JPH11279546A - サーモトロピック機能性材料およびそれを用いる積層体 - Google Patents

サーモトロピック機能性材料およびそれを用いる積層体

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JPH11279546A
JPH11279546A JP8663398A JP8663398A JPH11279546A JP H11279546 A JPH11279546 A JP H11279546A JP 8663398 A JP8663398 A JP 8663398A JP 8663398 A JP8663398 A JP 8663398A JP H11279546 A JPH11279546 A JP H11279546A
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JP
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thermotropic
sodium
discoloration
preservative
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JP8663398A
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English (en)
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Hidetoshi Kuromatsu
秀寿 黒松
Kenji Kurimoto
健二 栗本
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱劣化または酸化劣化による変色(黄変)が生
じにくいサーモトロピック機能性材料およびそれを封入
した積層体を提供する。 【解決手段】 等方性性を示す水溶性高分子化合物、両
親媒性化合物、水、および/または曇り点制御物質から
なる材料に、前記材料に可溶な変色防止剤を0.05乃
至3重量部を加えた。変色防止剤としては食品添加物の
保存料、酸化防止剤が好ましく、これらの併用も好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐候(光)変色を
改良してなるサーモトロピック機能性材料および少なく
とも2枚の基板(代表例としてはガラス)間にサーモト
ロピック機能性材料を封入してサーモトロピック調光ガ
ラス等として使用される積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、物理化学的に光線を可逆的に制御
する調光ガラスとして、液晶、エレクトロクロミック、
微粒子分極配向、フォトクロミック、サーモクロミッ
ク、サーモトロピック等の方式からなる調光ガラスが提
案されているが、液晶、エレクトロクロミック、微粒子
分極配向、フォトクロミック、サーモクロミック方式に
よる調光ガラスは、耐候(光)性、遮光性、実用的な広
い面積の確保等の技術的な問題があるとともに、非常に
高価であることから、極限られた分野にしか実用されて
いないのが現状である。
【0003】一方例えば特開平6−255016号公報
には、複数の透明板間に液体あるいは湿潤なゲルを充填
した調光ガラスとして、平行配置した2枚のガラス板間
に温度上昇により白濁するサーモトロピック高分子水溶
液を充填したサーモトロピック調光ガラスが記載されて
いる。このような調光ガラスに充填される機能性材料と
しては、例えば、特開平6−255016号公報記載の
多糖類誘導体(具体的にはヒドロキシプロピルセルロー
ス)の水溶液や、特公昭61−7948号公報記載のN
−イソプロピル−アクリル(メタクリル)アミドの重合
体の水溶液等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記サーモトロピック
調光ガラスは液晶等を用いたものよりも耐候(光)性、
遮光性に優れ、しかも安価であることから、今最も脚光
を浴びている調光ガラスの1種である。しかしながら建
築物に取り付けられて使用される場合は10年乃至20
年の長きにわたるので、それに封入される材料はその使
用条件によっては熱や光等により劣化し、変色(黄変)
が進行する可能性がある。その結果、調光ガラスが本来
有している特性である透光時の透明感や遮光時の白濁状
態が損なわれて視覚的な欠陥を発生し、ひいては遮光性
等の機能が低下するという虞れがある。
【0005】このようなことから、窓の開口部を極力広
く設計する昨今の建築物における使用を想定した場合、
これらの機能性材料の劣化による変色(黄変)を抑制し
て視覚的な欠陥を発生しないようにし、美観や外観更に
は機能低下を防止することが非常に重要な課題である。
一般的に、サーモトロピック調光ガラスのような建材は
建築物と同等の耐久性が要求されるものであり、10乃
至20年といった長期間の使用においても顕著な劣化を
生じないことが望まれる。但し、使用される場所や環境
によってその耐用年数や許容される劣化の程度は著しく
異なるため、各々目的に応じた耐久性を確保する必要が
ある。充分な耐久性が確保されない材料については、そ
の使用が著しく制約されることは明らかである。
【0006】本発明の目的は、サーモトロピック機能性
材料の劣化による変色(黄変)を抑制する組成を提案す
ることにより、これらの材料を封入した積層体を幅広い
用途に適用できるようにするとともに、美観や外観更に
は機能低下を防止することより長期間の使用も可能とな
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係るサーモトロ
ピック機能性材料は、等方性性を示す水溶性高分子化合
物、両親媒性化合物、水、および/または曇り点制御物
質を主たる構成成分としてなる材料に、前記材料に可溶
な変色防止剤を、前記水溶性高分子化合物100重量部
に対し0.05〜3重量部を加えてなることを特徴とす
るものであり、該変色防止剤は食品添加物の保存料およ
び/または食品添加物の酸化防止剤である。
【0008】これらの変色防止剤が、サーモトロピック
機能性材料の劣化による変色をどのような働きにより抑
制するのかは現段階おいては明らかではない。しかしな
がら、例えば食品添加物の保存料が有するカビや細菌、
酵母等の微生物の変質や腐敗を化学的に抑制する性質
が、サーモトロピック機能性材料の劣化変色の起因物質
等の発生や増加、変質等を抑制しているものと推定され
る。また食品添加物の酸化防止剤の場合は、機能性材料
そのものまたはそれらに微量に含まれる不純物等が酸化
劣化して、退職や変色を起こすのを防止しているものと
推定される。食品添加物に指定されているもの以外に
も、本発明の変色防止剤と同様の作用を示すものも多々
あると考えられるが、食品添加物に指定される程度の安
全性を有する(即ち、毒性が低い)ことは、本発明のサ
ーモトロピック機能性材料の構成成分として非常に重要
な要素である。即ち本発明のサーモトロピック機能性材
料が封入された積層体が調光ガラスとして一般的に広く
流通し、破損や破棄されたとしても人間に無害である。
【0009】またこれらの変色防止剤の添加は、本来の
機能性材料の光や熱による劣化や酸化反応をを防止する
だけでなく、サーモトロピック機能性材料を構成する材
料の受け入れ時、材料の調製時、材料の保管時および積
層体を製造する際の封入時等の工程中に混入する虞れが
あるカビ等微生物の繁殖を抑制したり、微量混入する物
質の酸化反応を防止する作用効果を兼ね備えていること
は当然である。
【0010】請求項2および請求項3記載のように該保
存料として亜硝酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソ
ルビン酸、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸ナトリウ
ムから選択される少なくとも1種を使用することは、変
色抑制効果、工業的な入手の容易さ、価格等を考慮した
場合に好ましい。請求項4および請求項5の如く該酸化
防止剤がエリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、
没食子酸プロピルから選択される少なくとも1種である
場合には、変色抑制効果、工業的な入手の容易さ、価格
等を考慮した場合に好ましい。
【0011】請求項6のように該保存料と該酸化防止剤
を併用すると、それぞれの効果を補完したり、相乗効果
を表すなどにより有益である。請求項7のように、本発
明のサーモトロピック機能性材料を基板間に封入した積
層体は、従来品に比して優れた耐久性、変色防止性を有
するために視覚的な欠陥が生じ難く、従来品に比して過
酷な条件下での使用や幅広い用途や長期の使用が可能と
なる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について図
面を参照にしながら説明する。本発明のサーモトロピッ
ク機能性材料4を封入してなる積層体(調光ガラス)の
概念図を図1に示す。隣接されて平行配置した2枚の基
板(代表例はガラス2)と、ガラス2間にシール材3を
介して封入したサーモトロピック機能性材料4、および
それが存在する層に散布されたスペーサー5からなり、
機能性材料の存在する層に隣接するガラス2に係止フィ
ルム6がラミネートされており、機能性材料側に配置さ
れたものである。
【0013】図1に示した本発明のサーモトロピック機
能性材料4は、等方性性を示す水溶性高分子化合物、両
親媒性化合物、水、および/または曇り点制御物質を主
たる構成成分としてなる材料に、前記材料に可溶な変色
防止剤を、前記水溶性高分子化合物100重量部に対
し、おおよそ0.05〜3重量部を加えてなることを特
徴とし、温度変化により透光状態と遮光状態が切りかわ
るサーモトロピック機能を有している。
【0014】ここで用いられる等方性性を示す水溶性高
分子化合物としては、曇点現象を示す非イオン性界面活
性剤や非イオン性水溶性高分子の等方性水溶液がある。
具体的には、ポリビニルアルコール部分アセタール物、
メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースの水
溶液等が例示できるが、太陽光を充分に遮光するという
点では、疎水−親水バランスがよいヒドロキシプロピル
基をもつ水溶性高分子が好適であり、構造的に安定性の
あるセルロースを主鎖にもつヒドロキシプロピルセルロ
ースが好ましい。しかし本発明はこれに限定されるもの
ではない。
【0015】このヒドロキシプロピルセルロースの等方
性水溶液等を単体で使用すると、状態変化して白濁した
時にマクロ的な相分離を起こし、以後の不可逆的な相変
化が妨げられる場合がある。しかしながら、これに親水
部と疎水部を併せ持つ両親媒性化合物を添加することで
マクロ的な相分離を抑制でき、ミクロ的な相分離状態を
長時間安定的に維持できる。
【0016】ここで言うマクロ的な相分離とは、ヒドロ
キシプロピルセルロース等の水溶性化合物の凝集が時間
経過に伴って進行し、これらの凝集物と溶媒である水が
ほぼ完全に分離し、相分離が不可逆化することを意味す
る。即ちこれらの凝集物が沈降して溶媒と明らかに分離
している状態を呈するものであり、調光ガラスとしては
機能しなくなる。一方ミクロ的な相分離とは、水溶性化
合物が部分的に凝集するものの、ある一定レベル以上の
大きさになるような凝集の進行は抑制され、溶媒の中で
これらの凝集物がほぼ均一に分散を維持している状態を
意味し、可逆的な相変化を継続できることを意味する。
【0017】上記理由から、両親媒性化合物を添加する
ことは、本発明において必須である。このような両親媒
性分子は、オリゴマー領域の約3000以下の分子量、
より好ましくは約1000以下の分子量のものが好適で
ある。又イオン性基は親水性が非常に大きいので、その
場合は両親媒性のバランスをとるために疎水基は高級ア
ルキル基等とするのがよい。一般的には親水性基として
はヒドロキシル基やエーテル基等とするものであっても
良い。具体例としては、ポリオキシプロピレン2−エチ
ル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール
(ポリオキシプロピレントリメチロールプロパンエーテ
ル)やポリプロピレングリコール、ジエチレングリコー
ルモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリ
ン、ラウリル硫酸ナトリウム等が例示できるが、その他
にも同様の作用を有する物質であれば使用することがで
きることは勿論である。
【0018】また、本発明のサーモトロピック機能性材
料が状態変化する温度を制御するために曇り点制御物質
を添加してもよく、例えば塩化ナトリウム等の無機電解
質を添加することも本発明の範疇である。これにより、
状態変化する温度を低温側にシフトさせることができ
る。食品添加物の保存料としては殺菌剤や防腐剤も含め
た概念であり、亜硝酸ナトリウム、安息香酸、安息香酸
ナトリウム、サリチル酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリ
ウム、ジフェニル、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリ
ウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息
香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオ
キシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、2
−(2−フリル)−3−(5−ニトロ−2−フリル)ア
クリル酸アミド、プロピオン酸カルシウム、プロピオン
酸ナトリウム、ラウリルトリメチルアンモニウム−2,
4,5−トリクロルフェノキサイド、次亜塩素酸、次亜
塩素酸ナトリウム、高度サラシ粉、サラシ粉等が例示で
きる。本発明においては、サーモトロピック機能性材料
を構成した際に均一に溶解可能なもの、溶解可能な量で
あれば任意に使用することができるものであり、その効
果が発現するものである。
【0019】食品添加物の酸化防止剤としては、エリソ
ルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、グアヤク酸、ジ
ブチルヒドロキシトルエン、dl−α−トコフェロー
ル、ノルジヒドログアヤレチェック酸、ブチルヒドロキ
シアニソール、没食子酸プロピル等が例示できる。本発
明に使用可能な参加防止剤は、サーモトロピック機能性
材料を構成した際に均一に溶解可能なもの、溶解可能な
量であれば任意に使用することができるものである。前
記機能性材料に溶解しない量が存在すると、視覚的な欠
点となり好ましくない。また溶解して着色する場合もあ
るが、目的や用途に応じてその意匠性を活用することも
可能である。
【0020】さらには本願の目的である積層体として使
用する場合の安全性を有する(毒性が低い)こと、機能
性材料自体の色を退色変化させないこと、長期間にわた
って効果を維持すること、安価で工業的に入手しやすい
こと等を考慮すると、該保存料としては亜硝酸ナトリウ
ム、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリ
ウム、プロピオン酸ナトリウムから選択される少なくと
も1種、該酸化防止剤としてはエリソルビン酸、エリソ
ルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル〜選択される少
なくとも1種であることが好ましい。またこれらを併用
することは、相乗効果などを期待できるのでより好まし
い。
【0021】上記サーモトロピック機能性材料の構成物
質およびその配合比は任意であるが、目的や用途に合わ
せて予備検討を実施し、所望の特性が発現されるように
物質の種類や配合量を設定する必要がある。該変色防止
剤の使用量は、機能性材料を構成する水溶性高分子化合
物100重量部に対し0.05乃至3重量部であり、好
ましくは0.1乃至2重量部である。この程度の添加量
で劣化による変色の抑制効果は十分発現される。この量
を超えて添加される場合には食品添加物の保存料に由来
する色が着色し、透光時の透明感を損なうなどの視覚的
な欠陥を生じる虞れが生じる。また機能性材料の状態変
化する温度に著しい影響を及ぼしかねない。またこの範
囲よりも少ない場合には、変色防止剤の添加効果が充分
発現されず好ましくない。従って変色防止剤の添加量
は、水溶性高分子化合物100重量部に対し0.05乃
至3重量部、好ましくは0.1乃至2重量部の範囲が好
ましく、保存料と酸化防止剤を併用する場合であっても
上記添加量の範囲で十分である。
【0022】変色防止剤以外の他の構成物質の配合比
(添加量)については、本発明のサーモトロピック機能
性材料に要求される特性に応じて決定すれば良い。即
ち、サーモトロピック調光ガラスとして使用する際の光
学特性(透光時および遮光時の透過率、反射率)、使用
される場所に適した状態変化温度等を考慮し、最適な配
合を決定する。本発明になるサーモトロピック機能性材
料を封入した積層体即ち調光ガラスの光学特性をJIS
R3106に従って評価すると、使用するガラスの種
類および機能性材料の層厚によって異なるが、層厚が3
00μm〜1mm程度のもので、透光状態においておお
よそ70%以上であった日射透過率が、遮光状態におい
てはおおよそ40%以下にまで減少し、太陽光の日射エ
ネルギーの流入量を調節できることが明らかとなってい
る。またこのときの状態変化する温度は、塩化ナトリウ
ム等の無機電解質の添加量を調節することにより、55
℃より低温側で任意に設定することができる。
【0023】本発明の積層体に用いられる基板は透明、
半透明なものが普通に使用されるが、場合によっては不
透明部分を有するものであっても良いく、その形態はシ
ート状、プレート状のいずれであっても良い。そして少
なくとも一方の一部または全部が透明なものを用いる
が、この代表的なものとしてガラスが挙げられる。図1
において示されるガラス2は、無機材料で構成されるも
のとしては通常の板ガラス、有機材料で構成されるもの
としてはポリカーボネート、アクリル樹脂、塩化ビニル
樹脂等の有機ガラスを適宜選択することができる。板ガ
ラスは使用目的に応じて、フロート板ガラス、網入板ガ
ラス、線入板ガラス、合わせガラス、強化ガラスおよび
倍強度ガラス等から適宜選択すれば良く、また2枚のガ
ラス2をそれぞれ異なる種類のガラスで構成しても良
い。特に室外側のガラスに熱線を反射する機能を有する
ガラスを使用することにより機能性材料自体の温度上昇
を抑制することができれば、保存料の作用効果との加算
的あるいは相乗的な効果により、機能性材料の変色が更
に抑制できるので好ましい。
【0024】このような基板は全部が透明である必要は
なく、例えば絵柄が印刷されてあるような基板であって
も良いし、または磨りガラスのような半透明状態にした
絵柄が施されていても良い。このように、一部に半透明
や不透明部分を有する基板を用いることにより意匠効果
を持たせることができ、より有用な調光ガラスとするこ
とができる。
【0025】次に、スペーサー5と係止フィルム6の関
係について説明する。スペーサー5は機能性材料の層厚
を積層体の全面にわたって調節、維持することを目的に
使用するものであり、それらを使用することで遮光性が
均一に現れることから好ましい。この材質は樹脂製、ガ
ラス製、セラミック製等の中から選ばれるが、機能性材
料の構成成分と科学的に反応したり、物理的な吸着や吸
収などによりその組成を変化させたり、または特性に影
響を及ぼすようなものでなければ使用可能である。但し
樹脂製のスペーサーにおいては、あまりにも軟質なもの
を選択すればスペーサー自身が変形し、その役割を果た
し得ないので適度な硬度や強度を有するものでなければ
ならない。またその大きさは0.5mm程度が好ましいが
これに限定されるものではなく、目的や用途に応じて任
意に設定できる。
【0026】係止フィルム6の使用も本発明の積層体に
とって任意に使用することができるものである。その目
的は(1)積層体の垂直使用時のスペーサーを保持する
こと、(2)紫外線遮蔽機能を付与させて機能性材料や
シール材の紫外線劣化を抑制すること等である。(1)
の目的を達成するためには係止フィルムを機能性材料
(スペーサー)側に配置し、尚かつ使用するスペーサー
よりも軟質な材料からなるものを使用すればよく、例え
ばポリエチレンテレフタレートフィルム等が好適に使用
される。(2)の目的を達成するためのは、係止フィル
ムを機能性材料よりも室外側に配置するのが好ましい。
【0027】本発明の積層体に使用されるシール材3
は、要求特性を満たすものであれば種々のものの組み合
わせて使用することも可能であり、本発明の目的を阻害
しない範囲で選択できるものである。シール材に要求さ
れる特性としては(1)積層体を構成するガラスや係止
フィルム等に良く接着すること、(2)ガス保持性が高
く、外部から機能性材料部への気体の浸入や機能性材料
の蒸気の放出が生じにくいこと、(3)機能性材料との
接触部において、その特性に影響を及ぼすような反応を
生じないこと、また、影響を及ぼすような物質を放出し
ないこと、(4)耐候(光)性等の耐久性に優れるこ
と、等である。このような特性を満たすシール材として
は、機能性材料側に熱可塑性のブチルゴム、その外側に
脱酢酸型や脱オキシム型のシリコーン系シーリング材、
紫外線硬化型のアクリル系接着剤、接着性イソブチレン
系樹脂封止剤等を使用した組み合わせが例示できる。
【0028】このようなサーモトロピック機能性材料を
封入した積層体(調光ガラス)は、ガラス間に封入した
機能性材料の効果により、通常の条件において積層体は
透明で透光状態となっており、通常のガラスと同程度の
視界及び開放感が確保されている。気温が高温になった
り強い日射により、機能性材料の温度が設定した温度に
近くなると徐々に白濁しはじめ、設定値でほぼ完全に白
濁して遮光状態となり、室内側への日射エネルギーの流
入を抑制することができる。
【0029】本発明のように変色防止剤が添加されたサ
ーモトロピック機能性材料は、人体に対する高い安全性
の維持と耐久性の向上を両立した材料であり、熱劣化や
酸化劣化による変色が著しく低減され視覚的な欠陥が生
じにくくなる。従ってこの機能性材料を封入してなる本
願発明の積層体は、高温になることが想定される大型施
設のトップライトや複層化で構成される天窓の室外側ガ
ラス等へ使用適用範囲が拡大するとともに、通常の窓や
ソーラーハウス等での使用においても長期間変色の少な
いものが提供できるようになった。
【0030】次に、具体例の一例として保存料と酸化防
止剤について説明するが、これに限定されるものでない
ことは当然である。
【0031】
【実施例】(実施例1)ヒドロキシプロピルセルロース
(以下HPCと略):ポリオキシプロピレントリメチロ
ールプロパンエーテル(三洋化成工業(株)製サンニッ
クストリオールT−P400):3%塩化ナトリウム水
溶液:亜硝酸ナトリウム=5:1:9:0.025(H
PC 100重量部に対し、0.5重量部)の重量比で
混合して得られるサーモトロピック機能性材料を、JI
S規格品であるフロート板ガラスの3mm厚みで縦横6
5mm角のものでサンドイッチし、内側を熱可塑性ブチ
ルゴム、その外側を感光性のアクリル系接着剤でシール
して積層体(調光ガラス)を得た。
【0032】この調光ガラスの状態変化する温度を測定
した後、80℃に保持した恒温器内に放置し、初期サン
プルからの変色度合いを1日後、7日後に目視観察し
た。その結果を表1に示す。 (実施例2)亜硝酸ナトリウムの代わりに、安息香酸ナ
トリウムを使用した以外は、実施例1と同様である。
【0033】(実施例3)亜硝酸ナトリウムの代わり
に、ソルビン酸を使用した以外は、実施例1と同様であ
る。 (実施例4)亜硝酸ナトリウムの代わりに、ソルビン酸
カリウムを使用した以外は、実施例1と同様である。
【0034】(実施例5)亜硝酸ナトリウムの代わり
に、プロピオン酸ナトリウムを使用した以外は、実施例
1と同様である。 (比較例1)サーモトロピック機能性材料を、ヒドロキ
シプロピルセルロース(日本曹達(株)製HPC−L、
以下HPC):ポリオキシプロピレントリメチロールプ
ロパンエーテル(三洋化成工業(株)製サンニックスト
リオールT−P400):3%塩化ナトリウム水溶液=
5:1:9の重量比で混合して得た。これをJIS規格
品であるフロート板ガラスの3mm厚のもので縦横65
mm角のものでサンドイッチし、内側を熱可塑性のブチ
ルゴム、その外側を感光性のアクリル系接着剤でシール
し、積層体(調光ガラス)を得た。
【0035】これらの状態変化温度を測定した後、80
℃に保持した恒温器内に放置し、初期サンプルからの変
色度合いを1日後、7日後に目視観察した。結果を表1
に示す。 (比較例2)サーモトロピック機能性材料を、HPC:
ポリオキシプロピレントリメチロールプロパンエーテル
(三洋化成工業(株)製サンニックストリオールT−P
400):3%塩化ナトリウム水溶液:亜硝酸ナトリウ
ム=5:1:9:0.0015(HPC 100重量部
に対し、0.03重量部)の重量比で混合して得た以外
は、比較例1と同様である。
【0036】(比較例3)サーモトロピック機能性材料
を、HPC:ポリオキシプロピレントリメチロールプロ
パンエーテル(三洋化成工業(株)製サンニックストリ
オールT−P400):3%塩化ナトリウム水溶液:亜
硝酸ナトリウム=5:1:9:0.25(HPC 10
0重量部に対し、5重量部)の重量比で混合して得た以
外は、比較例1と同様である。
【0037】
【表1】
【0038】(実施例6)サーモトロピック機能性材料
を、HPC:ポリオキシプロピレントリメチロールプロ
パンエーテル(三洋化成工業(株)製サンニックストリ
オールT−P400):3%塩化ナトリウム水溶液:エ
リソルビン酸ナトリウム=5:1:9:0.025(H
PC 100重量部に対し、0.5重量部)の重量比で
混合して得た以外は、実施例1と同様とした。この結果
を表2に示す。
【0039】(実施例7)エリソルビン酸ナトリウムの
代わりに、エリソルビン酸を使用した以外は、実施例6
と同様とした。 (実施例8)エリソルビン酸ナトリウムの代わりに、没
食子酸プロピルを使用した以外は、実施例6と同様とし
た。
【0040】(比較例4)サーモトロピック機能性材料
を、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株)製
HPC−L、以下HPC):ポリオキシプロピレントリ
メチロールプロパンエーテル(三洋化成工業(株)製サ
ンニックストリオールTP−400):3%塩化ナトリ
ウム水溶液=5:1:9の重量比で混合して得た。以下
比較例1と同様とした結果を表2に示す。
【0041】(比較例5)サーモトロピック機能性材料
を、HPC:ポリオキシプロピレントリメチロールプロ
パンエーテル(三洋化成工業(株)製サンニックストリ
オールT−P400):3%塩化ナトリウム水溶液:エ
リソルビン酸ナトリウム=5:1:9:0.0015
(HPC 100重量部に対し、0.03重量部)の重
量比で混合して得た以外は、比較例4と同様とした。
【0042】(比較例6)サーモトロピック機能性材料
を、HPC:ポリオキシプロピレントリメチロールプロ
パンエーテル(三洋化成工業(株)製サンニックストリ
オールTP−400):3%塩化ナトリウム水溶液:エ
リソルビン酸ナトリウム=5:1:9:0.25(HP
C 100重量部に対し、5重量部)の重量比で混合し
て得た以外は、比較例4と同様とした。
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】本発明は上述具体例(実施例)から明ら
かなように、次のような効果を発現する。実施例1乃至
8およびから明らかなように、食品添加物の保存料また
は酸化防止剤使用することにより、状態変化温度に著し
い変動が生じず、変色も抑制され、請求項1乃至5記載
の構成で充分な効果が発現することが明らかとなった。
【0045】比較例1、4から明らかなように、食品添
加物の保存料や酸化防止剤を添加しない場合、機能性材
料は著しく変色する。また、比較例2、5から明らかな
ように、変色防止剤を添加量が本発明の範囲より少ない
場合、その効果はほとんど見られない。さらに、比較例
3、6から明らかなように、変色防止剤を添加量が本発
明の範囲より多い場合、状態変化温度が著しく変動す
る。これは塩化ナトリウム等の量を加減することにより
調節可能であるが、その限度がある。また、変色促進す
るような悪影響を及ぼす場合がある。
【0046】請求項6のように構成すると、食品添加物
の保存料と酸化防止剤が相互に補完し、相乗的な効果が
期待できる。請求項7のように構成すると、熱劣化によ
る変色が少ない、耐久性の優れる機能性材料積層体(調
光ガラス)が得られ、長期間にわたって日射エネルギー
を効率的に取得、遮蔽し、かつ視覚的な欠陥が生じにく
い。この積層体は天窓や窓、または温室用のガラス等と
して好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 サーモトロピック機能性材料を封入した積層
体(調光ガラス)の要部断面図
【符号の説明】
1 サーモトロピック機能性材料を封入した積層体
(調光ガラス) 2 ガラス 3 シール材 4 サーモトロピック機能性材料 5 スペーサー 6 係止フィルム −以上−
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 5/134 C08K 5/134 5/15 5/15 C08L 101/14 C08L 101/14 C09K 3/00 C09K 3/00 E 15/08 15/08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 等方性を示す水溶性高分子化合物、両親
    媒性化合物、水、および/または曇り点制御物質を主た
    る構成成分としてなる材料に、前記材料に可溶な変色防
    止剤を前記水溶性高分子化合物100重量部に対し0.
    05〜3重量部を加えてなることを特徴とするサーモト
    ロピック機能性材料。
  2. 【請求項2】 該変色防止剤が、食品添加物の保存料で
    あることを特徴とする請求項1記載のサーモトロピック
    機能性材料。
  3. 【請求項3】 該保存料が、亜硝酸ナトリウム、安息香
    酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、プロ
    ピオン酸ナトリウムから選択される少なくとも1種であ
    ることを特徴とする請求項2記載のサーモトロピック機
    能性材料。
  4. 【請求項4】 該変色防止剤が、食品添加物の酸化防止
    剤であることを特徴とする請求項1記載のサーモトロピ
    ック機能性材料。
  5. 【請求項5】 該酸化防止剤が、エリソルビン酸、エリ
    ソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピルから選択され
    る少なくとも1種であることを特徴とする請求項4記載
    のサーモトロピック機能性材料。
  6. 【請求項6】 該変色防止剤が、食品添加物の保存料と
    食品添加物の酸化防止剤を併用することを特徴とする請
    求項1記載のサーモトロピック機能性材料。
  7. 【請求項7】 該サーモトロピック機能性材料を、少な
    くとも一方の一部または全部が透明である基板間に封入
    し、周辺を封止することを特徴とする積層体。
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