JPH1128404A - 手動糊付機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 糊付量（厚み）の調節が容易な手動糊付機を
提供する。 【解決手段】 糊付機本体Ａは、シートロールを回転自
在に係止するシートロール解反部１と、このシートロー
ルを解反部１に隔壁３を介して隣接配置された糊容器部
２と、糊容器部前下端部に設けられた糊切り部９とを有
し、シートロール解反部１と糊容器２とは壁部によって
構成されているとともにこの壁部によって囲まれた底面
部が開放されており、かつ、基板Ｂには糊切り部９に対
向するクッション部１０が配設されており、前記係合手
段１７は糊付機本体Ａの糊切り部９とクッション部１０
との間の当接ないしは隙間の大きさを調節自在とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この出願の発明は手動糊付機
に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明
は、家庭においても壁紙（クロス）や床シートなどのシ
ートに対して簡便に糊付することができ、使用後の洗浄
等の容易な、新しい手動糊付機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術とその課題】従来より、建築仕上げ工事等
にいて、さまざまな種類の壁紙（クロス）などのシート
貼り施工が行なわれており、これらの施工に際して手動
式または自動糊付機がしばしば用いられてきている。こ
れら従来の糊付機は、いずれも糊容器内に配設した糊付
ローラに壁紙の裏面を圧接し、糊付ローラからの糊を壁
紙の裏面に転写する方式のものが採用されており、しか
も現場施工用の巾広シートの糊付機に適した大形のもの
であった。

【０００３】またこれら従来の糊付機には壁紙に転写さ
れる糊の量を調節するためのドクターローラが備えられ
ているものが一般的であった。業務用の施工用糊付機で
あることから、これら糊付機は、床面移動用の車輪を有
する車台上に固定したものや折り畳自在の支脚上に支持
したものがほとんどであった。しかしながら、これら従
来の糊付機は、あくまで建築現場等での施工時の使用を
目的とするものであることから、家庭で手軽に使用でき
るものではない。このため家庭において、部屋の模様替
えや壁の補修のために壁紙を貼ろうとする場合には、刷
毛等によって糊を壁紙に塗布する以外に方法はなかっ
た。しかしながら、このような方法では、適切な量の糊
を均一に塗布することが難しく、糊付した壁紙の見栄が
悪く、しかも壁紙を広げる場所がないという問題があっ
た。

【０００４】このような事情に鑑みて、この出願の出願
人は、すでに、一般の家庭でも手軽に使用することので
きる、簡便で小型の手動糊付機を提案している。この手
動糊付機は、たとえば、図８に示したように、シートロ
ール解反部（１）と糊容器部（２）を有し、これらを隔
壁（３）によって分離している。この隔壁（３）の底部
には糊押さえ（４）を配置し、糊押さえ（４）と底板
（５）の間には隙間（６）を設けている。また隔壁
（３）に対向する糊容器部（２）の前壁部（７）の底部
にはシート引き出し口（８）を設け、さらにこのシート
引き出し口（８）には糊切り（９）を、また底板（５）
にはクッション部（１０）を配設している。

【０００５】たとえばこのような構成を有する糊付機に
よって壁紙に糊付ける場合には、まず、シートロール解
反部（１）に壁紙ロール（１１）を装入し、この壁紙ロ
ール（１１）から引き出したシート（１２）をその裏面
を上にして隔壁（３）底部の隙間（６）から引き出し、
糊容器部（２）内を通過させ、その先端をシート引き出
し口（８）から引き出す。

【０００６】この状態にシート（１２）をセットした
後、糊容器部（２）に、糊（１３）を入れ、壁紙（１
２）の裏面に糊（１３）を付着させ、シート（１２）を
シート引き出し口（８）から矢印（Ａ）で示す方向へ引
出す。こうすることによって、糊付シート（１４）を得
ることができる。シート（１２）の長さ、その厚みにつ
いは特に制限はなく、両手で操作することのできる所望
の範囲内とすることができる。

【０００７】また、糊付機の底板（５）を両面テープ
（１５）により作業台（１６）等に固定している。こう
することにより糊付シート（１４）の引き出しが容易と
なる。この発明においては、糊容器部（２）からの糊
（１３）の流出防止および壁紙（１２）へ付着させる糊
の量の調節が特に重要な用件であり、クッション部（１
０）の配設が重要となる。このクッション部（１０）が
シート（１２）を常に一定の圧力で糊切り（９）に当接
するため、シート（１２）に付着させる糊の量を均一化
し、シート引き出し口（８）を密封し、糊（１３）の流
出を防止することができる。

【０００８】以上のような手動糊付機は、一般家庭にお
いても簡便に壁紙等のシートへの糊付を行うための手段
として有用であるが、一方で、その後、さらに改善すべ
き点が見出されてきた。それと言うのも、糊付機は、一
般に、付着性のある糊を扱うものであるため、その使用
後には水によって洗浄することがどうしても必要になる
が、前記の手動糊付機の場合には、特に隔壁（３）下端
の隙間（６）や、糊切り（９）およびクッション部（１
０）の洗浄が必ずしも容易でなく、どうしても糊の付着
が残されていまいやすく、再使用時に不都合が生じると
いう問題があった。そしてまた、糊付のためには、糊切
り（９）とクッション部（１０）の関係が重要である
が、実際上、壁紙等のシート（１２）の材質や糊付厚み
に応じた両者の当接や隙間の調節が難しい等の改善すべ
き課題があった。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この出願の発明は、前記
の課題を解決すべきものとして、基板とこの基板に対し
て係合手段によって着脱自在とされた糊付機本体とを備
えた手動糊付機であって、糊付機本体は、シートロール
を回転自在に係止するシートロール解反部と、このシー
トロール解反部に隔壁を介して隣接配置さた糊容器部
と、糊容器部の前下端部に設けられた糊切り部とを有
し、シートロール解反部と糊容器部とは壁部によって構
成されているとともにこの壁部によって囲まれた底面部
が開放されており、かつ、基板には糊切り部に対向する
クッション部が配接されており、前記係合手段は糊付機
本体の糊切り部とクッション部との間の当接もしくは隙
間の大きさを調節自在とし、糊付機本体が基板に対して
係合された状態においては、糊付機本体のシートロール
解反部より引き出されたシートは、前記隔壁と基板の間
に形成された隙間から糊容器部へと導かれて糊付され、
糊容器部の前下端部に設けられた、クッション部との間
の当接ないしは隙間が調節されている糊切り部より所定
厚みに糊付したシートが手動により引き出されることを
特徴とする手動糊付機を提供する。

【００１０】

【発明の実施の形態】この出願の発明は、前記のよう
に、糊付機本体と基板とを各々別体として、係合手段に
よって着脱自在とし、糊付機本体は従来例のように底板
（５）を持たず、係合装着時において基板が底位あ他と
しての機能を果たすようにし、しかも、係合手段によっ
て、糊切りとクッシュン部との間の当接や隙間の大きさ
を調節可能とし、シートの種類や所定の糊付厚みの変更
に随時に対応できるようにしたことを本質的な特徴とし
ている。

【００１１】糊付機本体と基板とを分離できるようにし
ていることから、使用後の洗浄を容易とし、付着した糊
が残らずに再使用時に不都合は全く生じないようにして
いる。しかも、糊付厚みも適宜に調節できるようにして
いる。以下、図面に沿って実施例を示し、さらに詳しく
この発明の手動糊付機についての実施形態を説明する。

【００１２】

【実施例】添付した図面の図１は、この発明の手動糊付
機について、糊付機本体（Ａ）を基板（Ｂ）に係合装着
した状態として例示した斜視図である。図２は、この図
１におけるａ−ａ面での断面図である。図１および図２
に例示したように、糊付機本体（Ａ）には、壁紙ロール
（１１）が回転自在に係止されるシートロール解反部
（１）と、隔壁（３）を介してこれに隣接配置された糊
容器部（２）が設けられており、糊付機本体（Ａ）は、
たとえば発泡樹脂等により一体成形された軽量壁部によ
り構成されている。そして、この壁部に囲まれたシート
ロール解反部（１）および糊容器部（２）の底面部は開
放されており、従来の図８に示したような底板（５）に
よって閉じられてはいない。

【００１３】糊付機本体（Ａ）の前壁部（７）下端に
は、糊切り（９）が取り付けられており、基板（Ｂ）に
設けられているクッション部（１０）に対向している。
また、糊付機本体（Ａ）の隔壁（３）の下端にも、シー
ト（１２）の引き出しのための隙間（６）が設けられ、
この発泡樹脂等により形成されている糊付機本体（Ａ）
の隔壁（３）の底部には、断面コ字形の金属や樹脂等か
らなる糊押さえ（４）が設けられてもいる。

【００１４】そして、糊付機本体（Ａ）は、係合手段
（１７）（１８）によって基板（Ｂ）に対して着脱自在
に取り付け係合されている。この係合手段（１７）（１
８）については、少なくとも前方の係合手段（１７）
は、糊切り（９）と基板（Ｂ）表面との間、そして糊切
り（９）とクッション部（１０）との間の隙間が調節で
きるようにされている。このための構造は、たとえば図
３にも示したように、金属等により成形し、その開き角
度（β）によりばね弾性を持たせたＬ字型板（１７１）
の一端を前壁部（７）に固定し、他端は、ねじ手段（１
７２）によりその押さえ角度（α）を可変とした構造が
採用される。ねじ手段（１７２）のねじ込み深さにより
その押さえ角度（α）が調節されることになり、これに
ともなって、糊付厚みを決める糊切り（９）とクッショ
ン部（１０）との間の当接圧力もしくは隙間の大きさ
（Ｈ）が調節されることになる。

【００１５】ねじ手段（１７２）の操作だけで、糊付機
本体（Ａ）と基板（Ｂ）とが容易に着脱されるととも
に、その操作によって、糊切り（９）とクッション部
（１０）との間の当接圧力もしくは隙間の大きさ（Ｈ）
も容易に調節されることになる。壁紙等のシート（１
２）は、壁紙ロール（１１）から前記隔壁（３）下端の
隙間（６）を介して糊容器部（２）へと引き出され、糊
切り（９）とクッション部（１０）との間より、糊付シ
ート（１４）として手によって引き出されることにな
る。

【００１６】なお、糊厚みが大きくなるように調節され
る場合には、隔壁（３）の下部の隙間（６）は広くなる
が、クッション部（１０）の厚みが増してこれと隔壁
（３）下端との間が逆に狭くなることから、隙間（６）
からの糊の逆流出は生じない。図４は、糊付機本体
（Ａ）と、これへの壁紙ロール（１１）の係止を例示し
た斜視図である。糊付機本体（Ａ）の基板（Ｂ）への取
り付けのための係合手段（１７）（１８）が設けられて
いることがわかる。また、シートロール解反部（１）の
切り欠き係止部（１０１）に対しては、壁紙ロール（１
１）の中空芯に挿通させた芯棒や、あるいは図４のよう
に、中空芯の両端に配接した端部芯（１１１）により回
転自在とされた壁紙ロール（１１）が係止されることに
なる。

【００１７】図５は、糊付機本体（Ａ）の前壁部（７）
下端に設けた金属製等の糊切り（９）と、基板（Ｂ）に
設けたクッション部（１０）との関係を例示したもので
ある。糊切り（９）については、その先端を波形もしく
は刃形の形状とする。シート（１２）が薄い壁紙や破損
しやすい材質からなる壁紙に対しては、山形先端頂部が
丸みのある波形の糊切りが好適に用いられる。そして、
波形の高さ（深さ）とそのピッチにより糊付量が調節さ
れることになる。このため、糊切り（９）については、
この高さ（深さ）、ピッチが異なる数種のものを用意
し、糊付機本体（Ａ）に着脱変更できるようにしておい
てもよい。もちろん、この糊切り（９）は、標準タイプ
のものを糊付機本体に固定し、前記のとおり、糊切り
（９）とクッション部（１０）との間の当接もしくは隙
間の調節のみによって糊付量、糊付厚みを変更してもよ
い。

【００１８】クッション部（１０）は、基板（Ｂ）に接
着剤等によりあらかじめ取り付けられているが、糊付機
本体（Ａ）の底部を示した図６のように、その段差部
（１９）においてクッション部（１０）の左右端を押さ
えることができる。これにより、糊付時のクッション部
（１０）のゆがみ、ねじれ等をより完全に押さえること
ができる。

【００１９】もちろんこの発明の手動糊付機について
は、さらに様々なバリエーションが可能とされる。これ
らはいずれもこの発明の実施の態様となる。たとえば、
この発明の手動糊付機では、これを作業台の上に置き、
手作業としてシートを引き出すことにより糊付するが、
作業時に糊付機が動かないように、基板（Ｂ）の作業台
に当接する裏面には両面テープを貼着してもよいし、あ
るいはあらかじめ、すべりにくいようにゴム等の材料に
よる被膜を設けておいてもよい。また、基板（Ｂ）を作
業台端部に固定するための挾持手段等を備えていてもよ
い。そして、糊付機本体（Ａ）には、幅の異なるシート
に対しても糊付できるように、たとえば図７に例示した
ように、糊容器部（２）に、糊付幅調節用の調節板（２
０）を溝（２１）に対して随時配設できるようにしても
よい。そして糊付け作業を途中で中断することも考慮し
て、糊容器部（２）内の糊の乾燥等（ゴミの混入も）を
抑えるために、透明プラスチック製等のカバーを糊容器
部（２）の上部開口に配設できるようにしてもよい。こ
のカバーについては、糊を糊容器部（２）に入れるため
のガイドを兼ねるようにしてもよい。

【００２０】さらにこの発明の手動糊付機については、
前壁部（７）の前方に、所定長さになったら糊付けシー
トを切断するカッター手段を設けておいてもよい。また
糊容器部（２）とシートロール解反部（１）とは別体と
なっていてもよい。必要に応じて脚を基板（Ａ）裏面に
取り付けられるようにしてもよい。

【００２１】

【発明の効果】以上詳しく説明したように、この出願の
発明によって、一般家庭においても操作が容易で、しか
も洗浄が容易でもあって、残存する付着糊がないことか
ら再使用時に不都合も生じない手動糊付機が提供され
る。そして、この糊付機では、糊付量（厚み）の調節が
容易に可能とされる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の糊付機を例示した斜視図である。

【図２】図１のａ−ａ面の断面図である。

【図３】前壁部下端を例示した要部断面図である。

【図４】本体と壁紙ロールの係止を例示した斜視図であ
る。

【図５】糊切りとクッション部とを例示した斜視図であ
る。

【図６】本体の底部を例示した要部斜視図である。

【図７】糊容器部の幅調節について例示した要部斜視図
である。

【図８】従来の例を示した断面図である。

【符号の説明】

１ シートロール解反部 ２ 糊容器部 ３ 隔壁 ４ 糊抑え ５ 底板 ６ 隙間 ７ 前壁部 ８ シート引き出し口 ９ 糊切り １０ クッション部 １１ 壁紙ロール １２ シート １３ 糊 １４ 糊付シート １５ 両面テープ １６ 作業台 １７，１８ 係合手段 １７１ Ｌ字型板 １７２ ねじ手段 １９ 段差部 ２０ 調節板 ２１ 溝

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 頃安 新 兵庫県龍野市龍野町日飼190 極東産機株 式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基板とこの基板に対して係合手段によっ
   て着脱自在とされた糊付機本体とを備えた手動糊付機で
   あって、糊付機本体は、シートロールを回転自在に係止
   するシートロール解反部と、このシートロールを解反部
   に隔壁を介して隣接配置された糊容器部と、糊容器部前
   下端部に設けられた糊切り部とを有し、シートロール解
   反部と糊容器部とは壁部によって構成されているととも
   にこの壁部によって囲まれた底面部が開放されており、
   かつ、基板には糊切り部に対向するクッション部が配設
   されており、前記係合手段は糊付機本体の糊切り部とク
   ッション部との間の当接ないしは隙間の大きさを調節自
   在とし、糊付機本体が基板に対して係合された状態にお
   いては、糊付機本体のシートロール解反部より挽き出さ
   れたシートは、前記隔壁と基板との間に形成された隙間
   から糊容器部へと導かれて糊付され、糊容器部の前下端
   部に設けられた、クッション部との間の当接ないしは隙
   間が調節さている糊切り部より所定厚みに糊付シートが
   手動により引き出されることを特徴とする手動糊付機。
2. 【請求項２】 糊付機本体を構成する壁部は、樹脂一体
   成形されたものである請求項１の手動糊付機。
3. 【請求項３】 係合手段は、Ｌ字型板とねじ止め手段と
   を有し、Ｌ字型板は、その一端が糊付機本体の壁部に固
   定されているとともに、その他端は基板に対しての当接
   程度が弾性調節される請求項１の手動糊付機。
4. 【請求項４】 糊容器部には、糊付幅調節用の調節手段
   が着脱自在に配設される請求項１の手動糊付機。