JPH11270008A - 住宅の自然換気方法および自然換気装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 気温の高い場合にもクーラなしで快適な生活
ができるようにする。 【解決手段】 住宅の２階の屋根２の上部に設けた換気
筒４２を伸長させて２階床面に対する換気筒４２の換気
口４２ａまでの高さを上昇させ、室内の空気を換気口４
２ａから室外へ排出させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、クーラなどの空調
機器がなくても快適に生活し得るようにした住宅の自然
換気方法および自然換気装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に住宅では夏季など、気温の高い場
合には快適な生活のためにクーラを用いることが行われ
ている。

【０００３】しかるに近年、クーラを使用せずに可能な
限り自然に近い環境で快適に生活することのできる環境
共生住宅が種々検討されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これま
での住宅では、夏季のような暑い季節には窓をあけてお
いても、室内外の自然換気は十分に行われず、快適に生
活することは困難であった。

【０００５】とくに、従来の住宅の場合、２階室内は床
面から上方において空気圧力分布が屋外の圧力よりもプ
ラス圧になるため、屋外が無風または微風のときには、
窓があけてあっても窓からの吸気が行われにくく、この
ため室内外の自然換気は十分には行われず空気は室内に
滞留し、その結果、２階は１階に比べてより一層暑くな
り快適に生活することはできなかった。

【０００６】また、クーラなしでの快適な生活のために
固定式の換気筒を設けた場合には、強風時や冬季などの
ように、自然換気量を抑制したい場合の制御が難しい。

【０００７】本発明は上述の実情に鑑み、夏季でもクー
ラなどの空調機器なしで快適な生活ができ、かつ同時に
自然換気量の制御を行えるようにした住宅の自然換気方
法および自然換気装置を提供することを目的としてなし
たものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、住宅の上層階
の屋根の上部に設けた伸縮自在な換気筒を上下へ伸長さ
せて前記上層階の床面に対する換気筒上部の換気口まで
の高さを上昇させ、自然換気により上層階または上、下
層階の空気取入れ部分から外気を導入し、室内の空気を
前記換気口から室外へ排出させるようにしたことを特徴
とする住宅の自然換気方法を提供する。

【０００９】また本発明は、住宅の屋根の上部に設けた
伸縮自在な換気筒を上下へ伸長させて前記住宅の床面に
対する換気筒上部の換気口までの高さを上昇させ、自然
換気により上層階または上、下層階の空気取入れ部分か
ら外気を導入し、室内の空気を前記換気口から室外へ排
出させるようにしたことを特徴とする住宅の自然換気方
法を提供する。

【００１０】さらに、本発明は、住宅の上層階の屋根
に、室内の空気を外部へ排出させる換気口を上部に有す
る換気筒を上下方向へ伸縮自在に設けた住宅の自然換気
装置を提供する。

【００１１】本発明では、住宅室内の空気の自然換気を
十分に行うことができ、したがって夏季のように暑い場
合でも、クーラなどの空調機器なしで快適に生活するこ
とができ、また必要に応じて自然換気量の制御を行うこ
とができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照しつつ説明する。

【００１３】図１は本発明の住宅の自然換気方法および
自然換気装置において、自然換気装置の換気筒が伸長し
た場合の内部構造を示す縦断面図、図２は図１に示す自
然換気装置の換気筒が縮小した場合の内部構造を示す縦
断面図、図３は図２のＩＩＩ−ＩＩＩ方向矢視図、図４
は図１のＩＶ−ＩＶ方向矢視図、図５は図１のＶ−Ｖ方
向矢視図である。

【００１４】また図６は本発明の住宅の自然換気方法お
よび自然換気装置において、自然換気装置に用いる伸縮
機構の概略平面図、図７は図６のＶＩＩ−ＶＩＩ方向矢
視図、図８は図１に示す自然換気装置の換気筒が伸長し
た状態の外形を示す斜視図である。

【００１５】さらに図９は、本発明の住宅の自然換気方
法および自然換気装置において、自然換気装置を２階建
ての住宅の屋根に設置した状態を示す正面図、図１０は
図９に示す住宅で自然換気装置の換気筒を伸長させ換気
口を上昇させた場合、および自然換気装置がない場合に
おける、屋外の圧力を基準とした室内の圧力分布を示す
グラフである。

【００１６】図１中、１は最上階である２階の屋根２に
形成した平面形状が略正方形状の開口であり、開口１の
上面周縁部には平面形状が額縁状の角フレーム３が設置
されている。

【００１７】角フレーム３内には平面的に見て互にクロ
スするよう角フレーム３の対角線に向けて延在する水平
軸４，５が上下へ所要の間隔を置いて配置されており、
水平軸４，５の両端は角フレーム３のコーナ部に設置し
た軸受６，７に回転可能に支持されている。

【００１８】水平軸４，５には軸線方向中間位置を基準
として巻方向が逆に切られた逆ねじの雄ねじ４ａ，４
ｂ，５ａ，５ｂが刻設されている。

【００１９】水平軸４，５の軸線方向略中間部近傍には
ウォームホイール８，９が外嵌、固定されており、該両
ウォームホイール８，９には、減速電動機などの駆動装
置１０により駆動し得るようにした縦向きのウォーム１
１が噛合している（図６、７参照）。

【００２０】水平軸４，５の逆ねじの雄ねじ４ａ，４
ｂ，５ａ，５ｂには、水平軸４，５が貫通する貫通孔１
２，１３を介してブロック１４，１５が外嵌されてお
り、各ブロック１４，１５の貫通孔１２，１３の内周に
は、水平軸４，５の雄ねじ４ａ，４ｂ，５ａ，５ｂの溝
に係合する複数の案内突起１６，１７が設けられてい
る。

【００２１】しかして、水平軸４，５が回転することに
より、対向配置されたブロック１４と１４、１５と１５
はそれぞれ、案内突起１６，１７を介し互に近接したり
あるいは離反するよう移動し得るようになっている。

【００２２】軸受６，７およびブロック１４，１５の上
方には、複数のリンクがＸ字状にピン枢着されて多段に
組付けられた、上下に伸縮可能なパンタグラフ状のリン
クユニット１８，１９が配設されている。

【００２３】しかして、リンクユニット１８，１９は最
下段に下端が軸受６，７の側部に枢着されたリンク２
０，２１とブロック１４，１５に枢着されたリンク２
２，２３とを備えている。該リンク２０，２１，２２，
２３は斜め上方へ互に逆向きに延在してリンク２０，２
２の長手方向中間部およびリンク２１，２３の長手方向
中間部がＸ字状に交叉し、交叉部がピン枢着されてい
る。

【００２４】また、リンクユニット１８，１９は最下段
から２段目に下端がリンク２０，２１，２２，２３の上
端に枢着されたリンク２４，２５，２６，２７を備えて
いる。該リンク２４，２５，２６，２７は斜め上方へ互
に逆向きに延在してリンク２４，２６の長手方向中間部
およびリンク２５，２７の長手方向中間部がＸ字状に交
叉し、交叉部がピン枢着されている。

【００２５】さらに、リンクユニット１８，１９は、最
下段より３段目から最上段より２段目に、下端が下段の
リンク２４，２５，２６，２７の上端に枢着されたリン
ク２４，２５，２６，２７を備えている。該リンク２
４，２５，２６，２７は斜め上方へ互に逆向きに延在し
てリンク２４，２６の長手方向中間部およびリンク２
５，２７の長手方向中間部がＸ字状に交叉し、交叉部が
ピン枢着されている。

【００２６】さらにまた、リンクユニット１８，１９は
最上段に、下端が上から２段目のリンク２４，２５，２
６，２７の上端に枢着されたリンク２８，２９，３０，
３１を備えている。該リンク２８，２９，３０，３１は
斜め上方へ互に逆向きに延在してリンク２８，２９の上
端はリンク３０，３１の長手方向中間部に枢着されてい
る。

【００２７】各上段のリンクと下段のリンクが接続され
ている位置には、図４に示すごとく、平面形状が額縁状
で開口の大きさが開口１と略同じ大きさの角フレーム３
２が、リンクユニット１８，１９の各リンクの上下端枢
着部を外側から包囲するごとく配設されており、角フレ
ーム３２には平面的に見て対角線上に連結部材３３，３
４が接続されている。

【００２８】しかして、各リンクの上下の枢着部のう
ち、角フレーム３２のコーナ部内隅に近い部分は連結部
材３３，３４に回転自在に支持され、各リンクの上下の
枢着部のうち、連結部材３３，３４の交叉部に近い側は
連結部材３３，３４に設けた水平な案内溝３５，３６に
水平移動可能に支持されている。

【００２９】最上段のリンク３１の上端位置には、図５
に示すごとく平面形状が略角フレーム３２と同じ大きさ
の角フレーム３７と角フレーム３７を所定の間隔を置い
て外側から包囲するようにした角フレーム３８とを備
え、角フレーム３７には平面的に見て対角線上に連結部
材３９，４０が接続され、角フレーム３７，３８はコー
ナ部において連結部材４１により接続されている。

【００３０】しかして、リンク３０，３１の上端は連結
部材３９，４０に回転自在に支持されている。

【００３１】開口１を包囲するよう屋根２上に設けた角
フレーム３から最上段の角フレーム３２までには、角フ
レーム３２を外周側から包囲する伸縮自在な換気筒４２
が、角フレーム３２に固定されるよう配置されている。
換気筒４２はガラス強化フッ素樹脂製の伸縮自在な角筒
状に形成されているとともに上端に換気口４２ａ（図１
参照）が形成されている。また角フレーム３２と３７と
の間の空間には、角フレーム３２，３７を外側から包囲
する伸縮自在防虫網４３が、角フレーム３２，３７に固
定されるよう配置されている。

【００３２】角フレーム３７上面には、換気筒４２内に
換気口４２ａを介して雨水などが侵入するのを防止する
ために、屋根４４が設けられており、角フレーム３８の
外周には、風が防虫網４３を通って換気筒４２内へ入ら
ないよう、防風板４５が、防虫網４３を包囲するよう設
けられている。しかして、防風板４５内面と屋根４４の
外周縁部との間には、室内からの空気を大気中に自然排
気し得るよう通風口４６が形成されている。

【００３３】なお、図１中、４７は開口１の下部に位置
するよう、天井に設けた開閉自在な天窓、図９中４８は
住宅４９の２階床面、θは住宅４９の屋根２の北側斜線
制限角度であり、縮小時には自然換気装置の上端は北側
斜線制限角度θ以下に位置するようになっている。

【００３４】つぎに、本実施の形態の作動について説明
する。

【００３５】自然換気装置を使用する必要のない場合に
は、天窓４７は閉止されているとともにリンクユニット
１８，１９の各リンク２０〜３１は折りたたまれてお
り、このため、換気筒４２、換気口４２ａの防虫網４３
は図２に示すように折りたたまれて縮小している。

【００３６】自然換気のために自然換気装置を使用する
必要のある場合には、天窓４７を開き、また駆動装置１
０を駆動する。

【００３７】そうすると、ウォーム１１が駆動されてウ
ォームホイール９が回転し、その結果水平軸４，５が回
転する。このため、水平軸４，５の軸心方向中央側に位
置していた対向するブロック１４，１４および１５，１
５は案内突起１６，１７を介して互に離反するよう水平
軸４，５により送られつつ角フレーム３のコーナ側へ移
動し、水平に近い状態に折りたたまれていたリンク２
０，２２，２１，２３が起立を開始する。

【００３８】また、リンク２０，２２，２１，２３が起
立を開始すると、各リンクの案内溝３５，３６に案内さ
れている部分は角フレーム３２のコーナ側へ移動し、し
たがってすべてのリンクは起立して図１に示すよう、換
気筒４２、防虫網４３は上方へ最上位置まで伸長する
（外形形状は図８参照）。

【００３９】また、換気筒４２および防虫網４３が最上
位置まで伸長すると、２階床面４８から自然換気装置の
換気口４２ａまでの高さが高くなり、図９に示す住宅４
９室内の自然換気が良好になる。すなわち、住宅４９室
内の空気の浮力は、住宅４９の室温と外気の温度差に２
階床面４８から換気口４２ａまでの高さを掛けた値とな
るため自然換気装置の換気口４２ａの高さを高くするこ
とにより、室内の空気の浮力は大きくなる。

【００４０】このため、室内の空気は換気筒４２を通っ
て上昇し、換気口４２ａ、通風口４６を通って外気へ排
出され、屋外の空気は窓５０，５１，５２やドアなどを
通って室内に導入され、その結果自然換気が良好に行わ
れる（図９の流れ線イ、ロ、ハ参照）。また換気筒４２
の高さを調整することにより、自然換気量が制御され
る。

【００４１】自然換気を良好に行う場合と行わない場合
の住宅４９室内の圧力分布は図１０に示すようになり、
図１０中、実線は自然換気を行う場合を示し、二点鎖線
は自然換気を行わない場合を示している。

【００４２】通風口４６を上昇させると、屋外の圧力を
基準とする２階室内の室内圧力分布（屋外の圧力との差
圧）は圧力が高くなる方向へシフトし、したがって２階
室内の空気は換気筒４２を通って良好に排出されること
が分る。

【００４３】自然換気を行わない場合には、駆動装置１
０を逆転させることにより、リンクユニット１８，１９
の各リンク２０〜３１を最下方位置まで下降するよう折
りたたむ。そうすると、換気筒４２、防虫網４３も下降
して図２に示すように折りたたまれる。

【００４４】なお、本発明の実施の形態においては、換
気筒の伸縮をリンク機構を用いて行う場合について説明
したが、リンク機構を用いずにテレスコピック状にして
伸縮させるようにしても実施できること、その他、本発
明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得るこ
と、などは勿論である。

【００４５】

【発明の効果】本発明の住宅の自然換気方法および自然
換気装置によれば、気温が高い場合に室内の自然換気を
十分に行うことができ、したがってクーラなどの空調機
器なしでも快適に生活することができ、また必要に応じ
て自然換気量の制御を行うことができるという優れた効
果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の住宅の自然換気方法および自然換気装
置において、自然換気装置の換気筒が伸長した場合の内
部構造を示す縦断面図である。

【図２】図１に示す自然換気装置の換気筒が縮小した場
合の内部構造を示す縦断面図である。

【図３】図２のＩＩＩ−ＩＩＩ方向矢視図である。

【図４】図１のＩＶ−ＩＶ方向矢視図である。

【図５】図１のＶ−Ｖ方向矢視図である。

【図６】本発明の住宅の自然換気方法および自然換気装
置において、自然換気装置に用いる伸縮機構の概略平面
図である。

【図７】図６のＶＩＩ−ＶＩＩ方向矢視図である。

【図８】図１に示す自然換気装置の換気筒が伸長した状
態の外形を示す斜視図である。

【図９】本発明の住宅の自然換気方法および自然換気装
置において、自然換気装置を住宅の屋根に設置した状態
を示す正面図である。

【図１０】図９に示す住宅で自然換気装置の換気筒を伸
長させ換気口を上昇させた場合、および自然換気装置が
ない場合における、屋外の圧力を基準とした室内の圧力
分布を説明するためのグラフである。

【符号の説明】

２ 屋根 ４２ 換気筒 ４６ 通風口 ４８ ２階床面（床面） ４９ 住宅

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 住宅の上層階の屋根の上部に設けた伸縮
   自在な換気筒を上下へ伸長させて前記上層階の床面に対
   する換気筒上部の換気口までの高さを上昇させ、自然換
   気により上層階または上、下層階の空気取入れ部分から
   外気を導入し、室内の空気を前記換気口から室外へ排出
   させるようにしたことを特徴とする住宅の自然換気方
   法。
2. 【請求項２】 住宅の屋根の上部に設けた伸縮自在な換
   気筒を上下へ伸長させて前記住宅の床面に対する換気筒
   上部の換気口までの高さを上昇させ、自然換気により上
   層階または上、下層階の空気取入れ部分から外気を導入
   し、室内の空気を前記換気口から室外へ排出させるよう
   にしたことを特徴とする住宅の自然換気方法。
3. 【請求項３】 住宅の上層階の屋根に、室内の空気を外
   部へ排出させる換気口を上部に有する換気筒を上下方向
   へ伸縮自在に設けたことを特徴とする住宅の自然換気装
   置。