JPH11284462A - オーディオ信号処理装置および処理方法 - Google Patents

オーディオ信号処理装置および処理方法

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JPH11284462A
JPH11284462A JP10087148A JP8714898A JPH11284462A JP H11284462 A JPH11284462 A JP H11284462A JP 10087148 A JP10087148 A JP 10087148A JP 8714898 A JP8714898 A JP 8714898A JP H11284462 A JPH11284462 A JP H11284462A
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JP
Japan
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signal
level
frequency
audio signal
random noise
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JP10087148A
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English (en)
Inventor
Nobuyuki Yasuda
安田  信行
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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  • Tone Control, Compression And Expansion, Limiting Amplitude (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 伝送再生可能な最高周波数が制限されている
信号の音質を向上する。 【解決手段】 ハイパスフィルタ15が入力オーディオ
信号の高域信号Siを抽出する。高域信号Siを微分し
た信号Sjの絶対値信号Slがレベル検出器17bで検
出される。信号Slのレベル増加に瞬時に応答し、その
レベル低下に徐々に低下する信号Sdが形成される。こ
の信号Sdによって、高域ランダムノイズのレベルが制
御される。信号Siの絶対値がレベル制御された信号S
mと信号Sdとの比率が除算器19により検出される。
この比率によって、可変フィルタの特性が制御される。
高域ランダムノイズの周波数特性が可変フィルタにより
制御され、そのレベルが信号Sdにより制御され、その
結果、高域信号Siに対応するレベルと周波数特性の帯
域外高域ランダムノイズが生成される。このランダムノ
イズが入力オーディオ信号に付加される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、オーディオ信号
の再生品質を向上するようにしたオーディオ信号処理装
置および処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のディジタルオーディオ信号再生
(伝送)装置では、サンプリング周波数の半分以上の周
波数成分を再生することができない。例えばCD(コン
パクトディスク)プレーヤでは、サンプリング周波数が
44.1kHzとされ、20kHz以上の高域成分が除去さ
れてからディジタル信号に変換されたディジタルオーデ
ィオ信号がCD上に記録されていた。その結果、CD等
の再生し音を聴いた時に、音質上、特有の閉塞感があ
り、アナログオーディオ再生装置で和えられた雰囲気が
損なわれる問題点が指摘されている。
【0003】このような問題点を解決するために、特開
平2−68773号公報、特開平9−36685号公報
等に記載されているように、D/A変換されたアナログ
オーディオ信号に対して、A/D変換器の前段に挿入さ
れるローパスフィルタのカットオフ周波数を越える周波
数の高域信号(ランダムノイズ)を重畳することが提案
されている。特開平9−36685号公報では、D/A
変換されたオーディオ信号(原信号)の高域成分をフィ
ルタによって分離し、分離した高域成分を人為的に極端
に歪ませることで、高調波成分を生成し、高調波成分の
伝送帯域外の成分をフィルタで分離することで帯域外高
調波成分を形成し、帯域外高調波成分によってレベルコ
ントロールされたノイズ成分を原信号に重畳することが
示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した特開平9−3
6685号公報に記載の方法は、原信号の高域成分を歪
ませて作成した高調波の周波数分布が高域になるほど低
下し、原信号のレベルに比例して歪みの量が増減するこ
とを利用して、ノイズ成分を形成するものであった。し
かしながら、両波検波のような極端な処理によって生成
される歪み信号は、サンプリング以前の原信号の倍音成
分とは全く異なり、特有の周波数分布やレベル変動を伴
うので、処理の結果、かえって音質が劣化する問題点が
あった。
【0005】従って、この発明の目的は、このような問
題点を生じることなく、伝送、再生可能な最高周波数が
制限されている信号の音質を改善することが可能なオー
ディオ信号処理装置および方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述した課題を達成する
ために、請求項1の発明は、原オーディオ信号に比して
最高周波数が制限された入力オーディオ信号が供給され
るオーディオ信号処理装置において、入力オーディオ信
号の帯域内の高域信号を抽出する分離手段と、分離され
た高域信号を微分した信号のレベルを検出するレベル検
出手段と、入力オーディオ信号の帯域外の高域ランダム
ノイズを発生するノイズ発生手段と、レベル検出手段に
より検出された微分した信号のレベルに比例するよう
に、高域ランダムノイズのレベルを制御するレベル制御
手段と、レベル制御手段からのランダムノイズを入力オ
ーディオ信号に対して混合する手段とからなることを特
徴とするオーディオ信号処理装置である。
【0007】また、請求項5の発明は、原オーディオ信
号に比して最高周波数が制限された入力オーディオ信号
が供給されるオーディオ信号処理方法において、入力オ
ーディオ信号の帯域内の高域信号を抽出するステップ
と、分離された高域信号を微分した信号のレベルを検出
するステップと、入力オーディオ信号の帯域外の高域ラ
ンダムノイズを発生するステップと、検出された微分し
た信号のレベルに比例するように、高域ランダムノイズ
のレベルを制御するステップと、レベルが制御されたラ
ンダムノイズを入力オーディオ信号に対して混合するス
テップとからなることを特徴とするオーディオ信号処理
方法である。
【0008】また、この発明では、好ましくは、さら
に、入力オーディオ信号の高域信号の周波数レベル分布
を検出し、高域ランダムノイズの周波数レベル分布を検
出された周波数レベル分布に比例するものとする。
【0009】入力オーディオ信号の高域成分を微分した
信号を形成する。微分した信号のレベルを検出し、検出
されたレベルと比例するように高域ランダムノイズのレ
ベルを制御する。それによって、入力オーディオ信号に
対して付加する帯域外高域ランダムノイズを生成する。
微分することによって、高域の周波数にスペクトラム重
心を与えることができ、高域ランダムノイズのレベルを
この周波数で設定できるために、可聴限界周波数以上の
ランダムノイズのレベル制御が可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施形態につ
いて図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実
施形態の全体構成を示す。Saで示す入力オーディオ信
号は、例えばディジタルオーディオ信号である。ディジ
タルオーディオ信号の記録伝送システムでは、いわゆる
可聴周波数帯域の20Hz〜20kHzの信号再生を実現す
るために、サンプリング周波数Fsが44.1kHz、4
8kHz等に選ばれることが多い。しかしながら、可聴周
波数帯域以上の成分の不足によって、可聴周波数帯域の
広がり感や自然な響きが損なわれる問題がある。この問
題を解決するために、この発明は、可聴周波数以上の成
分を除去してディジタル化した信号を再生する時に、入
力オーディオ信号の高域信号のレベルと比例したレベル
を持つ可聴周波数以上の帯域外ランダムノイズを生成
し、この帯域外ランダムノイズを入力オーディオ信号に
対して付加することによって、広がり感や自然な響きを
実現しようとするものである。また、この発明は、ハイ
ファイディジタルオーディオの記録伝送システムに限ら
ず、低いサンプリング周波数のシステムにも適用でき
る。
【0011】例えば2を補数とするコードの形態のディ
ジタルの入力オーディオ信号Saは、図1に示すよう
に、混合器1および制御信号発生回路2に供給される。
混合器2からは、制御回路3からの帯域外高域ランダム
ノイズShが供給され、入力オーディオ信号Saに対し
て帯域外高域ランダムノイズShが付加され、混合器2
から出力オーディオ信号Sbが取り出される。帯域外高
域ランダムノイズShは、必要に応じて信号Sbと共に
出力される。制御信号発生回路2は、ノイズレベル制御
用の制御信号Sdと、周波数レベル分布制御用の制御信
号Seを生成し、これらの制御信号Sd、Seを制御回
路3に供給する。制御回路3は、ランダムノイズ発生器
4からのランダムノイズScに対して、制御信号Sdに
従ってレベル制御を施し、また、制御信号Seに従っ
て、周波数レベル分布の制御を施す。制御回路3から生
成された帯域外高域ランダムノイズShが得られる。
【0012】図2は、ランダムノイズ発生器4の一例の
構成である。2系統のM系列発生器5および6の出力
(ともにM系列)を加算器7によって加算し、加算器7
の出力をハイパスフィルタ8に供給する。ハイパスフィ
ルタ8の出力に帯域外高域ランダムノイズScが得られ
る。M系列発生器5、6のそれぞれの発生するM系列
は、異なるものとされている。一つのM系列でもランダ
ムノイズであるが、二つのM系列を加算することによっ
て、特有の音色をより減少させることができる。ハイパ
スフィルタ8は、可聴周波数帯域成分(例えば20kHz
以下の成分)を除去する。ハイパスフィルタ8によっ
て、ノイズ特性や音質の劣化を防止している。なお、一
つのM系列発生器のみを使用しても良く、また、ハイパ
スフィルタを各M系列発生器5、6に対して接続しても
良い。
【0013】図3は、制御回路3の一例の構成である。
制御回路3に対しては、ランダムノイズ発生器4からの
伝送帯域外高域ランダムノイズScと、制御信号発生回
路2からレベル制御用の制御信号Sdおよびフィルタ特
性制御用の制御信号Seとが供給される。ランダムノイ
ズScが可変フィルタ11に供給される。可変フィルタ
11は、係数可変のディジタルローパスフィルタであ
る。制御信号Seは、デコーダ10に供給される。デコ
ーダ10は、可変フィルタ11に対するフィルタ係数S
fを出力する。可変フィルタ11の出力信号Sgが乗算
器12に供給される。乗算器12において、制御信号S
dによって、可変フィルタ11の出力信号Sgのレベル
が制御される。乗算器12の出力には、レベルおよび周
波数レベル分布が制御された帯域外高域ランダムノイズ
Shが取り出される。なお、可変フィルタ11と乗算器
12の接続順序は、逆であっても良い。
【0014】可変フィルタ11は、例えば図4に示すよ
うなIIR型ローパスフィルタの構成とされる。図4に
おいて、A1、A2が加算器、R1、R2が1クロック
遅延素子のレジスタ、M1、M2がフィルタ係数を乗算
する乗算器である。また、図5に示すようなFIR型の
構成も可能である。図5において、R11、R12、R
13、R14が1クロック遅延素子のレジスタ、M1
1、M12、M13、M14、M15がフィルタ係数S
fを乗算する乗算器、A11が加算器である。
【0015】図6は、制御信号発生回路2の一例の構成
である。入力オーディオ信号Saがハイパスフィルタ1
5に供給される。ハイパスフィルタ15は、入力オーデ
ィオ信号Saの高域信号例えば3kHz以上の信号を抽出
する。ハイパスフィルタ15の出力信号Siが微分回路
16およびレベル検出器17aに供給される。微分回路
16の出力信号Sjがレベル検出器17bに供給され
る。レベル検出器17aおよび17bのそれぞれの出力
信号SkおよびSlががレベル制御回路18aおよび1
8bに供給される。レベル制御回路18aおよび18b
のそれぞれの出力信号SmおよびSdが除算器19に供
給される。除算器19から周波数レベル分布制御用の制
御信号Seが取り出され、この制御信号Seおよびレベ
ル制御回路18bからのレベル制御用の制御信号Sdが
制御回路3に供給される。
【0016】前述したように、周波数レベル分布制御用
の制御信号Seが制御回路3のデコーダ10に供給さ
れ、制御信号Seに応じたフィルタ係数Sfが生成され
る。レベル制御用の制御信号Sdが制御回路3の乗算器
12に供給され、可変フィルタ11を介した帯域外高域
ランダムノイズSgのレベルが制御される。
【0017】微分回路16は、ディジタル微分回路の構
成とされ、図7にその一例を示す。2を補数とするコー
ドの形態の入力信号が加算器23の一方の入力端子に供
給されると共に、遅延用のレジスタ21およびインバー
タ22を介して加算器23の他方の入力端子に供給され
る。レジスタ21は、Dフリップフロップで構成され、
図示しないクロック入力の1クロック分の遅延を入力デ
ータに与える。インバータ22は、"0" と"1" とを反転
させる。加算器23では、LSBとして"1" を加算す
る。従って、加算器23の出力信号は、入力信号から入
力信号をレジスタ21で遅延させた信号を減算したも
の、すなわち、微分出力Sjとなる。また、この微分回
路16は、+6db/octのハイパスフィルタの特性を有す
る。
【0018】レベル検出器17aおよび17bは、絶対
値レベルを検出する回路である。図8は、レベル検出器
17a、17bの一例の構成を示す。2を補数とするコ
ードの形態の入力信号が分離回路25に供給される。分
離回路25は、MSB(これは±の極性を示す極性ビッ
ト)と第2ビット以下のビットとを分離する。分離回路
25からのMSBが極性検出回路26に供給され、極性
検出信号Snが生成される。第2ビット以下のビット
(レベルビット)が絶対値生成回路27に供給される。
【0019】絶対値生成回路27において、極性検出信
号Snが"0" (すなわち、+極性の場合)には、第2ビ
ット以下をそのまま出力し、極性検出信号Snが"1"
(すなわち、−極性の場合)には、第2ビット以下の"
0" と"1" を反転して出力する。この反転と共に、LS
Bに"1" を加えれば、より正確に絶対値を生成できる。
絶対値生成回路27から絶対値に変換された出力信号S
k(レベル検出器17a)または出力信号Sl(レベル
検出器17b)が得られる。
【0020】レベル制御回路18aまたは18bの一例
の構成を図9に示す。上述したレベル検出器17aまた
は17bからの絶対値レベルデータSkまたはSlが入
力セレクタ31にその一方の入力として供給される。入
力セレクタ31により選択されたデータがデータレジス
タ33に供給される。データレジスタ33には、データ
更新クロックCK1が供給され、クロックCK1に同期
してデータが更新される。データレジスタ33の出力デ
ータがレベル低減演算回路34に供給される。レベル低
減演算回路34に対しては、レベル低減演算クロックC
K2が供給され、クロックCK2に同期して演算が行わ
れる。レベル低減演算回路34から出力信号Sdまたは
Smが得られる。この出力信号SdまたはSmが入力セ
レクタ31にその他方の入力として戻される。また、出
力信号SdまたはSmがレベル比較器32に供給され
る。
【0021】レベル低減演算回路34の一例を図10に
示す。データレジスタ33の出力が乗算器35に供給さ
れ、乗算器35においてレベル低減係数(<1)が乗じ
られる。この乗算器35の乗算動作は、演算クロックC
K2と同期してなされる。従って、入力セレクタ31が
出力信号SdまたはSmを選択するループが形成されて
いる時には、レベル低減係数とクロックCk2とで定ま
る所定の傾きでもって、次第に低下するレベルの出力信
号SdまたはSmが得られる。
【0022】レベル制御回路18aまたは18bは、入
力信号のレベル増加に対しては、瞬時に応答し、入力セ
レクタ31が入力信号を選択し、新たな入力信号によっ
て、データレジスタ33の内容が更新され、そうでない
時には、レベルが次第に減少する出力信号(入力信号の
エンベロープ)を発生するものである。図11は、レベ
ル制御回路18a、18bの動作を示す。図11では、
理解を容易とするために、入力信号SkまたはSl(破
線で示す)に対して出力信号SdまたはSmのレベルを
縦軸の2目盛り上に表している。また、図11の横軸
は、クロックCK1およびCK2で規定される時間軸で
ある。
【0023】入力信号のレベルが出力信号に比して大き
い時には、レベル比較回路32がこの増加を検出し、入
力セレクタ31が入力信号を選択するように制御する。
選択された入力データがデータレジスタ33に取り込ま
れる。一方、出力信号のレベルより入力信号のレベルが
小さい時には、入力セレクタ31が出力信号を選択し、
出力信号がデータレジスタ33に取り込まれる。データ
レジスタ33の出力がレベル低減回路34によって、時
間的に次第に減少するものとされる。
【0024】従って、図11に示すように、レベル制御
回路18aまたは18bは、入力信号SkまたはSlの
レベルが増加する時には、瞬時に更新された出力信号S
dまたはSmを発生し、入力信号SkまたはSlのレベ
ルが減少する時には、減衰係数およびクロックで規定さ
れる、特定の時間的減少特性でもってレベルが減少する
出力信号(エンベロープ)SdまたはSmを発生する。
【0025】上述したこの発明の一実施形態は、入力オ
ーディオ信号Saから帯域外高域ランダムノイズShを
生成する。この生成動作について以下に説明する。図1
2に示すように、入力オーディオ信号Saは、原オーデ
ィオ信号の例えば20kHzを越える高域成分Sa´(破
線で示す)が除去されてディジタル信号に変換されたも
のである。この発明の一実施形態では、制御信号発生回
路2(図6参照)のハイパスフィルタ15によって、入
力オーディオ信号Saの3kHz以上の高域成分に基づい
て信号Shを生成する。
【0026】一般的に、楽器の基本振動周波数は、ほぼ
3kHz以下であり、最高可聴周波数限界と言われている
20kHz以上では、7次高調波以上の極めて高次の成分
が存在する。このような高次の音響成分は、基音との調
和関係が薄れて高音のエネルギーとして作用している。
また、音楽に限らず、自然界で20kHzを越えるような
周波数の音響成分は、物や空気の摩擦音や破裂音や上述
した楽器の高次高調波音から成り立つことが分かってい
る。一方、人の聴覚の研究から1kHz以下の周波数の音
に関しては位相の判別能力がかなり高いが、それ以上で
は、徐々に周波数とレベルの判別に移行してゆき、18
kHz以上では、感度そのものも急激に低下している。こ
のような特性の中で起きの周波数を検知判別するメカニ
ズムとして、音響バンドパスフィルタ機能を持つ聴覚神
経の構造が考えられ、研究の結果、各フィルタ神経の持
つ周波数帯域が分かっている。この周波数帯域は、クリ
ティカルバンドと呼ばれ、2kHz以上では、約1/4オ
クターブとなっている。
【0027】以上の点から、最高可聴周波数限界以上の
周波数では、原音の持つスペクトラムとレベルの時間変
化が1/4オクターブ程度の分解能で再現されれば、波
形再現を行ったことと同等の効果が得られることが音響
生理学的に説明される。また、自然な音響環境では、最
高可聴周波数限界以上のスペクトラムは、可聴周波数
(伝送周波数)スペクトラムと相関を以てその延長線上
に存在することが殆どであるため、可聴周波数(伝送周
波数)の高域を複数の帯域に分け、帯域間のレベル分布
を計測し、この情報によって最高可聴周波数限界以上の
周波数のランダムノイズのスペクトラムを可変特性フィ
ルタで制御すると同時に、帯域の最高域のレベル情報で
乗算器を制御することによって、擬似的に可聴周波数
(伝送周波数)以上の周波数成分の再現と同様な聴覚作
用を実現することが可能である。
【0028】すなわち、この発明の一実施形態では、図
13に示すように、ハイパスフィルタ15によって抽出
された、入力オーディオ信号Sa中の3kHz以上の高域
成分Siを参照して、帯域外高域ランダムノイズShを
生成するものである。この一実施形態では、高域成分S
iを微分回路16を通すことによって、高域の信号レベ
ルを支配的とし、高域の周波数にスペクトラムの重心を
与える。図14において、破線の傾斜線41は、微分回
路16の周波数特性である。入力オーディオ信号Saの
高域成分Siが微分回路16を通ることによって、図1
4に示すように、高域の信号レベルが支配的な信号Sj
が得られる。
【0029】微分回路16の出力信号Sjが上述したよ
うに、レベル制御回路18bによって時間的にレベルが
制御され、レベル増加に対しては瞬時に対応し、レベル
低下に対しては一定の割合で時間的に減少するエンベロ
ープの制御信号Sdとされる。制御信号Sdによって、
制御回路3(図3参照)により可変フィルタ11の出力
信号Sgのレベルが制御される。
【0030】また、高域信号Siをレベル制御回路18
aにより処理した信号Smと微分回路16の出力信号S
jをレベル制御回路18bにより処理した信号Sdとの
比率を除算器19により算出する。それによって、可聴
周波数の高域スペクトラム情報の制御信号Seを生成し
ている。これは、高域に比重を持った信号Sjのレベル
値と、周波数に均一なレベル値を比較演算することによ
って、両者の比率を求める。
【0031】このように求めた制御信号Seから可変フ
ィルタ11に対するフィルタ係数がデコーダ10によっ
て生成される。可変フィルタ11は、高域の減衰特性が
可変できるディジタルフィルタである。制御信号Seに
基づいて形成されたフィルタ係数が可変フィルタ11に
対して与えられることによって、可聴周波数帯域内の高
域成分である参照スペクトラムの傾きに連続した傾きを
持つような帯域外高域ランダムノイズを形成することが
できる。以上のようにして、乗算器12によってレベル
制御がなされ、図13に示すように、参照スペクトラム
とレベルおよび周波数特性に関しての相関を有する帯域
外高域ランダムノイズShを生成することができる。
【0032】上述したこの発明の一実施形態は、可聴周
波数を記録または伝送する入力オーディオ信号を対象と
しているが、低いサンプリング周波数のディジタルオー
ディオ信号のように、可聴周波数の高域を伝送できない
周波数に対しても、この発明を適用して最高伝送周波数
限界以上の信号を生成し、この信号をオーディオ信号に
対して付加することによって、音質や明瞭度を改善する
ことができる。
【0033】また、この発明の一実施形態においては、
一般的な周波数フィルタによってスペクトラムを分析
し、非伝送帯域のスペクトラムを予測して疑似信号(帯
域外高域ランダムノイズ)を生成している。しかしなが
ら、直交変換例えばDCTによって音楽信号のスペクト
ラムを分析し、非伝送帯域のスペクトラムを予測して疑
似信号を生成することも可能である。例えばDCT変換
による符号化を行っているMD(ミニディスク)のAT
RAC変調信号などの情報から音楽信号のスペクトラム
を分析することにより、疑似信号を直接的に生成するこ
とも可能である。より具体的には、DCT係数から入力
信号のスペクトラムの分布情報を得、この分布情報に基
づいてランダムノイズに対するフィルタの特性を決定し
する。また、予測したスペクトラムを逆変換することに
より期待する疑似信号を生成することも可能である。よ
りさらに、スピーカ等の再生機器の周波数特性を考慮し
て、帯域外高域ランダムノイズのレベル、周波数レベル
分布を制御するようにしても良い。
【0034】
【発明の効果】この発明は、入力オーディオ信号の高域
成分と周波数特性およびレベルの点で相関を持つ帯域外
高域ランダムノイズを生成し、帯域外高域ランダムノイ
ズを入力オーディオ信号に対して付加することができ
る。帯域外高域ランダムノイズを付加することによっ
て、可聴周波数音域の広がり感や自然な響きが損なわれ
ることを防止することができる。特に、この発明は、入
力オーディオ信号の倍音成分と関連する帯域外ランダム
ノイズを生成できるので、付加した結果、音質が阻害さ
れることを防止することができる。
【0035】また、入力オーディオ信号の高域成分のレ
ベル増加に応答して更新処理を行い、レベル減少に応答
して特定の時間減少特性を持たせることによって、エン
ベロープ信号を形成し、このエンベロープ信号によって
ランダムノイズのレベルを制御するようにしている。一
般的に聴覚生理学から、パルス的な信号の前後の時間
は、ダイナミックなマスキング作用を伴うことが分かっ
ている。このようなマスキング作用は、可聴帯域外信号
付加の効果を低減させるおそれがある。この発明では、
上述したようなレベル制御をおこなっているので、かか
る効果低減を防ぐことができると共に、最適な聴覚効果
を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態の全体構成を示すブロッ
ク図である。
【図2】この発明の一実施形態中のランダムノイズ発生
回路の一例のブロック図である。
【図3】この発明の一実施形態中の制御回路の一例のブ
ロック図である。
【図4】この発明の一実施形態に使用できる可変フィル
タの一例のブロック図である。
【図5】この発明の一実施形態に使用できる可変フィル
タの他の例のブロック図である。
【図6】この発明の一実施形態中の制御信号発生回路の
一例のブロック図である。
【図7】この発明の一実施形態中の微分回路の一例のブ
ロック図である。
【図8】この発明の一実施形態中のレベル検出器の一例
のブロック図である。
【図9】この発明の一実施形態中のレベル制御回路の一
例のブロック図である。
【図10】レベル制御回路中のレベル低減回路の一例の
ブロック図である。
【図11】レベル制御回路中のレベル低減回路の動作を
説明するための略線図である。
【図12】この発明の一実施形態の信号処理を説明する
ための周波数スペクトラム図である。
【図13】この発明の一実施形態の信号処理を説明する
ための周波数スペクトラム図である。
【図14】この発明の一実施形態の信号処理を説明する
ための周波数スペクトラム図である。
【符号の説明】
1・・・混合器、2・・・制御信号発生回路、3・・・
制御回路、4・・・ランダムノイズ発生器、15・・・
ハイパスフィルタ、16・・・微分回路、17a,17
b・・・レベル検出器

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原オーディオ信号に比して最高周波数が
    制限された入力オーディオ信号が供給されるオーディオ
    信号処理装置において、 入力オーディオ信号の帯域内の高域信号を抽出する分離
    手段と、 分離された上記高域信号を微分した信号のレベルを検出
    するレベル検出手段と、 上記入力オーディオ信号の帯域外の高域ランダムノイズ
    を発生するノイズ発生手段と、 上記レベル検出手段により検出された上記微分した信号
    のレベルに比例するように、上記高域ランダムノイズの
    レベルを制御するレベル制御手段と、 上記レベル制御手段からのランダムノイズを上記入力オ
    ーディオ信号に対して混合する手段とからなることを特
    徴とするオーディオ信号処理装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 さらに、入力オーディオ信号の高域信号の周波数レベル
    分布を検出する周波数レベル分布検出手段を有し、 高域ランダムノイズの周波数レベル分布を上記検出され
    た周波数レベル分布に比例するものとすることを特徴と
    するオーディオ信号処理装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 上記周波数レベル分布検出手段は、 分離された上記高域信号のレベルと、上記微分した信号
    のレベルとの比率を検出するものであることを特徴とす
    るオーディオ信号処理装置。
  4. 【請求項4】 請求項1において、 上記レベル検出手段は、入力信号のレベル増加に対して
    瞬時に応答し、入力信号のレベル減少に対して特定の時
    間的減少特性でもって応答するレベル制御機能を有する
    ことを特徴とするオーディオ信号処理装置。
  5. 【請求項5】 原オーディオ信号に比して最高周波数が
    制限された入力オーディオ信号が供給されるオーディオ
    信号処理方法において、 入力オーディオ信号の帯域内の高域信号を抽出するステ
    ップと、 分離された上記高域信号を微分した信号のレベルを検出
    するステップと、 上記入力オーディオ信号の帯域外の高域ランダムノイズ
    を発生するステップと、 上記検出された上記微分した信号のレベルに比例するよ
    うに、上記高域ランダムノイズのレベルを制御するステ
    ップと、 上記レベルが制御されたランダムノイズを上記入力オー
    ディオ信号に対して混合するステップとからなることを
    特徴とするオーディオ信号処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010193206A (ja) * 2009-02-18 2010-09-02 Canon Inc 音場補正方法及び音場補正装置

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