JPH11267450A - 廃ガス精製方法及び廃ガス精製装置 - Google Patents

廃ガス精製方法及び廃ガス精製装置

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JPH11267450A
JPH11267450A JP10078082A JP7808298A JPH11267450A JP H11267450 A JPH11267450 A JP H11267450A JP 10078082 A JP10078082 A JP 10078082A JP 7808298 A JP7808298 A JP 7808298A JP H11267450 A JPH11267450 A JP H11267450A
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gas
waste gas
hydrogen sulfide
aqueous solutions
aqueous solution
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JP10078082A
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Takeshi Nakamura
雄志 中村
Tetsuo Tanjiyo
哲夫 丹所
Takeshi Kasai
武 笠井
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SANKYO PROCESS SERVICE KK
Kioritz Corp
Original Assignee
SANKYO PROCESS SERVICE KK
Kioritz Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭酸ガスとメタン等の燃料ガスとを主成分と
する消化ガス等の廃ガスから、有害不純成分である硫化
水素、塩化水素もしくは青酸ガス、及び、アンモニア
を、所定濃度以下となるまで合理的かつ確実に除去でき
る廃ガス精製方法を提供する。 【解決手段】 メタン等の燃料ガス成分と炭酸ガスとに
加えて、有害不純成分である硫化水素、塩化水素もしく
は青酸ガス、及び、アンモニアを含む廃ガスを、順次、
各種アミン水溶液、アルカリ炭酸塩とアルカリ重炭酸塩
の混合水溶液、及び、フェノール類、キセノール類、も
しくはアミノ酸類の水溶液に接触させるとともに、前記
各水溶液のpH値を9.0以下に維持することにより、
前記各有害不純成分を前記各水溶液に選択的に吸収させ
て、前記廃ガスから前記各有害不純成分をそれぞれ所定
濃度以下となるまで除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、コークス
製造工程で発生する所謂コークス炉ガス、各種産業廃ガ
ス、バイオリアクター等と呼ばれる発酵槽等から発生す
る所謂消化ガス等の、メタン等の燃料ガス成分と炭酸ガ
スとを主成分とする廃ガスから、有害不純成分である硫
化水素、塩化水素もしくは青酸ガス、及び、アンモニア
をそれぞれ所定濃度以下となるまで除去して、燃料電池
用、都市ガス用、焼却炉用、ガスエンジン用、ガスター
ビン用やボイラー用等に使用できる燃料ガスを得るため
の廃ガス精製方法及び廃ガス精製装置に関する。
【0002】
【従来の技術】各種製造工場や食品加工工場等において
発生するメタンガス等の廃ガスは、そのまま外部に放出
すると、環境汚染等の問題を生じることが多く、また、
燃料ガス等として使用できる有益な成分も含まれている
こともあって、その処理が課題となっている。例えば、
コークス製造工程で発生するコークス炉ガスには、水
素、一酸化炭素とメタン等の燃料ガス成分に加えて、硫
化水素、青酸ガス、アンモニア、炭酸ガス等の有害不純
成分が含まれるが、このコークス炉ガスは、従来、それ
に含まれる前記有害不純成分が除去され、さらに、クレ
オソート油等の有益成分が回収された後、水素濃度がリ
ッチな低カロリー都市ガス用として、もしくは、天然ガ
ス希釈用として使用され、さらには、炭酸ガスと一酸化
炭素とが除去された後、アンモニア合成用水素原料とし
て使用されてきた。
【0003】また、例えば、屎尿処理場においては、有
機質を多量に含む汚泥や汚水を嫌気性発酵させる消化槽
から、メタンと炭酸ガスを主成分とする、所謂消化ガス
が発生するが、この消化ガスは、それに含まれる微量の
硫化水素が除去された後、場内のボイラー補助燃料とし
て使用されてきた。
【0004】一方、最近の産業排水処理施設において
は、汚泥処理や濃厚な有機廃水処理用に、高度の嫌気性
発酵を可能にする各種のバイオリアクターが使用されて
いる。このバイオリアクターからは、炭酸ガス及びメタ
ンを主成分とし、有害不純成分として硫化水素、塩化水
素、及び、アンモニアが含まれる消化ガスの一種であ
る、所謂バイオガスが発生する。このバイオガスを、有
益な燃料ガス、例えば燃料電池用の燃料ガスとして使用
するためには、ガス中に含まれる前記有害不純成分であ
る硫化水素、塩化水素、及び、アンモニアを、それぞれ
所定濃度以下となるまで除去する必要がある。つまり、
前記有害不純成分である硫化水素、塩化水素、及び、ア
ンモニアは、燃焼させても、臭いの問題や燃料電池を腐
食させる問題等が残るので、できるだけ除去することが
望まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、前記した如くの
コークス炉ガスや消化ガス等の、低圧の炭酸ガス共存下
でメタン等の燃料ガス成分を含んだ廃ガスの有効利用を
図るべく、それから有害不純成分である硫化水素、塩化
水素もしくは青酸ガス、及び、アンモニアを除去する方
法が各種提案されているが、従来提案されている方法で
は、以下に述べる如くの問題があった。
【0006】前記廃ガス中から硫化水素を除去する方
法としては、タイロックス法、タカハックス法、ベトロ
コーク法等が知られているが、これらの各方法では、5
0〜60%の含水率の汚泥状の硫黄が副生し、この硫黄
の処理が難しい。
【0007】前記廃ガス中から塩化水素を除去する方
法としては、苛性ソーダ水溶液を用いた方法が知られて
いるが、この方法では、苛性ソーダが廃ガス中の他の酸
性ガス成分とも同時反応を起こし、不溶性のロダン酸
塩、重炭酸塩、食塩、チオ硫酸塩等が処理装置内で析出
して、閉塞事故を起こし、これを防止するには、定期的
に排水して、ガス吸収液中の前記各塩濃度を溶解度以下
となす、面倒な処理が必要であり、これ以外に解決方法
がなかった。
【0008】前記廃ガス中からアンモニアを除去する
方法としては、希硫安又は希燐安水溶液を用いた方法が
知られているが、この方法では、硫安又は燐安という有
益な副産物が得られるが、その量が極めて少量のため商
業的な成算が立たず、廃棄処分にせざるを得ない。
【0009】硫化水素の処理方法として、それを燃焼
させて高純度硫黄として回収するクラウス法が知られて
いるが、硫化水素の排出量が日量で1トン以上ある場合
には、前記希燐安水溶液を用いた方法と前記クラウス法
とを組み合わせて、廃ガス中の硫化水素とアンモニアと
を同時に希燐安水溶液に吸収させて、加熱することによ
り、硫化水素とアンモニアとを回収後、前記クラウス法
で溶融硫黄を回収し、アンモニアを二酸化窒素と水蒸気
に分解する方法が採用できる。しかしながら、この方法
は、濃度が1ppm程度のアンモニアを含有する消化ガ
ス等の処理には適用できない。
【0010】本発明は、前記した如くの廃ガスの処理に
関する問題を解消すべくなされたもので、その目的とす
るところは、炭酸ガス共存下でメタン等の燃料ガスとを
主成分とする消化ガス等の廃ガスから、有害不純成分で
ある硫化水素、塩化水素もしくは青酸ガス、及び、アン
モニアを、所定濃度以下となるまで合理的かつ確実に除
去できるようにされた、廃ガス精製方法及び廃ガス精製
装置を提供することにある。本発明の他の目的は、以下
の説明から明らかにされよう。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成すべ
く、本発明に係る廃ガス精製方法は、メタン等の燃料ガ
ス成分と炭酸ガスとに加えて、有害不純成分である硫化
水素、塩化水素もしくは青酸ガス、及び、アンモニアを
含む廃ガスを、順次、各種アミン水溶液、アルカリ炭酸
塩とアルカリ重炭酸塩の混合水溶液、及び、フェノール
類、キセノール類、もしくはアミノ酸類の水溶液に接触
させるとともに、前記各水溶液のpH値を9.0以下に
維持することにより、前記各有害不純成分を前記各水溶
液に選択的に吸収させて、前記廃ガスから前記各有害不
純成分をそれぞれ所定濃度以下となるまで除去すること
を特徴としている。
【0012】かかる本発明方法によれば、消化ガス等の
低圧ガス中で大量に共存する炭酸ガスの影響が完全に遮
断され、汚泥状硫黄の生成が阻止されるとともに、炭酸
ガスの同時吸収が避けられ、炭酸ガスとメタン等の燃料
ガスとを主成分とする消化ガス等の廃ガスから、有害不
純成分である硫化水素、塩化水素もしくは青酸ガス、及
び、アンモニアを、所定濃度以下となるまで合理的かつ
確実に除去でき、また、有益な副産物として水硫化ソー
ダが得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る廃ガス
精製装置の一実施形態を示す概略構成図である。本実施
形態の廃ガス精製装置1は、基本的には、食品工場にお
いて排出される絞りカス等の汚泥処理に使用されるバイ
オリアクター(メタン発酵槽)から得られる、メタンと
炭酸ガスとを主成分とする粗燃料ガスである廃ガス(バ
イオガス)から、それに含まれる有害不純成分である硫
化水素、塩化水素、及び、アンモニアを、順次、MEA
(モノ・エタノール・アミン)水溶液、炭酸ソーダ(N
2 CO3 )と重炭酸ソーダ(NaHCO3 )混合水溶
液、及び、フェノール(C6 5 OH)水溶液に向流接
触させて吸収せしめるとともに、前記各水溶液のpH値
を9.0以下に維持することにより、前記廃ガスから前
記硫化水素、塩化水素、及びアンモニアを、それぞれ所
定濃度以下となるまで除去し、得られたメタンと炭酸ガ
スとの混合ガス燃料を、例えば燃料電池に供給するよう
にされている。
【0014】図示実施形態の廃ガス精製装置1は、前記
バイオリアクターからの廃ガス(バイオガス)がその下
端部付近に導入される吸収塔10を備えている。この吸
収塔10は、最下段にMEA処理部11、このMEA処
理部11の上方の隔壁14を隔てた中段にアルカリ処理
部12、このアルカリ処理部12の上方の隔壁15を隔
てた上段にフェノール処理部13が設けられている。前
記両隔壁14、15と前記フェノール処理部13の上部
に設けられた隔壁16は、例えばガスを通す多孔質材料
からなっており、また、前記MEA処理部11には、パ
ンチングメタル等を重層した気液接触棚11aが配設さ
れ、前記アルカリ処理部12及び前記フェノール処理部
13には、それぞれガスは通すが液体は通さないガス挿
通兼液溜部12a、13aと、それ自体周知のラシヒリ
ング等を充填した気液接触部12b、13bが配設され
ている。
【0015】したがって、前記吸収塔10の下端部付近
に導入されたバイオガスは、該吸収塔10内を上昇しな
がら、後述する如くに、前記MEA処理部11、前記ア
ルカリ処理部12、及び前記フェノール処理部13に供
給される処理溶液に向流接触しながら上昇して頂部に導
かれることになる。
【0016】一方、前記吸収塔10の下部には、処理液
等を貯留する集合槽20が設けられている。この集合槽
20は、例えば前記吸収塔10の真下に位置する左端部
が、20%MEA水溶液を貯留するMEA槽21となっ
ており、その右側が炭酸ソーダと重炭酸ソーダとの混合
水溶液(以下、混合ソーダ水溶液と称す)を貯留する混
合ソーダ槽22、その右側がフェノール水溶液を貯留す
るフェノール槽23、その右側が、後述する如くにして
再生されたMEA水溶液を貯留する再生MEA槽24、
その右側の右端部が、後述する如くにして副生された水
硫化ソーダ(NaHS)を貯留する副生水硫化ソーダ槽
25となっており、前記再生MEA槽24にはMEA再
生塔30が立設され、また、前記副生水硫化ソーダ槽2
5にはアルカリ再生塔40が立設されている。
【0017】前記MEA再生塔30には、前記吸収塔1
0と同様な気液接触棚30aと隔壁31とが配設され、
前記アルカリ再生塔40にも、前記吸収塔10と同様な
気液接触部40a、ガス導入兼液溜部40b、気液接触
棚40c、隔壁41が配設されている。前記の他、本実
施形態においては、苛性ソーダ(NaOH)水溶液を貯
留するアルカリタンク35、水硫化ソーダを貯留する水
硫化ソーダタンク36、活性炭層61を有するポリッシ
ャー60、得られたメタンと炭酸ガスとの混合ガス燃料
を貯留する、それ自体周知の構成の、ガスホルダー70
等が、適宜の部位に配備されている。なお、前記集合槽
20や所定数のポンプ51〜58等で、本実施形態の処
理液供給手段が構成されている。
【0018】かかる構成のもとで、廃ガスであるバイオ
ガスが前記吸収塔10の下端部付近に導入される際に
は、前記MEA槽21のMEA水溶液が、ポンプ51に
より前記吸収塔10のMEA処理部11における前記気
液接触棚11a下方の部位に供給されて噴霧されるとと
もに、その一部が前記MEA再生塔30における前記気
液接触棚30a上方の部位にも供給される。また、前記
MEA処理部11における前記気液接触棚11a上方の
部位には、前記再生MEA槽24の再生MEA水溶液が
ポンプ54により供給される。ここで、前記MEA処理
部11に供給されるMEA水溶液は、そのpH値が、
9.0以下、好ましくは、7.0〜9.0に維持されて
いる。このようにMEA水溶液のpH値を9.0以下に
下げるには、例えば、炭酸、クエン酸、フェノール、ア
ミノ酸、キセノール等の、液状の弱酸又は炭酸ガス、硫
化水素等の酸性の気体が用いられる。
【0019】したがって、前記MEA処理部11内に導
入されたバイオガスは、pH値が7.0〜9.0の前記
MEA処理部11の上部に供給されたMEA水溶液に向
流接触し、これによって、前記バイオガスに含まれる大
部分の硫化水素(処理前の濃度は約500ppm)と、
約半量の塩化水素(処理前の濃度は約30ppm)が、
前記MEA水溶液に吸収されて除去される。この硫化水
素及び塩化水素を吸収したMEA水溶液は、そのまま落
下して前記MEA槽21に戻されて循環せしめられる。
【0020】このようにして、前記MEA処理部11を
通過したバイオガスは、続いて、前記アルカリ処理部1
2に導入される。このアルカリ処理部12の前記気液接
触部12b上方の部位には、pH値が9.0以下、好ま
しくは、8.0〜9.0に維持されている前記混合ソー
ダ槽22の混合ソーダ水溶液が、ポンプ52により供給
されて噴霧される。また、このアルカリ処理部12に
は、前記混合ソーダ水溶液と共に、前記アルカリ再生塔
40で得られた硫化ナトリウム(Na2 S)や水硫化ソ
ーダ(NaHS)の水溶液も極微量であるが供給され
る。
【0021】そのため、前記アルカリ処理部12を流れる
バイオガスは、pH値が8.0〜9.0の混合ソーダ水
溶液等に向流接触し、これによって、前記バイオガスに
含まれる残部の硫化水素及び塩化水素が、前記混合ソー
ダ水溶液に吸収されて略完全(硫化水素の濃度が5pp
m以下、塩化水素の濃度が0.05ppm以下)に除去
される。この硫化水素及び塩化水素を吸収した混合ソー
ダ水溶液は、前記アルカリ処理部12の底部から前記混
合ソーダ槽22に戻されて循環せしめられる。なお、前
記混合ソーダ水溶液のpH値を9.0以下に下げるに
は、例えば、炭酸ガス、硫化水素、亜硫酸ガス、青酸ガ
ス、塩化水素等の気体が用いられる。
【0022】このようにして、硫化水素及び塩化水素が
実質的に完全に除去されたバイオガスは、続いて、前記
フェノール処理部13に導入される。このフェノール処
理部13における前記気液接触部13bの上方部位に
は、pH値が9.0以下、好ましくは、6.0〜6.5
程度に維持されている、前記フェノール槽23のフェノ
ール水溶液がポンプ53により供給されて噴霧される。
これによって、前記フェノール処理部13を流れるバイ
オガスは、pH値が6.0〜6.5のフェノール水溶液
に向流接触し、前記バイオガスに含まれる有害不純成分
であるアンモニアが、前記フェノール水溶液に吸収され
て略完全(処理前の濃度が約1ppm以上であったアン
モニアの濃度が0.05ppm以下)に除去される。こ
のアンモニアを吸収したフェノール水溶液は、前記フェ
ノール処理部13の底部から前記フェノール槽23に戻
されて循環せしめられる。なお、前記フェノール水溶液
のpH値を7.0以下に下げるには、例えば、亜砒酸等
の固体の酸の水溶液が用いられる。
【0023】このようにして、硫化水素、塩化水素、及
びアンモニアが実質的に完全に除去されて精製されたバ
イオガス(以下、精製バイオガスと称す)は、前記吸収
塔10の頂部に導かれるが、該精製バイオガスは、前記
フェノール処理部13において主としてアンモニアの吸
収に使用されたフェノール水溶液(蒸気)の一部を同伴
しているので、該精製バイオガスから前記フェノール蒸
気成分を取り除くべく、該精製バイオガスを前記活性炭
層61等を有する前記ポリッシャー60に導入して、前
記精製バイオガスに同伴されている前記フェノール蒸気
成分を吸着除去する。かかるフェノール蒸気成分が吸着
除去された精製バイオガスは、メタンと炭酸ガスとの重
量比が6対4程度のメタンリッチの混合燃料ガスとなっ
ており、該混合燃料ガスは、前記ポリッシャー60を出
た後、ブロワー72を介して前記ガスホルダー70に導
かれ、さらに、該ガスホルダー70から、逆火防止手段
として介装されているフレームアレスタ90を介して、
図示しない燃料電池に導かれるようになっている。な
お、前記ポリッシャー60には、火災発生時の消火手段
としてスチーム又は窒素ガスを導入できるようになって
いる。
【0024】前記のようにして、本実施形態の廃ガス精
製装置1においては、廃ガスに多量に含まれる炭酸ガス
の影響を回避して、廃ガスに含まれる酸性ガスである硫
化水素、塩化水素を、選択的かつ連続的に略完全に除去
できると同時に、アルカリ性ガスであるアンモニアも、
選択的かつ連続的に略完全に除去でき、高純度に精製さ
れた燃料ガスが得られる。
【0025】一方、前記MEA槽21に戻された、硫化
水素と塩化水素とを吸収したMEA水溶液は、前記ポン
プ51により前記MEA再生塔30における前記隔壁3
1の下方部位にも供給される。前記MEA再生塔30の
底部には、ブロワー71により、前記MEA水溶液及び
酸性ガスに対して化学的に不活性なイナート・ガス・ス
トリッピング流体としての天然ガスが導入されるように
なっており、この天然ガスは、前記MEA再生塔30の
底部から頂部に向かう方向に循環せしめられ、前記ME
A再生塔30の頂部付近から流下する、前記硫化水素と
塩化水素とを吸収したMEA水溶液が、向流接触する。
これにより、前記硫化水素を吸収した前記MEA水溶液
に接する気相中の硫化水素分圧が無限小となり、前記硫
化水素が無加熱再生されるとともに、前記各種アミン水
溶液が再生される。
【0026】より詳しくは、前記硫化水素等を吸収した
MEA水溶液の気液界面における硫化水素等の分圧が、
当該MEA水溶液の平衡蒸気圧よりも低下せしめられ、
これによって、前記MEA水溶液中に吸収されていた硫
化水素等が液相から気相に移動する、ガス放散現象が生
じる。このガス放散現象によって、前記硫化水素が無加
熱再生され、同時に、前記MEA水溶液は、硫化水素等
が除去されて再生される。
【0027】前記無加熱再生された硫化水素は、前記循
環せしめられている天然ガスに同伴されて前記アルカリ
再生塔40の底部に導入され、上昇する。この硫化水素
には、前記アルカリ再生塔40の頂部付近から流下す
る、前記アルカリタンク35からポンプ56を介して導
入された苛性ソーダ水溶液と、ポンプ58により前記ア
ルカリ再生塔40における前記ガス導入兼液溜部40b
からその頂部付近に循環供給されるソーダ水溶液と、が
向流接触するとともに、前記副生水硫化ソーダ槽25か
らポンプ55を介して前記アルカリ再生塔40におけ
る、前記気液接触部40aと前記ガス導入兼液溜部40
bとの間の部位に導入された水硫化ソーダに向流接触す
る。
【0028】これにより、当該天然ガス中の硫化水素が
実質的に完全に除去される一方、前記副生水硫化ソーダ
槽25には、再生された水硫化ソーダが貯留され、この
再生された水硫化ソーダは、ポンプ55、前記水硫化ソ
ーダタンク36、及びポンプ57を介して、有益な副産
物として取り出される。前記した各工程における処理の
メカニズムは下記の化学式で表現される。
【0029】 (a)アミン類を代表するMEA水溶液による炭酸ガス共存下における硫化水素 、塩化水素の吸収反応。 HOCH2 CH2 NH2 +H2 S → HOCH2 CH2 NH3 + HS- (1) 本反応は、pH値8.0〜11.5の間で右辺に進む。 HOCH2 CH2 NH2 +CO2 +H2 O →HOCH
2 CH2 NH3 + HCO3 - 本反応は、pH値9.0〜11.5の間で右辺に進む。
従って、pH値が8.0〜9.0の範囲で、硫化水素は
炭酸ガスの共存下でも優先的にMEA水溶液に吸収され
る。
【0030】(b)フェノール水溶液によるアンモニア
ガスの吸収反応。
【化1】 本反応はpH値6.0〜7.0で、酸性ガスに対して選
択的に発生する。
【0031】 (c)天然ガスによるMEA水溶液の酸性ガスのストリッピング反応。 HOCH2 CH2 NH3 + HCO3 - → HOCH2 CH2 NH2 +CO2 +H2 O (3) HOCH2 CH2 NH3 + Cl- → HOCH2 CH2 NH2 +HCl (4) HOCH2 CH2 NH3 + CN- → HOCH2 CH2 NH2 +HCN (5) HOCH2 CH2 NH3 + HS- → HOCH2 CH2 NH2 +H2 S (6) 前記の反応は、気相中の分圧を下げることにより起こ
る。
【0032】 (d)苛性ソーダ水溶液による酸性ガスの高度吸収反応 2NaOH + H2 S → Na2 S + 2H2 O (7) 本反応はpH値が10.0〜14.0の範囲で、式
(9)、(14)、(15)と並行して起こる。 Na2 S + H2 S → 2NaSH (8) 本反応はpH値が4.2〜10.0の範囲で、式(7)
に優先して起こる。 2NaOH + CO2 → Na2 CO3 + H2 O (9) 本反応はpH値が11.3〜14.0の範囲で起こる。 Na2 CO3 + CO2 + H2 O → 2NaHCO3 (10) 本反応はpH値が8.5〜11.3の範囲で起こる。 Na2 CO3 + H2 S → NaSH + NaHCO3 (11) 本反応はpH値が7.5〜8.5の範囲で、炭酸ガスに
対して選択的に発生する。 Na2 CO3 + HCN → NaCN + NaHCO3 (12) 本反応はpH値が7.5〜8.5の範囲で、炭酸ガスに
対して選択的に発生する。 Na2 CO3 + HCl → NaCl + NaHCO3 (13) 本反応はpH値が7.5〜8.5の範囲で、炭酸ガスに
対して選択的に発生する。 NaOH + HCl → NaCl+ H2 O (14) 本反応はpH値が12.0〜14.0の範囲で、式
(7)、(9)、(15)と同時に起こる。 NaOH + HCN → NaCN+ H2 O (15) 本反応はpH値が12.0〜14.0の範囲で、式
(7)、(9)、(14)と同時に起こる。
【0033】以上の説明の理解のため、図2に水硫化ソ
ーダ水溶液のpH値と組成の関係を示し、図3に炭酸ソ
ーダ水溶液のpH値と濃度との関係を示し、図4に苛性
ソーダ水溶液のpH値と遊離OH- 濃度との関係を示
し、表1に実施形態の装置性能を評価するための、精製
前と精製後の各計測値を示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】以上の説明から理解されるように、本発
明によれば、消化ガス等の低圧廃ガス中で大量に共存す
る炭酸ガスの影響が完全に遮断され、汚泥状硫黄の生成
が阻止されるとともに、炭酸ガスの同時吸収が避けら
れ、炭酸ガスとメタン等の燃料ガスとを主成分とする消
化ガス等の廃ガスから、有害不純成分である硫化水素、
塩化水素もしくは青酸ガス、及び、アンモニアを、所定
濃度以下となるまで合理的かつ確実に除去でき、また、
有益な副産物として水硫化ソーダが得られるという効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る廃ガス精製装置の一実施形態を示
す概略構成図。
【図2】水硫化ソーダ水溶液のpH値と組成の関係を示
す図。
【図3】炭酸ソーダ水溶液のpH値と濃度との関係を示
す図。
【図4】苛性ソーダ水溶液のpH値と遊離OH- 濃度と
の関係を示す図。
【符号の説明】
1 廃ガス精製装置 2 処理液供給手段 10 吸収塔 30 MEA再生塔 40 アルカリ再生塔 51〜58 ポンプ 60 ポリッシャー 61 活性炭層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01D 53/68 53/77 (72)発明者 笠井 武 東京都杉並区高円寺北2−37−14 スター ション・アド Q 102号 株式会社三共 プロセス・サービス内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタン等の燃料ガス成分と炭酸ガスとに
    加えて、有害不純成分である硫化水素、塩化水素もしく
    は青酸ガス、及び、アンモニアを含む廃ガスを、順次、
    各種アミン水溶液、アルカリ炭酸塩とアルカリ重炭酸塩
    の混合水溶液、及び、フェノール類、キセノール類、も
    しくはアミノ酸類の水溶液に接触させるとともに、前記
    各水溶液のpH値を9.0以下に維持することにより、
    前記各有害不純成分を前記各水溶液に選択的に吸収させ
    て、前記廃ガスから前記各有害不純成分をそれぞれ所定
    濃度以下となるまで除去することを特徴とする廃ガス精
    製方法。
  2. 【請求項2】 前記廃ガスから前記各有害不純成分をそ
    れぞれ所定濃度以下となるまで除去したガスを活性炭層
    等を有するポリッシャー(60)に導入して、それに同
    伴されている前記フェノール類、キセノール類、もしく
    はアミノ酸類の蒸気成分を吸着除去することを特徴とす
    る請求項1に記載の廃ガス精製方法。
  3. 【請求項3】 前記廃ガスは、バイオリアクターから発
    生する消化ガスであり、前記廃ガスから前記各有害不純
    成分をそれぞれ所定濃度以下となるまで除去して、燃料
    電池に用いるメタンと炭酸ガスとの混合燃料ガスを得る
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の廃ガス精製方
    法。
  4. 【請求項4】 前記各水溶液に対して化学的に不活性な
    窒素ガスあるいは天然ガス等を用いて、前記硫化水素を
    吸収した前記各種アミン水溶液に接する気相中の硫化水
    素分圧を無限小となすことにより、前記硫化水素を無加
    熱再生するとともに、前記各種アミン水溶液を再生する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載
    の廃ガス精製方法。
  5. 【請求項5】 前記無加熱再生された硫化水素を苛性ソ
    ーダ等のアルカリ塩水溶液と接触させることによって、
    アルカリ水硫化塩を得ることを特徴とする請求項1乃至
    4のいずれか一項に記載の廃ガス精製方法。
  6. 【請求項6】 メタン等の燃料ガス成分と炭酸ガスとに
    加えて有害不純成分である硫化水素、塩化水素もしくは
    青酸ガス、及び、アンモニアを含む廃ガスが流される吸
    収塔(10)と、この吸収塔(10)にそれぞれ個別
    に、各種アミン水溶液、アルカリ炭酸塩とアルカリ重炭
    酸塩の混合水溶液、及び、フェノール類、キセノール
    類、もしくはアミノ酸類の水溶液をpH値9.0以下に
    維持した状態で供給する処理液供給手段(2)と、を備
    え、前記廃ガスを前記吸収塔(10)内で前記各水溶液
    に向流接触させるとともに、前記各有害不純成分を吸収
    した各水溶液を個別に回収して前記処理液供給手段
    (2)を通じて循環させるようにしてなる廃ガス精製装
    置。
  7. 【請求項7】 前記廃ガスから前記有害不純成分をそれ
    ぞれ所定濃度以下となるまで除去したガスが導入される
    活性炭層等(61)を有するポリッシャー(60)が付
    設されていることを特徴とする請求項6に記載の廃ガス
    精製装置。
  8. 【請求項8】 前記各水溶液に対して化学的に不活性な
    窒素ガスあるいは天然ガス等を用いて、前記硫化水素を
    吸収した前記各種アミン水溶液から前記硫化水素を無加
    熱再生するとともに、前記各種アミン水溶液を再生する
    アミン再生手段(30、58)が付設されていることを
    特徴とする請求項6又は7に記載の廃ガス精製装置。
  9. 【請求項9】 前記無加熱再生された硫化水素を苛性ソ
    ーダ等のアルカリ塩水溶液と接触させることによって、
    アルカリ水硫化塩を得るためのアルカリ再生手段(4
    0)が付設されていることを特徴とする請求項8に記載
    の廃ガス精製装置。
  10. 【請求項10】 前記各種アミン水溶液を直接的又は間
    接的に加熱することにより、当該アミン水溶液中に吸収
    されている硫化水素の平衡蒸気圧を上昇せしめると同時
    に、前記各種アミン水溶液中から硫化水素と共に発生す
    る水蒸気により、前記各種アミン水溶液に接する気相中
    の硫化水素分圧を無限小にできることを利用して、前記
    窒素ガスあるいは天然ガス等の使用量を激減させ、且つ
    前記回収アルカリ水硫化塩水溶液中の前記アルカリ水硫
    化塩濃度を上昇せしめることを特徴とする請求項5に記
    載の廃ガス精製方法。
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