JPH11267898A - シーム加工機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スライド部材の上昇速度を速くすることが可
能であり、モータ寿命の延長を図ることができる構成と
されたシーム加工機を提供する。 【解決手段】 本発明の請求項１に係るシーム加工機
は、上下動作させられるスライド部材４と連結して設け
られた空気圧バランサ１０を具備しており、この空気圧
バランサ１０は、上昇動作中のスライド部材４に対して
上昇力を付加する一方、下降動作中のスライド部材４に
対して無抵抗となるものであることを特徴とする。本発
明の請求項２に係るシーム加工機は、請求項１に記載し
たスライド部材４がモータ６でもって駆動されるボール
ネジ８を用いたうえで上下動作させられるものであるこ
とを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、缶体部品を製作す
る際に使用されるシーム加工機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、金属薄板を折り曲げ成形して
なる缶体部品を製作する際にはシーム加工機を使用する
ことが一般的に行われており、シーム加工機の一例とし
ては図５で主要部を例示するような構成とされたものが
ある。すなわち、このシーム加工機は、缶体部品Ｓを製
作するための金属薄板が載置されるベース１と、その上
方位置に離間して配設された天板２と、ベース１上に立
設されて天板２を固定支持する左右一対のタイロッド３
と、これらのタイロッド３でもって上下方向に沿う摺動
自在として保持されたスライド部材４とを具備してお
り、スライド部材４にはベース１と対面するコア金型５
が吊り下げ状態として固定支持されている。

【０００３】そして、この際における天板２の所定位置
上にはモータ６が固定支持されており、カップリング７
を介してモータ６と連結されたボールネジ８は、モータ
６の回転駆動に伴ってスライド部材４を上下動作（上下
摺動）させるものとなっている。つまり、このボールネ
ジ８はモータ６の正転動作に伴ってスライド部材４を下
降動作させる一方、モータ６の逆転動作に伴ってスライ
ド部材４を上昇動作させる機能を実現している。従っ
て、スライド部材４とともに下降動作してきたコア金型
５によっては、金属薄板を折り曲げ成形し、かつ、締結
したうえで缶体部品Ｓを製作することが実行される。な
お、スライド部材４の移動方向とモータ６の回転方向と
の関係が上記に限られることはなく、上記とは逆の関係
であってもよいことは勿論である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記従来構
成とされたシーム加工機においては、上昇動作中のスラ
イド部材４及びコア金型５の全重量がカップリング７及
びボールネジ８を介したうえでモータ６に対する負荷と
して加わることになっている。そのため、モータ６の逆
転動作に伴って上昇動作するスライド部材４の上昇速度
が遅くなって生産効率の低下を招くことがあり、また、
過負荷となるモータ６の寿命が短縮化されてしまうとい
うような不都合が生じていた。

【０００５】本発明は、このような不都合に鑑みて創案
されたものであって、スライド部材の上昇速度をもっと
速くすることが可能であり、モータ寿命の延長を図るこ
とができる構成とされたシーム加工機の提供を目的とし
ている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１に係る
シーム加工機は、上下動作させられるスライド部材と連
結して設けられた空気圧バランサを具備しており、この
空気圧バランサは、上昇動作中のスライド部材に対して
上昇力を付加する一方、下降動作中のスライド部材に対
して無抵抗となるものであることを特徴としている。本
発明の請求項２に係るシーム加工機は、請求項１に記載
したスライド部材がモータでもって駆動されるボールネ
ジを用いたうえで上下動作させられるものであることを
特徴とする。

【０００７】上記構成によれば、上昇動作中のスライド
部材に対しては空気圧バランサから上昇力が付加されて
いるので、スライド部材を上昇動作させるモータに対し
て加わる負荷は空気圧バランサによって付加される上昇
力の分だけ軽減されることになる。また、この空気圧バ
ランサが下降動作中のスライド部材に対する抵抗とはな
らず、空気圧バランサを設けたこと自体がモータに対す
る負荷として作用する恐れもないので、スライド部材の
上昇速度をもっと速くしながらモータ寿命の延長を図る
ことが可能になるという利点が確保される。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。

【０００９】図１は本実施の形態に係るシーム加工機の
主要部構成を例示する説明図、図２は本実施の形態に係
る空気圧バランサの配管系統を示す回路構成図、図３は
スライド部材の上昇時状態を示す説明図であり、図４は
スライド部材の下降時状態を示す説明図である。なお、
シーム加工機の基本構成は従来の形態と異ならないの
で、図１ないし図４の各々において図５と同一もしくは
相当する部品、部分には同一符号を付している。

【００１０】本実施の形態に係るシーム加工機は、従来
の形態と同様、缶体部品Ｓとなる金属薄板が載置される
ベース１と、その上方位置に離間して配設された天板２
と、ベース１上に立設されて天板２を固定支持するタイ
ロッド３と、これらのタイロッド３でもって上下方向に
沿う摺動自在として保持され、かつ、ベース１と対面す
るコア金型５が固定支持されたスライド部材４とを具備
している。そして、天板２の所定位置上に固定支持され
たモータ６と、スライド部材４を上下動作（上下摺動）
させるボールネジ８とはカップリング７を介したうえで
互いに連結されており、ボールネジ８はモータ６の正転
動作に伴ってスライド部材４を下降動作させる一方、モ
ータ６の逆転動作に伴ってスライド部材４を上昇動作さ
せることになっている。

【００１１】なお、ここでは、モータ６でもって駆動さ
れるボールネジ８を用いたうえでスライド部材４が上下
動作させられる構成を採用しているが、このような構成
に限定されることはないのであり、例えば、図示省略し
ているが、天板２上に立設された大型サイズの空気圧シ
リンダや、ラックピニオン機構などでもってスライド部
材４を上下動作させる構成を採用してもよいことは勿論
である。

【００１２】さらに、本実施の形態に係るシーム加工機
は図２で配管系統を示すような回路構成とされた空気圧
バランサ１０を具備しており、モータ６を挟んで対向す
る天板２上の所定位置ごとには左右一対の空気圧シリン
ダ１１がそれぞれ立設されている。そして、これら空気
圧シリンダ１１のシリンダロッド１１ａは、天板２を上
下方向に沿って貫通したうえ、上下動作させられるスラ
イド部材４と連結されている。また、この天板２上に
は、各空気圧シリンダ１１のロッド側ポートＡそれぞれ
と分岐部１２を介したうえで共通に接続された空気タン
ク１３が配設されており、所定の大容量とされた空気タ
ンク１３と圧縮空気源１４とを接続する配管中には、精
密リリーフレギュレータといわれるような排気形減圧弁
１５、つまり、一方向から供給される空気の圧力が設定
値を超えると空気の通過を許容し、他方向からの空気に
ついては無条件で外部へ放出する構成とされた排気形減
圧弁１５が介装されている。

【００１３】従って、排気形減圧弁１５の設定圧力を２
Ｋｇｆ／ｃｍ²としておいた場合、圧縮空気源１４から
供給されてきた圧縮空気は２Ｋｇｆ／ｃｍ²の圧力を維
持しながら空気タンク１３でもって蓄えられていること
になる。なお、この際における各空気圧シリンダ１１の
ヘッド側ポートＢは解放状態となっており、各空気圧シ
リンダ１１のヘッド側シリンダチューブ内に対する空気
の出入は自由となっている。

【００１４】つぎに、図３に基づき、本実施の形態に係
るシーム加工機が具備しているスライド部材４の上昇工
程を説明する。

【００１５】まず、モータ６の逆転動作に伴ってスライ
ド部材４が上昇動作させられると、スライド部材４の上
昇動作に追従してシリンダロッド１１ａが強制的に上昇
動作させられることになり、各空気圧シリンダ１１のロ
ッド側シリンダチューブ内には２Ｋｇｆ／ｃｍ²の圧力
を維持した圧縮空気がロッド側ポートＡから流入するこ
とになる。そして、流入した圧縮空気がシリンダピスト
ンを上昇させる結果、シリンダロッド１１ａはさらに上
昇動作することになり、上昇動作中のスライド部材４に
対しては上昇力が付加される。そこで、空気圧シリンダ
１１などから構成された空気圧バランサ１０はスライド
部材４の上昇動作を援助するためのバランサ機能を発揮
していることになり、このスライド部材４を上昇動作さ
せているモータ６に対して加わる負荷は空気圧バランサ
１０によって付加されている上昇力の分だけ軽減される
ことになる。

【００１６】ところで、この際、圧縮空気が流入してい
る空気圧シリンダ１１における解放状態のヘッド側ポー
トＢからはヘッド側シリンダチューブ内の空気が自然放
出されるので、上昇動作中のスライド部材４に対する抵
抗として空気圧バランサ１０が作用することは起こら
ず、各空気圧シリンダ１１はほとんど無抵抗な状態で上
昇動作することになる。また、空気タンク１３には所定
圧力、例えば、２Ｋｇｆ／ｃｍ²の圧縮空気が蓄えられ
ているので、スライド部材４が高速で上昇動作した際に
おいても、各空気圧シリンダ１１に対する圧縮空気の供
給は十分に賄えることとなっている。

【００１７】さらに、図４に基づき、本実施の形態に係
るシーム加工機が具備しているスライド部材４の下降工
程を説明する。

【００１８】すなわち、モータ６の正転動作に伴ってス
ライド部材４が下降動作すると、シリンダロッド１１ａ
も追従して下降動作させられる結果、各空気圧シリンダ
１１のロッド側シリンダチューブ内にある空気は圧縮さ
れることになるが、圧縮された空気は分岐部１２及び空
気タンク１３を介したうえで排気形減庄弁１５へと流れ
込むことになり、この排気形減庄弁１５に流れ込んだ空
気はそのまま外部へと放出されてしまう。従って、空気
バランサ１０がスライド部材４の下降動作を妨げる抵抗
として作用することは起こり得ず、この空気圧バランサ
１０が下降動作中のスライド部材４に対して全く無抵抗
であるため、スライド部材４は何らの抵抗も受けずに下
降動作し続けることになる。

【００１９】

【発明の効果】本発明に係るシーム加工機によれば、上
昇動作中のスライド部材に対しては空気圧バランサから
上昇力が付加されているので、スライド部材を上昇動作
させるモータに対して加わる負荷は空気圧バランサによ
って付加される上昇力の分だけ軽減されていることにな
る。そのため、スライド部材の上昇速度をもっと速くし
て生産効率の向上を図るとともに、モータ寿命の延長を
実現できるという効果が得られる。なお、空気圧バラン
サは下降動作中のスライド部材に対して無抵抗となるか
ら、この空気圧バランサを設けたこと自体がモータに対
する負荷として作用する恐れもなく、上記効果を確保し
得ることは明らかである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施の形態に係るシーム加工機の主要部構成
を例示する説明図である。

【図２】本実施の形態に係る空気圧バランサの配管系統
を示す回路構成図である。

【図３】本実施の形態に係るシーム加工機が具備するス
ライド部材の上昇時状態を示す説明図である。

【図４】本実施の形態に係るシーム加工機が具備するス
ライド部材の下降時状態を示す説明図である。

【図５】従来の形態に係るシーム加工機の主要部構成を
例示する説明図である。

【符号の説明】

４ スライド部材 ６ モータ ８ ボールネジ １０ 空気圧バランサ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上下動作させられるスライド部材と連結し
   て設けられた空気圧バランサを具備しており、この空気
   圧バランサは、上昇動作中のスライド部材に対して上昇
   力を付加する一方、下降動作中のスライド部材に対して
   無抵抗となるものであることを特徴とするシーム加工
   機。
2. 【請求項２】請求項１記載のシーム加工機であって、 スライド部材はモータでもって駆動されるボールネジを
   用いたうえで上下動作させられるものであることを特徴
   とするシーム加工機。