JPH11269535A - 焼入れ方法 - Google Patents

焼入れ方法

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JPH11269535A
JPH11269535A JP7296898A JP7296898A JPH11269535A JP H11269535 A JPH11269535 A JP H11269535A JP 7296898 A JP7296898 A JP 7296898A JP 7296898 A JP7296898 A JP 7296898A JP H11269535 A JPH11269535 A JP H11269535A
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JP
Japan
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temperature
oil
stage
cooling
heat transfer
Prior art date
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Pending
Application number
JP7296898A
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English (en)
Inventor
Hidekazu Nakamura
英一 中村
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歪みが少なく、かつ要求される硬さの焼
入れ物を得ることができる焼入れ方法を提供する。 【解決手段】 (a)特性温度が600℃以上で、かつ
特性温度以上の領域での熱伝達率が500w/m2 ・k
以上であり、(b)沸騰段階の最大熱伝達率が3,00
0〜8,000w/m2 ・kであり、(c)対流段階の
開始温度が400〜600℃である油剤を、油温を15
0〜300℃とし、攪拌速度を30〜200cm/sで
使用して焼入れを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は焼入れ方法に関し、
より詳しくは、焼入れ歪みが改善された焼入れ方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】自動車業界においては、歯車の焼入れ歪
みは歯車の噛み合い誤差を招き騒音や歯面損傷の原因と
なる。ベアリング業界において、ベアリングの焼入れ歪
みは後工程の研削取り代の増大を招き生産性低下の原因
となる。従来、焼入れ歪みを低減するには、高い油温で
使用できる油剤、所謂ホット油(100℃における動粘
度が10〜30mm2 /s)が使用されていたが、焼入
れ歪み低減効果が大きいけれども、冷却性が不足し、十
分な硬さが得られず、歯面の折損、疲労寿命の低下に繋
がる。その場合、冷却性向上のため攪拌する方法もある
が、通常の条件では、攪拌による流動ムラで歪みが増大
するという問題がある。一方、コールド油(100℃に
おける動粘度が6mm2 /s以下)では、十分な硬さは
得られるものの、歪みが大きいという問題がある。更
に、冷却性が高く、歪みの小さいものとして、ソルトと
呼ばれる溶融塩(一般には、KNO2とNaNO3 の混
合塩)が使用されているが、140℃以下で固化するた
め、ハンドリングが煩雑であり、作業環境が悪いという
問題がある。また、ソルトにはシアンが含まれており、
廃液処理に問題があるうえ、ソルトの腐食性によって治
具等の寿命が短くなり、ランニングコストがかかるとい
う問題もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点か
らなされたもので、歪みが少なく、かつ要求される硬さ
の焼入れ物を得ることができる焼入れ方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究を
重ねた結果、特定の油剤を使用し、特定の条件で実施す
ることにより上記の目的を効果的に達成しうることを見
出し本発明を完成したものである。すなわち、本発明
は、(a)特性温度が600℃以上で、かつ特性温度以
上の領域での熱伝達率が500w/m2 ・k以上であ
り、(b)沸騰段階の最大熱伝達率が3,000〜8,
000w/m2 ・kであり、(c)対流段階の開始温度
が400〜600℃である油剤を、油温を150〜30
0℃とし、攪拌速度を30〜200cm/sで使用する
ことを特徴とする焼入れ方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。本発明を構成する油剤として、次の(a)〜
(c)の要件を満足していることが必要である。 (a)特性温度が600℃以上で、かつ特性温度以上の
領域での熱伝達率が500w/m2 ・k以上である。一
般に、焼入油による処理物の冷却は、蒸気膜段階、沸騰
段階、対流段階の三段階の順に経て行われる。蒸気膜段
階とは、焼入油による冷却過程の第一段階で、高温処理
物の金属面に触れて発生した蒸気が処理物の全面をとり
まき、この蒸気膜を介してしか冷却が行われない段階で
ある。沸騰段階とは、蒸気膜崩壊後焼入油が直接処理物
に接触して、盛んに沸騰の起こる最も冷却の早い段階
で、焼入油の気化潜熱により冷却が行われる。対流段階
とは、その焼入油の沸点以下になると、焼入油は自らの
温度上昇による流動によってのみ熱を奪うようになる段
階で、焼入油の対流によってのみ冷却が行われる。
【0006】特性温度とは、蒸気膜段階から沸騰段階に
移行する温度であり、本発明に使用する油剤の特性温度
は600℃以上である。600℃未満であると、攪拌時
に冷却の均一性が阻害され好ましくない。好ましくは6
50〜750℃である。かつ、特性温度以上の領域での
熱伝達率が500w/m2 ・k以上である。500w/
2 ・k未満であると、処理物の冷却性が不足し、表面
に不完全焼入れ組織が発生し好ましくない。好ましくは
800w/m2 ・k以上である。なお、熱伝達率は、J
IS K 2242の焼入油冷却性能測定器にて冷却曲
線を求め、その冷却曲線より逆に算出される値である。
【0007】(b)沸騰段階の最大熱伝達率が3,00
0〜8,000w/m2 ・kである。最大熱伝達率と
は、熱伝達率が最大になる時の値である。3,000w
/m2・k未満であると、処理物の冷却性が不足し、内
部の硬さ不足を招き、8,000w/m2 ・kを超える
と、処理物各部の冷却の均一性が阻害され好ましくな
い。好ましくは4,000〜7,000w/m2 ・kで
ある。なお、最大熱伝達率は、上記と同じように、JI
S K 2242の焼入油冷却性能測定器にて冷却曲線
を求め、その冷却曲線より逆に算出される値である。
【0008】(c)対流段階の開始温度が400〜60
0℃である。400℃未満であると、処理物各部の冷却
の均一性が阻害され、600℃を超えると、処理物の冷
却性が不足し、硬さ不足を招き好ましくない。好ましく
は450〜500℃である。
【0009】上記の油剤の好ましい粘度については、1
00℃における動粘度が10〜40mm2 /sである。
粘度が高すぎると対流段階開始温度が高くなり、冷却性
能が不足する。また、油剤が処理物に付着して持ち去ら
れる量が多くなり、経済的でなくなる場合があり好まし
くない。逆に、低すぎると蒸気膜段階が長くなり、また
対流段階開始温度が低くなり焼入れ歪みの増大を招く。
同時にミスト発生により作業性悪化を招いたり、火災の
危険性が増大する場合があり好ましくない。また、この
油剤の低温流動性の指標である流動点については特に制
限はないが、−10℃以下であるのが好ましい。
【0010】上記の油剤は、一般に、鉱油であり、パラ
フィン基系原油,中間基系原油あるいはナフテン基系原
油を常圧蒸留するか、あるいは常圧蒸留の残渣油を減圧
蒸留して得られる留出油、またはこれを常法にしたがっ
て精製することによって得られる精製油、例えば、溶剤
精製油,水添精製油,脱蝋処理油,白土処理油などを挙
げることができ、その中から(a)〜(c)の条件を満
足するように、単独で、あるいは二種以上を組み合わせ
て使用すればよい。本発明に使用する油剤には、その他
に、必要に応じて極圧剤,清浄分散剤,酸化防止剤,消
泡剤,冷却性向上剤などの添加剤を本発明の目的を阻害
しない範囲で適宜配合することができる。
【0011】本発明は、上記の油剤を、油温を150〜
300℃とし、攪拌速度を30〜200cm/sで使用
することが肝要である。油温とは、処理物の投入前の油
剤の温度であり、150℃未満では、焼入れ歪み低減効
果が十分でなく、300℃を超えると、焼入油の経時変
化が大きく好ましくない。好ましくは、200〜250
℃である。攪拌速度とは、処理物表面における油剤の流
速であり、30cm/s未満では、十分な冷却能を得る
ことができず、200cm/sを超えると、冷却能の不
均一性が増大し好ましくない。好ましくは、50〜12
0cm/sである。上記の油剤を上記の条件で焼入れす
ることによって、所定の硬さを得て歪みを改善できる。
【0012】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。 実施例1〜4,比較例1〜6及び参考例1 第1表に示す性状を示すパラフィン系鉱油を使用し、焼
入れ試験を行い、その処理物の物性を下記の方法で評価
した。その結果を第1表に示す。 〔内部硬さの評価〕テストピース(SCr−420,外
径30mm×長さ150mmの円柱状物)を焼入れし、
その中央・中心部の硬さをロックウエル硬さ計にて測定
した。 〔歪みの評価〕テストピース(SUJ−2,外径80m
m×内径67mm×幅13mmのリング状物)10個焼
入れし、それぞれを三次元測定器にて外周の半径を測定
し、最大と最小の差を出し、10個の平均値を歪みとし
た。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
【表3】
【0016】
【発明の効果】本発明の焼入れ方法によれば、歪みが少
なく、かつ十分な硬さの焼入れ物を得ることができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)特性温度が600℃以上で、かつ
    特性温度以上の領域での熱伝達率が500w/m2 ・k
    以上であり、(b)沸騰段階の最大熱伝達率が3,00
    0〜8,000w/m2 ・kであり、(c)対流段階の
    開始温度が400〜600℃である油剤を、油温を15
    0〜300℃とし、攪拌速度を30〜200cm/sで
    使用することを特徴とする焼入れ方法。
JP7296898A 1998-03-23 1998-03-23 焼入れ方法 Pending JPH11269535A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003213328A (ja) * 2002-01-22 2003-07-30 Idemitsu Kosan Co Ltd 焼入れ方法
JP2012122098A (ja) * 2010-12-08 2012-06-28 Dowa Thermotech Kk 焼入れ方法及び焼入れ装置
JP2012207239A (ja) * 2011-03-29 2012-10-25 Dowa Thermotech Kk 焼入れ方法及び焼入れ装置

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