JPH11279688A - 均一変形性および表面美麗性に優れた缶用鋼板およびその製造方法 - Google Patents

均一変形性および表面美麗性に優れた缶用鋼板およびその製造方法

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JPH11279688A
JPH11279688A JP8212598A JP8212598A JPH11279688A JP H11279688 A JPH11279688 A JP H11279688A JP 8212598 A JP8212598 A JP 8212598A JP 8212598 A JP8212598 A JP 8212598A JP H11279688 A JPH11279688 A JP H11279688A
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尚稔 龍
Akio Tosaka
章男 登坂
Masatoshi Araya
昌利 荒谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複雑な缶デザインの要求に対し十分に応える
ことができる高い成形性を有しかつ均一変形性に優れ、
さらに肌荒れ、ストレチャーストレインが発生しない表
面美麗性に優れた高強度極薄缶用鋼板およびその製造方
法を提供する。 【解決手段】 C:0.04〜0.08wt%、Mn:0.3 〜0.6wt
%、Al:0.02〜0.20wt%、Ntotal :0.003wt %以下、
B:0.005wt %以下を含有し、かつ{Ntotal −(Nas
ALN +NasBN)}が0.002wt %以下、炭化物の平均間隔
が5〜30μm 、結晶粒度が10〜13番とし、板面内全方向
の平均r値が1.3 以下、最大r値と最小r値の差が0.4
以下とする。熱間圧延したのち後、あるいはさらに強制
冷却を施して、巻取温度:650 ℃未満で巻取り、10〜60
min 間空冷後水冷し、冷延後、再結晶温度以上800 ℃以
下の温度で連続焼鈍を施して行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2ピース缶あるい
は3ピース缶用素材として使用される缶用鋼板に係り、
とくに製缶加工において均一変形性に優れ表面美麗性に
優れた缶用鋼板に関する。本発明における鋼板は、切板
状のほかに鋼帯、コイル状の状態のものを含むものとす
る。
【0002】
【従来の技術】缶用鋼板は、錫、ニッケル、クロム等の
各種めっきを施されたのち、飲料缶、食缶等に加工され
る。錫めっきされた缶用鋼板には、Sn付着量が2.8g/m2
以上のぶりき、およびSn付着量が2.8g/m2 未満の薄目付
鋼板LTS(Lightly Tin Coated Steel)が含まれる。
【0003】ところで、最近は、飲料缶の大量消費に伴
い合理化の一環として、板厚を減少した薄鋼板を使用し
た軽量の飲料缶が製造されるようになっている。しか
し、板厚を薄くすると、当然、缶体強度の低下は避けら
れなくなる。そこで、例えば缶頭部あるいは缶底部にお
いては、ネックイン加工、多段ネックイン加工、スムー
ス大幅ネックイン加工等の加工を施し、胴部においては
樽形状とする張出し加工、凹凸加工等の加工を施して、
缶形状を従来の円筒形状から各種形状に変更して缶体強
度の向上を図っている。またさらに、深絞り加工、しご
き加工、ストレッチ加工、缶底のドーム加工等を強化し
て缶体強度の増加が図られている。この状況は、例え
ば、雑誌「THE CANMAKER」Feb. 1996, P32〜37に紹介さ
れている。
【0004】これらの缶は、鋼板を円筒状に成形し接合
したのち、円筒状の接合胴部に精巧な割型、静圧プレス
等の技術を適用して円周方向に伸び歪を付与して製造さ
れる。この製造に際し生ずる問題は、割れ、表面荒れの
発生、缶寸法の変化等がある。上記した問題を考慮し
て、缶用鋼板に要求される特性を列挙すれば、 肌荒れ、ストレッチャーストレインなどの外観不良を
生じないこと。
【0005】十分な形状凍結性を有し、目標とする缶
形状を忠実に再現できること。 3ピース缶においては缶高さ方向に寸法の減少がない
こと。 2ピース缶においては缶円周方向に寸法の減少がない
こと。 のようになる。ストレッチャーストレインは、加熱を伴
う処理により時効が進行した鋼板に、加工を加えた際に
発生する交差した縞状の模様である。近年、生産能率の
観点から、缶用鋼板への印刷として、従来の210 ℃程度
の塗装焼付に代わり、より高温の250 〜270 ℃でコート
処理されるフィルムラミネートが導入され、このストレ
ッチャーストレインの問題がとくに3ピース缶において
深刻化している。また、従来は缶成形後に塗装していた
2ピース缶においても成形補助のため予めフィルムミネ
ートコートが施されるようになり、ストレッチャースト
レインが2ピース缶の新たな問題となりつつある。
【0006】また、成形時の形状不良は、溶接性をはじ
め、後続の工程の作業性を著しく損なうため、高速・大
量生産の缶製造ラインにおいては形状凍結性が重要とな
る。3ピース缶では、缶円周方向に樽形状に張出す張出
し加工、ペール(pail)缶におけるように缶胴上部を下
部より大きく拡缶する拡缶加工、さらにはビード加工、
凹凸加工が施されるが、これら加工を行っても缶高さ方
向の収縮が均一で小さいことが重要である。缶高さ方向
の収縮が小さければ、蓋の二重巻締めを行っても均等に
巻き締めができ、所定の真空度が確保できる。しかし、
例えば溶接缶の場合、溶接部は板厚が母材部に比べ1.4
倍以上も厚く、しかも硬化しており、変形能が母材部に
くらべ小さい。そのため溶接後の変形により、缶高さ方
向の母材部の収縮が大きくなると、溶接部が周りより突
き出た形状となりやすく、缶高さが円周方向で不均一と
なる。このため軟質なAl蓋を巻いても突き出た溶接部が
邪魔になり、均一に巻きにくくなる。
【0007】2ピース缶では、缶底部をドーム加工する
が、缶底部の形状を安定させるために円周方向の収縮が
小さいことが重要となる。近年、缶用鋼板は、コイル内
の材質均一性の確保のため、連続焼鈍法で製造されるこ
とが多く、この方法で製造された缶用鋼板は旧来の箱焼
鈍法にくらべ細粒となりやすく、肌荒れが発生しにく
く、均一変形性には有利な点を有している。しかしなが
ら、短時間で冷却されるため固溶Cや固溶Nが析出せず
に残存し、フィルムラミネートコート処理を施してもス
トレッチャーストレインを生じない程度の非時効性を得
るのは困難であった。また、硬質化等により形状凍結性
が劣化しやすい欠点を有していた。
【0008】さらに、、に示した、複雑なデザイン
の缶を成形するときの均一成形性の問題は、従来十分に
検討されておらず、適正な材質特性およびその製造方法
について知られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したよ
うな複雑な缶デザインの要求に対し十分に応えることが
できる優れた成形性を有し高い歩留りを発揮できる極薄
缶用鋼板を提供することを目的とし、具体的には、形状
凍結性を維持しつつ、製缶加工において高い成形性を有
しかつ均一変形性に優れ、さらに肌荒れ、ストレチャー
ストレインが発生しない表面美麗性に優れた高強度極薄
缶用鋼板およびその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、2ピース
缶、3ピース缶の製缶加工において、鋼板がそれぞれ所
望の均一変形性を有するためにはr値をそれぞれ特定範
囲に限定することが有効であるとの知見を得、さらに両
者を満足するr値を有し、かつ形状凍結性を維持しつ
つ、肌荒れやストレッチャーストレインの発生を防止し
うる鋼板を製造するためには、連続焼鈍法を採用し、と
くにC、Mn、Al、N、B量を制御し、炭化物・窒化物を
熱延条件により制御することが重要であることを見いだ
した。
【0011】本発明は、上記した知見をもとに完成され
たものである。すなわち、本発明は、全N量Ntotal
と、ALN となっているN量NasALN と、BNとなっている
N量NasBNとが、{Ntotal −(NasALN +NasBN)}
≦ 0.002wt%の関係を満足し、炭化物の平均間隔が5〜
30μm 、結晶粒度が10〜13番であり、板面内の全方向の
平均r値が1.3 以下、板面内の全方向の最大r値と最小
r値の差が0.4 以下である均一変形性および表面美麗性
に優れた缶用鋼板である。
【0012】また、本発明は、全N量Ntotal とALN と
なっているN量NasALN と、BNとなっているN量NasBN
とが、{Ntotal −(NasALN +NasBN)}≦ 0.002wt
%の関係を満足し、炭化物の平均間隔が5〜30μm 、結
晶粒度が10〜13番であり、圧延方向もしくは圧延直角方
向のr値が1.3 以下である均一変形性および表面美麗性
に優れた缶用鋼板である。
【0013】また、本発明は、全N量Ntotal とALN と
なっているN量NasALN と、BNとなっているN量NasBN
とが、{Ntotal −(NasALN +NasBN)}≦ 0.002wt
%の関係を満足し、炭化物の平均間隔が5〜30μm 、結
晶粒度が10〜13番であり、圧延方向もしくは圧延直角方
向のr値が1.3 以下で、かつ板面内の全方向の平均r値
が1.3 以下、板面内の全方向の最大r値と最小r値の差
が0.4 以下である均一変形性および表面美麗性に優れた
缶用鋼板である。
【0014】また、本発明では、前記缶用鋼板は、重量
%で、C:0.04〜0.08%、Mn:0.3〜0.6 %、Al:0.02
〜0.20%、Ntotal :0.003 %以下、B:0.005 %以下
を含有する組成とするのが好ましく、また、本発明で
は、前記缶用鋼板が、重量%で、C:0.04〜0.08%、S
i:0.03%以下、Mn:0.3 〜0.6 %、P:0.02%以下、
S:0.02%以下、Al:0.02〜0.20%、Ntotal :0.003
%以下、O:0.01%以下、B:0.005 %以下を含有し、
残部Feおよび不可避的不純物である組成とするのが好ま
しい。
【0015】また、本発明では、前記鋼板の少なくとも
片面に表面処理層を有するのが好ましい。また、本発明
は、重量%で、C:0.04〜0.08%、Mn:0.3 〜0.6 %、
Al:0.02〜0.20%、Ntotal :0.003 %以下、B:0.00
5 %以下を含有する鋼素材に、熱間圧延を施し熱延板と
したのち、巻取温度:650 ℃以下で巻取り、10〜60min
間空冷保持したのち水冷し、ついで冷間圧延を施し、再
結晶温度以上800 ℃以下の温度で連続焼鈍を行ったの
ち、圧下率:1.0 〜10%の二次圧延を施すことを特徴と
する均一変形性および表面美麗性に優れた缶用鋼板の製
造方法である。また、本発明では、二次圧延を施したの
ち、表面処理を施すのが好ましい。表面処理は、錫めっ
き処理あるいはクロムめっき処理、あるいはこれらの上
にラミネートフィルムによるコーティングを施すのが好
ましい。
【0016】また、本発明の缶用鋼板は、とくに板厚0.
20mm以下の薄肉缶に好適である。
【0017】
【発明の実施の形態】まず、本発明者らは、3ピース缶
および2ピース缶について、製缶加工において均一変形
性におよぼす要因について検討した。機械的特性の異な
る高強度極薄缶用鋼板を製造し、3ピース缶においては
胴部を真円の円筒形に加工したのち、樽加工を行い、2
ピース缶においては底付円筒への凹凸加工、多段ネック
イン加工と、底部のドーム加工を行い加工後の均一性を
調査した。
【0018】図1には、3ピース缶胴部の樽加工に相当
する張出し加工(変形量:約5〜20%)を全周に行った
のち、15度間隔で全周にわたり測定した缶高さ方向収縮
率の平均収縮率と缶高さ方向のr値との関係を示す。な
お、鋼板の板厚は0.13mmであり、缶高さ方向収縮率
(%)は、(張出加工前缶高さ−張出加工後缶高さ)/
(張出加工前缶高さ)×100 (%)で定義される。
【0019】缶高さ方向の鋼板r値は、缶胴板を圧延方
向に巻く従来のシートコート法では圧延方向と直角方向
のr値であり、缶胴板を圧延方向と直角方向に巻くフィ
ルムラミネート法では圧延方向のr値をいう。缶高さ方
向の平均収縮率が4%以下であれば、蓋との2重巻締め
性が良好で均一に巻締められるが、4%を超えると巻締
めが不均一となる。したがって、図1から、缶高さ方向
の鋼板r値が1.3 以下であれば、缶の全周にわたり変形
が均一となり、均一変形性が達成できるという知見を得
た。
【0020】次に、2ピース缶成形時の均一変形性にお
よぼすr値の影響を検討した。2ピース缶はまず円筒に
絞り加工されるため、より正確な情報を得るため板面上
全方向のr値との関係を調査した。r値の異なる鋼板
(板厚0.16mm)を用い、プレスで190g飲用缶サイズの円
筒状に絞り加工したのち、ドーム加工を加え、ドーム部
の均一性を評価した。ドーム部の均一性は、底部を定盤
に当て、定盤上で軽く振り、「がたがた」音の発生の有
無で評価した。「がたがた」音の発生がないものを○、
「がたがた」音の発生のあるものは缶底全周が定盤に当
たっていないため×とした。このドーム部の均一性を、
板面内全方向の平均r値と、最大r値と最小r値の差と
の関係で整理し図2に示す。ここで、板面内全方向のr
値とは、圧延方向を基点として、板面上で15度毎にサン
プルを採取しおのおののr値を測定した。板面内全方向
の平均値を「板面内全方向の平均r値」とした。また、
全方向のr値のうちの最大値と最小値の差を、「板面内
全方向の最大r値と最小r値の差」とした。
【0021】図2から、全方向の平均r値が1.3 以下
で、全方向の最大r値と最小r値の差が0.4 以下、好ま
しくは0.3 以下であれば、均一なドーム部が得られるこ
とがわかる。全方向の最大r値と最小r値の差が0.4 を
超えると、方向によるr値の差により不均一変形が生
じ、一方、全方向の平均r値が1.3 を超えると、円筒絞
り成形時の板厚減少が大きいため、わずかなr値差でも
その後の加工に際し不均一変形をもたらすものと推察さ
れる。
【0022】また、全方向の平均r値が0.5 未満では、
円筒絞り成形が困難となる。つぎに、上記した範囲のr
値を得る方法について検討した。Mn量の異なる0.05wt%
C−0.01wt%Si−0.01wt%P−0.01wt%S−0.04wt%Al
−0.0O20wt%N−0.002wt %B鋼を用い、製造条件を変
え、r値を変化させた鋼板を得た。これら鋼板につい
て、全方向の平均r値と、全方向の最大r値と最小r値
の差をもとめ、全方向の平均r値と最大r値と最小r値
の差との関係を図2に示す。
【0023】図2から、Mn量により、全方向の平均r値
と最大r値と最小r値の差との関係が変化し、Mn=0.5w
t %の場合が、目標とする全方向の平均r値(1.3 以
下)と最大r値と最小r値の差(0.4 以下)との関係を
安定して得ることができることがわかる。本発明者ら
が、さらに検討した結果、0.04〜0.08wt%の低炭素鋼で
は、Mn:0.3 〜0.6 wt%の範囲とすることにより、全方
向の平均r値を1.3 以下、最大r値と最小r値の差を0.
5 以下とすることができることがわかった。詳細な理由
は不明であるが、Mnは比較的平均r値を大きく変化させ
る元素であり、そのため、平均r値と、最大r値と最小
r値の差とのバランスを変化させ最適化したものと考え
られる。
【0024】なお、全方向のr値が、全周方向の平均r
値1.3 以下で、最大r値と最小r値の差0.5 以下(望ま
しくは0.4 以下)の関係にある鋼板は、圧延方向および
圧延方向に直角方向のr値が1.3 以下となり、3ピース
缶用としても好適となることを確認した。しかし、図3
に示すように、Mn量が0.3 〜0.6wt %の範囲であって
も、炭化物の平均間隔が30μm を超えると、最大r値と
最小r値の差はあまり小さくならない。これは、熱延板
ですでに炭化物の平均間隔が大きかったため、焼鈍に際
し結晶粒がやや混粒気味に粗大化し不均一性をもたらし
たものと推察される。
【0025】なお、箱焼鈍法を用いた場合には、本発明
の範囲に組成を限定しても、全方向の平均r値を1.3 以
下とし、かつ最大r値と最小r値の差を0.5 以下(望ま
しくは0.4 以下)とすることは困難である。つぎに、本
発明者らは、肌荒れ、ストレッチャーストレインの発生
防止について検討した。
【0026】肌荒れの発生を防止するには、結晶粒径を
小さくすることが有効であるが、一方ストレチャースト
レインの発生を防止するためには、結晶粒径を大きくす
る方策が取られていた。結晶粒径が大きいほど、降伏遅
れ時間が短く、リューダース前線速度が大きくなるた
め、降伏点伸びは減少し、ストレッチャーストレインは
発生しにくくなる。
【0027】本発明者らは、この相反する特性を同時に
満足させる方策について鋭意検討した結果、結晶粒度と
炭化物の平均間隔を適正範囲に調整することにより、肌
荒れの発生防止とストレチャーストレインの発生防止を
同時に満足させることができることを新規に見いだし
た。結晶粒度および炭化物の平均間隔と、肌荒れおよび
形状凍結性との関係を図4に示す。なお、肌荒れの評価
は、3ピース缶の製造法に基づき飲料缶(250g)の寸法
の円筒形状に溶接成形したのち、張出加工(円周方向伸
び15%)を行い、表面粗度Raが1.0 μm 以上となった
場合を「肌荒れあり」とした。また、形状凍結性につい
ては、上記条件で、張出加工後の形状を外観観察し、樽
型の折れ線が全体的に不鮮明となったものを「形状凍結
性不良」とした。これは、加えた加工量にもよるが、概
ねスプリングバック1%程度以上に相当する。
【0028】炭化物の平均間隔が30μm を超えるか、結
晶粒度が10番より小さくなり、すなわち結晶粒径が大き
くなると、肌荒れが発生する。一方、炭化物の平均間隔
が5μm 未満となるか、結晶粒度が13番超えとなると、
材質が硬質化し形状凍結性が劣化し張出し加工を行って
も加工後の形状が不均一となる。すなわち、結晶粒度を
10〜13番の範囲内とし、かつ炭化物の平均間隔を5〜30
μm とすることにより肌荒れの発生防止と形状凍結性を
同時に満足させることができるという知見を得た。な
お、結晶粒径および炭化物分布を上記範囲とするには、
C量、Mn量、コイル巻き取り条件等の制御により可能で
ある。
【0029】一方、ストレッチャーストレインが、結晶
粒径が10番以上と小さい場合でも発生しないように、連
続焼鈍法を適用した缶用鋼板の時効性改善について検討
した。時効性を低減するには、固溶N量および固溶C量
を少なくすることが有効である。本発明者らは、固溶N
量の低減には、Ntotal を低減し、かつAlの添加に加え
Mn、Bを複合添加し、〔N〕={Ntotal −(NasALN
+NasBN)}を0.002wt %以下とすることにより固溶N
によるストレッチャーストレインを抑えるのに有効であ
ることを見いだした。また、固溶Cについては、Mnを適
量添加し、さらに炭化物の平均間隔を30μm 以下とする
ことにより著しく時効性を改善できることを見いだし
た。
【0030】図5には、炭化物の平均間隔が10μm の場
合における、時効硬化指数AI値におよぼす〔N〕値の
影響を示す。〔N〕値が0.0020wt%を超えるとAI値が
急激に増加するが、これは固溶N量が増加したためであ
る。なお、AI値が5kgf/mm 2 を超えるとストレッチャ
ーストレインが発生することを確認している。また、Mn
量の増加にともない、時効性が改善されている。
【0031】図6には、Mn:0.5 wt%含有する鋼板にお
ける時効硬化指数AI値におよぼす炭化物の平均間隔の
影響を示す。〔N〕={Ntotal −(NasALN +NasB
N)}が0.002wt %以下であっても、炭化物の平均間隔
が30μm を超えると、AI値が5kgf/mm2 を超えてスト
レッチャーストレインが発生するようになる。これは、
固溶Cの増加によるものと考えられる。
【0032】まず、本発明鋼板の化学組成の限定理由に
ついて説明する。 C:0.04〜0.08% Cは、鋼板の強度と時効性の観点から、重要な元素であ
るが、C量が0.04%未満では、結晶粒径が大きくなり、
張出し成形後に肌荒れを発生しやすくする。また、C量
が0.04%未満では、炭化物の分布が粗くなり固溶Cの析
出サイトが減少し固溶Cが残存しやすくなり、時効硬化
が増大し、ストレッチャーストレインの発生頻度が増加
する。一方、C量が0.08%を超えると、結晶粒径が極端
に小さくなり(図4参照)、材質が過度に硬質化し、成
形性が劣化するとともに形状凍結性が低下し、さらに缶
接合部が硬質化して割れが発生しやすくなる。また、C
量が高くなると、冷間圧延性が低下し、本発明が目標と
する0.20mm以下の極薄鋼板の経済的な製造が難しくな
る。このようなことから、C含有量は0.04〜0.08%の範
囲に限定した。
【0033】Mn:0.3 〜0.6 % Mnは、鋼の固溶強化に効果があり、薄肉化に対応するた
めに有効である。また、MnはMnS を形成し熱延板の耳割
れを防止するのに有効な元素である。微細に析出したMn
S は、固溶Cの析出サイトとして作用し、固溶Cを低減
し耐時効性を改善する効果を有する。さらに、Mnはセメ
ンタイト中に濃化し、セメンタイト−フェライト界面の
移動速度を遅くするため、熱間圧延の巻取り工程でセメ
ンタイトの粗大化を抑制し、セメンタイトの微細分散を
促進し結晶粒の粗大化を防ぐとともに、セメンタイトの
再固溶を遅らせ固溶Cの増加を抑制し耐時効性を改善す
る効果が期待できる。また、Mnはr値の増加を適度に抑
制し、全周方向の平均r値と、最大r値と最小r値の差
をバランスよく制御する作用もある。このような効果を
得るためには、Mnは少なくとも0.3 %以上含有させる必
要があるが、0.6 %を超えると、r値の適正化が困難と
なり、細粒化等(図4参照)により硬質化が著しくなる
とともに経済的に高価となる。このため、Mnは0.3 〜0.
6 %の範囲に限定した。なお、さらに好ましい範囲は0.
45〜0.60%である。
【0034】Al:0.02〜0.20% Alは、精錬過程で脱酸剤として作用し、鋼の清浄度を高
める作用を有し、さらにAlN として鋼中の固溶Nを低減
し時効性を低減する効果を示す。この結果を得るために
は、Alは0.02%以上の添加が必要となる。一方、Al添加
量が0.20%を超えると、アルミナクラスターなどに起因
する表面欠陥の発生頻度が急増する。このため、Alは0.
02〜0.20%の範囲に限定した。なお、より好ましい範囲
は0.03〜0.08%である。
【0035】Ntotal :0.003 %以下 Nは、時効性を促進する元素であり、ストレッチャース
トレインの発生頻度を増加させるため、できるだけ低減
する。全N量Ntotal を0.0030%以下の範囲に制限すれ
ば、{Ntotal −(NasALN +NasBN)}を 0.002wt%
以下とすることが比較的容易であり、上記した悪影響を
抑制でき実用上の不具合発生を防止できる。また、Al、
B量を低減でき、コスト低減となる。Ntotal の下限は
とくに限定しないが、0.0010%程度であれば、経済的、
工業的に達成できる範囲といえる。なお、材質の安定性
確保という観点からは、0.0025%以下とするのが好まし
い。
【0036】B:0.005 %以下 Bは、炭化物や窒化物を形成し、固溶Cや固溶Nを低減
する効果を有する本発明では重要な元素である。さら
に、Bはとくに溶接缶の溶接熱影響部結晶粒の粗大化を
抑制する効果を有している。しかし、0.005 %を超えて
添加しても効果が飽和する傾向にあり、表面欠陥の発生
などの不具合を生じる。このため、Bは0.005 %以下に
限定した。なお、このような効果が著しく発揮されるに
のは、0.0002%以上の添加からであり、望ましくはBは
0.0002%以上0.005 %以下である。材質の安定確保とい
う観点からは、0.0005〜0.005 %が好ましい。
【0037】その他、Si:0.03%以下、P:0.02%以
下、S:0.02%以下、O:0.01%以下、残部Feおよび不
可避的不純物とするのが望ましい。 Si:0.03%以下 Siは、耐食性を劣化させる元素であるとともに、さらに
材質を極端に硬質化させる元素であるため、形状凍結性
を確保する意味からも過剰な含有は避けるべきである。
軟質なT2.5 材用素材とするためには、Siは0.03%以下
に限定するのが望ましい。なお、耐食性をとくに要求さ
れる用途に用いる場合には、Siは0.02%以下とするのが
望ましい。
【0038】P:0.02%以下 Pは、鋼を硬質化させ、圧延性を劣化させるとともに、
耐食性を劣化させる元素である。とくに、P量が0.02%
を超えると、その影響が顕著となるため、0.02%以下と
するのが望ましい。 S:0.02%以下 Sは、鋼中では非金属介在物として存在し鋼板の延性を
低下させ、さらに耐食性を劣化させる元素であり、Mn量
との関係で過剰に含有すると、高温γ域で固溶していた
Sが温度の低下とともに過飽和となり(Fe,Mn)Sとしてγ
粒界に析出し、赤熱脆性による熱延鋼板の耳割れを起こ
す。このようなことから、Sは0.02%以下とするのが望
ましい。
【0039】O:0.01%以下 Oは、溶鋼中のAl、Mn、耐火物のSi、フラックスのCa、
Na、F等とで形成された酸化物として鋼中に存在し、製
缶加工時の割れ、あるいは耐食性劣化の原因となるた
め、できるだけ低減するのが望ましい。0.01%以下に低
減すれば、上記した悪影響は少なくなるため、Oは0.01
%以下に低減するのが望ましい。
【0040】O低減の方法として、転炉精錬においては
底吹き転炉を用いるのが好ましい。さらに、精錬過程に
おいて適量のAl添加が清浄度改善に効果がある。残部は
Feおよび不可避的不純物からなるが、不純物として、S
n、Ti、Nb、Cu、Cr、V、Mo、Ni等のトランプエレメン
トが混入しても、Cu、Cr、Niについては、各々0.10wt%
以下、その他の元素についても各々0.02wt%以下であれ
ば許容でき、缶としての使用特性におよぼす影響は無視
できる。
【0041】{Ntotal −(NasALN +NasBN)}:
0.002wt%以下 本発明では、AlおよびBを添加しAlN 、BNとして固溶N
を固定する。固溶Nは、上記したように時効性を増加さ
せる元素であり、耐時効性を改善するために固溶N量を
低減する必要があり、本発明では、全N量Ntotal と、
ALN となっているN量NasALN 、BNとなっているN量N
asBNとの関係、〔N〕={Ntotal −(NasALN +Nas
BN)}を0.002wt %以下に限定する。〔N〕が、0.002w
t %を超えると、耐時効性が劣化して、ストレッチャー
ストレインが発生する。このため、〔N〕={Ntotal
−(NasALN +NasBN)}を0.002wt %以下となるよう
にN、Al、B量および製造条件(主として巻取温度)を
調整する。なお、NasALN量およびNasBN量は、焼鈍後
の鋼板(錫めっき、溶錫処理後でもよい)から採取した
試料から、ブロムエステル法で抽出し吸光光度法でAl、
Bをそれぞれ定量分析し得た値を用いるものとする。
【0042】本発明鋼板では、上記した成分組成の限定
に加え、結晶粒度を10〜13番、炭化物の平均間隔を5〜
30μm に限定する。 炭化物の平均間隔:5〜30μm 炭化物の平均間隔が30μm を超えると、結晶粒が粗大化
する傾向と相まって肌荒れが発生し表面美麗性が劣化す
る。また、図6に示すAI値におよぼす炭化物の平均間
隔の影響からわかるように、炭化物の平均間隔が30μm
を超えると、上記した〔N〕量が0.002wt %以下の場合
でもAI値が5kgf/mm2 を超えストレッチャーストレイ
ンが発生する。炭化物の平均間隔が30μm 以下と狭くな
ることにより、連続焼鈍処理の冷却過程で析出するセメ
ンタイトの析出サイトが増加し、セメンタイトの析出が
促進され、その結果固溶C量が減少し耐時効性が改善で
きるものと考えられる。さらに、炭化物の平均間隔を30
μm 以下とすることで、均一変形性が向上する。さら
に、炭化物の平均間隔が5μm 未満では、過度の細粒化
と相まって形状凍結性を劣化させる。なお、炭化物の分
布の影響の中に焼鈍過程での材質形成に関係するものも
あるが、熱延時に形成された炭化物は冷間圧延によって
もほとんど砕かれることなくほぼ同じ大きさ、分布を有
している。連続焼鈍により、炭化物の凝集が起こるが、
連続焼鈍温度が800 ℃以下の低温であれば熱延板と同じ
炭化物の大きさ、分布となっている。このようなことか
ら、本発明では、熱延板の炭化物の分布を調整すること
により、製品板における分布も制御することとした。
【0043】なお、炭化物の平均間隔は、光学顕微鏡ま
たは電子顕微鏡を用いて、最終製品の鋼板圧延方向断面
の面積100 μm ×100 μm 以上について平均間隔を測定
した平均値を用いるものとする。 結晶粒度:10〜13番 結晶粒が粒度番号10番を超えて粗大化すると、肌荒れが
発生し表面美麗性が劣化する。一方、粒度番号13番を超
えて細粒化すると、材質が硬質化し形状凍結性が劣化す
る。このため、結晶粒度を10〜13番の範囲に限定した。
なお、結晶粒度は、再結晶フェライト粒を対象として、
JIS G 0552の規定に準じて測定した値を用いものとす
る。結晶粒度は鋼板断面の表層5μm を除く全厚につい
て測定した。
【0044】本発明の缶用鋼板は、3ピース缶用鋼板に
ついては円筒成形時の缶胴部円周方向、すなわち圧延方
向もしくは圧延直角方向のr値を1.3 以下とする。ま
た、2ピース缶用鋼板については全方向の平均r値が1.
3 以下で、全方向の最大r値と最小r値の差が0.4 以
下、好ましくは0.3 以下とする。もちろん、両方の特性
を兼ね備えてよいことはいうまでもない。
【0045】つぎに、本発明の缶用鋼板の製造方法につ
いて説明する。上記した組成の溶鋼を通常公知の溶製方
法で溶製し、連続鋳造法等により凝固させた鋼素材とす
る。溶製方法は、とくにO低減のため、転炉精錬におい
ては底吹き転炉を用いるのが好ましく、また真空脱ガス
処理による脱酸強化、鋳込速度の調整等が重要になる。
さらに、精錬過程において適量のAl添加が清浄度改善に
効果がある。
【0046】ついで鋼素材に熱間圧延を施す。鋼素材
は、凝固後いったん室温まで冷却したのち再加熱する
か、あるいは冷却することなく加熱炉に装入されて加熱
されてもよい。熱間圧延のための鋼素材の加熱温度は、
とくに限定されないが1100〜1250℃で保持されるのが望
ましい。加熱温度が1100℃未満では、全幅全長にわたっ
てAr3以上の仕上げ圧延温度(FDT)を確保すること
が困難となるうえ、その後の圧延時にシートバー端部割
れを発生する危険がある。一方、加熱温度が1250℃を超
えると、結晶粒が異常に成長し組織が不均一となるう
え、加熱炉のエネルギーコストが増大する。
【0047】鋼素材は、粗熱間圧延によりシートバーと
されたのち、仕上圧延を施される。仕上圧延は、仕上圧
延温度を 850〜920 ℃とする圧延とするのが好ましい。
仕上げ圧延温度が 850℃未満では、最終製品の結晶粒を
微細化することが難しく、製缶後の表面美麗性が損なわ
れる。一方、920 ℃を超えるとスケールロスが増加す
る。このようなことから仕上げ圧延温度は 850〜 920℃
とするのが好ましい。
【0048】なお、仕上げ圧延終了後、30℃/s以上の強
制冷却を行うのが好ましい。強制冷却により、結晶粒径
の粗大化が抑制され、炭化物の平均間隔が小さくなり、
脱スケール性も改善される。巻取り温度は650 ℃未満と
する。巻取り温度が650 ℃以上では、結晶粒の粗大化が
進み、肌荒れが発生しやすくなる。(図4参照)巻取り
温度の下限はとくに限定しないが、500 ℃未満では鋼板
形状、幅方向の材質均一性が低下するため巻取り温度は
500 ℃以上とするのが好ましい。なお、より好ましくは
550 以上600 ℃以下である。
【0049】巻取り後、10〜60min 間空冷保持したのち
水冷する。巻取り後の冷却中に60min を超えて空冷する
と、炭化物の凝集が進み、炭化物の平均間隔が大きくな
り、時効性が劣化する。(図4参照)一方、10min 未満
の空冷保持で水冷を開始すると、AlN 、BNの析出が不十
分となるほか、コイル内の温度不均一による材質のばら
つきが大きくなる。このため、水冷に先立つ空冷保持は
10〜60min 間とする。なお、炭化物の平均間隔を30μm
以下とするためには、巻取り温度の調整のほか連続焼鈍
温度を800 ℃以下とする連続焼鈍条件の調整、Cを0.04
%以上とするC含有量の調整を合わせて行う必要があ
る。(図4参照)なお、巻取温度の調整および巻取り後
の空冷時間は、AlN 、BNの析出を促進し、〔N〕={N
total −(NasALN +NasBN)}を0.002wt %以下とす
るにも好適である。
【0050】熱延板は熱延後、酸洗を行うのが好まし
い。酸洗は、通常の塩酸、硫酸による酸洗とするのが好
ましい。酸洗に続いて、熱延板は冷間圧延を施され冷延
板とされる。酸洗後の冷間圧延は、焼鈍後の冷間圧延と
区別するため1次冷間圧延と呼ぶ。1次冷間圧延の条件
はとくに限定されない。本発明の極薄鋼板では、通常、
圧下率85%以上、好ましくは88%以上の圧延が施され
る。
【0051】1次冷間圧延後、冷延板には焼鈍が施され
る。焼鈍は、再結晶温度以上800 ℃以下の温度で連続焼
鈍を行う。優れた成形性を得るため、鋼板は再結晶温度
以上で焼鈍され、再結晶組織とされる。しかし、焼鈍温
度が800 ℃を超える高温では、炭化物の平均間隔が30μ
m を超え、耐時効性が劣化し、r値を1.3 以下とするの
が困難となる。このため、連続焼鈍の焼鈍温度は再結晶
温度以上800 ℃以下とした。なお、材質の均一性の観点
から好ましくは再結晶温度以上720 ℃以下である。
【0052】連続焼鈍の均熱時間は、1〜6sec とする
のが望ましい。均熱時間が1sec 未満では、セメンタイ
トの析出が十分でなくストレッチャーストレインを発生
する可能性がある。一方、6sec を超えると生産性が低
下する。本発明では、過時効処理を行うことなく低時効
性の鋼板を製造できるが、時効性が過大にならないよう
に、過時効処理を施すのが望ましい。過時効処理は、40
0 〜450 ℃間を5 sec以上保持するか10℃/s以下の冷却
速度で徐冷するのが望ましい。なお、連続焼鈍後に箱焼
鈍サイクルで過時効処理を施してもよい。
【0053】焼鈍後、冷間圧延(2次圧延)を施す。2
次圧延の圧下率は1.0 〜10%とする。2次圧延は、缶体
強度を確保するのに必要な圧下率で行う必要がある。焼
鈍板の材質の均一化、可動転位の導入による時効性の低
減のためには、少なくとも 1.0%以上の圧下率とするの
が好ましい。一方、圧下率が10%を超えると、成形時の
スプリングバック量が大きく、また延性が低下する、あ
るいは延性の異方性が増加するなどの問題が生じる。こ
のため、2次圧延の圧下率は1.0 〜10%の範囲に限定し
た。
【0054】2次圧延後、鋼板の少なくとも片面に表面
処理を施し、表面処理層を形成させすのが望ましい。表
面処理としては、錫めっき処理、またはクロムめっき処
理を施すのが望ましく、また、錫めっき後クロムめっき
処理、あるいは金属クロム層のうえに酸化クロム層を有
するクロムめっき処理が望ましい。これら表面処理によ
り、缶用のぶりき、薄錫めっき鋼板(LTS)、あるい
はティンフリー鋼板(TFS)となる。なお、薄錫めっ
き鋼板は、冷間圧延後鋼板表面にニッケルめっきを施し
たのち、連続焼鈍を行いニッケルを拡散させ、調質圧延
後錫めっきを施したものである。
【0055】錫めっきは、ハロゲンタイプの電気錫めっ
きとするのが好ましく、めっき後溶錫処理(リフロー処
理)、クロメート処理を連続して施すのが良い。クロム
めっきは、電気めっきラインでクロメート液中で金属ク
ロムをめっきしたのち引き続いてクロメート液中でクロ
ム水和酸化物をめっきするのが好適である。
【0056】本発明は、細粒強化を効果的に用いている
ため、とくに0.20mm以下の極薄鋼板に適用して好適であ
る。また、上記した条件で製造すれば、均一変形性に優
れ表面美麗性に優れた缶用鋼板となる。それらの缶用鋼
板は、時効性が低く、さらに圧延方向r値、圧延直角方
向r値、全方向の平均r値がいずれも1.3 以下であり、
しかも最大r値と最小r値の差が0.4 以下であり、2ピ
ース缶、3ピース缶に加工しても均一変形し、2ピース
缶底部でのドーム部の周方向、3ピース缶の缶高さ方向
の収縮が少なく、鋼材の歩留りを改善できる。
【0057】
【実施例】表1に示す組成の鋼を270ton底吹き転炉で溶
製し、Alを添加しながら出鋼し、高清浄度鋼を鋳造する
のに有利な75ton の大容量のタンディッシュを経て3m
の垂直部を有する垂直ベンディング型連続鋳造機で低炭
素および中炭素Alキルド鋼鋳片(スラブ)とし、鋼素材
とした。
【0058】
【表1】
【0059】これら鋼素材を、表2に示す条件で加熱、
熱間圧延して熱延鋼板(鋼帯)とし、一部は強制冷却を
施したのちコイルに巻き取った。その後酸洗により脱ス
ケールして、ついで6スタンドのタンデム連続冷間圧延
機により極薄冷延鋼板(鋼帯)とした。これら冷延鋼板
に、一部にはニッケルめっきを施し、表2に示す条件で
連続焼鈍を施した。連続焼鈍条件は下記に示す3条件と
した。
【0060】低温単純処理サイクル(低温単純) 雰囲気:NHXガス(10%H2+90%N2) 焼鈍温度:680 ℃×10sec 中温単純処理サイクル(中温単純) 雰囲気:NHXガス(10%H2+90%N2) 焼鈍温度:700 ℃×10sec 中温過時効処理サイクル(中温OA) 雰囲気:NHXガス(10%H2+90%N2) 焼鈍温度:700 ℃×10sec +450 ℃×60sec 高温過時効処理サイクル(高温OA) 雰囲気:NHXガス(10%H2+90%N2) 焼鈍温度:830 ℃×10sec +450 ℃×60sec ニッケルめっきは、硫酸ニッケル250g/l+ 塩化ニッケル
45g/l+ほう酸30g/l 組成のニッケルめっき浴(浴温度:
65℃) 中で電流密度:5A/dm2 で行った。
【0061】ついで、焼鈍板に表2に示す圧下率で2次
圧延(調質圧延)を施し0.13〜0.22mm厚の極薄鋼板とし
たのち、表2に示す表面処理を施し該鋼板の両面に表面
処理層を形成した。表面処理層としては、錫めっき層、
薄錫めっき層およびクロムめっき層とし、それぞれ、ぶ
りき、薄錫めっき鋼板およびティンフリー鋼板とした。 (1)ぶりき 錫めっきは、ハロゲンタイプの電気錫めっきラインで下
記に示す錫めっき条件で目標全錫付着量2.8g/m2 の錫め
っき処理を行った後、リフロー処理(溶錫処理)および
クロメート処理を連続して行い、ぶりきとした。
【0062】錫めっき条件 錫めっき浴:塩化第一スズ75g/l +フッ化第一スズ25g/
l +フッ化水素カリウム50g/l +塩化ナトリウム45g/l
+Sn2+36g/l +Sn4+ 1g/l 組成、pH2.7 浴温:65℃ 電流密度:48A/dm2 なお、リフロー処理は、通電加熱により280 ℃に加熱と
する処理とした。
【0063】また、クロメート処理は、無水クロム酸15
g/l 、硫酸0.13g/l のクロメート液中で電流密度10A/dm
2 の陰極電解処理とした。 (2)薄錫めっき鋼板(LTS) 冷間圧延後ニッケルめっきを施し、連続焼鈍を施した鋼
板について、上記錫めっき条件で薄錫めっき処理(目標
全錫付着量0.85g/m2)を施したのち、ぶりきの場合と同
じ条件のリフロー処理(溶錫処理)およびクロメート処
理を行い、薄錫めっき鋼板(LTS)とした。 (3)ティンフリー鋼板(TFS) 鋼板に電気めっきラインで、無水クロム酸180g/l+硫酸
0.8g/l組成のクロメート液を用いて金属クロム量30〜12
0mg/m2のめっきを施し、ついで無水クロム酸60g/l +硫
酸0.2g/l組成のクロメート液を用いてクロム水和酸化物
量、クロム換算量で1〜30mg/m2 のめっきを施して、テ
ィンフリー鋼板(TFS)とした。
【0064】なお、錫めっき層の錫形状を電子顕微鏡を
用いて観察し、めっき付着量とともに表2に併記した。
【0065】
【表2】
【0066】これらめっき鋼板から試験片を採取し、降
伏強さ、硬さ(HR30T )、r値を求めた。なお、各鋼板
の〔N〕値、炭化物の平均間隔、フェライト結晶粒度に
ついても測定した。それらの結果を表3に示す。降伏強
さは、圧延方向の降伏強さとし、焼付け相当の時効処理
(210 ℃×20min )後の降伏強さを測定した。引張試験
片はJIS 5号試験を使用した。
【0067】r値は、圧延方向、圧延直角方向(圧延方
向と90度方向)、全方向(15度間隔)について求め、全
方向r値については、平均値と最小値、最大値を表示し
た。なお、AlN となっているN量NasALN 量およびBNと
なっているN量NasBN量は、鋼板から採取した試料を、
ブロムエステル法で抽出し、吸光光度法でAl、Bをそれ
ぞれ定量分析して得た値を用いた。
【0068】炭化物の平均間隔は、鋼板の圧延方向断面
組織を光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡を用いて観察し、
400 倍で100 μm ×100 μm 視野について炭化物の間隔
を測定しその平均値を求めた。フェライト結晶粒度はJI
S G 0522の規定に準拠して測定し、表面5μm を除く全
厚についての平均値を用いた。
【0069】
【表3】
【0070】つぎにこれらめっき鋼板について、シート
で塗装印刷焼付け処理、あるいはコイルでフィルムラミ
ネート処理を行ったのち、あるいは無地のままで2ピー
ス缶あるいは3ピース缶に製缶加工した。2ピース缶
は、鋼板をプレス加工により絞り缶としたのち、ドーム
加工、ネックイン加工を行った。加工後、ドーム部の均
一性、表面美麗性の評価およびネックイン皺の発生の有
無を調査した。その結果を表4に示すドーム部の均一性
は、底部を定盤に当て、定盤上で軽く振り「がたがた」
音が発生するか否かで評価した。「がたがた音がするも
の」を、缶底全周が定盤に当たっていないためとし×、
「音が発生しないもの」を○とした。
【0071】ドーム部の表面美麗性は、ドーム部表面外
観を肉眼で観察し、肌荒れ、ストレッチャーストレイン
の発生の有無を確認し、発生有りを×、発生無しを○と
した。肌荒れの判定が微妙なものは、表面処理層を除去
し表面粗さRa が1.0 μm 以上のものを肌荒れありとし
て×、それ以外を肌荒れなしとして○とした。
【0072】3ピース缶は、鋼板を円筒状に加工し接合
部を溶接したのち、18リットル缶サイズのペール缶およ
び250gサイズの樽形状缶に製缶した。製缶加工後、張出
し加工部の形状の均一性、表面美麗性の評価、缶高さ方
向の収縮率の測定と、蓋との巻締め性および形状凍結性
について調査した。その結果を表4に示す。張出し加工
部の均一性は肉眼で観察し、形状が均一なものを○、形
状が不均一(樽形の折れ線が部分的に不鮮明である、あ
るいは折れ線が部分的に曲がっている、張出しが部分的
に少ないなど)なものを×とした。
【0073】張出し加工部の表面美麗性は、表面外観を
肉眼で観察し、肌荒れ、ストレッチャーストレインの発
生の有無を確認し、発生有りを×、発生無しを○とし
た。なお、肌荒れの評価は2ピース缶の場合と同様とし
た。蓋との2重巻締め性は、巻締めが完全にできたもの
を○、巻締めが不十分で空気洩れが発生するものを×と
した。
【0074】形状凍結性は、250g缶サイズの円筒につい
て図4と同様の方法で評価した。いずれも圧延方向、圧
延直角方向の2通りの板取りで調査し、悪い方の結果を
採用した。
【0075】
【表4】
【0076】本発明の範囲の缶用鋼板(鋼板No.1〜No.
6、No.10 、No.12 〜No.14 、No.18)は、2ピース缶、
3ピース缶に加工しても均一に変形し、形状の均一性に
優れ、また肌荒れ、ストレッチャーストレインのような
表面外観欠陥の発生もなく、表面美麗性にすぐれた鋼板
である。また、形状凍結性も問題ない。また、本発明の
鋼板は錫めっき、クロムめっき等の表面処理を施したの
ち、塗装印刷焼付け処理、フィルムラミネート処理を行
っても2ピース缶、3ピース缶に製缶できる。
【0077】これに対し、本発明の範囲から、Mn量、N
total 、もしくは〔N〕量、炭化物の平均間隔、結晶粒
度、r値のいずれかが外れる鋼板No.7〜No.9、No.11 、
No.15 〜17は、形状の均一性および肌荒れ等の表面美麗
性に劣る。なお、仕上げ熱間圧延後の強制冷却や、Mn
量、B量の好適範囲を外れた本発明例の鋼板No.10 、N
o.12 、No.14 は目標とする材質特性を達成できるが、
結晶粒度あるいは〔N〕量が好適範囲ぎりぎりのため安
定して材質を確保したい場合には好適条件を採用するこ
とが望ましい。
【0078】
【発明の効果】本発明によれば、形状凍結性を維持しつ
つ、時効性が低く製缶後の形状均一性、表面美麗性に優
れ高強度極薄缶用鋼板が安価に提供でき、産業上格段の
効果を奏する。本発明の缶用鋼板であれば、表面処理法
によらず塗装・印刷・焼付け処理は勿論フィルムラミネ
ーテ処理を行っても良好な2ピース缶、3ピース缶を製
缶できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】3ピース缶における缶高さ方向の収縮率におよ
ぼす缶高さ方向のr値の影響を示すグラフである。
【図2】2ピース缶成形における均一変形性におよぼす
全方向の平均r値と、最大r値と最小r値の差の関係を
示すグラフである。
【図3】全方向の平均r値と最大r値と最小r値の差の
関係におよぼすMn量、炭化物平均間隔の影響を示すグラ
フである。
【図4】結晶粒度および炭化物の平均間隔と、製造条
件、肌荒れ性および形状凍結性との関係を示すグラフで
ある。
【図5】時効硬化指数AI値におよぼす〔N〕={Nto
tal −(NasALN +NasBN)}、Mn量の影響を示すグラ
フである。
【図6】時効硬化指数AI値と炭化物の平均間隔との関
係におよぼす〔N〕量の影響を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 龍 尚稔 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 登坂 章男 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 荒谷 昌利 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全N量Ntotal とALN となっているN量
    NasALN と、BNとなっているN量NasBNとが、{Ntota
    l −(NasALN +NasBN)}≦ 0.002wt%の関係を満足
    し、炭化物の平均間隔が5〜30μm 、結晶粒度が10〜13
    番であり、板面内の全方向の平均r値が1.3 以下、板面
    内の全方向の最大r値と最小r値の差が0.4 以下である
    均一変形性および表面美麗性に優れた缶用鋼板。
  2. 【請求項2】 全N量Ntotal とALN となっているN量
    NasALN と、BNとなっているN量NasBNとが、{Ntota
    l −(NasALN +NasBN)}≦ 0.002wt%の関係を満足
    し、炭化物の平均間隔が5〜30μm 、結晶粒度が10〜13
    番であり、圧延方向もしくは圧延直角方向のr値が1.3
    以下である均一変形性および表面美麗性に優れた缶用鋼
    板。
  3. 【請求項3】 全N量Ntotal とALN となっているN量
    NasALN と、BNとなっているN量NasBNとが、{Ntota
    l −(NasALN +NasBN)}≦ 0.002wt%の関係を満足
    し、炭化物の平均間隔が5〜30μm 、結晶粒度が10〜13
    番であり、圧延方向もしくは圧延直角方向のr値が1.3
    以下で、かつ板面内の全方向の平均r値が1.3 以下、板
    面内の全方向の最大r値と最小r値の差が0.4 以下であ
    る均一変形性および表面美麗性に優れた缶用鋼板。
  4. 【請求項4】 前記缶用鋼板が、重量%で、C:0.04〜
    0.08%、Mn:0.3 〜0.6 %、Al:0.02〜0.20%、Ntota
    l :0.003 %以下、B:0.005 %以下を含有することを
    特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の缶用鋼
    板。
  5. 【請求項5】 前記缶用鋼板が、重量%で、 C:0.04〜0.08%、 Si:0.03%以下、 Mn:0.3 〜0.6 %、 P:0.02%以下、 S:0.02%以下、 Al:0.02〜0.20%、 Ntotal :0.003 %以下、 O:0.01%以下、 B:0.005 %以下 を含有し、残部Feおよび不可避的不純物である組成の缶
    用鋼板であることを特徴とする請求項1ないし3のいず
    れかに記載の缶用鋼板。
  6. 【請求項6】 前記鋼板の少なくとも片面に表面処理層
    を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか
    に記載の缶用鋼板。
  7. 【請求項7】 重量%で、C:0.04〜0.08%、Mn:0.3
    〜0.6 %、Al:0.02〜0.20%、Ntotal :0.003 %以
    下、B:0.005 %以下を含有する鋼素材に、熱間圧延を
    施し熱延板としたのち、巻取温度:650 ℃以下で巻取
    り、10〜60min 間空冷保持したのち水冷し、ついで冷間
    圧延を施し、再結晶温度以上800 ℃以下の温度で連続焼
    鈍を行ったのち、圧下率:1.0 〜10%の二次圧延を施す
    ことを特徴とする均一変形性および表面美麗性に優れた
    缶用鋼板の製造方法。
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