JPH11302916A - 異形断面繊維の乾湿式紡糸口金 - Google Patents
異形断面繊維の乾湿式紡糸口金Info
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- JPH11302916A JPH11302916A JP11660298A JP11660298A JPH11302916A JP H11302916 A JPH11302916 A JP H11302916A JP 11660298 A JP11660298 A JP 11660298A JP 11660298 A JP11660298 A JP 11660298A JP H11302916 A JPH11302916 A JP H11302916A
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- Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】炭素繊維と樹脂との接着性や、圧縮強度、曲げ
強度などに優れた複合材料のための異形断面繊維を生産
性良く得ること。 【解決手段】中心孔と、該中心孔の外周にそれぞれ半径
が異なる複数個の同心円と、中心孔の中心から外に向け
て72°、90°または120°のいずれかの角度で実
質的に等角度間隔に引いた半直線との交点上に穿孔され
た複数個の外周孔とからなる小孔群を複数群有したこと
を特徴とする異形断面繊維紡糸用の乾湿式紡糸口金。
強度などに優れた複合材料のための異形断面繊維を生産
性良く得ること。 【解決手段】中心孔と、該中心孔の外周にそれぞれ半径
が異なる複数個の同心円と、中心孔の中心から外に向け
て72°、90°または120°のいずれかの角度で実
質的に等角度間隔に引いた半直線との交点上に穿孔され
た複数個の外周孔とからなる小孔群を複数群有したこと
を特徴とする異形断面繊維紡糸用の乾湿式紡糸口金。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は異形断面繊維を得る
ための乾湿式紡糸口金に関する。特に、複合材料に従来
にない特性を付与する炭素繊維を得るための前駆体とし
ての、アクリル系異形断面繊維を得るにあたって好適な
乾湿式紡糸口金に関する。
ための乾湿式紡糸口金に関する。特に、複合材料に従来
にない特性を付与する炭素繊維を得るための前駆体とし
ての、アクリル系異形断面繊維を得るにあたって好適な
乾湿式紡糸口金に関する。
【0002】
【従来の技術】複合材料における炭素繊維と樹脂との接
着性を良好なものとし、かつ圧縮強度、曲げ強度などの
特性を向上させるために、断面異形度が大きい異形断面
繊維を前駆体とした炭素繊維を使用することが有効であ
ることが知られている。
着性を良好なものとし、かつ圧縮強度、曲げ強度などの
特性を向上させるために、断面異形度が大きい異形断面
繊維を前駆体とした炭素繊維を使用することが有効であ
ることが知られている。
【0003】また、かかる異形断面繊維を生産性良く紡
糸するための技術として、特許第2550807号公報
に記載のとおり、中心孔と、該中心孔の外周の円周方向
に間隔をおいて穿孔された複数個の外周孔からなる小孔
群を複数群有し、外周孔の各々の断面積が、中心孔の断
面積に対し1.1〜3.0倍である乾湿式紡糸口金が使
用されている。
糸するための技術として、特許第2550807号公報
に記載のとおり、中心孔と、該中心孔の外周の円周方向
に間隔をおいて穿孔された複数個の外周孔からなる小孔
群を複数群有し、外周孔の各々の断面積が、中心孔の断
面積に対し1.1〜3.0倍である乾湿式紡糸口金が使
用されている。
【0004】しかし、かかる口金は、単一の同心円に外
周孔が穿孔されているため、紡糸される繊維の断面形状
が円形に比較的近いもの、例えば後述する断面異形度で
2〜2.9程度のものとなり、このような繊維より得ら
れる炭素繊維はそれと樹脂を使用して複合材料を製造し
ても、得られる複合材料における、炭素繊維と樹脂との
接着性や、圧縮強度、曲げ強度などの特性がまだ十分で
なく、成形品において部分的に強い圧縮応力がかかった
ときに脆性破壊を起こす場合があった。
周孔が穿孔されているため、紡糸される繊維の断面形状
が円形に比較的近いもの、例えば後述する断面異形度で
2〜2.9程度のものとなり、このような繊維より得ら
れる炭素繊維はそれと樹脂を使用して複合材料を製造し
ても、得られる複合材料における、炭素繊維と樹脂との
接着性や、圧縮強度、曲げ強度などの特性がまだ十分で
なく、成形品において部分的に強い圧縮応力がかかった
ときに脆性破壊を起こす場合があった。
【0005】また、紡糸される繊維の断面異形度を大き
くするため、口金の各小孔群において、2重、3重の同
心円上に外周孔を穿孔した口金を使用すると、特許第2
550807号公報に記載のように、孔面積が増加する
ことにより細繊度の繊維を得るのが困難となったり、こ
のような繊維を炭素繊維に転換する焼成工程での繊維の
割れが頻発した。
くするため、口金の各小孔群において、2重、3重の同
心円上に外周孔を穿孔した口金を使用すると、特許第2
550807号公報に記載のように、孔面積が増加する
ことにより細繊度の繊維を得るのが困難となったり、こ
のような繊維を炭素繊維に転換する焼成工程での繊維の
割れが頻発した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、繊維
の断面形状が中心から外周に向かって放射状に伸びた複
数個の突起を有し、その異形断面度が3以上と大きく、
また、別々の孔より吐出された繊維の接合部におけるく
びれが滑らかな形状である異形断面繊維紡糸用の乾湿式
紡糸口金を提供することにある。
の断面形状が中心から外周に向かって放射状に伸びた複
数個の突起を有し、その異形断面度が3以上と大きく、
また、別々の孔より吐出された繊維の接合部におけるく
びれが滑らかな形状である異形断面繊維紡糸用の乾湿式
紡糸口金を提供することにある。
【0007】かかる口金を用いて得られるアクリル系異
形断面繊維は、それから得られる炭素繊維と樹脂との接
着性に優れ、かつ複合材料の圧縮強度、曲げ強度などの
特性が大巾に向上する一方で、繊維の割れなどによる紡
糸性の悪化がないため、炭素繊維の前駆体として好適に
用い得る。
形断面繊維は、それから得られる炭素繊維と樹脂との接
着性に優れ、かつ複合材料の圧縮強度、曲げ強度などの
特性が大巾に向上する一方で、繊維の割れなどによる紡
糸性の悪化がないため、炭素繊維の前駆体として好適に
用い得る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため次の構成を有する。すなわち、中心孔と、該
中心孔の外周にそれぞれ半径が異なる複数個の同心円
と、中心孔の中心から外に向けて72°、90°または
120°のいずれかの角度で実質的に等角度間隔に引い
た半直線との交点上に穿孔された複数個の外周孔とから
なる小孔群を有し、その小孔群において中心孔と外周孔
が、次の(1)〜(4)式を満足することを特徴とする
異形断面繊維の乾湿式紡糸口金である。 0.5≦A1/S ≦1・・・・・・・・・・・・・・・・(1) 0.3≦An/An-1≦1・・・・・・・・・・・・・・・(2) 0.05mm≦L1 ≦0.15mm・・・・・・・・・・(3) 0.05mm≦Ln ≦0.15mm・・・・・・・・・・(4) ここで、Sは中心孔の断面積、A1は第1外周孔の断面
積、An(n=2〜5)は第n外周孔の断面積、L1は中
心孔と最も中心孔に近い外周孔との間隔、Ln(n=2
〜5)は中心孔からn番目の外周孔とn−1番目の外周
孔との間隔、をそれぞれ表す。
決するため次の構成を有する。すなわち、中心孔と、該
中心孔の外周にそれぞれ半径が異なる複数個の同心円
と、中心孔の中心から外に向けて72°、90°または
120°のいずれかの角度で実質的に等角度間隔に引い
た半直線との交点上に穿孔された複数個の外周孔とから
なる小孔群を有し、その小孔群において中心孔と外周孔
が、次の(1)〜(4)式を満足することを特徴とする
異形断面繊維の乾湿式紡糸口金である。 0.5≦A1/S ≦1・・・・・・・・・・・・・・・・(1) 0.3≦An/An-1≦1・・・・・・・・・・・・・・・(2) 0.05mm≦L1 ≦0.15mm・・・・・・・・・・(3) 0.05mm≦Ln ≦0.15mm・・・・・・・・・・(4) ここで、Sは中心孔の断面積、A1は第1外周孔の断面
積、An(n=2〜5)は第n外周孔の断面積、L1は中
心孔と最も中心孔に近い外周孔との間隔、Ln(n=2
〜5)は中心孔からn番目の外周孔とn−1番目の外周
孔との間隔、をそれぞれ表す。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明をさらに詳細に説明
する。
する。
【0010】本発明による口金は、異形断面の繊維を乾
湿式紡糸法により紡糸するための口金である。ここで、
繊維の断面形状を異形とする効果、あるいは断面形状を
放射形状とする効果は、かかる繊維を炭素繊維に転換
後、すなわち焼成後に、炭素繊維強化複合材料として使
用した場合、その放射形状が転換の前後で、変化なく保
持されることにより、樹脂に対する炭素繊維のアンカー
効果が発揮され、複合材料の繊維軸に対して90°方向
での繊維と樹脂との接着性が向上することに代表され
る。
湿式紡糸法により紡糸するための口金である。ここで、
繊維の断面形状を異形とする効果、あるいは断面形状を
放射形状とする効果は、かかる繊維を炭素繊維に転換
後、すなわち焼成後に、炭素繊維強化複合材料として使
用した場合、その放射形状が転換の前後で、変化なく保
持されることにより、樹脂に対する炭素繊維のアンカー
効果が発揮され、複合材料の繊維軸に対して90°方向
での繊維と樹脂との接着性が向上することに代表され
る。
【0011】ここで、炭素繊維の断面異形度(=断面形
状に内接する円の半径に対する、断面形状に外接する円
の半径の比率)が3以上である場合に、複合材料におけ
る90°方向での炭素繊維と樹脂との接着性が特に顕著
に向上する。そのため、前駆体であるアクリル系繊維
も、その断面異形度が前記炭素繊維と同程度の範囲のも
のであることが望まれる。
状に内接する円の半径に対する、断面形状に外接する円
の半径の比率)が3以上である場合に、複合材料におけ
る90°方向での炭素繊維と樹脂との接着性が特に顕著
に向上する。そのため、前駆体であるアクリル系繊維
も、その断面異形度が前記炭素繊維と同程度の範囲のも
のであることが望まれる。
【0012】放射形状とは、中心から外周に向かって放
射状に伸びた複数個の突起を有し、かつ元来は別々の孔
より吐出された繊維の接合部のくびれが滑らかな形状で
あり、また突起の厚みも一様なため、樹脂との接触面積
を拡大することで繊維と樹脂との接着性を向上させた、
極めて特徴ある形状のことである。
射状に伸びた複数個の突起を有し、かつ元来は別々の孔
より吐出された繊維の接合部のくびれが滑らかな形状で
あり、また突起の厚みも一様なため、樹脂との接触面積
を拡大することで繊維と樹脂との接着性を向上させた、
極めて特徴ある形状のことである。
【0013】さらに、本放射形状は72°、90°また
は120°のいずれかの角度で回転対称であるため、こ
れにより炭素繊維の回転による断面2次モーメントの差
が小さくなることも複合材料の圧縮強度や曲げ強度など
の特性の向上に寄与する。
は120°のいずれかの角度で回転対称であるため、こ
れにより炭素繊維の回転による断面2次モーメントの差
が小さくなることも複合材料の圧縮強度や曲げ強度など
の特性の向上に寄与する。
【0014】本発明による異形断面繊維の乾湿式紡糸口
金は、図1に示すような、中心孔と該中心孔を取り囲む
複数個の外周孔とからなる小孔群を、通常複数群有した
ものである。
金は、図1に示すような、中心孔と該中心孔を取り囲む
複数個の外周孔とからなる小孔群を、通常複数群有した
ものである。
【0015】各々の小孔群における中心孔の直径は、
0.04〜0.14mmが好ましい。
0.04〜0.14mmが好ましい。
【0016】また、外周孔については、中心孔から近い
同心円上に穿孔されたものより、第1外周孔、第2外周
孔...と称する。第1外周孔の断面積は、中心孔の断
面積に対して0.5〜1倍、好ましくは0.7〜0.8
倍であることが必要である。
同心円上に穿孔されたものより、第1外周孔、第2外周
孔...と称する。第1外周孔の断面積は、中心孔の断
面積に対して0.5〜1倍、好ましくは0.7〜0.8
倍であることが必要である。
【0017】第1外周孔の断面積が、中心孔の断面積に
対して0.5倍より小さいと、断面形状の内接円半径に
対する外接円半径の比率が下がり、所望する断面異形度
の大きな異形断面繊維を得られない。また1倍より大き
いと、別々の外周孔より吐出された繊維の接合部のくび
れが鋭くV字の形状に切れ込んだようになり、この部位
での割れの原因となり易く、さらに2倍より大きいと、
断面形状の内接円半径に対する外接円半径の比率が下が
り、所望する断面異形度の大きな異形断面繊維を得られ
ず、本発明の目的を達成できない。
対して0.5倍より小さいと、断面形状の内接円半径に
対する外接円半径の比率が下がり、所望する断面異形度
の大きな異形断面繊維を得られない。また1倍より大き
いと、別々の外周孔より吐出された繊維の接合部のくび
れが鋭くV字の形状に切れ込んだようになり、この部位
での割れの原因となり易く、さらに2倍より大きいと、
断面形状の内接円半径に対する外接円半径の比率が下が
り、所望する断面異形度の大きな異形断面繊維を得られ
ず、本発明の目的を達成できない。
【0018】さらに、外周孔は中心孔に対して実質的に
回転対称になるように配置するのが好ましい。すなわ
ち、外周孔が3個の場合は120゜で回転対称になるよ
うに、外周孔が4個の場合は90゜で回転対称になるよ
うに、外周孔が5個の場合は72゜で回転対称になるよ
うに、それぞれ配置するものであるが、本発明の目的を
達成できれば、僅かのずれがあっても差し支えない。
回転対称になるように配置するのが好ましい。すなわ
ち、外周孔が3個の場合は120゜で回転対称になるよ
うに、外周孔が4個の場合は90゜で回転対称になるよ
うに、外周孔が5個の場合は72゜で回転対称になるよ
うに、それぞれ配置するものであるが、本発明の目的を
達成できれば、僅かのずれがあっても差し支えない。
【0019】各外周孔の断面積は、それより1つ内周に
ある外周孔の断面積に対して0.3〜1倍、好ましくは
0.5〜0.8倍であることが必要となる。
ある外周孔の断面積に対して0.3〜1倍、好ましくは
0.5〜0.8倍であることが必要となる。
【0020】ここで、各外周孔の断面積が、それより1
つ内周にある外周孔の断面積に対して0.3倍より小さ
いと、断面形状の内接円半径に対する外接円半径の比率
が下がるために、所望する異形断面繊維を得ることが出
来ず、また1倍より大きいと、別々の孔より吐出された
繊維の接合部のくびれが鋭くV字の形状に切れ込んだよ
うになり、特にかかる繊維を炭素繊維前駆体繊維として
用いる場合、焼成工程にて、この部位での割れの原因と
なり、またこの場合、繊維の中心部より外周部における
強度が相対的に大きくなり過ぎることも割れを助長す
る。
つ内周にある外周孔の断面積に対して0.3倍より小さ
いと、断面形状の内接円半径に対する外接円半径の比率
が下がるために、所望する異形断面繊維を得ることが出
来ず、また1倍より大きいと、別々の孔より吐出された
繊維の接合部のくびれが鋭くV字の形状に切れ込んだよ
うになり、特にかかる繊維を炭素繊維前駆体繊維として
用いる場合、焼成工程にて、この部位での割れの原因と
なり、またこの場合、繊維の中心部より外周部における
強度が相対的に大きくなり過ぎることも割れを助長す
る。
【0021】1つの同心円上に穿孔された外周孔の数は
3〜5個であることが必要である。3個より少ないと、
断面の回転角度による断面2次モーメントの差が大きく
なり、複合材料の圧縮強度と曲げ強度が向上しないので
好ましくなく、また、5個より多いと別々の外周孔より
吐出された繊維が合流後に近接し過ぎるため、断面異形
度を所望する大きさにすることが出来ないので好ましく
ない。
3〜5個であることが必要である。3個より少ないと、
断面の回転角度による断面2次モーメントの差が大きく
なり、複合材料の圧縮強度と曲げ強度が向上しないので
好ましくなく、また、5個より多いと別々の外周孔より
吐出された繊維が合流後に近接し過ぎるため、断面異形
度を所望する大きさにすることが出来ないので好ましく
ない。
【0022】中心孔の外縁と最も中心孔に近い外周孔の
間隔と、隣接する外周孔の間隔は、それぞれ0.05〜
0.15mm、好ましくは0.07〜0.10mmであ
ることが必要である。
間隔と、隣接する外周孔の間隔は、それぞれ0.05〜
0.15mm、好ましくは0.07〜0.10mmであ
ることが必要である。
【0023】ここで、それらの間隔が0.05mmより
小さいと、別々の外周孔より吐出された繊維が合流後に
近接し過ぎるため、断面異形度を所望する範囲にするこ
とが出来ず、また0.15mmより大きいと、かかる繊
維同士の接合が不十分になり、複数の繊維が接合した異
形断面繊維が得られない。
小さいと、別々の外周孔より吐出された繊維が合流後に
近接し過ぎるため、断面異形度を所望する範囲にするこ
とが出来ず、また0.15mmより大きいと、かかる繊
維同士の接合が不十分になり、複数の繊維が接合した異
形断面繊維が得られない。
【0024】また、各々の孔の形状は円形が好ましい。
【0025】これらの構成を有した乾湿式紡糸口金を用
いて、アクリル系重合体を紡糸することにより、均一な
放射形状である、断面異形度が3以上の異形断面繊維が
得られる。かかる異形断面繊維は、樹脂との接触面積を
十分に確保しており、焼成後に、従来にない複合材料特
性を付与し得る炭素繊維となる。
いて、アクリル系重合体を紡糸することにより、均一な
放射形状である、断面異形度が3以上の異形断面繊維が
得られる。かかる異形断面繊維は、樹脂との接触面積を
十分に確保しており、焼成後に、従来にない複合材料特
性を付与し得る炭素繊維となる。
【0026】なお、本発明の乾湿式紡糸口金において
は、各外周孔の全長Lと中心孔の直径dとの比率L/d
が2〜10、好ましくは4〜8とするのが良い。
は、各外周孔の全長Lと中心孔の直径dとの比率L/d
が2〜10、好ましくは4〜8とするのが良い。
【0027】ここで、L/dが2より小さいと、口金が
紡糸液の圧力によりたわみ、繊維を紡糸したときに、口
金と凝固液面との距離が口金の位置により微妙に異なっ
てくるため、凝固液面の波立ちの原因となり、口金が凝
固液面に浸漬したり、その結果、得られる繊維の繊度む
らが大きくなる問題がある。
紡糸液の圧力によりたわみ、繊維を紡糸したときに、口
金と凝固液面との距離が口金の位置により微妙に異なっ
てくるため、凝固液面の波立ちの原因となり、口金が凝
固液面に浸漬したり、その結果、得られる繊維の繊度む
らが大きくなる問題がある。
【0028】また、L/dが10より大きいと、口金と
凝固液面の距離が長くなるために凝固液面で紡糸途中の
繊維が度々切れるようになり、紡糸性が悪化する。
凝固液面の距離が長くなるために凝固液面で紡糸途中の
繊維が度々切れるようになり、紡糸性が悪化する。
【0029】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。
説明する。
【0030】実施例1 アクリロニトリル99.3重量%、イタコン酸0.7重
量%からなるアクリル系重合体の20重量%ジメチルス
ルホキシド(以下DMSOと称する)溶液を紡糸液とし
た。このDMSO溶液の粘度は45℃において650ポ
イズであった。
量%からなるアクリル系重合体の20重量%ジメチルス
ルホキシド(以下DMSOと称する)溶液を紡糸液とし
た。このDMSO溶液の粘度は45℃において650ポ
イズであった。
【0031】かかる紡糸液を、図1に示す小孔群を有し
た、次の乾湿式紡糸口金から吐出させた。すなわち、直
径が0.1mmの中心孔と、対称回転角を120゜とし
て破線で示した同心円上に穿孔された直径が0.1mm
の外周孔3個と、さらに外周の、破線で示した同心円上
に穿孔された直径が0.077mmである外周孔3個か
らなる小孔群を500群有し、L/dが6.5である乾
湿式紡糸口金である。
た、次の乾湿式紡糸口金から吐出させた。すなわち、直
径が0.1mmの中心孔と、対称回転角を120゜とし
て破線で示した同心円上に穿孔された直径が0.1mm
の外周孔3個と、さらに外周の、破線で示した同心円上
に穿孔された直径が0.077mmである外周孔3個か
らなる小孔群を500群有し、L/dが6.5である乾
湿式紡糸口金である。
【0032】吐出後、25m/分の速度で引き取り、D
MSO/水の重量比を55/45に調整した凝固液に導
いた。
MSO/水の重量比を55/45に調整した凝固液に導
いた。
【0033】ここで、口金から凝固液面までの距離は3
mmであり、図1に示す小孔群については、中心孔と第
1外周孔との間隔L1と、第1外周孔と第2外周孔との
間隔L2が、それぞれ同じく0.07mmである。
mmであり、図1に示す小孔群については、中心孔と第
1外周孔との間隔L1と、第1外周孔と第2外周孔との
間隔L2が、それぞれ同じく0.07mmである。
【0034】この小孔群における、第1外周孔の断面積
は中心孔の断面積に対して1倍であり、第2外周孔の断
面積は第1外周孔の断面積に対して0.6倍である。
は中心孔の断面積に対して1倍であり、第2外周孔の断
面積は第1外周孔の断面積に対して0.6倍である。
【0035】この後、水洗、延伸、乾燥、の工程を定法
のとおり施し、加圧スチーム中で全延伸率10倍で延伸
して、単糸繊度2デニールのアクリル系繊維を得た。
のとおり施し、加圧スチーム中で全延伸率10倍で延伸
して、単糸繊度2デニールのアクリル系繊維を得た。
【0036】得られた繊維は紡糸の工程中、品位が極め
て良好であり、毛羽や割れはほとんど確認出来ず、ま
た、凝固液の波立ちによる繊度むらもなく、紡糸特性は
良好であった。断面形状は、図2に示すように均一な放
射形状であり、断面異形度は4.0であった。この繊維
の特性は実施例1として表1に示した。
て良好であり、毛羽や割れはほとんど確認出来ず、ま
た、凝固液の波立ちによる繊度むらもなく、紡糸特性は
良好であった。断面形状は、図2に示すように均一な放
射形状であり、断面異形度は4.0であった。この繊維
の特性は実施例1として表1に示した。
【0037】比較例1 使用する口金を、直径0.07mmの中心孔と、中心孔
との距離が0.07mmで、回転対称角が120゜にな
るように配置した直径0.1mmの外周孔3個からな
る、図3に示す小孔群を500群有した乾湿式紡糸口金
に変更した以外は、実施例1と同様にして単糸繊度2デ
ニールのアクリル系繊維を得た。
との距離が0.07mmで、回転対称角が120゜にな
るように配置した直径0.1mmの外周孔3個からな
る、図3に示す小孔群を500群有した乾湿式紡糸口金
に変更した以外は、実施例1と同様にして単糸繊度2デ
ニールのアクリル系繊維を得た。
【0038】得られた繊維の断面形状は図4に示すよう
になり、断面異形度は2.2であった。また得られた繊
維には毛羽があり、凝固液面の波立ちによる繊度むらが
生じた。この繊維の特性は比較例1として表2に示し
た。
になり、断面異形度は2.2であった。また得られた繊
維には毛羽があり、凝固液面の波立ちによる繊度むらが
生じた。この繊維の特性は比較例1として表2に示し
た。
【0039】実施例2〜4、比較例2〜4 第2外周孔の断面積を表1または表2に示すように種々
変更した以外は、実施例1と同様にしてアクリル系繊維
を得た。これら繊維の特性を実施例2〜4として表1
に、比較例2〜4として表2に示した。
変更した以外は、実施例1と同様にしてアクリル系繊維
を得た。これら繊維の特性を実施例2〜4として表1
に、比較例2〜4として表2に示した。
【0040】
【表1】
【表2】 なお、表1と表2中の◎印は、極めて優れているもの、
○印は優れているもの、△印は不可ではないがやや劣る
もの、×印は不可のものを示す。
○印は優れているもの、△印は不可ではないがやや劣る
もの、×印は不可のものを示す。
【0041】これら表に示す結果から、小孔群におい
て、第1外周孔の断面積が、中心孔の断面積に対して1
倍より大きいと焼成工程における繊維の割れが頻発し、
本発明の目的を達成できないことが判る。
て、第1外周孔の断面積が、中心孔の断面積に対して1
倍より大きいと焼成工程における繊維の割れが頻発し、
本発明の目的を達成できないことが判る。
【0042】また、これら表より、第2外周孔の断面積
が、第1外周孔の断面積に対して0.3倍より小さいと
断面異形度が小さくなり、1倍より大きいと繊維の割れ
が頻発するようになることが判る。
が、第1外周孔の断面積に対して0.3倍より小さいと
断面異形度が小さくなり、1倍より大きいと繊維の割れ
が頻発するようになることが判る。
【0043】以上より、良好な紡糸性にて所望する断面
異形度の異形断面繊維を得るためには、発明の実施の形
態に記載したような口金が必要であることが判る。
異形度の異形断面繊維を得るためには、発明の実施の形
態に記載したような口金が必要であることが判る。
【0044】
【発明の効果】本発明の乾湿式紡糸口金によって、断面
異形度の大きな、均一な放射形状の異形断面繊維を生産
性良く容易に得ることができる。そのような異形断面繊
維をアクリル重合体より構成したものは、炭素繊維と樹
脂との接着性や、圧縮強度、曲げ強度などの特性に優れ
た複合材料を与え得る炭素繊維の前駆体繊維として好適
である。
異形度の大きな、均一な放射形状の異形断面繊維を生産
性良く容易に得ることができる。そのような異形断面繊
維をアクリル重合体より構成したものは、炭素繊維と樹
脂との接着性や、圧縮強度、曲げ強度などの特性に優れ
た複合材料を与え得る炭素繊維の前駆体繊維として好適
である。
【図1】本発明における乾湿式紡糸口金における小孔群
の断面形状の概略図である。
の断面形状の概略図である。
【図2】比較例1で使用した、従来の乾湿式紡糸口金に
おける小孔群の断面形状の概略図である。
おける小孔群の断面形状の概略図である。
【図3】図1に示す断面形状の小孔群を有する口金で得
た繊維の断面形状を示す概略図である。
た繊維の断面形状を示す概略図である。
【図4】図2に示す断面形状の小孔群を有する口金で得
た繊維の断面形状を示す概略図である。
た繊維の断面形状を示す概略図である。
1:第1外周孔 2:第2外周孔 3:中心孔
Claims (2)
- 【請求項1】中心孔と、該中心孔の外周にそれぞれ半径
が異なる複数個の同心円と、中心孔の中心から外に向け
て72°、90°または120°のいずれかの角度で実
質的に等角度間隔に引いた半直線との交点上に穿孔され
た複数個の外周孔とからなる小孔群を有し、該小孔群に
おいて中心孔と外周孔が、次の(1)〜(4)式を満足
することを特徴とする異形断面繊維の乾湿式紡糸口金。 0.5≦A1/S ≦1・・・・・・・・・・・・・・・・(1) 0.3≦An/An-1≦1・・・・・・・・・・・・・・・(2) 0.05mm≦L1 ≦0.15mm・・・・・・・・・・(3) 0.05mm≦Ln ≦0.15mm・・・・・・・・・・(4) ここで、Sは中心孔の断面積、A1は第1外周孔の断面
積、An(n=2〜5)は第n外周孔の断面積、L1は中
心孔と最も中心孔に近い外周孔との間隔、Ln(n=2
〜5)は中心孔からn番目の外周孔とn−1番目の外周
孔との間隔、をそれぞれ表す。 - 【請求項2】それぞれの外周孔は、その全長Lと中心孔
の直径dが次の(5)式を満たすことを特徴とする請求
項1に記載の異形断面繊維の乾湿式紡糸口金。 2≦L/d≦10・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11660298A JPH11302916A (ja) | 1998-04-27 | 1998-04-27 | 異形断面繊維の乾湿式紡糸口金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11660298A JPH11302916A (ja) | 1998-04-27 | 1998-04-27 | 異形断面繊維の乾湿式紡糸口金 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11302916A true JPH11302916A (ja) | 1999-11-02 |
Family
ID=14691230
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11660298A Pending JPH11302916A (ja) | 1998-04-27 | 1998-04-27 | 異形断面繊維の乾湿式紡糸口金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11302916A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100607295B1 (ko) * | 1999-09-22 | 2006-07-31 | 주식회사 휴비스 | 탄성사 제조용 방사 구금 및 이를 이용하여 제조된 탄성사 |
JP2011122255A (ja) * | 2009-12-09 | 2011-06-23 | Toray Ind Inc | 炭素繊維前駆体繊維束および炭素繊維束とそれらの製造方法 |
WO2015016199A1 (ja) | 2013-07-30 | 2015-02-05 | 東レ株式会社 | 炭素繊維束および耐炎化繊維束 |
WO2019198397A1 (ja) * | 2018-04-11 | 2019-10-17 | 東レ株式会社 | 紡糸口金および繊維ウェブの製造方法 |
KR20210024784A (ko) * | 2019-08-26 | 2021-03-08 | 도레이첨단소재 주식회사 | 이형단면 형상의 제조가 용이한 방사구금, 이를 이용하여 제조한 이형단면사 및 그 제조방법 |
-
1998
- 1998-04-27 JP JP11660298A patent/JPH11302916A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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KR20160037164A (ko) | 2013-07-30 | 2016-04-05 | 도레이 카부시키가이샤 | 탄소 섬유 다발 및 내염화 섬유 다발 |
US11105022B2 (en) | 2013-07-30 | 2021-08-31 | Toray Industries, Inc. | Carbon fiber bundle and stabilized fiber bundle |
WO2019198397A1 (ja) * | 2018-04-11 | 2019-10-17 | 東レ株式会社 | 紡糸口金および繊維ウェブの製造方法 |
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