JP3646590B2 - 有機廃棄物の処理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機廃棄物の処理システムに係わり、特に、埋め立て処分に先立つ有機廃棄物の減量化が図れる処理するシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
人間社会から排出される廃棄物には、紙屑や生ゴミ等をはじめとして多量の有機物が含まれている。以前はこのような有機物の多い廃棄物であっても最終処分場にて直接埋め立て処理する場合が殆どであったが、現在では最終処分場の残余容量の問題等から、埋め立て廃棄物の容量を減らすことの要求が高まってきており、このため分別収集を実施して廃棄物の排出量を削減し、さらに可燃物については焼却などの中間処理を行ってから最終処分場に埋め立て処分するようにしている。しかし、廃棄物によっては有害物質の発生や処理量等の面から焼却が困難である場合もあり、このようなケースでは依然として直接埋め立て処分することもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記中間処理として焼却を行う場合には、焼却処理施設の建設に多大な費用がかかるとともに、状況によってはダイオキシンが発生する虞のあることを否定できない。
【0004】
また、直接埋め立て処分する場合では、容積が大きいままなので過大な埋め立てスペースを必要とし、最終処分場の残余容量に悪影響を与えるだけでなく、埋め立てられた後に起こる有機物質の長期間に亘る生分解のために、爆発性のガスや有毒ガス及び悪臭が発せられる。また、分解により汚濁物質の多い浸出水も発生し、処分場の構造によっては当該汚濁物質の多い浸出水によって周囲の土壌までもが汚染されて、その汚染範囲が更に広範囲に拡大される。あるいは生分解によりガスが発生し、これに起因して空洞化が生じて不同沈下を起こす虞もある。このため、修復を余儀なくされる処分場も数多く見受けられる。
【0005】
ここで、これまでにも汚染土壌の浄化装置が各種提案されており、設備やスペース上有利なものとして原位置浄化方式のものが知られている。特に、この原位置浄化では土着の分解微生物を利用する方法(バイオレメディエーション)があり、この分解微生物の活性化を図るために空気(酸素)や栄養塩類などの栄養源を地盤中に注入したり、場合によっては新たに分解微生物を補充したりすることが提案されている。例えば、特開平10−216696号公報には汚染土壌に酸素を供給する装置が開示される。これは汚染土壌下の地下水まで達する注入井を設け、この注入井から酸素を過分に含む過飽和水を地下水中に供給して地下水を酸素過飽和状態とし、この酸素過飽和の地下水から微細気泡を発生させて表層の汚染土壌に酸素を供給しようとするものである。
【0006】
しかしながら、修復される処分場で原位置で通気を行う場合には、土壌の性質や地下水の存在状態によっては通気性の問題から非常に効率が悪くなってしまい、このため目標とする所望の効果が得られない場合が多く、汚染土壌についても、同じように土壌の性質や地下水の存在状態によっては通気性の問題から好気分解が進まない場合もある。
【0007】
即ち、かかる従来の地下水から汚染土壌や処分場に堆積した廃棄物等の処理対象物に酸素を供給する場合は、処理対象物に酸素が自然に浸透することにより土着の分解微生物が活性化されていくものであるから、著しく長い浄化期間が必要になり、しかも処理対象物には割れ目や柔らかい箇所があって全体に均一ではないので、このような箇所に酸素が集中して浸透していってしまう結果、処理対象物全体を均一に浄化することはできない。
【0008】
また、注入井を処理対象物中に挿入して、酸素(空気)あるいはその他の分解促進性物質および分解微生物自体等の浄化促進成分を土壌中に直接注入することが考えられている。この場合、該浄化促進成分は水溶液やガス状にして処理対象物中に注入することになるが、この場合にあってもやはり処理対象物の不均一性により浄化ムラを生ずる。また、注入に際しては、その注入圧を一定に保って注入するが、連続的に注入するためにその注入圧も高圧に設定することが困難であり、よって浄化促進成分の到達距離は短く、これ故、注入井1基当たりの浄化可能領域を広く確保することができない。従って、広範な所望領域の処理対象物を浄化するためには、注入井の本数を多くしなければならず、処理対象物の浄化コストが高くなってしまうといった、各種の課題があった。
【0009】
本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、処理対象物を容器内に収容して、当該容器内の処理対象物中に少数の注入井から浄化促進成分をより広範囲に到達させることにより、浄化能力の大幅な向上が図れるとともに、浄化促進成分、特に高価な分解微生物を回収して再利用することが可能で、浄化コストの可及的な低減化が図れ、しかも焼却処理をせずとも廃棄物の可及的な減量化をすることができ、汚濁物質の多い浸出水の拡散をも防止できる有機廃棄物の処理システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために本発明に係る有機廃棄物の処理システムは、紙屑や生ゴミ、または処分場から掘削回収した有機質を多く含む廃棄物、あるいは汚染土壌等の処理対象物を収納する容器と、該容器内に収納した処理対象物中に挿入される注入井と、該注入井に超高圧をもって短時間の間隔のパルス状にして間欠的に浄化促進成分を供給する高圧間欠注入装置と、該容器内で発生する水分混じりのガス状物質を吸引回収してこのガス状物質を浄化して排出する浄化排出処理設備とを備え、該高圧間欠注入装置は、エアコンプレッサで発生される超高圧の圧搾空気を供給管を介して導入して貯留するタンクと、該タンク内の圧力が所定圧以上になると瞬時に開弁して圧搾空気を排出するとともに、この排出によってタンク内圧力が低下されると瞬時に閉弁してタンク内の圧搾空気を間欠的に排出する間欠バルブとを備えて、該注入井の上端にカップリングを介して接続されており、該浄化排出処理設備は、吸引井と、該吸引井の上端部にカップリングを介し繋がれて上記水分混じりのガス状物質を気液分離する気液分離器と、該気液分離器に繋がって気液分離されたガスを吸引する吸引ポンプと、該吸引ポンプで吸引回収したガスを浄化処理する排出ガス浄化装置と、浄化処理したガスを放出する浄化ガス排気装置とからなり、該容器内の処理対象物に適度な水分を与えた状態で、該高圧間欠注入装置により該注入井を通じて処理対象物中に該浄化促進成分を爆発的に間欠注入する一方、該浄化排出処理設備で該容器内に発生するガス状物質を吸引回収して浄化排出処理するとともに、該容器の下側部に設けた排水設備から汚濁物質を含む浸出水等の液体分を回収して、水浄化処理設備で浄化する、ことを特徴とする。
【0011】
この有機廃棄物の処理システムでは、中間処理および処分場から掘削した有機質の多い廃棄物や汚染土壌などの処理対象物を容器に収納し、適当な水分を与えながら当該処理対象物中に酸素の多い空気等の浄化促進成分を注入井から間欠注入する一方、容器内のガス状物質を浄化排出処理設備で吸引回収して浄化・排出する。ここで、上記浄化促進成分は超高圧(例えば2〜10気圧)をもって注入井に短時間の間隔でパルス状にされて間欠的(例えば、1/30〜1/5HZの周期)に供給されるため、該浄化促進成分は該注入井から容器内の処理対象物中に所定の間欠タイミングをもって超高圧で爆発的に吹き込まれることになる。このため、注入井から処理対象物中に注入される浄化促進成分は境界のある容器内でより遠くかつより広い範囲に拡散して到達されることになり、処理対象物中の汚染物質を広範囲に亘って浄化して、1基当たりの注入井での浄化領域を大幅に拡大することが可能になる。また、浄化促進成分の爆発的注入はパルス状にされて間欠的に継続して繰り返されるため、注入の度に容器内の処理対象物の堆積状況に変化を及ぼして浄化促進成分の通り道がランダムになり易く、堆積した処理対象物物全体を可及的にほぼ均一に浄化可能となし得る。更に、容器内に混在する汚染物質等に適した浄化促進成分の注入を間欠注入で実施することにより、注入成分の濃度の管理を容易にして無駄が無くなり、さらに、処理対象物を容器内に入れて浄化処理するので、原位置とは異なり、水分や通気等の浄化促進成分の管理が極簡易に行え、所望の目標に合わせて効率良く有機廃棄物を生分解させて、中間処理としての焼却を行わずとも、短期に減量化させることができ、ダイオキシンなどを発生させる虞もない。
【0012】
また、この処理システムでは、浄化促進成分を処理対象物中に注入する一方で、浄化排出処理設備でガス状物質を吸引回収するので、浄化促進成分がより拡散し易くなるとともに、分解ガスや余剰ガス等の有害なガス状物質が、容器内に堆積された処理対象物表面から自然に大気中に放出される前に、これらを捕集して浄化処理した後に放出できるため、大気汚染を可及的に防止することができ、更に促進成分を可及的に回収でき、特に、浄化排出処理設備の気液分離器内に分離滞留された液体分中には分解微生物が含まれるが、当該高価である分解微生物を回収して再利用することで、浄化コストの可及的な低減化が図れるようになる。
【0013】
また、好気分解であれば排出されるガスの組成はメタンガス主体から二酸化炭素主体になり、有害性も低下する。ガスの組成の分析で好気分解の継続を確認して酸素濃度を調整し、好気的雰囲気を維持する。分解完了についてもガスの組成で管理する。分解完了後は水分の供給を止め、暫く乾燥を目的とした通気を実施する。容器にはシート等で覆いをし、初期に発生すると考えられる臭気ガスやメタンガスが処理対象物の表層面から大気中に拡散することを防いで、浄化排出処理設備に導く。
【0014】
さらに、前記容器の下側部に排水設備を設けておき、汚濁物質を多く含む浸出水等の液体分を回収する。なお、この回収した浸出水は水浄化処理設備で浄化する。また、この浸出水とともに分解微生物も回収し得、再利用が図れる。
【0015】
また、上記浄化促進成分には、空気や過酸化水素やオゾン等の酸素含有物質、分解微生物、又は、分解微生物を活性化する栄養源、を用いることができ、各種汚染物質に即した浄化を適正に行うことができる(請求項2)。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る有機廃棄物の処理システムの全体構成を概略的に示す断面図であり、図2は図1における容器部分を示す概略斜視図である。
【0017】
本発明の有機廃棄物の処理システム10の基本とするところは、紙屑や生ゴミ、または処分場から掘削回収した有機質を多く含む廃棄物、あるいは汚染土壌等の処理対象物12を収納する容器40と、該容器40内に収納した処理対象物12中に挿入される注入井14と、該注入井14に超高圧をもって短時間の間隔のパルス状にして間欠的に浄化促進成分を供給する高圧間欠注入装置16と、該容器40内で発生するガス状物質を吸引回収するとともに浄化して排出する浄化排出処理設備28とを備え、該容器40内の処理対象物12に適度な水分を与えた状態で、該高圧間欠注入装置16より該注入井14を通じて処理対象物12中に該浄化促進成分を爆発的に間欠注入するとともに、該浄化排出処理設備28で該容器40内に発生するガス状物質を吸引回収して浄化処理してから排出することにある。
【0018】
即ち、本発明の有機廃棄物の処理システム10は、容器40内に収納された処理対象物12中に略鉛直に掘孔されて嵌入配置された注入井14と、この注入井14の上端部に取り付けられて超高圧の圧搾空気を短時間の間隔でパルス状にして間欠的に該注入井14に供給する高圧間欠注入装置16と、該圧搾空気の供給経路18に接続され浄化促進成分を圧搾空気に添加する浄化促進成分供給設備20、並びに同じく処理対象物12中に略鉛直に掘孔されて嵌入配置された吸引井30とその上端部にカップリングなどを介して接続される吸引ポンプ34等からなる浄化排出処理設備28とを備えて構成される。
【0019】
上記注入井14は所定長さのパイプで形成され、これの下端部に設けられる噴出口14aは処理対象物12の所定深度に位置するとともに、該注入井14の上端部は処理対象物12の表層面12aより突出して、容器40の蓋40aを貫通し上方に延びている。
【0020】
上記高圧間欠注入装置16は上記注入井14の上端にカップリングを介して接続され、該高圧間欠注入装置16にはエアコンプレッサ22で発生される超高圧(例えば、2〜10気圧)の圧搾空気が供給管18aを介して導入される。該高圧間欠注入装置16は、図示省略したが圧搾空気を貯留するタンクと、このタンク内の圧搾空気を間欠的に排出する間欠バルブとを備え、タンク内の圧力が所定圧以上になると間欠バルブが瞬時に開弁して高圧空気を排出するとともに、この排出によってタンク内圧力が低下されると間欠バルブは瞬時に閉弁される構造となっている。
【0021】
従って、エアコンプレッサ22から圧搾空気が供給される間は、高圧間欠注入装置16はタンク内の高圧空気を短時間の間隔でパルス状にして間欠的(例えば、1/30〜1/5HZの周期)に排出し続け、この圧搾空気は上記注入井14に供給される。すると、この超高圧の圧搾空気は注入井14の下端部の噴出口14aから所定の間欠タイミングをもって瞬間的に周囲の処理対象物12中に注入される。この注入の際、キャビテーション効果が発揮されて圧搾空気は爆発的に吹き出され、このときの吹き出しエネルギーは著しく大きなものとなる。
【0022】
上記浄化促進成分供給設備20としては、浄化促進成分を溜める貯蔵タンク24が設けられ、この貯蔵タンク24は流量調整バルブ26を介して管路24aで高圧間欠注入装置16の吐出側の供給経路18に連通される。ここで供給経路18とは、圧搾空気をエアコンプレッサ22から処理対象物12中に供給する経路であり、該エアコンプレッサ22と高圧間欠注入装置16とを結ぶ上記供給管18a、および該高圧間欠注入装置16自体、更に、注入井14を含むものとする。そして、該流量調整バルブ26を開弁することにより、貯蔵タンク24内の浄化促進成分は圧搾空気中に添加され、かつ、この添加量は該流量調整バルブ26の開度調節により制御される。
【0023】
上記貯蔵タンク24に溜められる浄化促進成分は、空気や過酸化水素(H2O2)やオゾン(O3)等の酸素含有物質、分解微生物M、この分解微生物Mを活性化する栄養源、などの汚染物質の浄化を促進する成分である。汚染物質は特に代表的なものとして有機塩素系化合物、油、溶剤、揮発性物質等がある。
【0024】
空気はこれに含まれる酸素により好気性微生物Mの活性化を促進し、H2O2は酸素を発生するときの気泡により油汚染土の土粒子より油を剥離する効果があり、水と酸素に分解した後は余分な物質が残留せず、かつ、霧状として容易に注入できる。また、O3は酸化効率が更に良い。栄養源は、分解微生物Mを増殖するに適した栄養塩類やこの分解微生物Mを活性化するに適した成分が用いられ、例えば、栄養塩類としては、燐,窒素,カリ,珪素など生物の生命を維持するうえで必要な主要元素と、マンガンなどの微量元素で炭素、水素、酸素以外の主に塩類として摂られるものがある。
【0025】
また、分解微生物MとしてはTCE(トリクロロエチレン)を好気分解(酸化)するメタン資化性菌が知られるが、このメタン資化性菌では栄養源としてメタンが用いられる。また、TCE分解に用いられるその他の分解微生物Mとしては、トルエン資化性菌、フェノール資化性菌、硝化細菌、プロパン酸化細菌、イソプロピレン酸化細菌などが知られ、それぞれに適した栄養源が用いられる。勿論、TCEに限ることなく処理対象物12中のその他の汚染物質に対しては、その汚染物質を浄化する分解微生物Mに適した栄養源が用いられることはいうまでもない。
【0026】
また、この実施形態の有機廃棄物の処理システム10は、処理対象物12中のガス状物質を吸引回収して浄化排出処理するための浄化排出処理設備28が併設されて構成される。この浄化排出処理設備28は、吸引井30とこれの上端部にカップリングを介し繋がれる気液分離器32、この気液分離器32に繋がる吸引ポンプ34、及びこの吸引ポンプ34で吸引回収したガスが送られる排出ガス浄化装置36、浄化ガス排気装置38とからなる。
【0027】
吸引井30は下端部から上方部分が所定の長さに亘って周面にスリットや孔等でなる無数の開口が形成されたパイプでなり、当該開口形成部位が処理対象物12中に挿入されて、処理対象物12の所定深度まで達し、上端部は処理対象物12の表層面12aより突出して、容器40の蓋40aを貫通し上方に延びている。また、吸引井30と注入井14とは、相互に所定の間隔を隔ててそれぞれ複数隣接配置されている。なお、図示例では蓋40aは容器40の上方開口を覆って閉塞する板状部材となっているが、処理対象物12の表層面12aから大気中にガスが放出されるのを防止し得るものであれば良く、当該表層面12aに敷設したビニールなどのシート材であっても良い。
【0028】
そして、該吸引ポンプ34を稼働することにより、上記吸引井30の開口部から、処理対象物12の浄化時に発生する分解ガスや、上記注入井14から浄化促進成分をガス(霧)状にして注入した際の余剰ガス、および処理対象物12中の水分等が吸引される。このように吸引井30で吸引された水分混じりのガス状物質は、気液分離器32で分離された後にガスのみが該吸引ポンプ34に吸引される。そして、吸引ポンプ34で吸引されたガスは排出ガス浄化装置36に送り込まれ、ここでガスは浄化処理されて無害化された後に、浄化ガス排気装置38から大気中に放出される。また、気液分離器32内に分離滞留された液体分中には分解微生物が含まれるが、当該分解微生物は再利用が図れる。
【0029】
ここで、この実施形態の有機廃棄物の処理システム10では、注入井14からは浄化促進成分を処理対象物12中に注入する一方、その周囲に隣接する吸引井30からはガス状物質を吸引するので、浄化促進成分がより拡散し易くなるとともに、分解ガスや余剰ガス等の有害なガス状物質が処理対象物12の表層面12aから自然に大気中に放出される前に、これらを吸引井30で捕集して浄化処理した後に放出できるため、容器40に蓋40aをすることとも相俟って、大気汚染を可及的に防止することができる。また、容器40の下側部には排水設備として排水管42が設けられており、この排水管42から汚濁物質を多く含む浸出水等の液体分を回収して容器40内に上記浸出水が溜まるのを防止できるようにしている。なお、この回収した浸出水は水浄化処理設備で浄化する。また、この浸出水とともに分解微生物も回収し得、再利用が図れる。
【0030】
従って、以上のように本実施形態の有機廃棄物の処理システム10では、エアコンプレッサ22を駆動して圧搾空気を高圧間欠注入装置16に供給することにより、超高圧の圧搾空気は注入井14の噴出口14aから周囲の処理対象物12中に注入される。このとき、浄化促進成分供給設備20の流量調整バルブ26を開弁しておくことにより、貯蔵タンク26内の浄化促進成分が上記圧搾空気とともに処理対象物12中に注入される。ここで、酸素を含む圧搾空気は浄化促進成分の1つであり、以下、該圧搾空気を含めて浄化促進成分として表現する。
【0031】
そして、処理対象物12中に注入される浄化促進成分は、上記高圧間欠注入装置16によって超高圧をもって短時間の間隔でパルス状にされて所定の間欠タイミングで注入井14に供給されるため、その下端の噴出口14aより処理対象物12中に爆発的に吹き込まれ、より遠くかつより広範囲に到達されることになる。また、上記浄化促進成分の爆発的注入は間欠的に繰り返されるため、注入の度に処理対象物12の堆積状況に変化を及ぼして浄化促進成分の通り道がランダムになり易く、処理対象物12全体がほぼ均一に浄化される。更に、上記流量調整バルブ26の開度調整により浄化促進成分の流量制御が可能となるが、混在する汚染物質等に適した浄化促進成分の注入を間欠注入で実施することにより、間欠注入成分の濃度の管理を容易にして無駄が無くなる。
【0032】
このように処理対象物12中に注入された浄化促進成分はより広範囲に拡散されるため、1基当たりの注入井14での浄化領域を拡大することができ、一定の領域の処理対象物の浄化を行うには有機廃棄物の処理システム10全体の注入井14の本数を減らすことができる。つまり、浄化促進成分は、空気に含まれる酸素や栄養源により処理対象物12中に含まれる分解微生物Mを広範囲で活性化して、汚染物質の分解を促進する。また、分解微生物Mでは浄化期間が長期化される油や溶剤や揮発性物質が汚染物質の場合には、それぞれの浄化に適した浄化促進成分を選択しておくことにより、これら汚染物質を短期間のうちに適正に浄化できる。更に、土着の分解微生物Mが少ない場合は、浄化促進成分として補充用の分解微生物Mを含めることが望ましい。
【0033】
一方、この実施形態の有機廃棄物の処理システム10では、処理対象物12中に挿入した吸引井30からガス状物質を回収し、この回収したガス状物質から気液分離した気体を浄化処理により無害化して排出する。ガス状物質とは、汚染物質の浄化により発生する分解ガスや注入井14から供給した余剰ガス等が挙げられる。
【0034】
従って、この実施形態では注入井14から浄化促進成分を処理対象物12中に注入する一方、吸引井30から吸引するので、この吸引により注入井14から供給される浄化促進成分がより拡散し易くなる。このため、上記注入井14から高圧間欠注入装置16を介して浄化促進成分が爆発的に吹き込まれることと相俟って、浄化可能領域を著しく拡大することができ、容器40内の処理対象物12中に挿入する注入井14の本数を可及的に減じることができる。
【0035】
また、処理対象物12中の分解ガスや余剰ガスが自然に大気中に放出される前に上記吸引井30で捕集することができるため、大気汚染を防止することができる。従って、この実施形態では処理対象物12の浄化・安定化及び生分解による減量化が短期間のうちに行われるため、特に早期の跡地利用や環境保全に有益であるとともに、周辺環境に配慮することができる。更に、容器40内に混在する汚染物質等に適した浄化促進成分の注入を間欠注入で実施することにより、注入成分の濃度の管理を容易にして無駄が無くなり、さらに、処理対象物12を容器40内に入れて浄化及び生分解による減量化処理するので、原位置での処理とは異なり、水分や通気等の浄化促進成分の管理が極簡易に行え、所望の目標に合わせて効率良く有機廃棄物を生分解させることが可能で、中間処理としての焼却を行わずとも、短期に有機廃棄物を減量化させることができ、ダイオキシンなどを発生させる虞もない。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1に示す有機廃棄物の処理システムでは、浄化促進成分が高圧間欠注入装置によって注入井の噴出口から容器内の処理対象物中に短時間の間隔でパルス状にされて所定の間欠タイミングをもって超高圧で注入されて、爆発的に吹き込まれるため、浄化促進成分を容器内でより遠くかつより広い範囲に分散して到達させることができる。また、この注入の際、キャビテーション効果が発揮されて圧搾空気は爆発的に吹き出され、このときの吹き出しエネルギーは著しく大きなものとなる。
従って、1基当たりの注入井の浄化領域を大幅に拡大できることにより、容器内の処理対象物中に挿入する注入井の本数を削減して構成を簡単にできる。また、浄化促進成分の爆発的注入が間欠的に繰り返されることにより、注入の度に地盤の堆積状況に変化を及ぼして浄化促進成分の通り道がランダムになり易く、処理対象物をほぼ均一に浄化することができるとともに、混在する汚染物質等に適した浄化促進成分の注入を間欠注入で実施することにより、注入成分の濃度の管理を容易にして無駄が無くなる。
【0037】
また、注入井から浄化促進成分を処理対象物中に注入しつつ、吸入井から処理対象物中のガス状物質を吸引するので、浄化促進成分を容器中により拡散し易くできるとともに、分解ガスや余剰ガスが処理対象物の表層面から自然に大気中に放出される前にこれらを吸引井で捕集し、これを浄化処理した後に放出できるため、大気汚染を防止することができる。
また、促進成分を可及的に回収でき、特に、浄化排出処理設備の気液分離器内に分離滞留された液体分中には分解微生物が含まれるが、当該高価である分解微生物を回収して再利用することで、浄化コストの可及的な低減化が図れるようになる。
【0038】
さらに、有機物を多く含んだ処理対象物を容器内に入れて生分解浄化処理するので、原位置とは異なり、水分や通気等の浄化促進成分の管理が極簡易に行え、所望の目標に合わせて効率良く有機廃棄物を生分解させることができ、中間処理としての焼却を行わずとも、短期に廃棄物を減量化させることが可能で、ダイオキシンなどを発生させる虞がない。
【0039】
また、前記容器の下側部に排水設備を設けるので、汚濁物質を多く含む浸出水等の液体分を回収でき、容器内に溜まるのを防止できる。この回収した浸出水は水浄化処理設備で浄化し得、また、この浸出水とともに分解微生物も回収して再利用が図れる。
【0040】
更に、本発明の請求項2に示す処理対象物の浄化方法では、上記浄化促進成分が空気や過酸化水素やオゾン等の酸素含有物質、分解微生物、又は、分解微生物を活性化する栄養源、であるため、広い範囲の汚染物質の種類に対して有効となり、各種汚染物質に即した浄化を適正に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る有機廃棄物の処理システムの全体構成を概略的に示す断面図である。
【図2】図1における容器部分を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
10 有機廃棄物の処理システム
12 処理対象物
14 注入井
14a 噴出口
16 高圧間欠注入装置
18 供給経路
20 浄化促進成分供給設備
28 浄化排出処理設備
30 吸引井
32 気液分離器
34 吸引ポンプ
36 排出ガス浄化装置
40 容器
40a 蓋
Claims (2)
- 紙屑や生ゴミ、または処分場から掘削回収した有機質を多く含む廃棄物、あるいは汚染土壌等の処理対象物を収納する容器と、該容器内に収納した処理対象物中に挿入される注入井と、該注入井に超高圧をもって短時間の間隔のパルス状にして間欠的に浄化促進成分を供給する高圧間欠注入装置と、該容器内で発生する水分混じりのガス状物質を吸引回収してこのガス状物質を浄化して排出する浄化排出処理設備とを備え、
該高圧間欠注入装置は、エアコンプレッサで発生される超高圧の圧搾空気を供給管を介して導入して貯留するタンクと、該タンク内の圧力が所定圧以上になると瞬時に開弁して圧搾空気を排出するとともに、この排出によってタンク内圧力が低下されると瞬時に閉弁してタンク内の圧搾空気を間欠的に排出する間欠バルブとを備えて、該注入井の上端にカップリングを介して接続されており、
該浄化排出処理設備は、吸引井と、該吸引井の上端部にカップリングを介し繋がれて上記水分混じりのガス状物質を気液分離する気液分離器と、該気液分離器に繋がって気液分離されたガスを吸引する吸引ポンプと、該吸引ポンプで吸引回収したガスを浄化処理する排出ガス浄化装置と、浄化処理したガスを放出する浄化ガス排気装置とからなり、
該容器内の処理対象物に適度な水分を与えた状態で、該高圧間欠注入装置により該注入井を通じて処理対象物中に該浄化促進成分を爆発的に間欠注入する一方、該浄化排出処理設備で該容器内に発生するガス状物質を吸引回収して浄化排出処理するとともに、
該容器の下側部に設けた排水設備から汚濁物質を含む浸出水等の液体分を回収して、水浄化処理設備で浄化する、
ことを特徴とする有機廃棄物の処理システム。 - 上記浄化促進成分は、空気や過酸化水素やオゾン等の酸素含有物質、分解微生物、又は、分解微生物を活性化する栄養源、であることを特徴とする請求項1に記載の有機廃棄物の処理システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP31849699A JP3646590B2 (ja) | 1999-11-09 | 1999-11-09 | 有機廃棄物の処理システム |
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