JPH1130256A - 車両用ディスクブレーキの摩擦パッド支持構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 摩擦パッドの交換作業を容易にする。 【解決手段】 キャリパボディ３のブリッジ部３ａに形
成した摩擦パッド装着用開口部８から、一対の制動トル
ク受け面間５ｂ，５ｂ，６ｂ，６ｂに挿入される摩擦パ
ッド４のディスク回入側面及び回出側面にそれぞれ凹部
４ｃを形成し、両制動トルク受け面近傍５ｂ，５ｂ，６
ｂ，６ｂに、摩擦パッド４の両凹部４ｃにそれぞれ係合
する係合部材１２をディスク内周方向から外周方向へ回
動可能に設け、係合部材１２をディスク外周方向へ付勢
して制動トルク受け面から突出させて凹部４ｃに係合さ
せるつる巻きバネ１８を配設し、キャリパボディ３に、
係合部材１２がディスク内周方向に回動したときに制動
トルク受け面より退避する収納部１４と、係合部材１２
のディスク外周方向への過回動を規制するストッパ壁１
５とを形成するとともに、係合部材１２をディスク内周
方向へ回動する操作部材１７を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両用ディスクブ
レーキの摩擦パッド支持構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】車両用ディスクブレーキでは、ディスク
ロータの両側に対向配置される一対の摩擦パッドを、キ
ャリパボディにハンガーピンで吊持して支持する構造が
多く見られ、例えば、実開平６−８４０３３号公報に示
される車両用ディスクブレーキは、キャリパボディのブ
リッジ部に形成した摩擦パッド装着用開口部から、一対
の制動トルク受け面間に摩擦パッドを挿入し、摩擦パッ
ド装着用開口部にボルトを介して装着される補強メンバ
ーに、ハンガーピンを介して摩擦パッドを支持する構造
となっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、これらの構
造では、摩擦パッドの着脱を行う場合には、ハンガーピ
ンや補強メンバーの着脱を要するため、摩擦パッドの着
脱作業に工具を必要とするとともに手間を要する。

【０００４】そこで本発明は、摩擦パッドの着脱作業を
容易にした車両用ディスクブレーキの摩擦パッド支持構
造を提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ため、本発明は、請求項１の手段では、キャリパボディ
のブリッジ部に形成した摩擦パッド装着用開口部から、
一対の制動トルク受け面間に摩擦パッドを挿入して、キ
ャリパボディに摩擦パッドを支持する車両用ディスクブ
レーキの摩擦パッド支持構造において、前記摩擦パッド
のディスク回入側面及び回出側面にそれぞれ凹部を形成
し、前記キャリパボディの前記両制動トルク受け面近傍
に、前記摩擦パッドの両凹部にそれぞれ係合する係合部
材をディスク内周方向から外周方向へ回動可能に設け、
該係合部材をディスク外周方向へ付勢して前記制動トル
ク受け面から突出させて前記凹部に係合させる弾発部材
を配設し、前記キャリパボディに、前記係合部材がディ
スク内周方向に回動したときに前記制動トルク受け面よ
り退避する収納部と、前記係合部材のディスク外周方向
への過回動を規制するストッパとを形成するとともに、
前記係合部材をディスク内周方向へ回動する操作部材を
設けたことを特徴とし、請求項２の手段では、請求項１
の手段において、前記両操作部材をディスク内周方向へ
連動して回動する連動部材を設けたことを特徴としてい
る。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、本発明を、図面に示す実施
形態例に基づいて、さらに詳細に説明する。車両用ディ
スクブレーキ１は、車輪と一体に回転するディスクロー
タ２と、該ディスクロータ２を跨いで配設されるキャリ
パボディ３と、該キャリパボディ３に支持されてディス
クロータ２の両側面に配置される一対の摩擦バッド４，
４とで構成されている。

【０００７】キャリパボディ３は、ディスクロータ３の
両側面に配置される第１キャリパ半体５と第２キャリパ
半体６とをディスク外周側で４本の連結ボルト７にて連
結して一体に形成した対向ピストン型キャリパで、ブリ
ッジ部３ａに摩擦パッド装着用開口部８を形成してい
る。

【０００８】第１キャリパ半体５と第２キャリパ半体６
は、それぞれシリンダ孔５ａ，５ａ，６ａ，６ａを形成
し、各シリンダ孔５ａ，５ａ，６ａ，６ａにピストン９
を液密かつ移動可能にそれぞれ嵌挿し、各シリンダ孔５
ａ，５ａ，６ａ，６ａとピストン９の底部との間に液圧
室１０をそれぞれ画成している。

【０００９】また、第１キャリパ半体５と第２キャリパ
半体６には、ピストン９，９のディスク周方向外側に、
制動作用時の摩擦パッド４，４の制動トルクを受ける一
対の制動トルク受け面５ｂ，５ｂ，６ｂ，６ｂがそれぞ
れ形成されている。

【００１０】摩擦バッド４は、ディスクロータ３に摺接
するライニング４ａと、該ライニング４ａを固着した裏
板４ｂとからなり、該裏板４ｂのディスク回入側面及び
回出側面のディスク外周側にそれぞれ凹部４ｃを形成し
ており、各摩擦バッド４は、摩擦パッド装着用開口部８
から制動トルク受け面５ｂ，５ｂ間及び制動トルク受け
面６ｂ，６ｂ間に挿入される。

【００１１】制動トルク受け面５ｂ，５ｂ，６ｂ，６ｂ
には、リテーナ部材１１が装着され、該リテーナ部材１
１は、摩擦バッド４のディスク周方向面に対向するリテ
ーナ部１１ａと、摩擦バッド４のディスク内周面を弾発
支持するパッドスプリング部１１ｂとを一体に形成して
いる。

【００１２】制動トルク受け面５ｂ，５ｂ，６ｂ，６ｂ
のディスク外周側には、摩擦バッド４の凹部４ｃに対向
して、凹部４ｃに係合する係合部材１２の設置凹部１３
が形成され、該設置凹部１３に係合部材１２がディスク
内周方向から外周方向へ回動可能に設けられている。ま
た、設置凹部１３のディスク内周側で制動トルク受け面
５ｂ，６ｂ側には、係合部材１２がディスク内周方向に
回動したときに制動トルク受け面５ｂ，６ｂより退避す
る収納部１４が、さらに、設置凹部１３のディスク内周
側でディスク周方向外側には、係合部材１２のディスク
外周方向への過回動を規制するストッパ壁１５がそれぞ
れ形成されている。

【００１３】係合部材１２は、キャリパボディ３の外側
から挿通されたシャフト１６に固設された２枚の略三角
形の側板１２ａと、両側板１２ａ，１２ａのディスク外
周側に設けられた天井板１２ｂとで構成され、シャフト
１６のキャリパボディ３の外側端部には、係合部材１２
をディスク内周方向へ回動する操作部材１７が設けられ
ている。

【００１４】この係合部材１２の天井板１２ｂ内側に
は、シャフト１６に巻き掛けられた弾発部材であるつる
巻きバネ１８が配設されている。該つる巻きバネ１８
は、一端を天井板１２ｂに、他端を前記収納部１４にそ
れぞれ彈接して、係合部材１２をディスク外周方向へ付
勢して前記制動トルク受け面５ｂ，６ｂから突出させて
前記凹部４ｃに係合させている。

【００１５】このように構成することにより、図４に示
されるように、摩擦バッド４を摩擦パッド装着用開口部
８から制動トルク受け面５ｂ，５ｂ間又は制動トルク受
け面６ｂ，６ｂ間に挿入していくと、係合部材１２が摩
擦バッド４に押されてディスク内周方向に回動し、係合
部材１２は制動トルク受け面５ｂ又は制動トルク受け面
６ｂから退避して収納部１４に収納され、摩擦バッド４
が制動トルク受け面５ｂ，５ｂ間又は制動トルク受け面
６ｂ，６ｂ間に挿入される。

【００１６】図５に示されるように、摩擦バッド４をさ
らにディスク内周方向へ挿入して、摩擦バッド４の凹部
４ｃが収納部１４のディスク内周側に位置すると、係合
部材１２は、つる巻きバネ１８の付勢力によりディスク
外周方向へ回動し、制動トルク受け面５ｂ又は制動トル
ク受け面６ｂから突出する。

【００１７】この状態で摩擦バッド４の挿入を止める
と、摩擦バッド４は、リテーナ１１のパッドスプリング
部１１ｂの付勢力によりディスク外周方向へ移動し、図
１に示されるように、係合部材１２，１２が凹部４ｃ，
４ｃにそれぞれ係合し、各係合部材１２のディスク外周
方向への過回動がストッパ壁１５にて規制されているか
ら、摩擦バッド４は、係合部材１２，１２によって支持
される。

【００１８】そして、摩擦バッド４を交換する場合に
は、摩擦バッド４をディスク内周方向へ少し押し込ん
で、凹部４ｃを収納部１４のディスク内周側に位置させ
て、操作部材１７，１７をディスク内周方向へ回動し
て、摩擦バッド４の凹部４ｃ，４ｃにそれぞれ係合して
いる係合部材１２，１２を制動トルク受け面５ｂ又は制
動トルク受け面６ｂから退避して収納部１４に収納し、
係合部材１２，１２と凹部４ｃ，４ｃとの係合を解除
し、摩擦バッド４を摩擦パッド装着用開口部８から抜き
取り、前述のように、新しい摩擦バッド４を摩擦パッド
装着用開口部８から挿入して交換する。

【００１９】したがって、摩擦パッド４の着脱作業が工
具を使用することなく短時間に容易に行え、レース等に
好適である。

【００２０】図６及び図７は、操作部材１７，１７を連
動してディスク内周方向へ回動する連動部材２０を設け
たもので、連動部材２０は、板材からなり、両端に長孔
２０ａ，２０ａを形成し、該長孔２０ａ，２０ａに挿通
されるピン２１，２１により操作部材１７，１７に連結
されている。

【００２１】そして、連動部材２０をディスク内周方向
へ押すことにより、操作部材１７，１７を連動してディ
スク内周方向へ回動して、係合部材１２，１２を制動ト
ルク受け面５ｂ又は制動トルク受け面６ｂから退避して
収納部１４に収納するから、摩擦パッド４の着脱作業が
より容易に行える。尚、連動部材としてワイヤー等を用
いてもよい。また、上記実施形態例では、対向ピストン
型キャリパで説明したが、本発明は、ピンスライド型キ
ャリパにも適用可能である。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の車両用デ
ィスクブレーキの摩擦パッド支持構造は、キャリパボデ
ィのブリッジ部に形成した摩擦パッド装着用開口部か
ら、一対の制動トルク受け面間に挿入される摩擦パッド
のディスク回入側面及び回出側面にそれぞれ凹部を形成
し、キャリパボディの両制動トルク受け面近傍に、摩擦
パッドの両凹部にそれぞれ係合する係合部材をディスク
内周方向から外周方向へ回動可能に設け、係合部材をデ
ィスク外周方向へ付勢して制動トルク受け面から突出さ
せて凹部に係合させる弾発部材を配設し、キャリパボデ
ィに、係合部材がディスク内周方向に回動したときに制
動トルク受け面より退避する収納部と、係合部材のディ
スク外周方向への過回動を規制するストッパとを形成す
るとともに、係合部材をディスク内周方向へ回動する操
作部材を設けたので、摩擦バッドを摩擦パッド装着用開
口部から制動トルク受け面間に挿入していくと、係合部
材が摩擦バッドに押されてディスク内周方向に回動し、
係合部材は制動トルク受け面から退避して収納部に収納
され、摩擦バッドが制動トルク受け面間に挿入され、摩
擦バッドの凹部が収納部のディスク内周側に位置する
と、係合部材は、弾発部材の付勢力によりディスク外周
方向へ回動し、制動トルク受け面から突出して係合部材
が凹部に係合し、摩擦バッドがキャリパボディに支持さ
れる。

【００２３】そして、摩擦バッドを交換する場合には、
摩擦バッドをディスク内周方向へ少し押し込んで、操作
部材をディスク内周方向へ回動し、摩擦バッドの凹部に
それぞれ係合している係合部材を制動トルク受け面から
退避して収納部に収納し、摩擦バッドを摩擦パッド装着
用開口部から抜き取り、新しい摩擦バッドを挿入して交
換する。したがって、摩擦パッドの着脱作業が工具を使
用することなく短時間に容易に行え、レース等に好適で
ある。また、両操作部材をディスク内周方向へ連動して
回動する連動部材を設けることにより、摩擦パッドの着
脱作業がより容易に行える。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施形態例を示す車両用ディスク
ブレーキの断面図である。

【図２】 同じく一部断面平面図である。

【図３】 同じく正面図である。

【図４】 摩擦パッドの装着状態を示す断面図である。

【図５】 摩擦パッドの装着状態を示す断面図である。

【図６】 両操作部材に連動部材を設けた車両用ディス
クブレーキの断面図である。

【図７】 連動部材の作動状態を示す正面図である。

【符号の説明】

１…車両用ディスクブレーキ、２…ディスクロータ、３
…キャリパボディ、３ａ…ブリッジ部、４…摩擦パッ
ド、４ｃ…摩擦パッド４の凹部、５ｂ，６ｂ…制動トル
ク受け部、８…摩擦パッド装着用開口部、１２…係合部
材、１４…収納部、１５…ストッパ壁、１７…操作部
材、１８…つる巻きバネ、２０…連動部材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 キャリパボディのブリッジ部に形成した
   摩擦パッド装着用開口部から、一対の制動トルク受け面
   間に摩擦パッドを挿入して、キャリパボディに摩擦パッ
   ドを支持する車両用ディスクブレーキの摩擦パッド支持
   構造において、前記摩擦パッドのディスク回入側面及び
   回出側面にそれぞれ凹部を形成し、前記キャリパボディ
   の前記両制動トルク受け面近傍に、前記摩擦パッドの両
   凹部にそれぞれ係合する係合部材をディスク内周方向か
   ら外周方向へ回動可能に設け、該係合部材をディスク外
   周方向へ付勢して前記制動トルク受け面から突出させて
   前記凹部に係合させる弾発部材を配設し、前記キャリパ
   ボディに、前記係合部材がディスク内周方向に回動した
   ときに前記制動トルク受け面より退避する収納部と、前
   記係合部材のディスク外周方向への過回動を規制するス
   トッパとを形成するとともに、前記係合部材をディスク
   内周方向へ回動する操作部材を設けたことを特徴とする
   車両用ディスクブレーキの摩擦パッド支持構造。
2. 【請求項２】 前記両操作部材をディスク内周方向へ連
   動して回動する連動部材を設けたことを特徴とする請求
   項１記載の車両用ディスクブレーキの摩擦パッド支持構
   造。