JPH11273919A - R−tm−b系永久磁石 - Google Patents

R−tm−b系永久磁石

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JPH11273919A
JPH11273919A JP10095476A JP9547698A JPH11273919A JP H11273919 A JPH11273919 A JP H11273919A JP 10095476 A JP10095476 A JP 10095476A JP 9547698 A JP9547698 A JP 9547698A JP H11273919 A JPH11273919 A JP H11273919A
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JP10095476A
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Akira Makita
顕 田
Osamu Yamashita
治 山下
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Sumitomo Special Metals Co Ltd
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    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/032Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高磁気性能を有するR−TM−B系永久磁石
を開発するための指針を提供すること。 【解決手段】 RTM14B磁性相とR−TM粒界相
の界面近傍における粒界相が面心立方構造を有し、磁性
相とR−TM粒界相が整合しているR−TM−B系永久
磁石。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、R-TM-B系永久磁石
(R:Yを含む希土類元素、TM:遷移金属)に関し、R-TM-B系
永久磁石原料、R-TM-B系永久磁石中間体及び最終製品で
あるR-TM-B系永久磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】R-TM-B系永久磁石は優れた磁気特性を持
ち、様々な用途に使用されている。R-TM-B系永久磁石に
は種々の製造方法があるが、代表的な製造方法としては
焼結法と超急冷法がある。焼結法は、例えば特開昭59-4
6008号に開示されているように、特定組成を持つインゴ
ットを平均粒径数μmの単結晶微粉末に粉砕し、これを
磁界中で配向しながら任意の形状に成形した後、焼結し
てバルク状の磁石を得る方法である。超急冷法は、例え
ば特開昭60-9852号に開示されているように、特定組成
を持つ合金を、ロール急冷法などの方法で超急冷してア
モルファス状態にし、ついで熱処理を行うことで微細な
結晶粒を析出させる方法である。超急冷法で得られた磁
石合金は通常粉末状であり、一般的にこれを樹脂と混合
して成形することによりボンド磁石の形態で使用する。
さらに、急冷薄板を粉砕して焼結する方法も用いられて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような従来技術で
は、試料作成及び評価を繰り返し行うことにより、磁石
の製造工程の各種の条件を最適化し、経験的に磁石の磁
気特性を向上させている。しかし、このような経験的な
方法では、飛躍的な磁気特性向上を達成することが困難
である。また、永久磁石の組成が異なる場合、それぞれ
試料作成及び評価を繰り返し行う必要がある。
【0004】本発明は、高い磁気性能を有するR-TM-B系
永久磁石を設計するための指針を提供することを課題と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】従来、磁石の磁気特性、
なかでも保磁力を決定する主相(強磁性相)、粒界相間
の界面の構造が未知であった。このため、従来技術で
は、磁石の製造工程の各種の条件を最適化することで、
経験的に磁石の磁気特性を向上させている。このような
経験的な手法は、試料作成及び評価のための時間及び費
用がかかる上に、磁石特性の向上には限界がある。
【0006】そこで、本発明者らは、経験的な手法に依
拠せず、理想的な界面の構造はどうあるべきかという根
本的な問題を探求した結果、核生成型の保磁力発生機構
を示す種々の磁石材料において、核生成の容易さが磁性
相の最外殻近傍における結晶磁気異方性の大きさに依存
しており、最外殻近傍の異方性定数K1の値を少なくとも
内部と同等、もしくはそれ以上に制御することにより核
生成が抑制され、磁石の保磁力を高めることができるこ
とを見出し、さらに鋭意研究を進めた結果、本発明を完
成するに至ったものである。
【0007】本発明は第1の視点において次の要素を有
する。結晶構造が正方晶であるR2TM14B金属間化合物(R:
Yを含む希土類元素、TM:遷移金属)から主としてなる磁
性相。R-TM合金から主としてなる粒界相。磁性相と粒界
相の界面近傍における粒界相の結晶構造が面心立方構造
であること。磁性相と粒界相が整合していること。第2
の視点において、R2TM14B金属間化合物において、R中の
NdとPrの合計が50at%以上。TMはFeまたはCoでTM中のFe
が50at%以上。R-TM合金において、Rが90at%以上。第3
の視点において、磁性相と粒界相の界面近傍における結
晶学的方位関係が、下記の少なくとも一組で表され、か
つ該方位関係のずれの角度が5°以内であること。
【0008】
【化2】
【0009】第4の視点において、結晶構造が正方晶で
ある磁性相を含むこと。磁性相との界面近傍における結
晶構造が面心立方構造である粒界相を含むこと。磁性相
と粒界相が界面を挟んで整合していること。第5の視点
において、強磁性を発揮するR2TM14B金属間化合物(R:Y
を含む希土類元素、TM:遷移金属)源と、R-TM合金源を用
いること。R2TM14B正方晶を析出すること。R2TM14B正方
晶相の周囲にR-TM面心立方晶相を析出すること。R2TM14
B正方晶相とR-TM面心立方晶相を整合させ、整合した界
面近傍のR2TM14B正方晶相の結晶磁気異方性を高めるこ
と。
【0010】ここで、R2TM14B金属間化合物(好ましく
は単結晶体)からなる主相(強磁性相)と,R-TM合金か
らなる粒界相とから主として構成されるR-TM-B系永久磁
石を例として、本発明の原理を説明する。なお、R-TM-B
系永久磁石中には上述の主相、粒界相以外にもB-rich相
(R1+ αTM4B4)、R-TM準安定相、工程中で不可避的に形成
される酸化物、および炭化物などが存在することが知ら
れているが、これらの相が該永久磁石の磁気特性に及ぼ
す影響は該主相、該粒界相の二相と比べて副次的であ
る。
【0011】粒界相の存在は実用的な保磁力の発現に必
要であり、一般に磁石の組成中に粒界相の形成に必要な
R成分が不足してくると保磁力は低下する。これは、R成
分の不足によってR2TM14B相とR-TM相の二相が平衡状態
で共存できなくなり、かわりにR2TM17相などの強磁性相
がR2TM14B相の粒界に析出し、そこが逆磁区発生の起点
となり、容易に磁化反転して保磁力が低下するためと考
えられている。上記のR2TM14B相とR-TM相が共存する組
成領域はR-Fe-B三元平衡状態図から知ることができる。
【0012】また、焼結法で作製したR-TM-B系永久磁石
に実用上十分な保磁力を与えるためには強磁性相である
主相と粒界相とが格子欠陥のないスムーズな界面で接し
ていることが必要であることが、透過電子顕微鏡による
該界面のミクロな観察で明らかにされている。この理由
は、界面に格子欠陥などが存在すると、そこが逆磁区発
生の起点となり、容易に磁化反転して保磁力が低下する
ためと説明されている。
【0013】本発明者らは、上記の従来技術によるR-TM
-B系永久磁石の持つ優れた磁気特性を発現させる上で、
該永久磁石を構成する粒界相の好ましい形態について以
下の問題点があることを知見した。すなわち、従来の技
術ではR-TM粒界相が存在する組成領域や、主相と粒界相
との界面の欠陥の有無についての知見は得られていたも
のの、R-TM粒界相の結晶構造と、その主相との好ましい
方位関係については知られていなかった。このため、特
定の組成を持つR-TM-B系永久磁石のミクロな構造を制御
して優れた磁気特性を発現させることは不可能であっ
た。その代わりに、従来技術においては、磁石の製造工
程の各種の条件を最適化することにより、経験的に磁石
の磁気特性を向上させている。
【0014】すなわち、従来は、磁石の磁気特性、なか
でも保磁力を決定する主相、粒界相間の界面の構造が未
知であったため、界面の構造を変化させると思われるさ
まざまな処理(例えば熱処理など)を磁石に施して、界面
の状態はブラックボックスのまま磁石特性を制御してい
る。このような手法は、個々の組成の磁石の製造条件を
最適化する上では支障がなかったが、理想的な界面の構
造はどうあるべきかという材料開発上の指針がないまま
では、磁石特性をさらに向上させるのは極めて困難であ
る。
【0015】本発明者らは、透過電子顕微鏡(TEM)を用
いて、種々のR-TM-B系永久磁石の粒界相のミクロな解析
を行った結果、すべてのR-TM-B系永久磁石の粒界には必
ずR-TM合金(Rを90at%以上含む)からなる粒界相が存在
し、主相との界面近傍における粒界相の結晶構造が面心
立方構造をとるときに優れた磁気特性が得られることを
知見した。
【0016】また、本発明者らは、上記の面心立方構造
をもつR-TM粒界相が存在するR-TM-B系永久磁石の粒界相
と主相(R2TM14B相)との界面の構造について、高分解能
透過電子顕微鏡(HR-TEM)や走査トンネル顕微鏡などで詳
細に観察した結果、主相と粒界相とが界面近傍において
特定の結晶学的方位関係を持つようにミクロ組織が制御
され、整合しているときに磁気特性が最も高くなること
を見出し、さらに鋭意研究を進めた結果、本発明を完成
させたものである。
【0017】図1、図2(A)及び(B)を参照して、
主相(強磁性相)と粒界相がその界面で整合している場
合と、整合していない場合とで、界面近傍における結晶
磁気異方性の分布の相違を説明する。図1又は図2
(A)及び(B)において、横軸の"最外殻"とは主相の
最も外側の原子層の位置を示し、"第2層"、"第3層"と
はそれぞれ最外殻位置から内部に向かって数えて2番
目、3番目の原子層の位置を示す。第n層とは最外殻か
らの距離が遠く、界面からの影響が無視できる位置を示
す。図1のグラフ中、縦軸は主相の一軸異方性定数K
1(結晶磁気異方性の強さを示す)の大きさを示し、K1
の値が大きいほど主相の自発磁化の向きは磁化容易軸
(c軸)の方向で安定化する。また、図1中、実施例
(本発明)は図2(A)に示すように主相と粒界相が界
面で整合している条件でのK1の計算値を示し、比較例は
図2(B)に示すように粒界相の欠落などによって界面
の不整合などがある場合のK1の計算値を示している。
【0018】図1を参照して、比較例においては、界面
からの距離によって異方性定数K1の大きさが大きく変化
し、最外殻におけるK1の値が内部に比べて著しく低下し
ている。一方、実施例においては、界面からの距離によ
って異方性定数K1の大きさがあまり変化せず、むしろ最
外殻相において異方性定数K1が上昇している。従って、
比較例によれば、最外殻において逆磁区の核生成に要す
るエネルギーが局所的に低下して核生成と磁化反転が容
易になるため、磁石の保磁力が低下する。一方、実施例
によれば、最外殻におけるK1がむしろ内部より高いた
め、界面における逆磁区の核生成が抑制され、その結果
磁石の保磁力が増加する。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施の形態につ
いて、焼結法(粉末冶金法)を例にとって説明する。他
の公知のR-TM-B系永久磁石の製造方法においても、好ま
しい界面の構造を発現する具体的な方法については焼結
法と同様である。
【0020】出発原料となるR-TM-B合金において、R中
のNdとPrの合計を50at%以上とすることにより、得られ
る磁石の保磁力と残留磁化が向上するので好ましい。ま
た、保磁力を向上させるためにNdの一部をDyやTbで置換
することも好ましい。TMは、特にFe又はCoが好ましい。
TM中のFeが50at%以上で保磁力と残留磁化が向上するの
で好ましい。この他、さまざまな目的で上記以外の添加
元素を添加することも可能である。
【0021】本発明に基づく永久磁石の平均の組成はR2
TM14B相とR-TM相(Rを90at%以上含む)の少なくとも二相
が共存できる組成範囲が好ましい。これには、組成範囲
をR:8〜30at%、B:2〜40at%、残部主としてTMとすればよ
い。好ましくは、組成範囲をR:8〜30at%、B:2〜40at%、
Fe:40〜90at%、Co:50at%以下とする。さらに、好ましく
は組成範囲をR:11〜50at%、B:5〜40at%、残部主としてT
Mとすればよい。より好ましくは、組成範囲をR:12〜16a
t%、B:6.5〜9at%、残部主としてTMとすればよい。一層
好ましくは、組成範囲をR:12〜14at%、B:7〜8at%、残部
主としてTMとすればよい。また、用いるR-TM-B合金は必
ずしも単一の所要組成からなる必要はなく、異なる組成
の合金を粉砕した後、混合し所要組成に調整して用いる
こともできる。
【0022】また、主相において、Bの一部ないし大部
分をC,Si,P,などのいわゆる半金族元素で置換しても
よい。例えば、BをCで置換する場合、B1-xCx、但し好ま
しくはxは少なくとも0.8まで可である。
【0023】R-TM-B合金を粉末にする方法には、鋳造粉
砕法、急冷薄板粉砕法、超急冷法、直接還元拡散法、水
素含有崩壊法、アトマイズ法などの公知の方法を適宜選
択することができる。合金粉末の平均粒径を1μm以上
とすることにより、粉末が大気中の酸素などと反応しに
くく酸化しにくくなり、焼結後の磁気特性が向上する。
また、平均粒径を10μm以下とすることにより、焼結密
度が高くなり好ましい。より好ましい平均粒径の範囲は
1〜6μmである。
【0024】得られた合金粉末を金型中に給粉し、磁界
中で配向しながら圧縮成形する。この際に、例えば特開
平8-20801号に開示されているように、合金粉末の流動
成を高めて給粉を容易にする目的で合金粉末にバインダ
ーを添加してスプレー造粒を行うことも好ましい。ある
いは、特開平6-77028号に開示されているように、合金
粉末にバインダーを加えて金属射出成形法によって複雑
形状品の成形を行うことも可能である。これらバインダ
ーを用いた場合は、焼結前に成形体に含まれるバインダ
ーを熱分解によって除去することが好ましい。
【0025】得られた成形体は真空中、または窒素を除
く不活性ガス中で焼結する。焼結条件はR-TM-B合金粉末
の組成や粒径に応じて適宜選定されるが、例えば1000〜
1180℃で1〜4時間が好ましい。焼結後の冷却速度は粒界
相の結晶構造を制御する上で重要である。すなわち、焼
結温度では粒界相は液相になっており、焼結温度からの
冷却速度があまり早すぎると粒界相は格子欠陥を多く含
んだり、非晶質になったりして好ましくない。
【0026】粒界相が面心立方構造をとるためには、焼
結温度からの冷却速度は10〜200℃/minの範囲内である
ことが好ましい。このように冷却に十分時間をかけるこ
とにより、液状の粒界相が過冷却にならずに、冷却時に
規則正しい結晶構造をとることが可能になる。粒界相が
非晶質ではなく面心立方構造をとることにより、主相と
粒界相の界面における原子同士の位置関係が規則正しく
なり、両者の整合性が保たれる結果、界面が逆磁区発生
の起点となる可能性が減少し、高保磁力が実現する。よ
り好ましい焼結後の冷却速度の範囲は20〜100℃/minで
ある。
【0027】界面の整合性の効果を得るには、主相と粒
界相の界面近傍のたかだか数原子層の範囲で粒界相の結
晶構造が面心立方構造になっていればよい。また、主相
は一般に粒界相よりも早く形成されており、主相を構成
する結晶粒は単結晶になっているため、主相と粒界相が
整合していることにより、結晶粒内部から外殻に至るま
で結晶粒内の結晶磁気異方性が高くなり、高保磁力が得
られる。
【0028】それぞれの主相の結晶粒はその一部又は全
部が粒界相に囲まれていることが好ましく、主相の結晶
粒径は10nm〜500μmの範囲にあることが好ましい。より
好ましい結晶粒径の範囲は、例えば焼結法の場合は10〜
30μm、超急冷法の場合は20〜100nmなどと、それぞれの
製法によって異なる。また、主相中に粒界相を伴わない
粒界や双晶粒界、あるいは析出物などが存在すると磁石
の保磁力が低下するため、主相は単結晶であることが好
ましい。
【0029】上記の主相と粒界相の界面における原子同
士の位置関係をさらに理想的に制御するには、主相と粒
界相の結晶学的方位関係を特定すればよい。ここで、記
号"[hkl]"はミラー指数がh、k、lで表される結晶面に垂直
な法線の方向を表す。また、記号"[hkl]"の添字"主相"
又は"粒界相"とは、それぞれの方向が主相、または粒界
相のものであることを示す。例えば、記号"[001]主相"
は主相であるR2TM14B相のc軸の方向を表している。一
組の方向の間に記された記号"//"は、これらの方向が互
いに平行であることを示す。
【0030】次に、記号"(hkl)"はミラー指数がh、k、lで
表される結晶面を表し、小文字で記された"主相"、"粒
界相"と、記号"//"の意味するところは方向の場合と同
じである。ここで、同一の相についての方向と結晶面の
表記においては、用いられるミラー指数は一般化された
指数ではなく、特定の結晶方向、ないし結晶面を示して
いる。
【0031】例えば、下記に示すミラー指数は粒界相の
固定されたx、y、z座標に基づいた指数であり、いいか
えれば[221]面と[212]面は厳密に区別される。このよう
な表記方法によって、主相と粒界相の空間的な方位関係
は厳密に規定される。
【0032】
【化3】
【0033】界面における特定の結晶方位関係が磁石の
磁気特性を向上させる理由は以下の通りである。すなわ
ち、主相の界面近傍では、主相の結晶磁気異方性を決め
ているR原子の周囲の結晶場が、隣接する粒界相の原子
配列の影響を受けて変化する。R-TM粒界相の結晶方位が
主相に対して、下記の(A)〜(C)の関係を有する場合、R-
TM粒界相のR原子と、主相中のR原子とが上記の結晶場の
異方性を強める位置関係にあるため、主相の界面近傍で
の結晶磁気異方性が高まる。その結果、粒界近傍での逆
磁区発生が困難となり、容易に磁化反転することができ
ないため保磁力が向上すると考えられる。
【0034】
【化4】
【0035】上記の説明において、主相中のR原子の結
晶場に影響を与える粒界相の原子は、主相に隣接する界
面の近傍の原子に限られる。したがって、本発明におい
て、粒界相の結晶構造(上記の主相)と粒界相の方位関
係は両相の界面の近傍のたかだか数原子層の範囲で成立
していればよい。
【0036】このような結晶方位関係を実現する方法と
して、例えば、焼結後の冷却速度制御がある。例えば、
R-TM粒界相が液相状態である800℃以上から、原子の拡
散が極めて遅くなる300℃以下までの温度範囲を、10〜2
00℃/minの冷却速度で冷却することにより、主相と整合
性のある特定の結晶方位関係を持った粒界相を主相との
界面近傍に析出させることができる。より好ましい冷却
速度は20〜100℃/minである。
【0037】この際に、主相と粒界相の成分元素、ある
いは組成の違いによって両相の格子定数の比率が異なる
ために、結晶方位が若干ずれることもある。しかし、こ
のずれの角度はたかだか5°以内であるため、たとえず
れたとしても主相中のR原子の結晶場に与える影響は少
なく、所期の効果を発現することができる。
【0038】高温からの冷却速度の制御の他に、焼結法
や超急冷法などで一旦得られた磁石を、粒界相中の原子
の拡散が容易な融点以下の300〜800℃の温度域で熱処理
を行うことも、界面構造の制御に有効である。この場合
も、界面のエネルギーが駆動力となり、主相との界面近
傍で粒界相の結晶構造の並び替えが起こり、整合性のあ
る界面が実現する。熱処理後の好ましい冷却速度は10〜
200℃/minである。
【0039】以上、主として焼結法を例にとって実施の
形態を説明してきたが、他のR-TM-B系永久磁石の製造方
法においても、好ましい界面の構造の発現方法に関して
は焼結法と全く同様である。
【0040】上記の方法で得られた優れた磁気特性をも
つ永久磁石材料は、焼結体などのバルク磁石の場合に
は、研削加工等により所定の寸法精度を与えた後、必要
な表面処理を施し、着磁をして用いることができる。こ
の際に、加工歪みの影響を緩和するために、加工後に熱
処理を行うことも好ましい実施形態である。ボンド磁石
の場合は、得られた磁粉を樹脂と混合し、成形を行った
後、必要であれば表面処理を施し、着磁をして用いるこ
とができる。
【0041】[異方性定数]本発明に基づく永久磁石に
おいて、強磁性相の最外殻近傍の異方性定数K1の値は内
部と同等、もしくはそれ以上であることが好ましい。こ
の場合の同等とは、内部での値の少なくとも50%以上で
ある。強磁性粒子の最外殻部における結晶磁気異方性
が、粒界相が存在しない場合の該強磁性粒子の最外殻部
の結晶磁気異方性に比べて強められることが好ましい。
【0042】[結晶磁気異方性の分布]また、非晶質で
ない特定の結晶構造を持ち、かつ室温において強磁性体
である金属、合金、または金属間化合物の少なくとも1
種の結晶粒からなる永久磁石において、該結晶粒の最外
殻位置での結晶磁気異方性が、結晶粒外部の影響が無視
できる結晶粒内部(中心部)と同等であるか、もしくは
向上し、内部に比べて大きく減少することのないことが
好ましい。実用的な保磁力を得るために、結晶粒の最外
殻位置での結晶磁気異方性は、結晶粒外部の影響が無視
できる内部の結晶磁気異方性の半分以上であることが好
ましい。
【0043】[囲まれた主相、離隔構造]非晶質でない
特定の結晶構造を持ち、かつ室温において強磁性体であ
る金属、合金、または金属間化合物からなる主相と,金
属、合金、または金属間化合物からなり、かつ主相の周
囲を取り囲む形で存在する粒界相の少なくとも2相で構
成されることが好ましい。粒界相は、主相を構成する強
磁性相(強磁性粒子)の一部ないし全部を囲むことによ
り保磁力向上が見られる。強磁性相(強磁性粒子)が粒
界相によって半分以上囲まれていることが好ましい。ま
た、主相を構成する一つの強磁性粒子と、他の強磁性粒
子が互いに離隔されていることが好ましい。また、実質
的に非磁性の粒界相によって、一つの強磁性粒子と、他
の強磁性粒子とが部分的ないし全体的に互いに離隔され
ていることが好ましい。
【0044】[主相と粒界相の好ましい組み合わせ]本
発明において、主相として好ましい金属、合金または金
属間化合物は、永久磁石の主相として優れた性質を有す
るものがよく、具体的には、飽和磁化が高く、キュリー
温度が室温以上で十分に高いものがよい。
【0045】本発明において、粒界相として好ましい金
属、合金、または金属間化合物は、室温よりも高く、か
つ、主相の融点、または分解速度よりも低い融点、また
は分解温度を有し、熱処理によって主相の周りに拡散さ
せることが容易なものがよい。また、粒界相を構成する
原子は主相の最外殻原子に対して陽イオンとしてふるま
い、主相の結晶磁気異方性を高めるものが好ましい。特
に、少なくとも強磁性粒子に隣接する粒界相部分に陽イ
オン源を含む結晶を析出し、強磁性相に隣接する粒界相
の結晶構造において、強磁性粒子の最外殻に位置する希
土類元素イオンの4f電子雲が伸びている方向に陽イオン
を位置させることが好ましい。R-TM合金中のRの他、上
記の条件を満たす金属を例示すれば、Be、Mg、Ca、Sr、
Ba、すべての遷移金属元素(Zn、Cdを含む)、Al、Ga、
In、Tl、Sn、Pbの一種以上などである。また、Be、Mg、
Al、Si、P、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、
Zn、Ga、Sr、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Sn、Ba、Hf、Ta、I
r、Pbの一種以上である。また、これらの金属同士の合
金、または金属間化合物も粒界相となり得るが、以上に
挙げた例は本発明の適用範囲を限定するものではない。
【0046】上記の主相と粒界相の組み合わせは、例え
ばSmCo5主相とY粒界相のように、両相がある温度域で平
衡に共存するものが好ましい。また、例えばSm2Fe17N
主相とZn相の反応で金属間化合物相(Γ-FeZn)が形成
されるように、主相と第2相とが反応することにより粒
界に好ましい第3相を形成してもよい。後者の場合に
は、第3相が本発明でいうところの粒界相となる。
【0047】[微量添加元素の範囲]本発明において、
主相と粒界相との整合性を高めるためないし磁気特性を
高めるために、主として金属元素又は半金属元素を微量
に添加することは好ましい実施形態である。上記の微量
添加元素は、粒界相に濃縮偏在して界面の濡れ性を高め
たり、あるいは界面の不整合な位置に拡散して粒界相の
格子定数を調整して界面エネルギーを下げ、界面の整合
性を高める効果があり、その結果として磁石の保磁力が
向上する。
【0048】上記の働きをする微量添加元素としては、
粒界相中に固溶しうる元素が好ましく、例えば、C、N、
Al、Si、P、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、
Zr、Nb、Mo、これら以外の上述の金属元素などがある
が、以上に挙げた例は本発明の適用範囲を限定するもの
ではない。上記の目的で添加する元素の添加量は、磁石
全体に対する割合で1.0wt%以下で良好な磁石の残留磁束
密度が得られ、0.05wt%以上で所定の効果が得られるの
で、添加量の範囲は0.05〜1.0wt%が好ましい。より好ま
しい範囲は0.1〜0.5wt%である。微量添加元素の添加方
法は、母合金に初めから含有させる、粉末冶金的手法で
後から添加するなど、磁石の製造方法に応じて適宜選択
できる。また、上記微量元素などが主相(強磁性相)に
侵入し又は主相を構成する元素を置換してもよい。
【0049】[磁性相と粒界相の結晶構造]粒界相の結
晶構造は、磁性相の結晶構造と似ていることが好まし
い。さらに、粒界相の結晶構造と磁性相の結晶構造とが
特定の方位関係にあることが好ましい。これによって、
粒界相側の特定原子と主相側の特定原子の整合性が高ま
る。例えば、正方晶R2TM14B金属間化合物(R:Yを含む希
土類元素、TM:FeまたはCo)からなる主相と、特にR-TM
合金からなる粒界相から構成される永久磁石において
は、該主相と該粒界相の界面近傍における該粒界相の結
晶構造が面心立方構造であることが好ましい。さらに、
面指数と方位指数に関して、該主相と該粒界相との界面
近傍における結晶学的方位関係が上記(A)〜(C)の組み合
わせのいずれかであることが好ましい。
【0050】また、正方晶R2TM14B金属間化合物(R:Yを
含む希土類元素、TM:FeまたはCo)からなる主相と、R3T
M合金からなる粒界相から構成される永久磁石において
は、該主相と該粒界相の界面近傍における該粒界相の結
晶構造が斜方晶構造であることが好ましい。さらに、方
向ベクトルと面指数に関して、該主相と該粒界相との界
面近傍における結晶学的方位関係が下記(D)〜(G)の組み
合わせのいずれかであることが好ましい。
【0051】
【化5】
【0052】R-TM合金からなる粒界相とR3TM合金からな
る粒界相が共存する場合、それぞれの結晶学的方位関係
は、上記(A)〜(C)の組み合わせのいずれか、上記(D)〜
(G)の組み合わせのいずれかであることが好ましい。
【0053】粒界相は、その主相との界面近傍(高々数
原子層)の原子が主相側と整合であればよく、非晶質、
部分的に非晶質、ほとんどが非晶質であってもよい。ま
た、界面の一部が整合であることによって効果が得られ
るが、界面の半分以上が整合であることが好ましい。ま
た、主相と粒界相は、その界面近傍に格子欠陥がなく連
続性が維持され規則的であることが好ましいが、一部格
子欠陥があってもよい。なお、界面において、主相と粒
界相が50%以上整合していることが好ましい。
【0054】本発明に基づく永久磁石において、強磁性
相はある条件下で実用的な保磁力を示すものであればよ
く、金属、合金、金属間化合物、半金属、その他の化合
物の一種以上から構成することが可能である。また、本
発明の原理は、永久磁石原料から中間体さらに最終製品
としての永久磁石及びそれらの製造方法まで適用され
る。例えば、永久磁石原料としては、鋳造粉砕法、急冷
薄板粉砕法、超急冷法、直接還元法、水素含有崩壊法、
アトマイズ法によって得られる粉末がある。中間体とし
ては、粉砕されて粉末冶金法の原料とする急冷薄板、熱
処理されて一部又は全部が結晶化する非晶質体(一部又
は全部)がある。最終製品である永久磁石としては、そ
れらの粉末を焼結又はボンド等によってバルク化した磁
石、鋳造磁石、圧延磁石、さらに、スパッタリング法、
イオンプレーティング法、PVD法又はCVD法などに
よる薄膜磁石などがある。さらに、永久磁石原料又は最
終製品として永久磁石の製造方法として、メカニカルア
ロイング法、ホットプレス法、ホットフォーミング法、
熱間・冷間圧延法、HDDR法、押出法、ダイアップセット
法などがあり、特に限定されない。本発明に基づくR-TM
-B系永久磁石は、モーター、医療用MRI装置、スピーカ
ーなどに用いられる。
【0055】
【実施例】[実施例1]Nd13.0at%、B6.5at%、残部Fe、
および不可避的不純物からなる原料を、φ0.3mmのオリ
フィス径を持つ石英管中に装填し、Arガス雰囲気中で高
周波溶解して、溶湯をロール周速度20m/sで回転する銅
製ロールの表面に噴射して急冷し、超急冷薄帯を得た。
これを目の開き300μmのメッシュを全量通るまで粗く粉
砕した後、Ar雰囲気中で600℃、30minの熱処理を行い、
100℃/minの冷却速度で室温まで冷却した。得られた磁
石粉末の小片をサンプリングし、Ar中のイオンミリング
によって透過電子顕微鏡用の試料を作製し、観察した結
果、平均の結晶粒径は75nm、粒界相は厚み4nmの面心立
方構造のNd-Fe合金であった。得られた磁石粉末の着磁
後の磁気特性を表1に示す。
【0056】[比較例1]実施例1で得られた超急冷薄帯
の粗粉砕粉の小片をそのままサンプリングし、透過電子
顕微鏡で観察した結果、平均の結晶粒径は72nm、粒界相
は厚み3nmの非晶質Nd-Fe合金であった。得られた磁石粉
末の着磁後の磁気特性を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】表1の結果から明らかなように、結晶粒径
がほぼ同一で粒界相の結晶構造が非晶質、または面心立
方構造のR-TM-B系永久磁石の磁気特性を比較すると、面
心立方構造のものが保磁力の面で特に優れた磁気特性を
発現することがわかる。
【0059】[実施例2]Nd14.0at%、Co3.0at%、B7.0at
%、残部Fe、および不可避的不純物からなる原料を、Ar
ガス雰囲気中で高周波溶解して、合金を溶製した。次
に、該合金を粗粉砕した後、ジョークラッシャー、およ
び、ディスクミルにより420μm以下に粉砕し、さらに、
ジェットミル粉砕して平均粒径3μmの粉末を得た。得ら
れた微粉末を縦15mm、横20mmのダイス中に給粉し、11kO
eの磁界中で配向しながら、深さ方向に1.5Ton/cm2の圧
力を加えて成形した。成形体を取り出した後、真空中で
1100℃まで昇温し、2時間保持する焼結を行い、さら
に、焼結完了後、200℃/minの速度で800℃まで冷却し、
その後、100℃/minの速度で300℃まで冷却し、ついでAr
を導入して室温まで冷却して焼結磁石を得た。得られた
焼結体の寸法は収縮によって成形体よりも減少したが、
ワレ、ヒビ、変形などは全く見られなかった。次に、焼
結後の磁石を真空中、500℃で2h保持した後、20℃/min
の速度で室温まで冷却した。得られた焼結磁石の着磁後
の磁気特性を表2に示す。
【0060】また、得られた磁石の小片をサンプリング
し、Ar中のイオンミリングによって透過電子顕微鏡用の
試料を作製し、観察した結果、平均の結晶粒径は12μ
m、粒界相は厚み140nmの面心立方構造のNd-Fe合金であ
った。図3は、その主相と粒界相の界面付近の高分解能
透過電子顕微鏡写真であって、右半分にR2TM14B主相、
左半分にR-TM粒界相の格子像が見られる。両者は界面に
おいて互いに接している。図4は、図3中右側のR2TM14
B主相の制限視野電子線回折像である。回折点は解析の
結果、図4中に示すように、格子定数がa=8.8nm、c=12.
2nmの正方晶で指数付けすることができる。この指数か
ら、この回折像における電子線の入射方向は、次のよう
になることがわかる。
【0061】
【化6】
【0062】図5は、図3中左側のR-TM粒界相の制限視
野電子線回折像である。回折点は解析の結果、図5中に
示すように、格子定数がa=5.2nmの面心立方晶で指数付
けすることができる。指数から、この回折像における電
子線の入射方向は[001]であることがわかる。図3〜図
5に示した界面における主相と粒界相の結晶方位関係
は、次の通りに表される。
【0063】
【化7】
【0064】そして、その方位関係のずれが平行から5
°以内であった。同様に、主相との界面付近の粒界相の
結晶方位を制限視野電子線回折像で解析した結果、ほと
んどの観察部位で、上述の(A)、(B)ないし(C)のいずれ
かの組の結晶方位関係を持っていることがわかった。
【0065】[比較例2]実施例2で得られた焼結後の磁
石を、熱処理せずにサンプリングし、透過電子顕微鏡用
で観察した結果、平均の結晶粒径は12μm、粒界相は厚
み140nmの面心立方構造のNd-Fe合金であった。しかし、
主相との界面付近の粒界相の結晶方位を制限視野電子線
回折像で解析した結果、特定の方位関係は見いだせなか
った。得られた焼結磁石の着磁後の磁気特性を表2に示
す。
【0066】
【表2】
【0067】表2の結果から明らかなように、結晶粒径
がほぼ同一で粒界相の結晶構造が同じ面心立方構造のR-
TM-B系永久磁石の磁気特性を比較すると、主相とその近
傍の粒界相とに特定の方位関係がある場合、保磁力の面
で特に優れた磁気特性を発現することがわかる。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、高磁気性能(特に保磁
力)を有するR-TM-B系永久磁石を設計するため指針が提
供される。従来、保磁力を決定する主相と粒界相間の界
面の構造が未知であったが、本発明によって、保磁力を
向上させるための理想的な界面の構造が明らかにされた
ことにより、新たなR-TM-B系永久磁石の開発の指針が提
供されると共に、既存のR-TM-B系永久磁石の保磁力のさ
らなる向上が可能となる。この結果、新規な磁石材料の
発見が容易となり、今まで保磁力が低いため実用されて
いないR-TM-B系永久磁石の実用化も可能となる。
【0069】本発明によるR-TM-B系永久磁石は、主相と
粒界相の界面における原子同士の位置関係が規則正しく
なり、両者の整合性が保たれる結果、界面が逆磁区発生
の起点となる可能性が減少し、高保磁力を得ることがで
きる。また、本発明によるR-TM-B系永久磁石は、粒界近
傍での逆磁区発生を困難ならしめ、容易に磁化反転する
ことができないため保磁力が向上した、優れた磁気特性
を持つ磁石材料である。
【図面の簡単な説明】
【図1】界面からの距離と結晶磁気異方性の関係を説明
するための図であって、白丸が実施例の一軸異方性定数
K1、黒丸が比較例の一軸異方性定数K1を示す。
【図2】(A)は主相と粒界相が整合している様子を示
すモデル図、(B)は主相と粒界相の界面が整合してい
ない様子を示すモデル図である。
【図3】主相と粒界相が整合している永久磁石を撮影し
た電子顕微鏡写真である。
【図4】図3に示した主相側の制限視野電子線回折像を
示す結晶構造の写真である。
【図5】図3に示した粒界相側の制限視野電子線回折像
を示す結晶構造の写真である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年5月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】そこで、本発明者らは、経験的な手法に依
拠せず、理想的な界面の構造はどうあるべきかという根
本的な問題を探求した結果、核生成型の保磁力発生機構
を示す種々の磁石材料において、核生成の容易さが磁性
相の最外殻近傍における結晶磁気異方性の大きさに依存
しており、最外殻近傍の異方性定数Kの値を少なくと
も内部と同等、もしくはそれ以上に制御することにより
核生成が抑制され、磁石の保磁力を高めることができる
ことを見出し、さらに鋭意研究を進めた結果、本発明を
完成するに至ったものである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】粒界相の存在は実用的な保磁力の発現に必
要であり、一般に磁石の組成中に粒界相の形成に必要な
R成分が不足してくると保磁力は低下する。これは、R
成分の不足によってRTM14B相とR−TM相の二
相が平衡状態で共存できなくなり、かわりにRTM
17相などの強磁性相がRTM14B相の粒界に析出
し、そこが逆磁区発生の起点となり、容易に磁化反転し
て保磁力が低下するためと考えられている。上記のR
TM14B相とR−TM相が共存する組成領域はR−F
e−B三元平衡状態図から知ることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】図1を参照して、比較例においては、界面
からの距離によって異方性定数Kの大きさが大きく変
化し、最外殻におけるKの値が内部に比べて著しく低
下している。一方、実施例においては、界面からの距離
によって異方性定数Kの大きさがあまり変化せず、む
しろ最外殻相において異方性定数Kが上昇している。
従って、比較例によれば、最外殻において逆磁区の核生
成に要するエネルギーが局所的に低下して核生成と磁化
反転が容易になるため、磁石の保磁力が低下する。一
方、実施例によれば、最外殻におけるKがむしろ内部
より高いため、界面における逆磁区の核生成が抑制さ
れ、その結果磁石の保磁力が増加する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】上記の主相と粒界相の界面における原子同
士の位置関係をさらに理想的に制御するには、主相と粒
界相の結晶学的方位関係を特定すればよい。ここで、記
号”[hkl]”はミラー指数がh、k、lで表される
結晶面に垂直な法線の方向を表す。また、記号”[hk
l]”の添字”主相”又は”粒界相”とは、それぞれの
方向が主相、または粒界相のものであることを示す。例
えば、記号”[001]主相”は主相であるRTM
14B相のc軸の方向を表している。一組の方向の間に
記された記号”//”は、これらの方向が互いに平行で
あることを示す。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】[異方性定数]本発明に基づく永久磁石に
おいて、強磁性相の最外殻近傍の異方性定数Kの値は
内部と同等、もしくはそれ以上であることが好ましい。
この場合の同等とは、内部での値の少なくとも50%以
上である。強磁性粒子の最外殻部における結晶磁気異方
性が、粒界相が存在しない場合の該強磁性粒子の最外殻
部の結晶磁気異方性に比べて強められることが好まし
い。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正内容】
【0055】
【実施例】[実施例1]Nd13.0at%、B6.5
at%、残部Fe、および不可避的不純物からなる原料
を、φ0.3mmのオリフィス径を持つ石英管中に装填
し、Arガス雰囲気中で高周波溶解して、溶湯をロール
周速度20m/sで回転する銅製ロールの表面に噴射し
て急冷し、超急冷薄帯を得た。これを目の開き300μ
mのメッシュを全量通るまで粗く粉砕した後、Ar雰囲
気中で600℃、30minの熱処理を行い、100℃
/minの冷却速度で室温まで冷却した。得られたR
TM14B系磁石粉末の小片をサンプリングし、Ar中
のイオンミリングによって透過電子顕微鏡用の試料を作
製し、観察した結果、平均の結晶粒径は75nm、粒界
相は厚み4nmの面心立方構造のNd−Fe合金であっ
た。得られた磁石粉末の着磁後の磁気特性を表1に示
す。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正内容】
【0059】[実施例2]Nd14.0at%、Co
3.0at%、B7.0at%、残部Fe、および不可
避的不純物からなる原料を、Arガス雰囲気中で高周波
溶解して、合金を溶製した。次に、該合金を粗粉砕した
後、ジョークラッシャー、および、ディスクミルにより
420μm以下に粉砕し、さらに、ジェットミル粉砕し
て平均粒径3μmの粉末を得た。得られた微粉末を縦1
5mm、横20mmのダイス中に給粉し、11kOeの
磁界中で配向しながら、深さ方向に1.5ton/cm
の圧力を加えて成形した。成形体を取り出した後、真
空中で1100℃まで昇温し、2時間保持する焼結を行
い、さらに、焼結完了後、200℃/minの速度で8
00℃まで冷却し、その後、100℃/minの速度で
300℃まで冷却し、ついでArを導入して室温まで冷
却してRTM14B系焼結磁石を得た。得られた焼結
体の寸法は収縮によって成形体よりも減少したが、ワ
レ、ヒビ、変形などは全く見られなかった。次に、焼結
後の磁石を真空中、500℃で2h保持した後、20℃
/minの速度で室温まで冷却した。得られた焼結磁石
の着磁後の磁気特性を表2に示す。
【手続補正書】
【提出日】平成10年12月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】次に、記号”(hkl)”はミラー指数が
h、k、lで表される結晶面を表し、添字”主相”、”
粒界相”と、記号”//”の意味するところは方向の場
合と同じである。ここで、同一の相についての方向と結
晶面の表記においては、用いられるミラー指数は一般化
された指数ではなく、特定の結晶方向、ないし結晶面を
示している。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】例えば、下記に示すミラー指数は粒界相の
固定されたx、y、z座標に基づいた指数であり、いい
かえれば221面と212面は厳密に区別され
る。このような表記方法によって、主相と粒界相の空間
的な方位関係は厳密に規定される。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年12月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正内容】
【0060】また、得られた磁石の小片をサンプリング
し、Ar中のイオンミリングによって透過電子顕微鏡用
の試料を作製し、観察した結果、平均の結晶粒径は12
μm、粒界相は厚み14nmの面心立方構造のNd−F
e合金であった。図3は、その主相と粒界相の界面付近
の高分解能透過電子顕微鏡写真であって、右半分にR
TM14B主相、左半分にR−TM粒界相の格子像が見
られる。両者は界面において互いに接している。図4
は、図3中右側のRTM14B主相の制限視野電子線
回折像である。回折点は解析の結果、図4中に示すよう
に、格子定数がa=8.8nm、c=12.2nmの正
方晶で指数付けすることができる。この指数から、この
回折像における電子線の入射方向は、次のようになるこ
とがわかる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正内容】
【0065】[比較例2]実施例2で得られた焼結後の
磁石を、熱処理せずにサンプリングし、透過電子顕微鏡
用で観察した結果、平均の結晶粒径は12μm、粒界相
は厚み14nmの面心立方構造のNd−Fe合金であっ
た。しかし、主相との界面付近の粒界相の結晶方位を制
限視野電子線回折像で解析した結果、特定の方位関係は
見いだせなかった。得られた焼結磁石の着磁後の磁気特
性を表2に示す。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年12月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正内容】
【0060】また、得られた磁石の小片をサンプリング
し、Ar中のイオンミリングによって透過電子顕微鏡用
の試料を作製し、観察した結果、平均の結晶粒径は12
μm、粒界相は厚み14nmの面心立方構造のNd−F
e合金であった。図3は、その主相と粒界相の界面付近
の高分解能透過電子顕微鏡写真であって、右半分にR
TM14B主相、左半分にR−TM粒界相の格子像が見
られる。両者は界面において互いに接している。図4
は、図3中右側のRTM14B主相の制限視野電子線
回折像である。回折点は解析の結果、図4中に示すよう
に、格子定数がa=0.88nm、c=1.22nmの
正方晶で指数付けすることができる。この指数から、こ
の回折像における電子線の入射方向は、次のようになる
ことがわかる。
【手続補正書】
【提出日】平成10年12月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正内容】
【0062】図5は、図3中左側のR−TM粒界相の制
限視野電子線回折像である。回折点は解析の結果、図5
中に示すように、格子定数がa=0.52nmの面心立
方晶で指数付けすることができる。指数から、この回折
像における電子線の入射方向は[001]であることが
わかる。図3〜図5に示した界面における主相と粒界相
の結晶方位関係は、次の通りに表される。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶構造が正方晶であるR2TM14B金属間化
    合物(R:Yを含む希土類元素、TM:遷移金属)から主として
    なる磁性相と、R-TM合金から主としてなる粒界相を含む
    R-TM-B系永久磁石であって、 前記磁性相と前記粒界相の界面近傍における該粒界相の
    結晶構造が面心立方構造であって、該磁性相と該粒界相
    が整合していることを特徴とするR-TM-B系永久磁石。
  2. 【請求項2】前記R2TM14B金属間化合物において、R中の
    NdとPrの合計が50at%以上、前記TMはFeまたはCoでTM中
    のFeが50at%以上であり、 前記R-TM合金において、Rが90at%以上であることを特徴
    とする請求項1記載のR-TM-B系永久磁石。
  3. 【請求項3】前記磁性相と前記粒界相の界面近傍におけ
    る結晶学的方位関係が、 【化1】 の少なくとも一組で表され、かつ該方位関係のずれの角
    度が5°以内であることを特徴とする請求項1又は2記
    載の永久磁石。
  4. 【請求項4】結晶構造が正方晶である磁性相と、前記磁
    性相との界面近傍における結晶構造が面心立方構造であ
    る粒界相と、を含み、前記磁性相と前記粒界相が前記界
    面を挟んで整合していることを特徴とするR-TM-B系永久
    磁石。
  5. 【請求項5】強磁性を発揮するR2TM14B金属間化合物(R:
    Yを含む希土類元素、TM:遷移金属)源と、R-TM合金源を
    原料として用い、 R2TM14B正方晶を析出し、さらに該R2TM14B正方晶相の周
    囲にR-TM面心立方晶相を析出して該R2TM14B正方晶相と
    該R-TM面心立方晶相を整合させ、整合した界面近傍の前
    記R2TM14B正方晶相の結晶磁気異方性を高めたことを特
    徴とするR-TM-B系永久磁石の製造方法。
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