JPH11267380A - 縫製システム - Google Patents

縫製システム

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JPH11267380A
JPH11267380A JP9409298A JP9409298A JPH11267380A JP H11267380 A JPH11267380 A JP H11267380A JP 9409298 A JP9409298 A JP 9409298A JP 9409298 A JP9409298 A JP 9409298A JP H11267380 A JPH11267380 A JP H11267380A
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JP
Japan
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sewing
needle
sewn
fixing
mark pattern
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JP9409298A
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Inventor
Hiroshi Koyakata
洋 古舘
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Original Assignee
Individual
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ニット地の編み目を自動的に縫合して縫製部
分に編み目のループを揃えることができる縫製システム
の提供。 【解決手段】 縫製対象物109,112を固定する第1のテ
ーブル133及び第2のテーブル134と、ミシン本体132
と、X-Yテーブル44と、縫製対象物の画像デ ータを取
り込むCCDカメラ22と、縫製対象物表面の目印パター
ン69の画像データを記憶する記憶装置56と、両画像デー
タを比較して縫製すべき編み目αの座標と縫い針18の座
標との差を割り出し、ミシン本体14を移動させて編み目
αの縫製を指令する制御装置55とを備えた縫製システム
であり、第1のテーブル133には、伸縮性を備えた縫製
対象物を引き伸ばした状態で固定する静止固定部材144
及び可動固定部材155と、縫製対象物が途中で位置ズレ
することを防止する固着板140を備えた第2の縫製シス
テム131。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は縫製システムに係
り、特に、編み目を備え伸縮性に富んだニット地(編
物)と編み目を有しないため伸縮性に乏しい織地との縫
製や、ニット地同士の縫製に適した縫製システム及び縫
製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ニット地は、糸を編み針や編み棒で編み
込んで製造されるため、多数の編み目が連続的に絡み合
った組織を有し、伸縮性に富んでいる。このようなニッ
ト地を縫製して例えばセータ等のニット製品を製造する
際には、ニット地専用のミシン(以下「リンキングミシ
ン」と称する)が用いられる。図36に示すように、こ
のリンキングミシン80は、多数本の係止針81を一定のピ
ッチで櫛歯状に配列させた針板82を備えている。上記係
止針81は、図37に示すように、係止部81aと固定部81
bとを備えたL字形状をなしており、この固定部81bを
針板82の裏面に溶接等することで固定されている。ま
た、係止部81aの先端は鋭利に尖っており、その前面に
は案内溝81cが形成されている。そして、図38に示す
ように、該針板82の各係止針81に一方のニット地83の各
ループ(編み目)83aを順番に串刺しにすると共に、他
方のニット地84の各ループ84aを反対側から順番に串刺
しにした上で、縫い針85を上下動させて両者のループ83
a,84a間を縫い合わせて行く。
【0003】すなわち、上記縫い針85が上死点から下死
点に向けて下降して来ると、その針先が係止針81の案内
溝81cに沿って進行し、両ニット地のループ83a,84a
間を通過する。縫い針85は、ミシンベッド86の表面に形
成された穴86aを通じてベッド86の下方に進入し、針先
の糸穴に挿通された縫い糸を楔状のルーパ87の剣先87a
付近に導く。該ルーパ87は一定方向に回転運動をしてお
り、縫い針85が上方への復帰工程に入る際に縫い糸を剣
先87aで捉えてループを形成し、縫い針85が次に下降し
て来るまでこれを保持しておき、該ループに縫い糸を通
すことによって鎖状の縫い目を形成するものであり、こ
れによって両ニット地83,84の縫製が実現される。
【0004】上記針板82は、ベッド86の前面側に配置さ
れた、ミシン本体と直交する比較的長尺な載置台88に係
合されている。すなわち、針板82の裏面にはガイドレー
ル89が取り付けられており(図37)、該ガイドレール
89を上記載置台88に形成された案内溝88aに嵌合させる
ことにより、針板82は載置台88上を横方向にスライド自
在となされている。また、上記針板82の下方には送り歯
車90が配置されており、該送り歯車90は上記針板82の裏
面にラック状に配列された係止針81の固定部81bと噛み
合わされている。この送り歯車90は、他の歯車91や図示
しないベルト等の伝導手段を介して上記縫い針85の駆動
源に連結されており、縫い針85の上下動に同期して回転
するよう仕組まれている。すなわち、縫い針85が1往復
する毎に、針板82が1ピッチ分スライドし、次の係止針
81が縫い針85の直下に移動する。また、上記ルーパ87
も、図示しない伝導機構を介して上記駆動源に連結され
ており、縫い針85の上下動に同期して1回転するように
仕組まれている。
【0005】このように、ニット地83,84同士を1本の
糸で鎖状に縫製することにより、両者の縫製部分にも一
定の伸縮性が確保されるため、伸縮性を備えたニット製
品の特性にうまく合致することができる。また、針板82
の係止針81に各ニット地のループ83a,84aを丁寧に突
き刺して縫製しているため、縫製部分にはループが綺麗
に揃い、デザイン効果を高めることができることはもち
ろん、ニット地が終端部分から解けていくことを有効に
防止することができるのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように縫製部分に編み目ループを綺麗に揃えるために
は、一つも飛び越すことなく、全てのループ83a,84a
を順番に針板82の係止針81に突き刺す必要があり、この
作業は熟練労働者の手作業に頼らざるを得ないのが実状
である。このため、リンキングミシン80の駆動を電動化
することによって縫製時間の短縮を企図したとしても、
針板82に縫製対象物をセットするのに手間取るため、全
体としての生産性向上には大きな限界があった。
【0007】また、従来のリンキングミシン80では、縫
製対象物であるニット地83,84の編み目の粗密度に合わ
せてミシン本体を交換する必要があった。すなわち、ニ
ット地83,84の編み目の粗密度は、編機のゲージによっ
て決定されるのであり、針板82の係止針81間のピッチも
これに適合するように調整されている。また、ミシン本
体による縫い針85の上下動や針板82を送るピッチのタイ
ミングは、内部の歯車の種類やその組み合わせによって
固定的に実現されている。したがって、ニット地83,84
のゲージが変わり、それに合わせた針板82を用いる場合
には、当該ゲージに特化した専用の歯車構成を備えたミ
シン本体に取り替えなければならず、これが作業効率上
及び設備投資上の大きな負担となっていた。
【0008】また、衣料品の機能やデザインによって
は、伸縮性に富んだニット地と伸縮性に乏しい織地とを
縫製する必要が生じるが、このような場合に上記したリ
ンキングミシン80を用いれば、係止針81で編み目を捕ら
えることができるため、縫製部分にループを揃えること
ができ、ニット地の特性を活かすことができるのである
が、伸縮性の乏しい織地を伸縮性を備えた鎖縫いで縫製
すれば、織地側に細かい縮み皺が多数発生してしまうた
め、ニット地専用のリンキングミシンを用いることは適
当ではない。
【0009】このため、従来は、ニット地と織地との縫
製を、織地同士を縫製する際に用いる本縫いミシンによ
って実現していた。この本縫いミシンは、リンキングミ
シンのように1本の糸で鎖状に縫製するのとは異なり、
上糸と下糸を結び合わせるものであり、縫い目がしっか
りと締結されるため伸縮性を有しない縫い目を形成する
ものである。このように本縫いミシンを用いれば、確か
に上糸と下糸との絡み合いによって緻密かつ強固な縫い
目が形成されるため、織地側に細かい皺が寄ることはな
い。ところが、本縫いミシンは当然ながら係止針を持た
ず、ニット地の編み目を丁寧に拾って縫製することがで
きない。このため、ニット地のループを綺麗に揃えるこ
とができず、折角のループをデザインに活かすことがで
きないだけでなく、終端部から糸が解れ出す可能性があ
った。
【0010】そこで従来は、図39に示すように、本縫
いミシンでニット地83と織地92とを縫製する場合には、
ニット地83の終端近傍を内側に二重に折曲げた状態で本
縫い処理を行わざるを得なかった。このようにすれば、
例え終端部が解れ出しても縫い目93部分で止まるため、
ニット地83の表面まで損なわれることを防止できる。し
かしながら、ただでさえ厚手のニット地83側を二重にし
たため、その分の厚さが生じて恰も継ぎ当てのようにな
り、織地92との自然な一体化が阻害されることとなる。
このため、当該衣料品のデザインに大きな制約を課すこ
ととなっていた。
【0011】この発明は、上記した従来の問題点を解決
するために案出されたものであり、ニット地の編み目一
つ一つを正確に係止針にセットしなくても、ニット地の
編み目を確実に縫合して縫製部分に綺麗な編み目のルー
プを揃えることが可能であると共に、ニット地の編み目
の粗密度に応じてミシン本体を専用のものに取り替える
ことなく、一台のミシン本体であらゆる編み目に対応で
きる理想的な縫製手段を提供することを目的とする。ま
た、ニット地と織地との縫製に際しては、ニット地の終
端部を二重折りしなくても解れ出す危険性がなく、また
織地側に細かい皺が寄ることのない縫製手段を提供する
ことをも目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る縫製システムは、縫製対象物を載置す
るための少なくとも一つのテーブルと、上下動自在に配
置された縫い針と、上記縫い針を任意の速度で上下動さ
せるモータとを備え、縫製対象物の縫合を行うミシン本
体と、上記ミシン本体を、上記テーブルと平行する方向
に相対的に必要量移動させると共に、上記テーブルと直
交する方向にも相対的に必要量移動させるX-Y送り機
構と、上記縫製対象物側の画像データを取り込む画像セ
ンサと、上記縫製対象物側に配置された縫合すべき箇所
を指し示す目印パターンの形状及び該目印パターンを基
準にして設定された縫合すべき箇所の位置を記憶してお
く記憶手段と、上記画像センサによって順次取り込まれ
る画像データの中から、上記記憶手段内に記憶された目
印パターンの形状を探索すると共に、探索された目印パ
ターンを基準にして縫合すべき箇所の位置する座標を順
次算出し、該座標と上記ミシン本体の縫い針が現在置か
れている座標との差を算出し、この算出結果に基づいて
上記ミシン本体を必要な方向に必要量相対的に移動させ
て、上記目印パターンが指し示す箇所の縫合を実行する
よう指令する制御手段とを備えた縫製システムにおい
て、上記テーブルには、伸縮性を備えた縫製対象物を引
き伸ばした状態で固定する引き伸ばし固定手段と、固定
した縫製対象物が縫製過程で位置ズレすることを防止す
るための安定化手段とが設けられていることを特徴とす
る。上記縫製対象物としては、ニット地のほか、綿、
絹、毛、合繊等による織地はもちろんのこと、合成皮革
や本革等、あらゆる縫製材料が該当する。上記目印パタ
ーンは、例えば縫製対象物としてのニット地の表面に、
捨て糸を所定形状の編み目が連続するように編み込むこ
とによって形成される。
【0013】上記引き伸ばし固定手段としては、例え
ば、縫製対象物の一端に引っかけられる係合針を備えた
静止固定部材と、縫製対象物の他端に引っかけられる係
合針を備え、引き伸ばし方向に対して移動自在に配置さ
れると共に、必要な位置に固定可能な可動固定部材とか
らなるものが該当する。また、上記安定化手段として
は、テーブルの表面に着脱自在に配置された表面粘着性
を備えた固着板が該当する。あるいは、上記安定化手段
として、テーブルの表面に形成された複数の吸気口と、
該吸気口と連通接続された吸気装置からなるものを採用
してもよい。
【0014】この縫製システムにあっては、予め記憶手
段内に記憶させておいた縫製すべき箇所をを指し示す目
印パターンの画像データと、画像センサから取り込まれ
た縫製対象物表面の画像データとを比較して縫製すべき
箇所が存在する座標を算出し、この結果に基づいてミシ
ン本体を縫合可能な位置に移動させ、当該箇所を自動的
に縫合させるように構成しているため、上記縫製対象物
としてニット地を選択し、上記目印パターンによって縫
合すべき編み目を特定するように運用すれば、従来のよ
うに人間の目でニット地の編み目を捉えて一つ一つ係止
針に係合させる工程を経ることなく、縫合箇所に編み目
のループを綺麗に揃えることが可能となり、縫製作業の
大幅な効率化を実現できる。また、上記ミシン本体の単
位時間当たりの移動量や縫い針の上下動のタイミング
は、必要に応じて自由に制御することができるため、従
来のようにニット地の編み目のピッチが変わる度にミシ
ン本体を取り替える必要がなく、1台のミシン本体であ
らゆるピッチのニット地を縫製することができる。しか
も、テーブルには、上記引き伸ばし固定手段が設けられ
ているため、伸縮性に富んだニット地のセッティングが
容易となり、また上記安定化手段が設けられているた
め、自動縫製実行中に一旦固定した縫製対象物が位置ズ
レを起こすことを有効に防止できる。なお、上記ミシン
本体は、X−Y送り機構によって、縫製対象物の載置さ
れたテーブルとの位置関係を相対的に変化させることが
できる。これは、X−Y送り機構によってミシン本体が
移動する場合はもちろん、ミシン本体が固定されたまま
テーブル側が移動する場合、さらには両者が共に移動す
る場合をも含む。すなわち、ミシン本体の縫い針の位置
と縫合箇所とのズレを修正することが目的であるから、
ミシン本体及びテーブルの何れが移動しても同じ結果が
得られるのである。
【0015】上記テーブル側に、上記引き伸ばし固定手
段によって必要な長さまで引き伸ばされた縫製対象物の
表面を押圧する押え部材を設けるよう構成すれば、縫製
対象物の位置ズレをさらに確実に防止することができ
る。また、上記テーブルの表面に、縫製対象物の長さを
計るためのメジャー部材を配置することが望ましい。伸
縮性に富んだ縫製対象物同士を縫合する際に、このメジ
ャー部材の目盛りを参照することにより、両者の各部の
位置合わせを容易に行うことが可能となる。
【0016】上記テーブルが、上記引き伸ばし固定手段
及び安定化手段を備えた第1のテーブルと、他の固定手
段を備えた第2のテーブルよりなり、両テーブル間にミ
シン本体の縫い針が通過する針道が形成されるように構
成してもよい。この場合、上記第2のテーブルの固定手
段としては、例えば、該第2のテーブルの内部に配置さ
れ複数本の固定針を備えた固定用針板と、テーブルの外
部に配置され、上記固定針を収納する凹部を備えた押圧
部材とからなり、上記第2のテーブルの表面に縫製対象
物を固定する際には、上記縫製対象物を突き刺せるよう
に上記針板が上昇して固定針がテーブルの表面から突出
し、また上記押圧部材がテーブル表面側に移動して上記
固定針を上記凹部内に収納すると共に縫製対象物の表面
を押圧し、上記テーブルから縫製対象物を取り外す際に
は、上記針板が下降して固定針がテーブルの表面下に引
っ込み、また上記押圧部材がテーブル表面と反対方向に
移動して縫製対象物を解放するものが該当する。
【0017】
【発明の実施の態様】以下において、本発明に係る第1
の縫製システムを、添付図面に基づいて説明する。図1
は第1の縫製システム10の全体構成を示す側面図であ
り、図2はその平面図である。この第1の縫製システム
10は、ほぼ水平に渡されたアーム11、該アーム11と平行
するミシンベッド12、アーム11とベッド12とを連結する
柱13とから成るミシン本体14と、ベッド12の先端との間
に所定の間隙を隔てて対向配置されたセット用テーブル
15とを備えている。図2に示すように、このテーブル15
は、第1のセット領域15aと第2のセット領域15bとに
区分されている。
【0018】上記アーム11の先端には、ややベッド12側
に垂下したヘッド部16が形成されており、該ヘッド部16
の下端からは針棒17が突出し、該針棒17の先端には縫い
針18がネジ19によって着脱自在に固定されている。ま
た、このヘッド部16の下端からは、布押さえ車輪20が突
出している。この布押さえ車輪20は、図示しないコイル
・スプリング等の作用によってベッド12上に載置された
縫製対象物21a,21bを上から押圧し、縫製時に縫製対
象物21a,21bが乱れることを防止する役割を果たすも
のであるが、省略することもできる。上記ヘッド部16の
表側には、画像センサとしてのCCD(Charge Coupled
Device/電荷結合素子)カメラ22が取り付けられてい
る。このCCDカメラ22の焦点は、縫い針18が垂下した
際に縫製対象物21bと接する部分に合わせられている。
このCCDカメラの設定箇所は特に限定されるものでは
なく、ヘッド部16の裏側に取り付けてもよい。上記ヘッ
ド部16の表側には、所定のランプ23が取り付けられてい
る。このランプ23は、関節部分の角度を変えることによ
って、照明範囲を調節可能となされている。このような
ランプ23を用いる代わりに、CCDカメラ22の周囲にリ
ングライトを配置させてもよい。また、このヘッド部16
の表面からは、天秤24が突出している。上記アーム11の
上面には、糸立て棒25及び糸巻き立て26が立設されてお
り、糸巻き立て26には糸巻き27が装着されている。この
糸巻き27から繰り出された縫製用の上糸28は、糸立て棒
25及び天秤24の貫通孔を経由して縫い針18の針穴に挿通
される。
【0019】上記アーム11の後端側には第1のサーボモ
ータ29が取り付けられている。また、第1のサーボモー
タ29の駆動軸は、アーム11内部に横方向に配置された上
軸30に接続されている。またアーム11内部には、上軸30
の回転速度や回転数を検出するための回転センサ31が配
置されている。この回転センサ31は、発光素子及び受光
素子を備えており、上軸30の途中に取り付けられた円板
32のスリットを通過して来た発光素子からの光を受光素
子が捉えることによって、上軸30の状態を検知する仕組
みのものである。上軸30の先端部分には、図示しないク
ランク機構が内蔵されており、このクランク機構を介し
て、上軸30の回転運動は針棒17の上下運動に変換され
る。上軸30の後端側には、第1の傘歯車33が取り付けら
れており、該第1の傘歯車33は第2の傘歯車34と噛み合
わされている。この第2の傘歯車34は、柱13内に縦方向
に配置された伝動軸35の上端部に取り付けられている。
また、この伝動軸35の下端部には第3の傘歯車36が取り
付けられており、該第3の傘歯車36は第4の傘歯車37と
噛み合わされている。
【0020】この第4の傘歯車37は、ベッド12内に横方
向に配置された下軸38の後端に接続されている。また、
この下軸38の先端には、全回転式の釜39が取り付けられ
ている。この釜39は、いわゆる本縫いミシンに用いられ
るものと略共通する構造であり、剣先を有する外釜と、
下糸を巻いたボビンを着脱自在に収納した内釜とから成
るものであるが、その構成自体は周知であるため、詳細
な記述は省略する。この下軸38を支持する軸受け部材40
の裏面には、エアシリンダ41の駆動軸が接続されてお
り、該エアシリンダ41の駆動軸を上下動させることによ
り、下軸38は釜39ごとガイド部材42,42に沿って上下に
移動可能とされている。そして、下軸38が最上部に移動
した際に第4の傘歯車37は第3の傘歯車36と噛み合い、
最下部に移動した際には外れるように仕組まれている。
【0021】以上の構成を備えるため、第1のサーボモ
ータ29を駆動させて上軸30を回転させると、針棒17及び
縫い針18が上下運動を開始すると同時に、この上軸30の
回転が伝動軸35を介して下軸38に伝えられ、下軸38及び
釜39も回転することとなる。すなわち、縫い針18の上下
運動に同期して、釜39の回転運動が実現されるのであ
る。
【0022】なお、上記においては、エアシリンダ41の
上下動に連動して下軸38全体が上下動し、その度に第4
の傘歯車37と第3の傘歯車36とが係合・離脱を繰り返す
よう構成したが、下軸38の構成を工夫することにより、
第4の傘歯車37と第3の傘歯車36との係合状態を維持し
たまま、釜39側のみが上下動するように構成してもよ
い。例えば、図3に示すように、下軸38を、釜39と接続
された先端側下軸38aと、第4の傘歯車37と接続された
後端側下軸38bと、先端側下軸38aと後端側下軸38bと
を連結するユニバーサルジョイント38cによって構成す
ることが挙げられる。後端側下軸38bは、固定軸受け部
材100によって回転自在に支持されている。また、先端
側下軸38aは可動軸受け部材101によって回転自在に支
持されている。この可動軸受け部材101の裏面には、エ
アシリンダ41の駆動軸が接続されており、該エアシリン
ダ41の駆動軸を上下動させることにより、先端側下軸38
aは釜39ごとガイド部材42,42に沿って上下に移動する
が、後端側下軸38bは上下に移動することがなく、した
がって第4の傘歯車37と第3の傘歯車36との係合状態は
維持されることとなる。もちろん、第3の傘歯車36及び
第4の傘歯車37の回転運動は、ユニバーサルジョイント
38cを介して先端側下軸38aに伝えられるため、釜39は
上軸30の回転に同期して回転可能となされている。
【0023】図2に示すように、上記ベッド12の表面は
左右に張り出しており、これがミシン本体14側のテーブ
ル43を構成している。上記ミシン本体14は、X-Yテー
ブル44上に載置・固定されている。このX-Yテーブル4
4は、ミシン本体14をテーブル15に対して直交する方向
に移動させるX軸送り機構45と、ミシン本体14をテーブ
ル15に沿って横方向に移動させるY軸送り機構46とを備
えている。上記X軸送り機構45は、ベッド12の底面に接
続された第1の可動部45aと、該第1の可動部45aと係
合されたボールネジ45bと、該ボールネジ45bを回転さ
せる第2のサーボモータ45cと、直動ベアリング45d等
を備えている。また、上記Y軸送り機構46は、上記X軸
送り機構45のベース部45e底面に接続された第2の可動
部46aと、該第2の可動部46aと係合されたボールネジ
46bと、該ボールネジ46bを回転させる第3のサーボモ
ータ46cと、直動ベアリング46dと、ベース部46e等を
備えている。
【0024】上記テーブル15内の先端近傍には、図1に
示すように固定用針板47が配置されており、該固定用針
板47は、図4に示すように、微小な間隔をおいて一直線
上に立設された多数の固定針48を備えている。また、各
固定針48はそれぞれ同じ寸法を備えているのではなく、
複数本の長針の群49と複数本の短針の群50とが交互に配
置されている。長針の寸法は例えば2cmに、また短針の
寸法は例えば1cmに設定されている。上記の固定用針板
47は、エアシリンダ51やソレノイド等の作用によって、
上下動可能に配置されており、該固定用針板47が最も上
の位置に達した際には、固定針48は長針及び短針共にテ
ーブル15の表面から突出すると共に、最も下の位置に達
した際には、固定針48はテーブル15内に完全に埋没する
ように設定されている。固定用針板47は、止めネジ52を
外すことによって、固定針48の高さや太さ、ピッチ等が
異なる他の固定用針板と容易に交換することができる。
もちろん、同じ寸法を有する複数の固定針48を備えた固
定用針板と交換してもよい。なお、固定用針板47は、第
1のセット領域15a側、及び第2のセット領域15b側に
それぞれ配置されている。
【0025】上記テーブル15の先端部表面には、押圧部
材53が配置されている。この押圧部材53は、比較的長尺
な金属製角材等より構成され、図2に示すように、第1
のセット領域15a及び第2のセット領域15bにそれぞれ
配置されている。また、その下面には、長手方向に沿っ
て延びる溝状の凹部54が形成されており、該凹部54は、
テーブル15表面に突出しきった固定針48のを完全に収納
可能な深さを備えている。この押圧部材53は、図示は省
略したが、エアシリンダやソレノイド等の適当な駆動装
置によって上下及び前後に移動可能となるよう配置され
ている。
【0026】縫製対象物としての織地21aとニット地21
bとは、以下の手順でテーブル15に配置・固定される。
まず、図示しないスイッチ等を操作して、押圧部材53を
十分な高さにまで上昇させると共に、セットの邪魔にな
らない位置まで後退させる。つぎに、図示しないスイッ
チ等を操作して、固定用針板47を最も高い位置にまで上
昇させる。この結果、テーブル15の先端部表面からは固
定針48が突出することとなり、ニット地21bと織地21a
との重複部分を、この固定針48の根本まで一直線上に突
き刺していく。上記のように固定用針板47には、高低2
種類の固定針48が交互に群49,50をなして配置されてい
るため、取り敢えず先に長針にのみ縫製対象物21a,21
bを一直線上に並ぶように突き刺しておき、その後に縫
製対象物21a,21bを一気に押し下げることで、長針間
に挟まれた短針にも縫製対象物21a,21bをほぼ同一線
上に並ぶように一変に突き刺すことが可能となる。この
固定針48は、縫製対象物21a,21bが縫製過程で動かな
いように固定するためだけのものであり、従来のように
編み目を揃えるためのものではないため、ニット地21b
の編み目に一つ一つ正確に突き刺す必要はない。また、
固定針48の太さと編み目の径とが完全に対応している必
要もない。この際、縫製対象物21a,21bの重複部分の
一部(縫製部分)は、ミシン本体14側のベッド12上にも
置かれている。
【0027】つぎに、図示しないスイッチ等を操作し
て、上記押圧部材53を固定針48の上まで前進させてから
最も下の位置にまで移動させ、縫製対象物21a,21bの
表面を一定の圧力で押圧する。この際、固定針48全体が
押圧部材53の凹部54内に収納されるため、縫製対象物21
a,21bは押圧部材53と固定針48とによって強固に固定
されることとなる。また、ミシン本体14側に置かれた縫
製対象物21a,21bの重複部分の表面には、布押さえ車
輪20が当接される。上記の縫製対象物21a,21bの配置
・固定は、テーブル15の第1のセット領域15a及び第2
のセット領域15bにおいてそれぞれ行われる。
【0028】以上の状態で、後に詳述する要領でミシン
本体14を駆動させ、第1のセット領域15a側の縫製作業
を完了させた後、第1のセット領域15a側の押圧部材53
を縫製対象物21a,21bの交換の邪魔にならない位置に
まで逃がすと共に、固定針48もテーブル15内に収納させ
ることにより、縫製済みの対象物を取り外し、ミシン本
体14が第2のセット領域15b側の縫製作業を行っている
中に、未縫製の縫製対象物21a,21bを上記と同様の手
順で第1のセット領域15aに固定させる。
【0029】図5は、この第1の縫製システム10の制御
機構の主要部分を示すブロック図であり、この第1の縫
製システム10は、まず制御装置55と記憶装置56とを備え
ている。この制御装置55は、例えばプログラマブル・コ
ントローラやマイクロ・コンピュータ、パーソナル・コ
ンピュータ、エンジニアリング・ワークステーション等
のCPUによって構成される。また、上記記憶装置56
は、この第1の縫製システム10の制御プログラムが格納
されるROM56aや、様々な設定条件等のデータが一時
的に記憶されるRAM56bより構成される。上記制御装
置55の入力側にはCCDカメラ22のコントローラ57が接
続されており、該画像コントローラ57には、CCDカメ
ラ22の他に、モニタ58や入力装置としてのコンソール5
9、あるいは図示しないキーボードやテンキー等が接続
されている。また、ミシン本体14内に配置された回転セ
ンサ31やその他の各種センサ類60が、信号処理回路61や
入力インタフェース62を経由して制御装置55に接続され
ている。上記制御装置55の出力側には、出力インタフェ
ース63及び駆動回路64を介して、第1のサーボモータ2
9、第2のサーボモータ45c、第3のサーボモータ46
c、及び上記エアシリンダ41の駆動系65が接続されてい
る。また、表示ランプや警報ブザー等の各種出力装置66
も、上記出力インターフェース63を介して制御装置55に
接続されている。
【0030】つぎに、この第1の縫製システム10の基本
動作を、図6のフローチャート沿って説明する。なお、
テーブル15の第1のセット領域15a及び第2のセット領
域15bには、既に縫製対象物としてのニット地21bと織
地21aとが配置・固定されているとの前提に基づいて説
明する。まず、図示しないスイッチをONしてX-Yテ
ーブル44を駆動させることで、上記CCDカメラ22でニ
ット地21bの縫製箇所を捉えることができる位置までミ
シン本体14を移動させる。そして、該縫製箇所の画像
を、上記CCDカメラ22を介して取り込む。そして、こ
の取り込まれた画像を基に、縫い針18で貫くべき「編み
目」を指し示す目印パターンの形状を設定すると共に、
該目印パターンを基準にして縫合すべき編み目の位置を
設定し、これらの設定結果を上記記憶装置56内に記憶さ
せておく(S1)。具体的には、予めニット地21bの表
面における縫製すべき編み目の近傍に所定の目印パター
ンを配置させておき、モニタ58上に映し出された上記C
CDカメラ22からの拡大映像を見ながらコンソール59を
操作して、当該目印パターンの形状をサーチウィンドウ
で囲って指定すると共に、該サーチウィンドウ内で目標
となる箇所をパターンウィンドウで囲って特定すること
で、縫製すべき編み目が設定されるのであるが、このタ
ーゲットとなる「編み目」の設定方法については、後で
詳細に説明する。
【0031】つぎに、図示しない始動スイッチをONし
てミシン本体14を左右に移動させ、CCDカメラ22から
入力され、上記画像コントローラ57で画像処理された画
像データ中から記憶済みの目印パターンと類似するパタ
ーンを制御装置55に検知させると共に、各パターン間の
ピッチ(間隔)を読み取らせる。ここで読み取ったピッ
チ情報は、基準ピッチとして記憶装置56内に格納される
(S2)。もっとも、このように基準ピッチをCCDカ
メラ22を用いて読み取る代わりに、キーボードやテンキ
ーといった入力手段を用いて、基準ピッチの数値を直接
入力しておくこともできる。この基準ピッチの読み取り
作業が終了すると、表示ランプ等を点灯させたり、ある
いはモニタ58上に具体的なピッチの値を表示させたりし
て外部に知らせると共に、ミシン本体14は原点位置(テ
ーブル15の第1のセット領域15aと第2のセット領域15
bとの中間位置)に自動的に移動する。
【0032】ここまでが準備段階であり、つぎに図示し
ない自動運転スイッチをONすることにより、本格的な
縫製工程が開始される。まず、制御装置55からの指令に
基づいて、ミシン本体14が第1のセット領域15aの縫い
始め位置まで自動的に移動して(S3)一時停止すると
共に、エアシリンダ41が動作してミシン本体14の下軸38
及び釜39が縫製可能な位置にまで上昇する。つぎに、制
御装置55において、CCDカメラ22から取り込まれ、画
像コントローラ57においてディジタル化及び細線化等の
画像処理を施された画像データを分析し、すでに記憶さ
れている目印パターンの画像データと一致するパターン
を探索することによって(S4)、縫製すべき第1番目
の編み目が位置する座標を検出すると共に(S5)、第
2のサーボモータ45c及び第3のサーボモータ46cを駆
動させ、当該編み目を縫い針18で貫くことができる位置
に到達するよう、ミシン本体14をXY方向に移動させる
(S6)。
【0033】つぎに、制御装置55からの指令に基づいて
第1のサーボモータ29が駆動され、上糸28を針穴に通し
た縫い針18が下降を開始する。この縫い針18は、ニット
地21bの第1番目の編み目を貫き、ベッド12の表面に形
成された穴67を経由して釜39の近傍にまで上糸28を運ぶ
と、そこで上昇に転ずる。この釜39は、上記縫い針18の
移動に同期して回転運動を開始しており、縫い針18が上
昇する際に剣先で上糸28を捕捉し、その回転の途中で内
部に収納された図示しない下糸を繰り出して上糸28のル
ープに絡め、いわゆる本縫いの縫い目を形成していく。
このように縫い針18が1回の下降−上昇サイクルを実行
し、その間に釜39が2回転することにより、ニット地21
bの第1番目の編み目と織地21aとの縫製が1目分完了
することとなる(S7)。
【0034】上記縫い針18によって本縫い動作が行われ
ている間にも、制御装置55においてはCCDカメラ22か
ら送られてくる画像データを分析しており、次の目印パ
ターンの探索(S8)、及び縫製すべき次の編み目が位
置する座標の検出(S9)を行っている。そして、予め
記憶されていた基準ピッチと実際に検出された座標との
差を演算し、該演算結果に基づいて基準ピッチに補正を
加え(S10)、ミシン本体14を移動させ第2番目の編み
目を縫製可能な位置にまで移動さ せる(S11)。そし
て、縫い針18を下降−上昇させて当該編み目の縫製を実
現する(S12)。以後も上記と同様の工程を繰り返すこ
とにより、次々と編み目が縫製されて行く。そして、予
め設定された縫い終わり位置を検出した時点で(S1
3)、制御装置55は次の目印パターンを探索する動作を
中止し、縫製作業を停止させる(S14)。また、エアシ
リンダ41を駆動させて釜39を元の位置に下げ、糸を切断
した後にミシン本体14を原点位置にまで復帰させる(S
15)。
【0035】つぎに、再度始動スイッチを押すことによ
り、ミシン本体14はテーブル15の第2のセット領域15b
側に移動し、上記と同様、縫製すべき編み目を指し示す
目印パターンの記憶と、基準ピッチの読み取り工程を経
て、本縫い工程へと移行する。このように、ミシン本体
14が第2のセット領域15bの縫製作業に従事している間
に、第1のセット領域15aにおいては、押圧部材53を上
昇させる同時に固定用針板47を下降させ、縫製済みの対
象物を取り去り、つぎの縫製対象物21a,21bをセット
しておく。以上の動作を繰り返すことにより、1台のミ
シン本体14でもって連続的に縫製作業を行うことがで
き、効率的である。なお、上記にあっては、第1のセッ
ト領域15aと第2のセット領域15bに、それぞれ別個の
縫製対象物21a,21bを配置・固定させることを前提に
説明したが、全く同じパターンの編み目を備えた複数の
ニット地21bを縫製する場合には、上記した縫製すべき
編み目の設定・記憶工程と基準ピッチ読み取り工程は最
初の1回だけおこない、後はこのデータを利用するよう
に運用すれば、より効率的な縫製作業を実現できる。
【0036】以上の縫製動作中は、ミシン本体14は停止
することなく連続的に運転される。ただし、縫い針18が
上昇行程に入った時点で低速運転となって次の目印パタ
ーンの探索を確実とし、この目印パターンが検知されて
縫い針18が下降行程に移行する時点で再度高速運転に転
換されるようプログラムしてもよい。これらは、具体的
には上軸30の回転状況を監視している回転センサ31から
の出力データに基づき、上記制御装置55が上軸30の回転
角度や回転速度を読み取り、この結果に基づいて上記第
1のサーボモータ29の回転速度を加減することによって
実現される。その他にも、例えば縫製すべき次の編み目
が位置するものとして検知した座標が、基準ピッチを基
に算出される座標と比較して一定数値以上の開きがある
場合には、飛ばしエラーが発生したものと認定し、前回
の縫製箇所に戻って再探索を行うようにプログラムして
おいてもよい。
【0037】上記の縫い始め位置及び縫い終わり位置の
設定及び検出は、例えば以下のようにして実現される。
まず、図2に示すように、溝102に沿って一定の範囲内
でスライド可能な突起物103を、第1のセット領域15a
及び第2のセット領域15bの両脇にそれぞれ設けておく
と共に、ミシン本体14側にも該突起物103を検出可能な
センサ(図示省略)を配置させておく。そして、各セッ
ト領域に縫製対象物21a,21bを配置・固定させた後
に、その対象物の両脇に接する位置まで各突起物103を
スライドさせる。こうすれば、ミシン本体14の移動に伴
ってミシン本体14側のセンサが各突起物103を検出する
度に、縫い始め位置及び縫い終わり位置を検出できるこ
ととなる。なお、ミシン本体14側に特別なセンサを配置
させる代わりに、上記突起物103の形状をCCDカメラ2
2を通じて記憶装置56内に記憶しておき、当該形状を認
知することによって縫い始め位置や縫い終わり位置を検
出するよう構成してもよい。
【0038】本発明に係る第1の縫製システム10は、上
記のようにCCDカメラ22が捉えた画像データの中か
ら、予め記憶されている目印パターンの画像データと一
致する部分を検出し、これを基に次の縫製対象となる編
み目が存在する座標を正確に割り出すと共に、現在縫い
針18が位置している座標との差を算出し、最初に設定さ
れていた基準ピッチにしたがって移動したのでは次の編
み目位置に到達し得ないと判断した場合には、基準ピッ
チに補正を加えてミシン本体14の進むべきコースや移動
量を修正することを主眼としている。したがって、CC
Dカメラ22による目印パターンの正確な把握が、本発明
を実現する上で最も重要な鍵となる。
【0039】ここで使用するCCDカメラ22は、本来的
に物体の輪郭パターンを捉えることを得意としているも
のであるが、ニット地21bの編み目は必ずしも明確な輪
郭パターンを備えているとはいえず、むしろそれぞれの
編み目は輪郭がぼやけたり潰れたような形状を備えてい
る。また、図7に示すように、一定の編み目を備えたニ
ット地21bの中、想像上の黒点で印した多数の編み目α
を直線状に縫製しようとする場合、図8に示すように、
この縫製すべき編み目αの上下にも似たような編み目β
が多数存在しているため、例え一つの「編み目α」を形
成するループのパターンを記憶させておいても、ミシン
本体14の走行中に縫製すべき次の編み目αを正確に抽出
することは困難であり、結果的に編み目αを一直線状に
縫製することが不可能となる。
【0040】この問題を解決するためには、図9に示す
ように、縫製を希望する編み目αが並んでいる直ぐ下の
列に、ニット地21bの地色の反対色など目立つ色彩を備
えると共に、所定の樹脂溶液(例えば、アルコール等の
溶剤中に繊維素系樹脂を溶融させたもの)に漬け込むこ
とによって、ニット地21bを構成している糸と明瞭に区
別できるようになされた1本の捨て糸68を、ニット地21
bを形成する際に予め半コース(場合によっては1コー
ス)だけ編み込んで目印となるダミーのパターンを形成
しておき、この目印パターン69を手掛かりとして縫製す
べき編み目αを特定することが有効である。
【0041】具体的には、モニタ58上に映し出されたC
CDカメラ22からの拡大映像を見ながらコンソール59を
操作して、図10に示すように捨て糸68からなる目印パ
ターン69の一つの編み目を中心にしつつ、左右の編み目
の一部をも取り込む領域をサーチウィンドウ70で囲っ
て、探索すべき形状の範囲を指定する。つぎに、該サー
チウィンドウ70内で目標とすべき編み目αにパターンウ
ィンドウ71aを合わせ、目印パターン69の編み目を基準
にして縫合すべき編み目αの位置を指定する。図10に
おいては、三角形状の編み目の頂点の、直ぐ上に位置す
る編み目αをターゲットとして設定した例が示されてい
る。上記制御装置55は、CCDカメラ22を通じて時々刻
々と取り込まれてくる画像データの中から、まず上記サ
ーチウィンドウ70で囲った目印パターン69の形状(略W
字形状)を順番に抽出すると共に、各目印パターン69の
頂点のやや上の部分を縫製すべき編み目αの存在する位
置であると認定し、その座標を算出するのである。
【0042】捨て糸68は、樹脂を含んでいるために若干
硬化しており、この結果、目印パターン69の編み目は上
記のように略三角形状に形成されている。そして、比較
的柔軟で丸みを帯びたループが連続するこのニット地21
bの中には、三角形状の編み目は捨て糸68を編み込んだ
目印パターン69以外に存在せず、しかも捨て糸68はニッ
ト地21bを構成している糸の反対色等に染められている
ため、目印パターン69は非常に目立つ存在となり、CC
Dカメラ22によって確実に捕捉できることとなる。ま
た、各三角形状の頂点が常に縫製すべき編み目αの近傍
に位置するように各目印パターン69は配列されているた
め、目印パターン69の頂点上方を目標に縫い針18を下降
させさえすれば、誤って縫うべきでない編み目βを縫合
してしまうエラーが発生せず、縫い目αを一直線上に縫
合することができる。
【0043】ダミーの目印パターン69は、上記のように
1本の捨て糸68を半コースだけ編み込んであるため、縫
製完了後には簡単に抜き取ることができ、ニット製品の
デザインを損ねることはない。そして、図10の線Xに
沿ってニット地21bを切除して糸屑を除去すれば、図1
1に示すように、縫合箇所にニット地21bのループ104
を綺麗に揃えることができる。また、各ループ104間
は、縫い目ライン105によって一箇所の目落ちもなく確
実に緊縛されている。なお、図7〜図11においては、
理解を容易にするため他方の縫製対象物である織地21a
の記載を省略してあるが、実際にはニット地21bと織地
21aとを重ね合わせた状態で、上記した目印パターン69
の設定や自動縫製が実行されることはいうまでもない。
【0044】ところで、編み目のパターンには本来、平
編み(天竺編み)、ゴム編み、パール編み等と様々なも
のがあり、さらにそれぞれの編み方には表目と裏目の区
別があり、糸の太さや材質も多種多様であるため、ニッ
ト地21bには数多くのバリエーションが考えられる。こ
れに対し、上記目印パターン69の形成に際しては、捨て
糸68として毛足が短くて編み目が明瞭に認識でき、しか
も抜き取り易い材質のものを用い、これを最も単純で画
像認識し易い形状の編み目を形成できる平編みで編成す
ることが望ましい。上記の条件を満たせばどのような糸
を用いてもよいが、一般論としては天然繊維よりも化学
繊維製の糸(例えば商品名「ピューロン」)や、あるい
は化学繊維と天然繊維との混紡糸で捨て糸68を構成する
のが望ましい。
【0045】なお、必ずしも上記のように三角形状の目
印パターン69の頂点近傍に存在する編み目αを縫製すべ
きターゲットとして設定する必要はない。例えば、反対
方向から縫製する場合には、目印パターン69の頂点の真
下部分にパターンウィンドウ71bを合わせて縫合すべき
編み目α’を設定することもできる(図10)。要は、
目印パターン69を手掛かりとして、縫製すべき編み目の
位置を特定できればよいのである。
【0046】上記のように、目印パターン69を形成する
捨て糸68として、通常の糸を用いるのでなく、所定の樹
脂溶液中に漬け込むことによってある程度硬化させてお
いた糸を用いたため、目印パターン69にある程度の定型
性を付与することが可能となり、通常の糸を用いた場合
に比べて輪郭がシャープに現れると共に、潰れや伸びに
起因して各目印パターン69間の形状がまちまちとなるこ
とを最小限に抑えることができる。この結果、CCDカ
メラ22による認識率を飛躍的に高めることができるので
ある。また、上記目印パターン69を、ヘッド部16の外側
に取り付けられたランプ23で照らすようにすれば、目印
パターン69がさらに明瞭化され、その認識率をより向上
させることができる。上記捨て糸68の色としては、上記
のようにニット地21bの反対色に限られるものではな
く、ニット地21bから明瞭に区別できるのであれば他の
色を選択してもよい。
【0047】さらに、上記捨て糸68として、蛍光塗料と
上記樹脂とを溶かした溶液中に漬け込んだものを選定
し、該捨て糸68を編み込んで目印パターン69を形成する
と共に、ヘッド部16の外側に取り付けられたランプ23と
してブラックライトを用い、このブラックライトで目印
パターン69を照らすようにしてもよい。このように、蛍
光塗料を含んだ捨て糸68からなる目印パターン69をブラ
ックライトで照らせば、図12に示すように、当該目印
パターン69が発光して輪郭が極めてクリアに現れるた
め、CCDカメラ22による認識率を高めることができ
る。
【0048】上記においては、捨て糸68をニット地21b
の中で最終製品として残される側に編み込んでおき、縫
製後に捨て糸68を抜き取る例を説明したが、本発明はこ
れに限定されるものではない。すなわち、図13に示す
ように、ニット地21bが最終製品として残される部分
(以下「本編み部分106」と称する)と、該本編み部分1
06に続けて編み込まれ縫製後に捨て去られる部分(以下
「捨て編み部分107」と称する)とから形成される場合
に、捨て糸68を上記捨て編み部分107の側で、かつ上記
本編み部分106との境界付近に編み込んで目印パターン6
9を形成してもよい。この場合も捨て糸68は、上記と同
様、ニット地の地色と反対色で染色されるか、あるいは
蛍光塗料が含浸されており、縫合すべきループ間のピッ
チに対応したピッチでほぼ三角形状のパターンが連続す
るよう編み込まれている。図13においては、捨て糸が
形成する各三角形間の谷間部分の上方に、縫合すべき編
み目αが設定されている。
【0049】そして、上記のミシン本体14を作動させて
編み目α間を縫製した後、捨て編み部分107の端から編
み糸を引き解いて行くことにより、図14に示すよう
に、織地21aの表面にニット地21bのループ104を綺麗
に揃えた形で両者を縫合することができる。図示の通
り、各ループ104,104間は縫い目ライン105によって一
つも目落ちすることなく確実に縫合されているため、上
記のように捨て編み部分107を抜き解いて行っても本編
み部分106が解れ出すことはない。
【0050】なお、図示の便宜上、本編み部分106と捨
て編み部分107とは同じパターンで描かれているが、実
際には、本編み部分106側は製品として要求されるより
精妙な編み目パターンや表目と裏目との複雑な組み合わ
せを備えているのに対し、捨て編み部分107側は捨て糸6
8も含め最も単純な平編みで形成されている。これは、
目印パターン69を構成する編み目の形状をできるだけ単
純化することにより、CCDカメラ22による認識率をよ
り高めるためである。
【0051】以上の第1の縫製システムを用いれば、画
像センサとしてのCCDカメラ22や制御装置55、記憶装
置56、第1のサーボモータ29〜第3のサーボモータ46c
の働きによって、自動的に縫製すべき編み目αを捕捉し
て正確に縫製を行えるため、従来のように針板の係止針
に編み目を正確に突き刺していく必要がなく、ニット地
の縫製作業が極めて効率化できる。しかも、目印パター
ン69として編み込まれる捨て糸68は、文字通り縫製完了
後に抜き取られるため、ニット地21b本来の編み目パタ
ーンとは無関係に、ただCCDカメラ22による画像認識
の容易さのみを念頭において編成できる利点を備えてい
る。このため、ニット地21b(本編み部分106)側はデ
ザイン上の制約を一切受けることなく、複雑な組織編成
(ゴム編みやパール編み、多数の表目と裏目の組み合わ
せ等)を備えた付加価値の高いものとすることができ
る。これに対し、このような目印パターン69を導入する
ことなく、単にニット地21bの編み目をCCDカメラ22
によって捉えようとすれば、認識エラーを防ぐために、
どうしてもニット地21bの組織編成を単純化せざるを得
なくなる。
【0052】このような画期的な第1の縫製システム10
の適用範囲を可能な限り広げるためには、従来の縫製手
順を見直すことも有効である。例えば、従来は丸首セー
タを縫製する際に、まず前身頃と後身頃を合わせて両肩
部分を縫い上げた後に、衿部分を丸く縫いつけ、最後に
両袖部分を縫製していた。これに対し、図15に示すよ
うに、まず後身頃72と前身頃73の一方の肩部分74aのみ
を先に縫製した後、後身頃72の端部72aと前身頃73の端
部73aを反対方向に引っ張って丸首部分75を直線状に延
ばした上で、図16に示すような衿部分76を上記第1の
縫製システム10を用いて丸首部分75に縫製し、その後に
残りの肩部分74bと、衿部分76の終端部同士を縫い合わ
せ、最後に袖部分を縫い付ける縫製手順を提案する。従
来は、先に両方の肩部分を縫製して丸首部分を完成させ
た後に、衿部分を円周に沿って縫い付けていたため、大
変に縫い難いものであり、この従来の手順を踏襲してい
てはこの発明に係る第1の縫製システムを有効に活用で
きないが、上記したように縫製方法に工夫を加えること
で、本発明を用いてより効率的な縫製作業を実現するこ
とができる。
【0053】ただし、身頃側の丸首部分75に衿部分76を
縫合する際には、両者の位置合わせ(寸法合わせ)を行
う必要がある。すなわち、身頃側は柔軟性に富んでいる
ため、丸首部分75をただ力任せに直線状に引き伸ばして
固定針48にセットしたのでは、衿部分76の横寸法と合わ
なくなってしまう。また、例え丸首部分75の端部72a,
73a間の寸法と衿部分76の横寸法とを形式的に合致させ
たとしても、問題は残る。すなわち、図17に示すよう
に、一口に丸首部分75といっても、実際にはその縫製ラ
イン108には湾曲している部分と直線に近い部分とが存
在し、その湾曲の有無や程度によって複数の領域に区分
される。このため、一時的に直線状に引き伸ばされた丸
首部分75に衿部分76をそのまま重ねて縫合すると、固定
針48から取り外して丸首部分75が本来の形状を回復した
際には、湾曲部分を中心に所々に皺が寄る可能性があ
る。
【0054】この問題を解決するには、以下の方法が有
効である。例えば、丸首部分75の全周及び衿部分の全長
が34cmである場合に、丸首部分75のAB間の領域に16cm
の衿部分abを割り当て、またBC間の領域に6cmの衿
部分bcを、CD間の領域に2cmの衿部分cdを、DE
間の領域に2cmの衿部分deを、EF間の領域に2cmの
衿部分efを、FG間の領域に6cmの衿部分fgをそれ
ぞれ割り当てれば、皺が寄ることなく衿部分76をうまく
湾曲させて丸首部分75に縫合できるものと仮定する(図
16及び図17)。
【0055】この場合には、図18に示すように、まず
固定用針板47の一面に丸首部分75のA〜Gに対応するマ
ークMa〜Mgをチャコ(チョーク)等で予め付してお
く。もちろん、マークMa−Mb間は16cmに、Mb−M
c間及びMf−Mg間は6cmに、Mc−Md間、Md−
Me間及びMe−Mf間は2cmに設定されている。つぎ
に、丸首部分75の一方の端部A(72a)を、固定用針板
47のマークMaが付された箇所の固定針48aに突き刺し
た後、後身頃72と前身頃73との接続部分BをマークMb
の固定針48bに、また前身頃73の第1の湾曲部分の始点
CをマークMcの固定針48cに、第1の湾曲部分の終点
DをマークMdの固定針48dに、前身頃73の第2の湾曲
部分の始点EをマークMeの固定針48eに、第2の湾曲
部分の終点FをマークMfの固定針48fに、丸首部分75
の他方の端部G(73a)をマークMgの固定針48gにそ
れぞれ突き刺す。最後に、衿部分76の一端をマークMa
の固定針48aに突き刺すと共に、他端をマークMgの固
定針48gに突き刺して押圧部材53を押し下げ、この状態
で上記第1の縫製システム10を用いた自動縫製を行う。
【0056】このように、固定用針板47に必要な間隔で
マークMa〜Mgを設定しておき、このマークMa〜M
gを基準にして丸首部分75の各領域に衿部分76の寸法を
割り当てるようにすれば、自動縫製を行っても身頃側に
皺が寄ることなく、衿部分76をうまく湾曲状に縫合する
ことが可能となる。もちろん、縫製に際しては、衿部分
76に予め編み込まれた捨て糸68よりなる目印パターン69
をCCDカメラ22で捉えて縫合すべき編み目を正確に割
り出し、各編み目間を確実に縫合して行くため、身頃と
の境界部分に衿部分76の編み目ループを綺麗に揃えるこ
とができる。この縫製方法の場合、固定用針板47に付さ
れた各マークMa〜Mgに丸首部分75の各領域を合わせ
る手間がかかるが、それもわずか数ヶ所のことであり、
丸首部分75の編み目を一つ一つ順番に固定針48に突き刺
す必要はないのであるから、それほど煩雑な作業ではな
い。
【0057】つぎに、この発明に係る第1の縫製システ
ム10を、いわゆるパイピング衿付け等の挟み縫製作業に
応用する方法について説明する。パイピング衿付けと
は、例えば図19に示すように、一枚のニット地の一端
側から一対の片部を編み出した衿部材を身頃の首部分に
縫合する際に、衿部材109の第1の片部110と第2の片部
111間に身頃112の端部を挟み込んだ上で、両方の片部11
0,111と身頃112を串刺し状に縫合するものである。な
お、1枚の平面状のニット地を二つ折りにし、その結果
生じる第1の片部と第2の片部との間に身頃112の端部
を挟み込んだ状態で縫合する場合もパイピング衿付けに
包含される。このような場合、表側に位置する第2の片
部111の目印パターン69をCCDカメラ22で捉えること
は可能であるが、裏側に位置する第1の片部110の目印
パターン69をCCDカメラ22で捉えることはできない。
このため、このまま画像処理を用いた自動縫製によって
串刺し状に縫合すれば、第2の片部111の編み目間は一
つも落とすことなく正確に縫合できるが、第1の片部11
0の編み目に関しては盲縫いとなり、編み目を正確に拾
うことができなくなる。この結果、縫製後に第1の片部
110の捨て編み部分113を解いた際に、縫い目ラインを越
えて本来残すべき本編み部分114までが解れ出す可能性
がある。
【0058】もちろん、一旦表側から自動縫製した後、
裏返して同じ工程を繰り返せば、第1の片部110の編み
目を正確に捉えて縫合できるため、その本編み部分114
が解れ出してしまうという問題は解決するが、今度は表
側に位置する第2の片部111に2本の縫い目ラインが現
れることとなり、しかもその中の1本は編み目を正確に
捉えているものではないため見苦しく、ニット製品とし
ての商品価値を著しく損なうこととなる。因みに、従来
は人の手によって、第1の片部110の編み目と第2の片
部111の編み目に係止針が正確に刺し通され、「第2の
片部111−身頃112−第1の片部110」が一度に縫合され
ていたため、上記のような問題は生じない反面、生産効
率の向上は望めないものであった。
【0059】そこで、本発明に係る第1の縫製システム
10を利用してパイピング衿付けを行うことを可能とす
る、新しい縫製方法を以下に提案する。まず第1の縫製
方法は、図20に示すように、衿部材109の第2の片部1
11を折り畳むと共に、第1の片部110と身頃112の端部と
を重ねて図示しないテーブル上に載置し、固定針48及び
押圧部材53で固定する。そして、第1の片部110表面に
編み込まれた目印パターン69をCCDカメラ22で画像認
識し、縫い針18でもって第1の片部110と身頃112端部と
の自動縫製を行う。つぎに、身頃112と衿部材109を裏返
し、第2の片部111を身頃112の表側に重ねて図19の状
態とし、第2の片部111に編み込まれた目印パターン69
をCCDカメラ22で画像認識し、「第2の片部111−身
頃112−第1の片部110」の自動縫製を実行する。
【0060】この自動縫製後に捨て編み部分113を除去
すると、図21に示すように、第1の片部110上には2
本の縫い目ライン105,105が現れ、しかもその中の1本
はループを拾ってはいない不完全な縫い目ラインとなる
が、この部分は衣服の裏側に隠れてしまうため、製品と
しての商品価値を損ねるおそれはない。図示は省略した
が、衣服の表側に露出する第2の片部111上には、1本
の縫い目ラインのみが現れていることはいうまでもな
い。なお、第1の片部110と身頃112との間が2回縫合さ
れる結果、その分衿部材109と身頃112との接合強度が高
まるという副次的な効果も期待できる。
【0061】第2の縫合方法は、図22に示すように、
衿部材109の第2の片部111を折り畳むと共に、第1の片
部110のみを図示しないミシンベッド及びテーブル上に
載置し、固定針48及び押圧部材53で固定する。そして、
第1の片部110表面に編み込まれた目印パターン69をC
CDカメラ22で画像認識し、縫い針18でもって第1の片
部110の編み目ループ間を自動縫製する。このように、
まず第1の片部110側の編み目ループ間をしっかりと目
止めして解れ出すことがない状態を確保する。つぎに、
衿部材109を裏返し、第2の片部111と第1の片部110と
の間に身頃112の端部を挟み込んで図19の状態とし、
第2の片部111表面に編み込まれた目印パターン69をC
CDカメラ22で画像認識し、「第2の片部111−身頃112
−第1の片部110」の自動縫製を実行する。この場合に
も、上記と同様、衿部材109の第1の片部110上には2本
の縫い目ライン105,105が現れるが(図21)、第2の
片部111上には1本の縫い目ラインのみが現れるため、
ニット製品としての商品価値を維持することができる。
【0062】なお、上記した縫製方法は、パイピング衿
付け以外の挟み込み縫製にも適用可能であり、要は、一
対のニット地間に他の縫製対象物を挟み込んで縫合する
場合に広く応用可能である。例えば、カーディガン等に
前立て衿(ボタン及びボタンホール周り)を縫合する場
合や、ポケットの開口部に補強用のパーツ部分を縫合す
る場合、あるいは身頃のスリット部分(脇下の開口部)
を縫合する場合等が該当する。
【0063】ところで、図23に示すように、一対のニ
ット地(第1のニット地115及び第2のニット地116)を
重ね合わせ、上記第1の縫製システム10を用いて縫合す
る際にも、表側に位置する第2のニット地116の目印パ
ターン69をCCDカメラ22で捉えることは可能である
が、裏側に位置する第1のニット地115の目印パターン6
9をCCDカメラ22で捉えることはできない。このた
め、このまま画像処理を用いた自動縫製によって縫合す
れば、第2のニット地116の編み目同士は一つも目落ち
することなく正確に縫合できるが、第1のニット地115
の編み目に関しては盲縫いとなり、編み目を正確に拾う
ことができなくなる。この結果、縫製後に第1のニット
地115の捨て編み部分115aを解いた際に、縫い目ライン
を越えて本来残すべき本編み部分115bまでが解れ出す
危険性がある。
【0064】この問題を解決するには、上記した第2の
縫製方法を応用することが有効である。すなわち、まず
ミシンベッド及びテーブル上に第1のニット地115のみ
を載置し、固定針48及び押圧部材53で固定する。そし
て、第1のニット地115表面に編み込まれた目印パター
ン69をCCDカメラ22で画像認識し、縫い針18でもって
編み目ループ間を自動縫製する。このように、まず第1
のニット地115側の編み目ループ間をしっかりと目止め
して解れ出すことがない状態を確保する。つぎに、この
第1のニット地115の表面に第2のニット地116を重ね合
わせた上で、第2のニット地116の表面に編み込まれた
目印パターン69をCCDカメラ22で画像認識し、自動縫
製を実行する。縫製後に、第1のニット地及び第2のニ
ット地の捨て編み部分115a,116aをそれぞれ解き取る
ことにより、図24に示すように、第1のニット地の本
編み部分115bと第2のニット地の本編み部分116bと
の、ほとんど継ぎ目が目立たない状態での接合が実現さ
れる。
【0065】なお、第1のニット地115及び第2のニッ
ト地116の裏面には2本の縫い目ライン105,105が現れ
るが、それぞれの表面には1本の縫い目ラインのみが現
れ、第1のニット地115側の縫い目ラインはほとんど目
立たないため、ニット製品としての商品価値を低下させ
ることはない。この縫製方法を用いれば、一対のニット
地同士を、重複部分(縫いしろ部分)を残すことなく、
したがって継ぎ目がほとんど目立つことなく縫合できる
ため、靴下の爪先部分や踵部分の縫製や、セーターの袖
山付け、肩ハギ縫製等に最適である。
【0066】上記においては、この第1の縫製システム
10を織地とニット地との縫製、及びニット地同士の縫製
に用いた例を示したが、編み目を有しない織地同士の縫
製に用いることもできる。この場合、上記固定用針板47
を下げた状態で一対の織地をテーブル15上に載置し、固
定用針板47を上昇させることなく押圧部材53のみを下降
させて織地を固定すればよい。あるいは、織地に傷が残
らない程度の非常に細い固定針48を備えた針板47を用い
るならば、該針板47を上昇させて織地に固定針48を突き
刺して固定してもよい。
【0067】このように織地同士を縫合する場合には、
目印パターンを形成する捨て糸を予め織地側に編み込ん
でおくことはできないが、その代わりとして、図25に
示すように、表面に目印パターンを表示したプレート12
0を用いることができる。このプレート120上には、円12
1や三角形122、四角形123、六角形124の図形が所定のピ
ッチで横方向に連続して表示されており、各図形ごとに
目印パターンを構成している。そして、円121の連続に
よって構成された第1の目印パターン125のピッチは、
三角形122の連続によって構成された第2の目印パター
ン126のピッチよりも広く、四角形123の連続によって構
成された第3の目印パターン127のピッチよりも狭く設
定されている。また、六角形124の連続によって構成さ
れた第4の目印パターン128は、不規則なピッチを備え
ている。
【0068】このプレート120は、図26に示すよう
に、例えば押圧部材53の上面など、縫製対象物である織
地129,130の近傍に配置される。そして、該プレート12
0の上方に配置されたCCDカメラ22によって、例えば
円121の連続した第1の目印パターン125を追跡させると
共に、各円121から一定の距離を隔てた座標を縫合すべ
き箇所γとして予め設定しておけば、当該第1の目印パ
ターン125と等しいピッチで自動縫合を行うことが可能
となる。また、縫製ピッチを変更する場合には、CCD
カメラ22でもって三角形122や四角形123で構成された他
の目印パターンを追跡するよう設定すればよい。さら
に、不規則なピッチが要求される場合には、六角形124
で構成された第4の目印パターン128を追跡するように
設定する。もちろん、このようなCCDカメラ22によっ
てプレート120上の目印パターンを読み取って縫製ピッ
チを設定する代わりに、テンキーやキーボードから直接
ピッチを入力して設定することも可能である。
【0069】図27に示すように、上記ミシン本体14と
して、釜39の代わりに従来例で説明したのと同様の楔状
ルーパ77を下軸38の先端に取り付けたものを用い、鎖状
の縫い目で縫製対象物としての第1のニット地115及び
第2のニット地116を縫合するよう構成してもよい。こ
のルーパ77は、縫い針18の上下動と同期して一定方向に
回転すると共に、縫い針18が運んで来た縫い糸28を剣先
で捕捉してループを形成し、縫い針18が次に下降して来
るまでこれを保持しておき、該ループに縫い針18が運ん
で来た次の縫い糸28を通すことによって鎖状の縫い目を
形成し、ニット地115,116同士を縫合するものである。
なお、下軸38の先端に釜39の代わりにルーパ77を取り付
ける以外の構成は、上記した実施の態様と基本的に異な
らないため、同一の符号を付してその説明は省略する。
【0070】図28及び図29は、この発明に係る他の
第2の縫製システム131を示すものである。この第2の
縫製システム131は、ミシン本体132と、第1のセット用
テーブル133と、第2のセット用テーブル134とを備えて
いる。ミシン本体132の構成は、上記第1の縫製システ
ム10のミシン本体14とほぼ等しい。すなわち、ミシン本
体132は、アーム11と、該アーム11と平行するミシンベ
ッド135と、アーム11とベッド135とを連結する柱13とを
備えている。また、上記アーム11の先端にはヘッド部16
が形成されており、該ヘッド部16の下端からは針棒17が
突出し、該針棒17の先端には縫い針18が固定されてい
る。上記ヘッド部16の裏側には、CCDカメラ22が取り
付けられている。上記ヘッド部16の先端には、リング状
をしたブラックライト136が取り付けられている。ま
た、このヘッド部16の前面からは、天秤24が突出してい
る。上記アーム11の上面には、糸立て棒25及び糸巻き立
て26が立設されており、糸巻き立て26には糸巻き27が装
着されている。この糸巻き27から繰り出された縫製用の
上糸28は、糸立て棒25及び天秤24の貫通孔を経由して縫
い針18の針穴に挿通される。
【0071】上記アーム11の後端側には第1のサーボモ
ータ29が取り付けられている。また、第1のサーボモー
タ29の駆動軸は、アーム11内部に横方向に配置された上
軸30に接続されている。またアーム11内部には、上軸30
の回転速度や回転数を検出するための回転センサ31が配
置されている。この回転センサ31は、発光素子及び受光
素子を備えており、上軸30の途中に取り付けられた円板
32のスリットを通過して来た発光素子からの光を受光素
子が捉えることによって、上軸30の状態を検知する。上
軸30の先端部分には、図示しないクランク機構が内蔵さ
れており、このクランク機構を介して、上軸30の回転運
動は針棒17の上下運動に変換される。上軸30の後端側に
は、第1の傘歯車33が取り付けられており、該第1の傘
歯車33は第2の傘歯車34と噛み合わされている。この第
2の傘歯車34は、柱13内に縦方向に配置された伝動軸35
の上端部に取り付けられている。また、この伝動軸35の
下端部には、図示は省略したが上記第1の縫製システム
10のミシン本体14と同様第3の傘歯車が取り付けられて
おり、該第3の傘歯車は第4の傘歯車と噛み合わされて
いる。
【0072】この第4の傘歯車は、ベッド135内に横方
向に配置された下軸38の後端に接続されている。また、
この下軸38の先端には、全回転式の釜39が取り付けられ
ている。この下軸38を支持する軸受け部材40の裏面に
は、エアシリンダ41の駆動軸が接続されており、該エア
シリンダ41の駆動軸を上下動させることにより、下軸38
は釜39ごとガイド部材42,42に沿って上下に移動可能と
されている。そして、下軸38が最上部に移動した際に第
4の傘歯車は第3の傘歯車と噛み合い、最下部に移動し
た際には外れるように仕組まれている。
【0073】以上の構成を備えるため、第1のサーボモ
ータ29を駆動させて上軸30を回転させると、針棒17及び
縫い針18が上下運動を開始すると同時に、この上軸30の
回転が伝動軸35を介して下軸38に伝えられ、下軸38及び
釜39も回転することとなる。すなわち、縫い針18の上下
運動に同期して、釜39の回転運動が実現される。
【0074】上記ミシン本体132は、X-Yテーブル44上
に載置・固定されている。また、このミシン本体132の
ベッド135の表面側には、第1のテーブル133が配置され
ている。この第1のテーブル133の裏面とミシンベッド1
35の表面との間には一定の隙間137が確保されている。
ミシン本体132は、X-Yテーブル44のX軸送り機構45に
よって、第1のテーブル133に対して直交する方向に移
動可能とされていると共に、Y軸送り機構46によって第
1のテーブル133に沿って横方向に移動可能とされてい
る。なお、X−Yテーブル44の他の構成は、第1の縫製
システム10について説明したものと実質的に同じである
ため、これ以上の説明を省略する。
【0075】第1のテーブル133と第2のテーブル134と
は、ほぼ等しい高さに配置・固定されており、両者間に
は縫い針18が通るための隙間(針道138)が形成されて
いる。上記第2のテーブル134の表面には、上記針道138
に沿って延びるメジャー部材139が設けられている。こ
のメジャー部材139の表面には、縫製対象物の長さを計
るための目盛りが刻まれている。また、第2のテーブル
134の表面には、固定用針板47が配置されており、該固
定用針板47は、図4あるいは図18に示したのと同様、
多数の固定針48を備えている。上記の固定用針板47は、
エアシリンダ51やソレノイド等の作用によって、上下動
可能に配置されており、該固定用針板47が最も上の位置
に達した際には、固定針48は第2のテーブル134の表面
から突出すると共に、最も下の位置に達した際には、固
定針48は第2のテーブル134内に完全に埋没するように
設定されている。さらに、第2のテーブル134の表面に
は、押圧部材53が配置されている。この押圧部材53は、
比較的長尺な金属製角材等より構成される。また、その
下面には、長手方向に沿って延びる溝状の凹部54が形成
されており、該凹部54は、テーブル15表面に突出しきっ
た固定針48を完全に収納可能な深さを備えている。
【0076】上記第1のテーブル133の表面には、長方
形状の固着板140が上記針道138に沿って配置されてい
る。この固着板140の一端辺は取付板141に接続されてお
り、この取付板141はネジによって第1のテーブル133上
に着脱自在に固定されている。上記固着板140は、ビニ
ールやゴムなど、一定の表面粘着性を備えた材質より構
成されている。また、上記第1のテーブル133の表面に
は、上記針道138と平行するスライド溝143が形成されて
いる。このスライド溝143の一端には、静止固定部材144
が設けられている。また、このスライド溝143には、可
動固定部材145がスライド自在に係合されている。上記
静止固定部材144からは、図30に示すように、L字形
をした一対の係合針146,146がそれぞれ一定の間隔をお
いて固着板140の方向に突出している。また、可動固定
部材145からも同様に一対の係合針146,146が固着板140
の方向に突出している。上記可動固定部材145の上面に
は止めネジ147が螺合されており、この止めネジ147を締
めることで可動固定部材145がスライド溝143上の任意の
位置で固定されると共に、緩めることでスライド可能と
なる。
【0077】第1のテーブル133の上方には、上記押圧
部材53と平行する棒状の押え部材148が渡されている。
この押え部材148と押圧部材53とは、連結部材149,149
によって一体化されている。また、この連結部材149,1
49は、図示は省略したが、エアシリンダやソレノイド等
の適当な駆動装置によって上下及び前後に移動可能とな
るよう配置されている。
【0078】なお、上記第1の縫製システム10において
説明した構成は、明らかに矛盾する場合を除き、そのま
ま、あるいは必要な修正を施した上でこの第2の縫製シ
ステムに131にも適用される。例えば、この第2の縫製
システムも、図5に開示したのと同様の制御機構(すな
わち、制御装置55、ROM56a及びRAM56bよりなる
記憶装置56、CCDカメラ22の画像コントローラ57、モ
ニタ58、コンソール59等)を備えている。また、この第
2の縫製システム131の基本動作も、図6のフローチャ
ートで説明した第1の縫製システム10の基本動作と共通
している。また、縫製対象物に目印パターン69を形成す
る方法も、そのまま適用される。さらに、制御装置55に
よって、この目印パターン69を基準にしてCCDカメラ
22で縫製すべき編み目αの位置を検出し、ミシン本体13
2の縫い針18の位置との差を算出し、これを解消すべく
ミシン本体132をX−Y方向に移動させることで自動縫
製する方法も、第2の縫製システム131に適用される。
【0079】図31〜図34に基づき、第1のテーブル
133及び第2のテーブル134に、縫製対象物としての衿部
材109(パイピング衿)と身頃112をセットする手順を説
明する。なお、図示の便宜上、図31〜図34において
はミシン本体132やX−Yテーブル44の記載は省略して
ある。まず図31に示すように、第1のテーブル133の
静止固定部材144の係合針146,146に、衿部材109の第1
の片部110の一端を突き刺すと共に、他端を可動固定部
材145の係合針146,146に突き刺す。この際、押圧部材5
3は、作業の邪魔にならないように、第2のテーブル134
の後方に逃がされている。また、押え部材148も、同様
の目的で第2のテーブル134側に逃がされている。つぎ
に、図32に示すように、可動固定部材145をスライド
溝143に沿って反対方向(左方向)に移動させる。そし
て、衿部材109の第1の片部110が引き伸ばされ、所定の
長さに達した時点で、止めネジ147を締めて可動固定部
材145を固定する。どの程度の長さまで引き伸ばすか
は、第2のテーブル134に配置されたメジャー部材139が
目安となる。
【0080】つぎに、図33に示すように、身頃112の
丸首部分を第2のテーブル134側から第1の片部110上に
被せ、その両端に静止固定部材144及び可動固定部材145
の係合針146,146を突き刺す。この際、第2のテーブル
134に配置されたメジャー部材139を利用して、丸首部分
の各領域と衿部材109との位置合わせ(寸法合わせ)が
行われる。つぎに、図34に示すように、衿部材109の
第2の片部111を身頃112の丸首部分に被せ、その両端に
静止固定部材144及び可動固定部材145の係合針146,146
を突き刺す。この時点で、押圧部材53及び押え部材148
がそれぞれ前進した後、下降しする。この結果、身頃11
2は多数の固定針48に串刺しされると共に、押圧部材53
によって上から押圧固定される。また、衿部材109の第
1の片部110、身頃112の丸首部分、第2の片部111が重
複した部分は、押え部材148によって押圧固定される。
【0081】以上のようにして衿部材109及び身頃112を
第1のテーブル133及び第2のテーブルに134セットした
後、針道138に沿ってミシン本体132が左方向に移動しな
がら、CCDカメラ22を用いた自動縫製が行われる。こ
の場合、衿部材109の第2の片部111の表面には、目印パ
ターン69が予め形成されていることはいうまでもない。
また、第1の片部110側には、予め目止めの縫製が施さ
れていることも当然である。
【0082】この第2の縫製システム131にあっては、
上記のように静止固定部材144及び可動固定部材145の係
合針146,146に縫製対象物の両端を引っかけた後、可動
固定部材145をスライドさせて引き伸ばすことができる
ため、ニット地のように伸縮性に富んだ縫製対象物のセ
ッティングが容易となる。また、第2のテーブル134に
メジャー部材139を設けたため、引き伸ばす量を容易に
制御できると共に、他方の縫製対象物との位置合わせ
(寸法合わせ)に利用できる。さらに、押え部材148に
よって縫製対象物の重複部分が上から押え付けられると
共に、固着板140の存在によって重複部分の最下層(衿
部材109の第1の片部110)が滑ることを防止でき、縫製
部分を安定させることが可能となる。
【0083】上記固着板140は、特殊なビニールやゴム
に限られるものではなく、縫製対象物の滑りを防止でき
る素材(摩擦係数の高い素材)のものであれば何でもよ
い。例えば、面ファスナーなどが該当する。この固着板
140を用いて何度か自動縫製を行うと、表面に縫製対象
物の細かい屑が付着するため、次第に固着性能が低下し
てくるという問題がある。この場合には、取付板141の
ネジを外して取付板141ごと固着板140を交換すればよ
い。ビニールやゴム等で固着板140を構成した場合、一
旦固着性能が低下しても、洗浄することによって固着力
を回復させることが可能であり、何度でも繰り返して使
用することができる。
【0084】図35は、この第2の縫製システム131の
変形例を示している。これは、上記固着板140を用いる
代わりにエアの吸引力を利用して縫製対象物のズレを防
止する方式を採用している。すなわち、図示は省略した
が、第1のテーブル133内には空洞部が形成されてお
り、その表面には空洞部に連通した多数の吸気口150が
一定の間隔をおいて形成されている。また、上記空洞部
には、吸気管151を介して吸気装置152が連通接続されて
いる。第1のテーブル133上に縫製対象物をセットした
後に、吸気装置152を稼動させると、当該縫製対象物は
上記吸気口150に吸い寄せられることとなり、自動縫製
時に位置ズレすることが有効に回避される。
【0085】上記の第1の縫製システム10及び第2の縫
製システム131にあっては、ミシン本体14,132がX−Y
方向に移動することによって縫い針18と縫合すべき編み
目との位置合わせを行うよう構成したが、縫合対象物
側、すなわちテーブル15,133,134をX−Y方向に移動
させて上記位置合わせを行うよう構成してもよい。ミシ
ン本体14,132をX−Yの何れか一方の方向に移動させ
ると共に、テーブル15,133,134をX−Yの残りの方向
に移動させるようにしてもよい。また、X−Yテーブル
44によってミシン本体14,132をテーブル15,133に沿っ
て移動させながらテーブル上に固定された縫製対象物を
縫製して行く代わりに、人間の手やテーブル側に設けた
布送り機構によって、縫製対象物をミシン本体14,132
側に順次繰り出しながら縫製して行くように運用しても
よい。この場合、ミシン本体14,132は、縫い針18と縫
合すべき編み目との位置合わせ(微調整)のためだけに
X−Y方向に移動することとなる。さらには、テーブル
として円形テーブルを用いると共に、固定用針板や押圧
部材としても円周に沿って湾曲した形状のものを用い、
縫製対象物を該円形テーブルの円周に沿って固定した上
で、当該円形テーブルを回転させたり、ミシン本体側を
円周に沿って移動させることで上記位置合わせを実現し
てもよい。
【0086】
【発明の効果】本発明に係る縫製システム及び縫製方法
を用いれば、上記のように画像センサや記憶手段、制御
手段の働きによってニット地の縫製すべき編み目を自動
的に捕捉することができるため、従来のように人間の目
でニット地の編み目を捉えて一つ一つ係止針に係合させ
る工程を経ることなく、縫製部分に編み目のループを綺
麗に揃えることが可能となり、縫製作業の大幅な効率化
を実現できる。
【0087】また、本発明に係る縫製システムにあって
は、ミシン本体の移動速度や移動量、縫い針の上下動の
タイミングを自由に調整することができるため、従来の
ように、ニット地の編み目のピッチが変わる度にミシン
本体を取り替える必要がなく、1台のミシン本体であら
ゆるピッチのニット地を縫製することができる。
【0088】しかも、テーブルには、上記引き伸ばし固
定手段が設けられているため、伸縮性に富んだニット地
のセッティングが容易となり、また上記安定化手段が設
けられているため、自動縫製実行中に一旦固定した縫製
対象物が位置ズレを起こすことを有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の縫製システムを示す側面図
である。
【図2】上記縫製システムを示す平面図である。
【図3】ミシン本体の下軸構造の変形例を示す部分側面
図である。
【図4】固定用針板の一例を示す正面図である。
【図5】上記縫製システムの制御系を示すブロック図で
ある。
【図6】上記縫製システムの基本動作を示すフローチャ
ートである。
【図7】縫製対象物としてのニット地を示す平面図であ
る。
【図8】上記ニット地の拡大図である。
【図9】上記ニット地に捨て糸を編み込んで目印パター
ンを形成した状態を示す平面図である。
【図10】上記ニット地に捨て糸を編み込んで目印パタ
ーンを形成した状態を示す拡大図である。
【図11】上記ニット地の縫製後に目印パターンを除去
した状態を示す拡大図である。
【図12】蛍光塗料及び樹脂を含浸させた捨て糸によっ
て形成した目印パターンをブラックライトで照らした状
態を示すイメージ図である。
【図13】捨て糸をニット地の捨て編み部分に編み込ん
だ状態を示す平面図である。
【図14】上記ニット地の縫製後に捨て糸と共に捨て編
み部分を除去した状態を示す平面図である。
【図15】セータの縫製過程を示す平面図である。
【図16】セータの丸首部分に縫い付ける衿部分を示す
平面図である。
【図17】セータの縫製ラインを示す概念図である。
【図18】固定用針板にマークを表示した状態を示す正
面図である。
【図19】パイピング衿付けの縫製方法を説明する概略
図である。
【図20】パイピング衿付けの縫製方法を説明する概略
図である。
【図21】パイピング衿付け完了後の縫い目ラインを示
す平面図である。
【図22】パイピング衿付けの他の縫製方法を説明する
概略図である。
【図23】一対のニット地同士を縫合する場合の縫製方
法を説明する概略図である。
【図24】一対のニット地同士の縫製完了後の縫い目ラ
インを示す平面図である。
【図25】複数の目印パターンを表示したプレートを示
す平面図である。
【図26】上記プレートの使用例を示す概略図である。
【図27】ミシン本体の他の例を示す側面図である。
【図28】本発明に係る第2の縫製システムを示す側面
図である。
【図29】上記縫製システムを示す平面図である。
【図30】上記縫製システムの引き伸ばし固定手段を示
す平面図である。
【図31】上記縫製システムに縫製対象物をセッティン
グする過程を示す平面図である。
【図32】上記縫製システムに縫製対象物をセッティン
グする過程を示す平面図である。
【図33】上記縫製システムに縫製対象物をセッティン
グする過程を示す平面図である。
【図34】上記縫製システムに縫製対象物をセッティン
グする過程を示す平面図である。
【図35】第2の縫製システムの変形例を示す平面図で
ある。
【図36】従来のニット地専用ミシンに係る針板をミシ
ン本体側から観察した部分正面図である。
【図37】従来のニット地専用ミシンのベッドの先端部
分を示す部分断面図である。
【図38】従来のニット地専用ミシンの係止針に、一対
のニット地の各終端ループを突き刺した状態を示す模式
図である。
【図39】従来の本縫いミシンによってニット地と織地
とを縫製した状態を示す側面図である。
【符号の説明】
10 縫製システム 12 ミシンベッド 14 ミシン本体 15 テーブル 18 縫い針 21a 織地 21b ニット地 22 画像センサ 28 上糸 29 サーボモータ 39 釜 44 X-Yテーブル 47 固定用針板 48 固定針 53 押圧部材 54 凹部 55 制御装置 56 記憶装置 68 捨て糸 69 目印パターン 77 ルーパ 104 ループ 105 縫い目ライン 106 本編み部分 107 捨て編み部分 108 縫製ライン 109 衿部材 111 第1の片部110と第2の片部 112 身頃 113 捨て編み部分 114 本編み部分 115 第1のニット地 116 第2のニット地 120 プレート 125 第1の目印パターン 126 第2の目印パターン 127 第3の目印パターン 128 第4の目印パターン 131 第2の縫製システム 132 ミシン本体 133 第1のセット用テーブル 134 第2のセット用テーブル 138 針道 139 メジャー部材 140 固着板 144 静止固定部材 145 可動固定部材 146 係合針 148 押え部材 150 吸気口 151 吸気管 152 吸気装置 α 縫製すべき編み目 γ 縫合すべき箇所

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】縫製対象物を載置するための少なくとも一
    つのテーブルと、 上下動自在に配置された縫い針と、上記縫い針を任意の
    速度で上下動させるモータとを備え、縫製対象物の縫合
    を行うミシン本体と、 上記ミシン本体を、上記テーブルと平行する方向に相対
    的に必要量移動させると共に、上記テーブルと直交する
    方向にも相対的に必要量移動させるX−Y送り機構と、 上記縫製対象物側の画像データを取り込む画像センサ
    と、 上記縫製対象物側に配置された縫合すべき箇所を指し示
    す目印パターンの形状及び該目印パターンを基準にして
    設定された縫合すべき箇所の位置を記憶しておく記憶手
    段と、 上記画像センサによって順次取り込まれる画像データの
    中から、上記記憶手段内に記憶された目印パターンの形
    状を探索すると共に、探索された目印パターンを基準に
    して縫合すべき箇所の位置する座標を順次算出し、該座
    標と上記ミシン本体の縫い針が現在置かれている座標と
    の差を算出し、この算出結果に基づいて上記ミシン本体
    を必要な方向に必要量移動させて、上記目印パターンが
    指し示す箇所の縫合を実行するよう指令する制御手段と
    を備えた縫製システムにおいて、 上記テーブルには、伸縮性を備えた縫製対象物を引き伸
    ばした状態で固定する引き伸ばし固定手段と、固定した
    縫製対象物が縫製過程で位置ズレすることを防止するた
    めの安定化手段とが設けられていることを特徴とする縫
    製システム。
  2. 【請求項2】 上記引き伸ばし固定手段が、縫製対象物
    の一端に引っかけられる係合針を備えた静止固定部材
    と、縫製対象物の他端に引っかけられる係合針を備え、
    引き伸ばし方向に対して移動自在に配置されると共に、
    必要な位置に固定可能な可動固定部材とからなることを
    特徴とする請求項1に記載の縫製システム。
  3. 【請求項3】 上記安定化手段が、テーブルの表面に着
    脱自在に配置された表面粘着性を備えた固着板よりなる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の縫製システ
    ム。
  4. 【請求項4】 上記安定化手段が、テーブルの表面に形
    成された複数の吸気口と、該吸気口と連通接続された吸
    気装置から構成されることを特徴とする請求項1または
    2に記載の縫製システム。
  5. 【請求項5】 上記テーブル側には、上記引き伸ばし固
    定手段によって必要な長さまで引き伸ばされた縫製対象
    物の表面を押圧する押え部材が設けられていることを特
    徴とする請求項1〜4の何れかに記載の縫製システム。
  6. 【請求項6】 上記テーブルの表面には、縫製対象物の
    長さを計るためのメジャー部材が配置されていることを
    特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の縫製システ
    ム。
  7. 【請求項7】 上記テーブルが、上記引き伸ばし固定手
    段及び安定化手段を備えた第1のテーブルと、他の固定
    手段を備えた第2のテーブルより構成され、両テーブル
    間には、ミシン本体の縫い針が通過する針道が形成され
    ることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の縫製
    システム。
  8. 【請求項8】 上記第2のテーブルの固定手段は、該第
    2のテーブルの内部に配置され複数本の固定針を備えた
    固定用針板と、第2のテーブルの外部に配置され、上記
    固定針を収納する凹部を備えた押圧部材とからなり、上
    記第2のテーブルの表面に縫製対象物を固定する際に
    は、上記縫製対象物を突き刺せるように上記針板が上昇
    して固定針がテーブルの表面から突出し、また上記押圧
    部材がテーブル表面側に移動して上記固定針を上記凹部
    内に収納すると共に縫製対象物の表面を押圧し、上記第
    2のテーブルから縫製対象物を取り外す際には、上記針
    板が下降して固定針がテーブルの表面下に引っ込み、ま
    た上記押圧部材がテーブル表面と反対方向に移動して縫
    製対象物を解放することを特徴とする請求項7に記載の
    縫製システム。
  9. 【請求項9】 縫製対象物としてのニット地の表面に、
    捨て糸を所定形状の編み目が連続するように編み込むこ
    とによって上記目印パターンとしたことを特徴とする請
    求項1〜8の何れかに記載の縫製システム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105401328A (zh) * 2015-12-14 2016-03-16 叶军忠 一种缝盘机上用的微型精密直线滑台
CN109518361A (zh) * 2019-01-09 2019-03-26 广东溢达纺织有限公司 开钮门装置
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