JPH11290574A - 洗濯機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 洗濯兼脱水槽内に入れた洗濯物を洗濯する洗
濯機において、洗濯兼脱水槽内の洗濯物に撹拌翼などに
よる機械力を加えることなく、洗濯液を循環させること
で、洗濯物を傷めたり、絡めたりすることなく、洗濯で
きるようにする。 【解決手段】 水受け槽１２内に洗濯兼脱水槽１０を回
転自在に配設し、水受け槽１２の上方を水受け槽カバー
２３により覆い、洗濯兼脱水槽１０をモータ１３により
回転駆動する。この洗濯兼脱水槽１０の回転によるポン
プ作用で、洗濯兼脱水槽１０と水受け槽１２の間の洗濯
液を洗濯兼脱水槽１０と水受け槽カバー２３の間から洗
濯兼脱水槽１０の略回転中心に向けて吐出させる構成と
したものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、洗濯兼脱水槽内に
入れた洗濯物を洗濯する洗濯機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、洗濯機は、図１１に示すように構
成していた。以下、その構成について説明する。

【０００３】図１１に示すように、洗濯兼脱水槽１は、
底面に撹拌翼２を回転自在に配置し、この洗濯兼脱水槽
１の外側に水受け槽３を設けている。水受け槽３の底面
には、洗濯兼脱水槽１と撹拌翼２を駆動するモータ４を
取り付け、駆動部の切り替えを行うクラッチ装置５を介
して、洗濯兼脱水槽１または撹拌翼２を駆動するよう構
成している。また、水受け槽３は外枠６にサスペンショ
ン７を介して防振支持している。洗濯兼脱水槽１の上部
には、液体を内封した流体バランサー８を固定してい
る。水受け槽１の上面は水受け槽カバー９によって覆わ
れている。

【０００４】上記構成において、洗濯行程では、水受け
槽３内に洗濯液を入れ、洗濯兼脱水槽１に投入した洗濯
物（衣類）を撹拌翼２によって撹拌し、洗濯液を洗濯物
に浸透させ、かつ洗濯物を揉むことで汚れを除去する。
すすぎ行程では、水受け槽３に水を入れて、撹拌翼２に
よって撹拌して洗濯物をすすぐ。脱水行程では、クラッ
チ装置５を切り替えて、モータ５の回転を洗濯兼脱水槽
１に伝達し、洗濯兼脱水槽１を回転することで洗濯物の
水分を遠心脱水する。

【０００５】これら各行程を逐次制御して、洗濯、すす
ぎ、脱水の各行程を自動的に行うように構成している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】このような従来の構成
では、昨今、洗濯容量の大容量化が進み、洗濯容量が８
kg以上のものも見られるようになっている。このため、
洗濯液を洗濯兼脱水槽１ないの洗濯物全体に浸透させ、
かつ撹拌翼２の回転を洗濯物全体に伝えるためには、撹
拌翼２の回転力を強くしたり、撹拌力を強くしたりする
必要があり、結果として、洗濯物の汚れをとると同時
に、洗濯物（衣類）も傷めてしまい、しかも洗濯物を絡
めてしまうという問題があった。

【０００７】本発明は上記従来の課題を解決するもの
で、洗濯兼脱水槽内の洗濯物に撹拌翼などによる機械力
を加えることなく、洗濯液を循環させることで、洗濯物
を傷めたり、絡めたりすることなく、洗濯できるように
することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、水受け槽内に洗濯兼脱水槽を回転自在に配
設し、水受け槽の上方を水受け槽カバーにより覆い、洗
濯兼脱水槽を駆動手段により回転駆動することによるポ
ンプ作用で、洗濯兼脱水槽と水受け槽の間の洗濯液を洗
濯兼脱水槽と水受け槽カバーの間から洗濯兼脱水槽の略
回転中心に向けて吐出させる構成としたものである。

【０００９】これにより、洗濯兼脱水槽内の洗濯物に撹
拌翼などによる機械力を加えることなく、洗濯液を循環
させることで、洗濯物を傷めたり、絡めたりすることな
く、洗濯することができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の請求項１に記載の発明
は、水受け槽内に回転自在に配設した洗濯兼脱水槽と、
前記洗濯兼脱水槽を駆動する駆動手段と、前記水受け槽
の上方を覆う水受け槽カバーとを備え、前記洗濯兼脱水
槽を回転駆動することによるポンプ作用で、前記洗濯兼
脱水槽と水受け槽の間の洗濯液を洗濯兼脱水槽と水受け
槽カバーの間から洗濯兼脱水槽の略回転中心に向けて吐
出させる構成としたものであり、洗濯兼脱水槽内に洗濯
物を入れ、洗濯液の中で洗濯兼脱水槽を回転させると、
この回転による遠心力で水受け槽の内面を洗濯液がせり
上がる動きが発生し、上昇した洗濯液は上部の水受け槽
カバーで方向を変えて、洗濯兼脱水槽と水受け槽カバー
の間から洗濯兼脱水槽内に向けて吐出する。吐出した洗
濯液は洗濯物内を通過した後、再び洗濯兼脱水槽の外に
移動する経路で循環する。したがって、洗濯兼脱水槽内
の洗濯物に撹拌翼などによる機械力を加えることなく、
洗濯液を循環させることによって、洗濯物を傷めたり、
絡めたりすることなく、洗濯することができる。特に、
洗濯兼脱水槽と水受け槽カバーの間から洗濯兼脱水槽の
略回転中心に向けて洗濯液を吐出させるため、洗濯液を
洗濯物全体に遠心力で効率的に浸透させることができ
る。

【００１１】請求項２に記載の発明は、上記請求項１に
記載の発明において、水受け槽カバーの下面には、洗濯
兼脱水槽の略回転中心に向けて、少なくとも１つの整流
部材を略垂直に立設したものであり、洗濯兼脱水槽の回
転による遠心力で水受け槽の内面を洗濯液がせり上が
り、回転する洗濯兼脱水槽に連動して回転する洗濯液の
液層から、整流部材によって分離して洗濯兼脱水槽と水
受け槽カバーの間から洗濯兼脱水槽内の略回転中心でか
つ上位部に向けて吐出させることができ、洗濯兼脱水槽
内の洗濯物の量に関係なく、洗濯物全体に洗濯液を循環
させることができ、洗濯物を傷めたり、絡めたりするこ
となく、また、洗濯むらがなく洗濯することができる。

【００１２】請求項３に記載の発明は、上記請求項２に
記載の発明において、整流部材には、洗濯兼脱水槽の回
転方向とは反対に向けて、水受け槽カバーに略平行な面
を有する水保持部を設けたものであり、洗濯兼脱水槽の
回転による遠心力で水受け槽の内面を洗濯液がせり上が
り、洗濯兼脱水槽と水受け槽カバーの間から洗濯兼脱水
槽の略回転中心に向けて吐出し、循環する水量が少ない
場合でも、回転する洗濯兼脱水槽に沿って回転する洗濯
液の液層から、整流部材と水保持部によって分離され、
水保持部でさらに洗濯兼脱水槽の回転による圧力を受け
て、洗濯兼脱水槽の略回転中心に向けて吐出させること
ができ、洗濯兼脱水槽内の水量に関係なく、洗濯物全体
に洗濯液を循環させることができ、洗濯物を傷めたり、
絡めたりすることなく、また、洗濯むらがなく洗濯する
ことができる。

【００１３】請求項４に記載の発明は、上記請求項３に
記載の発明において、水保持部は、洗濯兼脱水槽の略回
転中心側の幅が広くなるように幅を変化させる構成とし
たものである。洗濯兼脱水槽の回転による遠心力で水受
け槽の内面を洗濯液がせり上がり、洗濯兼脱水槽と水受
け槽カバーの間から洗濯兼脱水槽の略回転中心に向けて
吐出する洗濯液は、洗濯兼脱水槽内の洗濯物の片寄りな
どにより洗濯兼脱水槽の回転が一定しない場合などに
は、脈動が起きる場合がある。このとき、水受け槽の内
面上部で脈動する洗濯液の液層は、洗濯兼脱水槽の外側
の方により多くの洗濯液が、回転する洗濯兼脱水槽と連
動して回転している。そこで、水保持部の洗濯兼脱水槽
の略回転中心側の幅を広くし、回転中心の外側を狭くす
ることで、脈動時の洗濯液量が多い場合は、洗濯兼脱水
槽の回転中心の外側の幅が狭い部分で受ける圧力が低い
ために、回転中心側の幅が広い部分で受けた洗剤液の圧
力は、回転中心の外側の幅が狭い部分に向けて減圧さ
れ、その結果、回転中心側の幅が広い部分から幅が狭い
部分に向って洗濯液が流れ、洗濯兼脱水槽と水受け槽カ
バーの間から洗濯液の出過ぎを防止することができる。
一方、脈動時の洗濯液量が少ない場合は、洗濯兼脱水槽
の外側の方に洗濯液が回転しているため、この洗濯液の
液層を外側の幅が狭い部分でのみ受け、受けた洗濯液が
すべて洗濯兼脱水槽と水受け槽カバーの間から吐出さ
れ、吐出不足を防止し、洗濯液を洗濯兼脱水槽の略回転
中心に向けて連続的に、安定して吐出させることがで
き、洗濯兼脱水槽内の洗濯物の片寄りに関係なく、洗濯
物全体に洗濯液を循環させることができ、洗濯物を傷め
たり、絡めたりすることなく、また、洗濯むらがなく洗
濯することができる。

【００１４】請求項５に記載の発明は、上記請求項１〜
４に記載の発明において、洗濯兼脱水槽の回転中心側に
位置する整流部材の端部には、前記整流部材と水受け槽
カバーの両方に対して略直角に位置する水反射部を設け
たものであり、洗濯兼脱水槽と水受け槽カバーの間から
洗濯兼脱水槽の略回転中心に向けて吐出する洗濯液は、
水反射部で水の流れを一部逆流するように吐出すること
で、洗濯兼脱水槽の略回転中心に向けて扇状に広がって
散水することができ、洗濯物全体に洗濯液を短時間に浸
漬することができ、素早く洗濯することができる。

【００１５】請求項６に記載の発明は、上記請求項５に
記載の発明において、水反射部には、水受け槽カバーの
上方に水が噴き出さないよう水噴き出し防止用のリブ部
を併設したものであり、洗濯兼脱水槽と水受け槽カバー
の間から洗濯兼脱水槽の略回転中心に向けて吐出する洗
濯液は、リブ部により洗濯液の上面を下方に向けて吐出
し、吐出された洗濯液が水受け槽カバーの上に跳ね上が
り、外側に飛び出すのを防止することができる。

【００１６】請求項７に記載の発明は、上記請求項１〜
６に記載の発明において、水受け槽カバーには、水受け
槽カバーと洗濯兼脱水槽の間に、洗濯兼脱水槽の回転に
よって洗濯物が侵入しないように侵入防止壁を設けたも
のであり、侵入防止壁により、洗濯、またはすすぎ時
に、洗濯兼脱水槽に投入された洗濯物が遠心力で水受け
槽カバーと洗濯兼脱水槽の上部の間から侵入し、濯兼脱
水槽と水受け槽の間に入り込むのを防止することができ
る。

【００１７】請求項８に記載の発明は、上記請求項１〜
７に記載の発明において、洗濯兼脱水槽の底面にはパル
セータなどの撹拌手段を併設したものであり、衣類の局
所的な汚れ（部分汚れ）や傷みをそれほど気にしない厚
手の衣類（ジーンズや作業服など）の汚れをパルセータ
などの撹拌手段を駆動することで、短時間で洗いあげる
ことができる。

【００１８】

【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
しながら説明する。

【００１９】（実施例１）図１に示すように、洗濯兼脱
水槽１０は、内壁面に多数の小穴を有し、底面に撹拌翼
１１を回転自在に配置し、この洗濯兼脱水槽１０の外側
に水受け槽１２を設けている。水受け槽１２の底面に
は、洗濯兼脱水槽１０と撹拌翼１１を駆動するモータ
（駆動手段）１３を取り付け、駆動部の切り替えを行う
クラッチ装置１４を介して、洗濯兼脱水槽１０または撹
拌翼１１を駆動するよう構成している。

【００２０】また、水受け槽１２は外枠１５にサスペン
ション１６を介して防振支持している。洗濯兼脱水槽１
０の内壁に水路カバー１７を固定して循環水路１８を形
成し、この循環水路１８は撹拌翼１１の裏面に一体に設
けた下側羽根１９外周のポンプ室２０と洗濯兼脱水槽１
０の上部のリントフィルター２１との間を連結してい
る。

【００２１】洗濯兼脱水槽１０の上部には、液体を内封
した流体バランサー２２を固定している。水受け槽１２
の上面は水受け槽カバー２３によって覆われている。こ
こで、水受け槽１２と水受け槽カバー２３との間は、パ
ッキング（図示せず）を介在させて、水密性を確保して
いる。

【００２２】排水弁２４は水受け槽１２内の洗濯水を排
水するものであり、給水弁２５は水受け槽１２内に給水
するものである。制御装置２６はモータ１３、排水弁２
４、給水弁２５などの動作を制御し、洗い、すすぎ、脱
水の一連の行程を逐次制御する。

【００２３】そして、傷みやすい洗濯物を洗濯するとき
は、洗い、すすぎの各行程で、洗濯兼脱水槽１０を、た
とえば、３００ｒｐｍで回転駆動し、この洗濯兼脱水槽
１０を回転駆動することによるポンプ作用で、洗濯兼脱
水槽１０と水受け槽１２の間の洗濯液を洗濯兼脱水槽１
０と水受け槽カバー２３の間から洗濯兼脱水槽１０の略
回転中心に向けて吐出させる構成としている。

【００２４】上記構成において動作を説明すると、洗濯
兼脱水槽１０内に洗濯物を入れ、給水弁２５をオンして
給水した後、洗濯兼脱水槽１０を回転させると、回転に
よる遠心力で水受け槽１２の内面を洗濯液がせり上がる
動きが発生し、洗濯兼脱水槽１０と水受け槽１２の間を
上昇した洗濯液は上部の水受け槽カバー２３に当たり、
方向を変えて洗濯兼脱水槽１０（流体バランサー２２の
上面）と水受け槽カバー２３の間から洗濯兼脱水槽１０
の略回転中心に向けて吐出する。

【００２５】吐出した洗濯液は洗濯物内を通過した後、
再び洗濯兼脱水槽１０の内壁面に設けた多数の小穴を通
して、洗濯兼脱水槽１０と水受け槽１２の間に移動する
経路で循環する。この洗濯液の循環により、洗濯液が洗
濯物内を通過するとき、洗濯物の汚れを除去することが
できる。特に、洗濯兼脱水槽１０と水受け槽カバー２３
の間から洗濯兼脱水槽１０の略回転中心に向けて洗濯液
を吐出させるため、洗濯液を洗濯物全体に遠心力で効率
的に浸透させることができる。

【００２６】したがって、洗濯兼脱水槽１０内の洗濯物
に撹拌翼１１などによる機械力を加えることなく、洗濯
液を循環させることによって、洗濯物を傷めたり、絡め
たりすることなく、洗濯することができる。

【００２７】また、洗濯物の局所的な汚れ（部分汚れ）
や、傷みをそれほど気にしない厚手の衣類（ジーンズや
作業服など）の汚れを洗濯する場合は、撹拌翼１１を駆
動することで、短時間で洗いあげることができる。

【００２８】（実施例２）図２に示すように、水受け槽
カバー２７は、水受け槽１２の上面を覆い、水受け槽１
２との間は水密性を確保している。この水受け槽カバー
２７の下面に、洗濯兼脱水槽１０の略回転中心に向け
て、整流部材２８を略垂直に立設している。この整流部
材２８は、水受け槽カバー２７の下面に略等間隔に、少
なくとも１つ以上、たとえば、４つ設けている。この整
流部材２８は、水受け槽カバー２７に別部材で設けても
よく、水受け槽カバー２７に一体成形で形成してもよ
い。他の構成は上記実施例１と同じである。

【００２９】上記構成において動作を説明すると、洗濯
兼脱水槽１０内に洗濯物を入れ、給水弁２５をオンして
給水した後、洗濯兼脱水槽１０を回転させると、回転に
よる遠心力で水受け槽１２の内面を洗濯液がせり上がる
動きが発生し、上記実施例１と同様に、洗濯兼脱水槽１
０と水受け槽カバー２７の間から洗濯兼脱水槽１０の略
回転中心に向けて吐出する。

【００３０】このとき、回転する洗濯兼脱水槽１０に連
動して回転する洗濯液の液層から、整流部材２８によっ
て分離して洗濯兼脱水槽１０と水受け槽カバー２７の間
から洗濯兼脱水槽１０内の略回転中心でかつ上位部に向
けて吐出させることができ、洗濯兼脱水槽１０内の洗濯
物の量に関係なく、洗濯物全体に洗濯液を循環させるこ
とができ、洗濯物を傷めたり、絡めたりすることなく、
また、洗濯むらがなく洗濯することができる。

【００３１】（実施例３）図３に示すように、水受け槽
カバー２９は、水受け槽１２の上面を覆い、水受け槽１
２との間は水密性を確保している。この水受け槽カバー
２９の下面に、洗濯兼脱水槽１０の略回転中心に向け
て、整流部材３０を略垂直に立設し、この整流部材３０
に洗濯兼脱水槽１０の回転方向とは反対に向けて、水受
け槽カバー２９に略平行な面を有する水保持部３１を設
けている。他の構成は上記実施例２と同じである。

【００３２】上記構成において動作を説明すると、洗濯
兼脱水槽１０内に洗濯物を入れ、給水弁２５をオンして
給水した後、洗濯兼脱水槽１０を回転させると、回転に
よる遠心力で水受け槽１２の内面を洗濯液がせり上がる
動きが発生し、上記実施例２と同様に、洗濯兼脱水槽１
０と水受け槽カバー２９の間から洗濯兼脱水槽１０の略
回転中心に向けて吐出する。

【００３３】ここで、上記実施例２の構成では、洗濯兼
脱水槽１０と水受け槽カバー２９の間から洗濯兼脱水槽
１０の略回転中心に向けて吐出する洗濯液は、水受け槽
１２内の水量が少ない場合は、洗濯兼脱水槽１０の回転
によって水受け槽カバー２９の外周部でたまって回転
し、洗濯兼脱水槽１０の略回転中心に吐出しな場合があ
る。

【００３４】本実施例では、整流部材３０に洗濯兼脱水
槽１０の回転方向とは反対に向けて、水保持部３１を設
けているので、循環する水量が少ない場合でも、回転す
る洗濯兼脱水槽１０に沿って回転する洗濯液の液層か
ら、整流部材３０と水保持部３１によって分離され、水
保持部３１でさらに洗濯兼脱水槽１０の回転による圧力
を受けて、洗濯兼脱水槽１０の略回転中心に向けて吐出
させることができ、洗濯兼脱水槽１０内の水量に関係な
く、洗濯物全体に洗濯液を循環させることができ、洗濯
物を傷めたり、絡めたりすることなく、また、洗濯むら
がなく洗濯することができる。

【００３５】（実施例４）図４に示すように、水受け槽
カバー３２は、水受け槽１２の上面を覆い、水受け槽１
２との間は水密性を確保している。この水受け槽カバー
３２の下面に、洗濯兼脱水槽１０の略回転中心に向け
て、整流部材３３を略垂直に立設し、この整流部材３３
に洗濯兼脱水槽１０の回転方向とは反対に向けて、水受
け槽カバー３２に略平行な面を有する水保持部３４を設
け、この水保持部３４は、洗濯兼脱水槽１０の略回転中
心側の幅Ｗ1が水受け槽１２側の幅Ｗ2より広くなるよう
に幅を変化させる構成としている。他の構成は上記実施
例３と同じである。

【００３６】上記構成において動作を説明すると、洗濯
兼脱水槽１０内に洗濯物を入れ、給水弁２５をオンして
給水した後、洗濯兼脱水槽１０を回転させると、回転に
よる遠心力で水受け槽１２の内面を洗濯液がせり上がる
動きが発生し、上記実施例２または３と同様に、洗濯兼
脱水槽１０と水受け槽カバー３２の間から洗濯兼脱水槽
１０の略回転中心に向けて吐出する。

【００３７】ここで、洗濯兼脱水槽１０の回転による遠
心力で水受け槽１２の内面を洗濯液がせり上がり、洗濯
兼脱水槽１０と水受け槽カバー３２の間から洗濯兼脱水
槽１０の略回転中心に向けて吐出する洗濯液は、洗濯兼
脱水槽１０内の洗濯物の片寄りなどにより洗濯兼脱水槽
１０の回転が一定しない場合などには、脈動が起きる場
合がある。

【００３８】このとき、水受け槽１２の内面上部で脈動
する洗濯液は、図５(a)に示すように、洗濯兼脱水槽１
０の上部に固着した流体バランサー２２の上面を覆う程
度に洗濯液量が多い状態と、図５(b)に示すように、流
体バランサー２２の上面には達しない少ない状態とを交
互に繰り返しながら、回転する洗濯兼脱水槽１０と連動
して回転している。

【００３９】そこで、水保持部３４の洗濯兼脱水槽１０
の略回転中心側の幅を広くし、回転中心の外側を狭くす
ることで、脈動時の洗濯液量が多い場合は、洗濯兼脱水
槽１０の回転中心の外側の幅が狭い部分で受ける圧力が
低いために、回転中心側の幅が広い部分で受けた洗剤液
の圧力は、回転中心の外側の幅が狭い部分に向けて減圧
され、その結果、図６(a)に示すように、回転中心側の
幅が広い部分から幅が狭い部分に向って洗濯液が流れ、
洗濯兼脱水槽１０と水受け槽カバー３２の間から吐出す
る洗濯液量を少なくして出過ぎを防止することができ
る。

【００４０】一方、脈動時の洗濯液量が少ない場合は、
洗濯兼脱水槽１０の外側の方に洗濯液が回転しているた
め、図６(b)に示すように、この洗濯液の液層を外側の
幅が狭い部分でのみ受け、受けた洗濯液がすべて洗濯兼
脱水槽１０と水受け槽カバー３２の間から吐出され、吐
出不足を防止し、洗濯液を洗濯兼脱水槽１０の略回転中
心に向けて連続的に、安定して吐出させることができ、
洗濯兼脱水槽１０内の洗濯物の片寄りに関係なく、洗濯
物全体に洗濯液を循環させることができ、洗濯物を傷め
たり、絡めたりすることなく、また、洗濯むらがなく洗
濯することができる。

【００４１】なお、本実施例では、水保持部３４は、洗
濯兼脱水槽１０の略回転中心側の幅が広くなるように、
幅を連続的に変化させる構成としているが、図７に示す
ように、階段状に変化させるようにした水保持部３５に
よっても、同様の作用効果を得ることができる。

【００４２】（実施例５）図８に示すように、水受け槽
カバー３６は、水受け槽１２の上面を覆い、水受け槽１
２との間は水密性を確保している。この水受け槽カバー
３６の下面に、洗濯兼脱水槽１０の略回転中心に向け
て、整流部材３７を略垂直に立設し、この整流部材３７
に洗濯兼脱水槽１０の回転方向とは反対に向けて、水受
け槽カバー３６に略平行な面を有する水保持部３８を設
けている。水反射部３９は、洗濯兼脱水槽１０の回転中
心側に、整流部材３７と水受け槽カバー３６の両方に略
直角に設けている。他の構成は上記実施例２〜４と同じ
である。

【００４３】上記構成において動作を説明すると、洗濯
兼脱水槽１０内に洗濯物を入れ、給水弁２５をオンして
給水した後、洗濯兼脱水槽１０を回転させると、回転に
よる遠心力で水受け槽１２の内面を洗濯液がせり上がる
動きが発生し、上記実施例２〜４と同様に、洗濯兼脱水
槽１０と水受け槽カバー３６の間から洗濯兼脱水槽１０
の略回転中心に向けて吐出する。

【００４４】ここで、上記実施例２〜４の構成では、洗
濯兼脱水槽１０内の洗濯物に向かって吐出される水は、
中央部に向かって吐出されても略棒状であり、洗濯物全
体に洗濯液を浸漬するには時間がかかっていた。

【００４５】本実施例では、整流部材３７に洗濯兼脱水
槽１０の回転中心側に整流部材３７と水受け槽カバー３
６の両方に略直角に水反射部３９を設けているので、洗
濯兼脱水槽１０と水受け槽カバー３６の間から洗濯兼脱
水槽１０の略略回転中心に向けて吐出する洗濯液は、水
反射部３８で水の流れを一部逆流するように吐出するこ
とで、洗濯兼脱水槽１０の略回転中心に向けて扇状に広
がって散水することができ、洗濯物全体に洗濯液を短時
間に浸漬することができ、素早く洗濯することができ
る。

【００４６】（実施例６）図９に示すように、水受け槽
カバー４０は、水受け槽１２の上面を覆い、水受け槽１
２との間は水密性を確保している。この水受け槽カバー
４０の下面に、洗濯兼脱水槽１０の略回転中心に向け
て、整流部材４１を略垂直に立設し、この整流部材４１
に洗濯兼脱水槽１０の回転方向とは反対に向けて、水受
け槽カバー４０に略平行な面を有する水保持部４２を設
けている。洗濯兼脱水槽１０の回転中心側に、整流部材
４１と水受け槽カバー４０の両方に略直角に水反射部４
３を設け、この水反射部４３の先端部に、水受け槽カバ
ー４０の上方に水が噴き出さないよう水噴き出し防止用
のリブ部４４を併設している。他の構成は上記実施例２
〜５と同じである。

【００４７】上記構成において動作を説明すると、洗濯
兼脱水槽１０内に洗濯物を入れ、給水弁２５をオンして
給水した後、洗濯兼脱水槽１０を回転させると、回転に
よる遠心力で水受け槽１２の内面を洗濯液がせり上がる
動きが発生し、上記実施例２〜５と同様に、洗濯兼脱水
槽１０と水受け槽カバー４０の間から洗濯兼脱水槽１０
の略回転中心に向けて吐出する。

【００４８】ここで、上記実施例２〜５の構成では、洗
いまたはすすぎ時に、洗濯液が水受け槽カバー４０の上
に跳ね上がり、洗濯機の外に水が飛ぶ場合があった。

【００４９】本実施例では、水反射部４３の先端部に水
噴き出し防止用のリブ部４４を併設しているので、洗濯
兼脱水槽１０と水受け槽カバー４０の間から洗濯兼脱水
槽１０の略回転中心に向けて吐出する洗濯液は、リブ部
４４により洗濯液の上面を下方に向けて吐出し、吐出さ
れた洗濯液が水受け槽カバー４０の上に跳ね上がり、外
側に飛び出すのを防止することができる。

【００５０】（実施例７）図１０に示すように、水受け
槽カバー４５は、下面に洗濯兼脱水槽（図示せず）の略
回転中心に向けて、整流部材４６を略垂直に立設し、こ
の整流部材４６に洗濯兼脱水槽の回転方向とは反対に向
けて、水受け槽カバー４５に略平行な面を有する水保持
部４７を設け、整流部材４６と水受け槽カバー４５の両
方に略直角に水反射部４８を設けている。また、洗濯兼
脱水槽（図示せず）の間に、洗濯兼脱水槽の回転によっ
て洗濯物が侵入しないように侵入防止壁４９を設けてい
る。他の構成は上記実施例２〜６と同じである。

【００５１】上記構成において動作を説明すると、洗濯
兼脱水槽を回転させて洗濯液を循環する洗濯する場合
に、洗濯兼脱水槽に投入された洗濯物が遠心力で水受け
槽カバー４５と流体バランサー（図示せず）の間から侵
入し、回転を疎外する場合があるが、本実施例では、侵
入防止壁４９により、洗濯物が遠心力で水受け槽カバー
４５と洗濯兼脱水槽の上部の間から侵入するのを防止す
ることができる。

【００５２】

【発明の効果】以上のように本発明の請求項１に記載の
発明によれば、水受け槽内に回転自在に配設した洗濯兼
脱水槽と、前記洗濯兼脱水槽を駆動する駆動手段と、前
記水受け槽の上方を覆う水受け槽カバーとを備え、前記
洗濯兼脱水槽を回転駆動することによるポンプ作用で、
前記洗濯兼脱水槽と水受け槽の間の洗濯液を洗濯兼脱水
槽と水受け槽カバーの間から洗濯兼脱水槽の略回転中心
に向けて吐出させる構成としたから、洗濯兼脱水槽を回
転させることで、洗濯兼脱水槽と水受け槽カバーの間か
ら洗濯兼脱水槽内に向けて吐出させ、吐出した洗濯液を
循環することができ、洗濯兼脱水槽内の洗濯物に撹拌翼
などによる機械力を加えることなく、洗濯液を循環させ
ることによって、洗濯物を傷めたり、絡めたりすること
なく、洗濯することができる。特に、洗濯兼脱水槽と水
受け槽カバーの間から洗濯兼脱水槽の略回転中心に向け
て洗濯液を吐出させるため、洗濯液を洗濯物全体に遠心
力で効率的に浸透させることができる。

【００５３】また、請求項２に記載の発明によれば、水
受け槽カバーの下面には、洗濯兼脱水槽の略回転中心に
向けて、少なくとも１つの整流部材を略垂直に立設した
から、洗濯兼脱水槽の回転による遠心力で水受け槽の内
面を洗濯液がせり上がり、回転する洗濯兼脱水槽に連動
して回転する洗濯液の液層から、整流部材によって分離
して洗濯兼脱水槽と水受け槽カバーの間から洗濯兼脱水
槽内の略回転中心でかつ上位部に向けて吐出させること
ができ、洗濯兼脱水槽内の洗濯物の量に関係なく、洗濯
物全体に洗濯液を循環させることができ、洗濯物を傷め
たり、絡めたりすることなく、また、洗濯むらがなく洗
濯することができる。

【００５４】また、請求項３に記載の発明によれば、整
流部材には、洗濯兼脱水槽の回転方向とは反対に向け
て、水受け槽カバーに略平行な面を有する水保持部を設
けたから、循環する水量が少ない場合でも、水保持部に
よって洗濯兼脱水槽の略回転中心に向けて吐出させるこ
とができ、洗濯兼脱水槽内の水量に関係なく、洗濯物全
体に洗濯液を循環させることができ、洗濯物を傷めた
り、絡めたりすることなく、また、洗濯むらがなく洗濯
することができる。

【００５５】また、請求項４に記載の発明によれば、水
保持部は、洗濯兼脱水槽の略回転中心側の幅が広くなる
ように幅を変化させる構成としたから、洗濯兼脱水槽内
の洗濯物の片寄りなどにより、水受け槽の内面を上昇す
る洗濯液に脈動が起こっても、水保持部により、洗濯液
を洗濯兼脱水槽の略回転中心に向けて連続的に、安定し
て吐出させることができ、洗濯物全体に洗濯液を循環さ
せることができ、洗濯物を傷めたり、絡めたりすること
なく、また、洗濯むらがなく洗濯することができる。

【００５６】また、請求項５に記載の発明によれば、洗
濯兼脱水槽の回転中心側に位置する整流部材の端部に
は、前記整流部材と水受け槽カバーの両方に対して略直
角に位置する水反射部を設けたから、洗濯兼脱水槽と水
受け槽カバーの間から洗濯兼脱水槽の略略回転中心に向
けて吐出する洗濯液は、水反射部で水の流れを一部逆流
するように吐出することで、洗濯兼脱水槽の略回転中心
に向けて扇状に広がって散水することができ、洗濯物全
体に洗濯液を短時間に浸漬することができ、素早く洗濯
することができる。

【００５７】また、請求項６に記載の発明によれば、水
反射部の先端部には、水受け槽カバーの上方に水が噴き
出さないよう水噴き出し防止用のリブ部を併設したか
ら、洗濯兼脱水槽と水受け槽カバーの間から洗濯兼脱水
槽の略回転中心に向けて吐出する洗濯液は、リブ部によ
り洗濯液の上面を下方に向けて吐出し、吐出された洗濯
液が水受け槽カバーの上に跳ね上がり、外側に飛び出す
のを防止することができる。

【００５８】また、請求項７に記載の発明によれば、水
受け槽カバーには、水受け槽カバーと洗濯兼脱水槽の間
に、洗濯兼脱水槽の回転によって洗濯物が侵入しないよ
うに侵入防止壁を設けたから、侵入防止壁により、洗濯
兼脱水槽に投入された洗濯物が遠心力で水受け槽カバー
と洗濯兼脱水槽の上部の間から侵入し、濯兼脱水槽と水
受け槽の間に入り込むのを防止することができる。

【００５９】また、請求項８に記載の発明によれば、洗
濯兼脱水槽の底面にはパルセータなどの撹拌手段を併設
したから、衣類の局所的な汚れ（部分汚れ）や傷みをそ
れほど気にしない厚手の衣類（ジーンズや作業服など）
の汚れをパルセータなどの撹拌手段を駆動することで、
短時間で洗いあげることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例の洗濯機の縦断面図

【図２】本発明の第２の実施例の洗濯機の一部切欠した
要部斜視図

【図３】本発明の第３の実施例の洗濯機の一部切欠した
要部斜視図

【図４】本発明の第４の実施例の洗濯機の一部切欠した
要部斜視図

【図５】(a) 同洗濯機の水受け槽の内面上部で脈動する
洗濯液量が多い状態の要部断面図 (b) 同洗濯機の水受け槽の内面上部で脈動する洗濯液量
が少ない状態の要部断面図

【図６】(a) 同洗濯機の水受け槽の内面上部で脈動する
洗濯液量が多いときの洗濯液の流れを示す要部斜視図 (b) 同洗濯機の水受け槽の内面上部で脈動する洗濯液量
が少ないときの洗濯液の流れを示す要部斜視図

【図７】同洗濯機の他の例の一部切欠した要部斜視図

【図８】本発明の第５の実施例の洗濯機の一部切欠した
要部斜視図

【図９】本発明の第６の実施例の洗濯機の一部切欠した
要部斜視図

【図１０】本発明の第７の実施例の洗濯機の要部斜視図

【図１１】従来の洗濯機の縦断面図

【符号の説明】

１０ 洗濯兼脱水槽 １２ 水受け槽 １３ モータ（駆動手段） ２３ 水受け槽カバー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 ＦＩ Ｄ０６Ｆ 39/12 Ｄ０６Ｆ 39/12 Ｃ 39/14 39/14 Ｃ

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水受け槽内に回転自在に配設した洗濯兼
   脱水槽と、前記洗濯兼脱水槽を駆動する駆動手段と、前
   記水受け槽の上方を覆う水受け槽カバーとを備え、前記
   洗濯兼脱水槽を回転駆動することによるポンプ作用で、
   前記洗濯兼脱水槽と水受け槽の間の洗濯液を洗濯兼脱水
   槽と水受け槽カバーの間から洗濯兼脱水槽の略回転中心
   に向けて吐出させる構成とした洗濯機。
2. 【請求項２】 水受け槽カバーの下面には、洗濯兼脱水
   槽の略回転中心に向けて、少なくとも１つの整流部材を
   略垂直に立設した請求項１記載の洗濯機。
3. 【請求項３】 整流部材には、洗濯兼脱水槽の回転方向
   とは反対に向けて、水受け槽カバーに略平行な面を有す
   る水保持部を設けた請求項２記載の洗濯機。
4. 【請求項４】 水保持部は、洗濯兼脱水槽の略回転中心
   側の幅が広くなるように幅を変化させる構成とした請求
   項３記載の洗濯機。
5. 【請求項５】 洗濯兼脱水槽の回転中心側に位置する整
   流部材の端部には、前記整流部材と水受け槽カバーの両
   方に対して略直角に位置する水反射部を設けた請求項１
   〜４のいずれか１項に記載の洗濯機。
6. 【請求項６】 水反射部には、水受け槽カバーの上方に
   水が噴き出さないよう水噴き出し防止用のリブ部を併設
   した請求項５記載の洗濯機。
7. 【請求項７】 水受け槽カバーには、水受け槽カバーと
   洗濯兼脱水槽の間に、洗濯兼脱水槽の回転によって洗濯
   物が侵入しないように侵入防止壁を設けた請求項１〜６
   のいずれか１項に記載の洗濯機。
8. 【請求項８】 洗濯兼脱水槽の底面にはパルセータなど
   の撹拌手段を併設した請求項１〜７のいずれか１項に記
   載の洗濯機。