JPH1128781A - 透明導電性積層体及びそれを用いた分散型el素子 - Google Patents

透明導電性積層体及びそれを用いた分散型el素子

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JPH1128781A
JPH1128781A JP9186382A JP18638297A JPH1128781A JP H1128781 A JPH1128781 A JP H1128781A JP 9186382 A JP9186382 A JP 9186382A JP 18638297 A JP18638297 A JP 18638297A JP H1128781 A JPH1128781 A JP H1128781A
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transparent
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conductive film
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JP9186382A
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Fumiharu Yamazaki
文晴 山▲崎▼
Shin Fukuda
福田  伸
Masato Koyama
正人 小山
Akira Suzuki
彰 鈴木
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 透明な高分子基体の一方の面に少なくと
も透明導電膜を形成した透明導電性積層体であって、該
高分子基体の透明導電膜を形成した面とは反対側の面に
易印刷処理が施されていることを特徴とする透明導電性
積層体。 【効果】 本発明の透明導電性積層体は分散型EL素子
の透明電極として好適に使用でき、該発光素子は発光面
に直接印刷を施すことができ、時計などの光る文字盤や
光る看板として使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明導電性積層体に
関し、より詳しくはバックライトとして使用する分散型
エレクトロルミネッセンス(EL)素子の透明電極とし
て好適に使用でき、分散型EL素子の発光面に直接図柄
や文字を印刷することを可能とした透明導電性積層体に
関する。
【0002】
【従来の技術】透明導電性積層体は従来、液晶ディスプ
レイ、エレクトロルミネッセンス面発光体、エレクトロ
クロミックディスプレイなどの表示素子の電極、太陽電
池などの光電変換素子の窓電極、電磁波シールドの電磁
波遮蔽膜、あるいは透明タッチパネルなどの入力装置の
電極として利用されている。
【0003】従来公知の透明導電膜としては、金、銀、
白金、パラジウムなどの貴金属薄膜と、酸化インジウ
ム、酸化第二スズ、酸化亜鉛などの酸化物半導体薄膜と
が知られている。前者の貴金属薄膜は抵抗値の低いもの
は容易に得られるが透明性に劣る。後者の酸化物半導体
薄膜は、抵抗値は貴金属薄膜に若干劣るが、透明性に優
れているため広く利用されている。その中でも酸化スズ
を含有した酸化インジウム薄膜(以下、ITO(Ind
ium Tin Oxide)膜とも標記する)は低抵
抗で透明性に優れているため広く利用されている。IT
O膜の抵抗率は通常5×10-5〜1×10-3Ω・cm程
度、透過率は一般に80〜90%である。
【0004】分散型EL素子は透明な基体上に透明導電
膜を形成した透明導電性積層体をベースにし、該透明導
電膜上に発光層、絶縁層及び裏面電極を順次形成した構
造のものが知られており、全体の厚さが数十μm〜数百
μmと薄い面発光体ができるのが特徴である。そのため
液晶表示体等の薄型表示体の背面に配置してバックライ
トとして広く利用されている。透明導電膜には酸化ス
ズ、酸化インジウム等が、発光層には硫化亜鉛等の粉末
を樹脂バインダーに分散させたものが、絶縁層には発光
層に用いたのと同じ樹脂バインダーが、裏面電極には炭
素、銀等の導電性ペーストが用いられることが多い。分
散型EL素子の特徴は、発光層、絶縁層、裏面電極の材
料が全て液状なため、印刷法により形成できることであ
り、特別に高価な装置を使用しなくても面状の発光素子
が得られる。
【0005】透明導電性積層体の基体としては、ガラス
と高分子とが用いられている。ガラスを基体とした場合
には基体温度を400℃程度にまで加熱できるため、化
学的に安定な結晶性透明導電層が形成でき、透明性、及
び耐環境性に優れた透明導電性積層体が容易に得られ
る。一方、高分子を基体とした場合には、ガラスと比較
して軽量で割れず、そして屈曲可能な透明導電性積層体
が得られる。特に屈曲可能であることはガラスではいく
ら薄くしても不可能なことなので、特筆すべき特徴とな
っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】分散型EL素子の特長
は厚さの薄い面状の発光体ができることであり、その利
点を活かした用途が、時計の文字盤を夜間に発光させ
て、暗闇でも時間を確認することができるようにしたも
のである。これは、数字や図柄の印刷された文字盤の後
ろに分散型EL素子を配置してバックライトとして利用
している。
【0007】この用途では分散型EL素子の発光面側
に、数字や図柄が印刷されたフィルムを貼り合わせるか
重ねて配置する必要がある。この図柄印刷されたフィル
ムは、分散型EL素子から発光した光を通すために透明
なものをベースとしなければならない。何れにしても分
散型EL素子の発光面に、もう一枚図柄が印刷されたフ
ィルムが必要となる。
【0008】ここで問題となるのは、分散型EL素子と
フィルムとを重ねて配置するとその間の光干渉効果によ
って干渉縞が発生してしまうこと、また貼り合わせる場
合にはその工程においてしわがよって不良品が発生する
ことである。そして何れにしても印刷フィルムを配置す
るという工程が増えるため生産性が低下する。
【0009】本発明は上記事情に鑑み、図柄が印刷され
たフィルムを貼り合わせることなく、文字や図柄が印刷
された分散型EL素子を実現するための透明導電性積層
体を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、分散型EL
素子を構成する透明導電性積層体の、透明導電膜が形成
される面とは反対側の面に易印刷処理を施したものを使
用して透明導電性積層体の基体自体に文字や図柄を印刷
できるようにすることで、印刷フィルムとの重ね合わせ
や貼り合わせが不要となり、干渉縞やしわの発生が解消
できることを見いだし本発明に到達した。
【0011】すなわち本発明は、(1) 透明な高分子
基体の一方の面に少なくとも透明導電膜を形成した透明
導電性積層体であって、該透明な高分子基体の透明導電
膜を形成した面とは反対側の面に易印刷処理が施されて
いることを特徴とする透明導電性積層体、(2) 易印
刷処理が、全カルボン酸成分中の0.5〜15mol%
がスルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸類を含む水不溶
性ポリエステル共重合体を水溶性有機化合物及び水に分
散した分散液を、高分子基体の表面に塗布する処理であ
ることを特徴とする(1)記載の透明導電性積層体、
(3) 透明導電膜が酸化インジウムを主成分とするも
のであることを特徴とする(1)又は(2)記載の透明
導電性積層体、(4) (1)〜(3)のいずれかに記
載の透明導電性積層体を透明電極基材として用いること
を特徴とする、発光面に直接図柄印刷可能な分散型エレ
クトロルミネッセンス(EL)素子である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、図1をもって説明する
に、透明な高分子基体10の一方の面に透明導電膜20
が形成され、この透明導電膜が形成された面とは反対側
の面に易印刷処理30が施された透明導電性積層体であ
る。
【0013】本発明において使用する高分子基体として
は、透明性を有するプラスチック成形体が使用できる。
具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエーテル
サルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボ
ネート、ポリプロピレン、ポリイミドなどが挙げられ
る。板状の高分子基体は寸法安定性と機械的強度に優れ
ているため、特にそれが要求される場合には好適に使用
できる。また高分子フィルムは可撓性を有しており透明
導電層をロール・ツ・ロール法で連続的に形成すること
ができるため、これを使用した場合には効率よく透明導
電性積層体を生産できる故にこれもまた好適に使用でき
る。この場合フィルムの厚さは通常10μm〜250μ
mのものが用いられる。フィルムの厚さが10μm未満
では、基材としての機械的強度に不足し、250μmを
超えると可撓性が不足するためフィルムをロールで巻き
とって利用するのに適さない。
【0014】上記透明高分子基体のなかでもポリエチレ
ンテレフタレートは透明性及び加工性に優れているため
より好適に利用できる。また、ポリエーテルサルフォン
は耐熱性に優れているため、透明導電性積層体作製後に
熱処理を必要とする場合、また該透明導電性積層体を使
用して分散型EL素子を組み立てる際に高い温度の加熱
処理を必要とする場合に、より好適に利用できる。
【0015】この透明な高分子基体はその表面に予めス
パッタリング処理、コロナ処理、火炎処理、紫外線照
射、電子線照射などのエッチング処理や透明導電膜の基
体に対する密着性を向上させる処理を施してもよい。ま
た、必要に応じて溶剤洗浄や超音波洗浄などの防塵処理
を施してもよい。
【0016】本発明においては、かかる透明な高分子基
体の一方の面に透明導電膜を、それとは反対側の面に易
印刷処理を施す。高分子基体自体の表面は印刷用インク
をはじきやすく、何等処理を施すことなく印刷すると、
インクとの密着力が不足したり滲んだりして、きれいな
文字や図柄を印刷することが困難である。易印刷処理
は、印刷に使用するインクとの密着性を高くし、インク
の滲みをなくし、しかも高分子基体に変形や変色を起こ
させずに処理できる手法であればよい。本発明におい
て、好ましく用いられる該処理としては、全カルボン酸
成分中の0.5〜15mol%がスルホン酸金属塩基含
有ジカルボン酸類を含有する水不溶性ポリエステル共重
合体を水溶性有機化合物及び水に分散した分散液を、高
分子基体の印刷する側の表面に塗布する処理が用いられ
る。該処理を施すことによりインクの濡れ性を向上させ
ることができ、はじきが少なくきれいな印刷が密着力よ
く実現できる。
【0017】本発明で使用できるスルホン酸金属塩基含
有ジカルボン酸としては、スルホテレフタル酸、5−ス
ルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジ
カルボン酸、5[4−スルホフェノキシ]イソフタル酸
等の金属塩が挙げられ、特に好ましいのは5−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸、ナトリウムスルホテレフタル酸
である。これらスルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸の
含有量は、全カルボン酸成分に対して0.5〜15mo
l%で、15mol%を越えると該易印刷処理層の耐水
性が低下し、0.5mol%より少ないと分散性が低下
し面に対して均一な易印刷処理ができなくなる。
【0018】スルホン酸金属塩基を含まないジカルボン
酸としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸が
使用できる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸等を挙げることができる。脂肪族および
脂環族のジカルボン酸としては、コハク酸、アジビン
酸、セパシン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられ
る。
【0019】ポリエステル共重合体は、通常の溶融重縮
合によって得られる。すなわち上記のジカルボン酸成分
およびグリコール成分とを直接反応させて水を除去しエ
ステル化した後、重縮合を行う直接エステル化法、ある
いは上記ジカルボン酸成分のジメチルエステルとグリコ
ール成分を反応させてメチルアルコールを留出しエステ
ル交換を行わせた後に重縮合を行うエステル交換法など
によって得られる。
【0020】ポリエステル共重合体の製造に使用できる
グリコール成分としては、炭素数2〜8個の脂肪族グリ
コールまたは炭素数6〜12個の脂環族グリコールであ
る。具体的には、エチレングリコール、1,2−プロピ
レングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−
ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘ
キサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノー
ル、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シ
クロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等
である。
【0021】該水不溶性ポリエステル共重合体を高分子
基体の面上に塗布して易印刷処理とするためには、これ
を塗布可能な形状としなければならない。そのために、
該水不溶性ポリエステル共重合体を水溶性有機化合物に
分散させ、それをさらに水に分散させて液状にする。こ
こで使用できる水溶性有機化合物は、1lの水に対する
溶解度が20℃において20g以上の有機化合物であ
り、例えばメタノール、エテノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノール等の1価アルコール類;エチレング
リコール、プロピレングリコール等のグリコール類;メ
チルセロソルブ、エチルセロソルブ、n−ブチルセロソ
ルブ等のグリコール誘導体;ジオキサン、テトラヒドロ
フラン等のエーテル類;酢酸エチル等のエステル類;メ
チルエチルケトン等のケトン類である。これらの水溶性
有機化合物は単独または二種以上を併用することができ
る。なかでも水に対する分散性に優れているブチルセロ
ソルブ、エチルセロソルブが好適である。水に分散させ
る水不溶性ポリエステル共重合体及び水溶性有機化合物
の量は、それぞれ好適な分散性が得られる範囲にすれば
よい。更に分散液には、その印刷特性に影響を及ぼさな
い範囲で、通常の塗布液に使用される塗布性を高める各
種物質を入れてもよい。
【0022】このようにして得られた分散液を高分子基
体の一方の面に通常の方法で塗布して乾燥させればよ
い。塗布する量としては表面を完全に覆う程度でよく、
0.1〜10μm程度の厚さとなるようにするのが適当
な塗布量である。基体にフィルム状の高分子成形体を使
用する場合には塗布した後に、乾燥と同時に延伸処理を
施してもよい。この場合には塗布量が多すぎると屈曲性
がなくなったり、剥離が発生したりして好ましくない。
【0023】本発明においては上記易印刷処理を施した
面に直接図柄印刷を行うことができる。使用できる印刷
法としては、従来公知の手法が利用でき、スクリーン印
刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、転写印刷、オフセッ
ト印刷等が利用できる。なかでもスクリーン印刷は、イ
ンクの種類が限定されないこと、被印刷物の形が限定さ
れないことなどから最も好適に使用できる印刷手法であ
る。
【0024】本発明においては、易印刷処理を施した面
とは反対側の面に透明導電膜を形成する。透明導電膜の
材料としては、銀、金、白金等の金属を薄膜としたもの
や酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛等の酸化物を薄膜
としたものが挙げられる。なかでも酸化インジウムを主
成分とする透明導電膜は抵抗率が低く、透明性にも優れ
ているので最も好適に使用できる。酸化インジウムから
なる透明導電膜には抵抗率をさらに低くするために錫を
混合しても良い。通常3〜20重量%程度の錫を含有さ
せることにより抵抗率を低下させることができ、より薄
い膜厚で必要とされる表面抵抗値を有する透明導電膜が
形成できる。この酸化錫を混合した酸化インジウム膜は
一般的にITO(Indium Tin Oxide)
膜と呼ばれ広く利用されている。
【0025】透明導電膜は、分散型EL素子の透明電極
として使用する場合には、素子の大きさにもよるが表面
抵抗値が500Ω/□以下であり、可視光透過率が75
%以上であることが要求される。表面抵抗値が高かった
り、可視光透過率が低い場合にはEL素子の発光輝度が
低下する。
【0026】透明導電膜の膜厚は上記の要求値を満たす
範囲にすれば良い。膜厚を厚くしていくと表面抵抗値は
低下していくが、可視光透過率が低下してしまう。すな
わち透明導電膜の厚さは表面抵抗値が500Ω/□とな
るよりも厚く、可視光透過率が75%となるよりも薄く
しなければならない。透明導電膜材料に酸化インジウム
を主成分とする酸化物を使用する場合には、上記の要求
を満たす膜厚は20nm〜200nm程度となる。膜厚
が厚くしすぎると可視光透過率が低下するのに加え、膜
にひび割れ、反り等の欠陥が発生し易くなるので好まし
くない。
【0027】酸化インジウムを主成分とする透明導電膜
の成膜方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、
イオンプレーティング法といった従来公知の物理的気相
成長法のいずれも採用できる。表面抵抗値の低い、酸化
インジウムを主成分とする透明導電層は一般的にはスパ
ッタリング法により形成される。スパッタリング法にお
いては、ターゲットに酸化インジウムあるいは錫を含有
した酸化インジウムを、スパッタガスにアルゴン等の不
活性ガスを用い、通常スパッタガス圧力:1〜10mT
orr、高分子基体温度:20〜150℃の条件下で、
直流(DC)あるいは高周波(RF)マグネトロンスパ
ッタ法が利用できる。また、透明導電膜の透明性および
導電性を高くするために、スパッタガス中に0.1〜2
0流量%の酸素ガスを混合しても良い。また、ターゲッ
トにインジウムあるいはインジウム・スズ合金を、スパ
ッタガスにアルゴン等の不活性ガスを、反応性ガスに酸
素ガスを用いた直流あるいは高周波反応性スパッタリン
グ法も好適に利用できる。この方法では透明導電膜の透
過率および導電性が、反応性ガスである酸素ガスの分圧
に非常に敏感に影響するので、その制御を厳密に行う必
要がある。上記のスパッタリング法はいずれも、透明性
及び導電性に優れた透明導電膜が容易に得られるため、
好適に利用できる。
【0028】透明な高分子基体と易印刷処理層、及び透
明な高分子基体と透明導電膜との密着力向上や、ガス遮
断性を付与させるために適当な中間層を、性能が損なわ
ない範囲でそれらの層間に挿入してもよい。また、透明
導電膜のさらに上に、透明導電膜を保護するための層を
形成してもよい。この場合、保護層の材料としてはシア
ノエチル系樹脂、弗素系樹脂といった有機物や、金、銅
といった金属、酸化亜鉛、酸化錫、酸化珪素といった酸
化物、窒化珪素といった窒化物等が挙げられる。
【0029】上記の方法により得られた透明導電性積層
体を、耐環境性を向上させるために、熱処理を施しても
よい。熱処理温度は通常、100〜250℃程度であ
る。
【0030】上記の方法により形成した透明導電層の原
子組成は、オージェ電子分光法(AES)、誘導結合プ
ラズマ法(ICP)、ラザフォード後方散乱法(RB
S)等により測定できる。またこれらの膜厚は、オージ
ェ電子分光の深さ方向観察、透過型電子顕微鏡による断
面観察等により測定できる。また、表面抵抗値は四端子
法やホール測定法により測定できる。
【0031】以上の手法で得られた透明導電性積層体
は、分散型EL素子の透明電極用基材として好適に利用
できる。本発明の透明導電性積層体を利用すれば分散型
EL素子の発光面に直接文字や図柄を印刷することがで
き、時計の光る文字盤、光る看板等が少ない工程で製造
できるようなる。図2は本発明の透明導電性積層体を使
用した分散型EL素子の一例を示す構造断面図である。
また図3は本発明の透明導電性積層体を使用した分散型
EL素子で、直接印刷した利用法の一例として、時計の
文字盤として使用した例を示している。図2においては
易印刷処理を施した面31と透明導電膜を形成した面2
1を有する透明導電性積層体40の透明導電膜を形成し
た面の上に発光層50、絶縁層60、裏面電極70を順
次層状に形成した分散型EL素子80の断面構造を示し
ている。また図3においては分散型EL素子の易印刷処
理面31に文字(数字)が直接印刷90されていること
を示している。なお75は電極間に電圧を印可するため
の電極であり、表示面が発光するし、この分散型EL素
子はそのまま時計の光る文字盤や光る看板として使用す
ることができる。
【0032】分散型EL素子の作製は従来公知の方法で
行える。透明導電膜の上に発光層、絶縁層、裏面電極の
順に順次形成すれば良い。発光層は硫化亜鉛等の蛍光体
粉末をバインダー樹脂中に分散させたものを使用し、従
来公知の印刷法、コーティング法により透明導電膜上に
塗布し熱処理により乾燥させる。蛍光体粉末の直径は5
μm〜30μm程度であり、銅、マンガン等を混合する
ことにより発光色を変化させることができる。また、近
年粉末を防湿性の樹脂でコーティングし、水蒸気による
劣化を抑制したものも市販されている。バインダーとし
て使用されている代表的な材料としては、シアノエチル
系樹脂や弗素系樹脂が挙げられる。いずれを用いる場合
にもメチルエチルケトン、アセトン、炭酸プロピレン、
ピロリドン、酢酸ブチル等の樹脂を溶融することのでき
る溶剤に溶かして液状にし塗布加工ができる状態にして
使用する。絶縁層の材料は発光層に用いたバインダー樹
脂と同じ材料が使用でき、チタン酸バリウム等の粉末を
分散させてもよい。絶縁層も発光層と同様従来公知の印
刷法やコーティング法を使用して形成することができ
る。裏面電極には銀や炭素を用いた導電性ペーストを使
用でき、また、アルミニウムなどの蒸着により形成する
ことができる。取り出し電極は透明導電膜と裏面電極と
になり、この間に交流電界を印可することにより発光層
が発光し、透明な基体側に光が取り出せるのである。
【0033】
【実施例】つぎに、本発明を実施例により具体的に説明
する。 [実施例1] (1)ポリエステル共重合体の製造 ジメチルテレフタレート117部、ジメチルイソフタレ
ート117部、エチレングリコール103部、ジエチレ
ングリコール58部、酢酸亜鉛0.08部、三酸化アン
チモン0.08部を反応容器中で220℃まで昇温し3
時間エステル交換反応させ、次いで5−スルホイソフタ
ル酸ナトリウム9部(2mol%)を添加して更に1時
間エステル化反応させ、さらに減圧下にて2時間重縮合
反応を行いポリエステル共重合体を得た。 (2)ポリエステル共重合体分散液の製造 (1)により得られたポリエステル共重合体300部と
n−ブチルセロソルブ140部とを容器中で150℃で
3時間均一化してさらに水560部を加え、ポリエステ
ル共重合体水系分散液を得た。その後、n−ブチルセロ
ソルブ10部、イソプロピルアルコール45部、イオン
交換水45部とを混合し、無水珪酸粒子0.015部を
分散させた液80部に、前記ポリエステル共重合体水系
分散液を20部を混合し均一になるまでよくまぜ、塗布
用分散液とした。 (3)高分子基体への易印刷処理 厚さ125μmの市販されているポリエチレンテレフタ
レートフィルムの一方の面に(2)により得られた塗布
用分散液を厚さが0.5μmとなるように塗布し120
℃で熱処理して乾燥させた。 (4)透明導電膜の形成 易印刷処理を施した面とは反対側の面に、ターゲットに
酸化スズを5重量%含有した酸化インジウムを、スパッ
タリングガスに流量比が、アルゴン:酸素=100:1
のアルゴン・酸素混合ガスを用いて、2mTorrの雰
囲気の下で、DCマグネトロン反応性スパッタリング法
により厚さ50nmの透明導電層を形成し、本発明の透
明導電性積層体を得た。
【0034】[実施例2]5−スルホイソフタル酸ナト
リウムを10mol%とした以外は実施例1と同じ手法
で、本発明の透明導電性積層体を製造した。
【0035】[比較例1]易印刷処理を施さないで透明
導電膜のみを形成したこと以外は実施例1と同じ手法
で、透明導電性積層体を形成した。 [比較例2]5−スルホイソフタル酸ナトリウムを0.
3mol%とした以外は実施例1と同じ手法で、透明導
電性積層体を製造した。 [比較例3]5−スルホイソフタル酸ナトリウムを20
mol%とした以外は実施例1と同じ手法で、透明導電
性積層体を製造した。
【0036】以上の如く製造した透明導電性積層体の波
長550nmの光に対する光透過率を分光光度計(日立
製作所(株)製、U−3400)にて測定し、面抵抗値
を四端子法にて測定した。また印刷特性を調べるため
に、印刷用インク(東洋インキ(株)製、TSP30
0)をべた塗りして乾燥させ、この印刷層の碁盤目剥離
試験を行い100コマ中の剥離したコマの数で密着性を
評価した。その結果を表1にまとめた。
【0037】
【表1】 *:SSI:5−スルホイソフタル酸ナトリウム 比較例1では易印刷処理を施していない。
【0038】上記のなかでインクの密着性に優れていた
実施例1、2、及び比較例3の透明導電性積層体を使用
して、以下の手法により分散型EL素子を作製した。 <材料> ・発光層 メチルエチルケトン100cc当たり、20gの弗素エ
ラストマー(ダイキン工業(株)製、商品名:ダイエ
ル)を溶解させこれをバインダー樹脂とした。このバイ
ンダー樹脂1gに対して、発光体粉末(オスラム・シル
バニア社製硫化亜鉛粉末、製品番号:カプセルタイプ#
30)を2g分散させ発光層材料とした。 ・絶縁層 発光層に使用したバインダー樹脂を使用した。 ・裏面電極 純度99.9%のアルミニウムを使用した。
【0039】<製造法>成膜した透明導電膜の上に発光
層材料をバーコータにより塗布し、これを120℃で2
時間大気中で加熱して乾燥させ、さらに絶縁層材料を同
じくバーコータにより塗布し同じ条件で乾燥させた。そ
の際ITO膜電極取り出し部分は残しておいた。厚みは
それぞれ30μm、40μmとなるようにバーコータを
調節した。次に裏面電極材料を抵抗加熱式真空蒸着法に
より形成した。厚みは0.3μmとした。
【0040】この分散型EL素子の透明導電膜と裏面電
極との間に交流100Vrms(正弦波:400Hz)
を印可し発光させ、その輝度をミノルタ(株)製輝度
計:LS−110にて測定した。またこの分散型EL素
子を40℃で湿度90%の雰囲気の下に200時間放置
した後印刷インクの状態を調べた。この結果を表2にま
とめた。
【0041】
【表2】
【0042】表2から明らかなように、本発明の透明導
電性積層体は、分散型EL素子の透明電極として好適に
使用でき、発光面に直接印刷することができ、剥離しな
いことが分かる。
【0043】
【発明の効果】以上のごとく、本発明においては、透明
な高分子基体の一方の主面に、主として酸化インジウム
からなる透明導電層を形成し、その反対側の面に易印刷
処理を施すことによって透明導電性積層体に直接印刷す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明導電性積層体の一例を示す断面図
【図2】本発明の分散型EL素子の一例を示す断面図
【図3】本発明の分散型EL素子で、直接図柄印刷した
使用例を示す図
【符号の説明】 10 透明な高分子基体 20 透明導電膜 21 透明導電膜を形成した面 30 易印刷処理層 31 易印刷処理を施した面 40 透明導電性積層体 50 発光層 60 絶縁層 70 裏面電極 75 分散型EL素子の電極部分 80 分散型EL素子 90 印刷された文字
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 彰 愛知県名古屋市南区丹後通2丁目1番地 三井東圧化学株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明な高分子基体の一方の面に少なくと
    も透明導電膜を形成した透明導電性積層体であって、該
    透明な高分子基体の透明導電膜を形成した面とは反対側
    の面に易印刷処理が施されていることを特徴とする透明
    導電性積層体。
  2. 【請求項2】 易印刷処理が、全カルボン酸成分中の
    0.5〜15mol%がスルホン酸金属塩基含有ジカル
    ボン酸類を含む水不溶性ポリエステル共重合体を水溶性
    有機化合物及び水に分散した分散液を、高分子基体の表
    面に塗布する処理であることを特徴とする請求項1記載
    の透明導電性積層体。
  3. 【請求項3】 透明導電膜が酸化インジウムを主成分と
    するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の
    透明導電性積層体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の透明導
    電性積層体を透明電極基材として用いることを特徴とす
    る、発光面に直接図柄印刷可能な分散型エレクトロルミ
    ネッセンス(EL)素子。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002042560A (ja) * 2000-07-31 2002-02-08 Toppan Printing Co Ltd 導電性部材及びそれを用いた表示装置及びその製造方法
WO2002040422A1 (fr) * 2000-11-17 2002-05-23 Furuya Metal Co.,Ltd. Materiau pour la formation d'un film electroconducteur transparent et procede de production correspondant
CN102565017A (zh) * 2011-12-31 2012-07-11 聚光科技(杭州)股份有限公司 医疗废水的检测装置及方法

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WO2002040422A1 (fr) * 2000-11-17 2002-05-23 Furuya Metal Co.,Ltd. Materiau pour la formation d'un film electroconducteur transparent et procede de production correspondant
CN102565017A (zh) * 2011-12-31 2012-07-11 聚光科技(杭州)股份有限公司 医疗废水的检测装置及方法

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