JPH1129842A - フェライト・パーライト型非調質鋼 - Google Patents

フェライト・パーライト型非調質鋼

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JPH1129842A
JPH1129842A JP18959197A JP18959197A JPH1129842A JP H1129842 A JPH1129842 A JP H1129842A JP 18959197 A JP18959197 A JP 18959197A JP 18959197 A JP18959197 A JP 18959197A JP H1129842 A JPH1129842 A JP H1129842A
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JP
Japan
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steel
fatigue
strength
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JP18959197A
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Inventor
Mitsuo Uno
光男 宇野
Masaki Sakamoto
雅紀 坂本
Yoshihiko Kamata
芳彦 鎌田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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  • Heat Treatment Of Steel (AREA)
  • Shafts, Cranks, Connecting Bars, And Related Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】引張強度が500MPa以上、疲労強度が250MP
a以上、疲労限度比が0.50以上で被削性に優れ、小型自
動車などのエンジン部品、特にクランクシャフトやコン
ロッドの素材として好適な非調質鋼を提供する。 【解決手段】重量%で、C:0.20〜0.45%、Si:0.05〜
1.00%、Mn:0.20〜0.60%、S:0.01〜0.08%、V:0.02
〜0.50%、Zr:0.005〜0.05%、N:0.004〜0.03%、P:
0〜0.05%、Cu:0〜0.30%、Ni:0〜0.30%、Cr:0〜1.
00%、Mo:0〜0.30%、W:0〜0.50%、Nb:0〜0.05%、
Ti:0〜0.05、Al:0〜0.05%、Pb:0〜0.30%、Ca:0〜
0.010%、Bi:0〜0.10%、Te:0〜0.10%を含有し、残
部Feと不純物からなり、且つ、fn1=C+(Si/10)+
(Mn/5)+1.65V−(5S/7)+(5Cr/22)≧0.50%及
び{C+(Mn/5)−5N}/fn1≦ 0.80であるフェライト
・パーライト型非調質鋼。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間での加工後に
焼入れ焼戻しの所謂「調質処理」を施さなくとも優れた
特性を有し、機械構造部材などの用途に好適な非調質鋼
に関する。より詳しくは、自動車、産業機械、建設機械
などのエンジン部品、なかでもクランクシャフトやコン
ロッドの素材として好適な500MPa以上の引張強度
と250MPa以上の疲労強度を有し、且つ疲労限度比
が0.50以上であるフェライト・パーライト型の非調
質鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】機械構造部品、なかでも自動車、産業機
械、建設機械などのエンジン部品としてのクランクシャ
フトやコンロッド、更には足廻り部品としてのステアリ
ングナックルやスピンドルなどは、従来、機械構造用の
炭素鋼(S45C、S50Cなど)や合金鋼(SCM4
40など)を用いて、熱間加工により成形した後、機械
加工と調質処理を施して所望の形状と性能を確保してい
た。
【0003】しかし、前記の調質処理を行うには多大の
熱エネルギーを要するので製造コストが嵩む。そのた
め、省エネルギー及びコスト低減の観点から熱間加工の
ままで調質鋼と同等の特性を持つ非調質鋼の開発が行わ
れてきた。
【0004】非調質鋼としては、ベイナイト型、マルテ
ンサイト型及びフェライト・パーライト型の非調質鋼が
知られている。このうち、ベイナイト型とマルテンサイ
ト型の非調質鋼では高い強度が得られるものの被削性が
低い。このため機械加工による仕上げ成形に難があり、
加えて大きな変態歪が生ずるため「曲がり」が大きくな
るという問題があって、曲がり取りの矯正工程が必要な
ためにコストアップにつながる。例えば、特開平4−1
41550号公報や特開平4−176842号公報で提
案されているベイナイト型の「熱間鍛造用非調質鋼」に
おいてもなお上記の被削性や曲がり発生の面で問題が残
るものであった。
【0005】一方、熱間加工後に冷却した鋼材をオ−ス
テナイト温度域まで再加熱して焼入れし、次いで焼戻し
処理する調質処理に替わるものとして、特開平6−21
2347号公報に特定の化学組成を有する鋼を熱間鍛造
後直ちに焼入れし、その後焼戻し処理を行ってTiCを
析出させる「高疲労強度を有する熱間鍛造品及びその製
造方法」が開示されている。しかしこの公報に記載の熱
間鍛造品は、熱間鍛造後に直ちに焼入れしてマルテンサ
イト組織とするので、焼入れ時の焼き割れに対する管理
が必要となるし、固溶したTiCを析出させるために焼
戻しを行うのでエネルギーコストが嵩むという問題も有
していた。
【0006】特開平5−125439号公報には特定の
化学組成を有する鋼を熱間鍛造後常温まで冷却した後、
高温(350℃〜Ac1点)に再加熱する「高降伏比を有
する非調質鋼部品の製造方法」が開示されている。しか
しこの公報で提案された方法も、調質処理の「焼入れ」
は省略できるものの、熱間鍛造後に常温から前記温度に
再加熱するという点でまだまだ充分とはいえないもので
あった。
【0007】このためそれほど強度を必要としない機械
構造部品、特に、引張強度で500〜1000MPa程
度の強度しか必要とされないようなエンジン部品、例え
ば小型の自動車、産業機械や建設機械などのエンジン部
品であるクランクシャフトやコンロッドには、被削性に
優れたフェライト・パーライト型の非調質鋼が求められ
ている。
【0008】ところが、例えば特開昭62−16785
5号公報に開示されている様な従来のフェライト・パー
ライト型の非調質鋼では、被削性はベイナイト型やマル
テンサイト型の非調質鋼に比べて向上するものの、その
組織が粗大なフェライト・パーライト組織からなるた
め、エンジン部品に対して要求される耐疲労特性という
点では今一つのものであった。すなわち、近年、被削性
とともにエンジンの設計面から耐疲労特性が重要視され
るようになり、疲労強度が250MPa以上であるとと
もに0.5以上の疲労限度比(疲労強度/引張強度)が
安定して確保できることが要求されている。しかし、前
記公報に記載の非調質鋼ではこの産業界の要請に応じる
ことができていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑みなされたもので、自動車、産業機械、建設機械など
のエンジン部品、なかでもクランクシャフトやコンロッ
ドの素材として好適な引張強度が500MPa以上、疲
労強度が250MPa以上で且つ疲労限度比が0.5以
上であるフェライト・パーライト型の被削性に優れた非
調質鋼を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記に
示すフェライト・パーライト型非調質鋼にある。
【0011】すなわち、「重量%で、C:0.20〜
0.45%、Si:0.05〜1.00%、Mn:0.
20〜0.60%、S:0.01〜0.08%、V:
0.02〜0.50%、Zr:0.005〜0.05
%、N:0.004〜0.03%、P:0〜0.05
%、Cu:0〜0.30%、Ni:0〜0.30%、C
r:0〜1.00%、Mo:0〜0.30%、W:0〜
0.50%、Nb:0〜0.05%、Ti:0〜0.0
5、Al:0〜0.05%、Pb:0〜0.30%、C
a:0〜0.010%、Bi:0〜0.10%、Te:
0〜0.10%を含有し、残部はFe及び不可避不純物
からなり、且つ式中の元素記号をその元素の重量%での
含有量として、下記式で表されるfn1がfn1≧
0.50%及び下記式で表されるfn2がfn2≦
0.80であることを特徴とするフェライト・パーライ
ト型非調質鋼。
【0012】 fn1=C+(Si/10)+(Mn/5)+1.65V−(5S/7)+( 5Cr/22)・・・・・、fn2={C+(Mn/5)−5N}/fn1・ ・・・・」である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明者らは、前記の課題を解決
するため種々検討を重ねた結果、先ず下記の知見を得
た。
【0014】(a)C、Mnは静的引張強度を高めるこ
とが知られているが、過剰の添加はフェライト・パーラ
イト型非調質鋼の疲労限度比(疲労強度/引張強度)を
低下させてしまう。したがって、フェライト・パーライ
ト型非調質鋼において疲労強度を高め、且つ0.5以上
という高い疲労限度比を確保するためには、C及びMn
の含有量を厳しく制御する必要がある。
【0015】(b)Nはフェライト・パーライト型非調
質鋼の引張強度を高めるほかに疲労限度比も向上させる
作用がある。
【0016】次いで、上記(a)及び(b)の知見を基
にフェライト・パーライト組織に関して更に詳細に検討
した結果、以下の知見が得られた。
【0017】(c)鋼の化学組成が重量%で、C:0.
20%以上、Si:0.05%以上、Mn:0.20%
以上、V:0.02%以上及びS:0.01%以上であ
るフェライト・パーライト組織においては、引張強度及
び疲労強度は前記の式で整理できる。
【0018】(d)鋼の化学組成がC:0.45%以
下、Mn:0.60%以下、N:0.004%以上で且
つ、前記の式で表されるfn2の値が0.8以下であ
れば、フェライト・パーライト組織において安定して
0.5〜0.6の疲労限度比が得られる。
【0019】(e)フェライト・パーライト組織の場
合、適量のZrを含有させれば強度−靭性バランスが良
好になる。
【0020】(f)フェライト・パーライト組織の場
合、引張強度を1000MPa程度以下に制御してSの
含有量を適正化すれば、Pb、Caなどの快削元素を殊
更に添加しなくとも充分な被削性が得られる。
【0021】本発明は上記の知見に基づいて完成された
ものである。
【0022】以下、本発明における鋼の化学組成を前記
のように限定する理由について詳しく説明する。なお、
成分含有量の「%」は「重量%」を意味する。
【0023】C:0.20〜0.45% Cは、鋼に所望の静的強度を付与するのに必要な元素で
ある反面、一定量を超えると疲労限度比を低下させる元
素でもある。最低限の静的強度(引張強度で500MP
a)を得るには0.20%以上の含有量が必要である。
一方、0.45%を超えて含有させると、疲労限度比の
低下が著しくなって所望の0.5以上の値を得難くな
り、加えて被削性の劣化をも招く。したがって、Cの含
有量を0.20〜0.45%とした。
【0024】Si:0.05〜1.00% Siは、脱酸を促進するとともに、フェライト中に固溶
してフェライトを強化し、静的強度と疲労強度を高める
作用がある。しかし、その含有量が0.05%未満では
所望の効果が得られず、一方、1.00%を超えて含有
すると被削性の劣化をきたすようになるので、その含有
量を0.05〜1.00%とした。
【0025】Mn:0.20〜0.60% Mnは、脱酸作用と疲労強度を高める作用を有する。し
かし、その含有量が0.20%未満では添加効果に乏し
い。一方、0.60%を超えて含有させると疲労限度比
が低下し、所望の0.5以上の値を確保し難くなる。し
たがって、Mnの含有量を0.20〜0.60%とし
た。
【0026】S:0.01〜0.08% Sは、被削性を高める作用を有する。その効果を充分発
揮させるためには、0.01%以上の添加が必要であ
る。一方、0.08%を超えて含有させると疲労限度比
が低下する。したがって、Sの含有量を0.01〜0.
08%とした。
【0027】V:0.02〜0.50% Vは、静的強度及び疲労強度を高める作用がある。しか
し、その含有量が0.02%未満では添加効果に乏し
く、0.50%を超えて含有しても前記効果は飽和し、
コストのみが上昇して経済性を損うようになるので、そ
の含有量を0.02〜0.50%とした。
【0028】Zr:0.005〜0.05% Zrは、フェライト・パーライト組織の強度と靭性を高
めて強度−靭性バランスを良好にする作用を有する。そ
の効果を確保するためには0.005%以上の含有量を
必要とする。しかし、Zrを0.05%を超えて含有さ
せると却って靭性が低下するようになる。したがって、
Zrの含有量を0.005〜0.05%とした。
【0029】N:0.004〜0.03% Nは、非調質鋼の疲労限度比を高めるのに極めて有効な
元素である。この効果を充分発揮させるためには、Nは
0.004%以上含有させることが必要である。一方、
0.03%を超えて含させてもその効果は飽和するばか
りか、熱間加工性の劣化を招くようになる。したがっ
て、Nの含有量を0.004〜0.03%とした。な
お、N含有量の好ましい範囲は0.008〜0.022
%である。
【0030】P:0〜0.05% Pは含有させなくても良い。含有させれば疲労強度を高
める作用がある。この効果を確実に得るには、Pは0.
005%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、
その含有量が0.05%を超えると靭性の大幅な劣化を
きたすようになるので、その含有量を0〜0.05%と
した。
【0031】Cu:0〜0.30% Cuは添加しなくても良い。添加すれば焼入れ性を向上
させる作用がある。この効果を確実に得るには、Cuは
0.01%以上の含有量とすることが好ましい。しか
し、その含有量が0.30%を超えると熱間加工性の劣
化をきたすようになる。したがって、Cuの含有量を0
〜0.30%とした。
【0032】Ni:0〜0.30% Niも添加しなくても良い。添加すれば焼入れ性を向上
させるとともに、靭性を高める作用を有する。この効果
を確実に得るには、Niは0.01%以上の含有量とす
ることが好ましい。しかし、その含有量が0.30%を
超えると被削性の劣化をきたすようになるし、経済性の
面でも不利である。したがって、Niの含有量を0〜
0.30%とした。
【0033】Cr:0〜1.00% Crは添加しなくても良い。添加すれれば焼入れ性を向
上させるとともに静的強度及び疲労強度を高める作用を
有する。これらの効果を確実に得るには、Crは0.0
2%以上の含有量とすることが望ましい。しかし、その
含有量が1.00%を超えるとベイナイトが生成し易く
なって引張強度が1000MPaを超えるようになって
被削性の大きな劣化をきたす。したがって、Crの含有
量を0〜1.00%とした。
【0034】Mo:0〜0.30% Moは添加しなくても良い。添加すれば焼入れ性と靭性
を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、M
oは0.01%以上の含有量とすることが好ましい。し
かし、その含有量が0.30%を超えるとベイナイトが
生成し易くなって被削性の劣化をきたすようになるし、
経済性の面でも不利となる。したがって、Moの含有量
を0〜0.30%とした。
【0035】W:0〜0.50% Wも添加しなくても良い。添加すればMoと同様に、焼
入れ性及び靭性を高める作用を有する。この効果を確実
に得るには、Wは0.01%以上の含有量とすることが
好ましい。しかし、その含有量が0.50%を超えると
ベイナイトが生成し易くなって被削性の劣化をきたすよ
うになるし、経済性の面でも不利となる。したがって、
Wの含有量を0〜0.50%とした。
【0036】Nb:0〜0.05% Nbは添加しなくても良い。添加すれば静的強度、疲労
強度を高める作用があるし、靭性を高める作用もある。
この効果を確実に得るには、Nbは0.005%以上の
含有量とすることが好ましい。しかし、0.05%を超
えて含有させても前記効果は飽和し、コストのみが上昇
して経済性を損うようになる。したがって、Nbの含有
量を0〜0.05%とした。
【0037】Ti:0〜0.05% Tiも添加しなくても良い。添加すれば結晶粒を微細化
して強度と靭性を高める作用を有する。この効果を確実
に得るには、Tiは0.001%以上の含有量とするこ
とが好ましい。しかし、その含有量が0.05%を超え
るとTi炭窒化物が凝集粗大化して、前記効果が得難く
なるし、経済性の面でも不利となる。したがって、Ti
の含有量を0〜0.05%とした。
【0038】Al:0〜0.05% Alは添加しなくても良い。添加すれば鋼の脱酸の安定
化及び均質化を図る作用がある。この効果を確実に得る
には、Alは0.001%以上の含有量とすることが好
ましい。しかし、その含有量が0.05%を超えると酸
化物系の介在物が増加して切削時に工具寿命の低下を招
く。したがって、Alの含有量を0〜0.05%とし
た。なお、被削性を高めるために鋼にPb、Ca、B
i、Teを添加する場合には、Al含有量の上限を0.
010%に規制することが望ましい。
【0039】Pb:0〜0.30% Pbは添加しなくても良い。添加すれば被削性を高める
作用を有する。この効果を確実に得るには、Pbは0.
01%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、そ
の含有量が0.30%を超えると耐疲労特性の劣化をき
たすようになる。したがって、Pbの含有量を0〜0.
30%とした。
【0040】Ca:0〜0.010% Caは添加しなくても良い。添加すれば被削性を高める
作用を有する。この効果を確実に得るには、Caは0.
0003%以上の含有量とすることが好ましい。しか
し、0.010%を超えて含有させてもその効果は飽和
し、経済性を損うこととなる。したがって、Caの含有
量を0〜0.010%とした。
【0041】Bi:0〜0.10% Biも添加しなくても良い。添加すれば被削性を高める
作用を有する。この効果を確実に得るには、Biは0.
005%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、
0.10%を超えて含有させてもその効果は飽和し、経
済性を損うこととなる。したがって、Biの含有量を0
〜0.10%とした。
【0042】Te:0〜0.10% Teは添加しなくても良い。添加すれば被削性を高める
作用を有する。この効果を確実に得るには、Teは0.
01%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、
0.10%を超えて含有させてもその効果は飽和し、経
済性を損うこととなる。したがって、Teの含有量を0
〜0.10%とした。
【0043】fn1:≧0.50% 鋼の化学組成が重量%で、C:0.20%以上、Si:
0.05%以上、Mn:0.20%以上、V:0.02
%以上及びS:0.01%以上であるフェライト・パー
ライト組織においては、引張強度及び疲労強度は前記
式のfn1で整理できる。そして、この値が0.50%
以上の場合に500MPa以上の引張強度と250MP
a以上の疲労強度を確保できる。fn1が大きくなりす
ぎるとベイナイトが生成し易くなって、被削性の劣化を
招くこととなるので、fn1は1.20%程度を上限値
とすることが望ましい。
【0044】fn2:≦0.80 鋼の化学組成がC:0.45%以下、Mn:0.60%
以下、N:0.004%以上であるフェライト・パーラ
イト組織において、前記式のfn2が0.80以下の
場合に安定して0.5〜0.6の疲労限度比が得られ
る。なお、fn2を小さくするとコストが嵩むことにな
るので、fn2は0.2程度を下限値とすることが好ま
しい。
【0045】上記の化学組成を有する鋼は通常の方法で
溶製された後、例えば通常の方法による熱間での加工を
受け、必要に応じて機械加工や表面硬化処理を施されて
所要のクランクシャフトやコンロッドに仕上げられる。
【0046】
【実施例】表1〜3に示す化学組成の鋼を通常の方法に
よって試験炉を用いて200kg真空溶製した。表1、
2における鋼1〜15は本発明鋼、表2、3における鋼
16〜26は成分のいずれかが本発明で規定する範囲か
ら外れた比較鋼である。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】次いで、これらの鋼を通常の方法によって
鋼片となした後、1250℃に加熱してから、1200
〜950℃の温度で直径20mmの丸棒に熱間鍛造し、
その後常温まで空冷した。
【0051】こうして得られた丸棒から平行部径が8m
mの小野式回転曲げ疲労試験片を切り出して常温、大気
中、3000rpmの条件で疲労試験を行なった。又、
JIS4号引張試験片を切り出し、常温で引張試験を行
った。
【0052】なお参考のために、鋼25の上記20mm
丸棒を845℃で1時間加熱して油焼入れし、600℃
で1時間の焼戻しを行って平行部径が8mmの小野式回
転曲げ疲労試験片とJIS4号引張試験片を切り出し、
上記の条件で疲労試験と引張試験を行った。
【0053】試験結果を表4に示す。
【0054】
【表4】
【0055】本発明鋼である鋼1〜15については、い
ずれも1000MPa以下にして所望の500MPa以
上の引張強度、250MPa以上の疲労強度と0.5以
上の疲労限度比が得られている。
【0056】これに対して、成分のいずれかが本発明で
規定する含有量の範囲から外れた比較鋼のうち、C量、
Si量及びfn1がそれぞれ低目に外れた鋼16、鋼1
8、鋼22は引張強度が500MPaに達していない。
【0057】又、C量、Mn量、S量がそれぞれ高目に
外れた鋼17、鋼19、鋼20、及びN量が低めに外れ
た鋼26は疲労限度比が0.50に達していない。
【0058】更に、fn2が高目に外れた鋼23及び、
fn2に加えてMn量又はC量が高めに外れた鋼24、
鋼25は疲労限度比が0.36〜0.49と低いもので
あり、且つ、鋼24については疲労強度も250MPa
に達していない。
【0059】C量、Mn量及びfn2が高めに外れると
ともにV量が低めに外れた鋼21は疲労強度が250M
Paに達せず、疲労限度比も0.36と低い。
【0060】なお、鋼25に焼入れ焼戻しの調質処理を
施した従来タイプの場合には引張強度、疲労強度及び疲
労限度比はいずれも目標値に達している。しかし、この
場合、焼戻しマルテンサイト組織であり、被削性はフェ
ライト・パーライト型の非調質鋼に比べて劣っており、
又、焼入れ後には若干の曲がりが生じていた。
【0061】
【発明の効果】本発明のフェライト・パーライト型非調
質鋼を用いれば、500MPa以上の引張強度、250
MPa以上の疲労強度、0.50以上の疲労限度比が容
易に得られ、且つ引張強度を1000MPa以下に制御
できるので被削性も良好であり、自動車、産業機械、建
設機械などのエンジン部品、なかでもクランクシャフト
やコンロッドの素材として利用することが可能で産業上
の効果は大きい。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.20〜0.45%、S
    i:0.05〜1.00%、Mn:0.20〜0.60
    %、S:0.01〜0.08%、V:0.02〜0.5
    0%、Zr:0.005〜0.05%、N:0.004
    〜0.03%、P:0〜0.05%、Cu:0〜0.3
    0%、Ni:0〜0.30%、Cr:0〜1.00%、
    Mo:0〜0.30%、W:0〜0.50%、Nb:0
    〜0.05%、Ti:0〜0.05、Al:0〜0.0
    5%、Pb:0〜0.30%、Ca:0〜0.010
    %、Bi:0〜0.10%、Te:0〜0.10%を含
    有し、残部はFe及び不可避不純物からなり、且つ下記
    式で表されるfn1がfn1≧0.50%及び下記
    式で表されるfn2がfn2≦0.80であることを特
    徴とするフェライト・パーライト型非調質鋼。 fn1=C+(Si/10)+(Mn/5)+1.65V−(5S/7)+( 5Cr/22)・・・・・ fn2={C+(Mn/5)−5N}/fn1・・・・・ なお、式中の元素記号はその元素の重量%での含有量を
    表す。
JP18959197A 1997-07-15 1997-07-15 フェライト・パーライト型非調質鋼 Pending JPH1129842A (ja)

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