55〜0.68とした。さらに好ましい範囲は、0.58〜0.65である。
【0037】
(2)調整穴の側板半径方向の長さr2および側板円周方向の長さLについて:
調整穴の側板半径方向の長さr2および側板円周方向の長さLは、調整工具を挿入できればよく、10mm以上必要である。
【0038】
調整穴の側板半径方向の長さr2と円筒部内半径Rとの比(r2/R)が0.18を超えると調整穴の下辺に円周方向のひずみが集中して、き裂が発生する。したがって、調整穴の側板半径方向の長さr2は、r2/Rの比を0.18以下とした。さらに好ましい範囲は、0.15以下である。
【0039】
調整穴の側板円周方向の長さLと調整穴の側板半径方向の長さr2の中心部における側板の円周方向の長さ{2π(r1+ r2/2)}との比(L/{2π(r1+ r2/2)})が0.070を超えると、調整穴の側辺にひずみが集中し、き裂が発生する。したがって、比(L/{2π(r1+ r2/2)})の値は、0.070以上とした。さらに好ましい範囲は、0.058以上である。
【0040】
(3)調整穴の隅角半径について:
調整穴15の上辺側の隅角半径r3と調整穴の側板半径方向の長さr2との比r3/r2が0.30未満では、調整穴の上辺にひずみが集中して、き裂が発生する。したがって、r3/r2の比は、0.30以上とした。さらに好ましい範囲は、0.35〜0.70である。
【0041】
調整穴15の下辺側の隅角半径r4と調整穴の側板半径方向の幅r2との比r4/r2が0.25未満では、調整穴の下辺にひずみが集中して、き裂が発生する。したがって、r4/r2の比は、0.25以上とした。さらに好ましい範囲は、0.30〜0.65である。
【0042】
【実施例】
図2に示す形状のロータを、表1に示す寸法で作製した。ロータの材質は、側板部および円筒部をCr-Mo系低合金鋼(JIS SCM415)から構成した。
【0043】
円筒部5は、ローリング鍛造法によって素材を円筒状に鍛造し、その後、機械加工によって外周部に冷却フィン(底辺の長さ8mm、上辺の長さ4mmおよび高さ10mm)を形成した。円筒部の形状は、内半径を150mm、軸方向の長さWを62〜75mm、厚さt1を10〜13mmに変化させたものと、内半径を200mm、軸方向の長さWを75〜90mm、厚さt1を6〜10mmに変化させたものを製作した。なお、冷却フィンの枚数は、円筒部内半径が150mmのものは50枚、200mmのものは70枚である。
【0044】
側板部14は、素材を所定の形状に機械加工した。側板の厚さは5〜10mmに変化させた。いずれも直径260mmの円周をボルト穴を中心に16等分して2本のボルト穴の延長部を除く位置に14個の風穴(直径30mm)を設けた。調整穴は、表1に示す寸法のものを2本のボルト穴の延長部に回転軸の中心を対称として2個設けた。円筒部と側板部とは、溶接によって一体構造とした。
【0045】
【表1】
Figure 0003721937
【0046】
1.耐久性試験
表1に示す渦電流式減速装置について制動オン・オフの繰り返し試験を行った。
【0047】
耐久試験は、制動オン中にロータの円筒部の内周の表面温度を測定し、この温度が600℃となった時点で制動オフにし、100℃まで冷却された時に、再度、制動オンとする方法である。また、試験は回転軸に連結しているプロペラシャフトの回転速度が2000rpm一定の条件で行った。き裂の有無は、制動のオン・オフの繰り返しを100回で中断し、カラーチェックによってロータにき裂が発生していないかを検査した。そして、10000回でき裂が検出できなかったものを合格とした。これらの結果を表1に示した。
【0048】
2.円筒部の変形量
上記の耐久試験における最初のオン・オフの繰り返し20回でロータを取り外し、円筒部の残留変形量(内径の変化量)を測定した。
【0049】
これらの結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
Figure 0003721937
【0051】
番号1の渦電流式減速装置は、回転軸の中心から調整穴までの距離r1が78mmと小さいため、円筒部内半径Rとの比r1/ Rが0.520と小さい。このため、2700回の耐久性試験で調整穴の回転軸中心に近い辺(これを「調整穴の下辺」という)にき裂が発生した。
【0052】
番号2の渦電流式減速装置は、調整穴の半径方向の長さr2が28mmと大きいため、円筒部内半径Rとの比r2/ Rが0.187と大きい。このため、3200回の耐久性試験で調整穴の下辺にき裂が発生した。
【0053】
番号3の渦電流式減速装置は、調整穴の半径方向の長さr2が15mmに対して調整穴の回転軸中心に遠い辺(これを「調整側の上辺」という)の隅角半径r3が4mmで、その比r3/r2が0.267と小さい。このため、7000回の耐久性試験で調整穴の上辺にき裂が発生した。
【0054】
番号4の渦電流式減速装置は、調整穴の半径方向の長さr2が22mmに対して調整穴の下辺隅角半径r4が5mmで、その比r4/r2が0.227と小さい。このため、3600回の耐久性試験で調整穴の下辺にき裂が発生した。
【0055】
番号5の渦電流式減速装置は、調整穴の円周方向の長さLが44mmと大きく、長さLと半径方向の長さr2の中心部の円周の長さとの比(L/{2π(r1+r2/2)})が0.074と大きい。このため、5800回の耐久性試験で調整穴の半径方向側辺にき裂が発生した。
【0056】
番号6の渦電流式減速装置は、円筒部の長さWと円筒部の厚さt1との比W/t1が12.5と大きいため、ロータの残留変形量が0.14mmと大きい。このため、耐久試験は20回で中止した。
【0057】
番号7の渦電流式減速装置は、側板の厚さt2と円筒部の厚さt1との比t2/t1が0.500と小さいため、4800回の耐久試験で調整穴の下辺にき裂が発生した。
【0058】
番号8の渦電流式減速装置は、側板の厚さt2と円筒部の厚さt1との比t2/t1が1.290と大きいため、ロータの残留変形量が0.11mmと大きい。このため、耐久試験は20回で中止した。
【0059】
番号9の渦電流式減速装置は、調整穴の半径方向の長さr2が38mmと大きいため、円筒部内半径Rとの比r2/ Rが0.190と大きい。このため、4100回の耐久性試験で調整穴の下辺にき裂が発生した。
【0060】
番号10の渦電流式減速装置は、回転軸の中心から調整穴までの距離r1が108mmと小さいため、円筒部内半径Rとの比r1/ Rが0.540と小さい。このため、2900回の耐久性試験で調整穴の下辺にき裂が発生した。
【0061】
これに対し、本発明例の渦電流式減速装置(番号11〜22)は、いずれも耐久試験で10000回の時点で、き裂が観察されなかった。このように、本発明例の渦電流式減速装置は、渦電流式減速装置を搭載後にロータを取り外さずに周辺装置を調整することが可能であり、耐久性にも優れていることが確認された。
【0062】
【発明の効果】
本発明の渦電流式減速装置は、ロータの円筒部を側板で連結し、その側板に耐久性に優れた形状の風穴およびパーキングブレーキ装置を調整する耐久性に優れた形状の穴を設けたので、ロータを取り外すことなく、パーキングブレーキ装置の調整を行うことができる。この渦電流式減速装置を搭載すればメンテナンス費用が安く、かつ、耐久性に優れ、大型車両の安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】永久磁石を使用した渦電流式減速装置の一例を示す断面図であり、(a)は部分縦断面図、(b)は部分正面図である。
【図2】本発明のロータの構造を示す概要図であり、(a)は部分縦断面図、(b)は部分正面図である。
【図3】本発明のロータの側板に設けた調整穴および風穴の形状を示す図である。
【符号の説明】
1.回転軸 2.ロータ 3.ステータ
4.冷却フィン 5.円筒部 6.スポーク
7.スポーク支持部材 8.ボス
9.パーキングブレーキドラム 10,10-1.永久磁石片
11,11-1.支持リング 12.ポールピース
13.ケーシング 14.側板 15,16.調整穴
17.風穴 18,19.ボルト穴 20.側板の開口部

Claims (1)

  1. 回転する円筒部を磁界によって減速する渦電流式減速装置であって、円筒部が中心に穴を有する円板状の側板によって回転軸に連結されており、前記円筒部および側板の形状が下記(1)および(2)式を満足し、かつ側板部に下記(3)〜(9)式を満足するパーキングブレーキの調整穴が設けられていることを特徴とする渦電流式減速装置。
    W/t1≦12 ・・・・・・・・・・・・・ (1)
    2/t1=0.60〜1.25 ・・・・・・・・・(2)
    1/R=0.55〜0.68 ・・・・・・・・・ (3)
    2≧10mm ・・・・・・・・・・・・・・(4)
    2/R≦0.18 ・・・・・・・・・・・・ (5)
    3/r2≧0.30 ・・・・・・・・・・・・(6)
    4/r2≧0.25 ・・・・・・・・・・・・(7)
    L≧10mm ・・・・・・・・・・・・・・ (8)
    L/{2π(r1+r2/2)}≦0.070 ・・・・・・(9)
    ここで、
    Wは円筒部の軸方向の長さ(mm)、
    1は円筒部の厚さ(mm)、
    2は側板の厚さ(mm)、
    Rは円筒部の内側半径(mm)、
    1パーキングブレーキの調整穴の回転軸中心から近い方の側面までの距離(mm)、
    2パーキングブレーキの調整穴の側板半径方向の長さ(mm)、
    Lは前記r2中心部の周方向の長さ(mm)、
    3パーキングブレーキの調整穴の回転軸中心から遠い方の辺(上辺)の隅角半径(mm)
    および
    4パーキングブレーキの調整穴の回転軸中心から近い方の辺(下辺)の隅角半径(mm)
    である。
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