JPH11269801A - 土構造物上の省力化軌道構造、及び土構造物上の省力化軌道の沈下補修方法 - Google Patents

土構造物上の省力化軌道構造、及び土構造物上の省力化軌道の沈下補修方法

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JPH11269801A
JPH11269801A JP9666098A JP9666098A JPH11269801A JP H11269801 A JPH11269801 A JP H11269801A JP 9666098 A JP9666098 A JP 9666098A JP 9666098 A JP9666098 A JP 9666098A JP H11269801 A JPH11269801 A JP H11269801A
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Japan
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labor
height adjusting
earth structure
male screw
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JP9666098A
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English (en)
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Tadayoshi Ishibashi
忠良 石橋
Takeshi Takahashi
武 高橋
Takahiro Sugano
貴浩 菅野
Hideyuki Iizuka
英之 飯塚
Yorio Yonekura
頼夫 米倉
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JR East Consultants Co
East Japan Railway Co
Original Assignee
JR East Consultants Co
East Japan Railway Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 土構造物に沈下が生じた場合に容易かつ低コ
ストで追随して沈下を補修し得る土構造物上の省力化軌
道構造、及び土構造物上の省力化軌道の沈下補修方法を
提供する。 【解決手段】 強化路盤2と台座コンクリート4の間に
介設される高さ調整部材3と、相互に螺合する雄ネジ部
材14と雌ネジ部材10を有し、雌ネジ部材10が高さ
調整部材3に設けられ、雄ネジ部材14が強化路盤2に
当接するように構成し、雄ネジ部材14を回転させるこ
とにより高さ調整部材3を強化路盤2に対して扛上可能
な扛上機構9を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土構造物上の省力
化軌道構造、及び土構造物上の省力化軌道の沈下補修方
法に関し、特に、土構造物に沈下が生じた場合に沈下に
容易に追随して沈下を補修し得る土構造物上の省力化軌
道構造、及び土構造物上の省力化軌道の沈下補修方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、土構造物上の省力化軌道として
は、強化路盤上のバラスト道床軌道がある。強化路盤と
は、盛土や切土等の路床の上に、安定化処理を施して強
化した土層を設けて構成した路盤である。
【0003】しかし、バラスト道床軌道では、軌道上を
列車が通過することに伴いバラスト(砕石)が沈下して
いくため、軌道の保守を行うことが前提となっており、
完全な保守省力化軌道とはなっていない。
【0004】軌道の保守を省力化し得る軌道としては、
バラスト道床とまくらぎのかわりにコンクリート製の板
状部材であるスラブマットを用いてレールを支持するス
ラブ軌道がある。このため、軌道保守の省力化の観点か
ら、土構造物の上にスラブ軌道を敷設することが考えら
れた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
土構造物では、ある程度の沈下や変形は避けられない。
一方、従来のスラブ軌道では、その構造上、路盤の沈下
が生じた場合に、その沈下に追随したり沈下を補修可能
な対策は特に講じられていない。スラブ軌道以外の他の
省力化軌道についても同様であり、土構造物が沈下や変
形を生じても、軌道の側では、それらに対処する性能を
期待することはできなかった。
【0006】このため、従来は、土構造物上に省力化軌
道を敷設するため、土構造物の側で沈下を防止するため
の入念な対策を施していた。この土構造物の沈下防止対
策としては、層厚管理材の使用、補強盛土の採用、
路床の改良・強度の強化等がある。
【0007】しかし、これらの対策を採用すると、軌道
の新設又は改良のための費用が増大する、という問題が
あった。
【0008】本発明は上記の問題を解決するためになさ
れたものであり、本発明の解決しようとする課題は、土
構造物に沈下が生じた場合に容易かつ低コストで追随し
て沈下を補修し得る土構造物上の省力化軌道構造、及び
土構造物上の省力化軌道の沈下補修方法を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ため、本発明に係る土構造物上の省力化軌道は、土構造
物上に設置されるレール支承部材と、前記レール支承部
材上に支持されるレールを有する土構造物上の省力化軌
道構造において、前記土構造物と前記レール支承部材と
の間に介設される高さ調整部材と、相互に螺合する雄ネ
ジ部材と雌ネジ部材を有し、前記雄ネジ部材と雌ネジ部
材の一方が前記土構造物に接続するとともに、前記雄ネ
ジ部材と雌ネジ部材の他方が前記高さ調整部材に接続
し、前記雄ネジ部材と雌ネジ部材の一方を回転させるこ
とにより前記高さ調整部材を前記土構造物に対して扛上
可能な扛上機構を備えることを特徴とする。
【0010】上記の土構造物上の省力化軌道において、
好ましくは、前記扛上機構に接続する前記土構造物の箇
所には、前記扛上に伴う支圧を緩和させる支圧緩和部材
が配置される。
【0011】また、上記の土構造物上の省力化軌道にお
いて、好ましくは、前記高さ調整部材には、前記土構造
物と前記高さ調整部材の間の空隙に注入材を注入させる
ための注入孔が形成される。
【0012】また、上記の土構造物上の省力化軌道にお
いて、好ましくは、前記高さ調整部材の下面には、注入
材の付着を防止する付着防止面が形成される。
【0013】また、本発明に係る土構造物上の省力化軌
道の沈下補修方法は、土構造物上に設置されるレール支
承部材と、前記レール支承部材上に支持されるレールを
有する土構造物上の省力化軌道の前記土構造物と前記レ
ール支承部材との間に、高さ調整部材と、扛上機構を予
め配置しておき、前記扛上機構を相互に螺合する雄ネジ
部材と雌ネジ部材により構成し、前記雄ネジ部材と雌ネ
ジ部材の一方が前記土構造物に接続するとともに前記雄
ネジ部材と雌ネジ部材の他方が前記高さ調整部材に接続
するようにしておき、前記土構造物が沈下した場合に
は、前記雄ネジ部材と雌ネジ部材の一方を回転させるこ
とにより前記高さ調整部材を前記土構造物に対して扛上
させ、前記沈下を補修することを特徴とする。
【0014】上記の土構造物上の省力化軌道の沈下補修
方法において、好ましくは、前記高さ調整部材の扛上の
後に、前記土構造物と前記高さ調整部材との間に生じた
空隙に注入材を注入して充填し硬化させる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る土構造物上の
省力化軌道構造、及び土構造物上の省力化軌道の沈下補
修方法の実施形態について、図面を参照しながら説明す
る。
【0016】(1)第1実施形態 図1は、本発明の第1実施形態である弾性バラスト軌道
の構造を示す図であり、図1(A)は線路方向に見た断
面図を、図1(B)は図(A)における高さ調整部材の
上面図を、それぞれ示している。また、図2は、図1に
示す弾性バラスト軌道における高さ調整部材と扛上機構
の詳細な構造を示す断面図である。
【0017】図1(A)に示すように、この弾性バラス
ト軌道101は、路床1上に設けられた強化路盤2の上
に構築されている。路床1は、盛土や、素地地盤又は切
土上に排水層を設けて構成される。
【0018】また、強化路盤2は、アスファルトコンク
リート、粒度調整砕石、粒度調整高炉スラグ砕石、水硬
性粒度調整高炉スラグ砕石等を用い、締固め等により強
固な層状に構成されている。これらの路床1と強化路盤
2は、土構造物を構成している。
【0019】また、この弾性バラスト軌道101は、支
圧緩和部材11と、高さ調整部材3と、扛上機構9と、
台座コンクリート4と、防振ゴム8と、まくらぎ5と、
レール締結装置6と、レール7と、吸音用バラストBを
備えて構成されている。
【0020】高さ調整部材3は、強化路盤2上に支圧緩
和部材11を介して載置される。支圧緩和部材11は、
鋼板等からなり、強化路盤2の上面に設置される。支圧
緩和部材11の下部には、鋼材等からなる固定部材13
が取り付けられており、強化路盤2上で横ズレ等が生じ
ないように固定される。
【0021】高さ調整部材3は、図1(A),図1
(B)に示すように、プレストレストコンクリート(以
下、「PC」という。)等からなる板状部材であり、例
えば各隅角部に4本の雌ネジ部材10が埋設され、複数
の注入孔12が設けられている。
【0022】雌ネジ部材10は、鋼等からなり、上下に
貫通する雌ネジ孔が形成されており、高さ調整部材3の
例えば隅角部のコンクリート中に埋設されている。この
雌ネジ部材10の雌ネジ孔には、後述する雄ネジ部材1
4が螺合し、扛上機構9を構成する。
【0023】注入孔12は、高さ調整部材3の適宜箇所
に開設された上下の貫通孔である。この注入孔は、鋼管
等を高さ調整部材3のコンクリート中に埋設して構成し
てもよい。
【0024】台座コンクリート4は、鉄筋コンクリート
(以下、「RC」という。)等からなり、線路方向に見
た断面形状が略「L」字状に形成され、まくらぎ5を支
持し、横移動を防止するように構成されている。この台
座コンクリート4のまくらぎ支持面の上には防振ゴムが
配置され、その上にまくらぎ5が設置される。このまく
らぎ5の上に、レール締結装置6によりレール7が締結
される。
【0025】そして、上記の構造が形成された後に、ま
くらぎ5,台座コンクリート4,高さ調整部材3の周囲
に、吸音用バラストBが撒布・敷設される。このような
構成により、この弾性バラスト軌道101は、防振ゴム
8等の効果により、列車振動を低減することができ、か
つ吸音用バラストBにより防音効果も兼ね備えている。
【0026】さらに、この第1実施形態の弾性バラスト
軌道101は、下部の土構造物が沈下等の変形を生じた
場合、その変形に追随させ、沈下を容易に補修可能な構
造となっている。以下、その沈下補修に関する構成と、
沈下補修方法について詳述する。
【0027】図2は、図1に示す弾性バラスト軌道にお
ける高さ調整部材と扛上機構の、雄ネジ部材ねじ込み前
の詳細な構造を示す断面図である。また、図3は、図1
に示す弾性バラスト軌道における軌道の沈下補修方法の
第1工程を示す図である。また、図4は、図1に示す弾
性バラスト軌道における軌道の沈下補修方法の第2工程
を示す図である。また、図5は、図1に示す弾性バラス
ト軌道における軌道の沈下補修方法の第3工程を示す図
である。
【0028】図2に示す状態は、弾性バラスト軌道10
1の完成時の状態であり、土構造物に沈下等は発生して
いない状態である。この状態では、図2に示すように、
強化路盤2上の支圧緩和部材11の上に、雌ネジ部材1
0の下端面が密接している。他の雌ネジ部材10につい
ても同様である。
【0029】次に、図3に示すように、土構造物(1,
2)に変形やクラック(割裂)等が発生し、例えば管理
限界値を越える量δの沈下が生じた場合には、雌ネジ部
材10の雌ネジ孔に螺合可能な径、ネジ形状に形成され
た雄ネジ部材14を、雌ネジ孔にねじ込む。この雄ネジ
部材14の頭部には、例えば六角穴14aが形成されて
おり、この六角穴14aに六角形断面のレンチ状の工具
を差し込み、図示のようにネジ軸まわりに回動させるこ
とにより、雄ネジ部材14を図の下方に向けてねじ込む
ことができる。この場合、六角穴14aのかわりに、雄
ネジ部材14の頭部外形を六角形断面状に形成してもよ
い。
【0030】このようにして雄ネジ部材14を雌ネジ部
材10にねじ込むと、雄ネジ部材14の下端は支圧緩和
部材11に当接する。さらにねじ込むと、図3に示すよ
うに、高さ調整部材3は雄ネジ部材14に支持されて持
上げられ(扛上され)、強化路盤2と高さ調整部材3と
の間に空隙Sが形成される。したがって、沈下量δと同
一量扛上させれば、土構造物による沈下は補修され、レ
ール上面は当初の高さ位置に戻る。
【0031】また、土構造物の変形により、高さ調整部
材3の各部の沈下量がそれぞれ異なる不等沈下を生じた
場合でも、高さ調整部材3は面状に広がる板状部材であ
るため、各雄ネジ部材14のねじ込み量を変えることに
より、各雄ネジ部材14の下端での扛上量を変えて不等
沈下を補修し、元の水平状態等に戻すことができる。
【0032】この際、高さ調整部材3と、高さ調整部材
3上に支持されている軌道構造の荷重、さらに列車通過
時には列車荷重の荷重が付加された荷重は、雄ネジ部材
14の下端に作用する。しかし、雄ネジ部材14の下端
は、図3に示すように、支圧緩和部材11により支持さ
れ、押圧力(支圧力)は広い面積に分散されて緩和され
るので、雄ネジ部材14が強化路盤2内にめり込むこと
は防止される。
【0033】また、図3の状態で雄ネジ部材14を回動
させると、支圧緩和部材11を強化路盤2上で回転させ
ようとする力が作用するが、支圧緩和部材11は固定部
材13により固定されているため、支圧緩和部材11の
回転は防止される。
【0034】次に、図4に示すように、後述する注入材
Gの漏出を防ぐため、強化路盤2と高さ調整部材3との
間の空隙Sの外側を閉塞するように枠材15を配置す
る。その後、注入孔12に注入管16を挿入する。その
後、注入プラント(図示せず)から無収縮モルタルグラ
ウト材等の注入材Gを注入管16を介して送り、強化路
盤2と高さ調整部材3との間の空隙Sを注入材Gで充填
し、間詰めを行う。
【0035】その後、図5に示すように、空隙Sが注入
材Gですべて充填されたことを確認した後に注入作業を
終了し、枠材15を取り外す。これにより、土構造物の
沈下量δが補修されレール上面が当初の高さ位置に戻っ
た状態で固定され、高さ調整部材3及び上載荷重(構造
の自重と列車荷重)は、雄ネジ部材14だけでなく、硬
化した注入材Gによって面支持される。
【0036】また、図3において、符号27で示すよう
に、高さ調整部材3の下面に、プラスチック製シート
等、注入材Gと付着しにくく容易に剥離可能な付着防止
部材を貼り付けておけば、図5の状態からさらに沈下が
生じた場合でも、付着防止部材27の下面は注入材Gの
上面から容易に剥離するので、上記と同様にして高さ調
整部材3の扛上を行った後、再注入をすることにより沈
下を補修することができる。したがって、本実施形態の
土構造物上の省力化軌道では、複数回数の沈下補修が可
能である。
【0037】上記したように、本実施形態の土構造物上
の省力化軌道では、土構造物に沈下が生じた場合に容易
に追随して沈下を補修することができる。このため、従
来は、土構造物の側で沈下を防止するために施していた
各種の入念な対策は不要となり、簡易な対策でも可能と
なる。例えば、強化路盤において、従来は、非常に高い
値に設定されていた締固め度合を、通常の路盤の締固め
程度に緩和すること等が可能となる。
【0038】したがって、高さ調整部材3と扛上機構9
(雌ネジ部材10及び雄ネジ部材14)の分だけ増大す
る建設コストよりもはるかに大きなコスト低減が図れる
ため、全体としては、かなりの建設コストを低減するこ
とができる、という利点がある。
【0039】(2)第2実施形態 本発明は、他の構成によっても実現可能である。以下
に、本発明の第2実施形態について説明を行う。
【0040】図6は、本発明の第2実施形態である弾性
バラスト軌道における高さ調整部材と扛上機構の詳細な
構造を示す断面図である。
【0041】図6に示すように、この弾性バラスト軌道
102は、路床(図示せず)上に設けられた強化路盤2
の上に構築されている。路床(図示せず)と強化路盤2
の構成は、上記した第1実施形態の場合と同様である。
【0042】また、この弾性バラスト軌道102は、複
合部材23と、高さ調整部材30と、扛上機構19を備
えて構成されている。高さ調整部材30の上には、図示
はしていないが、第1実施形態の場合と同様の台座コン
クリート4と、防振ゴム8と、まくらぎ5と、レール締
結装置6と、レール7と、吸音用バラストBが設置され
る。
【0043】強化路盤2上には、複合部材23が設置さ
れる。複合部材は、雄ネジ部材24と、支圧緩和部材2
5と、固定部材26が結合された部材である。雄ネジ部
材24は、後述する雌ネジ部材20が螺合する径、ネジ
形状に形成されている。
【0044】また、支圧緩和部材25は、鋼板等からな
り、強化路盤2の上面に設置される。支圧緩和部材25
の下部には、鋼材等からなる固定部材26が取り付けら
れており、強化路盤2上で横ズレ等が生じないように固
定される。
【0045】高さ調整部材30は、PC等からなる板状
部材であり、例えば各隅角部に4本の管状部材21が埋
設され、複数の注入孔(図示せず)が設けられている。
【0046】管状部材21は、鋼等からなり、上下に貫
通する孔が形成されており、高さ調整部材30の例えば
隅角部のコンクリート中に埋設されている。管状部材2
1の貫通孔の内径は、雌ネジ部材20の軸部の外径より
も大きな値に設定されている。
【0047】また、高さ調整部材30の下面の管状部材
21の周囲のコンクリートには、鋼材等からなる支持板
部22が配置されている。管状部材21の貫通孔には、
雌ネジ部材20が挿通され、管状部材21と、雌ネジ部
材20と、雄ネジ部材24により扛上機構19が構成さ
れる。
【0048】雌ネジ部材20は、鋼等からなり、上下に
貫通する雌ネジ孔が形成されている。この雌ネジ孔の
径、ネジ形状は、雄ネジ部材24と螺合可能となってい
る。また、雌ネジ部材20の頭部には、六角穴20aが
形成されている。また、雌ネジ部材20の下部は、鍔状
に張り出した支持鍔部20bとなっている。
【0049】注入孔(図示せず)は、上記した第1実施
形態における注入孔12と同様の構成を有している。
【0050】この第2実施形態の弾性バラスト軌道10
2も、下部の土構造物が沈下等の変形を生じた場合、そ
の変形に追随させ、沈下を容易に補修可能な構造となっ
ている。以下、その沈下補修に関する構成と、沈下補修
方法について詳述する。
【0051】まず、最初の状態においては、強化路盤2
上に複合部材23が固定部材26によって固定され、複
合部材23のうちの雄ネジ部材24に、雌ネジ部材20
がねじ込まれ、雌ネジ部材20の支持鍔部20bの下面
が支圧緩和部材25の上面に密接した状態にセットされ
る。
【0052】次に、雌ネジ部材20が管状部材21に挿
通されるようにして高さ調整部材30をセットする。こ
の状態では、高さ調整部材30の支持板部22の下面
は、雌ネジ部材20の支持鍔部20bの上面に密接して
いる。
【0053】次に、土構造物(2等)に変形やクラック
(割裂)等が発生し、例えば管理限界値を越える量δの
沈下が生じた場合には、雌ネジ部材20の頭部の六角穴
20aに六角形断面のレンチ状の工具を差し込み、図示
のように、雌ネジ部材20を管状部材20内でネジ軸ま
わりに回動させることができる。これにより、雌ネジ部
材20を図の上方に向けて扛上させることができる。こ
の場合、六角穴20aのかわりに、雌ネジ部材204の
頭部外形を六角形断面状に形成してもよい。
【0054】このようにして雌ネジ部材20を扛上させ
ると、図6に示すように、高さ調整部材30は、雌ネジ
部材20の支持鍔部20bに支持されて持上げられ(扛
上され)、強化路盤2と高さ調整部材30の間に空隙S
が形成される。したがって、土構造物が沈下した量と同
一の量扛上させれば、土構造物による沈下は補修され、
レール上面は当初の高さ位置に戻る。
【0055】また、土構造物の変形により、高さ調整部
材30の各部の沈下量がそれぞれ異なる不等沈下を生じ
た場合でも、高さ調整部材30は面状に広がる板状部材
であるため、各雌ネジ部材20の回動量を変えることに
より、各雌ネジ部材20における扛上量を変えて不等沈
下を補修し、元の水平状態等に戻すことができる。
【0056】この際、高さ調整部材30と、高さ調整部
材30上に支持されている軌道構造の荷重、さらに列車
通過時には列車荷重の荷重が付加された荷重は、雄ネジ
部材24の下端に作用する。しかし、雄ネジ部材24の
下端は、図6に示すように、支圧緩和部材25により支
持され、押圧力(支圧力)は広い面積に分散されて緩和
されるので、雄ネジ部材24が強化路盤2内にめり込む
ことは防止される。
【0057】また、図6の状態で雌ネジ部材20を回動
させると、雄ネジ部材24を介して支圧緩和部材25を
強化路盤2上で回転させようとする力が作用するが、支
圧緩和部材25は固定部材26により固定されているた
め、支圧緩和部材25の回転は防止される。
【0058】さらに、図6の状態で雌ネジ部材20を回
動させると、雌ネジ部材20の下部の支持鍔部20bの
上面が、高さ調整部材30の下面を摺動し摩擦するが、
この摺動摩擦面には支持板部22が設けられているた
め、円滑に摺動摩擦が行われ、コンクリート面の摩耗や
破損は防止される。
【0059】その後は、上記した第1実施形態の場合と
まったく同様にして、扛上により生じた空隙Sを注入材
(図示せず)によって充填する。これにより、土構造物
の沈下量が補修されレール上面が当初の高さ位置に戻っ
た状態で固定され、高さ調整部材30及び上載荷重(構
造の自重と列車荷重)は、雄ネジ部材24だけでなく、
硬化した注入材によって面支持される。
【0060】また、この第2実施形態の場合にも、図3
に示す付着防止部材27を適用し、複数回数の沈下補修
を行うことが可能である。
【0061】この第2実施形態の土構造物上の省力化軌
道においても、上記した第1実施形態の場合とまったく
同様の効果・利点を有している。
【0062】上記した各実施形態において、台座コンク
リート4と、防振ゴム8と、まくらぎ5と、レール締結
装置6は、レール支承部材を構成している。
【0063】なお、本発明は、上記した各実施形態に限
定されるものではない。上記した各実施形態は、例示で
あり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想
と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏する
ものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に
包含される。
【0064】例えば、上記各実施形態においては、省力
化軌道として、図1(A)に示す弾性バラスト軌道10
1を例に挙げて説明したが、本発明はこれには限定され
ず、他のすべての省力化軌道にも適用可能である。これ
らの省力化軌道としては、例えば、舗装軌道(B型舗装
軌道,E型舗装軌道等)、てん充道床軌道、土路盤上枠
型軌道、弾性まくらぎ直結軌道、防振まくらぎ軌道、有
道床弾性まくらぎ軌道、土路盤上スラブ軌道(RA型ス
ラブ軌道,土路盤上コンクリート路盤スラブ軌道等)な
どが含まれる。したがって、これらの省力化軌道におい
て、土構造物とレールとの間の部材は、レール支承部材
に相当する。
【0065】また、上記各実施形態においては、高さ調
整部材として、PC製の板状部材(3,30)を例に挙
げて説明したが、本発明はこれには限定されず、他の材
質の高さ調整部材、例えば、RC,鋼,FRP(繊維強
化プラスチック)等からなる高さ調整部材であってもよ
い。また、他の形状の高さ調整部材、例えば、棒状(ま
くらぎ状)、ブロック(塊)状に形成された高さ調整部
材であってもよい。
【0066】また、上記各実施形態においては、扛上機
構として9,19を例に挙げて説明したが、本発明はこ
れには限定されず、他の構成の組合わせネジを利用した
扛上機構を採用してもよい。要は、相互に螺合する雄ネ
ジ部材と雌ネジ部材を有し、雄ネジ部材と雌ネジ部材の
一方が土構造物に接続するとともに、雄ネジ部材と雌ネ
ジ部材の他方が高さ調整部材に接続し、雄ネジ部材と雌
ネジ部材の一方を回転させることにより高さ調整部材を
扛上可能な扛上機構であれば、どのような構成のもので
あってもよいのである。
【0067】また、上記各実施形態においては、付着防
止部材としてプラスチックシートを例に挙げて説明した
が、本発明はこれには限定されず、他の構成の付着防止
部材、例えば、高さ調整部材の下面に塗布・散布等によ
って形成される注入材剥離材、注入材剥離膜等であって
もよい。要は、高さ調整部材の下面に、注入材の付着を
防止する付着防止面が形成されるものであれば、どのよ
うな構成であってもよいのである。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
土構造物とレール支承部材との間に介設される高さ調整
部材と、相互に螺合する雄ネジ部材と雌ネジ部材を有
し、雄ネジ部材と雌ネジ部材の一方が前記土構造物に接
続するとともに、雄ネジ部材と雌ネジ部材の他方が高さ
調整部材に接続し、雄ネジ部材と雌ネジ部材の一方を回
転させることにより高さ調整部材を土構造物に対して扛
上可能な扛上機構を備えたので、土構造物に沈下が生じ
た場合に、容易に、かつ低コストで追随し、沈下を補修
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である弾性バラスト軌道
の構造を示す図であり、図1(A)は線路方向に見た断
面図を、図1(B)は図(A)における高さ調整部材の
上面図を、それぞれ示している。
【図2】図1に示す弾性バラスト軌道における高さ調整
部材と扛上機構の、雄ネジ部材ねじ込み前の詳細な構造
を示す断面図である。
【図3】図1に示す弾性バラスト軌道における軌道の沈
下補修方法の第1工程を示す図である。
【図4】図1に示す弾性バラスト軌道における軌道の沈
下補修方法の第2工程を示す図である。
【図5】図1に示す弾性バラスト軌道における軌道の沈
下補修方法の第3工程を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態である弾性バラスト軌道
における高さ調整部材と扛上機構の詳細な構造を示す断
面図である。
【符号の説明】
1 路床 2 強化路盤 3 高さ調整部材 4 台座コンクリート 5 まくらぎ 6 レール締結装置 7 レール 8 防振ゴム 9 扛上機構 10 雌ネジ部材 11 支圧緩和部材 12 注入孔 13 固定部材 14 雄ネジ部材 14a 六角穴 15 枠材 16 注入管 19 扛上機構 20 雌ネジ部材 20a 六角穴 20b 支持鍔部 21 管状部材 22 支持板部 23 複合部材 24 雄ネジ部材 25 支圧緩和部材 26 固定部材 27 付着防止部材 30 高さ調整部材 101、102 弾性バラスト軌道 B 吸音用バラスト G 注入材 S 空隙 δ 沈下量(扛上量)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 武 東京都渋谷区代々木二丁目二番二号 東日 本旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 菅野 貴浩 東京都渋谷区代々木二丁目二番二号 東日 本旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 飯塚 英之 東京都渋谷区代々木二丁目二番二号 東日 本旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 米倉 頼夫 東京都渋谷区代々木二丁目二番二号 東日 本旅客鉄道株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 土構造物上に設置されるレール支承部材
    と、前記レール支承部材上に支持されるレールを有する
    土構造物上の省力化軌道構造において、 前記土構造物と前記レール支承部材との間に介設される
    高さ調整部材と、 相互に螺合する雄ネジ部材と雌ネジ部材を有し、前記雄
    ネジ部材と雌ネジ部材の一方が前記土構造物に接続する
    とともに、前記雄ネジ部材と雌ネジ部材の他方が前記高
    さ調整部材に接続し、前記雄ネジ部材と雌ネジ部材の一
    方を回転させることにより前記高さ調整部材を前記土構
    造物に対して扛上可能な扛上機構を備えることを特徴と
    する土構造物上の省力化軌道構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の土構造物上の省力化軌道
    構造において、 前記扛上機構に接続する前記土構造物の箇所には、前記
    扛上に伴う支圧を緩和させる支圧緩和部材が配置される
    ことを特徴とする土構造物上の省力化軌道構造。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の土構造物上の省力化軌道
    構造において、 前記高さ調整部材には、前記土構造物と前記高さ調整部
    材の間の空隙に注入材を注入させるための注入孔が形成
    されることを特徴とする土構造物上の省力化軌道構造。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の土構造物上の省力化軌道
    構造において、 前記高さ調整部材の下面には、注入材の付着を防止する
    付着防止面が形成されることを特徴とする土構造物上の
    省力化軌道構造。
  5. 【請求項5】 土構造物上に設置されるレール支承部材
    と、前記レール支承部材上に支持されるレールを有する
    土構造物上の省力化軌道の前記土構造物と前記レール支
    承部材との間に、高さ調整部材と、扛上機構を予め配置
    しておき、前記扛上機構を相互に螺合する雄ネジ部材と
    雌ネジ部材により構成し、前記雄ネジ部材と雌ネジ部材
    の一方が前記土構造物に接続するとともに前記雄ネジ部
    材と雌ネジ部材の他方が前記高さ調整部材に接続するよ
    うにしておき、 前記土構造物が沈下した場合には、前記雄ネジ部材と雌
    ネジ部材の一方を回転させることにより前記高さ調整部
    材を前記土構造物に対して扛上させ、前記沈下を補修す
    ることを特徴とする土構造物上の省力化軌道の沈下補修
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の土構造物上の省力化軌道
    の沈下補修方法において、 前記高さ調整部材の扛上の後に、前記土構造物と前記高
    さ調整部材との間に生じた空隙に注入材を注入して充填
    し硬化させることことを特徴とする土構造物上の省力化
    軌道の沈下補修方法。
JP9666098A 1998-03-25 1998-03-25 土構造物上の省力化軌道構造、及び土構造物上の省力化軌道の沈下補修方法 Withdrawn JPH11269801A (ja)

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