JPH11297266A - 質量分析計およびイオン源 - Google Patents

質量分析計およびイオン源

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JPH11297266A
JPH11297266A JP10101089A JP10108998A JPH11297266A JP H11297266 A JPH11297266 A JP H11297266A JP 10101089 A JP10101089 A JP 10101089A JP 10108998 A JP10108998 A JP 10108998A JP H11297266 A JPH11297266 A JP H11297266A
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plasma
heating
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microwave
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JP10101089A
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English (en)
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Yasuaki Takada
安章 高田
Takayuki Nabeshima
貴之 鍋島
Yuichiro Hashimoto
雄一郎 橋本
Minoru Sakairi
実 坂入
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】マトリックスイオンによる影響を除去するとと
もに、イオン化電位の高い元素の同時高感度分析を可能
にする。 【解決手段】マイクロ波で生成したプラズマを追加熱し
て、プラズマの温度を上昇させる。 【効果】各種プラズマガスを選択できるとともに、高温
のプラズマが得られるのでイオン化電位の高い元素も効
率よくイオン化できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、質量分析計および
イオン源に関し、詳しくはイオン化効率が十分に高く、
高い感度で分析を行うことができる質量分析計およびそ
れに用いるイオン源に関する。
【0002】
【従来の技術】大気圧下で生成したプラズマに試料を導
入し、得られたイオンを真空中に取り込んで質量分析を
行うプラズマ質量分析法は、高感度元素分析法として広
く用いられている。プラズマ質量分析法に用いられる最
も一般的な装置は、誘導結合プラズマ質量分析計(Induc
tively Coupled Plasma-Mass Spectrometer;以下、IC
P−MSと記す)である。ICP−MSは、プラズマを
発生させるためのガスとしてアルゴンを用いるため、ア
ルゴンに起因するマトリックスイオン(夾雑イオン)、
例えばAr+、ArO+などが大量に生成される。そのた
め、これらのマトリックスイオンに近い質量を有するC
+やFe+などの検出が困難であるという問題があっ
た。
【0003】この問題を解決するため、プラズマの発生
にマイクロ波を用いるマイクロ波誘導プラズマ質量分析
計(Microwave Induced Plasma-Mass Spectrometer;以
下、MIP−MSと記す)が開発された。MIP−MS
では、エネルギーを狭い空間に集中することによって高
いエネルギー密度を得ることができるため、窒素やヘリ
ウムをプラズマガスとして使用することができ、アルゴ
ンイオンに起因する前記Ar+やArO+などのマトリッ
クスイオンを排除できる。そのため、MIP−MSによ
ってカルシウムや鉄などの物質を高感度で分析すること
が可能になった。
【0004】従来のMIP−MSの概略を図9に示す。
試料溶液は、試料溶液槽1から配管2を介して霧化部3
へと送られる。霧化部3では、例えば霧化用ガス供給部
(図示せず)から供給された霧化用ガスなどを用いて、
試料溶液が霧化される。霧化された試料溶液は細かい液
滴となり、試料導入管4を通ってプラズマイオン源5に
導入される。
【0005】イオン源5には、プラズマガス供給部6か
らガス配管7などを介して窒素などのプラズマガスが供
給され、さらに、マイクロ波発生部8からマイクロ波伝
送回路(導波管など)9を介してマイクロ波電力が送ら
れる。このマイクロ波電力によって前記プラズマガスが
電離してプラズマ10が発生する。
【0006】試料溶液から生成された前記細かい液滴
は、プラズマ10に導入されてプラズマの高温に曝され
る。そのため、前記液滴は短時間に気化されて、液滴中
に含まれていた物質は原子化され、さらにイオン化され
る。このようにして生成された試料物質のイオンは、第
1の細孔11、真空排気系12で排気された差動排気部
13および第2の細孔14を介して、真空排気系15で
排気された高真空部16内に導入される。
【0007】高真空部16内に導入されたイオンは、イ
オン光学系17によって軌道収束された後、質量分析部
18に送られて質量分析される。質量分析部18ににお
いて質量別に選択されたイオンは、検出器19によって
検出され、検出された信号は信号ライン20を介してデ
ータ処理装置21に送られて処理される。プラズマから
の光子が検出器19に到達すると、ランダムなノイズと
なって検出され、装置の検出感度を低下させるので、イ
オン光学系17には光子を遮蔽する工夫がなされる場合
が多い。MIP−MSの従来技術は、例えば特開平1−
309300に記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記従来のMIP−M
Sでは、生成されるプラズマの温度が低いので、イオン
化ポテンシャルの高い試料に対してイオン化効率が低
く、十分な測定感度が得られないという問題があった。
例えば、ジャーナル・オブ・アナリティカル・アトミッ
ク・スペクトロメトリー(Journal of Analytical Atom
ic Spectrometry)12巻、341頁、1997年に記
載されているように、アルゴンガスを用いたICP(誘
導結合プラズマ)の温度が約7500ケルビンであるの
に対し、窒素ガスを用いたマイクロ波誘導プラズマ(M
IP)の温度は約5400ケルビンである。このような
温度差が存在するため、MIP−MSのイオン化効率
は、特にイオン化エネルギーが7電子ボルトを超える元
素に対して、ICP−MSに比べて3倍から30倍程度
低い。そのため、MIP−MSによってZn、Se、A
sを高感度で検出することは困難であった。
【0009】一方、Fe、K、Caなどに対しては、M
IP−MSの方がICP−MSより測定感度が高く、I
CP−MSとMIP−MSでは、高感度分析できる元素
が互いに異なっていた。そのため、多くの元素が含まれ
ている試料を分析するためには、ICP−MSおよびM
IP−MSの両装置が必要であった。高価な質量分析装
置を2台用いることは、装置の費用、設置スペース、ラ
ンニングコストやメンテナンスの手間など、いくつかの
問題があり、さらに、同じ試料をタイプの異なる分析装
置2台によって分析すると、装置間の特性の違いなどに
より、データを比較して解釈することが難しくなるとい
う問題もあった。
【0010】本発明の目的は、従来の質量分析計の有す
る前記問題を解決し、多くの元素を1台の分析計で同時
に高い感度で分析することができる、プラズマイオン化
質量分析計を提供することである。
【0011】本発明の他の目的は、イオン化ポテンシャ
ルの高い元素をMIP−MSによって高い感度で分析す
ることを可能とすることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明の質量分析計は、マイクロ波を用いてプラズマ
を発生させるプラズマ発生部、前記プラズマ発生部で発
生させたプラズマを加熱するためのプラズマ加熱部、前
記プラズマに試料を供給するための試料供給部、前記プ
ラズマでイオン化された前記試料のイオンを真空中に取
り込むための細孔および前記イオンの質量を分析するた
めの質量分析部を有している。
【0013】すなわち、プラズマの発生はマイクロ波を
用いて行われるので、前記のように高い電界強度が得ら
れて広範囲の元素の高感度同時分析が可能になり、しか
も、発生したプラズマの温度はプラズマ加熱部によって
高くされるので、イオン化効率は高くなって分析感度は
向上する。
【0014】前記プラズマ加熱部におけるプラズマの加
熱方法としては、電磁波の照射や交流磁界の印加を用い
ることができ、前記プラズマ発生部と前記プラズマ加熱
部はいずれも大気圧中に設置することができる。
【0015】前記プラズマ発生部を大気中に設置し、か
つ前記プラズマ加熱部を、真空排気系により大気圧より
も低い圧力に保たれている差動排気部に設置するように
してもよい。
【0016】また、本発明のイオン源は、マイクロ波を
用いてプラズマを発生させるプラズマ発生部、前記プラ
ズマ発生部で発生させたプラズマを加熱するためのプラ
ズマ加熱部および前記プラズマに試料を供給するための
試料供給部を有している。
【0017】すなわち、本発明のイオン源においては、
マイクロ波によってプラズマの生成が行われるので高い
電界強度が得られる。従来のイオン源では電界強度が低
いので、イオン化電位が低く放電の持続が容易なアルゴ
ンがプラズマガスとして用いられたが、マイクロ波を用
いて高いて電界強度が得られるため、アルゴンのみでは
なく、窒素やヘリウムなどをプラズマガスとして使用す
ることができる。その結果、アルゴンイオンに起因する
Ar+やArO+などのマトリックスが排除されて、カル
シウムや鉄などを分析することが可能になった。
【0018】しかも、前記プラズマ発生部で発生させた
プラズマは、前記プラズマ加熱部において加熱されるの
で、試料のイオン化ポテンシャルが高い場合でも、高い
イオン化効率が得られ、高い分析感度が得られる。プラ
ズマの加熱方法としては、電磁波の照射あるいは交流磁
界の印加を用いることができ、前記プラズマ発生部と前
記プラズマ加熱部を、共に大気圧中に設置することがで
きる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明において、マイクロ波誘導
によって発生されたプラズマが加熱されて高温にされ、
それによってイオン化ポテンシャルの高い元素を高い感
度で分析することが可能になる。プラズマの加熱は、試
料が通る経路のいずれかにおいて行われ、高温のプラズ
マと試料が接触すれようにすればよい。
【0020】プラズマを加熱するには、上記のように、
電磁波の照射および交流磁界の印加が使用できるが、マ
イクロ波帯域の電磁波を照射してプラズマ10を追加熱
する場合は、図2に示したように、プラズマ10の周辺
に配置されたホーンアンテナ25からプラズマ10に向
けてマイクロ波を照射し、プラズマ10を加熱する。加
熱効率を高めるため、ホーンアンテナ25は、図2に示
すように複数用いてもよい。
【0021】しかし、プラズマは密度が高くなると電磁
波(電波、マイクロ波、光を含む)を遮蔽する性質を持
つようになり、この現象は一般にカットオフと呼ばれ
る。カットオフ密度ncは角周波数ω(単位:rad/
s)の電磁波に対して式(1)で与えられる。式(1)
においてmは電子の質量、eは素電荷、ε0は真空の誘
電率である。
【0022】
【数1】
【0023】従って、角周波数ωが下記式(2)を満た
す電磁波を用いることによって、密度nのプラズ全体を
加熱することができ、高密度プラズマの加熱には、周波
数の高いレーザー光などを用いるとよい。
【0024】
【数2】
【0025】また、分析用途に用いられるプラズマ源
は、プラズマの断面において外周部のプラズマ密度、プ
ラズマ温度が高いドーナツ状の構造を有していることが
望ましい。これにより、プラズマの中心に導入された試
料があまり拡散せずに分析装置まで到達するので、検出
感度を高めることができる。プラズマの外周部を加熱す
るためには、カットオフされる角周波数の近傍か、また
はそれより低い角周波数、すなわち、下記式(3)を満
たす電磁波を用いればよい。電磁波の影響がプラズマの
表面にしか及ばないため、プラズマの外周部を選択的に
加熱し、ドーナツ状のプラズマを生成することができ
る。
【0026】
【数3】
【0027】また、複数のランチャーをプラズマ周辺に
並べ、周波数の異なる二つ以上の電磁波をプラズマに照
射しても良い。プラズマ全体の温度を上げるために用い
る周波数の高い電磁波と、ドーナツ構造を保持するため
にプラズマの外周部を加熱する周波数の低い電磁波を用
いることで、ドーナツ構造を有し、かつ全体的に高温の
プラズマを生成することができる。
【0028】なお、本発明のプラズマイオン源は、質量
分析装置の方式とは無関係に使用することができ、例え
ば、磁場型、四重極型、イオントラップ型、飛行時間
型、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型など、各
種質量分析装置に用いることができる。また、三連四重
極型に代表されるタンデム質量分析装置を用いることも
でき、さらに、質量分析装置以外の分析装置、例えば発
光分析装置のプラズマ源として本発明のイオン源を使用
することもできる。
【0029】
【実施例】〈実施例1〉図1は、本発明の第1の実施例
を示す概略図である。試料溶液は、試料溶液槽1から配
管2を介して霧化部3へと送られる。霧化部3では、例
えば霧化用ガス供給部(図示せず)から供給された霧化
用ガスなどを用いて、試料溶液を霧化する。霧化された
試料溶液は細かい液滴となり、試料導入管4を通ってプ
ラズマイオン源5に導入される。
【0030】イオン源5には、プラズマガス供給部6か
らガス配管7などを介して窒素などのプラズマガスが供
給される。前記イオン源5には、さらにマイクロ波発生
部8からマイクロ波伝送回路(導波管など)9を介して
マイクロ波電力が送られる。このマイクロ波電力によっ
て前記プラズマガスが電離されて、プラズマ10が発生
する。このプラズマ10に対し、エネルギー供給源22
からエネルギー供給路23を介してエネルギーがプラズ
マ加熱部24に送られ、プラズマ加熱部24においてプ
ラズマ10を加熱する。プラズマ10の加熱に用いるエ
ネルギーとしては種々なものを用いることができるが、
例えばメガヘルツ程度の周波数を有する電磁波を用いる
場合には、エネルギー供給源22としては発振器、エネ
ルギー供給路23としては電力伝送路が、それぞれ用い
られる。また、加熱にレーザー光を用いる場合は、エネ
ルギー供給源22としてはレーザー発振器を用い、エネ
ルギー供給路23としては、鏡や集光レンズなどを組み
合わせた光学系が用いられる。
【0031】前記試料溶液から生成された細かい液滴
は、プラズマ10に導入されて、プラズマ10の高温に
曝される。その結果、液滴は短時間で気化されて、液滴
中に含まれていた物質は原子化され、さらにイオン化さ
れる。このようにして生成された試料物質のイオンは、
第1の細孔11、真空排気系12によって排気された差
動排気部13および第2の細孔14を経て、真空排気系
15で排気された高真空部16内に入る。高真空部16
内に入ったイオンは、イオン光学系17によって軌道収
束された後、質量分析部18に送られて質量分析され、
質量別に選択される。質量別に選択されたイオンは、検
出器19で検出され、検出された信号は信号ライン20
を介してデータ処理装置21に送られ、所定のデータ処
理が行われる。
【0032】図1に示した構成を有する本実施例の質量
分析計は、下記特徴を有している。すなわち、プラズマ
の生成がマイクロ波によって行われるので、窒素やヘリ
ウムといったプラズマガスを使用することができる。ま
た、追加熱によってプラズマの温度が高くされるので、
イオン化ポテンシャルの高い試料に対しても、高いイオ
ン化効率と高い分析感度を達成できる。そのため、本実
施例によれば、ICP−MSで問題となっていた、アル
ゴンに起因するマトリックスイオンの影響を避けること
ができ、しかも従来のMIP−MSでは困難だったイオ
ン化ポテンシャルの高い元素の高感度分析ができるた
め、非常に広範囲の元素の高感度同時分析が可能になっ
た。
【0033】〈実施例2〉本実施例は、プラズマを加熱
する手段として交流磁界を用いた例であり、交流磁界を
プラズマに印加し、電磁誘導によって中に発生する渦電
流を利用してプラズマを効率的に加熱した例である。
【0034】図3に示したように、プラズマ10の近傍
にコイル26を設け、このコイル26に交流電源27に
よって交流電流を流して交流磁界を発生させた。この交
流磁界がプラズマ10に印加されると、プラズマ10中
に電界が誘起されて電流が流れる。このプラズマ10中
を流れる電流によって、プラズマ10がジュール加熱さ
れる。
【0035】本実施例は、電磁波の照射による加熱に比
べると、交流磁界はプラズマにより遮蔽されにくいの
で、1メガヘルツから100メガヘルツ程度の低周波の
交流磁界でも、高密度プラズマを加熱できるという特長
を有している。
【0036】〈実施例3〉本実施例は、交流磁界を用い
てプラズマの加熱を行った他の例であり、図4を用いて
説明する。本実施例は、プラズマ中の荷電粒子が磁力線
に巻き付くように運動することを利用し、磁力線の方向
に分析部のイオン取り込み口が来るように配置すること
によって、プラズマ中のイオンを効率よく分析装置に導
入した例である。すなわち、本実施例においては、図4
に示したように、コイル26の中心軸に沿ってプラズマ
10を導入した。そのため、導入されたプラズマ10
は、コイル26によって生成された交流磁界により加熱
され、また、磁界の影響でコイル26の中心軸に沿った
方向にプラズマ10を効率よく引き出すことができた。
【0037】図4に示した本実施例の構成を、さらに詳
細に図5に示した。プラズマ発生手段として、特開平1
−309300に開示されているイオン源を用いた。マ
イクロ波は、導波管28および変換器29を介して、内
導体30と外導体31から構成されるイオン源に送られ
る。内導体30には、プラズマガスと霧化用ガスが供給
されるトーチ32が、ストッパー33によって取り付け
られている。マイクロ波電力により、内導体30と外導
体31との間のギャップに強い電界が発生し、プラズマ
ガスが電離してプラズマ10が発生する。プラズマ10
には、さらに上記コイル26によって発生した交流磁界
が印加される。この交流磁界によってプラズマ10中に
は渦電流が発生し、この渦電流によりプラズマ10はジ
ュール加熱される。
【0038】分析すべき試料は、霧化用ガスによってプ
ラズマ10に運ばれ、プラズマ10の熱によりイオン化
される。生成されたイオンは第1の細孔11を介して真
空部に取り込まれ分析される。このような構成により、
マイクロ波プラズマイオン源において、高温のプラズマ
を発生させることができ、イオン化電位の高い試料を効
率よくイオン化できるようになった。また、コイル26
によりコイル26の中心軸に沿った方向に磁界が発生す
るため、プラズマ10中のイオンは効率よく磁力線方向
に引き出される。
【0039】コイル26とプラズマ10が容量結合する
と、コイル26に印加された交流電圧によってプラズマ
10の電位が変動し、このプラズマ10の電位によりプ
ラズマ10と第1の細孔11の開口する電極との間に放
電が起き、得られる質量スペクトルが変化する場合があ
る。放電の影響を避けるため、図6に示したように、シ
ールド板34あるいはリング電極35を設けてもよい。
シールド板34やリング電極35は接地されていること
が望ましい。このようにすることで、コイル26とプラ
ズマ10との容量結合を小さくすることができ、放電を
抑えることができる。
【0040】また、イオンをさらに効率よく第1の細孔
方向へ引き出すため、静磁場発生手段36を設けてイオ
ン源に静磁場を印加してもよい。また、図7に示したよ
うに、外導体31の一部をプラズマ10を包括するよう
に伸ばし、図6に示したシールド板34やリング電極3
5の機能を外導体31に持たせてもよい。
【0041】〈実施例4〉上記実施例においては、大気
中で生成されたプラズマを、大気中でさらに加熱した。
しかし、いずれの実施例においても、プラズマの一部は
第1の細孔を介して差動排気部まで到達しているので、
プラズマの加熱を差動排気部において行ってもよい。差
動排気部においてプラズマを加熱した例として、マイク
ロ波を用いて加熱を行った例を図8に示した。
【0042】マイクロ波は、導波管28および変換器2
9を介して差動排気部13に送られる。差動排気部13
には、排気系(図示せず)と結合するための排気口37
と圧力隔壁38が設けられている。この圧力隔壁38
は、マイクロ波が通る性質を有する物質、例えば誘電体
などからなることが望ましい。プラズマ10は第1の細
孔11を介して一部が差動排気部13まで入り込み、マ
イクロ波電力によって加熱される。大気中では十分にイ
オン化されなかったイオン化電位の高い物質も、差動排
気部13におけるプラズマ10の温度を高めることによ
って、効率よくイオン化される。試料イオンは第2の細
孔14から高真空部内に取り込まれて分析される。
【0043】差動排気部13におけるプラズマ10の加
熱方法としては、マイクロ波を用いる方法のみではな
く、各種方法を用いることができる。例えば、差動排気
部13においてプラズマ10にレーザーを照射しても良
いし、図4に示したようなコイル26を差動排気部13
に設け、誘導電流によってプラズマ10を加熱してもよ
い。プラズマ10の加熱を差動排気部13において行う
と、大気圧から差動排気部13にプラズマ10が取り込
まれる際に、断熱膨張によって冷却されるのが防止され
る効果も得られる。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、イオン化ポテンシャル
が高い元素である窒素、酸素、空気、ヘリウムなどのプ
ラズマを、十分にイオン化できる程度の高い温度で大気
圧中で生成することができる。従って、プラズマガスに
起因するマトリックスイオンの影響が少なく、かつほと
んどの元素を効率よくイオン化することができるので、
広範囲の元素に対して高感度同時分析が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す概略図、
【図2】マイクロ波によるプラズマの加熱を示す図、
【図3】本発明の第2の実施例を示す図、
【図4】本発明の第3の実施例を示す図、
【図5】本発明の第3の実施例示す図、
【図6】本発明の第3の実施例を示す図、
【図7】本発明の第3の実施例を示す図、
【図8】本発明の第4の実施例を示す図、
【図9】従来のマイクロ波誘導プラズマ質量分析計の概
略を示す図。
【符号の説明】
1…試料溶液槽、2…配管、3…霧化部、4…試料導入
管、5…イオン源、6…プラズマガス供給部、7…ガス
配管、8…マイクロ波発生部、9…マイクロ波伝送回
路、10…プラズマ、11…第1の細孔、12…真空排
気系、13…差動排気部、14…第2の細孔、15…真
空排気系、16…高真空部、17…イオン光学系、18
…質量分析部、19…検出器、20…信号ライン、21
…データ処理装置、22…エネルギー供給源、23…エ
ネルギー供給路、24…プラズマ加熱部、25…ホーン
アンテナ、26…コイル、27…交流電源、28…導波
管、29…変換器、30…内導体、31…外導体、32
…トーチ、33…ストッパー、34…シールド板、35
…リング電極、36…静磁場発生手段、37…排気口、
38…圧力隔壁。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂入 実 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地株 式会社日立製作所中央研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マイクロ波を用いてプラズマを発生させる
    プラズマ発生部と、前記プラズマ発生部で発生させたプ
    ラズマを加熱するためのプラズマ加熱部と、前記プラズ
    マに試料を供給するための試料供給部と、前記プラズマ
    でイオン化された前記試料のイオンを真空中に取り込む
    ための細孔と、前記イオンの質量を分析するための質量
    分析部を有することを特徴とする質量分析計。
  2. 【請求項2】前記プラズマ加熱部におけるプラズマ加熱
    方法が電磁波の照射であることを特徴とする請求項1記
    載の質量分析計。
  3. 【請求項3】前記プラズマ加熱部におけるプラズマ加熱
    方法が交流磁界の印加であることを特徴とする請求項1
    記載の質量分析計。
  4. 【請求項4】前記プラズマ発生部と前記プラズマ加熱部
    が共に大気圧中に設置されていることを特徴とする請求
    項1記載の質量分析計。
  5. 【請求項5】前記プラズマ発生部が大気中に設置され、
    かつ前記プラズマ加熱部が真空排気系により大気圧より
    も低い圧力に保たれている差動排気部に設置されている
    ことを特徴とする請求項1記載の質量分析計。
  6. 【請求項6】マイクロ波を用いてプラズマを発生させる
    プラズマ発生部と、前記プラズマ発生部で発生させたプ
    ラズマを加熱するためのプラズマ加熱部と、前記プラズ
    マに試料を供給するための試料供給部を有することを特
    徴とするイオン源。
  7. 【請求項7】上記プラズマ加熱部におけるプラズマ加熱
    方法が電磁波の照射であることを特徴とする請求項6記
    載のイオン源。
  8. 【請求項8】前記プラズマ加熱部におけるプラズマ加熱
    方法が交流磁界の印加であることを特徴とする請求項6
    記載のイオン源。
  9. 【請求項9】前記プラズマ発生部と前記プラズマ加熱部
    が共に大気圧中に設置されていることを特徴とする請求
    項6記載のイオン源。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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