JPH11286462A - フッ素化飽和炭化水素の製造方法 - Google Patents

フッ素化飽和炭化水素の製造方法

Info

Publication number
JPH11286462A
JPH11286462A JP10414598A JP10414598A JPH11286462A JP H11286462 A JPH11286462 A JP H11286462A JP 10414598 A JP10414598 A JP 10414598A JP 10414598 A JP10414598 A JP 10414598A JP H11286462 A JPH11286462 A JP H11286462A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chf
saturated hydrocarbon
fluorinated saturated
bond
fluorinated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10414598A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4186253B2 (ja
Inventor
Toshiro Yamada
俊郎 山田
Tatsuya Sugimoto
達也 杉本
Mitsuru Sugawara
充 菅原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP10414598A priority Critical patent/JP4186253B2/ja
Priority to PCT/JP1999/001468 priority patent/WO1999050209A1/ja
Publication of JPH11286462A publication Critical patent/JPH11286462A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4186253B2 publication Critical patent/JP4186253B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C19/00Acyclic saturated compounds containing halogen atoms
    • C07C19/08Acyclic saturated compounds containing halogen atoms containing fluorine

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 −CHF−CHF−結合を有するフッ素化飽
和炭化水素と−CH2 −CHF−結合を有するフッ素化
飽和炭化水素との混合物から−CH2 −CHF−結合を
有するフッ素化飽和炭化水素を非常に効率よく、および
/または高純度で得る。 【解決手段】 上記フッ素化飽和炭化水素の混合物を原
料として用い、該原料中の−CHF−CHF−結合を有
するフッ素化飽和炭化水素を選択的に脱フッ化水素し、
得られた反応生成物から−CH=CF−結合を有するフ
ッ素化不飽和炭化水素を蒸留により除去するか、また
は、脱フッ化水素処理によって得られた反応生成物をそ
のまま水素化処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、洗浄剤、水切り
剤、溶剤、重合溶剤などとして有用なフッ素化飽和炭化
水素の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種材料の工業的な洗浄方法
として、不燃性、低毒性、安定性に優れたCFC113
や1,1,1−トリクロロエタンを主成分とする溶剤組
成物が広く使用されてきている。しかし、各種のCFC
類や1,1,1−トリクロロエタン、四塩化炭素などが
オゾン層を破壊することが指摘され、オゾン層保護の観
点からCFC113や1,1,1−トリクロロエタンな
どについても1995年末をもって世界的にその生産が
全廃され、使用規制が実施されている。
【0003】これらのCFC113などに代わるものと
してこれまでにHCFC225やHCFC141bなど
のハイドロクロロフルオロカーボン類が提案され使用さ
れているが、これらの化合物も僅かとはいえオゾン層破
壊力をもつため、その使用には期限が設けられている。
また、塩素系溶剤についても塩化メチレンやトリクロロ
エチレン、パークロロエチレンなどの従来からあるもの
については安全性(発ガン性や中毒)の面で問題を抱え
ており、各種の規制が設けられ、あるいは検討されてい
る。
【0004】上記のフッ素系溶剤の長所である、不燃
性、安定性などを保持ししかもオゾン層破壊の元凶であ
る塩素原子を含まない化合物の提案が種々なされてい
る。例えば、パーフルオロ−n−ヘプタンのようなパー
フルオロカーボン類を主成分とするもの(WO92−0
3205号公報など)、鎖状ハイドロフルオロカーボン
を主成分とするもの(WO95−06693号公報、特
表平6−501949号公報など)、特定の環状のハイ
ドロフルオロカーボン類を主成分とするもの(WO95
−05448号公報)などがあげられる。
【0005】このようなパーフルオロカーボン類やハイ
ドロフルオロカーボン類はオゾン層破壊の心配がないこ
と、そのままあるいは有機溶剤とともに用いることによ
り、仕上がりの良い洗浄性能を発揮する上では好ましい
ものであるが、各々に改善すべき問題点があった。例え
ば、パーフルオロカーボン類は地球温暖化係数が高く、
地球環境保全上の新たな問題を生じる恐れがある。ま
た、鎖状あるいは環状のハイドロフルオロカーボン類は
種々の構造が提案されているが、その構造上の問題があ
る。例えば、−CF2 CHFCHFCF2 −結合を有す
るものはアルカリや水存在下での安定性に欠けるなどの
欠点を有していた。
【0006】このような従来の問題点を解決する観点か
ら、トリハイドロフルオロエチレン基−CH2 −CHF
−をもつフッ素化飽和炭化水素が、適度な汚れ成分の溶
解性、プラスチックなどへの低アタック性、熱や化学薬
品への優れた安定性、不燃性の保持などにより、また、
塩素を含まないことからオゾン層破壊力がなく、さらに
大気寿命が短いことから地球温暖化係数が低いことなど
により、新世代のフッ素系材料として期待されている。
【0007】こうしたトリハイドロフルオロエチレン基
−CH2 −CHF−をもつフッ素化飽和炭化水素の製造
方法としては、従来炭素数3のフッ素化炭化水素を対象
とするものが中心であった。例えば、特開平8−259
477号公報においてはCF3 CH=CF2 を水素化す
る方法、特開平7−89676号公報においてはジクロ
ロペンタフルオロプロパンやトリクロロペンタフルオロ
プロパンの塩素原子を加水素分解する方法が提案されて
いる。これらは、3つの水素を二段階で導入する点や、
必要な部位に塩素原子を選択的に配置した原料を事前に
合成する点で効率の悪いものであり、改善の必要性があ
った。炭素数が4以上のトリハイドロフルオロエチレン
基−CH2 −CHF−をもつフッ素化飽和炭化水素で
は、可燃性のモノフルオロ化合物以外についてはその選
択的な、あるいは高純度に容易に単離ができる製造方法
は知られていない。例えば、1,1,2,2,3,3,
4−ヘプタフルオロシクロペンタンは、1,1,2,
2,3,3,4,5−オクタフルオロシクロペンタン合
成の際に副生することが知られているが(ジャーナル・
オブ・ケミカル・ソサイエティーC、P548、196
8年)、それを単離することは記載されていない。実際
この二つの化合物は沸点もほとんど同一で蒸留による分
離は不可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、不燃性の
トリハイドロフルオロエチレン基−CH2 CHF−を持
つフッ素化飽和炭化水素、特に炭素数が3より大きいも
のの製造法は未だ確立されていなかった。本発明の目的
は、−CHF−CHF−結合をもつフッ素化飽和炭化水
素と−CH2 −CHF−結合をもつフッ素化飽和炭化水
素との両者を含む混合フッ素化飽和炭化水素から、−C
2 −CHF−結合をもつ高純度のフッ素化飽和炭化水
素を高度な選択性をもって効率よく製造することのでき
る方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来技術
がもつ課題に鋭意取り組み検討を行った結果、−CHF
−CHF−結合を有するフッ素化飽和炭化水素および−
CH2 −CHF−結合を有するフッ素化飽和炭化水素の
両者を含む混合フッ素化飽和炭化水素を出発原料として
用い、該原料中の−CHF−CHF−結合を有するフッ
素化飽和炭化水素を選択的に脱フッ化水素すると、生成
した反応混合物の蒸留によって、あるいは混合物のまま
水素化に供することにより、非常に効率よくトリハイド
ロフルオロエチレン基(−CH2 −CHF−結合)をも
つフッ素化飽和炭化水素が得られることを見出し、本発
明を完成するにいたった。
【0010】かくして本発明によれば、−CHF−CH
F−結合を有するフッ素化飽和炭化水素および−CH2
−CHF−結合を有するフッ素化飽和炭化水素の両者を
含む混合フッ素化飽和炭化水素を原料として用い、該原
料中の−CHF−CHF−結合を有するフッ素化飽和炭
化水素を選択的に脱フッ化水素する第一工程、およびそ
れに引き続き、生成した−CH=CF−結合を有するフ
ッ素化不飽和炭化水素を蒸留により除去する第二工程を
含んでなることを特徴とする、−CH2 −CHF−結合
を有する高純度フッ素化飽和炭化水素の製造方法が提供
される。
【0011】本発明によれば、さらに、−CHF−CH
F−結合を有するフッ素化飽和炭化水素および、このフ
ッ素化飽和炭化水素の−CHF−CHF−結合の代わり
に−CH2 −CHF−結合を有し、その他の構造は同一
のフッ素化飽和炭化水素の両者を含む混合フッ素化飽和
炭化水素を原料として用い、該原料中の−CHF−CH
F−結合を有するフッ素化飽和炭化水素を選択的に脱フ
ッ化水素する第一工程、およびそれに引き続き、生成し
た−CH=CF−結合を有するフッ素化不飽和炭化水素
から、反応せずに残存している−CH2 −CHF−結合
を有するフッ素化飽和炭化水素を分離することなく、両
者を含む混合フッ素化飽和炭化水素の水素化処理を行う
第二工程を含んでなることを特徴とする、−CH2 −C
HF−結合を有するフッ素化飽和炭化水素の製造方法が
提供される。この製造方法において、−CHF−CHF
−結合を有するフッ素化飽和炭化水素が1,1,2,
2,3,3,4,5−オクタフルオロシクロペンタンで
あり、−CH2 −CHF−結合を有するフッ素化飽和炭
化水素が1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロ
シクロペンタンであることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の−CH=CF−結合を有
するフッ素化不飽和炭化水素の製造方法において原料と
して用いる−CHF−CHF−結合を有するフッ素化飽
和炭化水素としては、通常、炭素数4〜10のフッ素化
飽和炭化水素が用いられ、好ましくは、炭素数4〜6の
フッ素化飽和炭化水素が用いられ、その具体例として
は、1,1,1,2,3,4,4,4−オクタフルオロ
−n−ブタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,
5−デカフルオロ−n−ペンタン、1,1,1,2,
2,3,3,4,5,6,6,6−ドデカフルオロ−n
−ヘキサンおよび1,1,1,2,2,3,4,5,
5,6,6,6−ドデカフルオロ−n−ヘキサンなどの
鎖状フッ素化飽和炭化水素;ならびに1,1,2,2,
3,4−ヘキサフルオロシクロブタン、1,1,2,
2,3,4−ヘキサフルオロシクロペンタン、1,1,
2,2,3,4,5−ヘプタフルオロシクロペンタン、
1,1,2,2,3,3,4,5−オクタフルオロシク
ロペンタンおよび1,1,2,2,3,3,4,4,
5,6−デカフルオロシクロヘキサンなどの環状フッ素
化飽和炭化水素が挙げられる。これらの中では炭素数5
のもの、および環状構造を有するものが好ましく、とり
わけ炭素数が5の環状フッ素化飽和炭化水素がより好ま
しく、1,1,2,2,3,3,4,5−オクタフルオ
ロシクロペンタンが最も好ましい。
【0013】本発明の製造方法において出発原料として
用いる混合フッ素化飽和炭化水素は上記の−CHF−C
HF−結合を有するフッ素化飽和炭化水素と−CH2
CHF−結合を有するフッ素化飽和炭化水素との混合物
である。−CH2 −CHF−結合を有するフッ素化飽和
炭化水素としては、通常、炭素数4〜10のフッ素化飽
和炭化水素が用いられ、好ましくは、炭素数4〜6のフ
ッ素化飽和炭化水素が用いられ、その具体例としては、
1,1,1,2,4,4,4−ヘプタフルオロ−n−ブ
タン、1,1,1,2,2,3,5,5,5−ノナフル
オロ−n−ペンタン、1,1,1,2,2,4,5,
5,5−ノナフルオロ−n−ペンタン、1,1,1,
2,2,3,3,4,6,6,6−ウンデカフルオロ−
n−ヘキサン、1,1,1,2,2,3,3,5,6,
6,6−ウンデカフルオロ−n−ヘキサンおよび1,
1,1,2,2,4,5,5,6,6,6−ウンデカフ
ルオロ−n−ヘキサンなどの鎖状フッ素化飽和炭化水
素;ならびに1,1,2,2,3−ペンタフルオロシク
ロブタン、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオ
ロシクロペンタンおよび1,1,2,2,3,3,4,
4,5−ノナフルオロシクロヘキサンなどの環状フッ素
化飽和炭化水素が挙げられる。これらの中では炭素数5
のもの、および環状構造を有するものが好ましく、とり
わけ炭素数が5の環状フッ素化飽和炭化水素がより好ま
しく、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシ
クロペンタンが最も好ましい。また、−CHF−CHF
−結合を有するフッ素化飽和炭化水素と−CH2 −CH
F−結合を有するフッ素化飽和炭化水素とは、それぞ
れ、これらの結合以外の部分の構造が互いに同一である
ことが好ましい。従って、最も好ましい混合フッ素化飽
和炭化水素の具体例としては、オクタフルオロシクロペ
ンテンの水素化によって得られる1,1,2,2,3,
3,4,5−オクタフルオロシクロペンタンと1,1,
2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンと
の混合物が挙げられる。上記混合フッ素化飽和炭化水素
中の−CHF−CHF−結合を有するフッ素化飽和炭化
水素(A)と、−CH2 −CHF−結合を有するフッ素
化飽和炭化水素(B)との割合は、格別限定されない
が、通常、A=0.01〜99.9重量%、B=99.
9〜0.01重量%の範囲で適宜選ばれる。
【0014】上記の−CHF−CHF−結合を有するフ
ッ素化飽和炭化水素(A)と−CH2 −CHF−結合を
有するフッ素化飽和炭化水素(B)との混合物を、例え
ば、相間移動触媒の存在下にアルカリ性化合物で処理す
ると、−CHF−CHF−結合を有するフッ素化飽和炭
化水素(A)が選択的に脱フッ化水素されて−CH=C
F−結合を有するフッ素化不飽和炭化水素となる。従っ
て、反応生成物は主として−CH=CF−結合を有する
フッ素化不飽和炭化水素と−CH2 −CHF−結合を有
するフッ素化飽和炭化水素との混合物である。脱フッ化
水素反応によって生成する−CH=CF−結合を有する
フッ素化不飽和炭化水素としては、通常、炭素数4〜1
0のフッ素化不飽和炭化水素、好ましくは、炭素数4〜
6のフッ素化不飽和炭化水素が挙げられ、その具体例と
しては、1,1,1,2,4,4,4−ヘプタフルオロ
−2−ブテン、1,1,1,3,4,4,5,5,5−
ノナフルオロ−2−ペンテン、1,1,1,2,4,
4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロ−2−ヘキ
セン、1,1,1,3,4,4,5,5,6,6,6−
ウンデカフルオロ−2−ヘキセン、1,1,1,2,
2,3,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロ−2−
ヘキセンおよび1,1,1,2,2,4,5,5,6,
6,6−ウンデカフルオロ−2−ヘキセンなどの鎖状フ
ッ素化不飽和炭化水素;ならびに1,1,2,2,3,
4−ヘキサフルオロシクロブテン、1,3,3,4,4
−ペンタフルオロシクロペンテン、1,4,4,5,5
−ペンタフルオロシクロペンテン、1,3,3,4,
4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテンおよび1,
1,3,3,4,4,5,5,6−ノナフルオロシクロ
ヘキセンなどの環状フッ素化不飽和炭化水素が挙げられ
る。これらの中では炭素数5のもの、および環状構造を
有するものが好ましく、とりわけ炭素数が5の環状フッ
素化不飽和炭化水素がより好ましく、1,3,3,4,
4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテンが最も好ま
しい。
【0015】脱フッ化水素反応は、アルカリ性化合物を
用いて実施することが好ましい。アルカリ性化合物とし
ては、通常、アルカリ金属、アルカリ土類金属および遷
移金属の炭酸塩、ならびにアルカリ金属およびアルカリ
土類金属の炭酸水素塩などが用いられる。炭酸塩の具体
例としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸バ
リウムなど;また、炭酸水素金属塩の具体例としては炭
酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素カ
リウムなどが挙げられる。これらのアルカリ性化合物は
単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。
アルカリ性化合物の使用量は、出発原料である混合フッ
素化飽和炭化水素中の−CHF−CHF−結合を有する
フッ素化飽和炭化水素に対し等量以上であればよい。
【0016】本発明のアルカリ性化合物による脱フッ化
水素は相間移動触媒の存在下に行うことが好ましい。相
間移動触媒としては、合成反応で一般に用いられるもの
であれば特に制限はなく、例えば、第4級アンモニウム
ハライド類、第4級ホスホニウムハライド類などのよう
な第4級塩類;クラウンエーテル類、ポリオキシアルキ
レングリコール類などのようなポリエーテル類;アミノ
アルコール類;などが挙げられ、特に第4級塩類が好ま
しい。第4級塩類は、窒素原子およびリン原子などのよ
うなヘテロ原子に4個の炭素含有置換基が結合して生じ
るカチオン(陽性イオン)と、対アニオン(陰性イオ
ン)からなる。
【0017】ヘテロ原子としては、元素周期表の5B族
の原子であれば特に限定されないが、窒素原子およびリ
ン原子が好ましい。該ヘテロ原子の4つの炭素含有置換
基の炭素数は、特に限定されないが、通常1〜30、よ
り好ましくは1〜20である。かかる置換基としてはヘ
テロ原子に直接結合した炭素を含んでいれば特に制限は
ないが、例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル
基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられる。こ
れらの炭素含有置換基には、アルコキシ基、ハロゲン原
子、アルキルチオ基などの反応に影響を及ぼさない置換
基;その炭素含有置換基構造内にカルボニル基、スルホ
ニル基、スルフィニル基などの反応に影響しない2価の
置換基などを含んでもよい。また、該炭素含有置換基が
お互いに結合して環状をなしてもよい。該炭素含有置換
基は、好ましくは、アルキル基、アリール基およびアラ
ルキル基である。
【0018】上記炭素含有置換基の具体例としては、メ
チル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、ラウリ
ル、ヘキサデシルなどのアルキル基;フェニル基、2−
メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチル
フェニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル、
2−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、2−メ
トキシベンジル基、4−メトキシベンジル基などのアラ
ルキル基;置換基が環状で窒素原子と結合した場合のピ
リジニウムやピコリニウムなどが挙げられる。これらの
置換基は反応に影響を及ぼさない置換基を有していても
よい。対アニオン(陰性イオン)としては、例えば、ハ
ライド、ヒドロキシド、ハイドロキシスルフェートなど
が挙げられるが、好ましくはハライドである。ハライド
は、特に限定されないが、具体的に、フルオライド、ブ
ロマイド、クロライド、アイオダイドが挙げられ、好ま
しくはブロマイドおよびクロライドである。
【0019】第4級塩類の具体例としては、第4級アン
モニウムハライド類、第4級ホスホニウムハライド類、
第4級アンモニウムヒドロキシド類、第4級ホスホニウ
ムヒドロキシド類、第4級アンモニウムハイドロゲンス
ルフェート類、第4級ホスホニウムハイドロゲンスルフ
ェート類などが挙げられ、4級アンモニウムハライド
類、第4級ホスホニウムハライド類が好ましく、第4級
ホスホニウムハライド類がより好ましい。相間移動触媒
の好ましい例としては、テトラメチルアンモニウムブロ
マイド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラ
エチルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルアンモ
ニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイ
ド、テトラブチルアンモニウムクロライド、セチルトリ
メチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルア
ンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウ
ムクロライドなどのような第4級アンモニウムハライド
類;テトラブチルホスホニウムブロマイド、ベンジルト
リフェニルホスホニウムクロライド、ブチルトリフェニ
ルホスホニウムブロマイドなどのような第4級ホスホニ
ウムハライド類;15−クラウン−5、18−クラウン
−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジベンゾ−24
−クラウン−8、ジシクロヘキシル−18−クラウン−
6などのようなクラウンエーテル類;ポリエチレングリ
コール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリ
コールモノメチルエーテルなどのようなポリオキシアル
キレングリコール類;トリス[2−(2−メトキシエト
キシ)エチル]アミン、クリプテートなどのようなアミ
ノアルコール類;などが挙げられる。これらの中でも、
テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルア
ンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロ
マイド、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テト
ラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモ
ニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロ
マイド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、
トリメチルベンジルアンモニウムブロマイド、トリオク
チルメチルアンモニウムクロライドがより好ましい。特
にテトラブチルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリ
フェニルホスホニウムクロライド、ブチルトリフェニル
ホスホニウムブロマイドなどが好ましい。
【0020】これらの相間移動触媒は、それぞれ単独
で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ
る。相間移動触媒の使用量は、反応条件により適宜選択
され、−CHF−CHF−結合を有するフッ素化飽和炭
化水素に基づき、通常0.001〜20重量%、好まし
くは0.01〜10重量%。より好ましくは0.15重
量%の範囲である。反応に供する出発原料はそのまま、
または有機溶媒に溶解した形で用いることができる。溶
媒は、本発明の方法において反応に不活性であれば格別
な限定はなく、溶媒の具体例としては、n−ペンタン、
n−ヘプタン、n−オクタン、シクロペンタン、シクロ
ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどのn−ペ
ンタン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロペンタ
ン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、
炭化水素類、エチレングリコールモノメチルエーテルな
どのエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセ
トアミド、N−メチルピロリドンのようなアミド類、ジ
メチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ジメチルイ
ミダゾリジノンのようなウレア類、パーフルオロヘキサ
ン、パーフルオロノナンなどのパーフルオロ炭化水素や
パーフルオロエーテルなどのフッ素系溶媒が挙げられ
る。溶媒は、用いないか、または炭化水素類およびフッ
素系溶媒を用いることが好ましい。溶媒は用いないほう
がより好ましい。
【0021】アルカリ性化合物はそのまま、または水に
溶解した形で用いられるが、好ましくは、水を用いずに
そのまま反応に供する。脱フッ化水素反応相の形態は均
一系、固液反応、二相率のいずれでもよいが二相系が好
ましい。反応温度は通常常温〜100℃の範囲から選ば
れ、好ましくは30〜70℃である。反応圧力は通常常
圧から5気圧、好ましくは常圧〜3気圧程度である。反
応時間は通常10分から10時間であり、好ましくは3
0分間〜5時間である。
【0022】反応は密閉系および開放率のいずれでもよ
く、還流凝縮器を設けた反応器を用い、蒸留塔を反応器
に付設して最も沸点の低いフッ素化不飽和炭化水素を留
出させ、連続的に精製・分離する方法を採ることができ
る。特に生成するフッ素化不飽和炭化水素の重合性が高
い場合は上記のような反応実施形態は特に有効である。
反応に用いた相間移動触媒は生成物中に溶解しており、
水との二相系においても分配して溶存するので、簡単な
蒸留などの操作によって相間移動触媒は除去することが
望ましい。相間移動触媒の除去によって、フッ素化不飽
和炭化水素生成物を次工程で処理したり、製品として利
用する際の悪影響を防止することができる。
【0023】脱フッ化水素反応により得られた反応生成
物、すなわち、主として−CH=CF−結合を有するフ
ッ素化不飽和炭化水素と−CH2 −CHF−結合を有す
るフッ素化飽和炭化水素との混合物から、−CH=CF
−結合を有するフッ素化不飽和炭化水素を分離除去する
ための蒸留法は格別限定されることはなく常法に従って
行えばよい。効率のよい理論段数の高い蒸留塔が望まし
い。脱フッ化水素反応により生成した−CH=CF−結
合を有するフッ素化不飽和炭化水素と、反応せずに残存
している−CH2 −CHF−結合を有するフッ素化飽和
炭化水素を分離することなく、両者を含む混合フッ素化
飽和炭化水素の水素化処理を行うことによって−CH2
−CHF−結合を有するフッ素化飽和炭化水素を製造す
ることができる。
【0024】以下、脱フッ化水素反応により生成した−
CH=CF−結合を有するフッ素化不飽和炭化水素と、
反応せずに残存している−CH2 −CHF−結合を有す
るフッ素化飽和炭化水素との混合物の水素化処理につい
て説明する。水素化反応に使用される水素は、ガス状で
あればよい。水素の使用量は、−CH=CF−結合を含
有するフッ素化不飽和炭化水素に対して過剰量で使用す
ることが有利である。例えば、1モルの−CH=CF−
結合を含有するフッ素化不飽和炭化水素1モル当たり2
モル以上の、好適には2〜50モルの水素を使用すれば
よい。水素化反応には、通常貴金属触媒が用いられる。
使用される貴金属触媒は、貴金属または貴金属化合物な
どである。貴金属としては、例えば、パラジウム、ロジ
ウム、ルテニウム、レニウム、白金などが挙げられ、な
かでもパラジウム、ロジウム、ルテニウムが好ましい。
貴金属化合物としては、酢酸パラジウムなどの酸化物、
塩化パラジウムなどのハロゲン化物などが挙げられる。
これらの貴金属触媒は、単一で使用してもよいし、2種
類以上の金属からなる合金、いわゆるバイメタル触媒と
して用いてもよい。
【0025】貴金属触媒は担体に担持させて用いること
が好ましい。貴金属触媒を担持させる担体の種類および
担体の形状、大きさは特に制限されるものでない。担体
の種類としては活性炭、アルミナ、チタニア、ジルコニ
アおよびこれらをフッ素化水素処理したものが好まし
い。担体の形状は、粉末でも球形、ペレット状などの成
形体でもよい。担体に対する貴金属の担持量は、通常、
0.05〜20重量%のものが用いられる。好ましい担
持量は、担体が粉末の場合、0.1〜20重量%であ
り、担体が成形体の場合、0.1〜10重量%である。
より好ましくは、1〜10重量%担持の粉末触媒であ
る。
【0026】水素化反応の方式としては、液相反応また
は気相反応が可能である。液相反応では溶剤を用いるこ
とができる。気相反応では希釈剤を必要により用いるこ
とができる。また、気相反応では、固定床型気相反応、
流動床型気相反応などの方式をとることもできる。液相
反応で使用する溶剤としては、特に制限はなく、脂肪族
炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハイドロフルオロカー
ボン類、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステ
ル類、水などが挙げられる。脂肪族炭化水素類として
は、通常、その炭素数が4〜15のものが用いられ、そ
の具体例としては、n−ブタン、n−ペンタン、メチル
ペンタン、n−ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキ
サンなどが挙げられる。
【0027】芳香族炭化水素類の具体例としては、トリ
フルオロメチルベンゼンなどが挙げられる。ハイドロフ
ルオロカーボン類の具体例としては、ペンタフルオロエ
タン、ペンタフルオロプロパン、ヘキサフルオロブタ
ン、デカフルオロペンタンなどが挙げられる。アルコー
ル類としては、通常、その炭素数が、1〜10、好まし
くは1〜6のものが用いられる。アルコール類の具体例
としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノール、シクロペンタノールなどが挙げられる。エー
テル類としては、通常、その炭素数が4〜10、好まし
くは4〜6のものが用いられ、その具体例としては、ジ
エチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレング
リコールジメチルエーテルなどが挙げられる。ケトン類
は、通常、その炭素数が3〜10、好ましくは3〜8の
ものが用いられその具体例としては、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチ
ルケトン、シクロペンタノンなどが挙げられる。エステ
ル類としては、通常、その炭素数4〜10、好ましくは
4〜8のものが用いられ、その具体例としては、例え
ば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、プロピオ
ン酸メチル、酪酸メチル、吉草酸メチルなどが挙げられ
る。
【0028】これらの溶剤は、単独で使用してもよく、
または2種以上組み合わせて使用してもよい。溶剤の使
用量は、特に制限はなく、例えば、−CH=CF−結合
を含有するフッ素化不飽和炭化水素100重量部に対し
て、通常、80重量部以下であり、好ましくは、50重
量部以下である。気相反応の際使用する希釈剤として
は、本水素化反応に不活性なガスであればよい。不活性
ガスは、窒素ガス、希ガス、炭化水素ガス、ハイドロフ
ルオロカーボンガスなどである。希ガスの具体例として
は、アルゴンガスやヘリウムガスなど;炭化水素ガスの
具体例としては、メタンガス、エタンガス、プロパンガ
ス、ブタンガスなど;ハイドロフルオロカーボンガスの
具体例としては、ペンタフルオロエタン、ペンタフルオ
ロプロパン、ヘキサフルオロブタン、デカフルオロペン
タンなど;が挙げられる。これらの希釈剤は、単独で使
用してもよく、または2種以上組み合わせて使用しても
よい。
【0029】希釈剤の使用量は、特に制限はなく、例え
ば、−CH=CF−結合を含有するフッ素化不飽和炭化
水素100重量部に対して、通常、0〜500重量部、
好ましくは、0〜200重量部である。本水素化反応の
反応系の圧力は、通常、常圧〜50kgf/cm2 程度
であり、好ましくは常圧〜20kgf/cm2 である。
反応温度は、通常、常温〜350℃程度であり、好まし
くは常温〜200℃程度である。また、本反応において
は、必要に応じて、反応系内を攪拌または振とうする。
【0030】本発明の水素化反応は、バッチ反応または
原料を連続的に反応器へ供給し、反応生成物を連続的に
反応器から抜き出す連続反応が採用される。使用する反
応容器は、バッチ反応の場合圧力容器であり、連続反応
では、直列に連結した1個またはそれ以上の反応器、例
えばカスケード式反応器を使用することができる。反応
容器の材料は、例えば、ステンレススチールなどが適し
ている。一般に、ステンレススチール製反応器は、使用
前に例えば硝酸処理してコンディショニングすることが
有利である。
【0031】
【実施例】以下、実施例について本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるも
のではない。実施例中の%は重量基準である。 実施例1 冷却管および攪拌機を付した1Lのガラス製反応器に
1,1,2,2,3,3,4,5−オクタフルオロシク
ロペンタンと1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフル
オロシクロペンタンが20:80(GC面積比)である
混合物を200g、n−テトラブチルアンモニウムブロ
ミド10g、1mol/l炭酸カリウム水溶液400m
lを入れ、30℃にて強攪拌した。8時間後、攪拌を停
止し、静置した。下層をガスクロマトグラフィー(日立
製作所製263−70)にて分析したところ、1,1,
2,2,3,3,4,5−オクタフルオロシクロペンタ
ンはすべて消失していた。有機層を分離し、水洗後、硫
酸マグネシウムで乾燥、ろ過をして、181gの生成物
を得た。このものを更にガスクロマトグラフィーにて分
析したところ、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフ
ルオロシクロペンタンを78%、1,3,3,4,4,
5,5−ヘプタフルオロシクロペンテンを17%、1,
2,3,3,4,4,5−ヘプタフルオロシクロペンテ
ンを2%含む混合物であり、1,1,2,2,3,3,
4−ヘプタフルオロシクロペンタンの分解率は2%であ
った。次に、この混合物181gを300mlの蒸留釜
に入れ、精留塔(ヘリパック充填塔、理論段数7段)に
て蒸留精製(還流比30:1)を行った。その結果、目
的物である1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオ
ロシクロペンタンが102.5g(純度95%、蒸留収
率69.0%)で得られた。
【0032】実施例2 冷却管および攪拌機を付した3Lのガラス製反応器に
1,1,2,2,3,3,4,5−オクタフルオロシク
ロペンタンと1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフル
オロシクロペンタンが78:22(GC面積比)である
混合物を970g、n−テトラブチルアンモニウムブロ
ミド15g、2.5mol/l炭酸カリウム水溶液17
00mlを入れ、45℃にて強攪拌した。6時間後、攪
拌を停止し、静置させた。下層をガスクロマトグラフィ
ー(日立製作所製263−70)にて分析したところ、
1,1,2,2,3,3,4,5−オクタフルオロシク
ロペンタンはすべて消失していた。有機層を分離し、水
洗後、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過をして、884g
の生成物を得た。このものをさらにガスクマトグラフィ
ーにて分析したところ、、1,1,2,2,3,3,4
−ヘプタフルオロシクロペンタンを22%、1,3,
3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシクロペンテンを
70%、1,2,3,3,4,4,5−ヘプタフルオロ
シクロペンテンを6%含む混合物であり、1,1,2,
2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンの分解
率は1%であった。次に、この混合物を1Lの蒸留釜に
入れ、スルーザー精留塔(理論段数55段)にて蒸留精
製を行った。その結果、目的物である1,1,2,2,
3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンが105g
(純度99%、蒸留収率53.4%)で得られた。
【0033】実施例3 攪拌機および精留塔を付した200mlのガラス製反応
器に1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフ
ルオロペンタン、1,1,1,2,4,4,5,5,5
−ノナフルオロペンタン及び1,1,1,3,4,4,
5,5,5−ノナフルオロペンタンをそれぞれ34、4
4、22%ずつ含有する混合物50g、n−テトラブチ
ルアンモニウムブロミド2.5g、2.5mol/l炭
酸カリウム水溶液35mlを入れ、45℃にて強攪拌し
た。約1時間後、精留塔の上部より還流比30:1で生
成物の抜き出しを開始し、氷水で冷却した受器に捕集し
た。徐々に反応温度を上げて行き、精留塔の上部の温度
が下がり始めたところで反応を停止した。その結果、目
的物であるノナフルオロペンタン(異性体の混合物で純
度99%)が17g(蒸留収率51%)で得られた。
【0034】実施例4 純度99.9GC%の粗製オクタフルオロシクロペンテ
ン1000gに、低極性化合物であるn−トリデカンを
3重量%溶解させた。容量1LのSUS316製オート
クレーブに粉末の5重量%パラジウム担持活性炭触媒5
0gを仕込み、減圧脱気した。このオートクレーブに先
に調製したn−トリデカン含有オクタフルオロシクロペ
ンテンを注入した後、40℃にて攪拌しながら水素をゲ
ージ圧0〜6kgf/cm2 の範囲でブロックチャージ
を繰り返して反応させた。水素の吸収が止まったところ
で、反応を停止させた。反応液からフィルターで触媒を
取り除き、ろ液を炭酸ナトリウム、飽和重曹水で中和し
た。 に、水洗し、モレキュラーシーブスで乾燥後、蒸
留によって、高沸点成分であるn−トリデカンを取り除
いた。得られた留分をガスクロマトグラフィーにて分析
した結果、1,1,2,2,3,3,4,5−オクタフ
ルオロシクロペンタンと1,1,2,2,3,3,4−
ヘプタフルオロシクロペンタンを89:11の割合(G
C面積比)で含む混合物であった。
【0035】次に、容量3Lのガラス製反応器に、この
混合物920g、n−テトラブチルアンモニウムブロミ
ド14g、2.5mol/l炭酸カリウム水溶液185
0mlを仕込み、45℃にて強攪拌した。8時間後、反
応を停止し、静置させた。下層をガスクロマトグラフィ
ー(日立製作所製263−70)にて分析し、1,1,
2,2,3,3,4,5−オクタフルオロシクロペンタ
ンが完全に消失していることを確認した。有機層を分離
し、水洗後、モレキュラーシーブスにて乾燥、単蒸留し
て精製した。得られた留分をさらにガスクロマトグラフ
ィーにて分析した結果、1,3,3,4,4,5,5−
ヘプタフルオロシクロペンテンを79%、1,2,3,
3,4,4,5−ヘプタフルオロシクロペンテンを9%
含む混合物であり、1,1,2,2,3,3,4−ヘプ
タフルオロシクロペンタンを10%含む混合物であっ
た。
【0036】そして、容量1LのSUS316製オート
クレーブに粉末の5重量%パラジウム担持活性炭触媒2
5gを仕込み、減圧脱気した。このオートクレーブにn
−トリデカンを25g、上記のフッ素化混合物を820
g注入した。反応混合物を50℃にて30分間攪拌した
後、水素をゲージ圧0〜10kgf/cm2 の範囲でブ
ロックチャージを繰り返して反応させた。水素の吸収が
止まったところで、反応を停止した。反応液からフィル
ターにて触媒を取り除き、ろ液を炭酸ナトリウム、飽和
重曹水で中和し、さらに水洗してモレキュラーシーブス
にて乾燥させた。得られた有機物をガスクロマトグラフ
ィーにて分析した結果、1,1,2,2,3,3,4−
ヘプタフルオロシクロペンタンと1,1,2,2,3,
3−ヘキサフルオロシクロペンタンを94:6の割合
(GC面積比)で含む混合物であった。この混合物を容
量1Lの蒸留釜に入れ、蒸留塔(理論段数55段)にて
蒸留したところ、目的化合物である1,1,2,2,
3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンが424g
(純度、98%)が得られた。
【0037】
【発明の効果】本発明の方法によれば、−CHF−CH
F−結合をもつフッ素化飽和炭化水素と−CH2 −CH
F−結合をもつフッ素化飽和炭化水素との両者を含む混
合フッ素化飽和炭化水素の脱フッ化水素処理およびそれ
に続く蒸留分離によって−CH2 −CHF−結合をもつ
高純度のフッ素化飽和炭化水素を高度な選択性をもって
効率よく製造することができる。または、上記の脱フッ
化水素処理に続き、蒸留分離を行うことなく、反応生成
混合物をそのまま水素化に供することにより−CH2
CHF−結合をもつフッ素化飽和炭化水素を非常に効率
よく得ることができる。
【0038】(1)本発明の高純度フッ素化飽和炭化水
素の製造方法、すなわち、−CHF−CHF−結合を有
するフッ素化飽和炭化水素および、−CH2 −CHF−
結合を有するフッ素化飽和炭化水素の両者を含む混合フ
ッ素化飽和炭化水素を原料として用い、該原料中の−C
HF−CHF−結合を有するフッ素化飽和炭化水素を選
択的に脱フッ化水素する第一工程、およびそれに引き続
き、生成した−CH=CF−結合を有するフッ素化不飽
和炭化水素を蒸留により除去する第二工程を含んでなる
ことを特徴とする、−CH2 −CHF−結合を有する高
純度フッ素化飽和炭化水素の製造方法;ならびに(2)
本発明の−CH2 −CHF−結合を有するフッ素化飽和
炭化水素の製造方法、すなわち、−CHF−CHF−結
合を有するフッ素化飽和炭化水素および、このフッ素化
飽和炭化水素の−CHF−CHF−結合の代わりに−C
2 −CHF−結合を有し、その他の構造は同一のフッ
素化飽和炭化水素の両者を含む混合フッ素化飽和炭化水
素を原料として用い、該原料中の−CHF−CHF−結
合を有する−CHF−CHF−結合を有するフッ素化飽
和炭化水素を選択的に脱フッ化水素する第一工程、およ
びそれに引き続き、生成した−CH=CF−結合を有す
るフッ素化不飽和炭化水素から、反応せずに残存してい
る−CH2 −CHF−結合を有するフッ素化飽和炭化水
素を分離することなく、両者を含む混合フッ素化飽和炭
化水素の水素化処理を行う第二工程を含んでなることを
特徴とする、−CH2 −CHF−結合を有するフッ素化
飽和炭化水素の製造方法の好ましい実施態様をまとめる
と以下のとおりである。
【0039】(1)−CHF−CHF−結合を有するフ
ッ素化飽和炭化水素は、4〜6個の炭素、より好ましく
は5個の炭素を有し、また、好ましくは環状構造を有
し、最も好ましくは1,1,2,2,3,3,4,5−
オクタフルオロシクロペンタンである。 (2)−CH=CF−結合を有するフッ素化不飽和炭化
水素は、4〜6個の炭素、より好ましくは5個の炭素を
有し、また、好ましくは環状構造を有し、最も好ましく
は、1,3,3,4,4,5,5−ヘプタフルオロシク
ロペンテンである。
【0040】(3)−CH2 −CHF−結合を有するフ
ッ素化飽和炭化水素は、4〜6個の炭素、より好ましく
は5個の炭素を有し、また、好ましくは環状構造を有
し、最も好ましくは1,1,2,2,3,3,4−ヘプ
タフルオロシクロペンタンである。 (4)−CH2 −CHF−結合を有するフッ素化飽和炭
化水素の選択的脱フッ素化水素反応は、混合フッ素化飽
和炭化水素原料を相間移動触媒の存在下にアルカリ性化
合物で処理することによって行う。(5)前項(4)の
アルカリ性化合物は、アルカリ金属、アルカリ土類金属
および遷移金属の水酸化物;アルカリ土類金属の酸化
物;アルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属の
炭酸塩;アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸水
素塩;アルカリ金属およびアルカリ土類金属の脂肪酸
塩;アミン;ならびにアルキル金属化合物の中から選ば
れ、より好ましくはアルカリ金属炭酸塩およびアルカリ
金属炭酸水素塩の中から選ばれる。
【0041】(6)前項(4)の相間移動触媒は第4級
アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、クラウンエー
テル、ポリエーテルおよびアミノアルコールの中から選
ばれ、より好ましくは第4級アンモニウム塩および第4
級ホスホニウム塩の中から選ばれる。 (7)前項(4)または(6)の相間移動触媒の量は、
−CHF−CHF−結合を有するフッ素化飽和炭化水素
に基づき、0.001〜20重量%、より好ましくは
0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重
量%である。 (8)脱フッ化水素反応は、温度が常温〜150℃、よ
り好ましくは常温〜100℃、さらに好ましくは30〜
70℃、圧力が常圧〜10気圧、より好ましくは常圧か
ら5気圧、時間が10分〜10時間、より好ましくは3
0分から5時間行われる。 (9)水素化反応に使用する水素の量は、−CH=CF
−結合をもつフッ素化不飽和炭化水素1モルに対し、2
モル以上、より好ましくは2〜50モルである。 (1
0)水素化反応は、パラジウム、ロジウム、ルテニウ
ム、レニウムおよび白金の中から選ばれた貴金属または
その化合物の存在下に行う。 (11)前項(10)の貴金属またはその化合物は、担
体に0.05〜20重量%担持させて反応に供する。 (12)水素化反応は、常圧〜50kgf/cm2 、よ
り好ましくは常圧〜20kgf/cm2 の圧力下に常温
〜350℃、より好ましくは常温〜200℃の温度にて
行う。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 −CHF−CHF−結合を有するフッ素
    化飽和炭化水素および−CH2 −CHF−結合を有する
    フッ素化飽和炭化水素の両者を含む混合フッ素化飽和炭
    化水素を原料として用い、該原料中の−CHF−CHF
    −結合を有するフッ素化飽和炭化水素を選択的に脱フッ
    化水素する第一工程、およびそれに引き続き、生成した
    −CH=CF−結合を有するフッ素化不飽和炭化水素を
    蒸留により除去する第二工程を含んでなることを特徴と
    する、−CH2 −CHF−結合を有する高純度フッ素化
    飽和炭化水素の製造方法。
  2. 【請求項2】 −CHF−CHF−結合を有するフッ素
    化飽和炭化水素およびこのフッ素化飽和炭化水素の−C
    HF−CHF−結合の代わりに−CH2 −CHF−結合
    を有し、その他の構造は同一のフッ素化飽和炭化水素の
    両者を含む混合フッ素化飽和炭化水素を原料として用
    い、該原料中の−CHF−CHF−結合を有するフッ素
    化飽和炭化水素を選択的に脱フッ化水素する第一工程、
    およびそれに引き続き、生成した−CH=CF−結合を
    有するフッ素化不飽和炭化水素から、反応せずに残存し
    ている−CH2 −CHF−結合を有するフッ素化飽和炭
    化水素を分離することなく、両者を含む混合フッ素化飽
    和炭化水素の水素化処理を行う第二工程を含んでなるこ
    とを特徴とする、−CH2 −CHF−結合を有するフッ
    素化飽和炭化水素の製造方法。
  3. 【請求項3】 −CHF−CHF−結合を有するフッ素
    化飽和炭化水素が1,1,2,2,3,3,4,5−オ
    クタフルオロシクロペンタンであり、−CH2 −CHF
    −結合を有するフッ素化飽和炭化水素が1,1,2,
    2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタンである
    請求項2記載の製造方法。
JP10414598A 1998-03-31 1998-03-31 フッ素化飽和炭化水素の製造方法 Expired - Fee Related JP4186253B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10414598A JP4186253B2 (ja) 1998-03-31 1998-03-31 フッ素化飽和炭化水素の製造方法
PCT/JP1999/001468 WO1999050209A1 (fr) 1998-03-31 1999-03-24 Procede de production d'un hydrocarbure fluore sature

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10414598A JP4186253B2 (ja) 1998-03-31 1998-03-31 フッ素化飽和炭化水素の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11286462A true JPH11286462A (ja) 1999-10-19
JP4186253B2 JP4186253B2 (ja) 2008-11-26

Family

ID=14372931

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10414598A Expired - Fee Related JP4186253B2 (ja) 1998-03-31 1998-03-31 フッ素化飽和炭化水素の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP4186253B2 (ja)
WO (1) WO1999050209A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004505936A (ja) * 2000-08-10 2004-02-26 ソルヴェイ 精製されたヒドロフルオロアルカンの取得方法
WO2019106972A1 (ja) * 2017-11-30 2019-06-06 昭和電工株式会社 1,2,3,4-テトラクロロブタンの製造方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104619319A (zh) 2012-07-10 2015-05-13 加利福尼亚大学董事会 引起麻醉的方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0495037A (ja) * 1990-08-13 1992-03-27 Showa Denko Kk 1,1,1,2―エトラフルオロエタンの精製法
DE4115025A1 (de) * 1991-05-08 1992-11-12 Hoechst Ag Verfahren zur entfernung olefinischer verunreinigungen aus 1,1,1,2,3,3,3-heptafluorpropan
US5679875A (en) * 1992-06-05 1997-10-21 Daikin Industries, Ltd. Method for manufacturing 1,1,1,2,3-pentafluoropropene 1,1,1,2,3-pentafluoropropane
US5396000A (en) * 1993-05-24 1995-03-07 E. I. Du Pont De Nemours And Company Process for the manufacture of 1,1,1,2,3,-pentafluoropropane
JPH08169850A (ja) * 1994-12-16 1996-07-02 Daikin Ind Ltd 1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンの製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004505936A (ja) * 2000-08-10 2004-02-26 ソルヴェイ 精製されたヒドロフルオロアルカンの取得方法
WO2019106972A1 (ja) * 2017-11-30 2019-06-06 昭和電工株式会社 1,2,3,4-テトラクロロブタンの製造方法
US10995046B2 (en) 2017-11-30 2021-05-04 Showa Denko K.K. Process for producing 1,2,3,4-tetrachlorobutane

Also Published As

Publication number Publication date
JP4186253B2 (ja) 2008-11-26
WO1999050209A1 (fr) 1999-10-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7312367B2 (en) Method of making 1,1,3,3,3-pentafluoropropene
US5763706A (en) Process for the manufacture of 1,1,1,3,3-pentafluoropropane and 1,1,1,3,3,3-hexafluoropropane
JP2001503771A (ja) ハイドロクロロカーボン及びハイドロクロロフルオロカーボンの液相接触フッ素化
EP0494994A1 (en) METHOD FOR PURIFYING FLUOROCOLE HYDROGEN.
JP4120043B2 (ja) フッ素化不飽和炭化水素の製造方法
JPH06256234A (ja) ペンタフルオロエタンの精製
JP2001322956A (ja) 1,1,1,2,3,3−ヘキサクロロプロペンの製造方法
EP1043297B1 (en) Process for the preparation of compounds having -ch2-chf- groups
EP1034157A1 (en) Preparation of fluorine-containing organic compounds
EP1628943A2 (en) Method of making hydrofluorocarbons
MXPA04007855A (es) Procedimientos para la purificacion y produccion de fluorocarbonos.
JPH11286462A (ja) フッ素化飽和炭化水素の製造方法
FR3064628A1 (fr) Procede de production et de purification du 2,3,3,3-tetrafluoropropene
EP3615500B1 (fr) Procede de production et de purification du 2,3,3,3-tetrafluoropropene
JPH0812603A (ja) 弗素化アルケン誘導体及び弗素化アルカン誘導体の製造方法
JP4331273B2 (ja) 飽和ヒドロフルオロカーボンの精製方法
JP3794859B2 (ja) パーハロゲン化シクロペンタンの製造方法
JP2708845B2 (ja) ジフルオロメチレン基を有するプロパンの製造法
KR100570802B1 (ko) 플루오로에탄의 제조 방법 및 제조된 플루오로에탄의 용도
KR20020019589A (ko) 헥사플루오로에탄 제조방법 및 그것의 용도
US5824826A (en) Process for the preparation of 1,1,2,3,3,4-hexafluorobutane
JP2773390B2 (ja) ペンタフルオロエタンの製法
US20040242943A1 (en) Process for the production of fluoroethane and use of the produced fluoroethane
JP4458784B2 (ja) ペンタフルオロエタンの製造方法およびその用途
JPH08198783A (ja) 1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040409

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080520

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080722

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080819

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080901

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110919

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110919

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120919

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130919

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees