JPH11277085A - 媒体の浄化装置、媒体の浄化方法 - Google Patents

媒体の浄化装置、媒体の浄化方法

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JPH11277085A
JPH11277085A JP8168798A JP8168798A JPH11277085A JP H11277085 A JPH11277085 A JP H11277085A JP 8168798 A JP8168798 A JP 8168798A JP 8168798 A JP8168798 A JP 8168798A JP H11277085 A JPH11277085 A JP H11277085A
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culture
culture tank
conduit
contaminant
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Masahiro Kawaguchi
正浩 川口
Akira Kuriyama
朗 栗山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 効率的で、投下エネルギーに対して効果が大
きく、かつ、長期間安定した浄化効果を持つ浄化装置及
び浄化方法を提供する。 【解決手段】 揮発性汚染物質を含む媒体を該汚染物質
を分解可能な微生物を用いて浄化するための浄化装置で
あって、該媒体から該汚染物質を気体状で導出する手
段;該微生物を含む培養液を含む培養槽;及び該培養槽
の培養液の流れを利用して該導出手段にて導出された気
体状の該汚染物質を該培養槽に誘導せしめる手段とを備
えていることを特徴とする浄化装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微生物(原生動
物、糸状菌、放線菌、酵母、細菌)を培養し、この微生
物が有する生分解作用を利用して地下水、排水等の被処
理水中の汚染物質等の化合物あるいはそのような汚染さ
れた地下水、排水等で汚染された土壌中の汚染物質等の
化合物を選択除去したり、もしくは、無害な他の元素、
分子または、化合物に変換することによって、被処理対
象である被処理水或いは汚染土壌を浄化する装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年の急速な科学技術の進歩は大量の化
学物質や化成品を生みだしている。これらの多くは環境
中に徐々に蓄積しながら自然を汚染している。環境中の
水、大気が循環していることを考えると環境汚染は地球
レベルへと拡大していく深刻な問題である。これまでに
よく知られた汚染物質としては、トリクロロエチレン
(TCE)やテトラクロロエチレン(PCE)、ダイオ
キシンなどの有機塩素化合物、あるいはトルエン、キシ
レン、ベンゼンなどの芳香族化合物、ガソリンなどの燃
料などが挙げられる。なかでもトリクロロエチレンやテ
トラクロロエチレンなどの塩素化脂肪族炭化水素化合物
は、精密部品の洗浄やドライクリーニングなどにおいて
かつて大量に使用され、その漏洩により土壌や地下水の
大規模な汚染実体が明らかになりつつある。また、これ
らの有機塩素化合物は、一般に、揮発性が高く、場合に
よっては大気汚染をも引き起こす。さらに、これら有機
塩素化合物の催奇性や発がん性が指摘され、生物界へも
極めて重大な影響を及ぼすことがわかったため、汚染源
の遮断はもちろん、すでに汚染が拡大した土壌や地下水
の浄化は早急に解決すべき課題となっている。
【0003】有機塩素化合物で汚染された土壌の浄化方
法としては、汚染土壌を掘り起こして加熱処理する方
法、汚染土壌から真空抽出する方法、あるいは汚染物質
を分解する能力を有する微生物を注入する方法などが挙
げられる。
【0004】加熱処理法ではほとんど完全に土壌から汚
染物質を取り除くことが可能であるが、土壌掘削が必要
であることから建造物下の浄化処理は困難であり、また
掘削・加熱処理に要する費用が膨大となるため広範囲な
汚染土壌の浄化にも適用困難である。さらに、土壌中か
ら加熱蒸発させた有機塩素化合物は大気汚染の原因にな
るので、活性炭等に吸着して回収する必要があるが、こ
の使用済みの活性炭をさらに処理する必要が生じる。汚
染物質がTCEやPCE等の有機塩素化合物の場合、こ
の処理時にホスゲン等の更に毒性の高い化合物を生成し
てしまうという問題も有る。
【0005】これに対して、真空抽出法や微生物利用法
は汚染土壌を掘削する必要がないため安価で簡便である
上、建造物等で地表を使用中の土壌でも地表を使用した
まま修復作業を行うことができる利点がある。しかし、
真空抽出法は数ppm以下の低濃度の有機塩素化合物の
除去効率が低い上に、加熱処理用と同様に回収した有機
塩素化合物を改めて処理をする必要がある。
【0006】そこで、特開平7−185252号公報で
は、吸引した被処理ガスを活性炭で吸着し、その活性炭
を再処理する為に流動床を用いることによりコンパクト
な地上設備を提案しているが、処理用地上設備が必要な
ことには変わりない。
【0007】一方、微生物浄化方法は、土壌に元来生息
する土壌の分解微生物を利用する方法と土壌に元来生息
しない外来の分解微生物を利用する方法に分けられる。
前者の場合は、分解活性を高めるための栄養素、インデ
ューサ、酸素、増殖刺激剤などの菌活性化物質を土壌に
注入して浄化を行う。具体的に、有機塩素化合物分解能
を有する微生物、例えば、TCE分解菌として単離され
た報告としては、Welchia alkenophila sero 5 (USP 48
77736, ATCC 53570)、 Welchia alkenophila sero 33
(USP 4877736, ATCC 53571)、Methylocystis sp. strai
n M (Agric. Biol. Chem., 53, 2903 (1989)、Biosci.
Biotech. Biochem., 56, 486 (1992)、同56, 736 (199
2))、Methylosinus trichosprium OB3b (Am. Chem. So
c. Natl. Meet. Dev. Environ. Microbiol., 29, 365
(1989)、Appl. Environ. Microbiol.,55, 3155 (198
9)、Appl. Biochem. Biotechnol., 28, 887 (1991)、特
開平2−92274号公報、特開平3−292970号
公報)、Methylomonas sp. MM2(Appl. Environ. Microb
iol., 57, 236 (1991))、Alcaligenes denitrificans
ssp. xylosoxidans JE75(Arch. microbiol., 154, 410
(1990))、Alcaligenes eutrophus JMP134(Appl. Env
iron. Microbiol., 56, 1179 (1990))Mycobacterium v
accae JOB5(J. Gen. Microbiol., 82, 163 (1974)、Ap
pl. Environ. Microbiol., 54, 2960 (1989)、ATCC 296
78)、Pseudomonas putida BH (下水道協会誌, 24, 27
(1987))、Pseudomonas sp. strain G4 (Appl. Environ.
Microbiol., 52, 383 (1986)、同53, 949 (1987)、同5
4, 951 (1988)、同56, 1279 (1990)、同57, 1935 (199
1)、USP 4925802, ATCC 53617、この菌は初めPseudomon
as cepaciaと分類されていたが、Pseudomonas sp.に変
更された)、Pseudomonas mendocina KR-1 (Bio/Techno
l., 7, 282 (1989))、Pseudomonas putida F1 (Appl. E
nviron. Microbiol.,54, 1703 (1988)、同54, 2578 (19
88))、Pseudomonas fluorescens PFL12(Appl. Enviro
n. Microbiol.,54, 2578 (1988))、Pseudomonas putid
a KWI-9(特開平6−70753号公報)、Pseudomonas
cepacia KK01(特開平6−227769号公報)、Nit
rosomonas europaea(Appl. Environ. Microbiol.,56,
1169 (1990))、Lactobacillus vaginalis sp.nov(In
t. J. Syst.Bacteriol., 39, 368 (1989)、ATCC 4954
0)等が知られている。これらの分解菌は、すべて、T
CEを分解するために、その分解誘導物質として芳香族
化合物やメタン等の化学物質を必要とする。
【0008】また後者の場合は、外来微生物を土壌に注
入するとともに、分解活性を高めるための菌活性化物質
の注入を行う。このとき、できる限り少量の微生物ある
いは化学物質などを目的としている修復領域に広く注入
し、これにより汚染物質を分解して土壌浄化を行うこと
が経済的に望まれるが、通常、微生物浄化処理は修復領
域の土壌空隙を満たすほどの薬液量を土壌に注入して行
っており、広範な修復領域に対しては膨大な薬液量が必
要となる、という欠点がある。
【0009】また、いずれの微生物利用法においても、
この注入した微生物や菌活性化物質を一定地域に封じ込
めることや、処理作業終了後に土中で増殖した分解菌や
土壌中に残留した菌活性物質の回収が困難であるため、
これらによる土壌の二次汚染の問題がある。
【0010】以上のように、真空抽出法と微生物浄化法
には加熱処理法を上回る利点はあるが、それぞれ欠点も
持っている。
【0011】そこで、特開平6−254537号公報お
よび特開平7−112176号公報では、真空抽出法と
微生物浄化法を組み合わせ、汚染土壌中の有機塩素化合
物で汚染された空気や地下水を真空吸引して地上のリア
クタに導き、その中で微生物により分解処理する方法が
提案されている。これは、有機塩素化合物を微生物分解
することによって真空抽出法の欠点である回収した有機
塩素化合物の再処理を不要にすることと、微生物分解リ
アクタを設置することによって微生物浄化方法の欠点で
ある薬液注入の問題や二次汚染の問題を解決することを
目的としている。
【0012】しかしながら、これらの方法では、比較的
大規模な地上設備が必要であり真空抽出法と同様な欠点
を抱えたままである。バイオリアクタ内の微生物を分解
に最適な一定条件に維持するために様々な付帯設備が必
要である。例えば、TCE等の有機塩素化合物を分解浄
化する場合、微生物はTCEの分解中間産物によって障
害を受け、分解活性が低下する。このため、一定の分解
効率を長期間にわたって得ることは非常に困難である。
【0013】さらに、これらのバイオリアクターは、被
処理水とそれを処理する微生物とを混合してしまうた
め、本来の目的処理の終了した処理済み水をさらに殺菌
やフィルターレーション等の二次処理で除菌などの処理
を行わなければ、環境中に放出することはできなかっ
た。つまり、比較的大量の被処理水を扱う場合、二次処
理装置のメンテナンスが大きな負荷となっていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】汚染物質、特に有機塩
素化合物で汚染された土壌を修復するには、真空抽出法
と微生物浄化法の利点を活用した方法は不可欠である。
しかし、従来技術はただ真空抽出した汚染物質を地上設
備の微生物リアクタで分解処理する方法であり、大がか
りな設備を必要とするという問題点を有する。
【0015】真空抽出法の本質は、減圧することによっ
て、環境中の固体や液体から汚染物質を大気中に放出さ
せ、これを捕集・除去することにある。一方、微生物浄
化法の本質は、環境中の固体や液体に含まれる汚染物質
を微生物分解することによって、固体や気体から汚染物
質を吸収し、最終的にはすべての汚染物質を分解除去す
ることにある。
【0016】これらの方法の利点と問題点は次の通りで
ある。 1)真空抽出法は、比較的広範囲の汚染を対象に浄化作
業が行えるが、汚染物質は捕集されるのみで二次処理が
必要である。また、低濃度の汚染には、捕集効率が悪く
投下エネルギーに対して効果が小さい。さらに、地下水
位が高い場合は汚染物質の捕集そのものが困難になるこ
とさえある。 2)微生物浄化法は、汚染物質を一時処理のみで分解す
るために、投下エネルギーに対して効果が大きい。しか
し、リアクタを用いた浄化方法の場合、大がかりな設備
が必要であり、処理対象が汚染地下水等の水溶液の場合
は微生物の混じった処理水を二次処理する必要がある。
また直接地中で分解する方法では、環境中へ広範囲に菌
活性化物質や汚染分解活性を持つ微生物を導入すること
は困難であり、環境中でその活性を制御することも非常
に難しい。また、化学物質や微生物を環境中に放出する
ことは、二次汚染等のアセスメント、場合によっては、
汚染処理後の微生物後始末などの処理が必要となる可能
性がある。このように、リアクタを用いた方法、直接地
中で分解する方法ともに、汚染物質浄化作業以外の補助
的作業が大きな負担となりかねない。
【0017】そこで本発明は、これらの利点と問題点を
鑑み、より効率的な、投下エネルギーに対して効果の大
きく、二次汚染の心配が無く、かつ、長期間安定した浄
化効果を持つ浄化装置及び浄化方法を提案することを目
的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる現況に鑑
みてなされたものであり、汚染水や汚染土壌などの被処
理対象中の汚染物質等の化合物を選択除去したり、もし
くは、無害な他の元素、または、化合物に変換するに際
して処理効率を格段に向上でき、微生物による処理後の
二次処理を無くした浄化装置及び浄化方法を提案するも
のである。
【0019】すなわち本発明は、揮発性汚染物質を含む
媒体を該汚染物質を分解可能な微生物を用いて浄化する
ための浄化装置であって、該媒体から該汚染物質を気体
状で導出する手段;該微生物を含む培養液を含む培養
槽;及び該培養槽の培養液の流れを利用して該導出手段
にて導出された気体状の該汚染物質を該培養槽に誘導せ
しめる手段とを備えていることを特徴とする浄化装置で
ある。
【0020】また、本発明は、揮発性汚染物質を含む媒
体を該汚染物質を分解可能な微生物を用いて浄化するた
めの浄化装置であって、該微生物を含む培養液を含む培
養槽;該媒体から気体状の該汚染物質を導出する導出手
段;該導出手段及び該培養槽を繋ぐ第1の導管;及び該
培養槽の2個所を繋ぎ、途中部に循環ポンプを備えた第
2の導管を備え、該第2の導管の下流側の該培養槽との
結合物には、管内通液空間縮小による負圧形成部を有す
ると共に、該導出手段にて導出された気体状の該汚染物
質が該培養槽に吸引されるように該第1の導管の一端が
該負圧形成部に臨まされてなる液流ジェット機構を備え
ていることを特徴とする浄化装置である。
【0021】更に本発明は、揮発性汚染物質を含む媒体
を、該汚染物質を分解可能な微生物を用いて浄化するた
めの汚染媒体の浄化方法であって、該微生物を含む培養
液を含む培養槽;該媒体から気体状の該汚染物質を導出
する導出手段;該導出手段及び該培養槽を繋ぐ第1の導
管;及び該培養槽の2個所を繋ぎ、途中部に循環ポンプ
を備えた第2の導管を備え、該第2の導管の下流側の該
培養槽との結合部には、管内通液空間縮小による負圧形
成部を有すると共に、該導出手段にて導出された気体状
の該汚染物質が該培養槽に吸引されるように該第1の導
管の一端が該負圧形成部に臨まされてなる液流ジェット
機構を備えている装置を用意する工程;及び該培養槽の
培養液を第2の導管を通して循環させて該液流ジェット
機構を作動せしめ、該導出手段にて導出した気体状の該
汚染物質を該培養槽に導入させ、該微生物と該汚染物質
とを接触させる工程、を有することを特徴とする浄化方
法である。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明において、媒体とは、例え
ば水や土壌や空気等である。
【0023】図1及び2はそれぞれ、本発明に係る浄化
装置の実施形態の概略構成図である。
【0024】これらの実施形態に係る浄化装置は、大別
して3つの構成要件を含むものである。第1に、主とし
て微生物の培養と微生物による汚染物質を除去または変
換を目的とする槽である。第2に、被処理対象としての
媒体から汚染物質を気化させて微生物を含む培養液中に
移動させること主たるを目的とした汚染物質導出手段で
ある。第3に、前記培養槽の培養液の流れを利用して前
記導出手段から培養槽へ汚染物質を移送する液流ジェッ
ト機構である。
【0025】汚染物質を含む汚染水とは、工場等からの
排水、汚染された土壌中の地下水などである。このよう
な汚染水から汚染物質除去するための浄化装置の構成と
しては、例えば図1に示すような構成を採ることができ
る。つまり、汚染物質を導出する導出手段として、図1
に示すように気化槽13、及び電磁弁14、逆流防止弁
15を介して培養槽底部の液流ジェット機構6に連通す
る第1の導管21から構成したものが例示される。
【0026】又、直接汚染土壌を処理する装置構成とし
ては、図2に示すような構成が可能である。つまり、汚
染物質を導出する導出手段としては、吸引管19、及び
電磁弁14、逆流防止弁15を介して培養槽底部の液流
ジェット機構6に連通する第1の導管21から構成した
ものが例示される。
【0027】次に、図1、図2に共通する構成について
説明する。
【0028】微生物培養槽は、槽本体1上部の微生物培
養液液面より低い位置と培養槽本体1の底部とを繋ぐ導
管2(第2の導管)を有する。そしてこの導管2は途中
にポンプ4を備え、培養液を循環可能に構成されてい
る。更にこの導管2の下流側の該培養槽との結合部には
管内通液空間縮小による負圧発生部が形成され、当該負
圧発生部に汚染物質導出手段と培養槽とを繋ぐ導管21
(第1の導管)の一方の端を合流させるか又は臨ませ
て、培養槽に気化した汚染物質を導入させる推進力を形
成するための液流ジェット機構6が設けられている。こ
こで、該導管2の液流ジェット機構6の負圧発生部に臨
ませた端部は、先細ノズルとなすことが好ましい。
【0029】導管2は槽外に導出させなくてもかまわな
い。配管の複雑さ、システムのメンテナンスの困難さを
招くことになるが、浄化装置設置のスペース等を考慮し
て液流ジェット機構6を槽内空間において構成すること
もできる。
【0030】培養槽底部には、培養液更新のための排出
口5を設けることができる。ただし、この排出口は底部
に存在する必要は必ずしもないので別の部分に設置して
もかまわない。
【0031】槽上部には、微生物培養に必要な炭素源、
塩類等の栄養素を補給するための補給口16を設置す
る。図ではバルブを有する構成となっているが、気密性
が保てれば良いので、バルブのみに限定されるものでは
ない。
【0032】培養槽本体1は、有底且つ有蓋の円筒状容
器であり、気密性を維持できるように構成されている。
浄化対象物質がトリクロロエチレン(TCE)のような
揮発性の気体汚染物質なので、浄化中に汚染物質が環境
中に漏出しないよう特に気密性は重要である。蓋部は、
微生物固定化用担体の補給や槽内部の保守清掃を容易と
するために開閉可能に構成することが好ましいが、この
場合も気密性を維持しうる構造となすことはいうまでも
ない。
【0033】好気性の微生物を用いて浄化作業を行う場
合は、酸素を補給することが必要となる。このときの酸
素補給をする手段としては、有る程度は被処理水の曝気
によって汚染物質と同時に供給されるが、従来公知の散
気管やスパージャーを利用する方法や、前述の栄養素補
給口16から槽内気相に導入する方法もある。ただし、
浄化装置内への気体の供給は、必然的に装置内からの排
気が必要になり、この排気中に汚染物質が漏出してしま
う可能性が高くなる。また、浄化対象物質がTCE等の
揮発性の物質なので、空気等の気体の過剰な吹き込み
は、汚染物質の気散を招き、十分な浄化が行われず単に
大気中に飛散させているにすぎなくなる可能性があるの
で注意が必要である。この対策としては、気体での酸素
または空気供給を行わず、栄養素補給口16から注入さ
れる液体に十分に空気曝気(必要に応じて純酸素ガスで
もよい)を行い、溶存酸素として酸素を含ませることが
有効である。また、槽内に酸素センサなどを設置して常
時酸素濃度を測定して、必要に応じて培養槽内への汚染
物質の流入を止め槽内気相の交換を行うことも有効であ
る。
【0034】微生物の分解を促進するために、培養槽本
体1には、温度調整する設備を設けることができる。例
えば、培養槽外側に温水を通水する外套体を設けること
ができる。微生物が、TCE分解菌などの環境由来の場
合、槽内温度の上限は30℃程度であり、これ以上の温
度では分解活性を示さない場合が多い。最適温度範囲
は、一般に15〜25℃程度であり、地下水などは、た
いがいこの温度範囲に入るため、特別な温度調整必要と
しない場合が多いが、気化槽内などでの気化熱による温
度の低下が顕著な場合は加温等の対策が必要な場合もあ
る。
【0035】培養槽上部空間には、図2に示すように、
槽内気体をサンプリングする、例えば直径1mmのパイ
プ20が取り付けられており、そこから吸引された槽内
気体は汚染物質濃度測定装置(例えば、汚染物質がTC
EならばHNU社製自動測定機構付きガスクロマトグラ
フィ、「GC−311」)7で測定され、気相中の対象
物質が目標濃度以下になった場合、濃度測定装置に連動
した制御装置または手動で電磁弁18を開いて、槽内気
体を系外に排出することができる。また、気相中の対象
物質が上限濃度以上になり培養液内の微生物に悪影響が
懸念される場合は電磁弁14を閉じて培養槽への汚染物
質の流入を一時的に止め対象物質濃度が微生物の処理能
力範囲内に低下するのを待つことができる。また、図1
に示す気化槽13を有する構成では、培養槽上部の槽内
気体をサンプリングする代わりに、気化槽13の上部空
間の気体をサンプリングする様、パイプ20を配しても
良い。この場合、気相中の対象物質が目標濃度以下にな
った場合は、濃度測定装置に連動した制御装置又は手動
で気化槽流入管9及び流出管11の電磁弁8、10を開
いて処理対象水を入れ替えることができる。また、培養
槽内の気圧が高くなると気化槽での汚染物質の気化が抑
制されるので、培養槽内の汚染物質濃度が基準値以下に
なった後、排気用電磁弁18を開いて、培養槽内の気圧
を大気圧と同じにする必要がある。
【0036】培養槽の形状としては、図1,2及び後述
する図3に例示した構造に限定されず、気密性が保たれ
るのであれば円筒形容器、箱型容器などいずれの形状も
用いることが可能である。また、槽本体1及びこれに付
随する各管は汚染物質によっては、金属、セラミック、
フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン
(デュポン社商品名「テフロン」))、フッ素系ゴム
(例えば、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエ
チレン−ヘキサフルオロプロペン三元重合体(デュポン
社製商品名「バイトン」))、ガラスなど汚染物質を透
過或いは吸収しない素材を用いるか、これらの素材で内
側をコーティングしたものが好ましく使用される。
【0037】気化槽13は、気化槽上部の気体を、培養
槽本体1上部の槽壁を貫通した排気管から除菌フィルタ
17によって除菌した上で散気装置12に案内する通気
管3と、そして気化槽上部には、被処理水から揮発した
処理対象汚染物質を吸引する、前記電磁弁14に連通す
る排気管(第1の導管21)とを備えた構成である。ま
た、被処理水は、気化槽13上部から電磁弁8を備えた
被処理水流入管9より導入され、最終的に汚染物質の除
去された被処理水は、槽底部に接続された被処理水流出
管11から排出される。
【0038】気化槽13の形状も特に限定されず、気密
性が保たれる構造であれば円筒形、箱型等、いずれの形
状でも良く、また、上記培養槽と同様に汚染物質を透過
吸収しない素材或いはこれらの素材で内側をコーティン
グしておけば良い。散気装置12も、同様の素材を多孔
質形状に加工したものを使用すれば良い。
【0039】土壌から直接汚染物質を吸引する図2の構
成の装置において、汚染物質の導出手段であって、液流
ジェット機構6に土壌空気を導入するため吸引管19
は、上部に設置された電磁弁14及び逆流防止弁15付
きで、浄化対象土壌の汚染部位に打ち込まれ、気体状の
汚染物質を含む土壌空気を培養槽に導入するものであ
る。該吸引管19は、前記培養槽上部の汚染物質濃度が
所定値以上になると閉じる機構を有し、該吸引管19の
先端は汚染土壌中の汚染地下水面上の気相汚染領域に達
している。
【0040】更に図3に示す構成の装置において、上記
図1に示す気化槽13と同様の地下水気化槽22が設け
られ、該気化槽22には浄化対象土壌の汚染部位に打ち
込まれた吸引管19が接続されており、該吸引管19を
介して気体状の汚染物質を含む土壌空気及び/又は汚染
物質を含む地下水を気化槽22へ導入するように構成さ
れている。図3に示す装置構成では吸引管19は、前記
培養槽上部の汚染物質濃度が所定値以上になると閉じる
機構を有し、該吸引管19の先端は、汚染土壌中の気相
汚染領域或いは汚染地下水面に達している。更に気化槽
22上部には前記図1と同様に液流ジェット機構6の負
圧形成部で発生した負圧により揮発した処理対象汚染物
質を吸引する、前記電磁弁14に連通する排気管(第1
の導管21)とが備えられている。また、最終的に汚染
物質の除去された地下水は、気化槽22底部に接続され
た流出管11から排出される。
【0041】気化槽22の形状も特に限定されず、気密
性が保たれる構造であれば円筒形、箱型等、いずれの形
状でも良く、また、上記培養槽と同様に汚染物質を透過
吸収しない素材或いはこれらの素材で内側をコーティン
グしておけば良い。
【0042】また本発明では、上記の培養槽、気化槽の
セットを1ユニットとし、多数のユニットを積段又は並
設して前段のユニットから取り出した処理済液を次段の
ユニットに供給することにより多段階処理することも可
能である。或いは培養槽と吸引管のセットを1ユニット
とし、多数のユニットを汚染土壌に一定間隔でならべた
り、吸引管の長さの違う複数のユニットを設置すること
によって、一度に広い面積や深さの汚染土壌を浄化する
ことが可能である。更に培養槽を積段又は併設して前段
のユニットから取り出した処理済気体を次段の培養槽に
供給することにより多段階処理することも可能である。
【0043】本分解微生物流動型汚染浄化システムは沈
澱池、濾過槽、薬物処理槽等より構成される既存の浄水
設備と組み合わせることもできる。
【0044】本発明において、処理対象となる汚染物質
とは、揮発性炭化水素であって、特には、該揮発性炭化
水素は、ハロゲン化脂肪族炭化水素化合物または芳香族
化合物、或いは石油系燃料である。前記ハロゲン化脂肪
族炭化水素化合物の中でも塩素化脂肪族炭化水素であ
り、特に、トリクロロエチレンまたはテトラクロロエチ
レンである。
【0045】
【実施例】以下、実施例を持って本発明をより詳細に説
明するが、これらの実施例は、本発明を限定するもので
はない。
【0046】[実施例1]本発明の詳細を図示した実施
例に基づき説明する。図1は本発明の一例の概略構成を
示す縦断面説明図である。
【0047】微生物培養槽は、主として、培養槽本体
1、第2の導管2、管路途中に液体用ポンプ4を介在さ
せた液流ジェット機構6及び培養槽本体1との接合部に
除菌フィルタ17を取り付けた排気管3とより構成さ
れ、培養槽本体1内部には微生物培養液が充填されてい
る。
【0048】微生物としては好気性菌が対象となり、特
定の化学物質を分解する菌を選択することによって本装
置は微生物の増殖を利用した地下水や排水の浄化装置と
なすことができる。したがって本装置の設備規模はこれ
ら用途によって決定されるものであって、実験室レベル
のものから工場や自治体運営の大規模浄化設備への適用
までが全て対象となる。ここでは、特に地下水からの有
機塩素系化合物、特にTCEの分解浄化に本装置を適用
する場合を中心に述べる。
【0049】第2の導管2は、培養液の液面よりやや下
方位置において培養液を槽壁を貫通して槽外へと導いて
いる。
【0050】培養槽本体1の底部にあり壁を貫通して培
養液を槽外部へと排水するバルブ付き排水管5は、培養
槽内の培養液を必要に応じて更新する際に、使用中の培
養液を排出するためのものである。
【0051】液流ジェット機構6に案内される第2の導
管2の槽外導出端の先端開口径はその噴出力を増すため
に先細ノズルとなしている。尚、槽外導出端と排気管5
との間に形成される隙間の大きさを調整したり、又は液
体用ポンプ4の流量を調整することにより培養液の循環
速度を制御することもできる。
【0052】本実施例では、培養槽上部空間からの排気
が排気管3を通り液流ジェット機構部6に導かれる途中
に汚染物質の気化槽13を設置している。この気化槽1
3は上部に設置された電磁弁14および逆流防止弁15
付きの第1の導管21および被処理水流入管9、底部に
設置された被処理水流出管11および散気装置12で構
成され、培養槽上部空間からの排気は散気装置12より
気化槽13内に導入される。この際に被処理水中に溶存
している汚染物質を気相中へ気化させる。この汚染物質
を含んだ空気は第2の導管2の培養液の流れによって液
流ジェット機構部6で生じた負圧によって吸引され培養
槽培養液と混合され汚染物質を溶解させ、微生物分解を
行わせる。
【0053】第1の導管21の気化槽13付近には、逆
流防止弁15を設けポンプ停止時に培養槽培養液が液流
ジェット機構部6を介して気化槽13に逆流して被処理
水が微生物で二次汚染されるのを防ぐ。また、気化槽1
3上部空間には槽内気体をサンプリングする直径1mm
のパイプ20が取り付けられており、そこから吸引され
た気化槽内気体は汚染物質濃度測定装置(例えば、汚染
物質がTCEならばHNU社製自動測定機構付きガスク
ロマトグラフィ、GC−311)7で測定され、気相中
の対象物質が目標濃度以下になった場合、濃度測定装置
に連動した制御装置または手動で気化槽流入管9および
流出管11の電磁弁8、10を開いて処理対象水を入れ
替えることができる。また、気相中の対象物質が上限濃
度以上になり培養液内の微生物に悪影響が懸念される場
合は電磁弁14を閉じて培養槽への汚染物質の流入を一
時的に止め対象物質濃度が微生物の処理能力範囲内に低
下するのを待つことができる。また、培養槽内の気圧が
高くなると気化槽での汚染物質の気化が抑制されるの
で、気化槽内の汚染物質濃度が基準値以下になった後排
気用電磁弁18を開いて、培養槽内の気圧を大気圧と同
じにする必要がある。
【0054】液流ジェット機構の原理を示す。第1の導
管21と第2の導管2の合流地点に第2の導管2を受け
入れるためのボックスが形成されており、第2の導管2
の槽外導出端は液体用ポンプ4を経由した後、このボッ
クス内における通過断面積を狭くした縮径部に臨ませて
いる。ボックス内に進入した培養槽上部の培養液は、縮
径部を通過する際に、通過断面積の縮小に伴って流速が
加速される。加速された結果、縮径部周辺は負圧とな
り、この負圧状態に吸引されて気化槽13から汚染物質
を含む排気が噴出混合され、培養槽底部から供給される
ことになる。
【0055】このような構成の浄化装置を使用するには
次のようにする。先ず培養槽本体1に滅菌した培養液お
よび種となる微生物を導入する。培養液の導入は、例え
ば、図1で示すように栄養素補給口16を通じて行われ
る。本装置の運用前に排気口の電磁弁18を開け、逆に
気化槽排気用電磁弁14を閉め、排水口5を利用して空
気または酸素を供給しながら循環用ポンプ4を使って培
養液を装置内で所定回数循環させて、微生物を所定分解
条件になるまで十分に増殖させる。その後、排気口の電
磁弁18を閉め、気化槽排気用電磁弁14を開いて、培
養液を循環させながら被処理液を流入管9から気化槽1
3内に導入し、汚染物質濃度が基準以下となるまで、濃
度測定装置7でモニターしながら、培養槽上部空間の気
体を排気管3を用いて還流させる。新たな被処理液を気
化槽13への投入は、バッチ処理または被処理液の投入
と処理済液の取り出しを常時行う連続処理方法を採用し
てもよい。培養槽内上部の排気は排気管3から槽外へと
導かれたのち、気化槽13底部の散気装置12で曝気さ
れ被処理水の汚染物質を気化させ、液流ジェット機構が
作り出す液流ジェットの流れに吸引され槽内空間に戻さ
れ、再び槽内空間表層部に向かって浮上し、以下同じ工
程が繰り返される。このような循環過程で被処理液中の
汚染物質は気化して気体として培養槽に吸引混合され培
養槽本体1内の培養液内の微生物によって除去または変
換される。
【0056】以上述べたものは、浄化装置を単体使用す
る場合であったが、本装置は複数使用することもでき
る。例えば、汚染物質、または、その代謝物質が微生物
に毒性を示すような場合、培養槽内の微生物の消耗が激
しくなる場合がある。このような場合は、浄化装置を複
数用いることで対処することが可能である。例えば、被
処理水を希釈し、汚染物質濃度を低下させて後、浄化装
置に導入するような場合を考えると、浄化装置を複数直
列に設置することで多段処理することにより、それぞれ
の浄化装置での循環回数を減らすことが可能となり、処
理効率の向上がはかれる。
【0057】また本装置は、沈澱池、濾過槽、薬物処理
槽等より構成される既存の地下水や排水の浄化設備と組
み合わせることにより地下水や排水の浄化システムを構
築することもできる。本装置を既存の浄化設備への組み
込み位置は、浄化設備の前段であったり、あるいは後
段、更には複数槽から構成される浄化設備の途中等、様
々である。
【0058】[実施例2]本実施例では、図2に示すよ
うに土壌空気を吸引する液流ジェット機構部6に土壌空
気を導入するために土壌空気吸引管19を設置してい
る。この吸引管19は上部に設置された電磁弁14およ
び逆流防止弁15付きで、浄化対象土壌の地下水面より
上の汚染部位に打ち込まれ、気体状の汚染物質を含む土
壌空気を培養槽に導入する。この汚染物質を含んだ空気
は第2の導管2の培養液の流れによって液流ジェット機
構部6で生じた負圧によって吸引され培養槽培養液と混
合され汚染物質を溶解させ、微生物分解を行わせる。
【0059】吸引管19に連通する第1の導管21の液
流ジェット機構6付近には、逆流防止弁15を設けポン
プ停止時に培養槽培養液が液流ジェット機後部を介して
地中に逆流して土壌が微生物で二次汚染されるのを防
ぐ。また、培養槽上部空間には槽内気体をサンプリング
する直径1mmのパイプ20が取り付けられており、そ
こから吸引された槽内気体は汚染物質濃度測定装置(例
えば、汚染物質がTCEならばHNU社製自動測定機構
付きガスクロマトグラフィ、GC−311)7で測定さ
れ、気相中の対象物質が目標濃度以下になった場合、濃
度測定装置に連動した制御装置または手動で排気口の電
磁弁18を開いて槽内空気を排気することができる。ま
た、気相中の対象物質が上限濃度以上になり培養液内の
微生物に悪影響が懸念される場合は電磁弁14を閉じて
培養槽への汚染物質の流入を一時的に止め対象物質濃度
が微生物の処理能力範囲内に低下するのを待つことがで
きる。
【0060】このような構成の分解微生物流動型汚染土
壌浄化装置を使用するには次のようにする。先ず吸引管
19を被処理土壌に打ち込みその先端が汚染領域地下水
面より上に達するようにする。次に該吸引管19に図2
のように培養槽本体1など電磁弁14より上の部分を取
り付ける。更に該培養槽本体1内に滅菌した培養液およ
び種となる微生物を導入する。培養液の導入は、例え
ば、図2で示すように栄養素補給口16を通じて行われ
る。本装置の運用前に排気口の電磁弁18を開け、逆に
吸引管用電磁弁14を閉め、排水管5を利用して空気ま
たは酸素を供給しながら液体用ポンプ4を使って培養液
を装置内で所定回数循環させて、微生物を所定分解条件
になるまで十分に増殖させる。その後、排気口の電磁弁
18を閉め、吸引管用電磁弁14を開いて、地中から汚
染物質を含んだ土壌空気を吸引し、汚染物質濃度が基準
以下となるまで、濃度測定装置7でモニターしながら、
液体用ポンプ4を用いて培養液を循環させる。このよう
な攪拌過程で土壌空気内の汚染物質は培養槽に吸引混合
され培養槽内の培養液内の微生物によって除去または変
換される。
【0061】該装置も実施例1と同様複数使用すること
もできる。例えば、汚染物質、または、その代謝物質が
微生物に毒性を示し培養槽内の微生物の消耗が激しくな
る場合がある。また、汚染対象土壌の面積や深さが広大
で一台の浄化装置ではそのごく一部しか浄化できない場
合もある。このような場合は、該浄化装置を複数用いる
ことで対処することが可能である。例えば、該浄化装置
を複数直列または並列に設置することで多段または同時
並行処理することにより、それぞれの該浄化装置での負
荷を減らすことが可能となり、処理効率の向上が図れ
る。
【0062】また本装置は、沈澱池、濾過槽、薬物処理
槽等より構成される既存の土壌浄化設備と組み合わせる
ことにより汚染土壌の浄化システムを構築することもで
きる。
【0063】[実施例3]本実施例では、図3に示すよ
うに地下水及び/又は土壌空気を吸引する液流ジェット
機構部6に気体状の汚染物質を導入するために吸引管1
9を設置している。この吸引管19は浄化対象土壌の地
下水面より下に打ち込まれ、汚染物質を含む地下水を地
下水気化槽22に導入する。この気化槽22の上部に
は、電磁弁14及び逆流防止弁付きの排気管(第1の導
管21)が設置され、吸引管19で吸引された地下水に
溶存している汚染物質を気相中へ気化させる。この汚染
物質を含んだ空気は、第2の導管2の培養液の流れによ
って液流ジェット機構部6で生じた負圧によって吸引さ
れ培養槽培養液と混合され汚染物質を溶解させ、微生物
分解を行わせる。
【0064】第1の導管21の液流ジェット機構6付近
には、逆流防止弁15を設けポンプ停止時に培養槽培養
液が液流ジェット機後部を介して気化槽22に逆流して
地下水が微生物で二次汚染されるのを防ぐ。また、培養
槽上部空間には槽内気体をサンプリングする直径1mm
のパイプ20が取り付けられており、そこから吸引され
た槽内気体は汚染物質濃度測定装置(例えば、汚染物質
がTCEならばHNU社製自動測定機構付きガスクロマ
トグラフィ、GC−311)7で測定され、気相中の対
象物質が目標濃度以下になった場合、濃度測定装置に連
動した制御装置または手動で排気口の電磁弁18を開い
て槽内空気を排気することができる。また、気相中の対
象物質が上限濃度以上になり培養液内の微生物に悪影響
が懸念される場合は電磁弁14を閉じて培養槽への汚染
物質の流入を一時的に止め対象物質濃度が微生物の処理
能力範囲内に低下するのを待つことができる。また、培
養槽上部空間の槽内気相中の対象物質が目標濃度以下に
なった時点では、気化槽22内の地下水中の対象物質は
ほぼすべて気化しているので、地下水は流出管11の電
磁弁10を濃度測定装置7に連動した制御装置または手
動で開いて排出することができる。
【0065】このような構成の分解微生物流動型汚染土
壌浄化装置を使用するには次のようにする。先ず吸引管
19を被処理土壌に打ち込みその先端が汚染土壌の地下
水面より下に達するようにする。尚、吸引管19には不
図示の逆流防止弁を設けても良い。次に該吸引管19
を、図3のように気化槽22以上の構成を有する装置に
取り付ける。更に該装置の培養槽に滅菌した培養液およ
び種となる微生物を導入する。培養液の導入は、例え
ば、図3で示すように栄養素補給口16を通じて行われ
る。本装置の運用前に排気口の電磁弁18を開け、逆に
吸引管用電磁弁14を閉め、排水管5を利用して空気ま
たは酸素を供給しながら液体用ポンプ4を使って培養液
を装置内で所定回数循環させて、微生物を所定分解条件
になるまで十分に増殖させる。その後、排気口の電磁弁
18を閉め、吸引管用電磁弁14を開いて、地下水気化
槽22から汚染物質を含んだ空気を吸引し、汚染物質濃
度が基準以下となるまで、濃度測定装置7でモニターし
ながら、液体用ポンプ4を用いて培養液を循環させる。
このような攪拌過程で地下水内の汚染物質は培養槽に吸
引混合され槽内の培養液内の微生物によって除去または
変換される。
【0066】該装置も実施例1と同様複数使用すること
もできる。例えば、汚染物質、または、その代謝物質が
微生物に毒性を示し培養槽内の微生物の消耗が激しくな
る場合がある。また、汚染対象土壌の面積や深さが広大
で一台の浄化装置ではそのごく一部しか浄化できない場
合もある。このような場合は、該浄化装置を複数用いる
ことで対処することが可能である。例えば、該浄化装置
を複数直列または並列に設置することで多段または同時
並行処理することにより、それぞれの該浄化装置での負
荷を減らすことが可能となり、処理効率の向上が図れ
る。
【0067】また本装置は、沈澱池、濾過槽、薬物処理
槽等より構成される既存の土壌浄化設備と組み合わせる
ことにより汚染土壌の浄化システムを構築することもで
きる。
【0068】
【発明の効果】本発明の浄化装置は、培養槽内部の培養
液をポンプで槽下部へ送ることで槽内を均一に循環させ
ることができる。そして、気相の循環及び被処理水或い
は汚染土壌からの汚染物質の気化吸引は培養液の循環に
よる液流ジェット機構によって生成された気流によって
行うものであるから、気化吸引及び培養液への酸素供給
のための曝気に専用のポンプ等が必要ない。また、エア
ポンプによる曝気によって槽内の培養液を循環攪拌する
タイプの装置と比べても、培養液内の汚染物質濃度が高
くなりすぎて一時的に汚染物質を含む気体の流入を止め
た場合にも培養液の循環は止まらず槽全体の均一性を維
持し槽全体の分解効率の低下を避けることができる。ま
た、高濃度の汚染物質によって分解微生物の活性が低下
する問題も避けることができる。また、気化のための曝
気装置の為のポンプも必要ない。
【0069】更に本発明は、被処理水中の汚染物質を処
理するために、直接微生物と被処理水とを混和すること
がないので、処理済液の二次処理を大幅に軽減すること
ができる。また、微生物を用いて汚染物質を除去または
変換してしまうため回収した汚染物質の二次処理も大幅
に軽減することができる。
【0070】上記浄化装置をユニットとして積段又は並
設し、複数の浄化装置ユニットによって被処理液を多段
階処理するようにした場合には、被処理液が一つの浄化
装置で循環する回数を減らせるので処理効率の向上が図
れる。
【0071】液流ジェット機構内6の負圧発生部に臨ま
せた第2の導管2の開口端部を先細ノズルとなした場合
には、液流ジェットの流速が増し、培養液の攪拌力が増
す。またノズルと液流ジェット機構の外套部との間に形
成される隙間の大きさを調整したり、又は液体用ポンプ
の流量を調整することにより培養液及び被処理液の循環
速度を制御することができる。
【0072】このような浄化装置を沈澱池、濾過槽、薬
物処理槽等より構成される既存の浄水設備と組み合わせ
て、地下水、排水又は土壌の浄化システムを構成した場
合、従来の浄化システムでは困難であったTCEなどの
特定元素や化合物の除去が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】被処理対象として汚染された液体を処理するた
めの装置構成を説明する概念図である。
【図2】被処理対象として汚染された土壌を処理するた
めの装置構成を説明する概念図である。
【図3】被処理対象として汚染された土壌中の地下水を
処理するための装置構成を説明する概念図である。
【符号の説明】
1 培養槽本体 2 第2の導管 3 排気管 4 培養液循環用液体ポンプ 5 排水口およびバルブ 6 液流ジェット機構 7 汚染物質濃度測定装置及び制御装置 8 被処理水流入制御用電磁弁 9 被処理水流入管 10 被処理水流出制御用電磁弁 11 被処理水流出管 12 散気装置 13 被処理水気化槽本体 14 電磁弁 15 逆流防止弁 16 栄養素補給口およびバルブ 17 除菌フィルタ 18 排気用電磁弁 19 吸引管 20 サンプリング用パイプ 21 第1の導管 22 地下水気化槽

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 揮発性汚染物質を含む媒体を該汚染物質
    を分解可能な微生物を用いて浄化するための浄化装置で
    あって、 該媒体から該汚染物質を気体状で導出する手段;該微生
    物を含む培養液を含む培養槽;及び該培養槽の培養液の
    流れを利用して該導出手段にて導出された気体状の該汚
    染物質を該培養槽に誘導せしめる手段とを備えているこ
    とを特徴とする浄化装置。
  2. 【請求項2】 揮発性汚染物質を含む媒体を該汚染物質
    を分解可能な微生物を用いて浄化するための浄化装置で
    あって、 該微生物を含む培養液を含む培養槽;該媒体から気体状
    の該汚染物質を導出する導出手段;該導出手段及び該培
    養槽を繋ぐ第1の導管;及び該培養槽の2個所を繋ぎ、
    途中部に循環ポンプを備えた第2の導管を備え、該第2
    の導管の下流側の該培養槽との結合物には、管内通液空
    間縮小による負圧形成部を有すると共に、該導出手段に
    て導出された気体状の該汚染物質が該培養槽に吸引され
    るように該第1の導管の一端が該負圧形成部に臨まされ
    てなる液流ジェット機構を備えていることを特徴とする
    浄化装置。
  3. 【請求項3】 前記培養槽が、気密性を保つことが可能
    な槽であり、 槽上部にあって、槽壁を貫通して槽上部の気体を除菌フ
    ィルタによって除菌した上で、槽外部へ排気する排気
    管、及び培養液を補給する補給口及びバルブを有する請
    求項1又は2に記載の浄化装置。
  4. 【請求項4】 前記除菌フィルタが、気体のみを通し、
    気体中に浮遊する微生物を濾過するフィルタであること
    を特徴とする請求項3に記載の浄化装置。
  5. 【請求項5】 前記液流ジェット機構が、前記第2の導
    管と前記培養槽底部に設置した戻し口との間を循環ポン
    プを介してつなぐ導管であって、管路途中がノズル状に
    なっていて管内通液空間縮小による負圧部を形成させ、
    前記導出手段と該培養槽を繋ぐ第1の導管の一端を合流
    させるかまたは臨ませて、前記導出手段からの汚染物質
    を含む空気を気化吸引する請求項1又は2に記載の浄化
    装置。
  6. 【請求項6】 前記培養槽で培養される微生物が好気性
    である請求項1又は2に記載の浄化装置。
  7. 【請求項7】 該汚染物質が、揮発性炭化水素である請
    求項1〜6のいずれか1項に記載の浄化装置。
  8. 【請求項8】 該揮発性炭化水素が、ハロゲン化脂肪族
    炭化水素化合物又は芳香族化合物である請求項7記載の
    浄化装置。
  9. 【請求項9】 該ハロゲン化脂肪族炭化水素化合物が、
    塩素化脂肪族炭化水素化合物である請求項8記載の浄化
    装置。
  10. 【請求項10】 該塩素化脂肪族炭化水素化合物が、ト
    リクロロエチレン又はテトラクロロエチレンである請求
    項9記載の浄化装置。
  11. 【請求項11】 該揮発性炭化水素が、石油系燃料であ
    る請求項7記載の浄化装置。
  12. 【請求項12】 該媒体が液体であり、前記導出する手
    段が該液体から該汚染物質を気化させる手段を備えてい
    る請求項1〜11のいずれかに記載の浄化装置。
  13. 【請求項13】 該液体が、該汚染物質を含む土壌から
    汲み上げられた地下水及び該汚染物質を含む土壌から滲
    出した地下水の少なくとも一方である請求項12記載の
    浄化装置。
  14. 【請求項14】 該媒体が土壌であり、前記導出する手
    段が該土壌から該汚染物質を吸引して導出する手段を備
    えている請求項1〜11のいずれかに記載の浄化装置。
  15. 【請求項15】 該導出手段が、前記培養槽上部の汚染
    物質濃度が所定値以上になると閉じる機構を有し、該手
    段の先端が汚染土壌中の気相汚染領域または汚染地下水
    面より上に達していることを特徴とする請求項14記載
    の浄化装置。
  16. 【請求項16】 揮発性汚染物質を含む媒体を、該汚染
    物質を分解可能な微生物を用いて浄化するための汚染媒
    体の浄化方法であって、 該微生物を含む培養液を含む培養槽;該媒体から気体状
    の該汚染物質を導出する導出手段;該導出手段及び該培
    養槽を繋ぐ第1の導管;及び該培養槽の2個所を繋ぎ、
    途中部に循環ポンプを備えた第2の導管を備え、該第2
    の導管の下流側の該培養槽との結合部には、管内通液空
    間縮小による負圧形成部を有すると共に、該導出手段に
    て導出された気体状の該汚染物質が該培養槽に吸引され
    るように該第1の導管の一端が該負圧形成部に臨まされ
    てなる液流ジェット機構を備えている装置を用意する工
    程;及び該培養槽の培養液を第2の導管を通して循環さ
    せて該液流ジェット機構を作動せしめ、該導出手段にて
    導出した気体状の該汚染物質を該培養槽に導入させ、該
    微生物と該汚染物質とを接触させる工程、を有すること
    を特徴とする浄化方法。
  17. 【請求項17】 請求項1〜13のいずれかに記載の浄
    化装置を積段又は並設すると共に、前段の浄化装置から
    取り出した処理済気体を次段の浄化装置に供給して多段
    階処理するように構成した浄化装置。
  18. 【請求項18】 請求項14又は15に記載の浄化装置
    を積段又は並設し、広面積及び/又は深部の汚染土壌を
    同時処理するように構成した浄化装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021041304A (ja) * 2019-09-06 2021-03-18 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 気体の浄化方法及びそのための浄化装置

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