JPH11284402A - 積層型誘電体フィルタ - Google Patents

積層型誘電体フィルタ

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JPH11284402A
JPH11284402A JP8166598A JP8166598A JPH11284402A JP H11284402 A JPH11284402 A JP H11284402A JP 8166598 A JP8166598 A JP 8166598A JP 8166598 A JP8166598 A JP 8166598A JP H11284402 A JPH11284402 A JP H11284402A
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capacitance
filter
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Kazuyuki Mizuno
和幸 水野
Yasuhiko Mizutani
靖彦 水谷
Takami Hirai
隆己 平井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】同一の通過帯域特性の積層型誘電体フィルタに
おいて、共振素子間の誘導結合を変化させることなく、
減衰ピークの位置を調整できるようにして、目的の特性
を簡単に得るようにする。 【解決手段】外周面に入力端子、出力端子及びアース電
極が形成された積層体12と、該積層体12内に設けら
れた2本の共振素子14a及び14bと、入力側の共振
素子14aと出力側の共振素子14bとの間に設けら
れ、これら共振素子14a及び14bに対して容量結合
された結合調整電極70と、入力端子と結合調整電極7
0間に容量を形成するための入力側調整電極66と、出
力端子と結合調整電極70間に容量を形成するための出
力側調整電極68とを設けて構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層型誘電体フィ
ルタに関し、特に、携帯用電話機等の高周波回路無線機
器に利用する高周波回路フィルタや、アンテナデュプレ
クサ等に使用される積層型誘電体フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、積層型誘電体フィルタの構成と
しては、外周面に入力端子、出力端子及びアース電極が
形成された誘電体層内に一端部がアース電極に接続され
る1/4波長型ストリップライン共振器からなる複数の
共振素子が所定間隔で形成された積層型誘電体フィルタ
が知られている(例えば特開平6−120703号公
報、特開平6−120704号公報参照)。
【0003】これらの積層型誘電体フィルタにおいて
は、前記誘電体層内において前記共振素子の開放端側と
対向する内層アース電極を設けるようにしているため、
積層型誘電体フィルタ全体の長さを短くすることができ
る。
【0004】特に、誘電体層内に、前記複数の共振素子
に対して容量結合された結合調整電極を設けるようにし
た場合においては、積層型誘電体フィルタを小型化して
もフィルタの特性が広帯域化しすぎることがない積層型
誘電体フィルタを得ることができる。また、共振素子と
結合調整電極間の静電容量値を調整することによって、
高周波側に減衰ピークをもったフィルタや低周波側に減
衰ピークをもったフィルタを選択的に得ることができ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の積層
型誘電体フィルタにおいては、同一の通過帯域特性の場
合、共振素子間の誘導結合を変化させることにより、減
衰ピークの位置を調整していた。
【0006】共振素子間の誘電結合を調整するために
は、共振素子間の距離を変化させることが効果的であ
り、よく用いられる手法である。この手法で共振素子間
の誘導結合を変化させた場合、それに見合うように結合
容量を調整する必要がある。
【0007】しかし、誘導結合が変化したために必要な
結合容量をとることができなくなったり、逆に結合調整
電極を、その製造精度を超えるほど小さくしなければな
らない場合が少なくない。
【0008】本発明は、このような課題を考慮してなさ
れたものであり、同一の通過帯域特性の積層型誘電体フ
ィルタにおいて、共振素子間の距離を変化させることな
く、換言すれば、共振素子間の誘導結合を変化させるこ
となく、減衰ピークの位置を調整することができ、目的
の特性を簡単に得ることができる積層型誘電体フィルタ
を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る積層型誘電
体フィルタは、外周面に入力端子、出力端子及びアース
電極が形成された誘電体層と、前記誘電体層内に設けら
れた複数の片側短絡型の共振素子と、前記誘電体層内で
あって、前記複数の共振素子のうち、入力側の共振素子
と別の共振素子との間に設けられ、これら共振素子に対
して容量結合された結合調整電極と、前記入力端子に接
続され、少なくとも該入力端子と前記結合調整電極間に
容量を形成するための調整電極とを設けて構成する。
【0010】これにより、前記結合調整電極と入力側の
共振素子との間、並びに前記結合調整電極と別の共振素
子との間にそれぞれ容量が形成される。等価回路的に
は、これら容量の合成容量が前記入力側の共振素子と前
記別の共振素子との間に形成される誘導結合と並列に接
続されたかたちになるため、前記容量によって前記誘導
結合度を調整することができ、所望の帯域幅を有するフ
ィルタを得ることができる。
【0011】前記容量の調整は、入力側の共振素子と結
合調整電極との重なり面積及びこれらの間の距離及び/
又はこれらの間の誘電体の比誘電率εr、並びに前記出
力側の共振素子と結合調整電極との重なり面積、これら
の間の距離及び/又はこれらの間の誘電体の比誘電率ε
rを変化させることによって容易に行うことができる。
【0012】また、前記結合調整容量による合成容量が
共振素子間の誘導結合と並列に接続されたかたちになる
ことから、隣接する共振素子間には並列共振回路が挿入
接続されたことになる。この容量とインダクタンスとか
らなる並列共振回路のインピーダンスは並列共振点の前
後で誘導性から容量性へと変化するため、隣接する共振
素子と結合調整容量間にそれぞれ形成される容量の値を
調整することにより、共振素子間の結合を誘導性にも容
量性にもすることができる。
【0013】いま、共振素子間の結合を誘導性にした場
合を考えると、通過帯域の高周波側に並列共振点が存在
するから、高周波側に減衰ピークをもったフィルタが得
られ、また、共振素子間の結合を容量性にすると、通過
帯域の低周波側に並列共振点が存在することになり、低
周波側に減衰ピークをもったフィルタが得られ、いずれ
の場合もフィルタの減衰特性を改善することができる。
【0014】そして、本発明においては、前記結合調整
電極に加えて、少なくとも前記入力端子と前記結合調整
電極間に容量を形成するための調整電極を設けるように
している。これにより、前記調整電極と結合調整電極と
の間に容量が形成され、等価回路的には、入力端子と結
合調整電極間に容量が形成されたかたちとなる。この容
量は、入力側の共振素子を飛び越して、入力側の共振素
子の前段と後段とを結合する飛び越し容量となるため、
この飛び越し容量を調整することによって前記減衰ピー
クの位置を更に細かに調整することができ、目的の周波
数特性を有するフィルタを容易に得ることができる。
【0015】即ち、同一の通過帯域特性の積層型誘電体
フィルタにおいて、共振素子間の距離を変化させること
なく、換言すれば、共振素子間の誘導結合を変化させる
ことなく、減衰ピークの位置を調整することができる。
この場合、共振素子間の誘導結合が変化しないため、結
合調整電極をほとんど変化させることなく、減衰ピーク
の位置を調整することができる。これは、所望の周波数
特性を有するフィルタを容易に作製することができるこ
とにつながり、積層型誘電体フィルタの製造工程の簡単
化、製造コストの低廉化を同時に実現させることができ
る。
【0016】そして、前記構成において、前記入力端子
に接続され、前記入力側の共振素子と容量結合される入
力用電極を前記誘電体層内に設けるようにしてもよい。
この場合、入力側の共振素子と入力用電極との距離を小
さくすることで、これらの間に形成される静電容量の容
量値を大きくすることができ、信号波形に現れるリップ
ルを小さくすることができる。
【0017】また、前記構成において、前記誘電体層内
であって、前記複数の共振素子のうち、出力側の共振素
子と別の共振素子との間に設けられ、これら共振素子に
対して容量結合された結合調整電極と、前記出力端子に
接続され、少なくとも前記出力用電極と前記結合調整電
極間に容量を形成するための電極とを設けるようにして
もよい。
【0018】この場合、上述の入力端子と結合調整電極
との間に調整電極を設けた本発明と同様に、前記調整電
極と結合調整電極との間に容量が形成され、等価回路的
には、出力端子と結合調整電極間に容量が形成されたか
たちとなる。この容量は、出力側の共振素子を飛び越し
て、出力側の共振素子の前段と後段とを結合する飛び越
し容量となるため、この飛び越し容量を調整することに
よって前記減衰ピークの位置を更に細かに調整すること
ができ、目的の周波数特性を有するフィルタを容易に得
ることができる。
【0019】また、前記構成において、前記出力端子に
接続され、前記出力側の共振素子と容量結合される出力
用電極を前記誘電体層内に設けるようにしてもよい。こ
の場合、出力側の共振素子と出力用電極との距離を小さ
くすることで、これらの間に形成される静電容量の容量
値を大きくすることができ、信号波形に現れるリップル
を小さくすることができる。
【0020】また、前記構成において、前記アース電極
と接続され、前記共振素子の開放端側と対向する内層ア
ース電極を前記誘電体層内に設けるようにしてもよい。
この場合、各共振素子の開放端側と内層アース電極との
間に形成される静電容量も共振素子を等価変換したとき
の並列共振回路の静電容量に付加されることになるた
め、共振周波数を同一とすれば、並列共振回路のインダ
クタンスは小さくて済むことになり、その結果、共振素
子の長さもより小さくなり、積層型誘電体フィルタ全体
の長さを短くすることができる。
【0021】この場合に、積層型誘電体フィルタを小型
化するために、内層アース電極と各共振素子との対向面
積を増加させていくと、共振素子同士がますます強く誘
導結合して、フィルタの特性を広帯域化させすぎるとい
う問題が生じるが、本発明においては、上述した結合調
整電極を設けるようにしているため、この結合調整電極
と共振素子間に形成される容量によって、共振素子間に
形成される誘導結合を抑制することができ、所望の帯域
幅を有するフィルタを得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る積層型誘電体
フィルタを例えばバンドパスフィルタに適用したいくつ
かの実施の形態例を図1〜図47を参照しながら説明す
る。
【0023】まず、第1の実施の形態に係るフィルタ1
0Aは、図1に示すように、複数枚の板状の誘電体層が
積層、焼成されて構成された積層体12内に、1/4波
長型ストリップライン共振器を構成する2本の共振素子
14a及び14bが形成された構成を有する。
【0024】具体的には、前記積層体12は、図1に示
すように、上から順に、第1の誘電体層16と、第2の
誘電体層18が複数枚重ねられて構成された誘電体層群
20と、第3〜第8の誘電体層22〜32と、第9の誘
電体層34が複数枚重ねられて構成された誘電体層群3
6と、第10の誘電体層38とが積み重ねられて構成さ
れている。
【0025】また、図2に示すように、前記積層体12
の外周面のうち、例えばその左側面に入力端子部40が
配され、右側面に出力端子部42が配され、これら入力
端子部40及び出力端子部42を除く全面にアース電極
44が形成されている。
【0026】入力端子部40は、積層体12の左側面の
中央部分において、積層体12の高さ方向に沿って形成
された短冊状の入力端子46と、該入力端子46とアー
ス電極44とを絶縁するための領域(電極膜が形成され
ていない領域であり、以下、単に入力側絶縁領域48と
記す)とで構成され、出力端子部42は、積層体12の
右側面の中央部分において、積層体12の高さ方向に沿
って形成された短冊状の出力端子50と、該出力端子5
0とアース電極44とを絶縁するための領域(この領域
も導電膜が形成されていない領域であり、以下、単に出
力側絶縁領域52と記す)とで構成されている。
【0027】図2の例では、前記入力側絶縁領域48と
出力側絶縁領域52を、積層体12の上面の一部並びに
下面の一部にも配した場合を示している。
【0028】そして、この第1の実施の形態に係るフィ
ルタ10Aにおいては、第6の誘電体層28の上面に2
枚の短冊状の共振素子14a及び14bがそれぞれ長手
方向を一方向に揃えられて形成されている。これら共振
素子14a及び14bは、一方が入力側の共振素子14
a、他方が出力側の共振素子14bとされ、更に、各一
端部がアース電極44(第6の誘電体層28の側面に形
成されたアース電極44)に接続されて、各他端部が開
放端とされている。
【0029】前記第6の誘電体層28の下層に位置する
第7の誘電体層30の一主面には、一端が入力端子46
(図2参照)に接続され、かつ、前記入力側の共振素子
14aと容量結合される入力用電極60と、一端が出力
端子50(図2参照)に接続され、かつ、前記出力側の
共振素子14bと容量結合される出力用電極62とが形
成されている。
【0030】入力用電極60は、入力側の共振素子14
aと平面的に重なる短冊状の入力用電極本体60aと、
該入力用電極本体60aと入力端子46とを電気的に接
続するための引き回し電極60bとが一体に形成されて
構成されている。出力用電極62も同様の構成を有し、
出力側の共振素子14bと平面的に重なる短冊状の出力
用電極本体62aと、該出力用電極本体62aと出力端
子50とを電気的に接続するための引き回し電極62b
とが一体に形成されて構成されている。
【0031】前記第7の誘電体層30の下層に位置する
第8の誘電体層32の一主面には、一端がアース電極4
4と接続され、かつ、前記入力側の共振素子14aの開
放端側と対向する第1の内層アース電極64aが形成さ
れ、一端がアース電極44と接続され、かつ、前記出力
側の共振素子14bの開放端側と対向する第2の内層ア
ース電極64bが形成されている。
【0032】前記2本の共振素子14a及び14bが形
成された前記第6の誘電体層28の上層に位置する第5
の誘電体層26の一主面には、この第1の実施の形態に
係るフィルタ10Aの特徴の一つである入力側調整電極
66と出力側調整電極68が形成されている。
【0033】この例では、図3に示すように、入力側調
整電極66は、一端が入力端子46に接続され、先端が
入力側の共振素子14aの幅方向中央部分に対応する位
置まで延在されて形成され、出力側調整電極68は、一
端が出力端子50に接続され、先端が出力側の共振素子
14bの幅方向中央部分に対応する位置まで延在させて
形成されている。
【0034】前記第5の誘電体層26の上層に位置する
第4の誘電体層24の一主面には、結合調整電極70が
形成されている。この結合調整電極70は、アース電極
44、入力端子46及び出力端子50に対して電位的に
フローティング状態とされ、入力側の共振素子14aに
対応する短冊状の第1の電極本体70aと出力側の共振
素子14bに対応する短冊状の第2の電極本体70bと
が、その間に形成されたリード電極70cによって電気
的に接続された形状を有する。
【0035】前記第4の誘電体層24の上層に位置する
第3の誘電体層22の一主面には、一端がアース電極4
4と接続され、かつ、前記入力側の共振素子14aの開
放端側と対向する第1の内層アース電極72aが形成さ
れ、一端がアース電極44と接続され、かつ、前記出力
側の共振素子14bの開放端側と対向する第2の内層ア
ース電極72bが形成されている。
【0036】第1の実施の形態に係るフィルタ10A
は、基本的には以上のように構成されるものであるが、
ここで、各電極の電気的な結合について図4〜図6を参
照しながら説明する。
【0037】まず、図4に示すように、入力側の共振素
子14aの開放端と各第1の内層アース電極64a及び
72aとの間、並びに出力側の共振素子14bの開放端
と各第2の内層アース電極64b及び72bとの間には
それぞれ静電容量C1 、C2、C3 及びC4 が形成され
ている。
【0038】前記入力側の共振素子14aと出力側の共
振素子14b同士は互いに誘導結合され、これにより、
等価回路上では、インダクタンスL(図15参照)が挿
入されたかたちとなる。
【0039】また、図5に示すように、前記入力側の共
振素子14aと入力側調整電極66との間、並びに前記
出力側の共振素子14bと出力側調整電極68との間に
はそれぞれ静電容量C5 及びC6 が形成されている。
【0040】前記入力側の共振素子14aと入力用電極
60との間、並びに出力側の共振素子14bと出力用電
極62との間にはそれぞれ静電容量C7 及びC8 が形成
され、前記入力側の共振素子14aと結合調整電極70
との間、並びに出力側の共振素子14bと結合調整電極
70との間にはそれぞれ静電容量C9 及びC10が形成さ
れている。
【0041】更に、前記入力側調整電極66と結合調整
電極70との間、並びに前記出力側調整電極68と結合
調整電極70との間にはそれぞれ静電容量C11及びC12
が形成されている。
【0042】従って、第1の実施の形態に係るフィルタ
10Aの等価回路は、図6に示すようになり、バンドパ
スフィルタを構成することとなる。
【0043】なお、図6において、静電容量C300 は、
入力側の共振素子14aと入力用電極60間の静電容量
7 と、入力側の共振素子14aと入力側調整電極66
間の静電容量C5 との合成容量を示し、静電容量C301
は、出力側の共振素子14bと出力用電極62間の静電
容量C8 と、出力側の共振素子14bと出力側調整電極
68間の静電容量C6 との合成容量を示す。
【0044】また、静電容量C13及びインダクタンスL
1 は入力側の共振素子14aを等価変換したときの静電
容量及びインダクタンスであり、静電容量C14及びイン
ダクタンスL2 は出力側の共振素子14bを等価変換し
たときの静電容量及びインダクタンスである。
【0045】このように、第1の実施の形態に係るフィ
ルタ10Aにおいては、第4の誘電体層24の一主面に
結合調整電極70を形成するようにしたので、該結合調
整電極70と入力側の共振素子14aとの間、並びに前
記結合調整電極70と出力側の共振素子14bとの間に
それぞれ静電容量C9 及びC10が形成される。
【0046】等価回路的には、図6に示すように、これ
ら容量C9 及びC10の合成容量が前記入力側の共振素子
14aと出力側の共振素子14bとの間に形成されるイ
ンダクタンスLと並列に接続されたかたちになるため、
前記容量C9 及びC10によって前記誘導結合度を調整す
ることができ、所望の帯域幅を有するフィルタを得るこ
とができる。
【0047】前記容量C9 の調整は、入力側の共振素子
14aと結合調整電極70との重なり面積、これらの間
の距離及び/又はこれらの間の誘電体の比誘電率εrを
変化させることによって容易に行うことができ、前記容
量C10の調整は、前記出力側の共振素子14bと結合調
整電極70との重なり面積、これらの間の距離及び/又
はこれらの間の誘電体の比誘電率εrを変化させること
によって容易に行うことができる。
【0048】また、前記結合調整電極70による合成容
量が2本の共振素子14a及び14b間のインダクタン
スLと並列に接続されたかたちになることから、隣接す
る各共振素子14a及び14b間には並列共振回路80
が挿入接続されたことになる。この合成容量C9 及びC
10とインダクタンスLとからなる並列共振回路80のイ
ンピーダンスは並列共振点の前後で誘導性から容量性へ
と変化するため、隣接する各共振素子14a及び14b
と結合調整電極70間にそれぞれ形成される容量C9
びC10の値を調整することにより、各共振素子14a及
び14b間の結合を誘導性にも容量性にもすることがで
きる。
【0049】いま、各共振素子14a及び14b間の結
合を誘導性にした場合を考えると、通過帯域の高周波側
に並列共振点が存在するから、高周波側に減衰ピークを
もったフィルタが得られ、また、各共振素子14a及び
14b間の結合を容量性にすると、通過帯域の低周波側
に並列共振点が存在することになり、低周波側に減衰ピ
ークをもったフィルタが得られ、いずれの場合もフィル
タの減衰特性を改善することができる。
【0050】そして、この第1の実施の形態に係るフィ
ルタ10Aにおいては、前記結合調整電極70に加え
て、第5の誘電体層26の一主面に入力側調整電極66
と出力側調整電極68を設けるようにしている。
【0051】これにより、前記入力側調整電極66と結
合調整電極70との間、並びに出力側調整電極68と結
合調整電極70との間にそれぞれ容量C11及びC12が形
成され、等価回路的には、入力端子46と結合調整電極
70との間、並びに出力端子50と結合調整電極70と
の間にそれぞれ容量C11及びC12が形成されたかたちと
なる。
【0052】容量C11は、入力側の共振素子14aを飛
び越して、入力側の共振素子14aの前段と後段とを結
合する飛び越し容量C11となり、容量C12は、出力側の
共振素子14bを飛び越して、出力側の共振素子14b
の前段と後段とを結合する飛び越し容量C12となるた
め、これらの飛び越し容量C11及びC12を調整すること
によって減衰ピークの位置を更に細かに調整することが
でき、目的の周波数特性を有するフィルタ10Aを容易
に得ることができる。
【0053】即ち、同一の通過帯域特性の積層型誘電体
フィルタにおいて、共振素子14a及び14b間の距離
を変化させることなく、換言すれば、各共振素子14a
及び14b間のインダクタンスLを変化させることな
く、減衰ピークの位置を調整することができる。
【0054】この場合、共振素子14a及び14b間の
インダクタンスLが変化しないため、結合調整電極70
の面積等をほとんど変化させることなく、減衰ピークの
位置を調整することができる。これは、所望の周波数特
性を有するフィルタ10Aを容易に作製することができ
ることにつながり、積層型誘電体フィルタの製造工程の
簡単化、製造コストの低廉化を同時に実現させることが
できる。
【0055】ここで、1つの実験例を示す。この実験例
は、比較例、第1の実施例及び第2の実施例において、
それぞれ結合調整電極70を調整して共振素子14a及
び14b間の結合を誘導性にしたときの各周波数特性、
特に減衰ピークの推移をみたものである。比較例の特性
を図7に示し、第1の実施例の特性を図8に示し、第2
の実施例の特性を図9に示す。
【0056】比較例は、第1の実施の形態に係るフィル
タ10Aにおいて、第5の誘電体層26の一主面に入力
側調整電極66及び出力側調整電極68を形成しない構
成のものであり、第1の実施例は、第1の実施の形態に
係るフィルタ10Aにおいて、第5の誘電体層26の一
主面に幅の広い入力側調整電極66及び出力側調整電極
68を形成して各飛び越し容量C11及びC12を大きくし
たものであり、第2の実施例は、第1の実施の形態に係
るフィルタ10Aにおいて、幅の狭い入力側調整電極6
6及び出力側調整電極68を形成して各飛び越し容量C
11及びC12を小さくしたものである。
【0057】比較例、第1の実施例及び第2の実施例は
共に、通過帯域の中心周波数が約1850MHzのバン
ドパスの周波数特性を有するが、比較例は約2960M
Hzに減衰ピークを有し、第1の実施例は約2100M
Hzに減衰ピークを有し、第2の実施例は約2200M
Hzに減衰ピークを有する。即ち、入力側調整電極66
と結合調整電極70間の容量C11及び/又は出力側調整
電極68と結合調整電極70間の容量C12を調整するこ
とにより、減衰ピークの位置を自由に変更できることが
わかる。
【0058】容量C11の調整は、入力側調整電極66と
結合調整電極70との重なり面積やこれらの間の距離を
変化させることによって容易に行うことができ、容量C
12の調整は、出力側調整電極68と結合調整電極70と
の重なり面積やこれらの間の距離を変化させることによ
って容易に行うことができる。
【0059】特に、この第1の実施の形態では、入力側
調整電極66と出力側調整電極68を他の電極と独立に
形成するようにしているため、各容量C11及びC12の調
整のための自由度(各調整電極66及び68の設計の自
由度)が大きくなり、減衰ピークの調整を容易に行うこ
とが可能となる。これは、目的の周波数特性を有するフ
ィルタを簡単に得ることができることにつながる。
【0060】また、第1の実施の形態に係るフィルタ1
0Aにおいては、第7の誘電体層30の一主面に入力用
電極60と出力用電極62を形成するようにしたので、
入力側の共振素子14aと入力用電極60との距離及び
/又は出力側の共振素子14bと出力用電極62との距
離を小さくすることで、これらの間に形成される静電容
量C7 及びC8 の容量値を大きくすることができ、信号
波形に現れるリップルを小さくすることができる。
【0061】また、この第1の実施の形態に係るフィル
タ10Aにおいては、第8の誘電体層32の一主面に第
1及び第2の内層アース電極64a及び64bを形成
し、第3の誘電体層22の一主面に第1及び第2の内層
アース電極72a及び72bを形成するようにしたの
で、各共振素子14a及び14bの開放端側と第1及び
第2の内層アース電極64a及び64b並びに72a及
び72bとの間に形成される静電容量C2 及びC4 並び
にC1 及びC3 も各共振素子14a及び14bを等価変
換したときの並列共振回路の静電容量C13及びC14に付
加されることになるため、共振周波数を同一とすれば、
並列共振回路のインダクタンスは小さくて済むことにな
り、その結果、共振素子14a及び14bの長さもより
小さくなり、第1の実施の形態に係るフィルタ10A全
体の長さを短くすることができる。
【0062】この場合に、第1の実施の形態に係るフィ
ルタ10Aを小型化するために、第1及び第2の内層ア
ース電極64a及び64b並びに72a及び72bと各
共振素子14a及び14bとの対向面積を増加させて共
振素子長を短縮していくと、共振素子14a及び14b
同士がますます強く誘導結合して、フィルタ10Aの特
性を広帯域化させすぎるという問題が生じるが、この第
1の実施の形態においては、第4の誘電体層24の一主
面に結合調整電極70を設けるようにしているため、こ
の結合調整電極70と共振素子14a及び14b間に形
成される静電容量C9 及びC10によって、共振素子14
a及び14b間に形成されるインダクタンスLを抑制す
ることができ、所望の帯域幅を有するフィルタ10Aを
得ることができる。
【0063】なお、上記の例では、入力側調整電極66
及び出力側調整電極68の形状を短冊状としたが、その
他、ハンマー形状など種々の形状が考えられる。
【0064】次に、第2の実施の形態に係るフィルタ1
0Bについて図10及び図11を参照しながら説明す
る。なお、図1及び図5と対応するものについては同符
号を記してその重複説明を省略する。
【0065】この第2の実施の形態に係るフィルタ10
Bは、図10に示すように、前記第1の実施の形態に係
るフィルタ10A(図1参照)とほぼ同様の構成を有す
るが、2本の共振素子14a及び14bが形成された第
6の誘電体層28の上層である第5の誘電体層26の一
主面に結合調整電極70が形成され、該第5の誘電体層
26の上層の第4の誘電体層24の一主面に入力側調整
電極66と出力側調整電極68が形成されている点で異
なる。
【0066】この第2の実施の形態に係るフィルタ10
Bにおいて、入力側調整電極66及び出力側調整電極6
8の形成面に対して直交する方向に切断した場合の断面
構成を図11に示す。なお、内層アース電極64a、6
4b、72a及び72bの形成面に対して直交する方向
に切断した場合の断面構成は図4とほぼ同じ構成とな
り、等価回路も図6とほぼ同じになる。
【0067】この第2の実施の形態に係るフィルタ10
Bにおいても、図1に示す第1の実施の形態に係るフィ
ルタ10Aと同様に、入力側調整電極66と結合調整電
極70との間、並びに出力側調整電極68と結合調整電
極70との間にそれぞれ静電容量C11及びC12が形成さ
れ、等価回路的には、図6に示すように、入力側の共振
素子14aの前段と後段とを結合する飛び越し容量C11
と、出力側の共振素子14bの前段と後段とを結合する
飛び越し容量C12が形成されたかたちとなる。そのた
め、これらの飛び越し容量C11及びC12を調整すること
によって、各共振素子14a及び14b間のインダクタ
ンスLを変化させることなく、減衰ピークの位置を更に
細かく調整することができ、目的の周波数特性を有する
フィルタを容易に得ることができる。
【0068】次に、第3の実施の形態に係るフィルタ1
0Cについて図12〜図15を参照しながら説明する。
なお、図10と対応するものについては同符号を記して
その重複説明を省略する。
【0069】この第3の実施の形態に係るフィルタ10
Cは、図12に示すように、第2の実施の形態に係るフ
ィルタ10B(図10参照)とほぼ同様の構成を有する
が、一主面に入力用電極60及び出力用電極62が形成
された第7の誘電体層30と、一主面に第1及び第2の
内層アース電極64a及び64bが形成された第8の誘
電体層32との間に、例えば第11の誘電体層82が挿
入され、該第11の誘電体層82の一主面に上述の2本
の共振素子14a及び14b(第6の誘電体層28に形
成された2本の共振素子)とは別に2本の共振素子84
a及び84bが形成されている点で異なる。
【0070】即ち、この第3の実施の形態に係るフィル
タ10Cは、上下一対の共振素子(14a、84a)及
び(14b、84b)が2組並設されて1/4波長型ス
トリップライン共振器が構成されている。
【0071】従って、図13に示すように、下方に位置
する入力側の共振素子84aの開放端と第1の内層アー
ス電極64aとの間、並びに下方に位置する出力側の共
振素子84bの開放端と第2の内層アース電極64bと
の間にそれぞれ静電容量C17及びC18が形成されたかた
ちとなり、また、図14に示すように、前記入力側の共
振素子84aと入力用電極60との間、並びに前記出力
側の共振素子84bと出力用電極62との間にそれぞれ
静電容量C19及びC20が形成されたかたちとなる。
【0072】また、前記入力側の共振素子84aと出力
側の共振素子84b同士は互いに誘導結合され、これに
より、等価回路上では、インダクタンスL3 (図15参
照)が挿入されたかたちとなる。
【0073】この第3の実施の形態に係るフィルタ10
Cにおいては、すべての入力側の共振素子14a及び8
4aは1組の入力側の共振器300a(図15参照)と
して考えることができ、すべての出力側の共振素子14
b及び84bも1組の出力側の共振器300bとして考
えることができる。
【0074】従って、第3の実施の形態に係るフィルタ
10Cの等価回路は、図15に示すようになり、バンド
パスフィルタを構成することとなる。
【0075】なお、図15において、静電容量C
310 は、入力側の共振素子14a及び84aと入力用電
極60間の静電容量C7 及びC19(図14参照)の合成
容量を示し、静電容量C311 は、出力側の共振素子14
b及び84bと出力用電極62間の静電容量C8 及びC
20の合成容量を示す。
【0076】インダクタンスL100 は、入力側の共振素
子14a及び84aと出力側の共振素子14b及び84
b間のインダクタンスL及びL3 (図14参照)の合成
インダクタンスを示す。
【0077】また、静電容量C312 は、入力側の共振素
子14a及び84aと各第1の内層アース電極72a及
び64a間の静電容量C1 及びC17(図13参照)の合
成容量を示し、静電容量C313 は、出力側の共振素子1
4b及び84bと各第2の内層アース電極72b及び6
4b間の静電容量C3 及びC18の合成容量を示す。
【0078】また、静電容量C314 及びインダクタンス
101 は1組の入力側の共振器300aを等価変換した
ときの静電容量及びインダクタンスであり、静電容量C
315及びインダクタンスL102 は1組の出力側の共振器
300bを等価変換したときの静電容量及びインダクタ
ンスである。
【0079】この第3の実施の形態に係るフィルタ10
Cにおいても、前記第1の実施の形態に係るフィルタ1
0Aと同様に、入力側調整電極66と結合調整電極70
との間、並びに出力側調整電極68と結合調整電極70
との間にそれぞれ静電容量C 11及びC12が形成され、等
価回路的には、図15に示すように、入力側の共振素子
14aの前段と後段とを結合する飛び越し容量C11と、
出力側の共振素子14bの前段と後段とを結合する飛び
越し容量C12が形成されたかたちとなるため、これらの
飛び越し容量C11及びC12を調整することによって、各
共振素子間の誘導結合を変化させることなく、減衰ピー
クの位置を更に細かく調整することができ、目的の周波
数特性を有するフィルタ10Cを容易に得ることができ
る。
【0080】次に、第4の実施の形態に係るフィルタ1
0Dについて図16〜図18を参照しながら説明する。
なお、図12と対応するものについては同符号を記して
その重複説明を省略する。
【0081】この第4の実施の形態に係るフィルタ10
Dは、図16に示すように、第3の実施の形態に係るフ
ィルタ10C(図12参照)とほぼ同様の構成を有する
が、一主面に入力側の共振素子84a及び出力側の共振
素子84bが形成された第11の誘電体層82と、一主
面に第1及び第2の内層アース電極64a及び64bが
形成された第8の誘電体層32との間に、例えば第12
の誘電体層86と第13の誘電体層88が挿入され、前
記第12の誘電体層86の一主面に上述の結合調整電極
70(第5の誘電体層26に形成された結合調整電極7
0)とは別の結合調整電極90が形成され、第13の誘
電体層88の一主面に上述の入力側調整電極66及び出
力側調整電極68(第4の誘電体層24に形成された入
力側調整電極66及び出力側調整電極68)とは別の入
力側調整電極92及び出力側調整電極94が形成されて
いる点で異なる。
【0082】従って、図17に示すように、下方に位置
する入力側の共振素子84aと結合調整電極90との
間、並びに下方に位置する出力側の共振素子84bと結
合調整電極90との間にはそれぞれ静電容量C23及びC
24が形成され、下方に位置する入力側調整電極92と結
合調整電極90との間、並びに下方に位置する出力側調
整電極94と結合調整電極90との間にはそれぞれ静電
容量C25及びC26が形成されることになる。
【0083】この第4の実施の形態に係るフィルタの等
価回路は図18のようになる。この図18において、静
電容量C320 は、上方に位置する入力側の共振素子14
aの前段と後段とを結合する飛び越し容量C11と、下方
に位置する入力側の共振素子84aの前段と後段とを結
合する飛び越し容量C25との合成容量を示し、C
321は、上方に位置する出力側の共振素子14bの前段
と後段とを結合する飛び越し容量C12と、下方に位置す
る出力側の共振素子84bの前段と後段とを結合する飛
び越し容量C26との合成容量を示す。
【0084】また、静電容量C322 は、上方に位置する
入力側の共振素子14aと結合調整電極70間の静電容
量C9 と、下方に位置する入力側の共振素子84aと結
合調整電極90間の静電容量C23との合成容量を示し、
静電容量C322 は、上方に位置する出力側の共振素子1
4bと結合調整電極70間の静電容量C10と、下方に位
置する出力側の共振素子84bと結合調整電極90間の
静電容量C24との合成容量を示す。
【0085】このように、この第4の実施の形態に係る
フィルタ10Dにおいては、上述の飛び越し容量C11
12、C25及びC26(合成容量C320 及びC321 )を調
整することによって、上方に位置する各共振素子14a
及び14b間並びに下方に位置する共振素子84a及び
84b間のインダクタンスL並びにL3 を変化させるこ
となく、減衰ピークの位置を更に細かく調整することが
でき、目的の周波数特性を有するフィルタ10Dを容易
に得ることができる。この場合、第1の実施の形態に係
るフィルタ10Aよりも更に細かい調整を行うことがで
きる。
【0086】次に、第5の実施の形態に係るフィルタ1
0Eについて図19及び図20を参照しながら説明す
る。なお、図1と対応するものについては同符号を記し
てその重複説明を省略する。
【0087】この第5の実施の形態に係るフィルタ10
Eは、図19及び図20に示すように、第1の実施の形
態に係るフィルタ10A(図1参照)とほぼ同じ構成を
有するが、結合調整電極70の形状がほぼ逆U字状とさ
れて、第1の電極本体70aと第2の電極本体70bと
を結ぶリード電極70cが各共振素子14a及び14b
の開放端側に寄って形成されている点で異なる。
【0088】従って、内層アース電極64a(72a)
及び64b(64b)の形成面に対して直交する方向に
切断した場合の断面構成は図4とほぼ同じになり、入力
側調整電極66及び出力側調整電極68の形成面に対し
て直交する方向に切断した場合の断面構成も図5とほぼ
同じ構成となる。等価回路も図6とほぼ同じになる。
【0089】この第5の実施の形態に係るフィルタ10
Eにおいても、第1の実施の形態に係るフィルタ10A
と同様に、入力側調整電極66と結合調整電極70との
間、並びに出力側調整電極68と結合調整電極70との
間にそれぞれ静電容量C11及びC12が形成され、等価回
路的には、図6に示すように、入力側の共振素子14a
の前段と後段とを結合する飛び越し容量C11と、出力側
の共振素子14bの前段と後段とを結合する飛び越し容
量C12が形成されたかたちとなるため、これらの飛び越
し容量C11及びC12を調整することによって、各共振素
子14a及び14b間の誘導結合を変化させることな
く、減衰ピークの位置を更に細かく調整することがで
き、目的の周波数特性を有するフィルタを容易に得るこ
とができる。
【0090】特に、この第5の実施の形態に係るフィル
タ10Eにおいては、結合調整電極70のリード電極7
0cを各共振素子14a及び14bの開放端側に寄って
形成して、該リード電極70cが入力側調整電極66及
び出力側調整電極68に平面的に重ならないようにして
いるため、これら電極の積層ずれ等があっても結合調整
電極70と入力側調整電極66間の容量C11及び結合調
整電極70と出力側調整電極68間の容量C12は変化し
ない。その結果、前記電極の積層ずれが生じても特性は
変化せず、歩留まりの向上等の効果を得ることができ
る。
【0091】次に、第6の実施の形態に係るフィルタ1
0Fについて図21を参照しながら説明する。なお、図
10と対応するものについては同符号を記してその重複
説明を省略する。
【0092】この第6の実施の形態に係るフィルタ10
Fは、図21に示すように、第2の実施の形態に係るフ
ィルタ10B(図10参照)とほぼ同じ構成を有する
が、結合調整電極70の形状がほぼ逆U字状とされて、
第1の電極本体70aと第2の電極本体70bとを結ぶ
リード電極70cが各共振素子14a及び14bの開放
端側に寄って形成されている点で異なる。
【0093】この第6の実施の形態に係るフィルタ10
Fにおいても、第2の実施の形態に係るフィルタ10B
と同様に、入力側の共振素子14aの前段と後段とを結
合する飛び越し容量C11と、出力側の共振素子14bの
前段と後段とを結合する飛び越し容量C12が形成された
かたちとなるため、これらの飛び越し容量C11及びC 12
を調整することによって、各共振素子14a及び14b
間の誘導結合を変化させることなく、減衰ピークの位置
を更に細かく調整することができ、目的の周波数特性を
有するフィルタ10Fを容易に得ることができる。
【0094】また、結合調整電極70のリード電極70
cを各共振素子14a及び14bの開放端側に寄って形
成して、該リード電極70cが入力側調整電極66及び
出力側調整電極68に平面的に重ならないようにしてい
るため、これら電極の積層ずれが生じても特性は変化せ
ず、歩留まりの向上等の効果を得ることができる。
【0095】次に、第7の実施の形態に係るフィルタ1
0Gについて図22〜図28を参照しながら説明する。
【0096】この第7の実施の形態に係るフィルタ10
Gは、図22に示すように、複数枚の板状の誘電体層が
積層、焼成されて構成された積層体100内に、1/4
波長型ストリップライン共振器を構成する3本の共振素
子102a、102b及び102cが形成された構成を
有する。
【0097】具体的には、前記積層体100は、図22
に示すように、上から順に、第1の誘電体層104と、
第2の誘電体層106が複数枚重ねられて構成された誘
電体層群108と、第3〜第9の誘電体層110〜12
2と、第10の誘電体層124が複数枚重ねられて構成
された誘電体層群126と、第11の誘電体層128と
が積み重ねられて構成されている。
【0098】なお、入力端子部40及び出力端子部42
の構成並びにアース電極44の形成状態は、図23に示
すように、第1の実施の形態に係るフィルタ10A(図
2参照)とほぼ同じであるため、その詳細な説明は省略
する。
【0099】そして、この第7の実施の形態に係るフィ
ルタ10Gにおいては、第6の誘電体層116の上面に
3本の短冊状の共振素子102a、102b及び102
cがそれぞれ長手方向を一方向に揃えられて形成されて
いる。これら共振素子102a、102b及び102c
のうち、入力端子46に最も近い方が入力側の共振素子
102a、出力端子50に最も近い方が出力側の共振素
子102cとされている。また、これら共振素子102
a、102b及び102cは、各一端部がアース電極4
4に接続されて、各他端部が開放端とされている。
【0100】前記第6の誘電体層116の下層に位置す
る第7の誘電体層118の一主面には、一端が入力端子
46に接続され、かつ、前記入力側の共振素子102a
と容量結合される入力用電極130と、第2及び第3の
共振素子102b及び102cと容量結合される結合調
整電極132が形成されている。
【0101】前記第7の誘電体層118の下層に位置す
る第8の誘電体層120の一主面には、図25にも示す
ように、一端が出力端子50に接続され、先端が出力側
の共振素子102cの幅方向中央部分に対応する位置ま
で延在されて形成された出力側調整電極134が形成さ
れている。
【0102】前記第8の誘電体層120の下層に位置す
る第9の誘電体層122の一主面には、一端がアース電
極44と接続され、かつ、前記3本の共振素子102
a、102b及び102cの各開放端側と対向する第1
〜第3の内層アース電極136a、136b及び136
cが形成されている。
【0103】前記3本の共振素子102a、102b及
び102cが形成された前記第6の誘電体層116の上
層に位置する第5の誘電体層114の一主面には、一端
が出力端子50に接続され、かつ、前記出力側の共振素
子102cと容量結合される出力用電極138と、第1
及び第2の共振素子102a及び102bと容量結合さ
れる結合調整電極140が形成されている。
【0104】前記第5の誘電体層114の上層に位置す
る第4の誘電体層112の一主面には、図24に示すよ
うに、一端が入力端子46に接続され、先端が入力側の
共振素子102aの幅方向中央部分に対応する位置まで
延在されて形成された入力側調整電極142が形成され
ている。
【0105】前記第4の誘電体層112の上層に位置す
る第3の誘電体層110の一主面には、一端がアース電
極44と接続され、かつ、前記3本の共振素子102
a、102b及び102cの各開放端側と対向する第1
〜第3の内層アース電極144a、144b及び144
cが形成されている。
【0106】第7の実施の形態に係るフィルタ10G
は、基本的には以上のように構成されるものであるが、
ここで、各電極の電気的な結合について図26〜図28
を参照しながら説明する。
【0107】まず、図26に示すように、入力側の共振
素子102aの開放端と上下の第1の内層アース電極1
44a及び136aとの間、中央の共振素子102bの
開放端と上下の第2の内層アース電極144b及び13
6bとの間並びに出力側の共振素子102cの開放端と
上下の第3の内層アース電極144c及び136cとの
間にはそれぞれ静電容量C31、C32、C33、C34、C35
及びC36が形成されている。
【0108】前記入力側の共振素子102a、前記中央
の共振素子102b及び前記出力側の共振素子102c
同士は互いに誘導結合され、これにより、等価回路上で
はインダクタンスL6 及びL7 が挿入されたかたちにな
る(図28参照)。
【0109】また、図27に示すように、前記入力側の
共振素子102aと入力用電極130との間、中央の共
振素子102bと下側の結合調整電極132との間、出
力側の共振素子102cと下側の結合調整電極132と
の間にはそれぞれ静電容量C 41、C42及びC43が形成さ
れ、前記出力側の共振素子102cと出力用電極138
との間、中央の共振素子102bと上側の結合調整電極
140との間、入力側の共振素子102aと上側の結合
調整電極140との間にはそれぞれ静電容量C 44、C45
及びC46が形成されている。
【0110】更に、入力側調整電極142と上側の結合
調整電極140との間並びに出力側調整電極134と下
側の結合調整電極132との間には、それぞれ静電容量
47及びC48が形成されている。
【0111】従って、第7の実施の形態に係るフィルタ
10Gの等価回路は、図28に示すようになり、バンド
パスフィルタを構成することとなる。なお、図28にお
いて、静電容量C51及びインダクタンスL8 はそれぞれ
入力側の共振素子102aを等価変換したときの静電容
量及びインダクタンスであり、静電容量C52及びインダ
クタンスL9 はそれぞれ中央の共振素子102bを等価
変換したときの静電容量及びインダクタンスであり、静
電容量C53及びインダクタンスL10はそれぞれ出力側の
共振素子102cを等価変換したときの静電容量及びイ
ンダクタンスである。
【0112】このように、第7の実施の形態に係るフィ
ルタ10Gにおいては、第5の誘電体層114の一主面
に入力側の共振素子102aと中央の共振素子102b
に対応する結合調整電極140を形成し、第7の誘電体
層118の一主面に出力側の共振素子102cと中央の
共振素子102bに対応する結合調整電極132を形成
するようにしたので、入力側の共振素子102aと上側
の結合調整電極140との間、上側の結合調整電極14
0と中央の共振素子102bとの間、下側の結合調整電
極132と中央の共振素子102bとの間、並びに前記
結合調整電極132と出力側の共振素子102cとの間
にそれぞれ容量C46、C45、C42及びC 43が形成され
る。
【0113】等価回路的には、図28に示すように、前
記入力側の共振素子102aと中央の共振素子102b
との間に前記容量C46及びC45の合成容量とインダクタ
ンスL6 とが並列に接続され、前記出力側の共振素子1
02cと中央の共振素子102bとの間に前記容量C43
及びC42の合成容量とインダクタンスL7 とが並列に接
続されたかたちになるため、前記容量C46、C45、C43
及びC42によって前記誘導結合度を調整することがで
き、所望の帯域幅を有するフィルタ10Gを得ることが
できる。
【0114】前記容量C46、C45、C43及びC42の調整
は、入力側の共振素子102aと上側の結合調整電極1
40との重なり面積及びこれらの間の距離、中央の共振
素子102bと上側の結合調整電極140との重なり面
積及びこれらの間の距離、中央の共振素子102bと下
側の結合調整電極132との重なり面積及びこれらの間
の距離、並びに出力側の共振素子102cと下側の結合
調整電極132との重なり面積及びこれらの間の距離を
変化させることによって容易に行うことができる。
【0115】また、前記上側の結合調整電極140によ
る合成容量が入力側の共振素子102aと中央の共振素
子102b間のインダクタンスL6 と並列に接続された
かたちになり、前記下側の結合調整電極132による合
成容量が出力側の共振素子102cと中央の共振素子1
02b間のインダクタンスL7 と並列に接続されたかた
ちになることから、隣接する入力側の共振素子102a
と中央の共振素子102b間、及び隣接する出力側の共
振素子102cと中央の共振素子102b間にはそれぞ
れ並列共振回路150及び152が挿入接続されたこと
になる。これら並列共振回路150及び152のインピ
ーダンスはそれぞれ並列共振点の前後で誘導性から容量
性へと変化するため、隣接する入力側の共振素子102
a及び中央の共振素子102bと上側の結合調整電極1
40間、並びに隣接する出力側の共振素子102c及び
中央の共振素子102bと下側の結合調整電極132間
にそれぞれ形成される容量C46及びC45並びにC43及び
42の値を調整することにより、各共振素子102a及
び102b間並びに102c及び102b間の結合を誘
導性にも容量性にもすることができる。
【0116】いま、各共振素子102a及び102b間
並びに102c及び102b間の結合を誘導性にした場
合を考えると、通過帯域の高周波側に並列共振点が存在
するから、高周波側に減衰ピークをもったフィルタが得
られ、また、各共振素子102a及び102b間並びに
102c及び102b間の結合を容量性にすると、通過
帯域の低周波側に並列共振点が存在することになり、低
周波側に減衰ピークをもったフィルタが得られ、いずれ
の場合もフィルタの減衰特性を改善することができる。
【0117】そして、この第7の実施の形態に係るフィ
ルタ10Gにおいては、前記結合調整電極140に加え
て、第4の誘電体層112の一主面に入力側調整電極1
42を設け、第8の誘電体層120の一主面に出力側調
整電極134を設けるようにしている。
【0118】これにより、前記入力側調整電極142と
上側の結合調整電極140との間、並びに下側の結合調
整電極132と出力側調整電極134との間にそれぞれ
容量C47及びC48が形成され、等価回路的には、図28
に示すように、入力端子46と上側の結合調整電極14
0との間、並びに出力端子50と下側の結合調整電極1
32との間にそれぞれ容量C47及びC48が形成されたか
たちとなる。
【0119】容量C47は、入力側の共振素子102aを
飛び越して、入力側の共振素子102aの前段と後段と
を結合する飛び越し容量C47となり、容量C48は、出力
側の共振素子102cを飛び越して、出力側の共振素子
102cの前段と後段とを結合する飛び越し容量C48
なるため、これらの飛び越し容量C47及びC48を調整す
ることによって減衰ピークの位置を更に細かく調整する
ことができ、目的の周波数特性を有するフィルタ10G
を容易に得ることができる。
【0120】即ち、同一の通過帯域特性の積層型誘電体
フィルタにおいて、共振素子102a、102b及び1
02c間の距離を変化させることなく、換言すれば、各
共振素子102a、102b及び102c間のインダク
タンスL6 及びL7 を変化させることなく、減衰ピーク
の位置を調整することができる。
【0121】この場合、共振素子102a、102b及
び102c間のインダクタンスL6及びL7 が変化しな
いため、上側の結合調整電極140及び下側の結合調整
電極132の形状等をほとんど変化させることなく、減
衰ピークの位置を調整することができる。これは、所望
の周波数特性を有するフィルタを容易に作製することが
できることにつながり、積層型誘電体フィルタの製造工
程の簡単化、製造コストの低廉化を同時に実現させるこ
とができる。
【0122】容量C47の調整は、入力側調整電極142
と上側の結合調整電極140との重なり面積及びこれら
の間の距離を変化させることによって容易に行うことが
でき、容量C48の調整は、出力側調整電極134と下側
の結合調整電極132との重なり面積及びこれらの間の
距離を変化させることによって容易に行うことができ
る。
【0123】特に、この第7の実施の形態では、入力側
調整電極142と出力側調整電極134を他の電極と独
立に形成するようにしているため、各容量C47及びC48
の調整のための自由度(各結合調整電極142及び13
4の設計の自由度)が大きくなり、減衰ピークの調整を
容易に行うことが可能となる。これは、目的の周波数特
性を有するフィルタ10Gを簡単に得ることができるこ
とにつながる。
【0124】また、第7の実施の形態に係るフィルタ1
0Gにおいては、第7の誘電体層118の一主面に入力
用電極130を形成し、第5の誘電体層114の一主面
に出力用電極138を形成するようにしたので、入力側
の共振素子102aと入力用電極130との距離及び/
又は出力側の共振素子102cと出力用電極138との
距離を小さくすることで、これらの間に形成される静電
容量C41及びC44の容量値を大きくすることができ、信
号波形に現れるリップルを小さくすることができる。
【0125】また、この第7の実施の形態に係るフィル
タ10Gにおいては、第3の誘電体層110の一主面に
第1〜第3の内層アース電極144a〜144cを形成
し、第9の誘電体層122の一主面に第1〜第3の内層
アース電極136a〜136cを形成するようにしたの
で、各共振素子102a〜102cの開放端側と各第1
〜第3の内層アース電極144a〜144c並びに13
6a〜136cとの間に形成される静電容量C31
32、C33、C34、C35及びC36も各共振素子102a
〜102cを等価変換したときの並列共振回路の静電容
量C51、C52及びC53に付加されることになるため、共
振周波数を同一とすれば、各並列共振回路のインダクタ
ンスは小さくて済むことになり、その結果、共振素子1
02a〜102cの長さもより小さくなり、第7の実施
の形態に係るフィルタ10G全体の長さを短くすること
ができる。
【0126】この場合に、第7の実施の形態に係るフィ
ルタ10Gを小型化するために、第1〜第3の内層アー
ス電極144a〜144c並びに136a〜136cと
各共振素子102a〜102cとの対向面積を増加させ
ていくと、共振素子102a〜102c同士がますます
強く誘導結合して、フィルタの特性を広帯域化させすぎ
るという問題が生じるが、この第7の実施の形態におい
ては、上側の結合調整電極140及び下側の結合調整電
極132を設けるようにしているため、これら結合調整
電極140及び132と共振素子102a〜102c間
に形成される容量C46、C45、C42及びC43によって、
共振素子102a〜102c間に形成されるインダクタ
ンスL6 及びL7 を抑制することができ、所望の帯域幅
を有するフィルタ10Gを得ることができる。
【0127】次に、第8の実施の形態に係るフィルタ1
0Hについて図29及び図30を参照しながら説明す
る。なお、図22と対応するものについては同符号を記
してその重複説明を省略する。
【0128】この第8の実施の形態に係るフィルタ10
Hは、図29に示すように、前記第7の実施の形態に係
るフィルタ10G(図22参照)とほぼ同様の構成を有
するが、3本の共振素子102a〜102cが形成され
た第6の誘電体層116の上層である第5の誘電体層1
14の一主面に入力側調整電極142が形成され、該第
5の誘電体層114の上層である第4の誘電体層112
の一主面に結合調整電極140と出力用電極138が形
成され、前記第6の誘電体層116の下層である第7の
誘電体層118の一主面に出力側調整電極134が形成
され、前記第7の誘電体層118の下層である第8の誘
電体層120の一主面に結合調整電極132と入力用電
極130が形成されている点で異なる。
【0129】この第8の実施の形態に係るフィルタ10
Hにおいて、入力側調整電極142及び出力側調整電極
134の形成面に対して直交する方向に切断した場合の
断面構成を図30に示す。各電極の電気的な結合は、第
7の実施の形態に係るフィルタ10G(図27参照)と
ほぼ同じであるが、前記入力側の共振素子102aと入
力側調整電極142との間、並びに前記出力側の共振素
子102bと出力側調整電極134との間にはそれぞれ
静電容量C54及びC55が形成されている。なお、内層ア
ース電極144a〜144c並びに136a〜136c
の形成面に対して直交する方向に切断した場合の断面構
成は図26とほぼ同じ構成となる。等価回路も図28と
ほぼ同じになるが、前記入力側の共振素子102aと入
力側調整電極142間の容量C54が入力用電極130と
入力側の共振素子102a間に形成される容量C41と並
列に挿入されたかたちになり、前記出力側の共振素子1
02cと出力側調整電極134間の容量C55が出力用電
極138と出力側の共振素子102c間に形成される容
量C44と並列に挿入されたかたちになる。
【0130】このように、この第8の実施の形態に係る
フィルタ10Hにおいても、図22に示す第7の実施の
形態に係るフィルタ10Gと同様に、入力側調整電極1
42と上側の結合調整電極140との間、並びに出力側
調整電極134と下側の結合調整電極132との間にそ
れぞれ静電容量C47及びC48が形成されて、入力側の共
振素子102aの前段と後段とを結合する飛び越し容量
47と、出力側の共振素子102cの前段と後段とを結
合する飛び越し容量C48が形成されたかたちとなるた
め、これらの飛び越し容量C47及びC48を調整すること
によって、各共振素子102a〜102c間のインダク
タンスL6 及びL7 を変化させることなく、減衰ピーク
の位置を更に細かく調整することができ、目的の周波数
特性を有するフィルタ10Hを容易に得ることができ
る。
【0131】次に、第9の実施の形態に係るフィルタ1
0Iについて図31〜図34を参照しながら説明する。
なお、図22と対応するものについては同符号を記して
その重複説明を省略する。
【0132】この第9の実施の形態に係るフィルタ10
Iは、図31に示すように、第7の実施の形態に係るフ
ィルタ10G(図22参照)とほぼ同様の構成を有する
が、以下の点で構成が異なる。 (1)一主面に第1〜第3の内層アース電極144a〜
144cが形成された第3の誘電体層110と一主面に
入力側調整電極142が形成された第4の誘電体層11
2との間に、第12の誘電体層160が挿入され、該第
12の誘電体層160の一主面に上述の3本の共振素子
102a〜102c(第6の誘電体層116に形成され
た3本の共振素子102a〜102c)とは別に3本の
共振素子162a〜162cが形成されている点。 (2)第5の誘電体層114の一主面に上述した結合調
整電極140と出力用電極138のほかに第1〜第3の
内層アース電極164a〜164cが形成されている
点。 (3)第7の誘電体層118の一主面に上述した結合調
整電極132と入力用電極130のほかに第1〜第3の
内層アース電極166a〜166cが形成されている
点。 (4)前記第8の誘電体層120と前記第9の誘電体層
122との間に、第13の誘電体層168が挿入され、
該第13の誘電体層168の一主面に上述の3本の共振
素子102a〜102cとは別に3本の共振素子170
a〜170cが形成されている点。
【0133】つまり、この第9の実施の形態に係るフィ
ルタ10Iは、積層体100の厚み方向に並ぶ3枚の共
振素子(162a、102a、170a)、(162
b、102b、170b)及び(162c、102c、
170c)が3組並設されて、1/4波長型ストリップ
ライン共振器が構成されている。
【0134】従って、図32に示すように、上側に位置
する3本の共振素子162a〜162cと第1〜第3の
内層アース電極144a〜144cとの間、前記上側に
位置する3本の共振素子162a〜162cと第1〜第
3の内層アース電極164a〜164cとの間にそれぞ
れ静電容量C61〜C63並びにC64〜C66が形成され、中
央に位置する3本の共振素子102a〜102cと第1
〜第3の内層アース電極164a〜164cとの間、前
記中央に位置する3本の共振素子102a〜102cと
第1〜第3の内層アース電極166a〜166cとの間
にそれぞれ静電容量C67〜C69並びにC70〜C72が形成
され、下側に位置する3本の共振素子170a〜170
cと第1〜第3の内層アース電極166a〜166cと
の間、前記下側に位置する3本の共振素子170a〜1
70cと第1〜第3の内層アース電極136a〜136
cとの間にそれぞれ静電容量C73〜C75並びにC76〜C
78が形成されたかたちとなる。
【0135】また、図33に示すように、入力端子46
と上方に位置する入力側の共振素子162aとの間に入
力側調整電極142を通じて静電容量C81が形成され、
出力端子50と下方に位置する出力側の共振素子170
cとの間に出力側調整電極134を通じて静電容量C82
が形成されたかたちとなる。
【0136】また、上方に位置する第1〜第3の共振素
子162a〜162c同士は互いに誘導結合され、これ
により、等価回路上ではインダクタンスL11及びL12
挿入されたかたちになる。これは、下方に位置する第1
〜第3の共振素子170a〜170cにおいても同様で
あり、等価回路上ではインダクタンスL13及びL14が挿
入されたかたちとなる(図34参照)。
【0137】更に、下方に位置する入力側の共振素子1
70aと入力用電極130との間、下方に位置する中央
の共振素子170bと下側の結合調整電極132との
間、下方に位置する出力側の共振素子170cと下側の
結合調整電極132との間にはそれぞれ静電容量
101 、C102 及びC103 が形成され、上方に位置する
出力側の共振素子162cと出力用電極138との間、
上方に位置する中央の共振素子162bと上側の結合調
整電極140との間、上方に位置する入力側の共振素子
162aと上側の結合調整電極140との間にはそれぞ
れ静電容量C104 、C10 5 及びC106 が形成されてい
る。
【0138】この第9の実施の形態に係るフィルタ10
Iにおいては、すべての入力側の共振素子102a、1
44a及び170aは1組の入力側の共振器400a
(図34参照)として考えることができ、すべての中央
の共振素子102b、144b及び170bも1組の中
央の共振器400bとして考えることができる。出力側
も同様に、すべての出力側の共振素子102c、144
c及び170cは1組の出力側の共振器400cとして
考えることができる。
【0139】従って、第9の実施の形態に係るフィルタ
10Iの等価回路は、図34に示すようになり、バンド
パスフィルタを構成することとなる。
【0140】なお、図34において、静電容量C
400 は、入力側の共振素子102a及び170aと入力
用電極130間の静電容量C41及びC101 (図33参
照)と、入力側の共振素子162aと入力側調整電極1
42間の静電容量C81との合成容量を示し、静電容量C
401 は、出力側の共振素子102c及び162cと出力
用電極138間の静電容量C44及びC104 (図33参
照)と、出力側の共振素子170cと出力側調整電極1
34間の静電容量C81との合成容量を示す。
【0141】また、静電容量C402 は、入力側の共振素
子102a及び162aと上側の結合調整電極140間
の静電容量C46及びC106 (図33参照)の合成容量を
示し、静電容量C403 は、出力側の共振素子102c及
び170cと下側の結合調整電極132間の静電容量C
43及びC103 の合成容量を示す。
【0142】静電容量C404 は、中央の共振素子102
b及び162bと上側の結合調整電極140間の静電容
量C45及びC105 (図33参照)の合成容量を示し、静
電容量C405 は、中央の共振素子102b及び170b
と下側の結合調整電極132間の静電容量C42及びC
102 の合成容量を示す。
【0143】また、静電容量C410 は、入力側の共振素
子162a、102a及び170aと各第1の内層アー
ス電極144a、164a、166a及び136a間の
静電容量C61、C64、C67、C70、C73及びC76(図3
2参照)の合成容量を示し、静電容量C411 は、中央の
共振素子162b、102b及び170bと各第2の内
層アース電極144b、164b、166b及び136
b間の静電容量C62、C65、C68、C71、C74及びC77
の合成容量を示し、静電容量C412 は、出力側の共振素
子162c、102c及び170cと各第3の内層アー
ス電極144c、164c、166c及び136c間の
静電容量C63、C66、C69、C72、C75及びC78の合成
容量を示す。
【0144】インダクタンスL201 は、入力側の共振素
子102a、162a及び170aと中央の共振素子1
02b、162b及び170b間のインダクタンス
6 、L 11及びL13(図32参照)の合成インダクタン
スを示し、インダクタンスL202は、中央の共振素子1
02b、162b及び170bと出力側の共振素子10
2c、162c及び170c間のインダクタンスL7
12及びL14の合成インダクタンスを示す。
【0145】また、静電容量C420 及びインダクタンス
203 は1組の入力側の共振器400aを等価変換した
ときの静電容量及びインダクタンスであり、静電容量C
421及びインダクタンスL204 は1組の中央の共振器4
00bを等価変換したときの静電容量及びインダクタン
スであり、静電容量C423 及びインダクタンスL205
1組の出力側の共振器400cを等価変換したときの静
電容量及びインダクタンスである。
【0146】この第9の実施の形態に係るフィルタ10
Iにおいても、前記8の実施の形態に係るフィルタ10
Hと同様に、入力側調整電極142と上側の結合調整電
極140との間、並びに出力調整電極134と下側の結
合調整電極132との間にそれぞれ静電容量C47及びC
48が形成され、等価回路的には、図34に示すように、
1組の入力側の共振器400aの各前段と各後段とを結
合する飛び越し容量C 47と、1組の出力側の共振器40
0cの各前段と各後段とを結合する飛び越し容量C48
形成されたかたちとなるため、これらの飛び越し容量C
47及びC48を調整することによって、各共振素子(16
2a〜162c、102a〜102c、170a〜17
0c)間の誘導結合を変化させることなく、減衰ピーク
の位置を更に細かく調整することができ、目的の周波数
特性を有するフィルタ10Iを容易に得ることができ
る。
【0147】次に、第10の実施の形態に係るフィルタ
10Jについて図35〜図37を参照しながら説明す
る。なお、図31と対応するものについては同符号を記
してその重複説明を省略する。
【0148】この第10の実施の形態に係るフィルタ1
0Jは、図35に示すように、第9の実施の形態に係る
フィルタ10I(図31参照)とほぼ同じ構成を有する
が、以下の点で構成が異なる。 (1)第4の誘電体層112の一主面に、結合調整電極
140、出力用電極138並びに第1及び第2の内層ア
ース電極164a及び164bが形成されている点。 (2)第5の誘電体層114の一主面に、入力側調整電
極142が形成されている点。 (3)第7の誘電体層118の一主面に、出力側調整電
極134が形成されている点。 (4)第8の誘電体層120の一主面に、結合調整電極
132、入力用電極130並びに第2及び第3の内層ア
ース電極166b及び166cが形成されている点。
【0149】なお、内層アース電極(144a〜144
c、136a〜136c)の形成面に対して直交する方
向に切断した場合の断面構成を図36に示し、入力側調
整電極142及び出力側調整電極134の形成面に対し
て直交する方向に切断した場合の断面構成を図37に示
す。等価回路は図34とほぼ同じになるが、前記入力側
の共振素子102aと入力側調整電極142間の容量C
54が入力用電極130と入力側の共振素子102a間に
形成される容量C41と並列に挿入されたかたちになり、
前記出力側の共振素子102cと出力側調整電極134
間の容量C55が出力用電極138と出力側の共振素子1
02c間に形成される容量C44と並列に挿入されたかた
ちになる。
【0150】この第10の実施の形態に係るフィルタ1
0Jにおいても、第9の実施の形態に係るフィルタ10
Iと同様に、入力側調整電極142と上側の結合調整電
極140との間、並びに出力側調整電極134と下側の
結合調整電極132との間にそれぞれ静電容量(飛び越
し容量)C47及びC48が形成されることから(図34参
照)、これらの飛び越し容量C47及びC48を調整するこ
とによって、各共振素子(162a〜162c、102
a〜102c、170a〜170c)間の誘導結合を変
化させることなく、減衰ピークの位置を更に細かく調整
することができ、目的の周波数特性を有するフィルタ1
0Jを容易に得ることができる。
【0151】次に、第11の実施の形態に係るフィルタ
10Kについて図38〜図43を参照しながら説明す
る。
【0152】第11の実施の形態に係るフィルタ10K
は、図38に示すように、複数枚の板状の誘電体層が積
層、焼成されて構成された積層体200内に、1/4波
長型ストリップライン共振器を構成する2本の共振素子
202a及び202bがそれぞれ別の誘電体層において
縦方向に並べられて形成された構成を有する。
【0153】具体的には、前記積層体200は、図38
に示すように、左(入力側)から順に、第1の誘電体層
204と、第2の誘電体層206が複数枚重ねられて構
成された誘電体層群208と、第3〜第6の誘電体層2
10〜216と、第7の誘電体層218が複数枚重ねら
れて構成された誘電体層群220と、第8〜第11の誘
電体層222〜228と、第12の誘電体層230が複
数枚重ねられて構成された誘電体層群232と、第13
の誘電体層234とが積み重ねられて構成されている。
【0154】また、図39に示すように、前記積層体2
00の外周面のうち、例えばその左側面に入力端子部2
40が配され、右側面に出力端子部242が配され、こ
れら入力端子部240及び出力端子部242を除く全面
にアース電極244が形成されている。
【0155】入力端子部240は、積層体200の左側
面の中央部分において、積層体200の高さ方向に沿っ
て形成された短冊状の入力端子246と、該入力端子2
46とアース電極244とを絶縁するための入力側絶縁
領域248とで構成され、出力端子部242は、積層体
200の右側面の中央部分において、積層体200の高
さ方向に沿って形成された短冊状の出力端子250と、
該出力端子250とアース電極244とを絶縁するため
の出力側絶縁領域252とで構成されている。
【0156】図39の例では、入力側絶縁領域248と
出力側絶縁領域252を、積層体200の上面の一部並
びに下面の一部にも配した場合を示している。
【0157】そして、この第11の実施の形態に係るフ
ィルタ10Kにおいては、第4の誘電体層212と第1
0の誘電体層226の各一主面にそれぞれ1本の短冊状
の共振素子202a及び202bが形成されている。こ
れら共振素子202a及び202bは、一方が入力側の
共振素子202a、他方が出力側の共振素子202bと
され、更に、各一端部がアース電極244(第4の誘電
体層212及び第10の誘電体層226の側面に形成さ
れたアース電極244)に接続されて、各他端部が開放
端とされている。
【0158】前記第4の誘電体層212の左側に位置す
る第3の誘電体層210の一主面には、第1のスルーホ
ール260を通じて入力端子246に接続され、かつ、
前記入力側の共振素子202aと容量結合される入力用
電極262と、一端がアース電極244に接続され、か
つ、前記入力側の共振素子202aの開放端側と対向す
る第1の内層アース電極264が形成されている。
【0159】前記第4の誘電体層212の右側に位置す
る第5の誘電体層214の一主面には、アース電極24
4、入力端子246及び出力端子250に対して電位的
にフローティング状態とされ、入力側の共振素子202
aに対応する短冊状の第1の結合電極本体266aと、
一端がアース電極244に接続され、かつ、前記入力側
の共振素子202aの開放端側と対向する第2の内層ア
ース電極268が形成されている。
【0160】前記第5の誘電体層214の右側に位置す
る第6の誘電体層216の一主面には、第2のスルーホ
ール270を通じて入力用電極262に接続され、か
つ、前記第1の結合電極本体266aと容量結合される
入力側調整電極272が形成されている。
【0161】一方、前記第10の誘電体層226の右側
に位置する第11の誘電体層228の一主面には、第3
のスルーホール274を通じて出力端子250に接続さ
れ、かつ、前記出力側の共振素子202bと容量結合さ
れる出力用電極276と、一端がアース電極244に接
続され、かつ、前記出力側の共振素子202bの開放端
側と対向する第3の内層アース電極278が形成されて
いる。
【0162】また、前記第10の誘電体層226の左側
に位置する第9の誘電体層224の一主面には、アース
電極244、入力端子246及び出力端子250に対し
て電位的にフローティング状態とされ、出力側の共振素
子202bに対応する短冊状の第2の結合電極本体26
6bと、一端がアース電極244に接続され、かつ、前
記出力側の共振素子202bの開放端側と対向する第4
の内層アース電極280が形成されている。
【0163】前記第1の結合電極本体266aと第2の
結合電極本体266bは第4のスルーホール266cを
通じて互いに電気的に接続され、これら第1の結合電極
本体266a、第2の結合電極本体266b及び第4の
スルーホール266cにて結合調整電極266が構成さ
れる。
【0164】前記第9の誘電体層224の左側に位置す
る第8の誘電体層222の一主面には、第5のスルーホ
ール282を通じて出力用電極276に接続され、か
つ、前記第2の結合電極本体266bと容量結合される
出力側調整電極284が形成されている。
【0165】第11の実施の形態に係るフィルタ10K
は、基本的には以上のように構成されるものであるが、
ここで、各電極の電気的な結合について図40〜図43
を参照しながら説明する。
【0166】まず、図40及び図41に示すように、入
力側の共振素子202aの開放端と第1及び第2の内層
アース電極264及び268との間、並びに出力側の共
振素子202bの開放端と第3及び第4の内層アース電
極278及び280との間にはそれぞれ静電容量C200
及びC201 並びにC202 及びC203 が形成されている。
【0167】また、図40及び図42に示すように、前
記入力側の共振素子202aと入力用電極262との
間、並びに出力側の共振素子202bと出力用電極27
6との間にはそれぞれ静電容量C204 並びにC205 が形
成され、前記入力側の共振素子202aと第1の結合電
極本体266aとの間、並びに出力側の共振素子202
bと第2の結合電極本体266bとの間にはそれぞれ静
電容量C206 並びにC20 7 が形成されている。
【0168】また、前記入力側の共振素子202aと出
力側の共振素子202b同士は互いに誘導結合され、こ
れにより、等価回路上では、インダクタンスL30(図4
3参照)が挿入されたかたちとなる。
【0169】更に、前記入力側調整電極272と第1の
結合電極本体266aとの間、並びに前記出力側調整電
極284と第2の結合電極本体266bとの間にはそれ
ぞれ静電容量C210 並びにC211 が形成されている。
【0170】従って、第11の実施の形態に係るフィル
タ10Kの等価回路は、図43に示すようになり、バン
ドパスフィルタを構成することとなる。なお、図43に
おいて、静電容量C212 及びインダクタンスL31はそれ
ぞれ入力側の共振素子202aを等価変換したときの静
電容量及びインダクタンスであり、静電容量C213 及び
インダクタンスL32はそれぞれ出力側の共振素子202
bを等価変換したときの静電容量及びインダクタンスで
ある。
【0171】このように、第11の実施の形態に係るフ
ィルタ10Kにおいては、第6の誘電体層216の一主
面から第8の誘電体層222の一主面にかけて第1の結
合電極本体266a、第2の結合電極本体266b及び
第4のスルーホール266cからなる結合調整電極26
6を形成するようにしたので、第1の結合電極本体26
6aと入力側の共振素子202aとの間、並びに第2の
結合電極本体266bと出力側の共振素子202bとの
間にそれぞれ静電容量C206 及びC207 が形成される。
等価回路的には、図43に示すように、これら静電容量
206 及びC20 7 の合成容量が前記入力側の共振素子2
02aと出力側の共振素子202bとの間に形成される
インダクタンスL30と並列に接続されたかたちになるた
め、前記容量C206 及びC207 によって前記誘導結合度
を調整することができ、所望の帯域幅を有するフィルタ
10Kを得ることができる。
【0172】前記容量C206 及びC207 の調整は、入力
側の共振素子202aと第1の結合電極本体266aと
の重なり面積及びこれらの間の距離並びに出力側の共振
素子202bと第2の結合電極本体266bとの重なり
面積及びこれらの間の距離を変化させることによって容
易に行うことができる。
【0173】また、図40及び図42に示すように、こ
の第11の実施の形態に係るフィルタ10Kにおいて
は、入力側調整電極272と第1の結合電極本体266
aとの間、並びに出力側調整電極284と第2の結合電
極本体266bとの間にそれぞれ静電容量C210 及びC
211 が形成され、等価回路的には、図43に示すよう
に、入力側の共振素子202aの前段と後段とを結合す
る飛び越し容量C210 と、出力側の共振素子202bの
前段と後段とを結合する飛び越し容量C211 が形成され
たかたちとなるため、これらの飛び越し容量C210 及び
211 を調整することによって、各共振素子202a及
び202b間のインダクタンスL30を変化させることな
く、減衰ピークの位置を更に細かく調整することがで
き、目的の周波数特性を有するフィルタ10Kを容易に
得ることができる。
【0174】次に、第12の実施の形態に係るフィルタ
10Lについて図44〜図47を参照しながら説明す
る。なお、図38と対応するものについては同符号を記
してその重複説明を省略する。
【0175】この第12の実施の形態に係るフィルタ1
0Lは、図44に示すように、第11の実施の形態に係
るフィルタ10K(図38参照)とほぼ同じ構成を有す
るが、以下の点で構成が異なる。 (1)第3の誘電体層210の一主面に、第1のスルー
ホール260を通じて入力端子246に接続され、か
つ、第1の結合電極本体266aと容量結合される入力
側調整電極272が形成されている点。 (2)第4の誘電体層212の一主面に、第2のスルー
ホール270を通じて入力端子246に接続され、か
つ、前記入力側の共振素子202aと容量結合される入
力用電極262と、一端がアース電極244に接続さ
れ、かつ、前記入力側の共振素子202aの開放端側と
対向する第1の内層アース電極264と、アース電極2
44、入力端子246及び出力端子250に対して電位
的にフローティング状態とされ、入力側の共振素子20
2aに対応する短冊状の第1の結合電極本体266aが
形成されている点。 (3)第5の誘電体層214と第9の誘電体層224の
各一主面にそれぞれ入力側の共振素子202aと出力側
の共振素子202bが形成されている点。 (4)第6の誘電体層216の一主面に、入力側の共振
素子202aの開放端側と対向する第2の内層アース電
極268が形成され、第8の誘電体層222の一主面
に、出力側の共振素子202bの開放端側と対向する第
4の内層アース電極280が形成されている点。 (5)第10の誘電体層226の一主面に、第3のスル
ーホール274を通じて出力端子250に接続され、か
つ、前記出力側の共振素子202bと容量結合される出
力用電極276と、一端がアース電極244に接続さ
れ、かつ、前記出力側の共振素子202bの開放端側と
対向する第3の内層アース電極278と、アース電極2
44、入力端子246及び出力端子250に対して電位
的にフローティング状態とされ、出力側の共振素子20
2bに対応する短冊状の第2の結合電極本体266bが
形成されている点。 (6)第11の誘電体層228の一主面に、第5のスル
ーホール282を通じて出力端子250に接続され、か
つ、第2の結合電極本体266bと容量結合される出力
側調整電極284が形成されている点。
【0176】前記第1の結合電極本体266aと第2の
結合電極本体266bは、第5の誘電体層〜第10の誘
電体層214〜226を貫通する第4のスルーホール2
66cを通じて互いに電気的に接続され、これら第1の
結合電極本体266a、第2の結合電極本体266b及
び第4のスルーホール266cにて結合調整電極266
が構成される。
【0177】なお、共振素子202a及び202bの形
成面に対して直交する方向に切断した場合の横断面構成
を図45に示し、第1のスルーホール260及び第3の
スルーホール274を縦断する方向に切断した場合の縦
断面構成を図46に示し、第4のスルーホール266c
を縦断する方向に切断した場合の縦断面構成を図47に
示す。
【0178】この第12の実施の形態に係るフィルタ1
0Lにおいても、図38に示す第11の実施の形態に係
るフィルタ10Kと同様に、入力側調整電極272と第
1の結合電極本体266aとの間、並びに出力側調整電
極284と第2の結合電極本体266bとの間にそれぞ
れ静電容量C210 及びC211 が形成され、等価回路的に
は、図43の場合と同様に、入力側の共振素子202a
の前段と後段とを結合する飛び越し容量C210 と、出力
側の共振素子202bの前段と後段とを結合する飛び越
し容量C211 が形成されたかたちとなるため、これらの
飛び越し容量C 210 及びC211 を調整することによっ
て、各共振素子202a及び202b間のインダクタン
スL30を変化させることなく、減衰ピークの位置を更に
細かく調整することができ、目的の周波数特性を有する
フィルタ10Lを容易に得ることができる。
【0179】なお、この発明に係る積層型誘電体フィル
タは、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸
脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろん
である。
【0180】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る積層
型誘電体フィルタによれば、同一の通過帯域特性の積層
型誘電体フィルタにおいて、共振素子間の距離を変化さ
せることなく、換言すれば、共振素子間の誘導結合を変
化させることなく、減衰ピークの位置を調整することが
でき、目的の特性を簡単に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係るフィルタの構成を示す
分解斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係るフィルタの外観を示す
斜視図である。
【図3】第1の実施の形態に係るフィルタにおいて、第
3〜第8の誘電体層に形成された電極のパターンを示す
説明図である。
【図4】第1の実施の形態に係るフィルタにおいて、内
層アース電極の形成面に対して直交する方向に切断した
場合の構成を示す断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係るフィルタにおいて、入
力側調整電極及び出力側調整電極の形成面に対して直交
する方向に切断した場合の構成を示す断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係るフィルタを示す等価回
路図である。
【図7】比較例において、その結合調整電極を調整して
共振素子間の結合を誘導性にしたときの周波数特性を示
す図である。
【図8】第1の実施例において、その結合調整電極を調
整して共振素子間の結合を誘導性にしたときの周波数特
性を示す図である。
【図9】第2の実施例において、その結合調整電極を調
整して共振素子間の結合を誘導性にしたときの周波数特
性を示す図である。
【図10】第2の実施の形態に係るフィルタの構成を示
す分解斜視図である。
【図11】第2の実施の形態に係るフィルタにおいて、
入力側調整電極及び出力側調整電極の形成面に対して直
交する方向に切断した場合の構成を示す断面図である。
【図12】第3の実施の形態に係るフィルタの構成を示
す分解斜視図である。
【図13】第3の実施の形態に係るフィルタにおいて、
内層アース電極の形成面に対して直交する方向に切断し
た場合の構成を示す断面図である。
【図14】第3の実施の形態に係るフィルタにおいて、
入力側調整電極及び出力側調整電極の形成面に対して直
交する方向に切断した場合の構成を示す断面図である。
【図15】第3の実施の形態に係るフィルタを示す等価
回路図である。
【図16】第4の実施の形態に係るフィルタの構成を示
す分解斜視図である。
【図17】第4の実施の形態に係るフィルタにおいて、
入力側調整電極及び出力側調整電極の形成面に対して直
交する方向に切断した場合の構成を示す断面図である。
【図18】第4の実施の形態に係るフィルタを示す等価
回路図である。
【図19】第5の実施の形態に係るフィルタの構成を示
す分解斜視図である。
【図20】第5の実施の形態に係るフィルタにおいて、
第3〜第8の誘電体層に形成された電極のパターンを示
す説明図である。
【図21】第6の実施の形態に係るフィルタの構成を示
す分解斜視図である。
【図22】第7の実施の形態に係るフィルタの構成を示
す分解斜視図である。
【図23】第7の実施の形態に係るフィルタの外観を示
す斜視図である。
【図24】第7の実施の形態に係るフィルタにおいて、
第3〜第6の誘電体層に形成された電極のパターンを示
す説明図である。
【図25】第7の実施の形態に係るフィルタにおいて、
第6〜第9の誘電体層に形成された電極のパターンを示
す説明図である。
【図26】第7の実施の形態に係るフィルタにおいて、
内層アース電極の形成面に対して直交する方向に切断し
た場合の構成を示す断面図である。
【図27】第7の実施の形態に係るフィルタにおいて、
入力側調整電極及び出力側調整電極の形成面に対して直
交する方向に切断した場合の構成を示す断面図である。
【図28】第7の実施の形態に係るフィルタを示す等価
回路図である。
【図29】第8の実施の形態に係るフィルタの構成を示
す分解斜視図である。
【図30】第8の実施の形態に係るフィルタにおいて、
入力側調整電極及び出力側調整電極の形成面に対して直
交する方向に切断した場合の構成を示す断面図である。
【図31】第9の実施の形態に係るフィルタの構成を示
す分解斜視図である。
【図32】第9の実施の形態に係るフィルタにおいて、
内層アース電極の形成面に対して直交する方向に切断し
た場合の構成を示す断面図である。
【図33】第9の実施の形態に係るフィルタにおいて、
入力側調整電極及び出力側調整電極の形成面に対して直
交する方向に切断した場合の構成を示す断面図である。
【図34】第9の実施の形態に係るフィルタを示す等価
回路図である。
【図35】第10の実施の形態に係るフィルタの構成を
示す分解斜視図である。
【図36】第10の実施の形態に係るフィルタにおい
て、内層アース電極の形成面に対して直交する方向に切
断した場合の構成を示す断面図である。
【図37】第10の実施の形態に係るフィルタにおい
て、入力側調整電極及び出力側調整電極の形成面に対し
て直交する方向に切断した場合の構成を示す断面図であ
る。
【図38】第11の実施の形態に係るフィルタの構成を
示す分解斜視図である。
【図39】第11の実施の形態に係るフィルタの外観を
示す斜視図である。
【図40】第11の実施の形態に係るフィルタにおい
て、共振素子の形成面に対して直交する方向に切断した
場合の構成を示す断面図である。
【図41】第11の実施の形態に係るフィルタにおい
て、第1〜第4の内層アース電極の形成面に対して直交
する方向に切断した場合の構成を示す縦断面図である。
【図42】第11の実施の形態に係るフィルタにおい
て、第1及び第5のスルーホールを縦断する方向に切断
した場合の構成を示す縦断面図である。
【図43】第11の実施の形態に係るフィルタを示す等
価回路図である。
【図44】第12の実施の形態に係るフィルタの構成を
示す分解斜視図である。
【図45】第12の実施の形態に係るフィルタにおい
て、共振素子の形成面に対して直交する方向に切断した
場合の構成を示す横断面図である。
【図46】第12の実施の形態に係るフィルタにおい
て、第1及び第5のスルーホールを縦断する方向に切断
した場合の構成を示す縦断面図である。
【図47】第12の実施の形態に係るフィルタにおい
て、第4のスルーホールを縦断する方向に切断した場合
の構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10A〜10L…フィルタ 12…積層体 14a…入力側の共振素子 14b…出力側の
共振素子 40…入力端子部 42…出力端子部 44…アース電極 46…入力端子 50…出力端子 60…入力用電極 62…出力用電極 64a…第1の内
層アース電極 64b…第2の内層アース電極 66…入力側調整
電極 68…出力側調整電極 70…結合調整電
極 72a…第1の内層アース電極 72b…第2の内
層アース電極 84a、84b…共振素子 90…結合調整電
極 92…入力側調整電極 94…出力側調整
電極 100…積層体 102a〜102
c…共振素子 130…入力用電極 132…結合調整
電極 134…出力側調整電極 136a〜136c…第1〜第3の内層アース電極 138…出力用電極 140…結合調整
電極 142…入力側調整電極 144a〜144c…第1〜第3の内層アース電極 162a〜162c…共振素子 164a〜164c…第1〜第3の内層アース電極 166a〜166c…第1〜第3の内層アース電極 170a〜170c…下側の3本の共振素子 200…積層体 202a、202
b…共振素子 262…入力用電極 264…第1の内
層アース電極 266…結合調整電極 268…第2の内
層アース電極 272…入力側調整電極 276…出力用電
極 278…第3の内層アース電極 280…第4の内
層アース電極 284…出力側調整電極 C11、C12…飛び
越し容量 C47、C48…飛び越し容量

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外周面に入力端子、出力端子及びアース電
    極が形成された誘電体層と、 前記誘電体層内に設けられた複数の片側短絡型の共振素
    子と、 前記誘電体層内であって、前記複数の共振素子のうち、
    入力側の共振素子と別の共振素子との間に設けられ、こ
    れら共振素子に対して容量結合された結合調整電極と、 前記入力端子に接続され、少なくとも該入力端子と前記
    結合調整電極間に容量を形成するための調整電極とを有
    することを特徴とする積層型誘電体フィルタ。
  2. 【請求項2】請求項1記載の積層型誘電体フィルタにお
    いて、 前記入力端子に接続され、前記入力側の共振素子と容量
    結合される入力用電極が前記誘電体層内に設けられてい
    ることを特徴とする積層型誘電体フィルタ。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載の積層型誘電体フィル
    タにおいて、 前記誘電体層内であって、前記複数の共振素子のうち、
    出力側の共振素子と別の共振素子との間に設けられ、こ
    れら共振素子に対して容量結合された結合調整電極と、 前記出力端子に接続され、少なくとも該出力端子と前記
    結合調整電極間に容量を形成するための電極とを有する
    ことを特徴とする積層型誘電体フィルタ。
  4. 【請求項4】請求項3記載の積層型誘電体フィルタにお
    いて、 前記出力端子に接続され、前記出力側の共振素子と容量
    結合される出力用電極が前記誘電体層内に設けられてい
    ることを特徴とする積層型誘電体フィルタ。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層
    型誘電体フィルタにおいて、 前記アース電極と接続され、前記共振素子の開放端側と
    対向する内層アース電極が前記誘電体層内に設けられて
    いることを特徴とする積層型誘電体フィルタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100461719B1 (ko) * 2002-04-25 2004-12-14 삼성전기주식회사 적층형 유전체 필터
US7262675B2 (en) 2005-02-16 2007-08-28 Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. Laminated filter with improved stop band attenuation
JP2011071794A (ja) * 2009-09-28 2011-04-07 Kyocera Corp フィルタ装置
CN102291100A (zh) * 2010-06-16 2011-12-21 三星电机株式会社 多层滤波器

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