JPH11268927A - 精密成形用リン酸塩ガラス、それを用いた光学素子および光学素子の製造方法 - Google Patents
精密成形用リン酸塩ガラス、それを用いた光学素子および光学素子の製造方法Info
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- JPH11268927A JPH11268927A JP7195598A JP7195598A JPH11268927A JP H11268927 A JPH11268927 A JP H11268927A JP 7195598 A JP7195598 A JP 7195598A JP 7195598 A JP7195598 A JP 7195598A JP H11268927 A JPH11268927 A JP H11268927A
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Abstract
る光学素子用の精密成形用リン酸塩ガラス、およびこの
リン酸塩ガラスを用いた光学素子を提供する。 【解決手段】 酸化リンの含有量が50重量%未満であ
り、かつ酸化銅を含有する精密成形用リン酸塩ガラス、
およびこの精密成形用リン酸塩ガラスからなる光学素子
である。
Description
塩ガラス、それを用いた光学素子および光学素子の製造
方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、CCD(Ch
arge Coupled Devices)型やMOS(Metal Oxide Semi
-conductor)型などの固体撮像素子を用いたカラーVT
Rカメラなどの撮像装置に内蔵される光学素子用の精密
成形用リン酸塩ガラス、このガラスからなる光学素子お
よび当該光学素子の製造方法に関するものである。
においては、CCD型,MOS型などの固体撮像素子が
広く利用されている。このような撮像装置の光学系は、
一般的に図1に示す構成からなっている。図1は、固体
撮像素子を利用した撮像装置における光学系の一般的な
構成の1例を示す説明図であって、被写体から入射した
光は、所定枚数の光学レンズからなる撮像レンズ系1を
通り、その後、被写体光の空間周波数成分を制限するオ
プティカルローパスフィルター2、2′と700nm以
上の波長域の光を吸収する近赤外吸収フィルター3とか
らなるユニットを通過する。前記のオプティカルローパ
スフィルターとしては、通常水晶が用いられており、そ
して、最低1枚以上を必要とする(図1では、2枚用い
ている)。前記のユニットを通過した光は、固体撮像デ
バイス4に入射し、当該固体撮像デバイス4を構成して
いる固体撮像素子5によって電気信号に変換される。
とは、固体撮像素子と当該固体撮像素子を収納している
パッケージとの総称であり、固体撮像素子に所望の光が
到達するように、当該固体撮像デバイスには所定の窓材
6(図1参照)が設けられている。一般に、固体撮像デ
バイスにおいては、パッケージに起因して発生する放射
線が固体撮像素子に入射すると、そのエネルギーによっ
て半導体メモリーが誤動作を起こし、いわゆるソフトエ
ラーを起こすことが知られている。このため、固体撮像
素子5に接近して、必ず上記の窓材6としてカバーガラ
スが封着されている。このカバーガラスとしては、耐候
性に優れ、ヤケによる曇りが発生しにくいガラスが用い
られている。
ついて説明する。一般に、固体撮像素子、例えばCCD
の分光感度は、可視域から近赤外域の1000nm付近
まで延びているため、近赤外域の光をカットして人間の
目の視感度に近づけてやらないと画像が赤味を帯び、良
好な色再現を得ることができない。このような目的で近
赤外吸収フィルターが開発され、その材料として、例え
ばリン酸塩系ガラスが提案されている(特開平1−24
2438号公報、特開平4−104918号公報な
ど)。
Dの解像限界を超えた空間周波数成分を除去するため
に、オプティカルローパスフィルターとして、一般に水
晶が用いられてきた。水晶からなるオプティカルローパ
スフィルターは、光を複屈折させる性質を有しているた
め、通過する光を常光線と異常光線とに分解する。すな
わち、被写体の1点から出た光束を像面上の複数の点に
分離する働きがある。この作用により、モアレ縞と呼ば
れる偽信号を抑制することができる。すなわち、この偽
信号を低減するために、オプティカルローパスフィルタ
ーが用いられ、その材料として、通常水晶が使用されて
きた。
おいては、小型化および製造コストの低減化が要求され
てきている。しかしながら、前記の撮像装置において
は、従来より、オプティカルローパスフィルターとして
高価な水晶が用いられてきたため、製造コストが高くつ
くのを免れないという欠点があった。
の低減化を図るには、図2または図3に示す構成の固体
撮像素子が有利であると考えられる。図2は、上記の撮
像装置の小型化および製造コストの低減化を図るための
構成の一例を示す説明図であって、近赤外の波長領域の
光をカットする色補正フィルター(近赤外吸収フィルタ
ー)機能と、被写体に起因して生じる疑似色信号を除去
するオプティカルローパスフィルター機能とを兼ね備え
た位相型オプティカルローパスフィルター7が、固体撮
像デバイス4における窓材6の固体撮像素子5側に設け
られた構造を有している。これにより、従来用いられて
きた水晶は不要となり、小型化と製造コストの低減を達
成することができる。なお、上記位相型オプティカルロ
ーパスフィルターは、近赤外吸収フィルターの表面に回
折格子を設けることにより、製造することができる。
トの低減化を図るための構成の別の例を示す説明図であ
って、固体撮像デバイス4における窓材として、カバー
ガラスとしての機能と、近赤外の波長領域の光をカット
する色補正フィルター(近赤外吸収フィルター)機能と
を備えたカバーガラス8が用いられている。これによ
り、固体撮像デバイス4における窓材とは別の部材とし
て従来より設けられていた近赤外吸収フィルターが不要
となり、製造コストの低減化を図ることができる。
のリン酸塩系のフィルター用ガラスでは様々な問題があ
り、不可能であった。例えば、前記の特開平1−242
438号公報や特開平4−104918号公報などに記
載されているリン酸塩系ガラスにおいては、酸化リンの
含有量が、前者で75〜85重量%、後者で60〜80
重量%と多く、このようなリン酸塩系ガラスからなる光
学素子は耐候性に劣り、長期間の使用が困難であるとい
う問題を有している。
いために耐候性に劣り、したがって、これを改善するこ
とを目的として、通常酸化アルミニウムを添加して耐候
性を向上させている。しかしながら、酸化アルミニウム
の添加は熔解温度の上昇をもたらし、その結果、着色剤
として含有している銅の平衡が、Cu2+→Cu+ と低原
子価側に移動し、400nm付近にCu+ の吸収が生じ
て光透過率(以下、光透過率を単に「透過率」とい
う。)が低下するという問題が生じる。400nm付近
の透過率の低下は、撮像装置用の近赤外吸収フィルター
の透過特性としては好ましくないものである。
のように、ガラスの耐候性を向上させようとすると酸化
アルミニウムの含有量の増加は避けられず、また、増量
しすぎると 熔解温度が上がるために透過率が悪化する
といった相反する関係があり、したがって、適当な妥協
点を見つけ出し、製造してきたのが実状である。
を60重量%以上含むリン酸塩系ガラスは、たとえ耐水
性が良くても、65℃−90%相対湿度下に保持すると
短時間でガラス中の成分が溶出し始め、長期間使用でき
るものではなかった。すなわち、このことは、固体撮像
デバイスにおけるカバーガラスとしても、あるいは位相
型オプティカルローパスフィルターとしても、とうてい
使用できるものではないことを意味している。
形によって位相型オプティカルローパスフィルターを得
ようとする場合、前記のガラスの屈伏点(Ts)は十分
に低くなくてはならない。これは、ガラスのTsが高い
とプレス温度が高くなって、プレス成形型の劣化が著し
くなったり、精密なガラス面が得られにくくなるなどの
問題が生じるためである。
ウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムなどのアルカリ金
属酸化物、あるいは酸化鉛や酸化亜鉛などを多く添加す
るのがよいが、特開平4−104918号公報に記載さ
れているガラスのように、酸化リンの含有量が60〜8
0重量%と多い領域でアルカリ金属酸化物などを増量す
ると、ガラス成分の溶出を結果的に促進させるために、
耐候性をさらに悪化させることになる。このように、T
sを下げようとすると、ガラスの耐候性は極端に低下
し、事実上長期間使用は不可能であった。
リン酸塩系ガラスにおいて、アルカリ金属酸化物の含有
量を抑え、製造可能な程度に酸化アルミニウムの含有量
を増やすことで耐候性を向上させると、ガラスのTsは
大きくなり、プレス成形可能なTsを得ることができな
くなる。このような事情から、従来使用されてきたリン
酸塩系ガラスでは、回折格子をその表面に形成して位相
型オプティカルローパスフィルターとして使用すること
は、とうてい不能であった。
ラスとして使用するには、耐候性が良好であることが必
要であるため、カバーガラスとして近赤外吸収フィルタ
ーを用いる場合、従来のリン酸塩系ガラスでは耐候性が
悪く、使用できないのが実状であった。
どの実施例に記載されているように、アルカリ金属酸化
物を含まず、比較的酸化アルミニウムを多く含んでいる
組成のガラスでは、熔解温度が高くなるため、銅が還元
され、その結果、400nm付近の透過率が低くなる。
このことは、撮像装置用の近赤外吸収フィルターの機能
として好ましい透過特性とはいえない。
ローパスフィルターについては、特開平4−11090
3号公報に、高精度なプレス成形により作製されたもの
が記載されているが、ここに記載されているガラス素材
は、酸化リンの含有量が50重量%以上の燐酸塩系ガラ
ス、あるいはフツリン酸塩系ガラスである。また、特開
平7−281021号公報にも、近赤外吸収ガラスから
なるオプティカルローパスフィルターが記載されている
が、このガラス素材も、酸化リンの含有量が50重量%
以上のガラスである。
スについては、特開平7−281021号公報に、近赤
外吸収ガラスからなるCCD用カバーガラスが記載され
ており、またこの近赤外吸収ガラスに回折格子をモール
ド成形し、これをカバーガラスとして用いたものが記載
されている。しかしながら、前記近赤外吸収ガラスもま
た、酸化リンの含有量が50重量%以上のものである。
事情のもとで、固体撮像素子を利用した撮像装置に内蔵
され、当該撮像装置の小型化および製造コストの低減化
を図ることができる光学素子、例えば近赤外の波長領域
の光をカットする色補正フィルター(近赤外吸収フィル
ター)機能と、被写体に起因して生じる疑似色信号を除
去するオプティカルローパスフィルター機能とを兼ね備
えた光学素子、あるいは、カバーガラスとしての機能
と、近赤外の波長領域の光をカットする色補正フィルタ
ー(近赤外吸収フィルター)機能とを兼ね備えた光学素
子などに好適に用いられる精密成形用リン酸塩ガラス、
およびそれを用いた光学素子を提供することを目的とす
るものである。
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、リン酸塩ガラ
スの組成を特定のものにすることにより、近赤外吸収フ
ィルターとして有用な400〜520nmにおける高透
過特性と、520nm以上の波長の光を選択的に吸収
し、かつ、固体撮像デバイスにおけるカバーガラスとし
て使用するに有用な高い耐候性を有し、しかも、プレス
成形し得る低いTsを有するガラスが得られることを見
出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
有量が50重量%未満であり、かつ酸化銅を含有するこ
とを特徴とする精密成形用リン酸塩ガラス、(2)上記
精密成形用リン酸塩ガラスからなる光学素子、および、
(3)上記精密成形用リン酸塩ガラスをプレス成形し
て、表面に回折格子を有する光学素子を得ることを特徴
とする光学素子の製造方法、を提供するものである。
スは、上述したように酸化リンを50重量%未満の割合
で含有し、かつ、酸化銅を含有するリン酸塩ガラスであ
る。酸化リンは、400〜520nmの波長域の光を高
い透過率の下に透過させるとともに、Cu2+による70
0nm以上の波長域の光を選択的に吸収するといった透
過特性を発現させるのに最も好ましいガラス網目形成成
分である。この酸化リンの含有量が50重量%以上では
耐候性が低下し、本発明の目的とするガラスが得られな
い。また、含有量が低すぎると所望の透過特性が得られ
ない上、結晶化傾向が強くなり、安定した製造が困難に
なる。耐候性、透過特性および結晶化などを考慮する
と、酸化リンの好ましい含有量は35%以上50%未満
であり、特に37〜49重量%の範囲が好適である。
るための必須成分であり、その含有量は0.2〜10重
量%の範囲が好ましい。この含有量が0.2重量%未満
では近赤外域の光の吸収性が不十分であるし、10重量
%を超えると結晶化傾向が強まり、安定な生産が困難と
なる。近赤外域の光の吸収性および生産性を考慮する
と、酸化銅のより好ましい含有量は0.2〜8重量%の
範囲である。
る酸化リンおよび酸化銅を除いた組成は、当該精密成形
用リン酸塩ガラスの用途などに応じて適宜選択可能であ
るが、プレス成形が容易なガラス、すなわち、屈伏点
(Ts)が600℃以下、より好ましくは500℃以下
のガラスが得られるように選択することが望ましい。
ラスを得るうえからは、酸化亜鉛を17〜48重量%の
範囲で含有させることが好ましい。この含有量が17重
量%未満では良好な耐候性、所望のTsおよび良好な熔
解性が得られにくいし、48重量%を超えると結晶化傾
向が強くなり、安定した生産が困難となる。耐候性、T
s、熔解性および生産性などを考慮すると、酸化亜鉛の
より好ましい含有量は20〜45重量%の範囲である。
KまたはCsについての酸化物)は、ガラスの熔解性を
向上させ、かつTsを低くするとともに、良好な透過特
性をもたらす成分であるので、必要に応じて含有させる
ことが好ましい。
セシウムそれぞれの含有量は、酸化リチウムについては
0〜5重量%、酸化ナトリウムについては0〜10重量
%、酸化セシウムについては0〜15重量%の範囲が好
ましい。酸化リチウムの含有量が5重量%を超えたり、
酸化ナトリウムの含有量が10重量%を超えたり、酸化
セシウムの含有量が15重量%を超えると、耐候性が低
下し、かつ結晶化傾向も強くなるおそれがある。耐候性
および結晶化などを考慮すると、より好ましい含有量は
酸化リチウムが0〜4重量%、酸化ナトリウムが0〜7
重量%、酸化セシウムが0〜10重量%の範囲である。
さらに、酸化カリウムは、アルカリ金属酸化物の中で、
耐失透性を最も向上させるとともに、ガラスの熔解性を
向上させる成分であって、しかも耐候性を低下させずに
多く添加することができる。また、他のアルカリ金属酸
化物と比べて比較的多く添加が可能であるため、Tsを
下げる効果もある。酸化カリウムの含有量は0〜18重
量%の範囲が好ましく、18重量%を超えると耐候性が
低下する傾向がみられる。耐失透性、熔解性、Tsおよ
び耐候性などを考慮すると、より好ましい酸化カリウム
の含有量は0〜15重量%の範囲である。
化カリウムおよび酸化セシウムの合計含有量、すなわち
アルカリ金属酸化物の含有量は0〜18重量%の範囲に
あるのが好ましい。この含有量が18重量%を超えると
耐候性が大きく低下するおそれがある。耐候性、熔解
性、耐失透性、Tsおよび結晶化などを考慮すると、ア
ルカリ金属酸化物のより好ましい含有量は0.5〜15
重量%の範囲である。
Ca,SrまたはBaについての酸化物)は、少量の添
加によって耐候性を向上させる成分であるので、必要に
応じて含有させることが好ましい。
酸化ストロンチウムそれぞれの含有量は、酸化マグネシ
ウムについては0〜5重量%、酸化カルシウムについて
は0〜7重量%、酸化ストロンチウムについては0〜7
重量%の範囲が好ましい。酸化マグネシウムの含有量が
5重量%を超えたり、酸化カルシウムの含有量が7重量
%を超えたり、酸化ストロンチウムの含有量が7重量%
を超えるとガラスの熔解性および耐失透性が低下するお
それがある。耐候性、熔解性および耐失透性などを考慮
すると、より好ましい含有量は、酸化マグネシウム、酸
化カルシウムおよび酸化ストロンチウムのいずれについ
ても0〜5重量%の範囲である。また、酸化バリウムは
少量の添加で特に耐候性を向上させるのに有効な成分で
あって、その含有量は0〜10重量%の範囲が好まし
く、10重量%を超えるとガラスの熔解性が低下するお
それがある。耐候性および熔解性などを考慮すると、酸
化バリウムのより好ましい含有量は0〜8重量%の範囲
である。
ストロンチウムおよび酸化バリウムの合計含有量、すな
わちアルカリ土類金属酸化物の含有量は0〜15重量%
の範囲が好ましい。この含有量が15重量%を超えると
ガラスの熔解性および化学的耐久性が低下するおそれが
ある。耐候性、耐失透性、熔解性、化学的耐久性などを
考慮すると、アルカリ土類金属酸化物のより好ましい含
有量は1.5〜12重量%の範囲である。
ルカリ土類金属酸化物との合計含有量は、1〜35重量
%の範囲とすることが好ましい。この含有量が1重量%
未満では熔解性や耐候性を向上させる効果が十分に発揮
されないし、35重量%を超えると耐候性が低下する。
熔解性および耐候性などを考慮すると、アルカリ金属酸
化物とアルカリ土類金属酸化物との合計含有量は3〜2
4重量%の範囲がより好ましく、特に3〜21重量%の
範囲が好適である。
分であるので、0〜5重量%の範囲で含有させることが
好ましい。酸化アルミニウムの含有量が5重量%を超え
ると結晶化傾向が強くなり、ガラスの熔解性が低下する
とともに、Tsが大きくなる。耐候性、熔解性、Tsな
どを考慮すると、酸化アルミニウムのより好ましい含有
量は0.3〜3重量%の範囲である。
化学的耐久性を向上させる成分であるので、それぞれ0
〜15重量%および0〜7重量%の範囲で含有させるこ
とが好ましい。酸化インジウムの含有量が15重量%を
超えたり、酸化スカンジウムの含有量が7重量%を超え
ると結晶化の傾向が強くなり、ガラスの熔解性が低下す
るとともに、Tsが大きくなるおそれがある。化学的耐
久性、熔解性、Tsなどを考慮すると、より好ましい酸
化インジウムの含有量は0〜10重量%、酸化スカンジ
ウムのより好ましい含有量は0〜5重量%の範囲であ
る。
効果を有する成分であり、アルカリ金属酸化物の含有量
が10モル%より少ない場合に酸化ヒ素を添加すると4
00nm付近の波長の光の透過率を向上させる効果が顕
著になるため、添加するのが有利である。その含有量は
0〜7重量%の範囲が好ましく、7重量%を超えると結
晶化傾向が強くなるとともに、耐候性が低下するおそれ
がある。着色の安定性、透過率、結晶化、耐候性などを
考慮すると、酸化ヒ素のより好ましい含有量は0.05
〜7重量%の範囲である。
解性を良くし、低い温度でガラスを熔解させ得るように
する成分であると共に、400nm付近の透過率を向上
させる成分であり、0〜20重量%の範囲で含有させる
ことができる。この含有量が20重量%を超えると安定
性や耐候性が低下する上、酸化鉛による吸収によって紫
外域の透過率が低下する。熔解性、透過率、安定性、耐
候性などを考慮すると、酸化鉛のより好ましい含有量は
0〜15重量%の範囲である。
ては、上述した必須成分および任意成分の合計含有量を
80重量%以上とすることが好ましい。この合計含有量
が80重量%未満では、65℃−90%相対湿度下に保
持した際に良好な耐候性が得られなかったり、Tsが高
くなったりする。耐候性およびTsなどを考慮すると、
上記の合計含有量は90重量%以上であるのが特に好ま
しい。
れ前述した範囲内で含有させておけば、他の任意成分と
して、例えば酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化ガ
ドリニウム、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化タン
タル、酸化タングステン、酸化スズ、酸化アンチモン、
酸化セリウム、酸化ガリウム、酸化ビスマス、酸化ルビ
ジウム、フッ素、酸化硫黄などを、耐候性を低下させな
いで、適宜含有させることができる。
性の低下をもたらさない点から、酸化ランタン、酸化イ
ットリウム、酸化ガリウムおよび酸化硫黄はそれぞれ0
〜3重量%、酸化ガドリニウム、酸化ゲルマニウム、酸
化ニオブ、酸化スズおよび酸化ルビジウムはそれぞれ0
〜5重量%、酸化タンタル、酸化タングステンおよび酸
化ビスマスはそれぞれ0〜7重量%、酸化アンチモンは
0〜10重量%、酸化セリウムは0〜2重量%、フッ素
は0〜20重量%とすることが好ましい。
酸化リンからの置換により0〜15重量%の範囲で含有
させることができる。この含有量が15重量%を超える
と紫外域の透過率が悪くなったり、耐候性が低下する。
より好ましい含有量は0〜10重量%の範囲である。
イ素、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンを、それぞれ
0〜4重量%の範囲で含有させることができる。これら
は耐候性を向上させる成分であって、その含有量が、そ
れぞれ4重量%を超えるとTsが大きくなったり、ガラ
スの耐失透性が低下する。耐候性、Tsおよび耐失透性
などを考慮すると、より好ましい含有量は、それぞれ0
〜2重量%の範囲である。
形用リン酸塩ガラスは、(1)400〜520nmの波
長域の光に対し、高い透過率を示すとともに、520n
mを超える波長域の光を選択的に吸収する、(2)プレ
ス成形によって表面に回折格子を形成させるのに有利
な、十分に低いTsを有する、(3)65℃−90%相
対湿度下において、ガラス表面にヤケが発生するまでの
時間が800時間以上であり、長期間使用するのに十分
な耐候性を有する、などの特性を有するものを容易に得
ることができるので、各種光学素子、例えば固体撮像素
子を利用した撮像装置に用いられる近赤外吸収フィルタ
ー,位相型オプティカルローパスフィルター,カバーガ
ラス(固体撮像デバイスにおけるカバーガラスを含
む。)などの光学素子の材料として好適である。特に、
耐候性については前記の時間が1000時間以上のもの
を比較的容易に得ることができる。
ガラスからなる光学素子をも提供するものである。本発
明の光学素子としては、撮像装置などに用いられる近赤
外吸収フィルター,位相型オプティカルローパスフィル
ター,カバーガラス(固体撮像デバイスにおけるカバー
ガラスを含む。)などを挙げることができる。
ターは、その表面に回折格子が形成されているものであ
り、当該回折格子の形状などについては、所望の特性に
より適宜決定することができる。上記の回折格子は、例
えば、前述した本発明の精密成形用リン酸塩ガラスを所
定形状に研磨加工してなるガラス板を、回折格子の形状
を有する鋳型を用いてプレス成形することにより、ガラ
ス板の片面又は両面に形成させることができるし、ホト
リソグラフィー技術により形成することもできる。これ
らの方法の中でも本発明の方法、すなわち、前述した本
発明の精密成形用リン酸塩ガラスをプレス成形して、表
面に回折格子を有する光学素子を得るという方法によれ
ば、プレス成形後において特別の加工を必要としない面
精度を有するものが効率よく得られる。このような本発
明の光学素子を撮像装置に用いることにより、当該撮像
装置のの小型化や製造コストの低減化を図ることが容易
になる。
明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものでは
ない。 実施例1〜23および比較例1〜3 表1〜表10に示すガラス組成になるように、原料とし
て、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、酸化物、フッ化物、リ
ン酸塩などを用いた。例えば、実施例14では、原料と
して、H3PO4 、Al(OH)3 、KNO3 、CsN
O3 、BaCO3、CaCO3 、ZnO、As2O3 およ
びCuOの高純度原料を用いた。まず、各原料をよく混
合したのち、炉内からの不純物の混入を防ぐために窒素
ガスを流しながら、白金製坩堝を用いて900〜128
0℃で溶融し、撹拌、脱泡、均質化を行い、次いで予熱
しておいた金型に鋳込み、徐冷することにより、それぞ
れガラスブロックを得た。
(Ts)および耐候性を下記の方法に従って求めた。T
sおよび耐候性を表2、表4、表6、表8および表10
に示す。 (1)透過率曲線 島津製作所社製の分光光度計 UV3101−PCを用
いて求めた。 (2)屈伏点(Ts) 熱機械分析装置により測定した。 (3)耐候性 ガラスブロックから、厚さ1mmに鏡面研磨したサンプ
ルを作製し、加速試験条件(65℃−90%相対湿度
下)に保持し、ガラス表面にヤケが観察されるまでの時
間を求めた。
0nmの波長の光の透過率が4.5%になるように肉厚
調整を行ったときの透過率曲線より、400〜500n
mの波長域の光の透過率が80%以上で、可視光を極め
て良好に透過させるとともに、600nm〜近赤外域の
光を選択的に吸収することが確認された。したがって、
近赤外吸収フィルター用ガラスとして有用であることが
明らかとなった。なお、実施例14のガラスおよび比較
例1のガラスの透過率曲線を図4に示す。また、実施例
1〜23のガラスは、表に示すように、耐候性の促進試
験の結果、ガラス表面にヤケが認められるまでに800
時間以上を要し、極めて優れた耐候性を有することが分
かる。さらに、いずれもTsが500℃以下であり、プ
レス成形によって容易に回折格子を形成しうることが分
かる。
42438号公報における実施例4のリン酸塩系ガラス
であって、酸化リンを75.5重量%と多量に含有する
とともに、酸化アルミニウムを比較的多量に含むガラス
である。比較例2のガラスは、特開平4−104918
号公報における実施例10のリン酸塩系ガラスである。
そして、比較例3のガラスは、酸化リンの含有量が5
1.5重量%であって、本発明で規定する範囲を超えて
いるガラスである。
かのように、耐候性試験において、比較例1では255
時間、比較例2では189時間と短時間でガラス中の成
分が溶出し始め、ヤケの進行が速い。また、これらのガ
ラスは、酸化リンの含有量が多く、かつ酸化アルミニウ
ムが比較的多く含まれているため、Tsが大きい。この
ことは、プレス成形により回折格子を形成させようとし
た場合、Tsが大きいためにプレス温度が高くなり、プ
レス成形型の劣化の促進をもたらしたり、精密なガラス
面が得られにくいことを意味している。また、比較例3
のガラスは、Tsは低いものの、耐候性が著しく劣って
いる。
す方法に従って、表面に回折格子を形成した近赤外吸収
フィルターを作製した。まず、ガラスブロックの良品部
分を選塊し、7.3×7.8mmサイズ、厚さ2mmの
形状に研磨加工して、プリフォームを作製した。次に、
所定の格子形状とスパッタリングにより形成されたカー
ボン膜(離型膜)とを有する石英ガラス製の型を使用
し、上記プリフォームを、490℃にて20kg/cm
2 の圧力でプレスして、該プリフォームの片面に、凸状
の回折格子を有する7.3×7.8mmサイズ、厚さ2
mmの近赤外吸収フィルターを作製した。図5に示すよ
うに、このフィルター10の表面に形成された回折格子
11は、断面形状が凸状の台形を有しており、台形の高
さが0.44μm、ピッチが0.9mmの精密な回折格
子であった。また、Tsが448℃と十分に低いため
に、型などの破損はみられなかった。
得られない優れた耐候性と透過特性および低いTsを有
するものを得ることが容易なものであり、撮像装置に用
いられる光学素子、例えば近赤外線吸収フィルター,色
補正フィルター機能とオプティカルローパスフィルター
機能を兼ね備えた位相型オプティカルローパスフィルタ
ー、あるいはカバーガラスとしての機能と色補正フィル
ター機能を兼ね備えたカバーガラスなどの光学素子の材
料として好適である。本発明のリン酸塩ガラスからなる
上記光学素子を、固体撮像素子を利用した撮像装置に用
いることにより、当該撮像装置の小型化や製造コストの
低減化を図ることができる。
成の1例を示す説明図である。
び製造コストの低減化を図るための構成の1例を示す説
明図である。
の低減化を図るための構成の別の例を示す説明図であ
る。
透過率曲線を示すグラフである。
形成されている回折格子の概略を示す断面図である。
フィルター 8 近赤外吸収能を有する窓材(カバーガラス) 10 近赤外吸収フィルター 11 回折格子
Claims (10)
- 【請求項1】 酸化リンの含有量が50重量%未満であ
り、かつ、酸化銅を含有することを特徴とする精密成形
用リン酸塩ガラス。 - 【請求項2】 屈伏点(Ts)が500℃以下である、
請求項1に記載の精密成形用リン酸塩ガラス。 - 【請求項3】 酸化亜鉛を17〜48重量%含有する、
請求項1または請求項2に記載の精密成形用リン酸塩ガ
ラス。 - 【請求項4】 重量基準で、酸化リンを35%以上50
%未満、酸化亜鉛を17〜48%、アルカリ金属酸化物
を0〜18%(ただし、酸化リチウム0〜5%、酸化ナ
トリウム0〜10%、酸化カリウム0〜18%、酸化セ
シウム0〜15%)、アルカリ土類金属酸化物を0〜1
5%(ただし、酸化マグネシウム0〜5%、酸化カルシ
ウム0〜7%、酸化ストロンチウム0〜7%、酸化バリ
ウム0〜10%)、アルカリ金属酸化物とアルカリ土類
金属酸化物を合計で1〜35%、酸化アルミニウムを0
〜5%、酸化インジウムを0〜15%、酸化スカンジウ
ムを0〜7%、酸化ヒ素を0〜7%、酸化鉛を0〜20
%、酸化銅を0.2〜10%含有し、かつ、これらの合
計含有量が80%以上である、請求項1〜請求項3のい
ずれか1項に記載の精密成形用リン酸塩ガラス。 - 【請求項5】 重量基準で、酸化リンを37〜49%、
酸化亜鉛を20〜45%、アルカリ金属酸化物を0.5
〜15%(ただし、酸化リチウム0〜4%、酸化ナトリ
ウム0〜7%、酸化カリウム0〜15%、酸化セシウム
0〜10%)、アルカリ土類金属酸化物を1.5〜12
%(ただし、酸化マグネシウム0〜5%、酸化カルシウ
ム0〜5%、酸化ストロンチウム0〜5%、酸化バリウ
ム0〜8%)、アルカリ金属酸化物とアルカリ土類金属
酸化物を合計で3〜24%、酸化アルミニウムを0.3
〜3%、酸化インジウムを0〜10%、酸化スカンジウ
ムを0〜5%、酸化ヒ素を0.05〜7%、酸化鉛を0
〜15%および酸化銅を0.2〜8%含有し、かつ、こ
れらの合計含有量が90%以上である請求項4に記載の
精密成形用リン酸塩ガラス。 - 【請求項6】 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の
精密成形用リン酸塩ガラスからなることを特徴とする光
学素子。 - 【請求項7】 表面に回折格子が形成されている、請求
項6に記載の光学素子。 - 【請求項8】 オプティカルローパスフィルターであ
る、請求項6または請求項7に記載の光学素子。 - 【請求項9】 固体撮像素子を備えた撮像装置における
前記の固体撮像素子用のカバーガラスである、請求項6
〜請求項8のいずれかに記載の光学素子。 - 【請求項10】 請求項1〜請求項5のいずれかに記載
の精密成形用リン酸塩ガラスをプレス成形して、表面に
回折格子を有する光学素子を得ることを特徴とする光学
素子の製造方法。
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