JPH11269508A - 複層焼結摺動部材およびその製造方法 - Google Patents

複層焼結摺動部材およびその製造方法

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JPH11269508A
JPH11269508A JP9281498A JP9281498A JPH11269508A JP H11269508 A JPH11269508 A JP H11269508A JP 9281498 A JP9281498 A JP 9281498A JP 9281498 A JP9281498 A JP 9281498A JP H11269508 A JPH11269508 A JP H11269508A
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武盛 高山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高面圧下での耐摩耗性の向上と異音の発生防
止を図ることのできる複層焼結摺動部材とその安価な製
造方法を提供する。 【解決手段】 鋼よりなる平板状の裏金の表面に、高密
度焼結摺動材料よりなる複数個の独立した突出部を焼結
接合し、この突出部によって形成される凹部を、潤滑油
が摺動面に均一に流動するように連続して設ける構成と
する。また、突出部を、荷重線が摺動方向に移動する際
にその荷重線の全部分が凹部に位置することのないよう
に配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、より高面圧下にお
ける軸受の耐摩耗性の向上、異音の発生防止などを狙い
とした複層焼結摺動部材およびその製造方法に関し、よ
り詳しくは鉄系裏金材料に独立した複数個の突出部が形
成された複層焼結摺動部材およびその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】銅系焼結軸受材料としては例えばCu−
Sn−Pb等の青銅系、鉛青銅系材料が多く用いられ、
かつ鉄系裏金材料と一体化された複層焼結摺動部材が良
く知られている。これらは建設機械分野においても足回
りの転輪ローラ部においてごく一般的に利用されてい
る。
【0003】また、建設機械の作業機ブッシュのような
より高面圧、低速の条件下で使用される軸受材として耐
摩耗性を重視した浸炭や高周波焼き入れを施した鋼製の
ブッシュがグリース潤滑下で使われている。特に、作業
機では高面圧下で潤滑条件が厳しくなり、作業時に不快
な異音が発生するのを防止するために、高力黄銅製のブ
ッシュや、上述の鋼製ブッシュにさらに潤滑皮膜処理を
施したものが使用されている。とりわけ、高力黄銅製ブ
ッシュは馴染み性に優れることから注目されている。さ
らに、作業機などの軸受部への給脂時間間隔を伸ばすた
めに、高力黄銅製ブッシュに摺動部面積に対して30%
前後の面積の機械加工穴を設け、摺動方向においてその
穴部がオーバーラップするように配置して、穴部に固体
潤滑剤の黒鉛を埋め込んだ軸受材料(例えばオイレス工
業社製、500SP等)や固体潤滑剤を多量に添加した
金属焼結体(例えば東芝タンガロイ社製、SL合金)が
利用されている場合もある。
【0004】また、高面圧下での条件で使用する複層焼
結摺動部材としては、固体潤滑成分としての黒鉛が3〜
8重量%の範囲で分散含有されたアルミ青銅系焼結摺動
合金を燐青銅板の接合層を介して鋼板に一体接合してな
る複層焼結摺動部材およびその製造方法が、特開平5−
156388号公報に開示されている。
【0005】さらに、特開平3−232905号公報に
おいては、表面に複数個の独立した突出部を備えた鋼板
からなる裏金もしくは表面に連続した突出部と各突出部
によって形成された複数個の独立し凹部を備えた鋼板か
らなる裏金と、この裏金の表面の突出部を覆って一体に
被着形成された潤滑性成分として少なくとも3重量%の
黒鉛を分散含有した銅系焼結合金層とからなり、その焼
結合金層には低密度高含油合金層と高密度低含油合金層
が形成されている複層焼結摺動部材が高荷重、耐衝撃性
に優れていることが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】複層焼結摺動部材で摺
動焼結層が鉛青銅系、青銅系の場合には軽負荷、高速で
潤滑条件が良い状態では馴染み性に優れた摺動材料とし
て活用できる。しかし、建設機械の下転輪ローラなどの
ような摺動条件では、比較的周速が小さく、かつ偏荷重
などによって高面圧化したりするなど、流体潤滑特性の
得られにくい条件であるため、長時間の連続走行や車速
を速める場合等には極めて簡単に摩耗することがあり、
また発熱することによって、フローティングシール部か
らの油漏れが容易に起こるなどの問題がある。
【0007】また、上述の作業機ブッシュに関しては、
鋼製ブッシュでは硬度の点で高荷重でへたることはない
が、偏荷重や耐荷重性および極めて周速が小さいことに
よる厳しい潤滑条件の下では焼き付きや不快な異音が発
生しやすいことが重要な問題となっている。
【0008】上述の作業機ブッシュとして溶製される高
力黄銅系摺動材料を使用する場合には、へたりはほぼ無
く、かつ鋼製ブッシュに比べて異音の発生がかなりの点
で防止されるが、それでも作業機のように極めて低速
で、かつ高荷重下で使用される場合には潤滑切れ状態が
容易に起こるために、異音の完全な防止を図ることが出
来ない。また、このような異音などの防止の対策として
一般的に、摺動部に多くの油溝を後機械加工によって形
成させることが考えられるが、その際の溝形状は、例え
ば川崎景民著、「オイルレスベアリング」、P260〜
262((株)アグネ、1980年発刊)に記載されて
いるように単純な直線的形状になるとともに、機械加工
費の増大と高価な摺動材料の歩留まりが悪くなることな
どが問題となる。
【0009】さらに、焼結摺動部材中の空隙に潤滑油を
多量に含油させて摺動時の潤滑条件を改善しようとする
場合においては、焼結体中に空隙が多くあることによっ
て逆に流体もしくは境界潤滑的な条件が悪くなるため異
音の発生を期待するほどに改善できない問題や焼結体強
度が弱くなるために高面圧に耐えにくい問題がある。
【0010】さらに、自己潤滑性の高い前述の黒鉛埋め
込み型の溶製材の高力黄銅ブッシュでは黒鉛埋め込み用
の穴あけ加工と黒鉛の充填等の工程がコストを顕著に引
き上げる問題があり、このために黒鉛充填用の穴部の面
積率は通常25〜30面積%に抑えて使用されるため、
長時間にわたって十分な自己潤滑性が得られないという
問題点がある。
【0011】また、固体潤滑剤を多量に含有する金属焼
結体では焼結性が困難となり、高密度化を図るためにホ
ットプレス等の加圧手段が必要となり、高価なものにな
ることや、高密度化された金属焼結体においても脆弱性
が高いなどの問題が解決されていない。
【0012】特に、前述の表面層の摺動材料として3〜
8重量%の黒鉛を含有するAl青銅系焼結摺動材料を燐
青銅板を介して裏金に一体化した複層焼結摺動部材は、
焼結時において加圧処理を必要としており、一体化する
工程においてコスト高が避けられない問題がある。
【0013】さらに、前述の表面に複数個の独立した、
もしくは連続した突出部のある鋼板を裏金として用いて
製造され、少なくとも3重量%の黒鉛を含有する銅系焼
結摺動合金を一体化した複層焼結摺動部材は、所定の形
状に成形された鋼板の入手コストに問題があることと、
例えば円筒状のブッシュとして曲げ加工を施す際に、鋼
板の突出部に曲げ応力が集中して被着した上述の銅系焼
結摺動材料との接合界面での剥離を起こし易いこと、お
よび曲げ加工時の変形抵抗が鋼板において不均質に分布
するようになるため円筒状に均質に曲げ加工することが
困難になり、円筒状ブッシュとしての加工量が増大する
ことや最終部品での裏金との接合品質の検査費用が高価
になるなどの問題がある。
【0014】さらに、凸部を設けた鋼板においてはその
加工の点からして凸部面積率を10〜20面積%以上に
高めることが非常に困難であり、その結果、荷重を支え
る高密度焼結(凸)部が少なくなることから耐荷重性に
おいても問題がある。また、突出部を高めるための鋼板
は市販性が無いことから、耐荷重性を改善するためには
非常にコスト高になることが避けられないという問題が
ある。
【0015】またさらに、高密度部を常に維持して粗密
度部の密度を調整するためには、裏金の凸部高さを調整
する必要があり、密度差を高めるためには裏金の凸部高
さをより高く成形する必要があり、コスト的にも高くな
ることと焼結層厚みを薄くすることによって調整する場
合にも焼結摺動層厚さが制約されるなど製造上の問題点
が多い。
【0016】さらにまた、黒鉛等の潤滑剤を添加して摺
動層に潤滑性を持たせる場合においては高密度部と粗密
度部の組成が同じになり、荷重を主として支える高密度
部における焼結強度が弱くなる問題がある。
【0017】本発明は、このような問題点を解消するた
めになされたもので、鉄系裏金材料に独立した複数個の
突出部とそれらによって形成された連続する凹部が設け
られてなる複層焼結摺動部材および/またはその連続す
る凹部に膨張性多孔質焼結材料を焼結接合することによ
って気孔率を調整して含油性を高めた複層焼結摺動部材
とその安価な製造方法を提供することを目的とするもの
である。
【0018】
【課題を解決するための手段および作用・効果】前述さ
れた目的を達成するために、本発明による複層焼結摺動
部材は、鋼よりなる平板状の裏金の表面に、高密度焼結
摺動材料よりなる複数個の独立した突出部を焼結接合し
てなり、この独立した突出部によって形成される凹部が
連続していることを特徴とするものである。
【0019】また、本発明による複層焼結摺動部材の製
造方法は、各種形状の穴を持つシートを鋼製裏金に重
ね、上方から焼結摺動材料の混合粉末を散布して前記シ
ートの穴部にその混合粉末を充填したものを、還元、中
性、真空の各雰囲気中で焼結して前記穴部に充填した混
合粉末を裏金上に焼結接合する工程と、圧延などの加圧
加工によって前記焼結摺動材料を高密度化した後に更に
焼結する工程とを含んでなり、かつ表面に複数個の独立
した突出部として形成された高密度焼結摺動材料が70
〜30面積%の範囲内にあり、さらにその突出部の摺動
方向の最大長さが20mm以下であることを特徴とする
ものである。
【0020】本発明に係る複層焼結摺動部材は、建設機
械の下転輪ローラのように流体潤滑が効率良く作用する
ことが期待できないところで使用するのに好適であっ
て、強度に優れた鋼製の裏金に複数個の独立する突出し
た摺動材料部が相対密度で例えば90%以上に高密度化
され、焼結層内での空隙がほぼ独立した閉空孔となるよ
うにして、例えば摺動面積の80〜30面積%の範囲に
なるように設け、かつ突出部によって形成された連続す
る凹部の面積率を、例えば従来からの標準油溝面積率
(約10%)の少なくとも2倍以上の20〜70面積%
以上に高めることによって、また摺動方向での突出部の
最大長さが例えば20mmを越えないように突出部を小
さくすることによって、潤滑油が突出部摺動面の発熱を
十分に冷却させるとともに潤滑油を効率的に供給させ、
さらに突出部摺動面で発生する摩耗粉を効果的に摺動面
から排除しやすい複層焼結摺動部材構造を採用したもの
である。このような構造によって、結果的にはより高荷
重でより耐焼き付き性、耐摩耗性を向上させ、かつ異音
発生のない複層焼結摺動部材を得ることが可能となり、
とりわけ連続する凹部による潤滑性を画期的に高めるこ
とが可能となり、安価な鉄系焼結部材の摺動材料として
の適用範囲を広げることが可能となったものである。
【0021】本発明において、前記突出部は、荷重線が
摺動方向に移動する際にその荷重線の全部分が凹部に位
置することのないように、丸型(図2(a))、角型
(図2(e)(g))、スリット型(図2(d))の千
鳥配列もしくは六角形型、ヘリボン配列(図2(f))
および/またはこれに類する形状にて配置されて、均一
な荷重点で荷重を支えるようにされ、かつ前記凹部は、
潤滑油が当該摺動部材の摺動面に均一に流動するように
連続しているのが好ましい。このように、独立する複数
個の突出部を設ける場合には、独立した突出部の配列は
例えば、円柱状の場合には千鳥型に配列させて、かつ荷
重を支える荷重線が摺動方向に移動する際に連続する凹
部に位置することのないようにして、荷重線と平行な方
向の突出部の軌跡が他の突出部のそれとオーバーラップ
するように配列し、出来るだけ多くの突出部が均一に荷
重を支えることができるようにすることが望ましい。と
りわけ突出部が荷重方向において常にオーバーラップし
て配列されるようにして、かつ潤滑上の観点からは、摺
動方向における突出部の先端形状が鋭角で突出せず、潤
滑油のエッジ効果が発揮できるよう突出部の形状が円形
状もしくは摺動方向に対して平行な角形状等に類する形
状とすることが好ましい(後述の図1、図2、図3参
照)。
【0022】さらに、前述の建設機械の作業機ブッシュ
においては、一般的にはグリース潤滑が採用され、使用
中にグリースがブッシュ両端面から流出し、長期間の連
続使用においては潤滑切れが起こりやすいことと、作業
機ブッシュでは偏荷重が働きやすくブッシュ両端面近傍
でより高面圧になるため、本発明においては、一つ以上
の端部が連続した突出部として形成される構造とするの
が好ましい。
【0023】また、前記連続する凹部を単なる油溜まり
とするだけでなく、本発明は、この複層焼結摺動部材の
製造に際して、突出部の焼結接合状態および/または突
出部を最終厚さになる前の各種厚さに圧延加工した状態
の連続した凹部に焼結時において膨張する銅合金焼結粉
末を充填した後に、圧延−焼結または焼結−圧延の工程
により突出部を最終厚さになるようにして突出部と焼結
接合させ、気孔率を20〜70体積%の範囲に任意に制
御し、含油性の優れた多孔質焼結部を形成させたり、さ
らに黒鉛など固体潤滑剤を多く含有するCu系自己潤滑
焼結摺動部材を形成することなどによって突出部の強度
を脆弱化させることなく、潤滑条件のきわめて厳しい作
業機ブッシュなどで使用できる複層焼結摺動部材とその
安価な製造方法を提供するものである。
【0024】とりわけ本発明の複層焼結摺動部材におい
ては、焼結層厚さが一体焼結体の摺動材料に較ベて薄く
設定されることから、上述の多孔質における含有量が少
なくなることを改善するために気孔率を顕著に高め、さ
らに多孔質部を摺動面において全て連続させることによ
って、作業機ブッシュのように常にほぼ一定の摺動面部
で往復摺動するような潤滑条件の厳しい円筒状ブッシュ
においても接触部位に他の部位からの潤滑油の供給が可
能となり、長時間の給脂間隔を達成することが可能とな
った。
【0025】上述の多孔質銅系焼結材料を散布して焼結
する際において、多孔質銅系焼結材料が収縮する際には
突出部や裏金との接合性が確保できない問題が発生する
ので、特開平8−291306号公報に開示されている
ように、少なくともAl,Si,Ti,Cr,Mn,F
eの1種以上の膨張成分が含有されるか、またはSiO
2,Al23,黒鉛などの収縮防止成分との組み合わせ
によって実施されるのが好ましい(特開平8−2913
06公報の図3,6,7,14,15,22等を参
照)。
【0026】さらにより低コスト化を図る場合には鉄相
が主体となるようにすることが可能であり、例えば後述
のCuを15〜60重量%含有するFe系焼結インサー
ト層材料成分を多孔質焼結材料とすることも好ましいこ
とである。気孔率を高めるためには穴部に充填する合金
混合粉末として電解銅粉末や還元鉄粉末を用いた混合粉
末を使用することが好ましい。
【0027】黒鉛が固体潤滑剤として有効なことは周知
のことであり、またSiO2などの硬質粒子が凝着防止
に有効なこともすでに公知であり、本摺動部材には積極
的に添加されて良い成分系と考えられる。
【0028】本発明の構成としては一般的には、突出部
の摺動面積率を70〜30面積%に減じていることか
ら、適用条件によってはより耐高面圧性と耐焼き付き性
を改善することが必要であり、実績的には前述のように
高力黄銅系材料を適用することが考えられるが、この場
合においては、Znを高温度に含有する高力黄銅系焼結
材料を焼結する際には、Znの蒸気圧が極めて高く(Z
nの沸点温度は905℃)、かつ酸化性が高いことから
高密度に焼結することが困難である。
【0029】そこで本発明では、焼結によって少なくと
もPbとの金属間化合物を分散・析出させるTi,Mg
等を含有させることによって耐焼き付き性に優れ、かつ
耐摩耗性にも優れた高力黄銅材に代わるCu−Pb−T
i,−Mg系焼結摺動材料を発明し、高面圧下での摺動
特性を改善した。より詳しくは、従来の鉛青銅系摺動材
料でPbが単に金属成分として分散析出されていたもの
をPb系金属間化合物の形態で分散させることによっ
て、特に前述の潤滑条件が過酷で高面圧下での摺動特性
を画期的に改善できることを見出したことにある。
【0030】なお、銅系摺動材料としては、少なくとも
Pbを1〜30重量%を含有させると共にPbとの金属
間化合物形成能の強い元素である図4に示されている周
期律表の1A,2A,3A,4A,6B族およびランタ
ニド、アクチニド系の元素類との組み合わせが考えられ
るが、コスト的な観点と入手性を考慮するとTi,M
g,Ca,Ba,Zr,Li,Hf,La,Te,S
e,Sm等が好ましいことが分かり、とりわけTi,M
g,Zr等は特に上述の観点から好ましい。さらに、上
述の金属元素以外の元素においてもPb金属間化合物を
形成する場合には、同様の効果が期待される。また、こ
の際の前記金属元素の添加量は、Pb金属間化合物が例
えばCaPb3のようなモル構成比を取ることから計算
されるものであるが、ほぼ0.5重量%以上の添加を必
要とする。
【0031】したがって、上述の強度的な改善と摺動特
性の改善およびコスト的な観点からは、Ti,Mgを
0.5〜10重量%の範囲内で含有し、さらに裏金との
接合性を確保するためと焼結性を容易にするためとか
ら、Snを2〜8重量%の範囲において含有する青銅系
焼結摺動材料がとりわけ重要である。
【0032】適正なTi,Mgの添加量の上限値はコス
ト的な観点から10重量%以内で調整することが好まし
い。また、Pbの添加量は摺動部の安定性の観点から1
重量%以上が好ましく、また上限値は強度的な観点から
10重量%以下であることが好ましい。さらに、Tiを
含有する銅系材では、TiとPbとの金属間化合物以外
のTi系金属間化合物を析出する反応性があり、時効硬
化性のあることで知られているが、さらにAl,Ni,
Si,Fe,Mn,Cr,Be,Co,Zn等の合金元
素を添加することによって強度向上や高硬度化が更に図
れることが知られており、焼結性を阻害しない範囲で添
加調整されることも適正と考えられる。
【0033】本発明のPb金属間化合物形成能の強い金
属元素の添加は、Cu系焼結合金組織の微細化や、結果
的であるが均一なPbの分散を可能にして、極めて優れ
た摺動性を発揮することにも寄与していることは明らか
である。
【0034】なお、適正なTiの添加量としてはTi系
金属間化合物が析出する0.5重量%以上が好ましく、
上限値はコスト的な観点から10重量%以内で調整する
ことが好ましい。とりわけ高面圧下で使用する前述の作
業機ブッシュ等では高力黄銅ブッシュの硬度実績(Hv
=150以上)から勘案して2重量%以上であることが
より好ましい。
【0035】また、Pbの添加量は摺動部の安定性の観
点から考慮した場合には、従来の硬質粒子分散型摺動材
料において硬質粒子の効果が0.5体積%程度の粒子量
の分散によって顕著に認められることから、Pb金属間
化合物に換算した1重量%以上が好ましい。また、上限
値は従来のPb単独添加に比べ、Pb系金属間化合物と
して分散析出させることから、強度的な劣化が少なく、
かつ固体潤滑剤としての添加効果が25体積%以上にお
いて飽和する傾向にあることから、かなりの添加を可能
とするが、焼結時の環境上の観点から30重量%以下と
するのが好ましく、より好ましくは15重量%の範囲内
で抑えるのが良い。
【0036】また、本発明では、前述のように突出部を
効率的に潤滑油で冷却する構造を採用することによっ
て、焼結摺動材料としては耐馴染み性に優れた上述の銅
系摺動材料だけでなく、耐焼き付き性は劣るが耐摩耗性
に優れ、低コストな鉄を主成分とする鉄系焼結摺動材料
が適用できるようにした。この鉄系焼結摺動材料として
は、裏金への焼結接合性を配慮してCuを15〜60重
量%、Snを2〜7重量%含有することをベースに、P
bをはじめとして各種の目的に適した成分に配合した材
料が適用できる。とりわけ上述のようにPb金属間化合
物形成能の強いMg等を含有させることによって、鉄系
摺動材料中のCu相に作用してPbが細かく分散し摺動
特性が改善されることは明らかである。
【0037】本発明の複層焼結摺動部材の製造に際して
は、鉄系裏金との接合時に、まず鉄系裏金面上に例えば
上述の突出部を形成させるために、例えば図2に示され
る所定の厚さの穴あきメタルシート(黒部:メタル、白
部:穴部)を重ねあわせて、その上から上述の銅系焼結
合金の混合粉末を散布して穴あきメタルシートの穴部に
その粉末を充填した後、まず中性雰囲気、真空雰囲気も
しくは還元雰囲気中で焼結接合して、穴あきメタルシー
トをはずしてから、一旦圧延成形等の加圧手段でもって
上述の銅系、鉄系摺動焼結層を目的の密度あるいは厚さ
になるように加工し(または同時に曲げ加工を施した後
に)、再度上述の雰囲気下で焼結することによって複層
焼結摺動部材を高密度化して製造することが好ましい。
また、再度厚さの微調整のための軽圧延を施した後に、
例えば円筒形ブッシュとする場合には曲げ加工して製造
することも好ましい。
【0038】なお、前述のTi,Pbを含有する銅系焼
結摺動材料を複層焼結摺動部材とする場合には、第1回
目の焼結温度は、少なくともCu−Ti2元系の共晶温
度である890℃以下の温度に抑えることが好ましい。
この理由は、この焼結によって鉄系裏金との接合界面に
おいてTi化合物が析出して、後の曲げ加工時における
接合界面での剥離を抑制するためであり、第2回目の焼
結温度は、曲げ加工を施した後の場合には950℃以下
の温度が好ましく、また曲げ加工でなく単に密度調整の
加工の場合にはやはり890℃以下での焼結が好まし
く、この焼結後に目的の950℃以下の焼結温度で再々
焼結することが好ましい。
【0039】さらに、ここで用いる穴あきメタルシート
は、ステンレスなどの鋼製パンチングメタルシートを利
用すると入手性や再利用性が良いが、例えば樹脂製、紙
製等であっても問題なく利用することができる。
【0040】なお、上述の穴あきメタルシートを用いた
方法の他にも、独立した突出部摺動材料を形成するに
は、例えばロータリプレスなどの加圧機を使って成形し
た焼結摺動材料の成形体を裏金上に複数配置して焼結接
合することによって、独立した突出部で形成される連続
した凹部も成形できる。また、成形体の形状を考慮し
て、成形体の一端部以上が連続するように裏金上に配列
させ、焼結接合させることによって、上述とは逆に連続
した突出部によって形成された独立した凹部を成形する
こともできる。
【0041】さらに、例えば粉末シート法でシート成形
したものおよび/または仮焼結したシートにパンチ加工
を施した方法なども好ましい考え方である。なお、以上
のほかにも裏金上に焼結摺動材料粉末を接合焼結した後
に機械加工によって摺動材料層を加工する方法が考えら
れるが、機械加工コストが高価になることと摺動材料の
歩留まりが悪いためにあまり好ましい方法ではない。
【0042】また、上述の突出部を1回目に焼結接合し
た後連続する凹部に焼結粉末を散布するか、その突出部
を最終厚さに調整する前の各種の厚さの状態に圧延した
後に、連続する凹部に焼結粉末を散布し、凹部散布焼結
材を突出部や裏金に焼結接合した後に突出部を最終厚さ
に調整することによって20〜70体積%の気孔率に調
整した多孔質焼結体を埋め込んだ複層焼結摺動部材を製
造することが好ましい。とりわけ凹部に多孔質焼結層を
突出部と裏金に焼結接合させて、例えば円筒ブッシュ製
造における曲げ加工時に剥離させないためには、多孔質
焼結層材料が焼結時において膨張することが必要であ
り、前述のように特開平8−291306号公報に開示
した合金成分やSiO2,Al23および黒鉛等の組み
合わせによって調整することが好ましい。
【0043】さらにまた、本発明での構成として上述の
Ti,Pbを含有する銅系焼結摺動材料のように金属間
化合物を内組織に含み、鉄系裏金に焼結接合する際に裏
金との接合界面に金属間化合物を析出させる焼結摺動材
料を裏金に一体化させてなる本発明の複層焼結摺動部材
を製造する際において、焼結インサート層を介して接合
することによってより曲げ加工時の接合界面での塑性変
形能を高めて、生産性の向上と接合品質の向上を図り、
かつ高価な焼結摺動部材を使用するときのコストの低減
を図ることは非常に好ましいことである。
【0044】また、本発明での構成として上述の焼結イ
ンサート層を鉄系焼結材料とすることによって焼結イン
サート層部の顕著な材料コストの低減を図った。鉄系焼
結インサート層用合金としては、一般冶金用に使用され
る還元および/またはアトマイズ法で制作された鉄、鉄
合金粉末を主体として、少なくとも銅が20〜60重量
%、Snが2〜7重量%の範囲に調整されていることが
好ましい。さらに、この鉄系焼結インサート合金にはP
b,P等のより低融点の液相を発生させる成分が含有さ
れていることがさらに好ましい。
【0045】インサート層の成形方法としては、インサ
ート層材料粉末を散布後に(1)穴あけメタルシートを
セットして更に上述の銅系焼結摺動材料粉末を散布する
方式(二相散布方式)、(2)インサート層を焼結接合
してその上に穴あけメタルシートをセットして銅系焼結
摺動材料粉末を散布する方式および(3)インサート層
を焼結後に圧延などの加工処理を施した後、銅系焼結摺
動材料粉末を散布する方式等いろいろと考えられるが、
好ましくは(3)の方式を採用するのが良い。
【0046】前記複層焼結摺動材料において、独立する
突出部を第1回目に焼結接合した後に圧延加工を施すこ
とによって突出部表面部が塑性流れを起こし、最終厚さ
までの圧延状態によって突出部がキノコ状になることか
ら(図5参照)、連続する凹部に含油プラスチックおよ
び/または黒鉛,MoS2等の固体潤滑剤を詰め込む場
合には、このキノコ状の突出部が顕著なアンカー効果を
発揮して、連続給脂のできない摺動部材に適用できるこ
とは明らかであり、より低コストの複層焼結摺動部材が
製造できることも本発明の特徴点である。
【0047】前述のように本発明によれば、複数個の独
立し、突出した摺動部を設けて、周囲を連続した凹部で
の潤滑油による積極的な潤滑、冷却、摩耗粉の排除を効
果的に改善することによって、厳しい摺動条件下におい
ても耐焼き付き性や異音の発生防止を画期的に改善する
ことができた。
【0048】さらに、連続した凹部に20〜70体積%
の気孔率を含む多孔質焼結体を焼結接合することによっ
て潤滑油の保油性を高めたり、固体潤滑剤の黒鉛を多く
含有させることによって自己潤滑性を高めるなどの多機
能な複層焼結摺動部材の製造方法を提供することができ
た。またさらに、インサート層を介して各種摺動材の突
出部を設けることによって、耐摩耗性や無給脂潤滑性に
優れた複層焼結摺動部材を低コストに提供することがで
きた。
【0049】
【実施例】次に、本発明による複層焼結摺動部材とその
製造方法の具体的な実施例につき、図面を参照しつつ説
明する。
【0050】(1)実施例1:穴あけメタルシートを用
いた複層摺動部材の摺動特性(開孔率62.5面積%一
定)について 〜最大長さの確認(銅系摺動材料、鉄系
摺動材料の焼結実験)〜 表1に、本実施例の複層焼結摺動材料に使用した合金組
成が示されている。これらの摺動材料は、LBC(福田
金属製:Cu−10Sn−10Pb合金)アトマイズ粉
末,電解粉末(福田金属製:CE15),還元鉄粉末
(川崎製鉄製:KIP255M),Pbアトマイズ粉
末,Snアトマイズ粉末を用いて混合し、組成調整した
ものである。
【0051】
【表1】
【0052】複層摺動部材に使用する裏金としては板厚
5mm,幅150mm,長さ1000mmのS45C鋼
板を用いて、また焼結摺動部材の突出部を形成させる方
法としては、厚さ4mmのSUS304ステンレス製穴
あきメタルシートを先の鋼板上に配置して、穴部に上述
の焼結摺動材料粉末を摺り切り散布した。なお、図1に
示されているように、穴あき部の面積率はすべて62.
5面積%に統一し、穴部の直径を5,10,15,20
mmの4水準を選び、各ピッチ間距離を調整した(P=
6,12,18,24mm)。散布後は、露天が−35
℃のAXガス雰囲気焼結炉で、No.1合金は830℃
で、No.2鉄系合金は880℃で焼結接合して、突出
部を1.5mmに圧延した後に再度同じ各温度で再焼結
して複層焼結摺動部材を製作した。
【0053】さらに、摺動試験用に図6に示されている
円筒形ブッシュに曲げ加工してTIG溶接し、後加工を
施して試験ブッシュを製作した。また、比較材として穴
あきメタルシートを用いず均一な焼結摺動材料を接合焼
結した複層焼結摺動部材を用いて同じ試験用円筒状ブッ
シュを製作した。ただし、これらのブッシュには摺動面
に後加工によって溝加工を施している。
【0054】図7には、摺動試験装置の概念図が示され
ている。この摺動試験装置は、円筒状ブッシュを回転さ
せながら(周速1.5m/sec)、シャフト部に荷董
をかけ、封入オイルの潤滑下で摺動特性(摩擦係数、摩
粍量)を図るものである。ブッシュの投影断面積に対す
る面圧を25kg/mm2毎にステップ的に昇圧しなが
ら摩擦係数が異常に高くなる(0・2以上)面圧を調べ
た試験結果が表2に示されている。
【0055】
【表2】
【0056】この表2から明らかに、本発明ブッシュは
従来の油溝有りブッシュと比べて優れた結果となってお
り、さらに従来から焼き付き限界性が悪いとされている
鉄系焼結摺動材(No.2)においても優れた特性が得
られた。また、突出部の直径による摺動特性を比較した
場合においては、直径20mmのものが明らかに他のサ
イズのものに比べて悪くなり、摺動面を観察した結果に
よると摺動方向の最大長さ位置に焼き付き痕が多く観察
され、突出部の摺動方向の最大長さは20mm以下で好
ましくは15mm以下が良いことが分かる。この摺動方
向での最大長さに関する結果は本実施例1のような突出
部形状が円柱状である場合に限らず、例えば図2に示さ
れるような角状、ダイヤ状等に対しても同様に当てはま
ることは明らかである。
【0057】(2)実施例2:突出部面積率の影響につ
いて 図1において円柱状の突出部の直径を10mmに固定し
てピッチ間距離を調整することによって、突出部の面積
率をほば74,62,40,22面積%の4水準に変え
て実施例1と同様にしてNo.1の合金を使ってブッシ
ュを製作して、同様の摺動試験を実施した。その結果が
表3にまとめられているが、面積率22%のものでは荷
重方向での荷重の均一性に限界が生じることもあって、
また実質的な面圧が大きくなることから明らかに耐焼き
付き性が劣るが、その他のレベルにおいては約50%辺
りに最大の突出効果があると見られる。したがって突出
部の面積率は摺動材料の改善によっても変化するが、基
本的には25面積%以上であることが好ましく、またそ
の上限は突出部の製法上からして70面積%以下である
ことが好ましい。
【0058】
【表3】
【0059】(3)実施例3:凹部多孔質の摺動特性
(作業機ブッシュ) 本実施例では、作業機ブッシュのような潤滑条件の厳し
い摺動材料についての特性調査を行った。使用した摺動
材料組成が表4に示されている。
【0060】
【表4】
【0061】なお、実施例1で使用した粉末以外に水素
化チタン(TiH),Mgアトマイズ粉末,Alアトマ
イズ粉末,人造黒鉛(KS6)を使用した。比較材料と
しては中越合金社製のP31C高力黄銅を使用した。製
作した複層焼結摺動部材は突出部の形状をφ10mmで
面積率がほぼ53面積%となるように突出部のピッチ間
距離を13mmとし、実施例1と同様にNo.3〜7の
焼結摺動材料で突出部を焼結接合し、最終厚さになるま
での圧下量の1/2を予備圧延して、次に連続する凹部
に表4のNo.8,9の焼結材料粉末を散布充填した後
に、突出部の厚さがほぼ最終厚さになるまで圧延し、こ
の後それぞれの温度で再焼結して製作し、摺動材料厚さ
が1.5mmとなる内径50mmの円筒状ブッシュとし
た。この時の凹部焼結層の気孔率は約45〜55体積%
に調整されていた。なお、散布前の突出部の予備圧延量
を調整することによって多孔質層の気孔率が種々に調整
できることは明らかであり、気孔率の最大が散布状態の
気孔率に相当することも明らかである。更に、本実施例
のように散布後に直接圧延を実施できることは曲げ加工
してブッシュを製造するまでの焼結回数を少なくとも1
回省略できることになり、これはコスト低減に寄与する
ことであって、本製造方法の特徴でもある。しかし、特
性的には散布後焼結して最終圧延を施しても変わらない
ことも明らかである。
【0062】摺動試験は前述の試験機を使用して行う。
本実施例のブッシュは一旦凹部多孔質層に潤滑油を含浸
させて使用するが、その試験条件を図8に示した。ま
た、試験中は潤滑油を使用せず、グリース充填後は供試
ブッシュの投影面圧が800kg/cm2になるまで1
00kg/cm2毎に10000回の往復摺動をさせな
がら焼き付くまでの摩擦係数、摩耗量、異音の発生を観
察した。なお、比較材としては、図6に示した油溝を
つけたブッシュと、図1に示したような突出部の配置
で、D=φ9でピッチ間距離P=12mmの約50面積
%の穴加工を施して、この穴部に比重1.85の人造黒
鉛材料を挿入して仕上げたブッシュとを評価した。図9
(摩擦係数変化)、図10(摩耗量変化)にその結果が
示されている。これらの結果から、凹部含油の効果が明
らかであり、また比較材1の黒鉛埋め込み型と較べて凹
部が連続する本発明部材においては特に優れた特性を示
すことが分かる。
【0063】また、図11には面圧300kg/cm2
で100000回の往復摺動結果が示されているが、比
較材1の油溝ブッシュにおいては約20000回程度で
グリース潤滑が切れて、異常に摩耗量が多くなった。ま
た、本発明の摺動材料No.4が比較材1の黒鉛埋め込
みブッシュと較べてもきわめて優れた摺動材料であるこ
とが分かる。これはPb化合物形成能の強いTiとの共
存によるPbおよび/またはPb化合物の微細分散によ
る効果と考えられ、Mgの添加による鉄系摺動部材の改
善も同様な効果と考えられる。
【0064】さらに、銅系摺動材料が高価な場合には、
上述のような鉄系摺動材料を先に裏金上に焼結接合した
後に銅系摺動材料を突出部として焼結接合する組み合わ
せが可能なことは明らかであり、コスト低減に極めて効
果的であることは明らかである。また、銅系摺動材料の
耐摩耗性を改善するためにより多くの金属間化合物を形
成させる場合には、銅系摺動材料と裏金の接合界面に鉄
との金属間化合物が形成されやすくブッシュを製作する
ための曲げ加工時において摺動材料と裏金との剥離が起
こりやすくなるが、上述の焼結インサート層を介在させ
ることによって裏金上での金属間化合物の生成を防止し
て、曲げ加工を容易にする効果があることも明らかであ
る。図12は、No.8を焼結インサート層に使ってN
o.6の銅系摺動材料を裏金に一体化させたときの金属
組織を示したものである。なお、焼結インサート層材料
としては鉄系に限らず、銅系焼結摺動材料と異なる銅系
焼結材料であっても良いことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例による複層焼結摺動
部材の模式図である。
【図2】図2は、突出部配置例の好ましい態様を示す図
である。
【図3】図3は、突出部配置例の不適な態様を示す図で
ある。
【図4】図4は、Pb金属間化合物を形成する相手金属
元素と周期律表との関係図である。
【図5】図5は、突出部表面部の塑性流れ状態を説明す
る図である。
【図6】図6は、供試用ブッシュの形状を示す図であ
る。
【図7】図7は、摺動試験装置の概念図である。
【図8】図8は、摺動試験の試験条件を示す図である。
【図9】図9は、面圧に対する摩擦係数変化を示す図で
ある。
【図10】図10は、面圧に対する摩擦量変化を示す図
である。
【図11】図11は、往復摺動試験結果を示す図であ
る。
【図12】図12は、焼結インサート層を使って銅系摺
動材料を裏金に一体化させたときの金属組織を示す図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 38/00 304 C22C 38/00 304 38/60 38/60

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼よりなる平板状の裏金の表面に、高密
    度焼結摺動材料よりなる複数個の独立した突出部を焼結
    接合してなり、この独立した突出部によって形成される
    凹部が連続していることを特徴とする複層焼結摺動部
    材。
  2. 【請求項2】 前記突出部は、荷重線が摺動方向に移動
    する際にその荷重線の全部分が凹部に位置することのな
    いように、丸型、角型、スリット型の千鳥配列もしくは
    六角形型、ヘリボン配列および/またはこれに類する形
    状にて配置されて、均一な荷重点で荷重を支えるように
    され、かつ前記凹部は、潤滑油が当該摺動部材の摺動面
    に均一に流動するように連続していることを特徴とする
    請求項1に記載の複層焼結摺動部材。
  3. 【請求項3】 円筒状軸受に用いられる複層焼結摺動部
    材であって、一つ以上の端部が連続した突出部として形
    成され、内部の凹部における潤滑剤が外部に排出されに
    くくすることを特徴とする請求項2に記載の複層焼結摺
    動部材。
  4. 【請求項4】 前記連続する凹部に多孔質銅系焼結材料
    を埋め込むことを特徴とする請求項1〜3のうちのいず
    れかに記載の複層焼結摺動部材。
  5. 【請求項5】 前記多孔質銅系焼結材料に少なくともA
    l,Si,黒鉛を0.2〜5重量%の範囲内において含
    有させ、焼結時における膨張を利用して凸部に焼結接合
    することを特徴とする請求項4に記載の複層焼結摺動部
    材。
  6. 【請求項6】 前記多孔質銅系焼結材料の気孔率が20
    〜70体積%に調整されてなることを特徴とする請求項
    4または5に記載の複層焼結摺動部材。
  7. 【請求項7】 前記連続する凹部にプラスチックおよび
    /または固体潤滑剤を埋め込むことを特徴とする請求項
    1〜3のうちのいずれかに記載の複層焼結摺動部材。
  8. 【請求項8】 前記焼結摺動材料は、1〜30重量%の
    Pbを含有するとともに、少なくともPbとの金属間化
    合物を形成しやすいTi,Mgの1種以上を0.5〜1
    0重量%含有し、かつSnを2〜8重量%の範囲におい
    て含有する鉄系および/または銅系焼結摺動材料である
    ことを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれかに記載
    の複層焼結摺動部材。
  9. 【請求項9】 前記銅系摺動材料に、Ti,Ni,A
    l,Si,Be,Cr,Mn,Zn等の強化元素もしく
    は黒鉛等の潤滑元素および/またはSiO2,Mo,W
    等の分散元素の1種以上を含有させることを特徴とする
    請求項8に記載の複層焼結摺動部材。
  10. 【請求項10】 前記鉄系焼結摺動材料は、鉄を主体と
    し、少なくともFe相部が60体積%以下になるように
    Cuを30〜60重量%含有し、焼き付きやすいFe相
    部が銅合金相やその他の相部によって十分に分断された
    組織を有することを特徴とする請求項8に記載の複層焼
    結摺動部材。
  11. 【請求項11】 前記銅系および/または鉄系焼結摺動
    材料と鉄系裏金材との間に焼結インサート層を介在させ
    て一体化させたことを特徴とする請求項8〜10のうち
    のいずれかに記載の複層焼結摺動部材。
  12. 【請求項12】 前記焼結インサート層を構成する材料
    は、鉄を主体とし、少なくともCuを15〜60重量%
    とSnを2〜7重量%含有し、更にPbを2〜10重量
    %含有する鉄系焼結材料であることを特徴とする請求項
    11に記載の複層焼結摺動部材。
  13. 【請求項13】 各種形状の穴を持つシートを鋼製裏金
    に重ね、上方から焼結摺動材料の混合粉末を散布して前
    記シートの穴部にその混合粉末を充填したものを、還
    元、中性、真空の各雰囲気中で焼結して前記穴部に充填
    した混合粉末を裏金上に焼結接合する工程と、圧延など
    の加圧加工によって前記焼結摺動材料を高密度化した後
    に更に焼結する工程とを含んでなり、かつ表面に複数個
    の独立した突出部として形成された高密度焼結摺動材料
    が70〜30面積%の範囲内にあり、さらにその突出部
    の摺動方向の最大長さが20mm以下であることを特徴
    とする複層焼結摺動部材の製造方法。
  14. 【請求項14】 複層焼結摺動部材の一つ以上の端部に
    おいて連続した突出部を形成するために、裏金より小さ
    いサイズの穴あきシートを用い、このシートを裏金上に
    重ねて前記摺動焼結材料粉末を散布することを特徴とす
    る請求項13に記載の複層焼結摺動部材の製造方法。
  15. 【請求項15】 焼結接合状態および/または突出部を
    最終厚さ前の各種厚さに圧延加工した状態の凹部に前記
    焼結摺動材料粉末を散布充填した後、圧延−焼結および
    /または焼結−圧延の工程により突出部を最終厚さにな
    るようにし、かつ凹部の気孔率を20〜70体積%に調
    整することを特徴とする請求項13または14に記載の
    複層焼結摺動部材の製造方法。
  16. 【請求項16】 ほぼ最終圧延状態で突出部表面層に形
    成される圧延フロー部の凹部に含油プラスチックを充填
    して内部潤滑性を高めることを特徴とする請求項13〜
    15のうちのいずれかに記載の複層焼結摺動部材の製造
    方法。
  17. 【請求項17】 前記焼結摺動材料と裏金との間に焼結
    インサート層を介在させるために、焼結インサート層材
    料粉末を散布焼結した後に圧延などの加圧加工を施し、
    この焼結インサート層上に前記焼結摺動材料をさらに接
    合焼結することを特徴とする請求項13〜16のうちの
    いずれかに記載の複層焼結摺動部材の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記焼結インサート層を構成する材料
    は、鉄を主体とし、少なくともCuを15〜60重量%
    とSnを2〜7重量%含有し、更にPbを2〜10重量
    %含有する鉄系焼結材料であることを特徴とする請求項
    17に記載の複層焼結摺動部材の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記焼結摺動材料は、1〜30重量%
    のPbを含有するとともに、少なくともPbとの金属間
    化合物を形成しやすいTi,Mgの1種以上を0.5〜
    10重量%含有し、かつSnを2〜8重量%の範囲にお
    いて含有する鉄系および/または銅系焼結摺動材料であ
    ることを特徴とする請求項13〜18のうちのいずれか
    に記載の複層焼結摺動部材の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記銅系摺動材料に、Ti,Ni,A
    l,Si,Be,Cr,Mn,Zn等の強化元素もしく
    は黒鉛等の潤滑元素および/またはSiO2,Mo,W
    等の分散元素の1種以上を含有させることを特徴とする
    請求項19に記載の複層焼結摺動部材。
  21. 【請求項21】 前記鉄系焼結摺動材料は、鉄を主体と
    し、少なくともFe相部が60体積%以下になるよう
    に、Cuを30〜60重量%含有し、焼き付きやすいF
    e相部が銅合金相やその他の相部によって十分に分断さ
    れた組織を有することを特徴とする請求項19に記載の
    複層焼結摺動部材の製造方法。
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