JP2012017837A - 摺動部材用鋼板 - Google Patents

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克秀 西尾
Shinobu Kano
忍 狩野
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    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
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Abstract

【課題】スクロール式コンプレッサーなどの回転部位に用いられるスラスト軸受の代替となり、全方向で安定した摺動性と、曲げ加工などにおいて良好な加工性を有する、表面に凹凸模様が形成された摺動部材用鋼板を提供する。
【解決手段】表面に凹凸模様を有する摺動部材用鋼板であって、鋼板表面の凹凸模様が複数の凹部からなり、鋼板の幅方向に隣接する凹部10が鋼板の長手方向に隣接する二個の凹部10に挟まれる領域に入り込むように互いに千鳥配置とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、スクロール式コンプレッサーなどの回転部位に用いられるスラスト軸受の代替となる摺動部材用鋼板に関する。
COガスなどを冷媒として用いる熱交換器には、その冷媒ガスを圧縮、開放させるためのコンプレッサーが取り付けられている。このコンプレッサーには、スクロール状の凹凸内に冷媒ガスを供給し、凸型のスクロール形状部品を回転させて冷媒ガスを圧縮、開放させるスクロール型コンプレッサーが、コンパクトな機器なるために多くの場合で用いられている。
このようなスクロール型コンプレッサー9の凸型スクロール形状部品1は、図1に示すように凹型スクロール形状部品2の溝内(図示していない)で回転するために、その回転軌跡は楕円状となる。凸型スクロール形状部品1にはモーター3と直結した回転軸4が取り付けられるが、モーター3の架台5と凸型スクロール形状部品1との間には、架台5と凸型スクロール形状部品1との間で焼き付きが発生しないように軸受6が設置されている。これらの軸受6は、凸型スクロール形状部品1が楕円状の回転をするため、滑り方向が互いに90°異なる2個のスラスト軸受が用いられている。また、軸受6間や軸受6と架台5間、軸受6と凸型スクロール形状部品1との間に座金7が設置されており、それらを総合すると5層状態の回転ユニット8となっている。
熱交換器は、CO冷媒ヒートポンプ式給湯機に見られるように屋外に設置されるが、その際の施工性を上げるために軽くすることが望まれており、熱交換器に用いられるスクロール型コンプレッサー9にも軽量化の要求が出てきている。そのため、前記の回転ユニット9も軸受7や座金8の枚数を減らして軽量化させる要求が出てきている。この軸受6や座金7を減らすためには、凸型スクロール形状部品1の楕円状回転に対応できるような全方向で摺動性能を有する鋼板を軸受7の代わりに用いて、2個のスラスト軸受を1枚の鋼板に変更することが方法の一つとして浮かび上がってくる。
前面で摺動性能を有する鋼板としては、特許文献1で複層型の摺動部材が提案されている。また、特許文献2には、CuまたはCu合金が10〜95重量%含有され、残部がMoを主体として相対密度が80%以上である焼結体からなる摺動部材が提案されている。
特許4411710号公報 WO2005/024076号公報
引用文献1の複層型の摺動部材は、金属シート上に突起部を含んだ孔を千鳥状に形成し、その上に樹脂を主体材料とした滑り層を焼成・固着して前記の孔に延在させるようにしている。孔に滑り層を延在させることにより滑り層が孔周囲の突起部を取り囲むような状態となるため、強固に金属シートと滑り層が密着した摺動部材となるのである。しかし、この方法であると滑り層が樹脂を主体とした材料であるため、滑り層の磨耗が多くなり摺動性能を維持する寿命が短くなるとともに、摺動部材を製作する工程が多いためコストが高いという問題がある。
さらに特許文献2の焼結体からなる摺動部材は、焼結体であることから磨耗が多くなり摺動性能を維持する寿命が短くなるという問題が発生する。
本発明は、上記で示した課題を解決するための案出したものであり、製造コストが低く、摺動性能を維持する寿命が比較的長い、全方向で安定した摺動性能を有する摺動部材用鋼板を提供する。
本発明の摺動部材用鋼板は、表面に凹凸模様を有する鋼板であって、前記凹凸模様は複数の凹部からなり、鋼板の幅方向に隣接する凹部が鋼板の長手方向に隣接する二個の凹部に挟まれる領域に入り込むように互いに千鳥配置されていることを特徴としている。
本発明の凹凸模様を有する摺動部材用鋼板は、互いの凹部が連結せずに単独で存在しており、それにともなって相手部材と接触する凸部の面積が減少することから回転しても焼き付きにくい構造となっている。また、複数の凹部を単独で存在させているため、凹凸模様鋼板の表面に潤滑油を塗布した場合に、凹部が油溜りとなり比較的寿命の長い摺動性能を維持することができる。さらに、凹部を千鳥配置としているため、部品に加工する場合、特に曲げ加工する場合には未加工の凸部に歪が集中せずに割れの発生なく加工することができる。
スクロール型コンプレッサーの摺動構造の概略図 従来の凹凸模様鋼板の凸部が連続的に存在する形態を示す概略図(a)と凹部が連続的に存在する形態を示す概略図(b) 本発明の凹凸模様を有する摺動部材用鋼板の凹凸配置を示す概略図 実施例において、本発明の凹凸模様を有する摺動部材用鋼板の凹凸模様を付与するためのワークロールの形状を示す概略図(a)と、従来の凹凸模様鋼板の凹凸模様を付与するためのワークロールの形状を示す概略図(b) 実施例において、本発明に基づき圧延加工によって凹凸模様を付与した後の表面形状を示す概略図(a)と、従来の方法に基づき圧延加工によって凹凸模様を付与した後の表面形状を示す概略図(b) 実施例において、本発明に基づき凹凸模様を付与した鋼板の摺動性能の測定結果
本発明の凹凸模様を有する摺動部材用鋼板は、単独で存在する複数の凹部からなり、鋼板の幅方向に隣接する凹部が鋼板の長手方向に隣接する二個の凹部に挟まれる領域に入り込むように互いに千鳥配置している。
これらの規定を決める上で本発明者等は、種々の検討を行った。
互いの部材同士での摺動性能を発揮させるためには、どちらか一方あるいは両方の部材において接触する面に潤滑機能を付与するか、接触する面積を減少させるようにすることが有効である。潤滑機能を付与する方法としては、特許文献1および2で提案されているように部材の表面に滑り層を設ける構造があるが、前記したように摺動性能の寿命が比較的短くなる可能性がある。そのため、本発明者らは、接触面積を減少させる方法を基本として摺動性能の寿命が長くなる手段について検討した。
接触面積を減少させる方法としては、接触する部材の両方あるいは一方の接触面に凹凸形状を付与することに着目し、その部材の素材となる鋼板表面に形成する凹凸形状について検討した。凹凸模様鋼板の形態としては、図2に示すように凸部11(図2(a))や凹部10(図2(b))が連続的に存在する形態が一般的である。これらの形態であれば接触面積を減少させることはできるが、摺動機能の長寿命化を考慮した場合には凹凸模様鋼板12の表面に潤滑剤と塗布し、その潤滑剤が移動して消滅しないように確保する工夫が必要である。その点を考慮すると潤滑剤溜りができるような凹部10が単独で存在する形態、つまり図2(b)で示した形態が有効である。
また、凹部10と凸部11の配置については、未加工となる凸部11が一直線上に形成されることが種々の弊害をもたらしていると推測した。そして、素材表面に凹凸模様を形成する際、凹部を互い違いに、いわゆる千鳥配置に形成すれば未加工となる凸部11が一直線上に形成されなくなることに辿り着いた。ただし、幅方向に隣接する凹部10が長手方向に隣接する二個の凹部10に挟まれる領域に入り込むように設けられていなければ、凹凸部の形成により形作られる未加工の凸部11が一直線上に形成される場合も出現する。
以下に、本発明を詳細に説明する。
素材としての鋼板には、何ら制限はない。ステンレス鋼や高炭素鋼などの特殊鋼、普通鋼などの何れの種類でも構わない。凹凸模様は、通常と同様に圧延やプレスで付与される。連続操業性を考慮すると圧延法で模様付けを行うことが好ましい。表面に適宜形状の凸部を所定のパターンで形成したロールを用いて素材の鋼板を圧延すれば、ロール表面の模様が鋼板表面に転写されて所望形状の凹部10および凹凸部の配置で形成される。具体的には、凹部10は単独で存在するようになるため、凹凸模様を形成する場合には、表面に突起を形成したプレス用金型や圧延用ワークロールで、素材をその突起で押圧することにより形成される。
本発明は、素材の鋼板表面に凹凸模様を図3に示すように、形成する凹部10を、互い違いに、いわゆる千鳥配置とする。しかも、幅方向に隣接する凹部10が長手方向に隣接する二個の凹部10に挟まれる領域に入り込むように設ける。個々の凹凸部の形状、すなわちその平面形状、断面形状とも制限はない。円形、楕円形、四角形、多角形等、任意の形状の連続成形で模様付けを行う。
このように、幅方向に隣接する凹部10が長手方向に隣接する二個の凹部10に挟まれる領域に入り込むように設けることにより、凹部10の形成により形作られる未加工の凸部11が一直線上に形成されることはなくなる。この凸部11の影響は、前記したように表面に突起を形成したプレス用金型や圧延用ワークロールにより素材をその突起で押圧して凹部10を形成するため、凸部11は未加工の状態となって加工硬化した凹部10よりも変形抵抗が比較的低くなることにより、曲げ加工において凸部11にひずみが集中しやすくなる点にある。したがって、本発明の凹凸模様鋼板12を部材に加工する場合、特に曲げ加工を行う際に歪みの集中を緩和できる。そして、歪み集中を緩和できるため、曲げ加工を行っても割れを発生させずに必要とする部材に成形することができる。
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。 素材にはSUS304、板厚2.0mmで、予め板幅100mmにスリットしたコイルを用い、圧延により凹凸模様を付与した。凹凸模様付与では、2段圧延機を用い、上ワークロールに図4(a)に示す模様を付与したロールをセットした。ワークロール表面には、直径φ5mm、高さ1mmの凸部を、板幅方向のピッチ7.5mm、圧延方向のピッチ10mmで配置し、さらに両者の中心間に凹部が入り込むよう千鳥状に配置させた。また図4(b)は従来の発明の一例を示すワークロール表面であり、本発明との効果を比較するため、直径φ5mm、高さ1mmの凸部を板幅方向のピッチ7.5mm、圧延方向のピッチ10mmとして碁盤目状に配置させた。
以上の条件により圧延加工で連続的に凹凸模様を付与した材料表面の概略図を図5に示す。図5(a)は本発明の一例を示す材料表面の概略図で、凹部10が一直線上に連続しないように形状を形成させている。一方、図5(b)は従来の発明の一例を示す材料表面の概略図を示しており、この図からわかるように、圧延方向には凹部10が一直線上に形成されている。これら2種類のパターンで成形した凹凸模様鋼板12、13を、圧延方向で90°に曲げる曲げ加工を行った。その結果、図5(a)で示した凹凸模様鋼板12では割れ発生なく加工できたが、図5(b)で示した凹凸模様鋼板13では凸部11を起点として割れが発生した。
次に図5(a)で示した本発明の凹凸模様鋼板12の摺動性能を確認した。評価方法は、潤滑油を凹部10内に満たすとともに凸部11上で厚さ10μm状態となるように塗布した凹凸模様鋼板12を用い、その鋼板12の表面にSUS304を素材とした直径10mmで板厚2mmの鋼板を荷重30Nで押し付け、凹凸模様鋼板12を速度10mm/sで回転させて、その接触における摩擦係数の変化でもって実施した。比較として凹凸模様を形成していないSUS304の平板についても評価し、その平板にも表面に厚さ10μm状態となるように潤滑油を塗布した。 結果を図6に示す。平板の場合は途中で潤滑油が切れて摩擦係数が上昇したが、凹凸模様鋼板12では低い摩擦係数の状態が長く続き、摺動性能が優れていることが分かった。

Claims (1)

  1. 表面に凹凸模様を有する鋼板であって、前記凹凸模様は複数の凹部からなり、鋼板の幅方向に隣接する凹部が鋼板の長手方向に隣接する二個の凹部に挟まれる領域に入り込むように互いに千鳥配置されていることを特徴とする摺動部材用鋼板。
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