JPH1129465A - 抗潰瘍剤 - Google Patents

抗潰瘍剤

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JPH1129465A
JPH1129465A JP9199120A JP19912097A JPH1129465A JP H1129465 A JPH1129465 A JP H1129465A JP 9199120 A JP9199120 A JP 9199120A JP 19912097 A JP19912097 A JP 19912097A JP H1129465 A JPH1129465 A JP H1129465A
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JP
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garcinol
ulcer
benzophenone derivative
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polyisoprenylated benzophenone
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JP9199120A
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Minoru Saito
實 斉藤
Hiroharu Ishikawa
廣晴 石川
Norio Yamaguchi
典男 山口
Toshiaki Ariga
敏明 有賀
Shigehiro Kataoka
茂博 片岡
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Kikkoman Corp
Original Assignee
Kikkoman Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 胃などの潰瘍の予防あるいは治療に有用な、
強い抗潰瘍活性を有する、新規な抗潰瘍剤を提供する。 【解決手段】 ガルシノール、イソガルシノールなどの
ポリイソプレニル化ベンゾフェノン誘導体を有効成分と
して含有させてなる抗潰瘍剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗潰瘍剤であり、
さらに詳しくはポリイソプレニル化ベンゾフェノン誘導
体を有効成分とする抗潰瘍剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、消化器の潰瘍、例えば胃潰瘍、十
二指腸潰瘍などの予防又は治療剤として、現在防御型抗
潰瘍薬として炭酸水素ナトリウム、塩酸セトラキセート
など、攻撃型抗潰瘍薬としてシメチジン、ラニチジンな
どのH2ブロッカー、さらにはオメプラゾールなどのプ
ロトンポンプインヒビター(バイオインダストリー、1
2巻、No.2、50〜58頁、1995年、参照)が
臨床的に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、消化器系、
特に胃などの潰瘍の予防あるいは治療に有用な、強い抗
潰瘍活性を有する、新規な抗潰瘍剤を提供することを目
的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の目
的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、オトギリソ
ウ科植物体の抽出物に含まれるガルシノール(Garc
inol)、イソガルシノール(Isogarcino
l)などのポリイソプレニル化ベンゾフェノン誘導体を
用いて、ラットを使用した潰瘍モデルにおける評価を行
ったところ、驚くべきことにそれら誘導体が強い抗潰瘍
活性を有することを始めて明らかにし、またそれら誘導
体は、毒性も極めて低いことなどを見出し、これらの知
見に基づき本発明を完成するに至った。すなわち、本発
明は、次の一般式(1)、又は一般式(2)
【0005】
【化3】
【0006】
【化4】
【0007】(式中のR1、R2若しくはR3、R4は、水
素原子、アルカリ金属原子、若しくは親水性の置換基を
意味し、R1とR2、若しくはR3とR4は同一であっても
よく、また互いに異なっていてもよい)で表されるポリ
イソプレニル化ベンゾフェノン誘導体を有効成分として
含有してなる抗潰瘍剤である。なお、近年、ガルシノー
ルがメチシリン耐性黄色ぶどう球菌(MRSA)に対す
る抗菌活性を示すことが見出されている(特開08−2
59493 参照)が、抗潰瘍性については知られてい
ない。以下本発明を詳細に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】先ず、本発明の抗潰瘍剤に用いら
れるポリイソプレニル化ベンゾフェノン誘導体とは、前
記の一般式(1)又は一般式(2)において、R1、R
2、若しくはR3、R4が、水素原子又はナトリウム、カ
リウムなどのアルカリ金属原子、若しくは親水性の置換
基である、硫酸基、グルコースあるいはフルクトースな
どの単糖残基、シュークロース、ペンタオースなどのオ
リゴ糖残基、グリシン、アルギニンなどのアミノ酸残
基、あるいはグルクロン酸残基で置換されたものであ
る。そして、R1とR2、若しくはR3とR4は同一であっ
てもよく、またそれらは互いに異なっていてもよい。そ
れらは水溶性、脂溶性のどちらでもよく、また、その生
産手段は特に問われず、化学的合成法によるもの、ポリ
イソプレニル化ベンゾフェノン誘導体を含有する植物体
などから抽出して得られるもの、若しくは前記の植物体
などからの抽出物をもとにして、これをR1、R2若しく
はR3、R4を部分的に化学的合成を施したものなどいず
れでもよい。その具体例として、例えば一般式(1)に
おいて、R1、R2が共に水素原子である、ガルシノール
〔(Garcinol;別名 カンボジノール(Cam
boginol)〕、また一般式(2)において、R
3、R4が共に水素原子である、イソガルシノール〔(I
sogarcinol;別名 カンボジン(Cambo
gin)〕などを挙げることができ、それらは、特に強
い抗潰瘍作用を有することから、本発明に好適に用いら
れる。
【0009】本発明の抗潰瘍剤は、前記したポリイソプ
レニル化ベンゾフェノン誘導体を含有していればどのよ
うなものでもよく、例えば該誘導体を含有している植物
体自体もしくはその粉砕物(それらは生、乾燥物どちら
でもよい)、後述する植物体の抽出物自体または/およ
びその部分精製物、さらには一般式(1)又は一般式
(2)のR1、R2又はR3、R4が前記したアルカリ金
属、若しくは親水性置換基で置換されたポリイソプレニ
ル化ベンゾフェノン誘導体などを含有させればよい。本
発明に用いられるポリイソプレニル化ベンゾフェノン誘
導体を含有している植物としては、オトギリソウ科に属
する植物、例えば熱帯性植物であるGarcinia
cambogia(英名:Goraka)、Garci
nia indica(英名:Kokam)、Garc
inia purpureaなどを挙げることができ
る。前記植物は、その果実、果皮、樹木、樹皮、樹液な
どいずれでも用いられる。Garcinia camb
ogia又はGarciniaindicaの乾燥果実
は、インド各地において料理の酸味料として大量に生産
されているので、それを用いてもよい。また近年ではこ
れらの乾燥果実から、ヒドロキシクエン酸の抽出が工業
的に大規模に行われており、その際に生ずる産業廃棄物
であるその抽出残渣を用いることもできる。
【0010】本発明に用いられるポリイソプレニル化ベ
ンゾフェノン誘導体は、合成法でも得ることができる
が、合成法は煩雑な合成過程を経て、膨大な時間とコス
トを要するので、ポリイソプレニル化ベンゾフェノン誘
導体を含有している前記した植物体から慣用技術を用い
て、例えば有機溶媒、超臨界ガスなどで抽出することに
より得るのが望ましい。前記の抽出において、有機溶媒
を用いると目的の物質が効率よく抽出されるので好まし
い。その有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノ
ール、アセトン、酢酸エチル、又はそれらの含水物、あ
るいはクロロホルム、ジクロメタン、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタンなどを挙げることができ、これらの中でも
好適なものとして、メタノール、エタノール、ヘキサン
などを挙げることができる。また、超臨界ガスを用いて
抽出するには、例えば超臨界ガスとして炭酸ガスなどが
用いられ、これにエントレーナーとしてエタノール、水
は度を加え、温度0〜100℃、好ましくは20〜40
℃、圧力5〜2000Kg/cm2、好ましくは20〜
800Kg/cm2、時間5分〜4日間、好ましくは3
0分〜20時間などの条件を適宜組み合わせて行うこと
ができる。
【0011】上記有機溶媒を用いて本発明に用いる、ガ
ルシノール、イソガルシノールなどのポリイソプレニル
化ベンゾフェノン誘導体を得るには、公知の抽出法、精
製法に従えばよい。例えば、前記した植物の果実、果
皮、樹木、樹皮を適当に破砕した後、それらの粉砕物、
又は該植物の樹液を前記の有機溶媒で公知の方法を用い
て処理する。具体的には、原料の1〜100倍(重量
比)、好ましくは3〜20(重量比)の有機溶媒で、温
度0℃以上、好ましくは10℃から有機溶媒の沸点以下
の温度の条件下で、1分〜8週間、好ましくは10分〜
1週間抽出処理をすれば、目的の物質を含む抽出物が得
られる。この抽出物からベンゾフェノン誘導体を精製す
るには、公知の天然有機化合物類の分離・精製法を採用
すればよい。例えば、活性炭、シリカ、化学修飾シリ
カ、ポリマー系担体などを用いた吸脱着あるいはクロマ
トグラフィー、液−液抽出、分別沈澱などの手法によ
り、不純物を除き精製する。具体的には、前記した抽出
物をODS−カラムクロマトグラフィーに供し、60〜
100%(v/v)エタノール溶液(または適宜の濃度
のメタノール或いはアセトニトリルでもよい)で溶出・
分画する。これらのクロマトグラフィーによって分離さ
れる成分を集め、濃縮・結晶化すると前記ポリイソプレ
ニル化ベンゾフェノン誘導体が得られる。そして、得ら
れた前記誘導体は、合成法によってさらに別の誘導体に
変えることもでき、そのようにして得たポリイソプレニ
ル化ベンゾフェノン誘導体も本発明においては有効に使
用できる。
【0012】ガルシノール、イソガルシノールなどのポ
リイソプレニル化ベンゾフェノン誘導体は、脂溶性が高
いので、前記したごとく、これを一般式(1)のR1、
R2、又は一般式(2)のR3、R4が硫酸基、グルコー
スあるいはフルクトースなどの単糖残基、シュークロー
ス、ペンタオースなどのオリゴ糖残基、グリシン、アル
ギニンなどのアミノ酸残基、あるいはグルクロン酸残基
などの親水性基に置換して水溶性としたものも本発明の
抗潰瘍剤として用いられる。親水性基が硫酸基である誘
導体を得るには、常法にしたがって行なえばよく、例え
ばガルシノール又はイソガルシノールをピリジンに溶解
した後、クロルスルホン酸を添加し、所定時間反応させ
た後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーな
どで分離精製し、硫酸化体を含む画分を集め、濃縮乾固
した後、水に溶解し、塩酸を滴下することにより再結晶
させて得られる。また、親水性基がグルコース残基であ
る誘導体を得るには、常法にしたがって行なえばよく、
例えばガルシノール又はイソガルシノールをピリジンに
溶解し、1−ブロム−アセチルグルコース200mgを
添加し、所定時間反応させた後、濃縮し、メタノールに
溶解し、炭酸カリウムの存在下で脱アセチルする。常法
により、これを濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィーなどで分離精製することにより、一般式(1)又
は一般式(2)の14位にグルコースが置換された目的
の14−O−β−D−グリコピラノシルポリイソプレニ
ル化ベンゾフェノン誘導体が得られる。
【0013】前記した抽出物、精製工程における部分精
製物、その最終精製物であるポリイソプレニル化ベンゾ
フェノン誘導体自体、又は該誘導体を前記のようにして
親水性基に置換したもののいずれかを有効成分として含
有させれば、本発明の抗潰瘍剤とすることができる。勿
論、必要により、ポリイソプレニル化ベンゾフェノン誘
導体の1種類又は2種類以上とを併用することもでき
る。
【0014】本発明の抗潰瘍剤は、経口的に投与するこ
とができ、一般式(1)又は一般式(2)の化合物を適
当な医薬担体と混合して用いることもできる。医薬担体
としては、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビ
ット、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、乳糖、ショ
糖、白糖、コーンスターチ、リン酸カルシウム、ソルビ
ット、グリシンなどの賦形剤、ステアリン酸マグネシウ
ム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカなどの滑
沢剤、バレイショデンプンなどの崩壊剤、ラウリル硫酸
ナトリウムなどの湿潤剤などが用いられる。また、剤形
としては、錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、顆粒剤の如
き固形剤であってもよく、また水剤、懸濁剤・乳剤、シ
ロップ剤、エリキシル剤、リモナーデ剤の如き液剤であ
ってもよい。これらの投与に適する製剤は、常法により
製造される。
【0015】本発明の抗潰瘍剤の投与量は、治療すべき
症状、年齢、体重などにより異なるが、例えば通常、成
人1日あたり、ポリイソプレニル化ベンゾフェノン誘導
体として50〜5000mgが適当であるが、好ましく
は100〜2000mg程度である。また、本抗潰瘍剤
は、例えば植物体などより抽出分離して得た場合、その
まま潰瘍予防食品としても利用が可能である。以下、参
考例、実験例及び実施例により、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明の範囲は、これらによってなんら
限定されるものではない。
【0016】
【実施例】
参考例1(ガルシノールの調製) 本発明に用いられるポリイソプレニル化ベンゾフェノン
誘導体の代表的化合物であるガルシノールをGarci
nia indicaの乾燥果実から精製した一例を示
す。Garcinia indicaの乾燥果実から、
先ずヒドロキシクエン酸を抽出して除去した。その方法
は、Y.S.Lewisの方法(Methodsin
Enzymology、77巻、615頁 参照)によ
った。すなわち、上記果実200gに600mlの水を
加え、115℃、15分間、オートクレーブ処理した。
ブッフナーろうと上(トーヨーろ紙No.2を使用)で
吸引ろ過し、さらに、ろ液が全量で600mlになるま
で水で洗った。かくのごとくして、目的の抽出残渣を得
た。
【0017】次いで、この抽出残渣の湿重量50gに対
して500mlのエタノールを添加し、室温(20℃)
で3時間撹拌しながら抽出を行った。残渣をろ別し、ろ
液をロータリーエバポレーターにて減圧乾固した。これ
をメタノール10mlに溶解し、不溶物をろ別後、YM
CゲルODS−AM120−S50(YMC Co.L
td.製)の内径32mm×35cmのカラムクロマト
グラフィーに供した。アセトニトリル90%溶液にて溶
出される成分のうち、365nmに吸収を有する2つの
主たる画分を集めた。このうち、後半に溶出した黄色の
画分をロータリーエバポレーターにてアセトニトリルを
溜去して淡黄色の乳濁液を得た。この乳濁液に、3倍容
の酢酸エチルを添加して目的物の抽出を行い、有機溶媒
層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、ロータリーエバ
ポレーターにて濃縮乾固した。その乾固物を少量のアセ
トニトリルに加温溶解し、冷却して淡黄色の針状結晶を
得た。この結晶をろ別し、少量の冷アセトニトリルで洗
浄した後、真空デシケーター中で乾燥し、最終的に15
0mgの結晶を得た。
【0018】この結晶の融点は120℃、比旋光度は−
135°、紫外部吸収は250nm及び365nm、マ
ススペクトル測定による分子量は602であった。これ
らの値は、A.V.Rama Raoら(Tetrah
edron Lett.、21巻、1975−1978
頁、1980年 参照)及びN.Krishnamur
thyら(Tetrahedron Lett.、22
巻、793−769頁、1981年 参照)によって報
告されたポリイソプレニル化ベンゾフェノンの一種であ
るガルシノール(カンボジノール)と一致した。
【0019】参考例2 (イソガルシノールの調製) 参考例1に記載した操作によって、ODSカラムクロマ
トグラフィーで得られた、前半に溶出された無色の画分
を集めた。これをロータリーエバポレーターにて濃縮乾
固し、エタノールによって加温溶解した。これを穏やか
に冷却し、無色の板状結晶を得た。この結晶をろ別し、
真空デシケーター中で乾燥し、15mgの結晶を得た。
【0020】この結晶の融点は230℃、比旋光度は−
224°、紫外部吸収は233nm及び277nm、マ
ススペクトル測定による分子量は602であった。これ
らの値は、A.V.Rama Raoら(Tetrah
edron Lett.、21巻、1975−1978
頁、1980年 参照)及びN.Krishnamur
thyら(Tetrahedron Lett.、22
巻、793−769頁、1981年 参照)によって報
告されたポリイソプレニル化ベンゾフェノンの一種であ
るイソガルシノール(カンボジン)と一致した。
【0021】参考例3 (スルフォキシ−ガルシノール
の調製) ガルシノールは脂溶性が高いのでこれを水溶性の誘導体
とするため、ガルシノールを用いて、親水性の誘導体化
を行った。先ず、参考例1と同様の方法で調製したガル
シノール500mgを100mlのピリジンに溶解した
後、クロルスルホン酸200mgを添加し、2時間室温
にて攪拌した。反応終了後、濃縮乾固ロータリーエバポ
レーターにて濃縮し、ついで、水200mlに溶解し、
酢酸エチル200mlで2回水層を洗浄した。続いて、
ODS(オクタデシルシラノール)カラムクロマトグラ
フィーにて分離精製した。エタノールの濃度を徐々に多
くするグラジエント溶出により、目的の14−スルフォ
キシ−ガルシノールを含む画分を集め、濃縮乾固した
後、水に溶解し、塩酸を滴下することにより再結晶を行
い、一般式(1)のR2が硫酸基に置換された14−ス
ルフォキシ−ガルシノールの黄色粉末100mgを得
た。なお、前記化合物のマススペクトル分析による分子
量は682、元素分析値は、C38509S・1/2H2
Oとして、計算値はC:65.97%、H:7.43
%、S:4.63%、観測値はC:66.12%、H:
7.05%、S:4.21%であった。
【0022】参考例4 (14−O−β−D−グリコピ
ラノシル−ガルシノールの調製) 参考例1と同様の方法で調製したガルシノールを用い
て、14−O−β−D−グリコピラノシル−ガルシノー
ルの合成を行なった。先ず、ガルシノール500mgを
100mlのピリジンに溶解した後、1−ブロム−アセ
チルグルコース200mgを添加し、2時間室温にて攪
拌した。反応終了後、ロータリーエバポレーターにて濃
縮し、次いで、メタノールに溶解し、炭酸カリウムの存
在下脱アセチルした。常法により、濃縮後シリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーにて分離精製することにより、
目的の14−O−β−D−グリコピラノシル−ガルシノ
ールの黄色粉末100mgを得た。なお、前記化合物の
マススペクトル分析による分子量は764、元素分析値
は、C446011・3/4H2Oとして、計算値はC:
67.89%、H:7.96%、観測値はC:67.7
2%、H:8.04%であった。
【0023】実験例1(誘導剤による潰瘍に対する抗潰
瘍試験) 体重200g前後のWistar/ST系雄性ラット
(6週齢)を用いて、胃潰瘍を惹起する誘導剤であるイ
ンドメタシンによる潰瘍を起こさせ、次に示す8つの試
験サンプル投与群を設定し、各サンプルの抗潰瘍効果を
調べた。なお、各投与群には、それぞれ6匹のラットを
使用した。
【0024】 <投与群> 第1群:(コントロール)生理食塩水 第2群:(比較区)塩酸セトラキセート 200mg/kg 第3群:(本発明区)ガルシノール 200mg/kg 第4群:(本発明区)ガルシノール 100mg/kg 第5群:(本発明区)ガルシノール 50mg/kg 第6群:(本発明区)イソガルシノール 200mg/kg 第7群:(本発明区)14−スルフォキシ−ガルシノール 200mg/kg 第8群:(本発明区)14−O−β−D−グリコピラノシル−ガルシール 200mg/kg なお、投与群においては、コントロールとして1%カル
ボキシメチルセルロースナトリウムを含む生理食塩水
を、また比較区として、現在臨床的に抗潰瘍剤として使
用されている塩酸セトラキセート(第一製薬社製 ノイ
エルS)を用いた。この塩酸セトラキセートは、水に溶
解しないことから乳鉢と乳棒を用いて微粉末とし、1%
カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液に懸濁して
使用した。また、本発明区のガルシノール、イソガルシ
ノール、14−スルフォキシ−ガルシノール及び14−
O−β−D−グリコピラノシル−ガルシールは、それぞ
れ参考例1、参考例2、参考例3、参考例4に示したと
同様にして得たものであり、ガルシノール又はイソガル
シノールは、微粉末として1%カルボキシメチルセルロ
ースナトリウム溶液を用いて、前記各群に示す投与量と
なる濃度で懸濁し、調製した。14−スルフォキシ−ガ
ルシノール又は14−O−β−D−グリコピラノシル−
ガルシールは、水溶性であるものの、コントロールと同
様1%カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液に溶
解した。
【0025】<実験方法と評価>実験は、山原らの方法
(薬学雑誌、114巻、401頁、1994年 参照)
に若干の変更を加えて行なった。すなわち、ラットを2
4時間絶食後、インドメタシン(50mg/kg)を、
0.1%Tween20(シグマ社製)を含有する1%
カルボキシメチルセルロースナトリウムに懸濁し、この
インドメタシン懸濁液を1ml/匹の割合で背部皮下に
注射して投与した。また、前記の8区分のサンプルは、
それぞれインドメタシンを投与する30分前に経口投与
した。インドメタシン投与してから7時間後に、ネンブ
タール麻酔下で放血死せしめ、胃を摘出した。摘出した
胃内に10%ホルマリンを含むリン酸緩衝液(10m
l)を注入し、10分後に切り開き、腺胃部に発生した
損傷の長さを損傷係数(lesion index)と
して、mm単位で測定して抗潰瘍効果を評価した。その
結果を表1に示す。なお、表1中の抑制率(%)とは、
コントロールの潰瘍の長さ(mm)の平均値47.75
から各群の潰瘍の長さ(mm)の平均値を差し引き、こ
れをコントロールの潰瘍の長さの平均値47.75で除
した値を示し、この数値が大きいものほど抗潰瘍活性が
強いことを意味する。
【0026】
【表1】表1 なお、表1中の*印は、第1群と5%の危険率で有意差
があること、また、**印は、第1群と1%の危険率で有
意差があることを意味する。
【0027】表1から明らかなように、いずれの本発明
区分も、コントロール区に比べて有意に強い抗潰瘍活性
を示した。特に、ガルシノール200mg/kg、ガル
シノール100mg/kg、ガルシノール50mg/k
gの各投与群は、市販の抗潰瘍剤である塩酸セトラキセ
ート投与群を凌ぐ極めて強い抗潰瘍活性を示した。この
ことから、本発明に用いられるポリイソプレニル化ベン
ゾフェノン誘導体は、抗潰瘍剤として極めて有用である
ことがわかる。
【0028】実験例2(ストレス性の潰瘍に対する抗潰
瘍試験) 体重200g前後のWistar系雄性ラット(6週
齢)を使用して、拘束水浸によるストレスを与えて胃潰
瘍を惹起させ、次に示す試験サンプル投与群を設定し、
それぞれの抗潰瘍効果を調べた。なお、各投与群には、
それぞれ6匹のラットを使用した。
【0029】 <投与群> 第1群:(コントロール)生理食塩水 第2群:(比較区)塩酸セトラキセート 200mg/kg 第3群:(本発明区)ガルシノール 200mg/kg なお、コントロール、比較区、本発明区の各投与群の試
験サンプルは、実験例1と同様にして調製した。
【0030】<実験方法と評価>ラットを24時間絶食
後、各試験サンプルを経口投与したのち、30分後、拘
束水浸ケージに収容した。次いで、23℃の水槽にて水
浸することにより、ストレスを7時間持続したのち、ネ
ンブタール麻酔下放血死せしめて胃を摘出した。摘出し
た胃内に10%ホルマリンを含むリン酸緩衝液(10m
l)を注入し、10分後に切り開き、腺胃部に発生した
損傷の長さを測定し、損傷係数(lesion ind
ex)として、mm単位で測定して抗潰瘍効果を評価し
た。その結果を表2に示す。なお、表2中の抑制率
(%)の算出方法、及びその意味するところは、実験例
1に記載したとおりである。
【0031】
【表2】表2 表2中、*印は、コントロールと5%の危険率で有意差
あることを意味する。
【0032】表2から明らかなように、本発明区(ガル
シノール投与区)は、市販医薬品である塩酸セトラキセ
ートとほぼ同等の抗潰瘍活性を示した。このことから、
本発明の抗潰瘍剤は、ストレスに起因する潰瘍の予防又
は治療剤として有効であることがわかる。
【0033】実験例3(単回投与毒性試験) <使用動物>:体重29〜32gのICR/crj雄マ
ウス(5週齢)。 <実験方法>:医薬品のための毒性試験法ガイドライン
(昭和59年2月15日薬審第118号、都道府県衛生
主管部局長宛厚生省薬務局審査第2課長通知)に準じ、
単回投与毒性試験を行った。 生理食塩水に、ガルシノールを30mg/mlの濃度と
なるよう懸濁し、この懸濁液を、5匹のマウスに、体重
30gあたり0.5ml(500mg/体重kg)の割
合で経口投与し、14日間観察した。その結果、全例と
も死亡動物はなく、また副作用も認められず、14日目
の剖検においても、組織、臓器の顕微鏡的異常はなんら
観察されなかったことから、本発明に用いられるガルシ
ノールは、きわめて毒性が低いことが判明した。
【0034】実施例1(ガルシノールを含有させた抗潰
瘍用シロップ剤) 参考例1に記載したと同様にして得たガルシノールを乳
鉢で微粉末とし、これを滅菌精製水に懸濁し、この懸濁
液にチェリーシロップを穏やかに攪拌しながら添加して
1200mlとする下記組成のシロップ剤を調製した。
このシロップ剤は、1日当たり1〜3回服用でき、1回
当たり5mlの服用でガルシノール200mgを含有し
た抗潰瘍剤(シロップ剤)である。 <シロップ剤の組成> ガルシノール 48g 滅菌精製水 残余 チェリーシロップ 1000ml 合計 1200ml
【0035】実施例2(14−スルフォキシ−ガルシノ
ールを含有させた抗潰瘍用シロップ剤) 参考例3に記載したと同様にして得た14−スルフォキ
シ−ガルシノールを、滅菌精製水に溶解し、この溶液に
チェリーシロップを穏やかに攪拌しながら添加して12
00mlとする下記組成のシロップ剤を調製した。この
シロップ剤は、1日当たり1〜3回服用でき、1回当た
り5ml服用で、14−スルフォキシ−ガルシノール2
00mgを含有した抗潰瘍剤(シロップ剤)である。 <シロップ剤の組成> 14−スルフォキシ−ガルシノール 48g 滅菌精製水 残余 チェリーシロップ 1000ml
【0036】実施例3(ガルシノールを含有させた抗潰
瘍用散剤) 参考例1に記載したと同様にして得たガルシノールと、
乳糖、結晶セルロースとを下記組成で混合し、これを精
製水で練合した後、常法により粉末状または細粒状とし
て散剤1Kgを調製した。この散剤は、1包を1gとし
て、1包の服用でガルシノール200mgを含有した抗
潰瘍剤(散剤)である。 <散剤の組成> ガルシノール 200g 乳糖 600g 結晶セルロース 200g
【0037】実施例4(イソガルシノールを含有させた
抗潰瘍用散剤) 参考例2に記載したと同様にして得たイソガルシノール
と、乳糖、結晶セルロースとを下記組成で混合し、これ
を精製水で練合した後、常法により粉末状または細粒状
とし、散剤を調製した。この散剤は、1gを1包とし、
1回の服用でイソガルシノール200mgを含有した抗
潰瘍剤(散剤)である。 <散剤の組成> イソガルシノール 200g 乳糖 600g 結晶セルロース 200g
【0038】
【発明の効果】本発明の抗潰瘍剤は、強い抗潰瘍活性を
有しているので、消化器系の潰瘍、特に胃潰瘍などの予
防、又は治療に顕著な効果を示し、また、毒性が極めて
低く、副作用を伴うことがない。したがって、本発明は
産業上極めて有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07D 311/78 C07D 311/78 C07H 15/203 C07H 15/203 (72)発明者 有賀 敏明 千葉県野田市野田339番地 キッコーマン 株式会社内 (72)発明者 片岡 茂博 千葉県野田市野田339番地 キッコーマン 株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(1)、又は一般式(2) 【化1】 【化2】 (式中のR1、R2若しくはR3、R4は、水素原子又はア
    ルカリ金属原子、若しくは親水性の置換基を意味し、R
    1とR2、若しくはR3とR4は同一であってもよく、また
    互いに異なっていてもよい)で表されるポリイソプレニ
    ル化ベンゾフェノン誘導体を有効成分として含有してな
    る抗潰瘍剤。
  2. 【請求項2】 ポリイソプレニル化ベンゾフェノン誘導
    体のR1、R2が、共に水素原子であるガルシノール(G
    arcinol)か、又はR3、R4が、共に水素原子で
    あるイソガルシノール(Isogarcinol)のい
    ずれかである請求項1記載の抗潰瘍剤。
  3. 【請求項3】 ポリイソプレニル化ベンゾフェノン誘導
    体のR1、R2またはR3、R4が、共に若しくは一方が硫
    酸基、単糖残基、オリゴ糖残基、アミノ酸残基のいずれ
    かである、請求項1記載の抗潰瘍剤。
  4. 【請求項4】 ポリイソプレニル化ベンゾフェノン誘導
    体のR1が水素原子でR2が硫酸基である、14−スルフ
    ォキシ−ガルシノールか、又はR3が水素原子でR4がグ
    ルコース残基である、14−O−β−D−グリコピラノ
    シル−ガルシノールのいずれかである請求項1記載の抗
    潰瘍剤。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011158806A1 (ja) 2010-06-14 2011-12-22 日産化学工業株式会社 造血幹細胞の製造方法
WO2021157627A1 (ja) * 2020-02-04 2021-08-12 株式会社東洋新薬 経口組成物

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WO2011158806A1 (ja) 2010-06-14 2011-12-22 日産化学工業株式会社 造血幹細胞の製造方法
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