JPH11269580A - 耐焼付性に優れたすべり軸受 - Google Patents

耐焼付性に優れたすべり軸受

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JPH11269580A
JPH11269580A JP10077357A JP7735798A JPH11269580A JP H11269580 A JPH11269580 A JP H11269580A JP 10077357 A JP10077357 A JP 10077357A JP 7735798 A JP7735798 A JP 7735798A JP H11269580 A JPH11269580 A JP H11269580A
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Takashi Tomikawa
貴志 冨川
Shoji Kamiya
荘司 神谷
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C2204/00Metallic materials; Alloys
    • F16C2204/10Alloys based on copper
    • F16C2204/12Alloys based on copper with tin as the next major constituent

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  • Sliding-Contact Bearings (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 内燃機関ようすべり軸受の摺動面に従来被着
されていた鉛系オーバレイよりも耐焼付性が優れたオー
バレイを提供する。 【解決手段】 裏金に接着されたもしくはされないCu
−Sn系銅合金の軸との摺動面をAgを主成分とする層
を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、すべり軸受に関す
るものであり、さらに詳しく述べるならば、従来のケル
メットよりも摺動特性、特に耐焼付性が優れたすべり軸
受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】銅系摺動材料の代表であるケルメット
は、軟質金属又は樹脂からなるオーバレイを一般に10
〜20μm被着してエンジン部品に使用されている。す
べり軸受の使用初期にオーバレイは相手軸となじんで摩
耗し軸と軸受の焼付を起こり難くする。このようにオー
バレイの機能はなじみ性にある。また、オーバレイの下
地としてNi被着(「Niバリヤー」と言われる)をケ
ルメット(「ライニング」と言われる)に設けることも
一般に行われている。オーバレイが消失して下地のケル
メットもしくはNi被着が露出すると、焼付が起こり易
くなるために、従来のすべり軸受はオーバレイをなじみ
に必要な厚さ以上に被着していた。
【0003】ケルメットに含有されるPb粒子が相手軸
により引き伸ばされて摺動面で軟質膜を作り、焼付を防
止する作用をもつのであるが、近年ますます過酷になる
摺動条件では、この作用だけでは不十分であるのが実際
である。したがって、従来のケルメットの耐焼付性を向
上させるために、P,AlなどのCuマトリックスを強
化する元素を添加する、なじみ性が優れたBiなどを添
加する、グラファイトなどの耐焼付性向上成分を添加す
る、アルミナなどの耐摩耗性成分を添加する、樹脂を含
浸させた樹脂含浸焼結材料とするなどの提案がなされ、
それなりの成果を達成している。
【0004】上記したすべり軸受と相手材の間を潤滑す
る潤滑油としては、エンジンオイル、トランスミッショ
ンオイル、ギヤオイル等があり、これらには硫黄系添加
剤が添加されていることが多い。
【0005】まず、ガソリンエンジンオイルには、エン
ジンオイルの酸化劣化を防止するためのジアルキルモノ
サルファイド、エンジンオイルの酸化により発生するス
ラッジを洗浄するスルフォネート系もしくはフェネート
系金属洗浄剤、低粘度エンジンオイルの泡立ちを防止す
るジチオフォスフェートモリブデン化合物、ジチオカー
バメイトモリブデン化合物等が添加される。上記のジア
ルキルモノサルファイドは基油の酸化により生成するハ
イドロパーオキサイドをイオン的に分解すると考えられ
ている。しかしながら、これらの添加剤の副作用も指摘
されており、例えば、金属系洗浄剤は硫酸灰分スラッジ
を生成するために使用量が制限されている。また、泡立
ち防止剤もすべり軸受の性能に悪影響を及ぼすこともあ
ると言われている。
【0006】ディーゼルエンジンオイルにはすすによる
摩耗対策としてZnDTP(ジアルキルジチオりん酸亜
鉛)が添加される。ロータリーエンジンオイルには、硫
黄系極圧添加剤としては、硫化オレフィン、硫化油脂等
が、また有機金属系摩耗防止剤としてはチオりん酸亜
鉛、硫化モリブデンジチオカルバメートがそれぞれ添加
される。
【0007】トランスミッションオイル及びギアオイル
には、硫黄系極圧添加剤として硫化オレフィン、硫化油
脂等が、また有機金属系摩耗防止剤としてチオりん酸亜
鉛、硫化モリブデンジチオカルバメート、及び/または
りん系摩耗防止剤としてりん酸エステルアミン塩などが
添加されている。これらのオイル中のイオウ濃度は現在
の市販油では0.37〜1.7%であり、またこれらの
添加剤の量が多いと銅の腐食が起こると言われている。
【0008】上記した各種潤滑油が劣化すると、銅系摺
動材料は潤滑油による腐食の問題が起こることが知られ
ており、その腐食対策として本出願人は次のような特許
出願を行った。
【0009】米国特許第4878768号:ディーゼル
エンジンに使用されるすべり軸受のCu−Pb系焼結合
金中のスケルトン内部の間隙に存在するPb相が劣化油
により腐食するのを防止するためにInをPb相に添加
する。
【0010】特開平7−118777号:Zn15%を
超え40%以下、黒鉛0.5〜6%、及びAl23
SiO2 ,Fe3 Pの1種以上0.5〜6%,残部Cu
からなる焼結銅合金系摺動部材。この出願では劣化トラ
ンスミッションオイルが銅合金表面にCuSを形成する
ことによる腐食を防止するために上記した量のZnを添
加している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来のライニングに使
用されるケルメットのPbが劣化潤滑油により腐食して
表面が荒れ易い;Pbが潤滑油中に溶出してしまい、P
bが存在した部分が空孔になり、ライニングの強度が低
下して座屈するなどの理由によりケルメットは耐焼付性
が低い。なお、硫黄系添加剤を添加した潤滑油を用いか
つ実機の使用条件をほぼ再現する条件で銅系摺動材料の
摺動試験を本発明者等が行ったところ、潤滑油の全酸価
が次のように著しく増大することが認められ、これと並
行して鉛の腐食が進行する。
【0012】 時間(h) 0 50 100 150 220 全酸価 (mgKOH/g) 1.3 6.4 18.0 21.5 22.3 強酸価 (mgKOH/g) 0 0 0.1 0.2 0.3 全塩基価(mgKOH/g) 3.8 0.5 0 0 0
【0013】従来のすべり軸受では上述の理由によりオ
ーバレイをなじみに必要な最小限の厚さで被着すること
はできなかった。
【0014】従来オーバレイの下地として使用されてい
たNiバリヤーはオーバレイ中のSn,Inがライニン
グ中のPb相に拡散することを阻止してケルメットの耐
食性を良好に保つ役割を担っていた。しかし、その反面
Niバリヤーが露出した時には、Niが耐焼付性が低い
ために焼付が起こり易くなるという問題がある。
【0015】ところで、最近金属材料表面が繰返し滑り
摩擦によりアモルファス化することを利用して各種金属
材料の表面の耐摩耗性を高めることができるとの研究が
発表されている(トライボロジスト、Vol.41, No.2, 19
96, 115 〜120 )ので、今後かかる観点からの材料開発
が活発になることが予測されるが、本発明者は夙に銅合
金への特定添加元素により銅合金表面に形成される化合
物を利用して摺動特性を高める研究を鋭意行ってきた。
上述したような技術の現況に鑑み、本発明の第1の目的
は耐焼付性に優れたすべり軸受を提供することにある。
本発明の第2の目的は、オーバレイの厚さを薄くしても
耐焼付性を良好にすることができる銅系すべり軸受を提
供することにある。本発明の第3の目的は、Niバリヤ
ーがなくても耐食性が良好に保たれる銅系すべり軸受を
提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、Cuマト
リックスに固溶しもしくは分散しているSnが、銅合金
摺動面上のAg層に向かって拡散し摺動特性が優れた化
合物を形成することにより上記第1〜第3の目的を達成
することができることを解明した。すなわち、本発明に
係るすべり軸受は、裏金に接着されたもしくはされない
Cu−Sn系銅合金の軸との摺動面をAgに主成分とす
る層を形成したことを特徴とする耐焼付性に優れたすべ
り軸受である。また、この軸受において、厚さが1〜2
5μmのオーバレイによりAgを主成分とする被着層を
被覆することもできる。以下、本発明を詳しく説明す
る。
【0017】Cuマトリックスに固溶もしくは分散して
いるSnは摺動面での摩擦熱の発生やライニング表面組
織の変化と並行してライニング表面に移動して、部分的
に添加元素の濃縮層を形成し、濃縮がある程度進行する
と、h −Ag3 Sn(ε)、h −Ag−Sn(ζ)、Ag−Sn共晶
が形成される。別の表現をすると、AgとSnはこれら
の化合物などを形成する傾向が非常に強いから、マトリ
ックス中のSnはAg層に向かって拡散し、安定化す
る。これらの化合物の他にAg2 S、SnO,SnO2
などが潤滑油と反応してAgめっき面上にて形成され
る。これらの物質は固体潤滑作用が優れており、高面圧
下でも摺動特性が優れており、かつ耐食性も良好であ
る。
【0018】以下、幾つかの化合物の耐焼付性を調べた
基礎実験結果を説明する。表1の組成をもつ合金板もし
くは金属板を鋳造及び圧延により加工し、平衡状態図に
示されるε、ζ化合物が形成されるように熱処理を行っ
た(No.1,2)。但し、共晶組成のNo.3はこの
熱処理を行わなかった。その後試験片(面積1cm2
粗さ1.0〜1.5μmRz)に加工し、これを次の条
件の耐焼付試験に供した。
【0019】 試験機:図2に示すピンオンディスク試験機 すべり速度:15m/s 荷重:荷重漸増(ステップ式)500N/10min 油種:10W−30 油温:室温 相手材:S55C焼入れ(Hv550〜650)、粗
さ;0.5〜0.8μmRz
【0020】図2において、5は給油パッド、6は油圧
シリンダー、7は試験片、8はディスク、9はバランス
ウェイト、10はロードセルである。試験結果を表1に
示す。
【0021】
【表1】 焼付 組成(wt%) 荷重 物質構造 No Cu Ag Sn その他 (kg/mm2 1 − 72 28 − 860 h −Ag3 Sn(ε) 2 − 85 15 − 840 h −Ag−Sn(ζ) 3 − 3 97 − 900 Ag−Sn共晶 4 100 − − − 400 金属Cu 5 − 100 − − 450 金属Ag 6 − − 100 − 420 金属Sn 7 − − − In=100 420 金属In 備考:表中hは六方晶を意味する。
【0022】この表よりCu,Ag,Snなどの純金属
よりも1〜3の六方晶化合物もしくは共晶組成がおよそ
1.5倍以上の耐焼付性をもつことがわかる。金属Ag
(No.5)及び金属Sn(No.6)は耐焼付性が優
れないが、これらの金属結晶が微細に混合した共晶(N
o.3)は耐焼付性が優れている。このように異種元素
共存による効果が認められる。一方、六方晶化合物は異
種元素共存による効果とへき開性のため耐焼付性が向上
していると考えられる。MoS2 ,グラファイト、h−
BNなどhcp構造の物質はへき開性を有するため、低
摩擦特性を示し、この結果耐焼付性が向上するので、本
発明の六方晶化合物がすぐれた耐焼付性を示すことは同
じように考えられる。
【0023】さらに、表1のNo.1〜6(但しNo.
2は除く)及びCu−Sn共晶(No.8)につき摩擦
係数及び耐凝着性を測定する基礎試験を行なった。 試験機:図3に示すバウデン・テーバー式スティックス
リップ試験機 すべり速度:0.06m/s 荷重:5N 潤滑条件:オイル塗布 相手材:SUJ2(直径8mm) 図3において、11はピン、12は試験片、13はヒー
ターである。試験結果を表2に示す。
【0024】
【表2】 組成(wt%) スティックスリップ 凝着面積 Cu Ag Sn 発生 発生時 (μm2No 温度(℃) 摩擦係数 1 − 72 28 170 0.45 300 3 − 3 97 165 0.48 600 4 100 − − 100 0.40 2000 5 − 100 − 180 0.50 500 6 − − 100 160 0.50 1100 8 1 − 99 160 0.50 700
【0025】表2より六方晶化合物のNo.1が最も凝
着しがたいことが分かる。純Agはこれに次ぐ耐凝着性
をもっている。純Ag、No.3の共晶、No.1の六
方晶はすぐれた耐擬着性をもっており、純Snの耐凝着
性は不良であり、また純Cuの耐凝着性は最も不良であ
る。以上の基礎実験により、上記の六方晶化合物もしく
は共晶などをライニングの表面に形成することにより、
ライニングの耐焼付性を高めることができるとの着想に
到着した。
【0026】さらに、(a)AgとSnを銅合金マトリ
ックス中に存在させる方法,(b)Ag銅合金マトリッ
クス中に存在させ,Sn被着する方法、(c)Ag被着
をし、Snを銅合金マトリックス中に存在させる方法に
つき検討した。(b)の方法ではSnの耐凝着性が優れ
ないこと、及びAgのSn被着層への供給量が少ないた
めに、望ましくない。(a)の方法は(c)よりも軸受
性能は良好であるが、やはりAgとSnの摺動面への供
給量が少ない。本発明の方法(b)はこれらの欠点がな
く、以下の点で優れている。 (イ)Cu中のSnの拡散係数はAgの拡散係数に比べ
約6倍以上高い。 (ロ)AgはSnより硬くSnのような高いなじみ性は
ないので、比較的に摩滅せずにCu合金表面に残存して
Cuマトリックス中のSnや潤滑油中の反応性成分と十
分に反応する。 (ハ)Agの耐凝着性は比較的良好である。 本発明に係るAgを主成分とする層はCu,In,Al
及びSnを単独で5%以下、二種類以上の総量5%以下
含有することができる。
【0027】以下、本発明にかかるすべり軸受の必須構
成要素である、裏金、銅合金、Agを主成分とする被着
層及びオーバレイにつき説明する。
【0028】裏金は、通常は厚さが0.5〜4mmの低
炭素鋼、合金鋼などの帯状材料であり、要するに、バイ
メタル型軸受においてすべり軸受合金を支持する基材で
ある。すべり軸受合金と裏金の接合は圧接、焼結、鋳造
などにより行う。
【0029】銅合金はSnを必須成分とする。その含有
量は15重量%以下であり(本発明において組成の百分
率は重量%である)、1.0〜15%であることが好ま
しい。Sn含有量が1.0%未満であると被着面におけ
る上記化合物などの生成量が少なくなり、一方15%を
超えると銅合金が硬くなりすぎるために摺動特性が不良
になる。Snの存在形態は固溶状態でもよくまた析出し
た分散状態でもよい。
【0030】Sn以外の元素、例えば従来のケルメット
では必須元素であるPbなどは、本発明においては必須
ではない。本発明のすべり軸受合金は基本的にバルクに
摺動特性を担わせるのではなく、軸受使用中に被着層が
変性されて生成される物質が摺動特性を基本的に担って
いるので,Pbなどの添加は必須ではない。しかしなが
ら、(a)銅合金中でSnと結合しない、(b)Snよ
り優先的にめっき層に拡散しない、(b)銅合金の摺動
特性を改良するなどの条件を満たす添加元素を添加して
もよい。これらの元素としてはPなどが挙げられる。な
お、Pb中にAgが拡散し、表面に被着したAg層がS
nと十分に化合しなくなるので、Pbは不純物程度に留
めることが望ましい。上記した任意添加成分は総量で5
%以下であることが好ましい。上記組成の残部はCuの
他にSi、Oなどの銅に通常含まれる不純物である。銅
の純度は竿銅、電気銅、電解精製銅,OFHCなどいず
れであってもよい。銅合金は厚さが通常、バイメタル軸
受の場合は0.1〜1mmであり、ソリッド軸受の場合
は0.5〜5mmである。また製法は溶解・圧延法、粉
末冶金法などであってよい。
【0031】Cu−Sn系銅合金中に、耐摩耗性添加剤
等も混合することができる。これらは具体的には、グラ
ファイト、PTFE、Pb,Pb−Sn合金、フッ化カ
ーボン、フッ化Pbなどの固体潤滑剤、Al23 ,S
iO2 ,Si34 ,クレイ、タルク、TiO2 ,ムラ
イト、炭化カルシウム、AlN,Fe3 P,Fe2 B,
Ni2 B,FeB,球状カーボンなどの耐摩耗性添加
剤、ガラス繊維、カーボン繊維、チタン酸カリウム繊維
などの無機繊維、芳香族PAなどの有機繊維、SiCウ
ィスカなどのウィスカ、Cu繊維、ステンレス繊維など
の金属繊維である。
【0032】上記したすべり軸受用銅合金の圧延材もし
くは焼結材を裏金に接着してすべり軸受とすることがで
きる、また裏金に接着しないソリッド軸受とすることも
できる。本発明に係る銅合金はブシュ用の場合はオーバ
レイを被着しないで使用され、エンジン各用種軸受、コ
ンロッド軸受、その他の内燃機関用軸受の場合はオーバ
レイを被着してすべり軸受として使用されることが多い
が、使用条件により軸受構造がこれらに限定されるもの
ではない。
【0033】続いて、Agを主成分とする層の形成方法
などについて説明する。この被着層はAg電解めっき、
Agのスパッタリング、焼結などにより形成することが
できるが、特に皮膜形成方法は限定されない。また、上
述の化合物層を十分に形成するためにはめっき層などは
全体がAgより構成されるか、あるいはAgを主成分と
し、Cu,Sn,In,Al,Sn及び不純物は総量で
5%以下である。被着層の厚さは0.01〜2μmが好
ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。この厚
さが0.01μm未満では摺動特性向上の効果が少な
く、一方2μmを超えると軸受を使用中の軸受上の被着
層内で純銀として残る銀の割合が多くなる。銀は上述の
ように硬質であるので、純銀が含まれる量が多いと軸受
の耐焼付性は不良となる。
【0034】さらに、めっき層などに形成される化合物
などについて説明する。Ag−Sn六方晶化合物は、例
えばAg−Sn(ζ−ゼータ相)は重量比で85:15
もしくはこの近傍組成のAg,Snが被着層内に存在し
かつSnがAg中の固溶限を越えており、かつ化合物生
成のエネルギーが与えられることにより、めっき軸受表
面に形成される。このエネルギーは通常の軸受の摺動条
件の温度、例えば油温120℃以上で与えられる。ある
いは同等の条件で軸受を使用前に、軸からの圧力に相当
する圧力を加えかつ油温に相当する熱を加え、使用中に
相当する温度勾配を与える処理を行うこともできる。A
g−Sn共晶は上記した六方晶と基本的に同じである
が、Sn濃度が高い被着層の銅合金側で形成される。
【0035】本発明のすべり軸受において初期なじみ性
を確保するオーバレイは、ライニングの耐焼付性不足を
補うように厚く被着する必要はない。すなわち、本発明
により形成される六方晶化合物は耐焼付性が良好である
ので、オーバレイを厚く被着する必要はない。したがっ
て、オーバレイは初期なじみの目的のみに薄く形成する
ことが、オーバレイによるコスト増大を抑える面からも
好ましい。オーバレイの厚さは1〜25μmが好まし
く、より好ましくは2〜8μmである。オーバレイとし
てはPb基、Sn基等の金属オーバレイ、樹脂系オーバ
レイ、MoS2 +樹脂系オーバレイを使用することがで
きる。
【0036】本発明に係るすべり軸受の潤滑に使用され
る潤滑油の基油及び添加剤は全く制限がない。添加剤と
して含有されることがある硫黄系添加剤は、(ポリ)サ
ルファイド(スルフィド)、スルフォネート、スルフィ
ネート、スルフェネート、フェネート系(図4参照),
(ジ)チオフォスフェート化合物、チオケトン、チオア
セタール、チオカルボン酸とその誘導体、スルホキシド
とその誘導体、スルフォニル、スルフィニル、スルフェ
ニル、ZnDTP等の化合物がある。すなわち、これら
の有機硫黄化合物は何れもすべり軸受の摺動温度である
100〜160℃において反応性がある硫酸系酸に分解
し、銅合金表面の濃縮物と反応する。
【0037】図1には本発明に係る裏金付すべり軸受が
内燃機関中で使用された後の状況を模式的に示す。1
は、軟鋼板、合金鋼板あるいはその表面処理(ショット
ブラスト、酸洗、めっきなど)板である。2は裏金に圧
接、焼結などにより接合されたライニングであり、オー
バレイは摩滅した結果ライニングの表面が露出されてい
る。ライニング2の表面にはAgめっき層3が形成さ
れ、この中にはSnなどの濃縮しており、さらにSnが
高濃度に濃縮した層4が形成されている。この濃縮層は
六方晶化合物Ag3 Snなどより構成され、これが耐焼
付性、耐凝着性、耐摩耗性、耐食性などを従来のケルメ
ットを大幅に上回るレベルまで向上させる。以下、実施
例により本発明をより詳しく説明する。
【0038】
【実施例】実施例1 Snを10%含有する銅合金アトマイズ粉末(粒径15
0μm以下)を1000℃/秒の溶湯冷却速度で作製
し、この粉末を板厚1.5mmの鋼板(SPCC)に厚
さが2mmとなるように散布し、水素ガス雰囲気中で8
50℃、10分の条件で焼結し、その後50℃/分の冷
却速度で冷却した。銅合金の表面を脱脂、洗浄及び酸洗
した後に、Agをヨウ化カリウムめっき浴を用い、電流
密度1.0A/dm2 ,温度50℃、pH5の条件にて
厚さが0.01〜12μmの範囲で被着した。その後オ
ーバレイを被着せずに下記条件のピンディスク試験法に
より焼付荷重を測定した。 すべり速度:15m/s 荷重:荷重漸増(ステップ式)500N/10min 油種:10W−30 油温:室温 相手剤:S55C焼入れ(Hv550〜650)、粗
さ;0.5〜0.8μmRz
【0039】試験結果を図5に示す。またAgめっき厚
さが1μm及び10μmの供試材についてめっき面をX
線回折法で分析したところ、両者ともAg,Ag2S,SnO,Ag3S
n が検出された。後者ではAgの割合が多く検出された。
これらの結果から約1μmを中心とする、焼付荷重が高
いめっき厚さではSnが十分にAgめっき層中に拡散し
て各種化合物と形成していること、10μmでは残存純
銀が多いことが分かる。さらにAgめっきは潤滑油によ
り硫化されていることも分かる。
【0040】比較例1 市販のケルメット軸受(Pb系オーバレイ15μm)に
つき実施例1と同様の条件で試験を行ったところ焼付荷
重は70MPaであった。
【0040】
【発明の実施の形態】以上説明したように、本発明は従
来のすべり軸受が直面していた諸問題を抜本的に解決す
るので、内燃機関用などの部品として従来のケルメット
を代替することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るすべり軸受の構造を示す概念図で
ある。
【図2】ピンオンディスク試験機の図である。
【図3】バウデン・テーバー式スティックスリップ試験
機の図である。
【図4】フェネート化合物の構造式を示す図である。
【図5】実施例1における焼付試験の結果を示すグラフ
である。
【符号の説明】
1 裏金 2 ライニング 2a バルク 3 Agめっき層 4 濃縮層 5 給油パッド 6 油圧シリンダー 7 試験片 8 ディスク 9 バランスウェイト 10 ロードセル 11 ピン 12 試験片 13 ヒーター

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 裏金に接着されたもしくはされないCu
    −Sn系銅合金の軸との摺動面にAgを主成分とする層
    を形成したことを特徴とする耐焼付性に優れたすべり軸
    受。
  2. 【請求項2】 厚さが0.01〜2.0μmのオーバレ
    イにより前記Agを主成分とする層を被覆したことを特
    徴とする請求項1記載の耐焼付性に優れたすべり軸受。
  3. 【請求項3】 前記Agを主成分とする層がCu,I
    n,Sb,Al及びSnからなる群の少なくとも1種の
    元素を総量で5%以下の含有することを特徴とする請求
    項1又は2記載の耐焼付性に優れたすべり軸受。
  4. 【請求項4】 前記Cu−Sn合金のSn含有量が15
    重量%以下である請求項1から3までの何れか1項記載
    の耐焼付性に優れたすべり軸受。
JP07735798A 1998-03-25 1998-03-25 耐焼付性に優れたすべり軸受 Expired - Lifetime JP4250219B2 (ja)

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