JPH11271937A - 走査露光方法、露光装置及び画像形成方法 - Google Patents

走査露光方法、露光装置及び画像形成方法

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JPH11271937A
JPH11271937A JP7421198A JP7421198A JPH11271937A JP H11271937 A JPH11271937 A JP H11271937A JP 7421198 A JP7421198 A JP 7421198A JP 7421198 A JP7421198 A JP 7421198A JP H11271937 A JPH11271937 A JP H11271937A
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JP
Japan
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group
silver halide
exposure
scanning
density
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JP7421198A
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Shigeo Tanaka
重雄 田中
Kazuhiro Miyazawa
一宏 宮澤
Masato Okuyama
真人 奥山
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Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザー露光のような高照度短時間露光した
感材を現像処理して画像を形成する際に起こる、画像の
高濃度部の滲みの状況や、中濃度部での濃度変動の解
決。 【解決手段】 1本以上隔たった走査線の影響を受ける
ことを特徴とする走査露光方法。特定の走査線を露光後
に次の走査線を露光する時間だけ間隔をあけて隣接する
走査線を露光したとき、連続して走査露光した場合より
濃度低下することを特徴とする走査露光方法。少なくと
も1層のハロゲン化銀乳剤をデジタルデータで変調され
た写真効果の異なる光で複数回露光することを特徴とす
る露光装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー露光のよ
うな高照度短時間露光をした感材を現像処理して画像を
形成する方法において、画像の高濃度部の滲みの状況
や、中濃度部での濃度変動の問題を解決し、安定して高
画質な画像を提供するのに有用な走査露光システム、露
光装置及び画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀写真感光材料は、高感度で
あること、階調性に優れていること等、他の感光材料に
比べて非常に優れた特性を有しているため、今日盛んに
用いられている。これらハロゲン化銀写真感光材料をデ
ジタル画像出力に用いた場合に有利な特性としては、ハ
イライトの描写力に優れること及び画像保存性に優れて
いることをあげることができる。
【0003】ハロゲン化銀写真感光材料がハイライトの
描写性に優れている理由は、プリント材料としてのハロ
ゲン化銀写真感光材料が非常にノイズの小さい画像を形
成しうるというところにあり、このためにプリント上で
人間が知覚しうる濃度差は人間の視覚が知覚しうる濃度
差とほとんど一致すると見なすことができることにあ
る。したがって、非常に微妙な濃度、色の違いが人間に
知覚されることになる。これに対して他のハードコピー
技術ではノイズが大きいために、人間が知覚できる濃度
差はノイズに支配されてしまい、写真のもつ微妙な陰影
描写の再現が難しいという欠点を有している。プリント
画像は、人間にとって好ましい明暗再現と材料・システ
ムのもつ再現能力の関係から、画像のハイライト側で大
幅な情報圧縮を行って画像を再現しており、このため特
にハイライト側での描写力が問題となる。これらの点に
ついては、例えば本庄知、田口誠一、“ハイライトを重
視したハードコピー技術の比較”、画像電子学会誌;
5(3)、145〜150(1986)等の文献に詳し
く記載されているとおりである。最近、インクジェット
・プリンターで画質の向上が著しいが、これは2段階の
濃度をもったインクを用意し、これによって再現できる
最小濃度差を小さくしようというものであってハロゲン
化銀写真感光材料のもつハイライトの描写力に近づけよ
うとする試みであると理解できる。
【0004】ハロゲン化銀写真を用いたデジタル露光の
技術については、古くから研究されており、ガスレーザ
ーを使った装置を用いてプリント画像を得ることが行わ
れていた。ガスレーザーを用いた場合の有利な点として
は比較的出力が大きく、感光材料の感度に対して余り厳
しい制約を課すことがない点などをあげることができる
が、一方、レーザー自体の寿命が短い、価格が非常に高
い等の欠点を有していた。この欠点を克服するものとし
て有力視されているのが半導体レーザーやSHG素子を
用いたレーザーであり、赤外、赤の領域では半導体レー
ザーが、緑から青の領域ではSHG素子を用いたレーザ
ーが実用化されており、近い将来緑から青の半導体レー
ザーも実用化されるものと見られている。これらのレー
ザーが実用化されることで装置がより安価にかつ小型化
するとともにメンテナンスが容易になるというメリット
が期待されている。
【0005】一方、ハロゲン化銀写真感光材料の特性と
して、相反則不軌の問題がありレーザー露光のような高
照度短時間露光では、減感、軟調化してしまい、レーザ
ーのダイナミックレンジの範囲内ではDmaxが得られ
ないといった問題を引き起こすことが知られていた。こ
れに対しては、ハロゲン化銀粒子中に重金属化合物を用
いる方法が一般に有効な方法として知られている。一般
にハロゲン化銀写真感光材料をレーザー露光に用いる場
合には、最初にテストチャートを出力後現像し、特定の
場所を濃度測定して目標値にあうようにレーザー光の強
度を調整することが行われている。本発明者らの研究の
過程で、このようにしてテストチャートの画像をきちん
と再現させた場合にも、画像の高濃度部に生じる滲みの
状況が変化したり、中濃度部で濃度が変動したりする現
象が見られることが明らかとなった。前記、ハロゲン化
銀粒子中に重金属化合物を用いる方法で調製したハロゲ
ン化銀乳剤では、再現性の観点では必ずしも十分な効果
を有していないのが現状であった。
【0006】レーザー光により露光を行うシステムで
は、画像上の走査線を消去するため副走査のピッチに対
して露光ビームの径を大きくしてビームを重ねる方法が
多くとられている。例えば、映像情報インダストリア
ル;14(12)、49〜52(1982)には、光学
的に縮小されるアパーチュアの例を図で示しているが、
隣接する走査線が重なりあっていることを示している。
また、特開平4−249244号には、1画素当たりの
露光時間が10-8〜10-4秒でかつ隣接するラスターの
画素との重なりがある走査露光方式で露光し、0.07
5〜0.2モル/lの塩化物イオンを含有する現像液を
用いて処理することによって画像ムラが改良され、Dm
ax、γが改良されることを開示している。
【0007】本願発明にいう、「1本以上隔たった走査
線の影響を受ける」ということは隣接する走査線のさら
に隣の走査線があるか否かで影響を受けることを示して
おり、隣接する走査線を重ね合わせることを必須要件と
はしていない。レーザーのビームを絞って、露光のピッ
チよりもビーム径を小さくし隣接する走査線同士が重な
り合わないようにしても本発明の効果を得ることが可能
である。また、処理液中の塩化物イオンの濃度が特定の
濃度でなければならないということもない。
【0008】特開平8−272050号には、感材とレ
ーザー光のなす角が垂直にならないような露光装置によ
り、レーザー光による干渉縞の発生を防止できることを
開示している。しかし、本願発明の効果は、露光する光
が副走査方向に有限の角度をもって入射することによっ
てのみ得ることが可能であり、主走査方向に対して角度
を持たせることによって得られる効果は小さく、結果と
して画質の劣化を伴いやすいことが分かった。
【0009】ハロゲン化銀乳剤層中に屈折率が大きな物
質を含有させた場合、この物質による光散乱が起こるた
めイラジエーションが大きくなり画質の劣化を伴いやす
い。このため、ある種の拡散転写システムのように、撮
影後現像処理によって等倍の直接観賞用画像を得るもの
であって、かつイラジエーションによる画質劣化が律速
にならない(この場合、拡散による劣化の方が大きい)
場合にしか用いることはできなかった。本願発明の効果
はこれによる画質の劣化よりもはるかに有利な効果をも
たらすものであり、従来技術とは区別されるべきもので
ある。
【0010】通常の走査露光は、順次隣接する走査線を
露光していく方式をとるため、特定の走査線を露光後に
次の走査線を露光する時間だけ間隔をあけて隣接する走
査線を露光した時の画像の状態がどうなるかといったこ
とに対して何も知られていなかった。本発明者らの研究
によれば、露光装置、感光材料の両面から、特定の間隔
をあけて走査露光した場合に連続して走査露光した場合
より濃度低下することにより本発明の効果を得ることを
見出した。
【0011】このような本発明の効果は、特定の現像主
薬の存在下で現像を行うシステムでより効果が大きく好
ましく用いることができる。特開平9−152686号
には、光ビームによる走査ピッチが実効ビーム径より小
さく、ラスタ間の重なり幅が実効ビーム径の5%以上9
5%以下である走査露光を、本願発明の一般式(I)で
表される化合物を含有するハロゲン化銀写真感光材料に
施すことにより、レーザー露光に起因したDmaxの低
下が防止されることを開示している。しかし、先にも述
べたように隣接する走査線同士が重なり合わないように
しても本発明の効果を得ることが可能であり、該公報に
は本発明の要件は開示していないし、示唆もしていな
い。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、レーザー露光のような高照度短時間露光し
た感材を現像処理して画像を形成する際に起こる、画像
の高濃度部の滲みの状況や、中濃度部での濃度変動の問
題を解決することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らの鋭意研究に
より、本発明の目的が、 (1) 1本以上隔たった走査線の影響を受けることを
特徴とする走査露光方法。
【0014】(2) 露光する光が副走査方向に有限の
角度をもって入射する走査露光装置を用いることを特徴
とする前記1に記載の走査露光方法。
【0015】(3) 少なくとも1層のハロゲン化銀粒
子含有層のハロゲン化銀粒子及び他の屈折率1.80以
上の物質との平均距離が1.0μm以下であるハロゲン
化銀写真感光材料を走査露光することを特徴とする前記
1または前記2に記載の走査露光方法。
【0016】(4) 少なくとも1層のハロゲン化銀乳
剤をデジタルデータで変調された写真効果の異なる光で
複数回露光することを特徴とする露光装置。
【0017】(5) 特定の走査線を露光後に次の走査
線を露光する時間だけ間隔をあけて隣接する走査線を露
光したとき、連続して走査露光した場合より濃度低下す
ることを特徴とする走査露光方法。
【0018】(6) ハロゲン化銀写真感光材料を走査
露光後現像処理する画像形成方法において、前記1、
2、3、5のいずれか1項記載の走査露光方法により露
光されたハロゲン化銀写真感光材料又は前記4記載の露
光装置により露光されたハロゲン化銀写真感光材料を下
記一般式(I)の化合物の存在下に現像処理することを
特徴とする画像形成方法。
【0019】一般式(I) R1−NHNH−X−R2 〔式中、R1はアリール基又は複素環基を表し、R2はア
ルキル基、アルケニル基、アルキニル基又は複素環基を
表し、Xは、−SO2−、−CO−、−COCO−、−
COO−、−CON(R3)−、−COCOO−、−C
OCON(R3)−又は−SO2N(R3)−を表し、R3
は水素原子又はR2と同義の基を表す。〕により達成さ
れることを見いだし、本発明を完成するに至ったもので
ある。
【0020】以下、本発明を詳細に説明する。請求項1
に記載している「1本以上隔たった走査線」とは先にも
述べたとおり、隣接する走査線よりも遠くに位置する走
査線を意味しており、隣接する走査線が重なっているか
否かにはよらない。一般に走査線を重ね合わせると画像
ムラが見にくくなる等のメリットが得られることはよく
知られており、他にも高いDmaxが得られるなどの効
果が得られることが知られているが、当然、全体の露光
時間が長くなる欠点がある。本発明においてはこうした
欠点はなく、これらと同様の効果を得る事もできるた
め、隣接する走査線の重なりのない系ではより有用に用
いることができる。
【0021】1本以上隔たった走査線の影響を受けてい
るか否かを判断するには、理論的に考えられるいかなる
方法を用いてもよいが、典型的な方法としては、矩形状
のパターンを作製し、これを走査線に直角にミクロフォ
トメータで走査し濃度のプロフィールを解析することで
判断することができる。もし他の走査線の露光の影響を
受けているのであれば、個々の走査線の最も濃度の高い
点は、端からある走査線まで連続的に濃度が変化してい
き、そこで飽和する形をとる。この時、端の走査線の濃
度が低ければ、現像効果ということも考え難いため他の
走査線の露光の影響を受けていると判断できる。端から
走査線に1、2、3、4のように番号を付した時、走査
線2で濃度が飽和するのであれば隣接する走査線の影響
のみを受けていることになるし、走査線3以降で飽和す
るのであれば1本以上隔たった走査線の露光の影響を受
けていると判断できる。
【0022】請求項1の効果は単に露光装置の特性を規
定したり、感光材料の特性を規定するだけでは十分に表
現することができず、これらの構成要素の組み合わせに
より、請求項1に記載の要件を満たした時に初めて本発
明の効果が得られる。
【0023】請求項2において「露光する光が副走査方
向に有限の角度をもって入射する」という要件を記述し
ているが、フラットベッドタイプの装置でポリゴンを用
いて露光する場合には、周辺部において必然的にある角
度をもって入射することとなるが、この場合は、主走査
方向に平行にずれるため、本願発明の要件を満たすこと
はできない。このような方式であっても副走査方向に角
度を持たせれば本願発明の要件を満たすことが可能とな
る。ドラムを用いた露光方式や感材を支持する部分を円
柱状に窪ませ、振り子状に光ビームを振る露光方式にお
いても副走査方向に角度を持たせることによって本願発
明の要件を満たすことができる。
【0024】この時、感光材料に対して垂直な線に対し
余り大きな角度をつけると画像の鮮鋭度が損なわれるた
め最適な角度が存在する。一般的には45度以下が好ま
しく、20度以下がより好ましい。
【0025】請求項3において記載したハロゲン化銀粒
子含有層に含有させる屈折率1.80以上の物質の好ま
しい例としては、アナターゼ型二酸化チタン(屈折率
2.52)、ルチル型二酸化チタン(屈折率2.7
5)、酸化亜鉛(屈折率2.00)、硫化亜鉛(屈折率
2.37)、酸化ジルコニウム(屈折率2.4)、チタ
ン酸鉛(屈折率2.7)等をあげることができる。ま
た、実質的に感度を有しない微粒子の塩化銀(屈折率
2.09)を用いてもよい。二酸化チタン、微粒子ハロ
ゲン化銀がより好ましく用いられる。本発明の要件は、
ハロゲン化銀粒子及び屈折率1.80以上の物質との平
均距離が1.0μm以下であるというものであるが、こ
こでいう平均距離は計算によって形式的に求められた数
値であってよく、平均専有面積と同じ面積をもつ円の直
径をもって定義することができる。計算の手順として
は、単位面積中に存在するハロゲン化銀粒子及び屈折率
1.8以上の粒子個数を求め、これから1粒子当たりの
平均専有面積を、(1/単位面積中の粒子数)として求
め、次いでこれと同じ面積を有する円の直径を求めれば
よい。
【0026】請求項4において記載されたデジタルデー
タで変調された写真効果の異なる光とは、同一波長であ
ってもかまわないし、異なった波長であっても構わな
い。異なった波長の光である場合には、本発明に係る少
なくともひとつのハロゲン化銀乳剤は異なる2つの波長
領域に感度を有しなければならない。これは、オルソク
ロマチック、パンクロマチックな黒白写真感光材料では
当然に行われていることである。また、特開平3−15
049号には、400〜500nmに分光極大を有し、
この領域の光に感光してイエロー色素画像を形成し、5
00〜570nmに分光極大を有し、この領域の光に感
光してマゼンタ色素画像を形成し、650〜730nm
に分光極大を有し、この領域の光に感光してシアン色素
画像を形成するハロゲン化銀カラー写真感光材料におい
て、これら3つの波長域以外に分光感度極大を有し、こ
の領域の光に感光してイエロー、マゼンタまたはシアン
色素画像の内の少なくとも1つを形成する機能をあわせ
もつことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料
によって、アナログ露光による画像とデジタル露光によ
る文字とを組み合わせ、アナログ露光の高画質な画像と
デジタル露光による簡便な文字の形成というメリットを
生かした画像形成が可能であることを開示している。こ
れらはいずれも1層のハロゲン化銀乳剤が異なる2つの
波長領域に感度を有するということから本発明に用いる
ことのできるハロゲン化銀乳剤ではあるが、デジタル露
光による高画質な画像の形成を目的として、デジタル・
データに基づく写真効果の異なった光により複数回露光
するという点に関しては全く記載もしておらず示唆もな
い。
【0027】写真効果の異なる光により露光するという
ことは、通常は光の強度を変化させることで得られる。
この場合には1回目の露光の写真効果が大きい方が好ま
しい。複数回露光するということは、例えば1回目と2
回目の露光の間に有限の時間間隔があることを意味して
おり、時間間隔としては1マイクロ秒〜10ミリ秒が好
ましく、10マイクロ秒〜1ミリ秒がより好ましい。
【0028】この時、2回目以降の露光に用いられる光
を変調するデジタルデータは1回目の露光のデジタルデ
ータと同一であってもよいし、別なデータであってもよ
い。例えば、露光ヘッドを隣接する2つの走査線を同時
に露光するように構成した場合であれば、この2つの光
を変調するデータを共通にすることも可能である。この
ような方法を適用するか否かはシーンに対しても依存す
るものであり、一般に、なめらかなグラデーションをも
つ画像であれば隣接する走査線間の相違は小さくなるた
め画質の劣化をもたらさず十分な効果を得ることが可能
である。
【0029】本発明に係るハロゲン化銀写真乳剤の組成
は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化
銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものであっ
てもよいが、塩化銀を95モル%以上含有する実質的に
沃化銀を含有しない塩臭化銀、または、表面近傍に沃化
銀を0.05〜0.5モル%含有する塩沃臭化銀が好ま
しい。迅速処理性、処理安定性からは、好ましくは97
モル%以上、より好ましくは98〜99.9モル%の塩
化銀を含有するハロゲン化銀乳剤が好ましい。
【0030】本発明に係るハロゲン化銀乳剤を得るに
は、臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化
銀乳剤が好ましく用いられる。この場合、高濃度に臭化
銀を含有する部分は、ハロゲン化銀乳剤粒子にエピタキ
シー接合していても、いわゆるコア・シェル乳剤であっ
てもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異
なる領域が存在するだけであってもよい。また、組成は
連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよい。臭
化銀が高濃度に存在する部分は、ハロゲン化銀粒子の表
面の結晶粒子の頂点である事が特に好ましい。
【0031】本発明に係るハロゲン化銀乳剤を得るには
重金属イオンを含有させるのが有利である。このような
目的に用いることの出来る重金属イオンとしては、鉄、
イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、
オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金
属や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属
や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウ
ム、クロムの各イオンを挙げることができる。中でも
鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、ガリウム、オスミ
ウムの金属イオンが好ましい。
【0032】これらの金属イオンは、塩や、錯塩の形で
ハロゲン化銀乳剤に添加することが出来る。
【0033】前記重金属イオンが錯体を形成する場合に
は、その配位子としてシアン化物イオン、シアン酸イオ
ン、チオシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、塩
化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、カルボニ
ル、アンモニア等を挙げることができる。中でも、シア
ン化物イオン、チオシアン酸イオン、イソチオシアン酸
イオン、塩化物イオン、臭化物イオン等が好ましい。
【0034】本発明に係るハロゲン化銀乳剤に重金属イ
オンを含有させるためには、該重金属化合物をハロゲン
化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲ
ン化銀粒子の形成後の物理熟成中の各工程の任意の場所
で添加すればよい。前述の条件を満たすハロゲン化銀乳
剤を得るには、重金属化合物をハロゲン化物塩と一緒に
溶解して粒子形成工程の全体或いは一部にわたって連続
的に添加する事ができる。
【0035】前記重金属イオンをハロゲン化銀乳剤中に
添加するときの量はハロゲン化銀1モル当り1×10-9
モル以上、1×10-2モル以下がより好ましく、特に1
×10-8モル以上5×10-5モル以下が好ましい。
【0036】本発明に係るハロゲン化銀粒子の形状は任
意のものを用いることが出来る。好ましい一つの例は、
(100)面を結晶表面として有する立方体である。ま
た、米国特許4,183,756号、同4,225,6
66号、特開昭55−26589号、特公昭55−42
737号や、ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィッ
ク・サイエンス(J.Photogr.Sci.)
、39(1973)等の文献に記載された方法等によ
り、八面体、十四面体、十二面体等の形状を有する粒子
をつくり、これを用いることもできる。さらに、双晶面
を有する粒子を用いてもよい。
【0037】本発明に係るハロゲン化銀粒子は、単一の
形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハ
ロゲン化銀乳剤を二種以上同一層に添加する事が特に好
ましい。
【0038】本発明に係るハロゲン化銀粒子の粒径は特
に制限はないが、迅速処理性及び、感度など、他の写真
性能などを考慮すると好ましくは、0.1〜1.2μ
m、更に好ましくは、0.2〜1.0μmの範囲であ
る。
【0039】この粒径は、粒子の投影面積か直径近似値
を使ってこれを測定することができる。粒子が実質的に
均一形状である場合は、粒径分布は直径か投影面積とし
てかなり正確にこれを表すことができる。
【0040】本発明のハロゲン化銀粒子の粒径の分布
は、好ましくは変動係数が0.22以下、更に好ましく
は0.15以下の単分散ハロゲン化銀粒子であり、特に
好ましくは変動係数0.15以下の単分散乳剤を2種以
上同一層に添加する事である。ここで変動係数は、粒径
分布の広さを表す係数であり、次式によって定義され
る。
【0041】変動係数=S/R (ここに、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表
す。) ハロゲン化銀乳剤の調製装置、方法としては、当業界に
おいて公知の種々の方法を用いることができる。
【0042】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、酸性
法、中性法、アンモニア法の何れで得られたものであっ
てもよい。該粒子は一時に成長させたものであってもよ
いし、種粒子を作った後で成長させてもよい。種粒子を
作る方法と成長させる方法は同じであっても、異なって
もよい。
【0043】また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩
を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時
混合法、それらの組合せなど、いずれでもよいが、同時
混合法で得られたものが好ましい。更に同時混合法の一
形式として特開昭54−48521号等に記載されてい
るpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いるこ
ともできる。
【0044】また、特開昭57−92523号、同57
−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加
装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を
供給する装置、ドイツ公開特許2,921,164号等
に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶
液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−
501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出
し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子
間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置など
を用いてもよい。
【0045】更に必要で有ればチオエーテル等のハロゲ
ン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有す
る化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のよう
な化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形
成終了の後に添加して用いてもよい。
【0046】本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、金化合
物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を
組み合わせて用いることが出来る。
【0047】本発明に係るハロゲン化銀乳剤に適用する
カルコゲン増感剤としては、イオウ増感剤、セレン増感
剤、テルル増感剤などを用いることが出来るが、イオウ
増感剤が好ましい。イオウ増感剤としてはチオ硫酸塩、
アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネ
ート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ロー
ダニン、無機イオウ等が挙げられる。
【0048】本発明に係るイオウ増感剤の添加量として
は、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果
の大きさなどにより変える事が好ましいが、ハロゲン化
銀1モル当たり5×10-10〜5×10-5モルの範囲、
好ましくは5×10-8〜3×10-5モルの範囲が好まし
い。
【0049】本発明に係る金増感剤としては、塩化金
酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することがで
きる。用いられる配位子化合物としては、ジメチルロー
ダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メル
カプトトリアゾール等を挙げることができる。金化合物
の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物
の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常は
ハロゲン化銀1モル当たり1×10-4モル〜1×10-8
モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10-5
モル〜1×10-8モルである。
【0050】本発明に係るハロゲン化銀乳剤の化学増感
法としては、還元増感法を用いてもよい。
【0051】本発明にかかるハロゲン化銀乳剤には、ハ
ロゲン化銀写真感光材料の調製工程中に生じるカブリを
防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時
に生じるカブリを防止する目的で公知のカブリ防止剤、
安定剤を用いることが出来る。こうした目的に用いるこ
とのできる好ましい化合物の例として、特開平2−14
6036号7ページ下欄に記載された一般式(II)で表
される化合物を挙げることができ、さらに好ましい具体
的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa
−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の
化合物や、1−(3−メトキシフェニル)−5−メルカ
プトテトラゾール、1−(4−エトキシフェニル)−5
−メルカプトテトラゾール、1−(3−フェニルアセト
アミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール等の化
合物を挙げることができる。これらの化合物は、その目
的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増
感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの
工程で添加される。これらの化合物の存在下に化学増感
を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-5
ル〜5×10-4モル程度の量で好ましく用いられる。化
学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル
当り1×10-6モル〜1×10-2モル程度の量が好まし
く、1×10-5モル〜5×10-3モルがより好ましい。
塗布液調製工程において、ハロゲン化銀乳剤層に添加す
る場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10-6モル〜
1×10-1モル程度の量が好ましく、1×10-5モル〜
1×10-2モルがより好ましい。またハロゲン化銀乳剤
層以外の層に添加する場合には、塗布被膜中の量が、1
2当り1×10-9モル〜1×10-3モル程度の量が好
ましい。
【0052】本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に
は、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で
種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができ
る。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることが
出来るが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、
特開平3−251840号308ページに記載のAI−
1〜11の染料および特開平6−3770号記載の染料
が好ましく用いられ、赤外線吸収染料としては、特開昭
62−123454号463ページに記載の一般式
(I)で表される化合物や、特開平1−280750号
の2ページ左下欄に記載の一般式(I)、(II)、(II
I)で表される化合物が好ましい分光特性を有し、ハロ
ゲン化銀写真乳剤の写真特性への影響もなく、また残色
による汚染もなく好ましい。好ましい化合物の具体例と
して、特開昭62−123454号466〜469ペー
ジに記載された例示化合物(I−1)〜(I−30)、
特開平1−280750号3ページ左下欄〜5ページ左
下欄に挙げられた例示化合物(1)〜(45)を挙げる
ことができる。
【0053】本発明に係わる感光材料中に、蛍光増白剤
を添加する事で白地性を改良でき好ましい。好ましく用
いられる化合物としては、特開平2−232652号記
載の一般式IIで示される化合物が挙げられる。
【0054】本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料を
カラー写真感光材料として用いる場合には、イエローカ
プラー、マゼンタカプラー、シアンカプラーに組み合わ
せて400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感
されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する。該ハロゲン
化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わ
せて含有する。
【0055】本発明に係るハロゲン化銀乳剤に用いる分
光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いるこ
とができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−
251840号28ページに記載のBS−1〜8を単独
でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑
感光性増感色素としては、同公報28ページに記載のG
S−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素と
しては同公報29ページに記載のRS−1〜8が好まし
く用いられる。また、半導体レーザーを用いるなどして
赤外光により画像露光を行う場合には、赤外感光性増感
色素を用いる必要があるが、赤外感光性増感色素として
は、特開平4−285950号6〜8ページに記載のI
RS−1〜11の色素が好ましく用いられる。また、こ
れらの赤外、赤、緑、青感光性増感色素に特開平4−2
85950号8〜9ページに記載の強色増感剤SS−1
〜SS−9や特開平5−66515号15〜17ページ
に記載の化合物S−1〜S−17を組み合わせて用いる
のが好ましい。
【0056】これらの増感色素の添加時期としては、ハ
ロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期
でよい。
【0057】増感色素の添加方法としては、メタノー
ル、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメ
チルホルムアミド等の水混和性有機溶媒や水に溶解して
溶液として添加してもよいし、完全に溶解していない懸
濁物として添加してもよい。
【0058】本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に
用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体と
カップリング反応して340nmより長波長域に分光吸
収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るい
かなる化合物をも用いることが出来るが、特に代表的な
物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大
波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500
〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素
形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極
大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られて
いるものが代表的である。
【0059】本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に
好ましく用いることのできるシアンカプラーとしては、
特開平4−114154号5ページ左下欄に記載の一般
式(C−I)、(C−II)で表されるカプラーを挙げる
ことができる。具体的な化合物は、同公報5ページ右下
欄〜6ページ左下欄にCC−1〜CC−9として記載さ
れているものを挙げることができる。
【0060】本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に
好ましく用いることのできるマゼンタカプラーとして
は、特開平4−114154号4ページ右上欄に記載の
一般式(M−I)、(M−II)で表されるカプラーを挙
げることができる。具体的な化合物は、同公報4ページ
左下欄〜5ページ右上欄にMC−1〜MC−11として
記載されているものを挙げることができる。上記マゼン
タカプラーのうちより好ましいのは、同公報4ページ右
上欄に記載の一般式(M−I)で表されるカプラーであ
り、そのうち、上記一般式(M−I)のRMが3級アル
キル基であるカプラーが耐光性に優れ特に好ましい。同
公報5ページ上欄に記載されているMC−8〜MC−1
1は青から紫、赤に到る色の再現に優れ、さらにディテ
ールの描写力にも優れており好ましい。
【0061】本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に
好ましく用いることのできるイエローカプラーとして
は、特開平4−114154号3ページ右上欄に記載の
一般式(Y−I)で表されるカプラーを挙げることがで
きる。具体的な化合物は、同公報3ページ左下欄以降に
YC−1〜YC−9として記載されているものを挙げる
ことができる。中でも同公報の一般式[Y−1]のRY1
がアルコキシ基であるカプラーまたは特開平6−673
88号記載の一般式[I]で示されるカプラーは好まし
い色調の黄色を再現でき好ましい。このうち特に好まし
い化合物例としては特開平4−114154号4ページ
左下欄に記載されているYC−8、YC−9、および特
開平6ー67388号13〜14ページに記載のNo
(1)〜(47)で示される化合物をあげることができ
る。さらに最も好ましい化合物は特開平4−81847
号1ページおよび同公報11ページ〜17ページに記載
の一般式[Y−1]で示される化合物である。
【0062】本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に
用いられるカプラーやその他の有機化合物を添加するの
に水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点
150℃以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じ
て低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解
し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活
性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、攪拌
機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミ
キサー、超音波分散機等を用いることができる。分散
後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工
程を入れてもよい。カプラーを溶解して分散するために
用いることの出来る高沸点有機溶媒としては、ジオクチ
ルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルフタ
レート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェ
ート、トリオクチルフタレート等のリン酸エステル類、
が好ましく用いられる。また高沸点有機溶媒の誘電率と
しては3.5〜7.0である事が好ましい。また二種以
上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0063】また、高沸点有機溶媒を用いる方法に代え
て、または高沸点有機溶媒と併用して、水不溶性かつ有
機溶媒可溶性のポリマー化合物を、必要に応じて低沸点
及び/または水溶性有機溶媒に溶解し、ゼラチン水溶液
などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて種々の
分散手段により乳化分散する方法をとることもできる。
この時用いられる水不溶性で有機溶媒可溶性のポリマー
としては、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)等を
挙げることができる。
【0064】写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調
整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物と
しては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホ
ン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体
的には特開昭64−26854号記載のA−1〜A−1
1が挙げられる。またアルキル基にフッ素原子を置換し
た界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は
通常ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加される
が、分散後塗布液に添加されるまでの時間、および塗布
液に添加後塗布までの時間は短いほうがよく各々10時
間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ま
しい。
【0065】上記各カプラーには、形成された色素画像
の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤
を併用することが好ましい。特に好ましい化合物として
は、特開平2−66541号3ページ記載の一般式Iお
よびIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3
−174150号記載の一般式IIIBで示されるフェノ
ール系化合物、特開平64−90445号記載の一般式
Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−18274
1号記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯
体が特にマゼンタ色素用として好ましい。また特開平1
−196049号記載の一般式I′で示される化合物お
よび特開平5−11417号記載の一般式IIで示される
化合物が特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0066】発色色素の吸収波長をシフトさせる目的
で、特開平4−114154号9ページ左下欄に記載の
化合物(d−11)、同公報10ページ左下欄に記載の
化合物(A′−1)等の化合物を用いることができる。
また、これ以外にも米国特許4,774,187号に記
載の蛍光色素放出化合物を用いることも出来る。
【0067】本発明に係わるハロゲン化銀感光材料に
は、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層
の間の層に添加して色濁りを防止したりまたハロゲン化
銀乳剤層に添加してカブリ等を改良する事が好ましい。
このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ま
しく、さらに好ましくは2,5−ジ−t−オクチルハイ
ドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。
特に好ましい化合物は特開平4−133056号記載の
一般式IIで示される化合物であり、同公報13〜14ペ
ージ記載の化合物II−1〜II−14および17ページ記
載の化合物1が挙げられる。
【0068】本発明に係わる感光材料中には紫外線吸収
剤を添加してスタチックカブリを防止したり色素画像の
耐光性を改良する事が好ましい。好ましい紫外線吸収剤
としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好まし
い化合物としては特開平1−250944号記載の一般
式III−3で示される化合物、特開昭64−66646
号記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−1
87240号記載のUV−1L〜UV−27L、特開平
4−1633号記載の一般式Iで示される化合物、特開
平5−165144号記載の一般式(I)、(II)で示
される化合物が挙げられる。
【0069】本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に
は、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であ
るが、必要に応じて他のゼラチン、ゼラチン誘導体、ゼ
ラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外
のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一ある
いは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性
コロイドも用いることができる。
【0070】これらバインダーの硬膜剤としてはビニル
スルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独ま
たは併用して使用する事が好ましい。特開昭61−24
9054号、同61−245153号記載の化合物を使
用する事が好ましい。また写真性能や画像保存性に悪影
響するカビや細菌の繁殖を防ぐためコロイド層中に特開
平3−157646号記載のような防腐剤および抗カビ
剤を添加する事が好ましい。また感光材料または処理後
の試料の表面の物性を改良するため保護層に特開平6−
118543号や特開平2−73250号記載の滑り剤
やマット剤を添加する事が好ましい。
【0071】本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に
用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよ
く、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆
した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩
化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピ
レン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙
などを用いることができる。なかでも、原紙の両面に耐
水性樹脂被覆層を有する支持体が好ましい。耐水性樹脂
としてはポリエチレンやポリエチレンテレフタレートま
たはそれらのコポリマーが好ましい。
【0072】支持体に用いられる白色顔料としては、無
機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好
ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば硫酸バリ
ウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等
のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸
塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミ
ナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等が
あげられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化
チタンである。
【0073】支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有され
る白色顔料の量は、鮮鋭性を改良するうえで13重量%
以上が好ましく、さらには15重量%が好ましい。
【0074】本発明に係る紙支持体の耐水性樹脂層中の
白色顔料の分散度は、特開平2−28640号に記載の
方法で測定することができる。この方法で測定したとき
に、白色顔料の分散度が前記公報に記載の変動係数とし
て0.20以下であることが好ましく、0.15以下で
あることがより好ましい。
【0075】また支持体の中心面平均粗さ(SRa)の
値が0.15μm以下、さらには0.12μm以下であ
るほうが光沢性がよいという効果が得られより好まし
い。また反射支持体の白色顔料含有耐水性樹脂中や塗布
された親水性コロイド層中に処理後の白地部の分光反射
濃度バランスを調整し白色性を改良するため群青、油溶
性染料等の微量の青味付剤や赤味付剤を添加する事が好
ましい。
【0076】本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料
は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照
射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体
表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬
さ、ハレーション防止性、摩擦特性及び/またはその他
の特性を向上するための1または2以上の下塗層)を介
して塗布されていてもよい。
【0077】ハロゲン化銀乳剤を用いた写真感光材料の
塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用い
てもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布す
ることの出来るエクストルージョンコーティング及びカ
ーテンコーティングが特に有用である。
【0078】本発明は、特に直接鑑賞用の画像を形成す
る感光材料に適用する事が好ましい。例えばカラーペー
パー、カラー反転ペーパー、ポジ画像を形成する感光材
料、ディスプレイ用感光材料、カラープルーフ用感光材
料をあげる事ができる。特に反射支持体を有する感光材
料に適用する事が好ましい。
【0079】本発明において用いられる芳香族一級アミ
ン現像主薬としては、公知の化合物を用いることができ
る。これらの化合物の例として下記の化合物を挙げるこ
とができる。
【0080】CD−1) N,N−ジエチル−p−フェ
ニレンジアミン CD−2) 2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン CD−3) 2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウ
リルアミノ)トルエン CD−4) 4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシ
エチル)アミノ)アニリン CD−5) 2−メチル−4−(N−エチル−N−(β
−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン CD−6) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N
−(β−(メタンスルホンアミド)エチル)−アニリン CD−7) N−(2−アミノ−5−ジエチルアミノフ
ェニルエチル)メタンスルホンアミド CD−8) N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミ
ン CD−9) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N
−メトキシエチルアニリン CD−10) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−
N−(β−エトキシエチル)アニリン CD−11) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−
N−(γ−ヒドロキシプロピル)アニリン 本発明において一般式(I)で表される化合物の存在下
に現像することが好ましい。
【0081】本発明の効果をより好ましく得ることので
きる現像主薬として前記一般式(I)に示す化合物を挙
げることができる。前記一般式(I)で表される化合物
を説明する。一般式(I)で表される化合物は、下記一
般式(II)又は(III)で表される化合物がより好まし
い。
【0082】
【化1】
【0083】一般式(III) R20−NHNH−Z2 〔式中、Z1及びZ2は各々、アシル基、カルバモイル
基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボ
ニル基を表し、R11,R12,R13,R14及びR15は各
々、水素原子又は置換基を表す。ただし、R11,R13
びR15のハメットの置換基定数σp値とR12及びR14
ハメットの置換基定数σm値の和は0.80〜3.80
である。R20は複素環基を表す。〕 上記一般式(II)及び(III)で表される化合物は、そ
れぞれ、下記一般式(IV)及び(V)で表される化合物
がより好ましい。
【0084】
【化2】
【0085】〔式中、R16及びR17は各々、水素原子又
は置換基を表し、R11,R12,R13,R14,R15及びR
20は、それぞれ前記一般式(II)及び(III)における
11,R12,R13,R14,R15及びR20と同義であ
る。〕 更に上記一般式(IV)及び(V)で表される化合物は、
それぞれ下記一般式(VI)及び(VII)で表される化合
物がより好ましい。
【0086】
【化3】
【0087】〔式中、R26及びR27は各々、水素原子又
は置換基を表し、R21,R22,R23,R24及びR25は各
々、水素原子、シアノ基、スルホニル基、スルフィニル
基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシカ
ルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、
トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、アシルオキシ基
又は複素環基を表す。ただし、R21,R23及びR25のハ
メットの置換基定数σp値とR22及びR24のハメットの
置換基定数σm値の和は1.20〜3.80である。Q
はCと共に5〜8員の含窒素複素環を形成するのに必要
な非金属原子群を表す。〕 一般式(I)において、R1は置換基を有してもよいア
リール基又は複素環基を示す。R1のアリール基として
は、好ましくは炭素数6〜14のもので、例えばフェニ
ルやナフチルが挙げられる。
【0088】R1の複素環基としては、好ましくは窒
素、酸素、硫黄、セレンのうち少なくとも一つを含有す
る飽和又は不飽和の5〜7員環のものである。これらに
ベンゼン環又は複素環が縮合してもよい。複素環基の具
体例としては、フラニル、チエニル、オキサゾリル、チ
アゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピロリジニ
ル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ピリジ
ル、ピリダジル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジ
ニル、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キ
ノキサリニル、キナゾリニル、プリニル、プテリジニ
ル、アゼピニル、ベンゾオキセピニル等が挙げられる。
【0089】アリール基又は複素環基が有してもよい置
換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオ
キシ基、複素環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチ
オ基、複素環チオ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、
アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボ
ニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルキルスルホ
ニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アミノ
基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アミド基、
アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボ
ニルアミノ基、ウレイド基、スルホンアミド基、スルフ
ァモイルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル
基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ア
シルカルバモイル基、カルバモイルカルバモイル基、ス
ルホニルカルバモイル基、スルファモイルカルバモイル
基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ア
ルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アル
コキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、ス
ルファモイル基、アシルスルファモイル基、カルバモイ
ルスルファモイル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ
基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ヒドロキ
シル基、メルカプト基、イミド基、アゾ基等が挙げられ
る。
【0090】R2は置換基を有してもよいアルキル基、
アルケニル基、アルキニル基、アリール基又は複素環基
を表す。アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜1
6の直鎖、分岐又は環状のもので、例えばメチル、エチ
ル、ヘキシル、ドデシル、2−オクチル、t−ブチル、
シクロペンチル、シクロオクチル等が挙げられる。
【0091】アルケニル基としては、好ましくは炭素数
2〜16の鎖状又は環状のもので、例えばビニル、1−
オクテニル、シクロヘキセニルが挙げられる。
【0092】アルキニル基としては、好ましくは炭素数
2〜16のもので、例えば1−ブチニル、フェニルエチ
ニル等が挙げられる。
【0093】R2が表すアリール基及び複素環基として
は、前記R1で述べたものが挙げられる。
【0094】上記アルキル基、アルケニル基、アルキニ
ル基、アリール基又は複素環基が有してもよい置換基と
しては、前記R1の置換基で述べたものが挙げられる。
【0095】Xとしては−SO2−,−CO−,−CO
CO−,−COO−,−CON(R3)−,−COCO
O−,−COCON(R3)−又は−SO2N(R3)−
が挙げられる。ここでR3は水素原子又はR2で述べた基
である。これらの基の中で−CO−,−CONH
(R3)−,−COO−が好ましく、発色性が優れると
いう点で−CONH(R3)−が特に好ましい。
【0096】一般式(I)で表される化合物の中でも一
般式(II)及び(III)で表される化合物が好ましく、
一般式(IV)及び(V)で表される化合物がより好まし
く、一般式(VI)及び(VII)で表される化合物が更に
好ましい。以下に一般式(II)〜(VII)で表される化
合物について詳しく説明する。
【0097】一般式(II)及び一般式(III)におい
て、Z1及びZ2は各々、アシル基、カルバモイル基、ア
ルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基
を表す。このアシル基としては炭素数1〜50のものが
好ましく、より好ましくは炭素数2〜40のアシル基で
ある。具体的な例としてはアセチル、2−メチルプロパ
ノイル、シクロヘキシルカルボニル、オクタノイル、2
−ヘキシルデカノイル、ドデカノイル、クロロアセチ
ル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、4−ドデシル
オキシベンゾイル、2−ヒドロキシメチルベンゾイル、
3−(N−ヒドロキシ−N−メチルアミノカルボニル)
プロパノイル等が挙げられる。Z1,Z2がカルバモイル
基である場合に関しては一般式(VI)〜(VII)で詳述
する。
【0098】アルコキシカルボニル基、アリールオキシ
基カルボニル基としては、炭素数2〜50のアルコキシ
カルボニル基、アリールオキシカルボニル基が好まし
く、より好ましくは炭素数2〜40のものである。具体
的な例としてはメトキシカルボニル、エトキシカルボニ
ル、i−ブチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキ
シカルボニル、ドデシルオキシカルボニル、ベンジルオ
キシカルボニル、フェノキシカルボニル、4−オクチル
オキシフェノキシカルボニル、2−ヒドロキシメチルフ
ェノキシカルボニル、2−ドデシルオキシフェノキシカ
ルボニル等の基が挙げられる。
【0099】R11,R12,R13,R14,R15は水素原子
又は置換基を表す。置換基の例としては、炭素数1〜5
0の直鎖又は分岐、鎖状又は環状のアルキル基(トリフ
ルオロメチル、メチル、エチル、プロピル、ヘプタフル
オロプロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、t
−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、オクチ
ル、2−エチルヘキシル、ドデシル等)、炭素数2〜5
0の直鎖又は分岐、鎖状又は環状のアルケニル基(ビニ
ル、1−メチルビニル、シクロヘキセン−1−イル
等)、炭素数2〜50のアルキニル基(エチニル、1−
プロピニル等)、炭素数6〜50のアリール基(フェニ
ル、ナフチル、アントリル等)、炭素数1〜50のアシ
ルオキシ基(アセトキシ、テトラデカノイルオキシ、ベ
ンゾイルオキシ等)、炭素数1〜50のカルバモイルオ
キシ基(N,N−ジメチルカルバモイルオキシ等)、炭
素数1〜50のカルボンアミド基(ホルムアミド、N−
メチルアセトアミド、アセトアミド、N−メチルホルム
アミド、ベンズアミド等)、炭素数1〜50のスルホン
アミド基(メタンスルホンアミド、ドデカンスルホンア
ミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホン
アミド等)、炭素数1〜50のカルバモイル基(N−メ
チルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N
−メシルカルバモイル等)、炭素数0〜50のスルファ
モイル基(N−ブチルスルファモイル、N,N−ジエチ
ルスルファモイル、N−メチル−N−(4−メトキシフ
ェニル)スルファモイル等)、炭素数1〜50のアルコ
キシ基(メトキシ、プロポキシ、i−プロポキシ、オク
チルオキシ、t−オクチルオキシ、ドデシルオキシ、2
−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)エトキシ
等)、炭素数6〜50のアリールオキシ基(フェノキ
シ、4−メトキシフェノキシ、ナフトキシ等)、炭素数
7〜50のアリールオキシカルボニル基(フェノキシカ
ルボニル、ナフトキシカルボニル等)、炭素数2〜50
のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、t−
ブトキシカルボニル等)、炭素数1〜50のアシルスル
ファモイル基(N−テトラデカノイルスルファモイル、
N−ベンゾイルスルファモイル等)、炭素数1〜50の
アルキルスルホニル基(メタンスルホニル、オクチルス
ルホニル、2−メトキシエチルスルホニル、2−ヘキシ
ルデシルスルホニル等)、炭素数6〜50のアリールス
ルホニル基(ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホ
ニル、4−フェニルスルホニルフェニルスルホニル
等)、炭素数2〜50のアルコキシカルボニルアミノ基
(エトキシカルボニルアミノ等)、炭素数7〜50のア
リールオキシカルボニルアミノ基(フェノキシカルボニ
ルアミノ、ナフトキシカルボニルアミノ等)、炭素数0
〜50のアミノ基(アミノ、メチルアミノ、ジエチルア
ミノ、ジ−i−プロピルアミノ、アニリノ、モルホリノ
等)、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒドロキ
シル基、スルホ基、メルカプト基、炭素数1〜50のア
ルキルスルフィニル基(メタンスルフィニル、オクタン
スルフィニル等)、炭素数6〜50のアリールスルフィ
ニル基(ベンゼンスルフィニル、4−クロロフェニルス
ルフィニル、p−トルエンスルフィニル等)、炭素数1
〜50のアルキルチオ基(メチルチオ、オクチルチオ、
シクロヘキシルチオ等)、炭素数6〜50のアリールチ
オ基(フェニルチオ、ナフチルチオ等)、炭素数1〜5
のウレイド基(3−メチルウレイド、3,3−ジメチル
ウレイド、1,3−ジフェニルウレイド等)、炭素数2
〜50の複素環基(ヘテロ原子として、例えば窒素、酸
素及び硫黄等を少なくとも1個以上含み、3〜12員環
の単環、縮合環で、2−フリル、2−ピラニル、2−ピ
リジル、2−チエニル、2−イミダゾリル、モルホリ
ノ、2−キノリル、2−ベンズイミダゾリル、2−ベン
ゾチアゾリル、2−ベンゾオキサゾリル等)、炭素数1
〜50のアシル基(アセチル、ベンゾイル、トリフルオ
ロアセチル等)、炭素数0〜50のスルファモイルアミ
ノ基(N−ブチルスルファモイルアミノ、N−フェニル
スルファモイルアミノ等)、炭素数3〜50のシリル基
(トリメチルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ト
リフェニルシリル等)、ハロゲン原子(弗素、塩素、臭
素等)等が挙げられる。
【0100】上記の置換基は更に置換基を有してもよ
く、その置換基の例としてはここで挙げた置換基が挙げ
られる。
【0101】又、R11,R12,R13,R14,R15は、互
いに結合して縮合環を形成してもよい。
【0102】置換基の炭素数に関しては50以下が好ま
しいが、より好ましくは42以下、最も好ましくは34
以下である。又、1以上であることが好ましい。
【0103】一般式(II)におけるR11,R12,R13
14,R15に関しては、R11,R13,R15のハメットの
置換基定数σp値とR12,R14のハメットの置換基定数
σm値の和が0.80〜3.80であることが好まし
い。
【0104】又、一般式(VI)におけるR21,R22,R
23,R24,R25は各々、水素原子、シアノ基、スルホニ
ル基、スルフィニル基、スルファモイル基、カルバモイ
ル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボ
ニル基、アシル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原
子、アシルオキシ基、アシルチオ基又は複素環基を表
し、これらは更に置換基を有してもよく、互いに結合し
て縮合環を形成してもよい。これらの具体例については
11,R12,R13,R14,R15で述べたものと同様であ
る。ただし、一般式(VI)においては、R21,R23,R
25のハメットの置換基定数σp値とR22,R24のハメッ
トの置換基定数σm値の和が1.20〜3.80である
ことが好ましく、1.50〜3.80がより好ましく、
更に好ましくは1.70〜3.80である。
【0105】尚、ハメットの置換基定数σp、σmにつ
いては、例えば稲本直樹著「ハメット則−構造と反応性
−」(丸善)、日本化学会編「新実験化学講座14・有
機化合物の合成と反応V」2605頁(丸善)、仲矢忠
雄著「理論有機化学解説」217頁(東京化学同人)、
ケミカル・レビュー,91巻,165〜195頁(19
91年)等の成書に詳しく解説されている。
【0106】一般式(IV)、(V)におけるR16
17、一般式(VI)、(VII)におけるR26,R27は各
々、水素原子又は置換基を表し、置換基の具体例として
は、前記R11〜R15について述べたものと同じ意味を表
すが、好ましくは水素原子又は炭素数1〜50の置換も
しくは無置換のアルキル基、炭素数6〜50の置換もし
くは無置換のアリール基、炭素数1〜50の置換もしく
は無置換の複素環基であり、更に好ましくは、R16,R
17の少なくとも一方及びR26,R27の少なくとも一方は
水素原子である。
【0107】一般式(III)及び(V)におけるR20
複素環基を表す。好ましい複素環基は炭素数1〜50の
複素環基であり、ヘテロ原子としては窒素、酸素及び硫
黄原子等を少なくとも1個以上を含み、飽和又は不飽和
の3〜12員環(好ましくは3〜8員環)の単環又は縮
合環であり、具体例としてはフラン、ピラン、ピリジ
ン、チオフェン、イミダゾール、キノリン、ベンズイミ
ダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ピ
リミジン、ピラジン、1,2,4−チアジアゾール、ピ
ロール、オキサゾール、チアゾール、キナゾリン、イソ
チアゾール、ピリダジン、インドール、ピラゾール、ト
リアゾール、キノキサリン等の環が挙げられる。
【0108】これらの複素環基は置換基を有してもよ
く、1個以上の電子吸引性の基を有しているものが好ま
しい。ここで電子吸引性の基とは、ハメットのσp値で
正の値を有するものを意味する。
【0109】本発明の発色用還元剤を感光材料に内蔵さ
せる場合には、一般式(II)〜(VII)のZ1,Z2,R
11〜R15,R16,R17,R20,R21〜R25,R26,R27
の少なくとも一つの基にバラスト基を有していることが
好ましい。
【0110】Qで完成される複素環の例は、下記の具体
的化合物例(36)〜(83)に示される。
【0111】以下に本発明で用いられる一般式(I)の
化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものでは
ない。
【0112】
【化4】
【0113】
【化5】
【0114】
【化6】
【0115】
【化7】
【0116】
【化8】
【0117】
【化9】
【0118】
【化10】
【0119】
【化11】
【0120】
【化12】
【0121】
【化13】
【0122】
【化14】
【0123】
【化15】
【0124】
【化16】
【0125】
【化17】
【0126】
【化18】
【0127】
【化19】
【0128】
【化20】
【0129】
【化21】
【0130】
【化22】
【0131】
【化23】
【0132】
【化24】
【0133】
【化25】
【0134】本発明においては、上記発色現像液を任意
のpH域で使用できるが、迅速処理の観点からpH9.
5〜13.0であることが好ましく、より好ましくはp
H9.8〜12.0の範囲で用いられる。
【0135】本発明に係る発色現像の処理温度は、35
℃以上、70℃以下が好ましい。温度が高いほど短時間
の処理が可能であり好ましいが、処理液の安定性からは
あまり高くない方が好ましく、37℃以上60℃以下で
処理することが好ましい。
【0136】発色現像時間は、従来一般には3分30秒
程度で行われているが、本発明では40秒以内が好まし
く、さらに25秒以内の範囲で行うことが好ましい。
【0137】発色現像液には、前記の発色現像主薬に加
えて、既知の現像液成分化合物を添加することが出来
る。通常、pH緩衝作用を有するアルカリ剤、塩化物イ
オン、ベンゾトリアゾール類等の現像抑制剤、保恒剤、
キレート剤などが用いられる。
【0138】本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、発
色現像後、漂白処理及び定着処理を施される。漂白処理
は定着処理と同時に行なってもよい。定着処理の後は、
通常は水洗処理が行なわれる。また、水洗処理の代替と
して、安定化処理を行なってもよい。本発明のハロゲン
化銀写真感光材料の現像処理に用いる現像処理装置とし
ては、処理槽に配置されたローラーに感光材料をはさん
で搬送するローラートランスポートタイプであっても、
ベルトに感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト
方式であってもよいが、処理槽をスリット状に形成し
て、この処理槽に処理液を供給するとともに感光材料を
搬送する方式や処理液を噴霧状にするスプレー方式、処
理液を含浸させた担体との接触によるウエッブ方式、粘
性処理液による方式なども用いることができる。大量に
処理する場合には、自動現像機を用いてランニング処理
されるのが通常だが、この際、補充液の補充量は少ない
程好ましく、環境適性等より最も好ましい処理形態は、
補充方法として錠剤の形態で処理剤を添加することであ
り、公開技法94−16935に記載の方法が最も好ま
しい。
【0139】本発明の好ましい実施態様を下記に列挙す
る。
【0140】(1)2本以上隔たった走査線の影響を受
けることを特徴とする走査露光方法。 (2)露光する光が副走査方向に有限の角度をもって入
射する走査露光装置を用いることを特徴とする(1)に
記載の走査露光方法。
【0141】(3)露光する光が副走査方向に45度以
下の有限の角度をもって入射する走査露光装置を用いる
ことを特徴とする(1)に記載の走査露光方法。
【0142】(4)露光する光が副走査方向に20度以
下の有限の角度をもって入射する走査露光装置を用いる
ことを特徴とする(1)に記載の走査露光方法。
【0143】(5)露光する光が副走査方向に20度以
下、2度以上の角度をもって入射する走査露光装置を用
いることを特徴とする(1)に記載の走査露光方法。
【0144】(6)少なくとも1層のハロゲン化銀粒子
含有層のハロゲン化銀粒子及び他の屈折率1.80以上
の物質との平均距離が1.0μm以下であるハロゲン化
銀写真感光材料を走査露光することを特徴とする(1)
または(2)に記載の走査露光方法。
【0145】(7)(6)において屈折率1.80以上
の物質が二酸化チタンである走査露光方法。
【0146】(8)(6)においてハロゲン化銀乳剤粒
子と屈折率1.80以上の物質の平均距離が0.8μm
以下である走査露光方法。
【0147】(9)少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤
を同一のデジタルデータで変調された、波長、写真効果
の異なる光で複数回露光する事を特徴とする露光装置。
【0148】(10)少なくとも1層のハロゲン化銀乳
剤を同一のデジタルデータで変調された、強度の異なる
光で複数回露光する事を特徴とする露光装置。
【0149】(11)(9)、(10)において1回目
の露光の光の強度が最大であることを特徴とする露光装
置。
【0150】(12)特定の走査線を露光後に次の走査
線を露光する時間だけ間隔をあけて隣接する走査線を露
光したとき、連続して走査露光した場合より濃度低下す
ることを特徴とする走査露光方法。
【0151】(13)特定の走査線を露光後に次の走査
線を露光する時間だけ間隔をあけて隣接する走査線を露
光したとき、連続して走査露光した場合濃度約1.0の
濃度が0.1以上濃度低下することを特徴とする走査露
光方法。
【0152】(14)ハロゲン化銀写真感光材料を走査
露光後現像処理する画像形成方法において、前記(1)
〜(8)、(11)、(12)のいずれか1項記載の走
査露光方法により露光されたハロゲン化銀写真感光材料
又は前記(10)又は(11)記載の露光装置により露
光されたハロゲン化銀写真感光材料を上記一般式(I)
の化合物の存在下に現像処理することを特徴とする画像
形成方法。
【0153】(15)(14)において、前記一般式
(I)で表される化合物が前記一般式(II)で表される
ことを特徴とする画像形成方法。
【0154】(16)(14)において、前記一般式
(I)で表される化合物が前記一般式(III)で表され
ることを特徴とする画像形成方法。
【0155】(17)(14)において、前記一般式
(I)で表される化合物が前記一般式(IV)で表される
ことを特徴とする画像形成方法。
【0156】(18)(14)において、前記一般式
(I)で表される化合物が前記一般式(V)で表される
ことを特徴とする画像形成方法。
【0157】(19)(14)において、前記一般式
(I)で表される化合物が前記一般式(VI)で表される
ことを特徴とする画像形成方法。
【0158】(20)(14)において、前記一般式
(I)で表される化合物が前記一般式(VII)で表され
ることを特徴とする画像形成方法。
【0159】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明の実施態様はこれらに限定されない。
【0160】実施例1 坪量180g/m2の紙パルプの両面に高密度ポリエチ
レンをラミネートし、紙支持体を作製した。但し、乳剤
層を塗布する側には、表面処理を施したアナターゼ型酸
化チタンを15重量%の含有量で分散して含む溶融ポリ
エチレンをラミネートし、反射支持体を作製した。この
反射支持体をコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗層を
設け、さらに以下に示す構成の各層を塗設し、ハロゲン
化銀写真感光材料、試料11を作製した。塗布液は下記
のごとく調製した。
【0161】第1層塗布液 イエローカプラー(Y−1)23.4g、色素画像安定
剤(ST−1)3.34g、(ST−2)3.34g、
(ST−5)3.34g、ステイン防止剤(HQ−1)
0.34g、画像安定剤A5.0g、高沸点有機溶媒
(DBP)3.33gおよび高沸点有機溶媒(DNP)
1.67gに酢酸エチル60mlを加え溶解し、この溶
液を20%界面活性剤(SU−1)7mlを含有する1
0%ゼラチン水溶液220mlに超音波ホモジナイザー
を用いて乳化分散させてイエローカプラー分散液を作製
した。この分散液を下記条件にて作製した青感性ハロゲ
ン化銀乳剤と混合し第1層塗布液を調製した。
【0162】第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液
と同様に表1および表2の塗布量になるように各塗布液
を調製した。
【0163】又、硬膜剤として(H−1)、(H−2)
を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−
2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。ま
た各層に(F−1)を全量が0.04g/m2となるよ
うに添加した。
【0164】
【表1】
【0165】
【表2】
【0166】SU−1:トリ−i−プロピルナフタレン
スルホン酸ナトリウム SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナ
トリウム塩 SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,
5,5−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム塩 DBP :ジブチルフタレート DNP :ジノニルフタレート DOP :ジオクチルフタレート DIDP:ジ−i−デシルフタレート PVP :ポリビニルピロリドン H−1 :テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタ
ン H−2 :2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−ト
リアジン・ナトリウム HQ−1:2,5−ジーt−オクチルハイドロキノン HQ−2:2,5−ジーsecードデシルハイドロキノ
ン HQ−3:2,5−ジーsecーテトラデシルハイドロ
キノン HQ−4:2−secードデシルー5ーsecーテトラ
デシルハイドロキノン HQ−5:2,5−ジ(1、1ージメチル−4−ヘキシ
ルオキシカルボニル)ブチルハイドロキノン 画像安定剤A:p−t−オクチルフェノール
【0167】
【化26】
【0168】
【化27】
【0169】
【化28】
【0170】
【化29】
【0171】(青感性ハロゲン化銀乳剤の調製)40℃
に保温した2%ゼラチン水溶液1リットル中に下記(A
液)及び(B液)をpAg=7.3、pH=3.0に制
御しつつ30分かけて同時添加し、更に下記(C液)及
び(D液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつ
つ180分かけて同時添加した。この時、pAgの制御
は特開昭59−45437号記載の方法により行い、p
Hの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行
った。
【0172】 (A液) 塩化ナトリウム 3.42g 臭化カリウム 0.03g 水を加えて 200ml (B液) 硝酸銀 10g 水を加えて 200ml (C液) 塩化ナトリウム 102.7g ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム 4×10-8モル ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム 2×10-5モル 臭化カリウム 1.0g 水を加えて 600ml (D液) 硝酸銀 300g 水を加えて 600ml 添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液
と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行っ
た後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.71μ
m、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.
5モル%の単分散立方体乳剤EMP−101を得た。次
に(A液)と(B液)の添加時間および(C液)と(D
液)の添加時間を変更した以外はEMP−101と同様
にして平均粒径0.64μm、粒径分布の変動係数0.
07、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤
EMP−102を得た。
【0173】上記EMP−101に対し、下記化合物を
用い60℃にて最適に化学増感を行った。またEMP−
102に対しても同様に最適に化学増感した後、増感さ
れたEMP−101とEMP−102を銀量で1:1の
割合で混合し、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B10
1)を得た。
【0174】 チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モルAgX 塩化金酸 0.5mg/モルAgX 安定剤 STAB−1 3×10-4モル/モルAgX 安定剤 STAB−2 3×10-4モル/モルAgX 安定剤 STAB−3 3×10-4モル/モルAgX 増感色素 BS−1 4×10-4モル/モルAgX 増感色素 BS−2 1×10-4モル/モルAgX (緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製)(A液)と(B液)
の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更す
る以外はEMP−101と同様にして平均粒径0.40
μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単
分散立方体乳剤EMP−103を得た。次に平均粒径
0.50μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.
5%の単分散立方体乳剤EMP−104を得た。
【0175】上記EMP−103に対し、下記化合物を
用い55℃にて最適に化学増感を行った。またEMP−
104に対しても同様に最適に化学増感した後、増感さ
れたEMP−103とEMP−104を銀量で1:1の
割合で混合し、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−G10
1)を得た。
【0176】 チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX 塩化金酸 1.0mg/モルAgX 安定剤 STAB−1 3×10-4モル/モルAgX 安定剤 STAB−2 3×10-4モル/モルAgX 安定剤 STAB−3 3×10-4モル/モルAgX 増感色素 GS−1 4×10-4モル/モルAgX (赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製)(A液)と(B液)
の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更す
る以外はEMP−101と同様にして平均粒径0.40
μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.5%の単
分散立方体乳剤EMP−105を得た。また平均粒径
0.38μm、変動係数0.08、塩化銀含有率99.
5%の単分散立方体乳剤EMP−106を得た。
【0177】上記EMP−105に対し、下記化合物を
用い60℃にて最適に化学増感を行った。またEMP−
106に対しても同様に最適に化学増感した後、増感さ
れたEMP−105とEMP−106を銀量で1:1の
割合で混合し赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−R10
1)を得た。
【0178】 チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モルAgX 塩化金酸 2.0mg/モルAgX 安定剤 STAB−1 3×10-4モル/モルAgX 安定剤 STAB−2 3×10-4モル/モルAgX 安定剤 STAB−3 3×10-4モル/モルAgX 増感色素 RS−1 1×10-4モル/モルAgX 増感色素 RS−2 1×10-4モル/モルAgX STAB−1:1−(3−アセトアミドフェニル)−5
−メルカプトテトラゾール STAB−2:1−フェニル−5−メルカプトテトラゾ
ール STAB−3:1−(4−エトキシフェニル)−5−メ
ルカプトテトラゾール 尚、赤感性乳剤には、SS−1をハロゲン化銀1モル当
たり2.0×10-3添加した。
【0179】
【化30】
【0180】
【化31】
【0181】露光光源として、ヘリウム・カドミウムレ
ーザー(約442nm)を用意し、光学系を組み立て
た。ビーム径は約45μmで、主走査速度40m/秒、
副走査のピッチ50μmで露光した。この時の一画素当
りの露光時間は1.1μ秒であった。露光エネルギーを
等比数列的に変化させ、20×20mmの大きさのパッ
チを露光した。同様にして30枚の試料を連続して露光
した後、一括して下記の現像処理を行った。
【0182】 処理工程 処 理 温 度 時 間 補充量 発色現像 38.0±0.3℃ 45秒 80ml 漂白定着 35.0±0.5℃ 45秒 120ml 安定化 30〜34℃ 60秒 150ml 乾 燥 60〜80℃ 30秒 現像処理液の組成を下記に示す。
【0183】 発色現像液タンク液及び補充液 タンク液 補充液 純水 800ml 800ml トリエチレンジアミン 2g 3g ジエチレングリコール 10g 10g 臭化カリウム 0.01g − 塩化カリウム 3.5g − 亜硫酸カリウム 0.25g 0.5g N−エチル−N−(βメタンスルホンアミドエチル) −3−メチル−4−アミノアニリン硫酸 6.0g 10.0g N,N−ジエチルヒドロキシルアミン 6.8g 6.0g トリエタノールアミン 10.0g 10.0g ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム塩 2.0g 2.0g 蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体) 2.0g 2.5g 炭酸カリウム 30g 30g 水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpH=10.10に、補充液は pH=10.60に調整する。
【0184】 漂白定着液タンク液及び補充液 ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 65g ジエチレントリアミン五酢酸 3g チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 100ml 2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g 亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml 水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpH=5.0に 調整する。
【0185】 安定化液タンク液及び補充液 o−フェニルフェノール 1.0g 5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g 2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g ジエチレングリコール 1.0g 蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g 塩化ビスマス(45%水溶液) 0.65g 硫酸マグネシウム・7水塩 0.2g PVP 1.0g アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩 1.5g 水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調 整する。
【0186】現像を終了した試料(試料101と表す)
から、全てのパッチのB濃度をPDA−65濃度計(コ
ニカ(株)製)にて測定し、B濃度が1.0のパッチを
選出した。次に、まず、このパッチと同じ露光量のパッ
チの濃度を測定し標準偏差を求めた。次にミクロフォト
メータ(コニカ・マイクロデンシトメーターPDM−5
型)を用いて、10μm×400μmのアパーチャで、
その長手方向を走査線に平行になるようにして、未露光
部分から露光部分の中央まで約20mmスキャンし、B
濃度のプロフィールを求めた。
【0187】次にビーム径を約60μmとして同様の試
料を作製し(試料102)濃度のプロフィールを求め
た。
【0188】濃度プロフィールは、いずれも副走査のピ
ッチ50μmの間隔で山と谷が現れるパターンを示して
いたが、試料101の方がパターンは鮮明で、一番外側
の山の高さが最も低く、4本目の山より内側ではほぼ同
じ濃度を示した。この時山と谷の間の濃度差は約0.1
であった。試料102の方は周期性は認められるものの
山がかすかに分かる程度のパターンであり、一番外側の
山の高さが最も低く、2本目の山より内側ではほぼ同じ
濃度を示した。この時山と谷の間の濃度差は約0.03
程度であった。
【0189】次に、濃度1.7付近のパッチを目視する
と、試料101、102ともにエッジの部分が滲んで見
えたのでこのパッチの部分全体をミクロフォトメータで
測定し、濃度プロフィールを求めた。パッチの端の部分
の曲線がDmin(最小濃度部の濃度)+ΔD(パッチ
の中でほぼ一定の濃度となっている部分の平均濃度とD
minの濃度差)と等しくなる距離を、パッチの中でほ
ぼ一定の濃度となっている部分の中央から10mmの点
からの距離として求めてやり、この平均値と標準偏差を
求めた。先に求めた濃度1.0のパッチの濃度の標準偏
差と滲みの距離の平均値と標準偏差を下記表3に示し
た。
【0190】
【表3】
【0191】ここで求めた滲みの距離は、見かけのもの
であり光学系の調整不良なども含まれるため、必ずしも
物理的な意味が明確ではなく、絶対値の解釈は難しい
が、相対的な関係には意味があり、滲みの距離は短い方
が好ましい。試料101では滲みの距離が162μm、
標準偏差が17μmであったのに対して、試料102で
は滲みの距離が213μm、標準偏差が37μmであっ
た。滲みの点からは試料101の方が好ましい事が分か
った。また、滲み具合のバラツキが小さいことが分か
る。また、濃度1.0のパッチの濃度のバラツキは試料
101で0.015、試料102で0.023であり中
濃度付近での再現性も試料101の方が安定しているこ
とが分かる。
【0192】上記と同様の実験を現像処理処方を下記の
ように迅速処理処方に変更した以外同様にして繰り返
し、試料103(試料101に対応)、試料104(試
料102に対応)を作製し同様の評価を行った。走査線
のプロフィールの様子は先の評価結果とほとんど差は無
かった。
【0193】 処理工程 処 理 温 度 時 間 補充量 発色現像 38.0±0.3℃ 22秒 81ml 漂白定着 35.0±0.5℃ 22秒 54ml 安定化 30〜34℃ 25秒 150ml 乾 燥 60〜80℃ 30秒 現像処理液の組成を下記に示す。
【0194】 発色現像液タンク液及び補充液 タンク液 補充液 純水 800ml 800ml ジエチレングリコール 10g 10g 臭化カリウム 0.01g − 塩化カリウム 3.5g − 亜硫酸カリウム 0.25g 0.5g N−エチル−N−(βメタンスルホンアミドエチル) −3−メチル−4−アミノアニリン硫酸塩 6.0g 10.5g N,N−ジエチルヒドロキシルアミン 3.5g 6.0g N,N−ビス(2−スルホエチル)ヒドロキシルアミン 3.5g 6.0g トリエタノールアミン 10.0g 10.0g ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム塩 2.0g 2.0g 蛍光増白剤(4,4′−ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体) 2.0g 2.5g 炭酸カリウム 30g 30g 水を加えて全量を1リットルlとし、タンク液はpH=10.10に、補充液 はpH=10.60に調整する。
【0195】 漂白定着液タンク液及び補充液 タンク液 補充液 ジエチレントリアミン五酢酸第二鉄アンモニウム 2水塩 100g 50g ジエチレントリアミン五酢酸 3g 3g チオ硫酸アンモニウム(70%水溶液) 200ml 100ml 2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール 2.0g 1.0g 亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 50ml 25ml 水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でタンク液はpH =7.0に、補充液はpH=6.5に調整する。
【0196】 安定化液タンク液及び補充液 o−フェニルフェノール 1.0g 5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g 2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 0.02g ジエチレングリコール 1.0g 蛍光増白剤(チノパールSFP) 2.0g 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 1.8g PVP 1.0g アンモニア水(水酸化アンモニウム25%水溶液) 2.5g エチレンジアミン四酢酸 1.0g 亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 10ml 水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調 整する。
【0197】測定の結果を表4に示す。
【0198】
【表4】
【0199】滲みの距離の測定結果は、試料101、1
02より小さくなっているが、中濃度部の濃度のバラツ
キは大きくなる傾向が見られた。しかし、本発明に係る
試料はこの場合でも濃度変動の標準偏差が0.021で
あり、比較の0.048と比べて小さくなっており、安
定した再現が得られることがわかる。
【0200】実施例2 実施例1の試料101の作製において、ミラーの位置を
調整し走査線の位置は変わらず、スポットの位置のみが
変わるようにし、他の光学系を再調整することによりス
ポットのボケが最小となるようにして露光を行った以外
同様にして、試料201を作製した。次に、レーザー光
が当たる角度が変化するように試料の位置を調整し、結
果として走査線の位置が平行移動的に動くようにした以
外同様にして、試料202を作製した。
【0201】スポットの位置のずれから計算したとこ
ろ、試料201の作製においては約3.5度主走査の方
向に角度をもって露光されており、試料202の作製に
おいては約3.3度副走査の方向に角度をもって露光さ
れていたことが分かった。いずれの場合も、走査線の数
にして4本目の山より内側ではほぼ同じ濃度を示した。
走査線のパターンは試料201のほうがやや鮮明であっ
たが、試料202においても十分にパターンを認めるこ
とができた。
【0202】次に、濃度1.7付近のパッチの部分全体
をミクロフォトメータで測定し、濃度プロフィールを求
め、実施例1と同様にして滲みの距離の平均値と標準偏
差を求めた。また、濃度1.0のパッチの濃度の標準偏
差も実施例1と同様にして測定し、この結果を下記表5
に示した。
【0203】さらに同様の実験を実施例1の試料102
を作製した条件で繰り返し、試料201に対応する試料
203、試料202に対応する試料204を作製した。
いずれの場合も、試料102と同様に、走査線の数にし
て2本目の山より内側ではほぼ同じ濃度を示した。評価
結果を試料201、202と一緒に下記表5に示した。
【0204】
【表5】
【0205】副走査方向に有限の角度をもってレーザー
光が入射するということは滲みに関しては不利であると
思われたが、試料201、202に関して予想外であっ
たことは、このような試料でもほとんど滲みの距離は変
化しておらず、むしろ標準偏差は小さくなっており、濃
度1.0のパッチの濃度値の標準偏差は明らかに小さく
なっていることであった。滲みの距離が変わらないとい
うことは滲みの距離を、パッチの中でほぼ一定の濃度と
なっている部分の中央から10mm離れた点から測定す
るという方法を採っていることによるものであると思わ
れるが、目視でも表5の結果と変わらない結果を得てい
ることからすると実技的には十分な効果をもっていると
いうことができる。
【0206】しかし、試料203、204ではこのよう
なことはなく、副走査方向に有限の角度をもってレーザ
ー光が入射した場合には、滲みの距離の変動やパッチの
濃度の変動に劣化はないものの滲みの距離の劣化は大き
くなった。
【0207】このような効果は感光材料の特性と露光装
置の特性との絡みで実現されるものであるが、現象的に
は1本以上隔たった走査線の影響を受けることを特徴と
する露光システムと表現できるものによって効果が得ら
れることがわかる。
【0208】実施例3 実施例1のハロゲン化銀写真感光材料、試料11の作製
において、青感光性乳剤に代えて下記の赤外感光性乳剤
を用い、染料(AI−3)に変えて(AI−4)を用い
てハロゲン化銀写真感光材料、試料31を調製した。
【0209】露光光源として、ガリウム・アルミニウム
・ヒ素半導体レーザー(約780nm)を用意し、光学
系を組み立てた。ビーム径、主走査速度、副走査のピッ
チは実施例1と同様に2つの条件に合わせ、それぞれ露
光エネルギーを等比数列的に変化させて20×20mm
の大きさのパッチを連続して30枚露光した後、一括し
て現像処理を行った。
【0210】(赤外感光性乳剤の調製)試料101のE
MP−103に対し下記の化合物を用いて55℃で化学
熟成を行い、赤外感光性乳剤を得た。
【0211】 チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モルAgX 塩化金酸 1.0mg/モルAgX 安定剤 STAB−1 0.6×10-4モル/モルAgX 最適なセンシトメトリー性能が得られる時間でSTAB
−1を添加し、温度を低下させて化学熟成を停止させた
が、STAB−1の添加の3分前に赤外増感色素IRS
−1を添加し、分光増感を行った。
【0212】
【化32】
【0213】感光材料と露光光源がそれぞれ上記のもの
と変更された以外実施例1と同様にして作製された試料
301、311を評価した結果を下記表6に示した。
【0214】ミクロフォトメーターで測定したパターン
は試料301の方が鮮明で、4本目の山より内側ではほ
ぼ同じ濃度を示した。一方、試料311の方は周期性は
認められるものの山がかすかに分かる程度のパターンで
あり、2本目の山より内側ではほぼ同じ濃度を示した。
【0215】
【表6】
【0216】光源を赤外光に変更したことによっても本
発明の露光システムで作製された試料301は、滲みの
劣化も小さく、濃度の変動も同様に小さく安定していた
が、比較の試料311では滲みが劣化し、濃度の変動も
大きくなっていた。
【0217】次に先に調製したハロゲン化銀写真感光材
料、試料31の調製において、下記表7に示すように第
1層中のハロゲン化銀乳剤の量やカプラー分散液の量を
変更したものや、屈折率の大きな化合物を添加したもの
を調製した。これらの感光材料についても実施例1と同
様の評価を行い、その結果を表7にまとめた。
【0218】
【表7】
【0219】試料301と同じ露光系で露光した試料3
02〜306は、4本目の山より内側ではほぼ同じ濃度
を示し、本発明の露光システムを構成していたことがわ
かる。これらの試料では中濃度域での再現が安定してい
るのに対し、試料311と同じ露光系で露光した試料3
12〜316は、2本目の山より内側ではほぼ同じ濃度
を示し、かつ中濃度域での再現も安定していなかった。
【0220】試料301に対して試料302は塗布銀量
を1.5倍したものだが、塩化銀は屈折率が2.09な
ので、1粒子あたりの占有面積を求めこれに相当する円
の直径として平均距離を求めたところ0.94μmであ
った。一方試料301では、1.14μmであった。試
料302の方が濃度の安定性に優れていることがわか
る。試料303は試料301に対して塗布銀量と塗布カ
プラー量を約1.15倍したもので、実験に用いた露光
系で特性曲線を求めるとほぼ試料302と同じコントラ
ストを示した試料であるが、平均距離は1.07にしか
なっておらず、濃度再現の安定性も試料301と同等に
しか改良されていなかった。試料304〜306は第1
層にアナターゼ型の二酸化チタンを添加したものである
がいずれもより優れた改良効果を示した。
【0221】これらのハロゲン化銀写真感光材料を用い
て、別な露光系で作製した試料は、いずれも比較試料で
あったが、同じハロゲン化銀写真感光材料を使っていて
も、本発明の効果は得られず、また、屈折率1.8以上
の化合物の平均距離を変えたことによる効果自体もほと
んど認めることはできなかった。
【0222】実施例4 実施例3で用いた赤外レーザーによる露光系を改造し、
レーザーを1本増設し、隣接する2本の走査線を同時に
露光するように光学系を作製した。先行して露光するレ
ーザーに対して、遅れて露光するレーザーは光量を1/
100とし、両方のレーザーは同一のデータに基づいて
強度を変調した。これ以外のビーム径等の条件は実施例
3と同様にして試料401を作製した。次に2本のレー
ザーの光量を逆(先に露光するレーザーの光量が遅れて
露光するものの1/100)にした以外同様にして試料
402を作製した。
【0223】実施例1と同様にして滲みの距離、濃度再
現の安定性を評価した。結果を表8に示した。
【0224】
【表8】
【0225】単純に考えると二重に強度の異なる光で露
光する事となり滲みが強調されるかと思われたが、試料
401は試料301と比べ滲みの距離が短くなり、かつ
バラツキが小さくなっていることが分かる。また、同時
に中濃度域での再現の安定性も改良される。また、露光
の順序からみると、先により強度の大きい光で露光し、
後に弱い光で露光する方が本発明の効果としては大きく
好ましい。
【0226】試料301と同様にして露光した試料を赤
外線透過フィルターを通したタングステン光で副露光し
たところでは、いずれも滲みの部分が強調され本発明の
ような効果は得ることができなかった。
【0227】実施例5 試料301、302の作製において副走査の速度を1/
2に落とし、1回毎に光をオン・オフすることによって
同じ走査線の密度で露光ができるように露光系を調整し
た。これを用いて露光し、試料501、502(試料5
01が試料301に、試料502が試料302にそれぞ
れ対応)を作製した。出来上がったカラーパッチを濃度
測定したところ試料501では試料301が濃度1.0
であった露光量で濃度が0.87であったのに対し、試
料502では試料302が濃度1.0であった露光量で
濃度はほとんど変化していなかった。
【0228】この実験事実は、隣接する走査線を露光す
るに要する時間だけおいてから露光するという走査によ
って濃度が低下する(露光された効果が損なわれる)シ
ステムの方がかえって濃度の再現の安定性の点から好ま
しいということができる。この現象を、いわゆる潜像退
行ととらえれば、潜像退行の大きなものの方が濃度の再
現の安定性という観点で好ましいという結果となる。一
見奇異な感を抱かせる現象であるが、このような不効率
を含んだシステムでより大きなエネルギーで画像を形成
することにより、結果として再現性が改良されるという
ことを意味しているのであり、単純な潜像退行という理
解では説明できない。
【0229】実施例6 坪量180g/m2の紙パルプの両面に高密度ポリエチ
レンをラミネートし、紙支持体を作製した。但し、乳剤
層を塗布する側には、表面処理を施したアナターゼ型酸
化チタンを15重量%の含有量で分散して含む溶融ポリ
エチレンをラミネートし、反射支持体を作製した。この
反射支持体をコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗層を
設け、さらに以下に示す構成の各層を塗設し、ハロゲン
化銀写真感光材料、試料61を作製した。塗布液は下記
のごとく調製した。
【0230】第1層塗布液 イエローカプラー(Y−2)5.68g、発色用還元剤
(36)6.68g、高沸点有機溶媒(DBP)3.3
3gおよび高沸点有機溶媒(DNP)1.67gに酢酸
エチル60mlを加え溶解し、この溶液を20%界面活
性剤(SU−1)7mlを含有する10%ゼラチン水溶
液220mlに超音波ホモジナイザーを用いて乳化分散
させてイエローカプラー分散液を作製した。この分散液
を実施例1で調製した(Em−B101)と混合し第1
層塗布液を調製した。
【0231】第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液
と同様に表9および表10の塗布量になるように各塗布
液を調製した。
【0232】又、硬膜剤として(H−1)、(H−2)
を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−
2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。ま
た各層に(F−1)を全量が0.04g/m2となるよ
うに添加した。
【0233】
【表9】
【0234】
【表10】
【0235】
【化33】
【0236】実施例1における試料101、102の作
製において、ハロゲン化銀写真感光材料試料11を前記
試料61に変更し、現像処理を下記のように変更した以
外同様にして試料601、602を作製した。
【0237】 処理工程 処 理 温 度 時間 発色現像 40.0±0.3℃ 30秒 漂白定着 40.0±0.5℃ 45秒 リンス 室温 60秒 アルカリ処理 室温 30秒 乾 燥 60〜80℃ 30秒 現像処理液の組成を下記に示す。
【0238】 発色現像液 純水 600ml リン酸カリウム 40g 塩化カリウム 5g ヒドロキシエチリデン−1,1−ジスルホン酸(30%) 4ml 水を加えて全量を1リットルとし、水酸化カリウムにてpH=12.0に調整 する。
【0239】 漂白定着液 純水 600ml チオ硫酸アンモニウム(700g/l) 93ml エチレンジアミン四酢酸鉄(III)アンモニウム 55g エチレンジアミン四酢酸 2g 硝酸(67%) 30g 水を加えて全量を1リットルとし、アンモニア水又は氷酢酸でpH=5.8に 調整する。
【0240】 リンス液 塩素化イソシアヌール酸ナトリウム 0.02g 脱イオン水(導電率5μs/cm以下) 1000ml pH=6.5に調整する。
【0241】 アルカリ処理液 水 800ml 炭酸カリウム 30g 水を加えて1リットルとし0.5M硫酸または、1M水酸化カリウムにてpH =10.0とする。
【0242】次に、試料61の調製において用いた青感
光性乳剤を実施例3で用いた赤外感光性乳剤に変更した
以外同様にして試料62を調製した。試料62も試料6
1と同様に露光、現像して試料603、604を作製し
た。結果を表11に示した。
【0243】
【表11】
【0244】発色還元剤を含む感光材料試料61、62
を用いた系では、青光源を用いた場合でも、赤外光源を
用いた場合でもいずれも本発明の効果を有することがわ
かった。
【0245】
【発明の効果】本発明により、レーザー露光のような高
照度短時間露光をした感材を現像処理して画像を形成す
る方法において、画像の高濃度部の滲みの状況や、中濃
度部での濃度変動の問題を解決し、安定して高画質な画
像を提供することができた。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1本以上隔たった走査線の影響を受ける
    ことを特徴とする走査露光方法。
  2. 【請求項2】 露光する光が副走査方向に有限の角度を
    もって入射する走査露光装置を用いることを特徴とする
    請求項1に記載の走査露光方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも1層のハロゲン化銀粒子含有
    層のハロゲン化銀粒子及び他の屈折率1.80以上の物
    質との平均距離が1.0μm以下であるハロゲン化銀写
    真感光材料を走査露光することを特徴とする請求項1ま
    たは請求項2に記載の走査露光方法。
  4. 【請求項4】 少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤をデ
    ジタルデータで変調された写真効果の異なる光で複数回
    露光することを特徴とする露光装置。
  5. 【請求項5】 特定の走査線を露光後に次の走査線を露
    光する時間だけ間隔をあけて隣接する走査線を露光した
    とき、連続して走査露光した場合より濃度低下すること
    を特徴とする走査露光方法。
  6. 【請求項6】 ハロゲン化銀写真感光材料を走査露光後
    現像処理する画像形成方法において、請求項1、2、
    3、5のいずれか1項記載の走査露光方法により露光さ
    れたハロゲン化銀写真感光材料又は請求項4記載の露光
    装置により露光されたハロゲン化銀写真感光材料を下記
    一般式(I)の化合物の存在下に現像処理することを特
    徴とする画像形成方法。 一般式(I) R1−NHNH−X−R2 〔式中、R1はアリール基又は複素環基を表し、R2はア
    ルキル基、アルケニル基、アルキニル基又は複素環基を
    表し、Xは、−SO2−、−CO−、−COCO−、−
    COO−、−CON(R3)−、−COCOO−、−C
    OCON(R3)−又は−SO2N(R3)−を表し、R3
    は水素原子又はR2と同義の基を表す。〕
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006106366A (ja) * 2004-10-05 2006-04-20 Noritsu Koki Co Ltd 写真プリント装置及び写真プリント装置用の露光条件設定方法

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