JPH11287355A - 圧力制御電磁スプール弁 - Google Patents

圧力制御電磁スプール弁

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JPH11287355A
JPH11287355A JP10192998A JP10192998A JPH11287355A JP H11287355 A JPH11287355 A JP H11287355A JP 10192998 A JP10192998 A JP 10192998A JP 10192998 A JP10192998 A JP 10192998A JP H11287355 A JPH11287355 A JP H11287355A
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spool
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valve
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JP10192998A
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Masaya Seki
正哉 瀬木
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Toyoda Koki KK
Original Assignee
Toyoda Koki KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧力制御電磁スプール弁の特性を励磁電流の
変化に対する制御油圧の変化率を二段階にして、最大制
御油圧に近い範囲での制御油圧の制御を木目細かく行わ
せる。 【解決手段】 圧力制御電磁スプール弁は、弁本体10中
で滑動し、弁本体に対する軸線方向位置により弁本体の
制御出力通路22を弁本体の排出通路23及び圧油供給通路
21に対して選択的に絞り開閉乃至遮断されるように形成
された主弁スプール12と、主弁スプール中で滑動する副
弁スプール38と、主弁スプールを弁本体中で、副弁スプ
ールを主弁スプール中で、夫々同一方向に付勢する主弾
性部材32及び主弾性部材より弱い副弾性部材41と、副弁
スプールを副弾性部材の付勢方向と反対方向に押圧付勢
すると共に、間接的に主弁スプールを主弾性部材の付勢
方向と反対方向に押圧付勢する電磁駆動手段2と、主弾
性部材の付勢方向と反対方向に押圧付勢する制御出力通
路からのフィードバック圧を主弁スプールに与えるべく
環状溝部16に開口したフィードバック通路39とから構成
されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、圧力制御電磁ス
プール弁に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のオートマチック・トランスミッ
ション用圧力制御電磁スプール弁は、図4に示すよう
に、スプール弁部1とそれを作動するように同軸線関係
にあるリニアソレノイド部2とから構成されている。ス
プール弁部1は、ミッションハウジングHに形成された
中空横穴hに埋め込まれており、スプール弁部1と同軸
線関係にあるリニアソレノイド部2は、その基端がスプ
ール弁部1の露出端に固着され、ミッションハウジング
Hとミッションケース(図示しない)との間に形成され
た油タンク中の油面より上方の空間中に突出している。
【0003】スプール弁部1において、ミッションハウ
ジングHに形成された中空横穴hに埋め込まれた非磁性
体からなる円筒形のスプールハウジング10には、滑動
孔11が軸線方向に貫通して形成され、滑動孔11に
は、弁スプール61が軸線方向に滑動自在に嵌挿されて
いる。滑動孔11は、その後端(右端)に続くねじ孔部1
3に調節自在に螺着された蓋栓14により密封閉塞され
ている。
【0004】従来の圧力制御電磁スプール弁は、図4に
示すように、滑動孔11の内周面には、リニアソレノイ
ド部2側から順に間隔をあけて大径孔部15、第1環状
溝16、第2環状溝17、第3環状溝18、第4環状溝
19及び第5環状溝20が形成されており、滑動孔11
は、大径孔部15・第1環状溝16間が他部より適宜量
だけ小径となっている。そして、スプールハウジング1
0には、第1環状溝16と第3環状溝18とを連通する
オリフィスを備えたフィードバック通路45が形成され
ている。
【0005】第2環状溝17の溝底から供給通路21
が、第3環状溝18の溝底から出力通路22が、第4環
状溝19の溝底及び第5環状溝20から排出通路23,
24が夫々スプールハウジング10の外周面に向って半
径方向に貫通成形されている。更に、大径孔部15は、
スプールハウジング10の外周面に軸線方向に形成され
た連通溝25を介して排出通路23に連通している。
【0006】ミッションハウジングHのスプール弁部嵌
着域には、ポンプP(図示しない)に接続された供給通
路3及び油圧作動部A(図示しない)に接続された出力
通路4が中空横孔hに開口して形成され、更に中空横孔
hから下向きに外部に連通する第1ドレン通路5及び第
2ドレン通路6が形成されている。そして、スプールハ
ウジング10の供給通路21、出力通路22、排出通路
23及び排出通路24は、夫々ミッションハウジングH
の供給通路3、出力通路4、第1ドレン通路5及び第2
ドレン通路6に連通している。
【0007】弁スプール61には、左側から順次、小径
の第1ランド部26、第1環状溝部27、第2ランド部
28、第2環状溝部29、第3ランド部30及び後端
(右端)の小径突起部31が形成されている。そして、
弁スプール61の後端面(右端面)と蓋栓14の内端面
に形成されたばね挿着穴との間には、小径突起部31を
囲繞して圧縮コイルばね32Aが予圧をもって嵌装され
ている。滑動孔11における大径孔部15・第1環状溝
16間の小径部に滑合する弁スプール61の第1ランド
部26は、他のランド部より小径となっているので、第
1ランド部26と第2ランド部28との間には段差が形
成され、第1環状溝部27の両端面には、面積差が存在
する。
【0008】リニアソレノイド部2において、基端側に
フランジ部51が形成された円筒状部材である磁性体か
らなる第1ソレノイドハウジング50と、外側円筒部5
2及び内側円筒部53が形成された磁性体からなる第2
ソレノイドハウジング54とは、第1ソレノイドハウジ
ング50の円筒部の先端(左端)に第2ソレノイドハウ
ジング54の内側円筒部53の先端(右端)が適宜の間
隔をあけて対向するように同軸線関係に位置し、第1ソ
レノイドハウジング50の円筒部と第2ソレノイドハウ
ジング54の内側円筒部53との外周面には、両者に跨
って、外部の電源制御部から励磁電流が通電されるソレ
ノイド55が嵌装されている。
【0009】第1ソレノイドハウジング50のフランジ
部51がスプールハウジング10の先端(左端)のフラ
ンジ部に固着されていると共に、第2ソレノイドハウジ
ング54の外側円筒部52は、ソレノイド55の外周を
覆い、その口縁部は、第1ソレノイドハウジング50の
フランジ部51及びスプールハウジング10の先端のフ
ランジ部に外周面から固着されている。、
【0010】第1ソレノイドハウジング50の中空孔内
には、先端(右端)は、弁スプール61の先端(左端)
に対向接触する非磁性体の弁棒57が滑り軸受56を介
して軸線方向に滑動自在に嵌挿されている。弁棒57の
左端部には、磁性体のプランジャ58が取り付られ、プ
ランジャ58は、第2ソレノイドハウジング54の内側
円筒部53内に僅少な隙間をもって遊嵌されている。
【0011】第2ソレノイドハウジング54の外端(左
端)には、油が充填されている第1・第2ソレノイドハ
ウジング50,54の内部空間を閉鎖するように蓋板5
9が取り付けられ、蓋板59は、弁棒57の左端に中心
部が固着された円板状板ばね60の外周を第2ソレノイ
ドハウジング54の端面外周に固着している。
【0012】上記の構成において、既述のように、スプ
ールハウジング10のねじ孔部13に調節自在に螺着さ
れた蓋栓14と弁スプール61との間に圧縮コイルばね
32Aが予圧をもって嵌装されているので、弁スプール
61は、蓋栓14のねじ込位置により調節された所定の
予圧の初期ばね力により付勢変位され、その先端が常
時、円板状板ばね60により一端が支持された弁棒57
の右端に当接されている。そして、大径孔部15と第1
環状溝16とは第1ランド部26により、第1環状溝1
6と第2環状溝17とは第2ランド部28により、第4
環状溝19と第5環状溝20とは第3ランド部30によ
り常に遮断されている。
【0013】上記の圧力制御電磁スプール弁の作用につ
いて説明する。外部の制御装置により制御された励磁電
流がソレノイド55に印加されていない(図5における
励磁電流=0)場合には、磁力が生じないので、吸引力
が第1ソレノイドハウジング50のヨークとプランジャ
58との間に働かない。そこで、図4に示すように、弁
棒57が蓋板59に当接するまで弁棒57を弁スプール
61の先端が押圧するように、スプール61は、蓋栓1
4の螺入調節で調節設定された圧縮コイルばね32Aの
初期ばね力をもって付勢変位され、最左端位置にある。
【0014】そのときには、スプールハウジング10の
第2環状溝17と弁スプール61の第2環状溝部29と
の対向肩部間の間隙が最大開度に開口しており、ポンプ
Pからの供給通路3に連通する供給通路21、即ち第2
環状溝17は、第2環状溝部29、即ち出力通路22に
連通する。それと共に、第3環状溝18、即ち出力通路
22は、第4環状溝19、即ち排出通路23と第3ラン
ド部30により遮断される。
【0015】従って、ポンプPからの圧油は、供給通路
3、供給通路21を介して第2環状溝17に流入し、第
2環状溝17と弁スプール61の第2環状溝部29との
対向肩部間の間隙で絞られた上、第2環状溝部29、出
力通路22及び出力通路4を介して油圧作動部Aに流入
し、第3環状溝18からは、油圧作動部Aの作動油圧に
応じたフィードバック油圧pがフィードバック通路45
を介して第1環状溝16に伝達される。
【0016】そして、弁スプール61は、第1環状溝1
6における両端面の面積差ΔAにフィードバック油圧p
を乗じた油圧力p・ΔAとの和が圧縮コイルばね32A
のばね力と平衡する位置になる。かくして、油圧作動部
Aの作動油圧は、フィードバック制御により所定の最大
使用油圧Pに維持される。
【0017】外部の制御装置により制御された励磁電流
がソレノイド55に印加されると、第1ソレノイドハウ
ジング50、第2ソレノイドハウジング54及びプラン
ジャ58により磁力線回路が構成され、その制御励磁電
流の大きさに応じた大きさの吸引力が第1ソレノイドハ
ウジング50のヨークとプランジャ58との間に働き、
弁棒57は、弁スプール61を押圧する。その結果、そ
の押圧力により圧縮コイルばね32Aが圧縮されて弁ス
プール61が変位する。
【0018】一般に、押圧される圧縮コイルばねは、押
圧力に比例した圧縮量が与えられるのであるが、制御励
磁電流が微小励磁電流範囲(図6におけるB1以下)の
場合には、第1ソレノイドハウジング50のヨークとプ
ランジャ58との間の吸引力は微弱であり、その微弱な
吸引力による弁棒57の弁スプール61に対する押圧は
圧縮コイルばね32Aには微小な圧縮量を与え、弁スプ
ール61を右方に微小に変位させるに過ぎない。
【0019】弁スプール61の変位量の増大は、制御励
磁電流の増大、即ち吸引力の増大に対応する。そして、
弁スプール61は、制御励磁電流の大きさに応じた大き
さの吸引力と第1環状溝16における両端面の面積差Δ
Aにフィードバック油圧pを乗じた油圧力p・ΔAとの
和が圧縮コイルばね32Aのばね力と平衡する位置にな
る。
【0020】しかし、上記のように微小励磁電流範囲で
制御励磁電流が増大しても、弁スプール61の微小な変
位しか生じないので、作動油圧を供給油圧から低減させ
る程には第2環状溝17と第2環状溝部29との対向肩
部間の間隙の制御開度を絞るには到らない。従って、図
6に示すように、制御励磁電流が微小(図6におけるB
1以下)の場合には、作動油圧は、実質的に変化しない
ので、上記の励磁電流がソレノイド55に印加されてい
ない場合(図4上半分参照)と同一である。
【0021】制御励磁電流が図6におけるB1以上に増
大すると、制御励磁電流に応じた吸引力により弁スプー
ル61は、圧縮コイルばね32Aのばね力に抗して右方
へ前進した位置になり、スプールハウジング10の第2
環状溝17と弁スプール61の第2環状溝部29との対
向肩部間の間隙の開口開度の絞りが進み、油圧作動部A
の作動油圧は減少するように制御される。微小励磁電流
範囲の場合と同様にフィードバック制御で絞られた間隙
の開口開度に応じた作動油圧が維持される。
【0022】そして、制御励磁電流がB2であると、弁
スプール61の右方への変位は最大となり、スプールハ
ウジング10の第2環状溝17と第3環状溝18とは弁
スプール61の第2ランド部28で遮断されると共に、
第3環状溝18は、第4環状溝19と連通する。即ち出
力通路22は、供給通路21と遮断されると共に排出通
路23と連通する。従って、油圧作動部Aの油圧は零と
なる。上記の制御特性は図6に示すように制御励磁電流
B1〜B2と油圧作動部Aの油圧は略一次的関係にあ
る。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】圧力制御電磁スプール
弁が、例えば自動車のオートマチックミッションのクラ
ッチ作動の油圧回路に用いられた場合、従来の技術の圧
力制御電磁スプール弁の場合、クラッチ作動の制御油圧
は、圧力制御電磁スプール弁における制御励磁電流の零
値から最大値までの変化範囲において、最大制御油圧と
なる供給油圧から零値までの間で一次的に変化させられ
る。
【0024】自動車でオートマチックミッションのクラ
ッチ作動をさせる場合、クラッチは、制御励磁電流の
零、即ち最大制御油圧において接続状態に維持されるの
であるが、クラッチ接続状態近くのクラッチ作動により
変速ショツクが生じる。そのため、最大制御油圧に近い
範囲での作動油圧の制御は、木目細かく行われる必要が
あるが、従来の技術の圧力制御電磁スプール弁の作動特
性では、それが十分に行われ難い。この発明において
は、最大制御油圧に近い範囲での作動油圧の制御を木目
細かく行い得る圧力制御電磁スプール弁を提供すること
を目的としている。
【0025】
【課題を解決するための手段】この発明の圧力制御電磁
スプール弁は、制御出力通路、排出通路及び圧油供給通
路が夫々連通する弁スプール滑動孔が形成された弁本体
と、弁スプール滑動孔に軸線方向に滑動自在に嵌挿され
ており、環状溝部が制御出力通路に対向連通すると共
に、軸線方向位置により排出通路と供給通路とに選択的
に絞り開閉乃至遮断されるように形成された主弁スプー
ルと、弁スプール滑動孔において主弁スプールを一方向
に付勢する主弾性部材と、主弁スプールに形成された副
弁スプール滑動孔に嵌装され、主弁スプールに対し軸線
方向に滑動自在である副弁スプールと、主弁スプールに
おいて主弾性部材より弱く、且つ主弾性部材の付勢方向
と同一方向に副弁スプールを付勢する副弾性部材と、制
御励磁電流が印加され、副弁スプールを副弾性部材の付
勢方向と反対方向に押圧付勢すると共に、間接的に主弁
スプールを主弾性部材の付勢方向と反対方向に押圧付勢
する電磁駆動手段とから構成されている。そして、主弾
性部材の付勢方向と反対方向に押圧付勢する制御出力通
路からのフィードバック圧を主弁スプールに与えるべく
前記環状溝部に開口したフィードバック通路が備えてら
れている。
【0026】上記の圧力制御電磁スプール弁において、
電磁駆動手段に制御励磁電流が印加されていない場合に
は、磁力が生じないで、副弁スプール及び主弁スプール
は、夫々副弾性部材及び主弾性部材により限界位置にあ
って、主弁スプールの環状溝部は、供給通路に全開し、
排出通路と遮断される。従って、供給通路からの圧油
は、絞られないで環状溝部を介して制御出力通路に流入
するので、制御油圧は、供給油圧に相当する所定の最大
油圧に維持される。
【0027】電磁駆動手段に制御励磁電流が印加される
と、制御励磁電流に応じた磁力により副弁スプールが副
弾性手段の付勢方向と反対方向に変位し、更に主弁スプ
ールが主弾性手段の付勢方向と反対方向に変位する。一
般に、弾性手段は、付加される力、即ち磁力に比例した
量で変形するのであるが、制御励磁電流が微小励磁電流
範囲の場合には、磁力が微弱であり、その微弱な磁力に
よる副弁スプールの変位は、微小であり、強い弾性手段
の付勢に抗しての主弁スプールの変位は更に極めて微小
である。
【0028】上記のように微小範囲で制御励磁電流が増
大すると、副弁スプールが微小に変位して、副弾性部材
を押圧することにより主弁スプールが極めて微小に変位
する。この主弁スプールの極めて微小な変位では、制御
油圧を供給油圧から低減させる程には環状溝部と制御出
力通路との連通を絞るには到らない。
【0029】次に、制御励磁電流が低励磁電流範囲の場
合には、制御励磁電流が上記の微小励磁電流範囲の場合
よりも、主弁スプール及び副弁スプールを変位させる磁
力が増大するので、主弁スプール及び副弁スプールの変
位量は、磁力に比例してそれなりに増大する。その結
果、環状溝部と供給通路との連通の絞りは増大し、その
絞りの増大により制御油圧を供給油圧から次第に低減さ
せる。
【0030】他方、フィードバック通路の可変オリフィ
スは、制御励磁電流、即ち副弁スプールの変位量に応じ
た開度で開口させられ、副弁スプールの変位量の増大に
つれ、可変オリフィスの開度も増大して全開に到る。従
って、環状溝部から制御出力通路へ供給される圧油の一
部は、フィードバック圧となってフィードバック通路に
流れ、主弁スプールを主弾性手段の付勢に抗して変位さ
せる。
【0031】その結果、主弁スプールには、制御励磁電
流の磁力にフィードバック油圧力が加わった力が主弾性
手段の付勢に抗して働く。そこで、制御励磁電流が低励
磁電流範囲の場合には、制御励磁電流による磁力の増大
での主弁スプールの変位の増大、即ち環状溝部と供給通
路との連通の絞りの増大には、フィードバック油圧力の
増大が加わって寄与する。従って、制御励磁電流の増大
に対応する環状溝部と供給通路との連通の絞りの増大
率、延いては制御油圧の減小率は、フィードバック油圧
力の増大が加わらない高励磁電流範囲に比し大きい。
【0032】そして、制御励磁電流が高励磁電流範囲に
おいては、制御励磁電流の大きさに応じた磁力は、副弁
スプール共々主弁スプールを変位させ、その変位の増大
は、低励磁電流範囲の場合と異なり、フィードバック油
圧力の増大が加わらないで制御励磁電流の大きさに応じ
た磁力の増大のみによる。
【0033】制御励磁電流の増大に対応する環状溝部と
供給通路との連通の絞りの増大率、延いては制御油圧の
減小率は、低励磁電流範囲に比し小さい。制御励磁電流
が更に増大すると、主弁スプールの変位は最大となり、
環状溝部は供給通路と遮断されると共に、排出通路に連
通され、制御油圧は零となる。上記の制御特性は制御励
磁電流と制御油圧との変化率が異なる二段階となる。
【0034】この発明の圧力制御電磁スプール弁は、更
に、前記フィードバック通路に加えて、副弁スプールの
主弁スプールに対する位置によりフィードバック通路を
絞り開閉乃至遮断する可変オリフィスを備えていてもよ
い。その場合には、次のように作動する。
【0035】電磁駆動手段に制御励磁電流が印加されて
いない場合には、磁力が生じないで、副弁スプール及び
主弁スプールは、夫々副弾性部材及び主弾性部材により
限界位置にあって、主弁スプールの環状溝部は、供給通
路に全開し、排出通路と遮断される。他方、可変オリフ
ィスは、フィードバック通路を遮断される。従って、供
給通路からの圧油は、絞られないで環状溝部を介して制
御出力通路に流入するので、制御油圧は、供給油圧に相
当する所定の最大油圧に維持される。
【0036】電磁駆動手段に制御励磁電流が印加される
と、制御励磁電流に応じた磁力により副弁スプールが副
弾性手段の付勢方向と反対方向に変位し、更に主弁スプ
ールが主弾性手段の付勢方向と反対方向に変位する。一
般に、弾性手段は、付加される力、即ち磁力に比例した
量で変形するのであるが、制御励磁電流が微小励磁電流
範囲の場合には、磁力が微弱であり、その微弱な磁力に
よる副弁スプールの変位は、微小であり、強い弾性手段
に付勢に抗しての主弁スプールの変位は更に極めて微小
である。
【0037】上記のように微小範囲で制御励磁電流が増
大しても、副弁スプールの微小な変位では、可変オリフ
ィスを開くのに到らない。又、同じく主弁スプールの極
めて微小な変位では、制御油圧を供給油圧から低減させ
る程には環状溝部と制御出力通路との連通を絞るには到
らない。従って、制御励磁電流が微小の場合には、制御
油圧は、実質的に変化しないで、励磁電流が印加されて
いない場合と同一である。
【0038】次に、制御励磁電流が低励磁電流範囲の場
合には、制御励磁電流が上記の微小励磁電流範囲の場合
よりも、主弁スプール及び副弁スプールを変位させる磁
力が増大するので、主弁スプール及び副弁スプールの変
位量は、磁力に比例してそれなりに増大する。その結
果、環状溝部と供給通路との連通の絞りは増大し、その
絞りの増大により制御油圧を供給油圧から次第に低減さ
せる。
【0039】他方、フィードバック通路の可変オリフィ
スは、制御励磁電流、即ち副弁スプールの変位量に応じ
た開度で開口させられ、副弁スプールの変位量の増大に
つれ、可変オリフィスの開度も増大して全開に到る。従
って、環状溝部から制御出力通路へ供給される圧油の一
部は、可変オリフィスの開度に応じたフィードバック圧
となってフィードバック通路に流れ、主弁スプールを主
弾性手段の付勢に抗して変位させる。
【0040】その結果、主弁スプールには、制御励磁電
流の磁力にフィードバック油圧力が加わった力が主弾性
手段の付勢に抗して働き、可変オリフィスの開度の増大
につれフィードバック油圧力も増大する。そこで、制御
励磁電流が低励磁電流範囲の場合には、制御励磁電流に
よる磁力の増大での主弁スプールの変位の増大、即ち環
状溝部と供給通路との連通の絞りの増大には、フィード
バック油圧力の増大が加わって寄与する。
【0041】従って、制御励磁電流の増大に対応する環
状溝部と供給通路との連通の絞りの増大率、延いては制
御油圧の減小率は、フィードバック油圧力の増大が加わ
らない高励磁電流範囲に比し大きい。かくして、低励磁
電流範囲においては、制御油圧の微細な調節が可能とな
る。制御励磁電流が増大し、高励磁電流範囲になると、
フィードバック通路の可変オリフィスは、全開状態とな
り、フィードバック油圧力は、最大となりそれ以上の増
大はない。
【0042】そして、制御励磁電流が高励磁電流範囲に
おいては、制御励磁電流の大きさに応じた磁力は、副弁
スプール共々主弁スプールを変位させ、その変位の増大
は、低励磁電流範囲の場合と異なり、フィードバック油
圧力の増大が加わらないで制御励磁電流の大きさに応じ
た磁力の増大のみによる。制御励磁電流の増大に対応す
る環状溝部と供給通路との連通の絞りの増大率、延いて
は制御油圧の減小率は、低励磁電流範囲に比し小さい。
【0043】従って、制御励磁電流が微小の場合に、制
御油圧を供給油圧と同一の油圧に維持できるので、制御
特性に制御油圧に供給油圧となる領域を設けることがで
きる。更に、前述したように制御励磁電流と制御油圧と
の変化率が異なる二段階の制御特性にすることができ
る。
【0044】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態における圧
力制御電磁スプール弁を図面に従って説明する。なお、
以下の説明における左右方向は、図1における方向であ
る。図1に示された圧力制御電磁スプール弁は、例えば
自動車のオートマチック・トランスミッション用に用い
られるものである。圧力制御電磁スプール弁は、スプー
ル弁部1とそれを作動するように同軸線関係にあるリニ
アソレノイド部2とから構成されている。
【0045】スプール弁部1は、ミッションハウジング
Hに形成された中空横穴hに埋め込まれており、スプー
ル弁部1と同軸線関係にあるリニアソレノイド部2は、
その基端がスプール弁部1の露出端に固着され、ミッシ
ョンハウジングHとミッションケース(図示しない)と
の間に形成された油タンク中の油面より上方の空間中に
突出している。
【0046】スプール弁部1において、ミッションハウ
ジングHに形成された中空横穴hに埋め込まれた非磁性
体からなる円筒形のスプールハウジング10には、滑動
孔11が軸線方向に貫通して形成され、滑動孔11に
は、主弁スプール12が軸線方向に滑動自在に嵌挿され
ている。滑動孔11は、その後端(右端)に続くねじ孔部
13に調節自在に螺着された蓋栓14により密封閉塞さ
れている。
【0047】滑動孔11の内周面には、リニアソレノイ
ド部2側から順に間隔をあけて大径孔部15、第1環状
溝16、第2環状溝17、第3環状溝18、第4環状溝
19及び第5環状溝20が形成されており、滑動孔11
は、大径孔部15・第1環状溝16間が他部より適宜量
だけ小径となっている。
【0048】第2環状溝17の溝底から供給通路21
が、第3環状溝18の溝底から出力通路22が、第4環
状溝19の溝底及び第5環状溝20から排出通路23,
24が夫々スプールハウジング10の外周面に向って半
径方向に貫通成形されている。更に、大径孔部15は、
スプールハウジング10の外周面に軸線方向に形成され
た連通溝25を介して排出通路23に連通している。供
給通路21の出力通路22側には、第2環状溝17の第
3環状溝18側に続く凹欠部が形成されている。
【0049】ミッションハウジングHのスプール弁部嵌
着域には、ポンプP(図示しない)に接続された供給通
路3及び油圧作動部A(図示しない)に接続された出力
通路4が中空横孔hに開口して形成され、更に中空横孔
hから下向きに外部に連通する第1ドレン通路5及び第
2ドレン通路6が形成されている。そして、スプールハ
ウジング10の供給通路21、出力通路22、排出通路
23及び排出通路24は、夫々ミッションハウジングH
の供給通路3、出力通路4、第1ドレン通路5及び第2
ドレン通路6に連通している。
【0050】主弁スプール12には、左側から順次、小
径の第1ランド部26、第1環状溝部27、第2ランド
部28、第2環状溝部29、第3ランド部30及び後端
(右端)の小径突起部31が形成されている。そして、
主弁スプール12の後端面(右端面)と蓋栓14の内端
面に形成されたばね挿着穴との間には、小径突起部31
を囲繞して第1圧縮コイルばね32が予圧をもって嵌装
されている。
【0051】滑動孔11における大径孔部15・第1環
状溝16間の小径部に滑合する主弁スプール12の第1
ランド部26は、他のランド部より小径となっているの
で、第1ランド部26と第2ランド部28との間には段
差が形成され、第1環状溝部27の両端面には、面積差
が存在する。
【0052】更に、主弁スプール12には、リニアソレ
ノイド部2側に開口した軸線方向の中心穴33が形成さ
れており、中心穴33からは、第1ランド部26のラン
ド面、及び第1環状溝部27の溝底に夫々開口した連通
路34,35が半径方向に貫通成形されていると共に、
第2ランド部28の溝底に開口したフィードバック通孔
36が半径方向に貫通成形されており、中心穴33の底
部から小径突起部31の端面に中心軸線に沿って貫通し
た小径の連通路37が形成されている。
【0053】そして、主弁スプール12の中心穴33に
滑動自在に嵌挿されている副弁スプール38は、中間域
が適宜量小径となって軸線方向に伸びた環状溝39を形
成し、内端面(右端面)に開口形成されたばね挿着穴と
主弁スプール12の中心穴33の底との間には、第1圧
縮コイルばね32より弱い第2圧縮コイルばね41が予
圧をもって嵌装されている。
【0054】リニアソレノイド部2において、基端側に
フランジ部51が形成された円筒状部材である磁性体か
らなる第1ソレノイドハウジング50と、外側円筒部5
2及び内側円筒部53が形成された磁性体からなる第2
ソレノイドハウジング54とは、第1ソレノイドハウジ
ング50の円筒部の先端(左端)に第2ソレノイドハウ
ジング54の内側円筒部53の先端(右端)が適宜の間
隔をあけて対向するように同軸線関係に位置し、第1ソ
レノイドハウジング50の円筒部と第2ソレノイドハウ
ジング54の内側円筒部53との外周面には、両者に跨
って、外部の電源制御部から励磁電流が通電されるソレ
ノイド55が嵌装されている。
【0055】第1ソレノイドハウジング50のフランジ
部51がスプールハウジング10の先端(左端)のフラ
ンジ部に固着されていると共に、第2ソレノイドハウジ
ング54の外側円筒部52は、ソレノイド55の外周を
覆い、その口縁部は、第1ソレノイドハウジング50の
フランジ部51及びスプールハウジング10の先端のフ
ランジ部に外周面から固着されている。、
【0056】第1ソレノイドハウジング50の中空孔内
には、先端(右端)は、副弁スプール38の先端(左
端)に対向接触する非磁性体の弁棒57が軸受56を介
して軸線方向に滑動自在に嵌挿されている。弁棒57の
左端部には、磁性体のプランジャ58が取り付られ、プ
ランジャ58は、第2ソレノイドハウジング54の内側
円筒部53内に僅少な隙間をもって遊嵌されている。
【0057】第2ソレノイドハウジング54の外端(左
端)には、油が充填されている第1・第2ソレノイドハ
ウジング50,54の内部空間を閉鎖するように蓋板5
9が取り付けられ、蓋板59は、弁棒57の左端に中心
部が固着された円板状板ばね60の外周を第2ソレノイ
ドハウジング54の端面外周に固着している。
【0058】上記の構成において、既述のように、スプ
ールハウジング10のねじ孔部13に調節自在に螺着さ
れた蓋栓14と主弁スプール12との間に第1圧縮コイ
ルばね32が予圧をもって嵌装され、更に主弁スプール
12と副弁スプール38との間に第2圧縮コイルばね4
1が予圧をもって嵌装されているので、副弁スプール3
8は、蓋栓14のねじ込位置により調節された所定の予
圧の初期ばね力により付勢変位され、その先端が常時、
円板状板ばね60により一端が支持された弁棒57の右
端に当接されている。
【0059】そして、大径孔部15と第1環状溝16と
は第1ランド部26により、第1環状溝16と第2環状
溝17とは第2ランド部28により、第4環状溝19と
第5環状溝20とは第3ランド部30により常に遮断さ
れている。
【0060】上記の圧力制御電磁スプール弁の作用につ
いて説明する。外部の制御装置により制御された励磁電
流がソレノイド55に印加されていない(図5における
励磁電流=0)場合には、磁力が生じないで、吸引力が
第1ソレノイドハウジング50のヨークとプランジャ5
8との間に働かない。
【0061】そこで、図1に示すように、弁棒57が蓋
板59に当接するまで弁棒57を副弁スプール38の先
端が押圧するように、副弁スプール38及び主弁スプー
ル12は、蓋栓14の螺入調節で調節設定された第1圧
縮コイルばね32及び第2圧縮コイルばね41の初期ば
ね力をもって付勢変位され、最左端位置にある。
【0062】そのときには、スプールハウジング10の
第2環状溝17と主弁スプール12の第2環状溝部29
との対向肩部間の間隙が第2環状溝17の凹欠部を含め
て最大開度に開口しており、ポンプPからの供給通路3
に連通する供給通路21、即ち第2環状溝17は、第2
環状溝部29、即ち出力通路22に連通する。それと共
に、第3環状溝18、即ち出力通路22は、第4環状溝
19、即ち排出通路23と第3ランド部30により遮断
される。
【0063】他方、フィードバック通路36は、副弁ス
プール38により環状溝39、即ち環状溝16と遮断さ
れ、環状溝39は、連通路34を介して大径孔部15、
即ち排出通路23に開放されている。従って、ポンプP
からの圧油は、供給通路3、供給通路21を介して第2
環状溝17に流入し、最大開度にある第2環状溝17と
第2環状溝部29との対向肩部間の間隙を流れた上、第
2環状溝部29、出力通路22及び出力通路4を介して
のみ油圧作動部Aに流入する。最大開度の間隙は、油圧
低減をする程度の絞りとはならないので、油圧作動部A
の作動油圧は、供給油圧に相当する所定の最大使用油圧
に維持される。
【0064】外部の制御装置により制御された励磁電流
がソレノイド55に印加されると、第1ソレノイドハウ
ジング50、第2ソレノイドハウジング54及びプラン
ジャ58により磁力線回路が構成され、その制御励磁電
流の大きさに応じた大きさの吸引力が第1ソレノイドハ
ウジング50のヨークとプランジャ58との間に働き、
弁棒57は、副弁スプール38を押圧する。その結果、
その押圧力により第2圧縮コイルばね41が圧縮されて
副弁スプール38が変位し、更に押圧力が主弁スプール
12に伝達されて第1圧縮コイルばね32が圧縮されて
主弁スプール12が変位する。
【0065】一般に、押圧される圧縮コイルばねは、押
圧力に比例した圧縮量が与えられるのであるが、制御励
磁電流が微小励磁電流範囲(図5におけるA1、例えば
0.1アンペア以下)の場合には、第1ソレノイドハウ
ジング50のヨークとプランジャ58との間の吸引力は
微弱であり、その微弱な吸引力による弁棒57の副弁ス
プール38に対する押圧は、弱い第2圧縮コイルばね4
1には微小な圧縮量を与え、副弁スプール38を右方に
微小に変位させ、更に副弁スプール38を介して強い第
1圧縮コイルばね32には極めて微小な圧縮量を与え、
主弁スプール12を右方に極めて微小に変位させるに過
ぎない。
【0066】そして、主弁スプール12及び副弁スプー
ル38の変位量の増大は、制御励磁電流の増大、即ち吸
引力の増大に対応する。上記のように微小範囲で制御励
磁電流が増大しても、副弁スプール38の微小な変位で
は、主弁スプール12のフィードバック通路36を開口
するのに到らない。又、同じく主弁スプール12の極め
て微小な変位では、作動油圧を供給油圧から低減させる
程には第2環状溝17と第2環状溝部29との対向肩部
間の間隙の制御開度を絞るには到らない。
【0067】従って、図5に示すように、制御励磁電流
が微小(図5におけるA1、例えば0.1アンペア以
下)の場合には、作動油圧は、実質的に変化しないで
(図5参照)、上記の励磁電流がソレノイド55に印加
されていない場合(図2上半分参照)と同一である。
【0068】次に、制御励磁電流が低励磁電流範囲(図
5におけるA1を超えA2以下、例えば0.1アンペア
を超え0.3アンペア以下)の場合には、制御励磁電流
が上記の微小励磁電流範囲の場合よりも、第1ソレノイ
ドハウジング50のヨークとプランジャ58との間の吸
引力、即ち第1圧縮コイルばね32及び第2圧縮コイル
ばね41に対する押圧力は増大するので、第1圧縮コイ
ルばね32及び第2圧縮コイルばね41の各圧縮量、即
ち主弁スプール12及び副弁スプール38の変位量は、
押圧力に比例してそれなりに増大する。
【0069】その結果、図2下半分に示すように、主弁
スプール12の右方への変位により第2環状溝17と第
2環状溝部29との対向肩部間の間隙の制御開度の絞り
が増大し、その絞りの増大により、作動油圧を供給油圧
から次第に低減させる。他方、主弁スプール12のフィ
ードバック通路36は、副弁スプール38の環状溝39
に制御励磁電流に応じた制御開度で開口させられると共
に、副弁スプール38の環状溝39と連通路34とは遮
断される。
【0070】そして、副弁スプール38の変位量の増大
につれ、フィードバック通路36の制御開度も増大して
全開に到る。従って、既述のように第2環状溝部29か
ら油圧作動部Aへ供給される圧油の一部は、その制御開
度で開口したフィードバック通路36を通って、即ち制
御開度に対応したフィードバック油圧pをもって環状溝
39及び連通路35を介して第1環状溝16にも供給さ
れ、第1環状溝16における両端面の面積差ΔAにフィ
ードバック油圧pを乗じたフィードバック油圧力p・Δ
Aが主弁スプール12を右方向へ変位させるように働
く。
【0071】その結果、第1圧縮コイルばね32は、第
1ソレノイドハウジング50のヨークとプランジャ58
との間の吸引力にフィードバック油圧力が加わった押圧
力によりに圧縮されるのであるが、フィードバック通路
36の制御開度の増大につれフィードバック油圧力も増
大する。
【0072】そこで、制御励磁電流が低励磁電流範囲の
場合には、制御励磁電流による吸引力の増大での第1圧
縮コイルばね32の圧縮量、即ち主弁スプール12右方
への変位の増大、即ち、第2環状溝17と第2環状溝部
29との対向肩部間の間隙の制御開度の低減には、フィ
ードバック油圧力の増大が加わって寄与する。
【0073】従って、制御励磁電流の増大に対応する第
1圧縮コイルばね32の圧縮量の増大率、即ち、第2環
状溝17と第2環状溝部29との対向肩部間の間隙の制
御開度の絞りの増大率、延いては作動油圧の減小率は、
フィードバック油圧力自体、即ちその増大が加わらない
後記の高励磁電流範囲に比し大きい(図5参照)。かく
して、低励磁電流範囲においては、油圧作動部Aの作動
油圧の微細な調節が可能となる。
【0074】そして、主弁スプール12は、制御励磁電
流の大きさに応じた大きさの吸引力と第1環状溝16に
おける両端面の面積差ΔAにフィードバック油圧pを乗
じた油圧力p・ΔAとの和が第1圧縮コイルばね32の
ばね力と第2圧縮コイルばね41のばね力との和と平衡
する位置になる。
【0075】即ち、図2上半分に示すようにスプールハ
ウジング10の第2環状溝17と主弁スプール12の第
2環状溝部29との対向肩部間の間隙の開口開度が、制
御励磁電流に対応した制御開度になる。そのため、ポン
プPからの圧油は、制御開度となった第2環状溝17と
主弁スプール12の第2環状溝部29との対向肩部間の
間隙を通し油圧作動部Aに流入し、油圧作動部Aの作動
油圧は、制御開度、即ち制御励磁電流の大きさに応じた
制御圧になる(図5参照)。そのようにして制御励磁電
流が低励磁電流である場合の油圧作動部Aの油圧のフィ
ードバック制御が行われる。
【0076】制御励磁電流が低励磁電流範囲で増大し、
低励磁電流範囲から高励磁電流範囲(図5におけるA2
を超えA3以下、例えば0.3アンペアを超え1.0ア
ンペア以下)に移ると、弁棒57の押圧による副弁スプ
ール38の変位量の増大の結果、副弁スプール38の内
端面(右端面)は、主弁スプール12の中心穴33の底
に当接し、その変位は抑止され、フィードバック通路3
6の制御開度は全開状態となり、フィードバック油圧力
は、最大となりそれ以上の増大はない。
【0077】そして、制御励磁電流が高励磁電流範囲に
おいては、制御励磁電流の大きさに応じた吸引力による
弁棒57の押圧は、副弁スプール38を介して主弁スプ
ール12に加わり、主弁スプール12を右方へさせる。
その変位の増大は、低励磁電流範囲の場合と異なり、制
御励磁電流の大きさに応じた吸引力の増大のみによる。
【0078】従って、制御励磁電流が高励磁電流範囲の
場合には、制御励磁電流による吸引力の増大での第1圧
縮コイルばね32の圧縮量、即ち主弁スプール12右方
への変位の増大、即ち、第2環状溝17と第2環状溝部
29との対向肩部間の間隙の制御開度の低減には、フィ
ードバック通路36の制御開度が全開状態のためフィー
ドバック油圧力は既に最大となっておりそれ以上増大し
ないので、制御励磁電流の増大に対応する第1圧縮コイ
ルばね32の圧縮量の増大率、即ち、第2環状溝17と
第2環状溝部29との対向肩部間の間隙の制御開度の絞
りの増大率、延いては作動油圧の減小率は、低励磁電流
範囲に比し小さい(図5参照)。
【0079】そして、既述の低励磁電流である場合の油
圧作動部Aの油圧作動のフィードバック制御と同様に、
主弁スプール12は、制御励磁電流の大きさに応じた大
きさの吸引力と第1環状溝16における両端面の面積差
ΔAにフィードバック油圧pを乗じた油圧力p・ΔAと
の和が第1圧縮コイルばね32のばね力と第2圧縮コイ
ルばね41のばね力との和と平衡する位置になる。
【0080】即ち、図2下半分に示すようにスプールハ
ウジング10の第2環状溝17と主弁スプール12の第
2環状溝部29との対向肩部間の間隙の開口開度が、制
御励磁電流に対応した制御開度になる。そのため、ポン
プPからの圧油は、制御開度となった第2環状溝17と
主弁スプール12の第2環状溝部29との対向肩部間の
間隙を通し油圧作動部Aに流入し、油圧作動部Aの作動
油圧は、制御開度、即ち制御励磁電流の大きさに応じた
制御圧になる(図5参照)。
【0081】そして、制御励磁電流がA3になると、主
弁スプール12の右方への変位は最大となり、スプール
ハウジング10の第2環状溝17と第3環状溝18とは
主弁スプール12の第2ランド部28で遮断されると共
に、第3環状溝18は、第4環状溝19と連通する。即
ち出力通路22は、供給通路21と遮断されると共に排
出通路23と連通する。従って、油圧作動部Aの作動油
圧は零となる。上記の制御特性は、図5に示すように制
御励磁電流A1〜A3の変化に対する油圧作動部Aの作
動油圧の変化率が異なる二段階となる。
【0082】上記の全励磁電流範囲において弁棒57・
プランジャ58の往復変位によるリニアソレノイド部2
及びスプール弁部1の大径孔部15における呼吸並びに
主弁スプール12に対する副弁スプール38の往復変位
による副弁スプール38の中心穴33における呼吸は、
夫々連通溝25及び連通路37を介しての第1ドレン通
路5及び第2ドレン通路6との流通により行われる。
【0083】
【発明の効果】この発明の圧力制御電磁スプール弁にお
いては、制御励磁電流が低励磁電流から高励磁電流まで
の間の変化に対する圧力制御電磁スプール弁の制御作動
圧力を2段階の変化率の異なる制御特性にすることがで
きる。この低励磁電流範囲の間、即ち圧力制御電磁スプ
ール弁の初期作動範囲の間は、制御励磁電流が高励磁電
流範囲である通常の作動範囲に比し、制御励磁電流の変
化率に対応する圧力制御電磁スプール弁の制御作動圧力
の変化率を大きくすることができる。
【0084】又、制御励磁電流が微小の場合には、制御
作動圧力を制御励磁電流を印加しない場合と同一にでき
ることから制御作動圧力が一定となる領域を備える制御
特性にすることができる。そのため、このような作動特
性の圧力制御電磁スプール弁を例えば自動車のオートト
ランスミッションの作動油圧機構に用いた場合には、低
圧作動油圧範囲において、微細な制御を行うこと、即ち
適切な制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態における制御励磁電流が
零乃至微小励磁電流範囲の圧力制御電磁スプール弁の断
面図である。
【図2】この発明の実施の形態における制御励磁電流が
低励磁電流範囲の圧力制御電磁スプール弁の断面図であ
る。
【図3】この発明の実施の形態における制御励磁電流が
高励磁電流範囲の圧力制御電磁スプール弁の断面図であ
る。
【図4】従来の技術における圧力制御電磁スプール弁の
断面図である。
【図5】この発明の実施の形態における圧力制御電磁ス
プール弁の圧力制御特性を示す図である。
【図6】従来の技術における圧力制御電磁スプール弁の
圧力制御特性を示す図である。
【符号の説明】
1 スプール弁部 2 リニアソレノイド
部 3 供給通路 4 出力通路 5 第1ドレン通路 6 第2ドレン通路 10 スプールハウジング 11 滑動孔 12 主弁スプール 13 ねじ孔部 14 蓋栓 15 大径孔部 16 第1環状溝 17 第2環状溝 18 第3環状溝 19 第4環状溝 20 第5環状溝 21 供給通路 22 出力通路 23,24 排出通路 25 連通溝 26 第1ランド部 27 第1環状溝部 28 第2ランド部 29 第2環状溝部 30 第3ランド部 31 小径突起部 32 第1圧縮コイル
ばね 33 中心穴 34,35,37 連
通路 36 フィードバック通路 38 副弁スプール 39 環状溝 40 第2圧縮コイル
ばね 50 第1ソレノイドハウジング 51 フランジ部 52 外側円筒部 53 内側円筒部 54 第2ソレノイド
ハウジング 55 ソレノイド 56 転がり軸受 57 弁棒 58 プランジャ 59 蓋板 60 円板状板ばね H ミッションハウジング h 中空横穴

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御出力通路、排出通路及び圧油供給通
    路が夫々連通する弁スプール滑動孔が形成された弁本体
    と、弁スプール滑動孔に軸線方向に滑動自在に嵌挿され
    ており、環状溝部が制御出力通路に対向連通すると共
    に、軸線方向位置により排出通路と供給通路とに選択的
    に絞り開閉乃至遮断されるように形成された主弁スプー
    ルと、弁スプール滑動孔において主弁スプールを一方向
    に付勢する主弾性部材と、主弁スプールに形成された副
    弁スプール滑動孔に嵌装され、主弁スプールに対し軸線
    方向に滑動自在である副弁スプールと、主弁スプールに
    おいて主弾性部材より弱く、且つ主弾性部材の付勢方向
    と同一方向に副弁スプールを付勢する副弾性部材と、副
    弁スプールを副弾性部材の付勢方向と反対方向に押圧付
    勢すると共に、間接的に主弁スプールを主弾性部材の付
    勢方向と反対方向に押圧付勢する電磁駆動手段と、主弾
    性部材の付勢方向と反対方向に押圧付勢する制御出力通
    路からのフィードバック圧を主弁スプールに与えるべく
    前記環状溝部に開口したフィードバック通路とを備えた
    圧力制御電磁スプール弁。
  2. 【請求項2】 環状溝部に開口したフィードバック通路
    及び主弁スプールに対する副弁スプールの位置によりフ
    ィードバック通路を絞り開閉乃至遮断する可変オリフィ
    スを備えた請求項1に記載の圧力制御電磁スプール弁。
JP10192998A 1998-03-31 1998-03-31 圧力制御電磁スプール弁 Pending JPH11287355A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002267040A (ja) * 2001-03-09 2002-09-18 Smc Corp 流体圧力制御装置

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