JP2001129519A - 有機廃棄物の処理システム - Google Patents

有機廃棄物の処理システム

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JP2001129519A JP31849699A JP31849699A JP2001129519A JP 2001129519 A JP2001129519 A JP 2001129519A JP 31849699 A JP31849699 A JP 31849699A JP 31849699 A JP31849699 A JP 31849699A JP 2001129519 A JP2001129519 A JP 2001129519A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼却処理をせずとも有機物質の生分解で廃棄
物の可及的な減量化が可能で、大気の汚染も防止でき、
かつ浄化促進成分、特に高価な分解微生物を回収再利用
可能で浄化コストを低減し得、しかも汚濁物質の多い浸
出水の拡散をも防止できる有機廃棄物の処理システムを
提供する 【解決手段】 容器40内に処理対象物12を収納し、
この処理対象物12中に挿入した注入井14から超高圧
をもって浄化促進成分を短時間の間隔でパルス状にして
間欠的に供給し、注入井14の噴出口14aから浄化促
進成分を所定の間欠タイミングをもって該処理対象物1
2中にラビリンス効果をもって爆発的に吹き込む。容器
内の処理対象物中のガス状物質は分解微生物とともに浄
化排出処理設備28で吸引回収して、ガスは浄化して排
出する。容器40底部に溜まる汚濁物質を多く含む浸出
水は排水管42で回収し、これに含まれる分解微生物は
再利用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機廃棄物の処理
システムに係わり、特に、埋め立て処分に先立つ有機廃
棄物の減量化が図れる処理するシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】人間社会から排出される廃棄物には、紙
屑や生ゴミ等をはじめとして多量の有機物が含まれてい
る。以前はこのような有機物の多い廃棄物であっても最
終処分場にて直接埋め立て処理する場合が殆どであった
が、現在では最終処分場の残余容量の問題等から、埋め
立て廃棄物の容量を減らすことの要求が高まってきてお
り、このため分別収集を実施して廃棄物の排出量を削減
し、さらに可燃物については焼却などの中間処理を行っ
てから最終処分場に埋め立て処分するようにしている。
しかし、廃棄物によっては有害物質の発生や処理量等の
面から焼却が困難である場合もあり、このようなケース
では依然として直接埋め立て処分することもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記中間処
理として焼却を行う場合には、焼却処理施設の建設に多
大な費用がかかるとともに、状況によってはダイオキシ
ンが発生する虞のあることを否定できない。
【0004】また、直接埋め立て処分する場合では、容
積が大きいままなので過大な埋め立てスペースを必要と
し、最終処分場の残余容量に悪影響を与えるだけでな
く、埋め立てられた後に起こる有機物質の長期間に亘る
生分解のために、爆発性のガスや有毒ガス及び悪臭が発
せられる。また、分解により汚濁物質の多い浸出水も発
生し、処分場の構造によっては当該汚濁物質の多い浸出
水によって周囲の土壌までもが汚染されて、その汚染範
囲が更に広範囲に拡大される。あるいは生分解によりガ
スが発生し、これに起因して空洞化が生じて不同沈下を
起こす虞もある。このため、修復を余儀なくされる処分
場も数多く見受けられる。
【0005】ここで、これまでにも汚染土壌の浄化装置
が各種提案されており、設備やスペース上有利なものと
して原位置浄化方式のものが知られている。特に、この
原位置浄化では土着の分解微生物を利用する方法(バイ
オレメディエーション)があり、この分解微生物の活性
化を図るために空気(酸素)や栄養塩類などの栄養源を
地盤中に注入したり、場合によっては新たに分解微生物
を補充したりすることが提案されている。例えば、特開
平10−216696号公報には汚染土壌に酸素を供給
する装置が開示される。これは汚染土壌下の地下水まで
達する注入井を設け、この注入井から酸素を過分に含む
過飽和水を地下水中に供給して地下水を酸素過飽和状態
とし、この酸素過飽和の地下水から微細気泡を発生させ
て表層の汚染土壌に酸素を供給しようとするものであ
る。
【0006】しかしながら、修復される処分場で原位置
で通気を行う場合には、土壌の性質や地下水の存在状態
によっては通気性の問題から非常に効率が悪くなってし
まい、このため目標とする所望の効果が得られない場合
が多く、汚染土壌についても、同じように土壌の性質や
地下水の存在状態によっては通気性の問題から好気分解
が進まない場合もある。
【0007】即ち、かかる従来の地下水から汚染土壌や
処分場に堆積した廃棄物等の処理対象物に酸素を供給す
る場合は、処理対象物に酸素が自然に浸透することによ
り土着の分解微生物が活性化されていくものであるか
ら、著しく長い浄化期間が必要になり、しかも処理対象
物には割れ目や柔らかい箇所があって全体に均一ではな
いので、このような箇所に酸素が集中して浸透していっ
てしまう結果、処理対象物全体を均一に浄化することは
できない。
【0008】また、注入井を処理対象物中に挿入して、
酸素(空気)あるいはその他の分解促進性物質および分
解微生物自体等の浄化促進成分を土壌中に直接注入する
ことが考えられている。この場合、該浄化促進成分は水
溶液やガス状にして処理対象物中に注入することになる
が、この場合にあってもやはり処理対象物の不均一性に
より浄化ムラを生ずる。また、注入に際しては、その注
入圧を一定に保って注入するが、連続的に注入するため
にその注入圧も高圧に設定することが困難であり、よっ
て浄化促進成分の到達距離は短く、これ故、注入井1基
当たりの浄化可能領域を広く確保することができない。
従って、広範な所望領域の処理対象物を浄化するために
は、注入井の本数を多くしなければならず、処理対象物
の浄化コストが高くなってしまうといった、各種の課題
があった。
【0009】本発明はかかる従来の課題に鑑みて成され
たものであり、その目的は、処理対象物を容器内に収容
して、当該容器内の処理対象物中に少数の注入井から浄
化促進成分をより広範囲に到達させることにより、浄化
能力の大幅な向上が図れるとともに、浄化促進成分、特
に高価な分解微生物を回収して再利用することが可能
で、浄化コストの可及的な低減化が図れ、しかも焼却処
理をせずとも廃棄物の可及的な減量化をすることがで
き、汚濁物質の多い浸出水の拡散をも防止できる有機廃
棄物の処理システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明に係る有機廃棄物の処理システムは、紙屑や
生ゴミ、または処分場から掘削回収した有機質を多く含
む廃棄物、あるいは汚染土壌等の処理対象物を収納する
容器と、該容器内に収納した処理対象物中に挿入される
注入井と、該注入井に超高圧をもって短時間の間隔のパ
ルス状にして間欠的に浄化促進成分を供給する高圧間欠
注入装置と、該容器内で発生するガス状物質を吸引回収
してこのガス状物質を浄化して排出する浄化排出処理設
備とを備え、該容器内の処理対象物に適度な水分を与え
た状態で、該高圧間欠注入装置により該注入井を通じて
処理対象物中に該浄化促進成分を爆発的に間欠注入する
一方、該浄化排出処理設備で該容器内に発生するガス状
物質を吸引回収して浄化排出処理することを特徴とす
る。
【0011】この有機廃棄物の処理システムでは、中間
処理および処分場から掘削した有機質の多い廃棄物や汚
染土壌などの処理対象物を容器に収納し、適当な水分を
与えながら当該処理対象物中に酸素の多い空気等の浄化
促進成分を注入井から間欠注入する一方、容器内のガス
状物質を浄化排出処理設備で吸引回収して浄化・排出す
る。ここで、上記浄化促進成分は超高圧(例えば2〜1
0気圧)をもって注入井に短時間の間隔でパルス状にさ
れて間欠的(例えば、1/30〜1/5HZの周期)に供給され
るため、該浄化促進成分は該注入井から容器内の処理対
象物中に所定の間欠タイミングをもって超高圧で爆発的
に吹き込まれることになる。このため、注入井から処理
対象物中に注入される浄化促進成分は境界のある容器内
でより遠くかつより広い範囲に拡散して到達されること
になり、処理対象物中の汚染物質を広範囲に亘って浄化
して、1基当たりの注入井での浄化領域を大幅に拡大す
ることが可能になる。また、浄化促進成分の爆発的注入
はパルス状にされて間欠的に継続して繰り返されるた
め、注入の度に容器内の処理対象物の堆積状況に変化を
及ぼして浄化促進成分の通り道がランダムになり易く、
堆積した処理対象物物全体を可及的にほぼ均一に浄化可
能となし得る。更に、容器内に混在する汚染物質等に適
した浄化促進成分の注入を間欠注入で実施することによ
り、注入成分の濃度の管理を容易にして無駄が無くな
り、さらに、処理対象物を容器内に入れて浄化処理する
ので、原位置とは異なり、水分や通気等の浄化促進成分
の管理が極簡易に行え、所望の目標に合わせて効率良く
有機廃棄物を生分解させて、中間処理としての焼却を行
わずとも、短期に減量化させることができ、ダイオキシ
ンなどを発生させる虞もない。
【0012】また、この処理システムでは、浄化促進成
分を処理対象物中に注入する一方で、浄化排出処理設備
でガス状物質を吸引回収するので、浄化促進成分がより
拡散し易くなるとともに、分解ガスや余剰ガス等の有害
なガス状物質が、容器内に堆積された処理対象物表面か
ら自然に大気中に放出される前に、これらを捕集して浄
化処理した後に放出できるため、大気汚染を可及的に防
止することができ、更に促進成分を可及的に回収でき、
特に、高価である分解微生物を回収して再利用すること
で、浄化コストの可及的な低減化が図れるようになる。
【0013】また、好気分解であれば排出されるガスの
組成はメタンガス主体から二酸化炭素主体になり、有害
性も低下する。ガスの組成の分析で好気分解の継続を確
認して酸素濃度を調整し、好気的雰囲気を維持する。分
解完了についてもガスの組成で管理する。分解完了後は
水分の供給を止め、暫く乾燥を目的とした通気を実施す
る。容器にはシート等で覆いをし、初期に発生すると考
えられる臭気ガスやメタンガスが処理対象物の表層面か
ら大気中に拡散することを防いで、浄化排出処理設備に
導く(請求項1)。
【0014】ここで、前記容器の下側部に排水設備を設
けておき、汚濁物質を多く含む浸出水等の液体分を回収
するのが望ましい。なお、この回収した浸出水は水浄化
処理設備で浄化する。また、この浸出水とともに分解微
生物も回収し得、再利用が図れる。(請求項2)。
【0015】また、上記浄化促進成分には、空気や過酸
化水素やオゾン等の酸素含有物質、分解微生物、分解微
生物を活性化する栄養源、などの汚染物質の浄化を促進
する成分を用いることができ、各種汚染物質に即した浄
化を適正に行うことができる(請求項3)。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形
態に係る有機廃棄物の処理システムの全体構成を概略的
に示す断面図であり、図2は図1における容器部分を示
す概略斜視図である。
【0017】本発明の有機廃棄物の処理システム10の
基本とするところは、紙屑や生ゴミ、または処分場から
掘削回収した有機質を多く含む廃棄物、あるいは汚染土
壌等の処理対象物12を収納する容器40と、該容器4
0内に収納した処理対象物12中に挿入される注入井1
4と、該注入井14に超高圧をもって短時間の間隔のパ
ルス状にして間欠的に浄化促進成分を供給する高圧間欠
注入装置16と、該容器40内で発生するガス状物質を
吸引回収するとともに浄化して排出する浄化排出処理設
備28とを備え、該容器40内の処理対象物12に適度
な水分を与えた状態で、該高圧間欠注入装置16より該
注入井14を通じて処理対象物12中に該浄化促進成分
を爆発的に間欠注入するとともに、該浄化排出処理設備
28で該容器40内に発生するガス状物質を吸引回収し
て浄化処理してから排出することにある。
【0018】即ち、本発明の有機廃棄物の処理システム
10は、容器40内に収納された処理対象物12中に略
鉛直に掘孔されて嵌入配置された注入井14と、この注
入井14の上端部に取り付けられて超高圧の圧搾空気を
短時間の間隔でパルス状にして間欠的に該注入井14に
供給する高圧間欠注入装置16と、該圧搾空気の供給経
路18に接続され浄化促進成分を圧搾空気に添加する浄
化促進成分供給設備20、並びに同じく処理対象物12
中に略鉛直に掘孔されて嵌入配置された吸引井30とそ
の上端部にカップリングなどを介して接続される吸引ポ
ンプ34等からなる浄化排出処理設備28とを備えて構
成される。
【0019】上記注入井14は所定長さのパイプで形成
され、これの下端部に設けられる噴出口14aは処理対
象物12の所定深度に位置するとともに、該注入井14
の上端部は処理対象物12の表層面12aより突出し
て、容器40の蓋40aを貫通し上方に延びている。
【0020】上記高圧間欠注入装置16は上記注入井1
4の上端にカップリングを介して接続され、該高圧間欠
注入装置16にはエアコンプレッサ22で発生される超
高圧(例えば、2〜10気圧)の圧搾空気が供給管18
aを介して導入される。該高圧間欠注入装置16は、図
示省略したが圧搾空気を貯留するタンクと、このタンク
内の圧搾空気を間欠的に排出する間欠バルブとを備え、
タンク内の圧力が所定圧以上になると間欠バルブが瞬時
に開弁して高圧空気を排出するとともに、この排出によ
ってタンク内圧力が低下されると間欠バルブは瞬時に閉
弁される構造となっている。
【0021】従って、エアコンプレッサ22から圧搾空
気が供給される間は、高圧間欠注入装置16はタンク内
の高圧空気を短時間の間隔でパルス状にして間欠的(例
えば、1/30〜1/5HZの周期)に排出し続け、この圧搾空
気は上記注入井14に供給される。すると、この超高圧
の圧搾空気は注入井14の下端部の噴出口14aから所
定の間欠タイミングをもって瞬間的に周囲の処理対象物
12中に注入される。この注入の際、キャビテーション
効果が発揮されて圧搾空気は爆発的に吹き出され、この
ときの吹き出しエネルギーは著しく大きなものとなる。
【0022】上記浄化促進成分供給設備20としては、
浄化促進成分を溜める貯蔵タンク24が設けられ、この
貯蔵タンク24は流量調整バルブ26を介して管路24
aで高圧間欠注入装置16の吐出側の供給経路18に連
通される。ここで供給経路18とは、圧搾空気をエアコ
ンプレッサ22から処理対象物12中に供給する経路で
あり、該エアコンプレッサ22と高圧間欠注入装置16
とを結ぶ上記供給管18a、および該高圧間欠注入装置
16自体、更に、注入井14を含むものとする。そし
て、該流量調整バルブ26を開弁することにより、貯蔵
タンク24内の浄化促進成分は圧搾空気中に添加され、
かつ、この添加量は該流量調整バルブ26の開度調節に
より制御される。
【0023】上記貯蔵タンク24に溜められる浄化促進
成分は、空気や過酸化水素(H22)やオゾン(O3
等の酸素含有物質、分解微生物M、この分解微生物Mを
活性化する栄養源、などの汚染物質の浄化を促進する成
分である。汚染物質は特に代表的なものとして有機塩素
系化合物、油、溶剤、揮発性物質等がある。
【0024】空気はこれに含まれる酸素により好気性微
生物Mの活性化を促進し、H22は酸素を発生するとき
の気泡により油汚染土の土粒子より油を剥離する効果が
あり、水と酸素に分解した後は余分な物質が残留せず、
かつ、霧状として容易に注入できる。また、O3は酸化
効率が更に良い。栄養源は、分解微生物Mを増殖するに
適した栄養塩類やこの分解微生物Mを活性化するに適し
た成分が用いられ、例えば、栄養塩類としては、燐,窒
素,カリ,珪素など生物の生命を維持するうえで必要な
主要元素と、マンガンなどの微量元素で炭素、水素、酸
素以外の主に塩類として摂られるものがある。
【0025】また、分解微生物MとしてはTCE(トリ
クロロエチレン)を好気分解(酸化)するメタン資化性
菌が知られるが、このメタン資化性菌では栄養源として
メタンが用いられる。また、TCE分解に用いられるそ
の他の分解微生物Mとしては、トルエン資化性菌、フェ
ノール資化性菌、硝化細菌、プロパン酸化細菌、イソプ
ロピレン酸化細菌などが知られ、それぞれに適した栄養
源が用いられる。勿論、TCEに限ることなく処理対象
物12中のその他の汚染物質に対しては、その汚染物質
を浄化する分解微生物Mに適した栄養源が用いられるこ
とはいうまでもない。
【0026】また、この実施形態の有機廃棄物の処理シ
ステム10は、処理対象物12中のガス状物質を吸引回
収して浄化排出処理するための浄化排出処理設備28が
併設されて構成される。この浄化排出処理設備28は、
吸引井30とこれの上端部にカップリングを介し繋がれ
る気液分離器32、この気液分離器32に繋がる吸引ポ
ンプ34、及びこの吸引ポンプ34で吸引回収したガス
が送られる排出ガス浄化装置36、浄化ガス排気装置3
8とからなる。
【0027】吸引井30は下端部から上方部分が所定の
長さに亘って周面にスリットや孔等でなる無数の開口が
形成されたパイプでなり、当該開口形成部位が処理対象
物12中に挿入されて、処理対象物12の所定深度まで
達し、上端部は処理対象物12の表層面12aより突出
して、容器40の蓋40aを貫通し上方に延びている。
また、吸引井30と注入井14とは、相互に所定の間隔
を隔ててそれぞれ複数隣接配置されている。なお、図示
例では蓋40aは容器40の上方開口を覆って閉塞する
板状部材となっているが、処理対象物12の表層面12
aから大気中にガスが放出されるのを防止し得るもので
あれば良く、当該表層面12aに敷設したビニールなど
のシート材であっても良い。
【0028】そして、該吸引ポンプ34を稼働すること
により、上記吸引井30の開口部から、処理対象物12
の浄化時に発生する分解ガスや、上記注入井14から浄
化促進成分をガス(霧)状にして注入した際の余剰ガ
ス、および処理対象物12中の水分等が吸引される。こ
のように吸引井30で吸引された水分混じりのガス状物
質は、気液分離器32で分離された後にガスのみが該吸
引ポンプ34に吸引される。そして、吸引ポンプ34で
吸引されたガスは排出ガス浄化装置36に送り込まれ、
ここでガスは浄化処理されて無害化された後に、浄化ガ
ス排気装置38から大気中に放出される。また、気液分
離器32内に分離滞留された液体分中には分解微生物が
含まれるが、当該分解微生物は再利用が図れる。
【0029】ここで、この実施形態の有機廃棄物の処理
システム10では、注入井14からは浄化促進成分を処
理対象物12中に注入する一方、その周囲に隣接する吸
引井30からはガス状物質を吸引するので、浄化促進成
分がより拡散し易くなるとともに、分解ガスや余剰ガス
等の有害なガス状物質が処理対象物12の表層面12a
から自然に大気中に放出される前に、これらを吸引井3
0で捕集して浄化処理した後に放出できるため、容器4
0に蓋40aをすることとも相俟って、大気汚染を可及
的に防止することができる。また、容器40の下側部に
は排水設備として排水管42が設けられており、この排
水管42から汚濁物質を多く含む浸出水等の液体分を回
収して容器40内に上記浸出水が溜まるのを防止できる
ようにしている。なお、この回収した浸出水は水浄化処
理設備で浄化する。また、この浸出水とともに分解微生
物も回収し得、再利用が図れる。
【0030】従って、以上のように本実施形態の有機廃
棄物の処理システム10では、エアコンプレッサ22を
駆動して圧搾空気を高圧間欠注入装置16に供給するこ
とにより、超高圧の圧搾空気は注入井14の噴出口14
aから周囲の処理対象物12中に注入される。このと
き、浄化促進成分供給設備20の流量調整バルブ26を
開弁しておくことにより、貯蔵タンク26内の浄化促進
成分が上記圧搾空気とともに処理対象物12中に注入さ
れる。ここで、酸素を含む圧搾空気は浄化促進成分の1
つであり、以下、該圧搾空気を含めて浄化促進成分とし
て表現する。
【0031】そして、処理対象物12中に注入される浄
化促進成分は、上記高圧間欠注入装置16によって超高
圧をもって短時間の間隔でパルス状にされて所定の間欠
タイミングで注入井14に供給されるため、その下端の
噴出口14aより処理対象物12中に爆発的に吹き込ま
れ、より遠くかつより広範囲に到達されることになる。
また、上記浄化促進成分の爆発的注入は間欠的に繰り返
されるため、注入の度に処理対象物12の堆積状況に変
化を及ぼして浄化促進成分の通り道がランダムになり易
く、処理対象物12全体がほぼ均一に浄化される。更
に、上記流量調整バルブ26の開度調整により浄化促進
成分の流量制御が可能となるが、混在する汚染物質等に
適した浄化促進成分の注入を間欠注入で実施することに
より、間欠注入成分の濃度の管理を容易にして無駄が無
くなる。
【0032】このように処理対象物12中に注入された
浄化促進成分はより広範囲に拡散されるため、1基当た
りの注入井14での浄化領域を拡大することができ、一
定の領域の処理対象物の浄化を行うには有機廃棄物の処
理システム10全体の注入井14の本数を減らすことが
できる。つまり、浄化促進成分は、空気に含まれる酸素
や栄養源により処理対象物12中に含まれる分解微生物
Mを広範囲で活性化して、汚染物質の分解を促進する。
また、解微生物Mでは浄化期間が長期化される油や溶剤
や揮発性物質が汚染物質の場合には、それぞれの浄化に
適した浄化促進成分を選択しておくことにより、これら
汚染物質を短期間のうちに適正に浄化できる。更に、土
着の分解微生物Mが少ない場合は、浄化促進成分として
補充用の分解微生物Mを含めることが望ましい。
【0033】一方、この実施形態の有機廃棄物の処理シ
ステム10では、処理対象物12中に挿入した吸引井3
0からガス状物質を回収し、この回収したガス状物質か
ら気液分離した気体を浄化処理により無害化して排出す
る。ガス状物質とは、汚染物質の浄化により発生する分
解ガスや注入井14から供給した余剰ガス等が挙げられ
る。
【0034】従って、この実施形態では注入井14から
浄化促進成分を処理対象物12中に注入する一方、吸引
井30から吸引するので、この吸引により注入井14か
ら供給される浄化促進成分がより拡散し易くなる。この
ため、上記注入井14から高圧間欠注入装置16を介し
て浄化促進成分が爆発的に吹き込まれることと相俟っ
て、浄化可能領域を著しく拡大することができ、容器4
0内の処理対象物12中に挿入する注入井14の本数を
可及的に減じることができる。
【0035】また、処理対象物12中の分解ガスや余剰
ガスが自然に大気中に放出される前に上記吸引井30で
捕集することができるため、大気汚染を防止することが
できる。従って、この実施形態では処理対象物12の浄
化・安定化及び生分解による減量化が短期間のうちに行
われるため、特に早期の跡地利用や環境保全に有益であ
るとともに、周辺環境に配慮することができる。更に、
容器40内に混在する汚染物質等に適した浄化促進成分
の注入を間欠注入で実施することにより、注入成分の濃
度の管理を容易にして無駄が無くなり、さらに、処理対
象物12を容器40内に入れて浄化及び生分解による減
量化処理するので、原位置での処理とは異なり、水分や
通気等の浄化促進成分の管理が極簡易に行え、所望の目
標に合わせて効率良く有機廃棄物を生分解させることが
可能で、中間処理としての焼却を行わずとも、短期に有
機廃棄物を減量化させることができ、ダイオキシンなど
を発生させる虞もない。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1に
示す有機廃棄物の処理システムでは、浄化促進成分が注
入井の噴出口から容器内の処理対象物中に短時間の間隔
でパルス状にされて所定の間欠タイミングをもって超高
圧で注入されて、爆発的に吹き込まれるため、浄化促進
成分を容器内でより遠くかつより広い範囲に分散して到
達させることができる。従って、1基当たりの注入井の
浄化領域を大幅に拡大できることにより、容器内の処理
対象物中に挿入する注入井の本数を削減して構成を簡単
にできる。また、浄化促進成分の爆発的注入が間欠的に
繰り返されることにより、注入の度に地盤の堆積状況に
変化を及ぼして地盤全体をほぼ均一に浄化することがで
きるとともに、混在する汚染物質等に適した浄化促進成
分の注入を間欠注入で実施することにより、注入成分の
濃度の管理を容易にして無駄が無くなる。
【0037】また、注入井から浄化促進成分を処理対象
物中に注入しつつ、吸入井から処理対象物中のガス状物
質を吸引するので、浄化促進成分を容器中により拡散し
易くできるとともに、分解ガスや余剰ガスが処理対象物
の表層面から自然に大気中に放出される前にこれらを吸
引井で捕集し、これを浄化処理した後に放出できるた
め、大気汚染を防止することができる。
【0038】さらに、有機物を多く含んだ処理対象物を
容器内に入れて生分解浄化処理するので、原位置とは異
なり、水分や通気等の浄化促進成分の管理が極簡易に行
え、所望の目標に合わせて効率良く有機廃棄物を生分解
させることができ、中間処理としての焼却を行わずと
も、短期に廃棄物を減量化させることが可能で、ダイオ
キシンなどを発生させる虞がない。
【0039】また、請求項2に示す有機廃棄物の処理シ
ステムでは、前記容器の下側部に排水設備を設けるの
で、汚濁物質を多く含む浸出水等の液体分を回収でき、
容器内に溜まるのを防止できる。この回収した浸出水は
水浄化処理設備で浄化し得、また、この浸出水とともに
分解微生物も回収して再利用が図れる。
【0040】更に、本発明の請求項3に示す処理対象物
の浄化方法では、上記浄化促進成分が空気や過酸化水素
やオゾン等の酸素含有物質、分解微生物、分解微生物を
活性化する栄養源、などの汚染物質の浄化を促進する成
分であるため、広い範囲の汚染物質の種類に対して有効
となり、各種汚染物質に即した浄化を適正に行うことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る有機廃棄物の処理シ
ステムの全体構成を概略的に示す断面図である。
【図2】図1における容器部分を示す概略斜視図であ
る。
【符号の説明】
10 有機廃棄物の処理システム 12 処理対象物 14 注入井 14a 噴出口 16 高圧間欠注入装置 18 供給経路 20 浄化促進成分供給設備 28 浄化排出処理設備 30 吸引井 32 気液分離器 34 吸引ポンプ 36 排出ガス浄化装置 40 容器 40a 蓋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 辻 博和 東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株式 会社大林組技術研究所内 Fターム(参考) 4D004 AA03 AA12 AA41 AC08 CA19 CA36 CA48 CB04 CB42 CB43 CC01 CC02 CC03 DA02 DA07 DA20 4D027 CA03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙屑や生ゴミ、または処分場から掘削回
    収した有機質を多く含む廃棄物、あるいは汚染土壌等の
    処理対象物を収納する容器と、該容器内に収納した処理
    対象物中に挿入される注入井と、該注入井に超高圧をも
    って短時間の間隔のパルス状にして間欠的に浄化促進成
    分を供給する高圧間欠注入装置と、該容器内で発生する
    ガス状物質を吸引回収してこのガス状物質を浄化して排
    出する浄化排出処理設備とを備え、該容器内の処理対象
    物に適度な水分を与えた状態で、該高圧間欠注入装置に
    より該注入井を通じて処理対象物中に該浄化促進成分を
    爆発的に間欠注入する一方、該浄化排出処理設備で該容
    器内に発生するガス状物質を吸引回収して浄化排出処理
    することを特徴とする有機廃棄物の処理システム。
  2. 【請求項2】 前記容器の下側部に排水設備を設けたこ
    とを特徴とする請求項1記載の有機廃棄物の処理システ
    ム。
  3. 【請求項3】 上記浄化促進成分は、空気や過酸化水素
    やオゾン等の酸素含有物質、分解微生物、分解微生物を
    活性化する栄養源、などの汚染物質の浄化を促進する成
    分であることを特徴とする請求項1または2のいずれか
    に記載の有機廃棄物の処理システム。
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