JPH11264047A - プレス加工用工具 - Google Patents
プレス加工用工具Info
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- JPH11264047A JPH11264047A JP10065903A JP6590398A JPH11264047A JP H11264047 A JPH11264047 A JP H11264047A JP 10065903 A JP10065903 A JP 10065903A JP 6590398 A JP6590398 A JP 6590398A JP H11264047 A JPH11264047 A JP H11264047A
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- JP
- Japan
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- weight
- powder
- tool
- friction
- press working
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Abstract
(57)【要約】
【課題】耐摩耗性を高めて工具自身の寿命を長くし、摩
擦係数を低めて製品を傷つけにくくし、溶着を防いで低
コスト化をはかる。 【解決手段】プレス加工用工具(絞り型)1を、TiC
X N1-X (0≦X≦1)の組成で示される炭窒化チタン
粉末60重量%以上94重量%以下に、鉄族元素,合金
鉄,ステンレス鋼の少なくとも一種で構成される焼結助
剤用粉末6重量%以上40重量%以下を混合して焼結さ
せた炭窒化チタン焼結体で構成した。
擦係数を低めて製品を傷つけにくくし、溶着を防いで低
コスト化をはかる。 【解決手段】プレス加工用工具(絞り型)1を、TiC
X N1-X (0≦X≦1)の組成で示される炭窒化チタン
粉末60重量%以上94重量%以下に、鉄族元素,合金
鉄,ステンレス鋼の少なくとも一種で構成される焼結助
剤用粉末6重量%以上40重量%以下を混合して焼結さ
せた炭窒化チタン焼結体で構成した。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、金属や合金、鋼
等の絞り加工や曲げ加工などのプレス加工に使用される
絞り型やダイス、パンチ等のプレス加工用工具に関す
る。
等の絞り加工や曲げ加工などのプレス加工に使用される
絞り型やダイス、パンチ等のプレス加工用工具に関す
る。
【0002】
【従来の技術】鋼板のプレス加工、たとえば自動車用エ
キゾースト・マニフォールド・パイプや缶詰用ブリキ缶
等の絞り加工や曲げ加工等で用いる工具として、従来か
ら拡げ型や絞り型等の冷管圧延用冶具が知られている。
これらの冶具には、そのライフサイクルが長いこと、プ
レス加工時の摩擦熱に耐えうる耐熱性が必要であるこ
と、被加工物を傷つけないこと、および被加工物を座屈
させないこと等の要求により、被加工物である鋼材との
間の摩擦が低く、摩耗の少ない耐熱性のある材料、たと
えば古くからハイス鋼(高速度鋼:high speed stee
l)、最近では超硬合金などが使用されている。
キゾースト・マニフォールド・パイプや缶詰用ブリキ缶
等の絞り加工や曲げ加工等で用いる工具として、従来か
ら拡げ型や絞り型等の冷管圧延用冶具が知られている。
これらの冶具には、そのライフサイクルが長いこと、プ
レス加工時の摩擦熱に耐えうる耐熱性が必要であるこ
と、被加工物を傷つけないこと、および被加工物を座屈
させないこと等の要求により、被加工物である鋼材との
間の摩擦が低く、摩耗の少ない耐熱性のある材料、たと
えば古くからハイス鋼(高速度鋼:high speed stee
l)、最近では超硬合金などが使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ハイス鋼や高クロム工
具鋼は古くからプレス加工用工具として使用されている
が、耐摩耗性に劣り、鋼板等の同種材料に対する摩擦係
数が高く、焼き付き等が発生するためにオイル等と併用
されている。しかし、それにもかかわらず摩耗量が激し
いために冶具材のライフが短く、被加工物を傷つけやす
く製品が座屈する等の問題があった。
具鋼は古くからプレス加工用工具として使用されている
が、耐摩耗性に劣り、鋼板等の同種材料に対する摩擦係
数が高く、焼き付き等が発生するためにオイル等と併用
されている。しかし、それにもかかわらず摩耗量が激し
いために冶具材のライフが短く、被加工物を傷つけやす
く製品が座屈する等の問題があった。
【0004】これは耐摩耗性に劣り、摩擦係数が高いだ
けでなく、摩擦熱により被加工物材である金属等が溶け
て工具に付着する現象、すなわち溶着が生じているため
である。溶着が起こると、その溶着部に接触する製品が
傷ついたり、工具の溶着部も製品との摩擦により傷つい
たり、あるいは製品が溶着部との摩擦によりスムーズに
進まないため座屈したりする。したがって絞り型の場合
には、角度の狭い型から徐々に広い型に変えて所望の角
度にする必要があり、たとえば角度が10度、20度、
30度の3つの型等を使って何度も加工しなければなら
ず、作業性が悪く、コスト高を招いていた。
けでなく、摩擦熱により被加工物材である金属等が溶け
て工具に付着する現象、すなわち溶着が生じているため
である。溶着が起こると、その溶着部に接触する製品が
傷ついたり、工具の溶着部も製品との摩擦により傷つい
たり、あるいは製品が溶着部との摩擦によりスムーズに
進まないため座屈したりする。したがって絞り型の場合
には、角度の狭い型から徐々に広い型に変えて所望の角
度にする必要があり、たとえば角度が10度、20度、
30度の3つの型等を使って何度も加工しなければなら
ず、作業性が悪く、コスト高を招いていた。
【0005】超硬合金はハイス鋼等と比べて耐摩耗性が
改善されて耐久性はあるものの、溶着が起こることもあ
り、摩擦係数が高くそのままでは製品を傷つけやすい。
改善されて耐久性はあるものの、溶着が起こることもあ
り、摩擦係数が高くそのままでは製品を傷つけやすい。
【0006】そこで近年、潤滑性を高める対策として、
超硬合金表面をTiC、TiN、またはTiCNの被膜
で覆う技術が提案されている(たとえば特開昭61−7
4725号公報、特開平8−206755号公報)。し
かしながらこの場合には、被膜が摩耗したり剥離したり
しやすいために耐用寿命が短かくなったり、被膜が摩
耗、剥離すると再びこれをつけ直す必要があるためにコ
スト高を招いたりする等の問題があった。
超硬合金表面をTiC、TiN、またはTiCNの被膜
で覆う技術が提案されている(たとえば特開昭61−7
4725号公報、特開平8−206755号公報)。し
かしながらこの場合には、被膜が摩耗したり剥離したり
しやすいために耐用寿命が短かくなったり、被膜が摩
耗、剥離すると再びこれをつけ直す必要があるためにコ
スト高を招いたりする等の問題があった。
【0007】この発明は、このような従来の問題を考慮
してなされたもので、溶着を防ぎ、耐摩耗性を高めて工
具自身の寿命を長くし、溶着を防ぎ、摩擦係数を低めて
製品を傷つけにくくし、機械的強度についてもプレス加
工における衝撃に耐えうる靭性と高い曲げ強度とを有す
るプレス加工用工具を提供し、低コスト化を図ることを
目的とする。
してなされたもので、溶着を防ぎ、耐摩耗性を高めて工
具自身の寿命を長くし、溶着を防ぎ、摩擦係数を低めて
製品を傷つけにくくし、機械的強度についてもプレス加
工における衝撃に耐えうる靭性と高い曲げ強度とを有す
るプレス加工用工具を提供し、低コスト化を図ることを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明にかかるプレス加工用工具は、TiCX N
1-X (0≦X≦1)の組成で示される炭窒化チタン粉末
60重量%以上94重量%以下に、鉄族元素,合金鉄,
ステンレス鋼の少なくとも一種で構成される焼結助剤用
粉末6重量%以上40重量%以下を混合して焼結させた
炭窒化チタン焼結体で構成したことを特徴とする。この
発明におけるプレス加工用工具は、おおよそ金属や合
金、鋼等の絞り加工や曲げ加工などのプレス加工に使用
される絞り型やダイス、パンチ等の工具一般をすべて対
象範囲とする。
め、この発明にかかるプレス加工用工具は、TiCX N
1-X (0≦X≦1)の組成で示される炭窒化チタン粉末
60重量%以上94重量%以下に、鉄族元素,合金鉄,
ステンレス鋼の少なくとも一種で構成される焼結助剤用
粉末6重量%以上40重量%以下を混合して焼結させた
炭窒化チタン焼結体で構成したことを特徴とする。この
発明におけるプレス加工用工具は、おおよそ金属や合
金、鋼等の絞り加工や曲げ加工などのプレス加工に使用
される絞り型やダイス、パンチ等の工具一般をすべて対
象範囲とする。
【0009】この発明によれば、TiCとTiNとの間
の全率型の固溶体である炭窒化チタン粉末TiCX N
1-X (0≦X≦1)60重量%94重量%以下に、鉄族
元素,合金鉄,ステアリング鋼の少なくとも一種で構成
される焼結助材用粉末6重量%以上40重量%以下を混
合して焼結したため、得られる炭窒化チタン焼結体は、
焼結性がよくかつ機械的強度が高く耐摩耗性に優れ、摩
擦係数が低いといった特性を併せ持つ。TiCNは超硬
合金よりも耐熱性に優れているため、プレス加工の際に
発生する摩擦熱で溶着することが回避できる利点もあ
る。
の全率型の固溶体である炭窒化チタン粉末TiCX N
1-X (0≦X≦1)60重量%94重量%以下に、鉄族
元素,合金鉄,ステアリング鋼の少なくとも一種で構成
される焼結助材用粉末6重量%以上40重量%以下を混
合して焼結したため、得られる炭窒化チタン焼結体は、
焼結性がよくかつ機械的強度が高く耐摩耗性に優れ、摩
擦係数が低いといった特性を併せ持つ。TiCNは超硬
合金よりも耐熱性に優れているため、プレス加工の際に
発生する摩擦熱で溶着することが回避できる利点もあ
る。
【0010】また焼結助剤用粉末として、鉄族元素(F
e,Co,Ni)のうちFe、合金鉄あるいはステンレ
ス鋼を用いた場合には炭窒化チタン粉末からのカーボン
(C)がこの助剤に含まれるFeと容易に固溶し、焼結
助材の金属層とTiCN層との界面にFeとCの固溶層
の形で炭素が存在する層(このカーボン量の多い層は
「浸炭層」と呼ばれる)を形成させ、この層中のカーボ
ンが潤滑効果に寄与し、摩擦係数をより下げることがで
きる。
e,Co,Ni)のうちFe、合金鉄あるいはステンレ
ス鋼を用いた場合には炭窒化チタン粉末からのカーボン
(C)がこの助剤に含まれるFeと容易に固溶し、焼結
助材の金属層とTiCN層との界面にFeとCの固溶層
の形で炭素が存在する層(このカーボン量の多い層は
「浸炭層」と呼ばれる)を形成させ、この層中のカーボ
ンが潤滑効果に寄与し、摩擦係数をより下げることがで
きる。
【0011】したがって、好ましい焼結助材用粉体は、
Fe,合金鉄,ステアリング鋼である。
Fe,合金鉄,ステアリング鋼である。
【0012】この発明で、炭窒化チタン粉末の混合量は
60重量%以上94重量%以下であり、焼結助剤用粉末
の混合量は6重量%以上40重量%以下であるものとし
たのは、焼結助剤用粉末の混合量が6重量%未満では焼
結性がわるく緻密化が十分に行われず、40重量%を超
える場合では摩擦係数が高くなり、耐摩耗性も著しく低
下するためである。より好ましくは、より低い摩擦係数
が得られ、耐摩耗性も向上するため、炭窒化チタン粉末
の混合量は85重量%以上94重量%以下であり、焼結
助剤用粉末の混合量は6重量%以上15重量%以下であ
るものとする。
60重量%以上94重量%以下であり、焼結助剤用粉末
の混合量は6重量%以上40重量%以下であるものとし
たのは、焼結助剤用粉末の混合量が6重量%未満では焼
結性がわるく緻密化が十分に行われず、40重量%を超
える場合では摩擦係数が高くなり、耐摩耗性も著しく低
下するためである。より好ましくは、より低い摩擦係数
が得られ、耐摩耗性も向上するため、炭窒化チタン粉末
の混合量は85重量%以上94重量%以下であり、焼結
助剤用粉末の混合量は6重量%以上15重量%以下であ
るものとする。
【0013】同様の理由から、この発明でさらに好まし
くは、炭窒化チタン粉末はTiCXN1-X (0.2≦X
≦0.8)の組成で示されるものとする。より好ましく
はTiCX N1-X (0.5≦X≦0.7)の組成で示さ
れるものとする。
くは、炭窒化チタン粉末はTiCXN1-X (0.2≦X
≦0.8)の組成で示されるものとする。より好ましく
はTiCX N1-X (0.5≦X≦0.7)の組成で示さ
れるものとする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明にかかるプレス加
工用工具の実施形態を具体的に説明する。
工用工具の実施形態を具体的に説明する。
【0015】(第1の実施の形態)この実施の形態で
は、TiCX N1-X (0≦X≦1)の組成範囲内で互い
にX値が異なる6つの実験例用の粉末、すなわち実験例
1(X=0:TiC0 N1 )、実験例2(X=0.2:
TiC0.2 N0.8 )、実験例3(X=0.5:TiC
0.5 N0.5 )、実験例4(X=0.7:TiC0.7 N
0.3 )、実験例5(X=0.8:TiC0.8 N0.2 )、
実験例6(X=1:TiC1 N0 )をそれぞれ用意し、
焼結助剤用粉末としてステンレス鋼(SUS316L
JIS G 4303−1988)を用意する。
は、TiCX N1-X (0≦X≦1)の組成範囲内で互い
にX値が異なる6つの実験例用の粉末、すなわち実験例
1(X=0:TiC0 N1 )、実験例2(X=0.2:
TiC0.2 N0.8 )、実験例3(X=0.5:TiC
0.5 N0.5 )、実験例4(X=0.7:TiC0.7 N
0.3 )、実験例5(X=0.8:TiC0.8 N0.2 )、
実験例6(X=1:TiC1 N0 )をそれぞれ用意し、
焼結助剤用粉末としてステンレス鋼(SUS316L
JIS G 4303−1988)を用意する。
【0016】次いで両粉末を所定の混合比、すなわち炭
窒化チタン粉末が94重量%、焼結助剤用粉末が6重量
%となる状態で混合する。この混合物の成形・焼結法に
ついては、混合物を所定の形状に成形し、その成形体を
水素ガス雰囲気中で650℃〜1300℃で加熱し、そ
の後、アルゴン雰囲気中または真空中で1300℃〜1
600℃で無加圧焼結を行うことや、単に、アルゴン雰
囲気中や真空中などの非酸化性雰囲気中で、1300〜
1600℃で無加圧焼結を行うことにより炭窒化チタン
焼結体で構成されるプレス加工用工具が得られる。
窒化チタン粉末が94重量%、焼結助剤用粉末が6重量
%となる状態で混合する。この混合物の成形・焼結法に
ついては、混合物を所定の形状に成形し、その成形体を
水素ガス雰囲気中で650℃〜1300℃で加熱し、そ
の後、アルゴン雰囲気中または真空中で1300℃〜1
600℃で無加圧焼結を行うことや、単に、アルゴン雰
囲気中や真空中などの非酸化性雰囲気中で、1300〜
1600℃で無加圧焼結を行うことにより炭窒化チタン
焼結体で構成されるプレス加工用工具が得られる。
【0017】本実験では、成形体を水素ガス雰囲気中
で、650〜1300℃で加熱し、その後アルゴン雰囲
気中で1300〜1600℃で無加圧焼結を行うことに
よってプレス加工用工具を得た。
で、650〜1300℃で加熱し、その後アルゴン雰囲
気中で1300〜1600℃で無加圧焼結を行うことに
よってプレス加工用工具を得た。
【0018】得られた実験例1〜6の各焼結体の工具サ
ンプルに対してそれぞれ摩擦摩耗試験を行った。この試
験は、図1に示すピンオンディスク式摩擦試験機(東京
試験機製作所製)を使用し、油圧シリンダ10の駆動力
を用いて試料ホルダ11に支持されたピン状試験片12
を回転式摩擦板(相手材)13に一定荷重で押し付ける
ピンオンディスク法を適用したものである。
ンプルに対してそれぞれ摩擦摩耗試験を行った。この試
験は、図1に示すピンオンディスク式摩擦試験機(東京
試験機製作所製)を使用し、油圧シリンダ10の駆動力
を用いて試料ホルダ11に支持されたピン状試験片12
を回転式摩擦板(相手材)13に一定荷重で押し付ける
ピンオンディスク法を適用したものである。
【0019】試験条件は、押付け荷重;1.4kgf、
摺動距離;24.3km、試験片寸法;φ5×20Lm
m、摺動速度;50.24m/min、雰囲気;室温大
気中、相手面材質;SKD11(JIS G 4404
−1983合金工具鋼)とした。
摺動距離;24.3km、試験片寸法;φ5×20Lm
m、摺動速度;50.24m/min、雰囲気;室温大
気中、相手面材質;SKD11(JIS G 4404
−1983合金工具鋼)とした。
【0020】得られた各焼結体の摩擦係数および摩耗量
を表1に示す。
を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】その結果、本発明の実施例1〜6では、摩
擦係数が0.45〜0.60、摩耗量が10〜25×1
0-7mm2 /kgfであり、低い摩擦係数が得られ、耐
摩耗性にも優れておりプレス加工用工具に適しているこ
とが分かった。
擦係数が0.45〜0.60、摩耗量が10〜25×1
0-7mm2 /kgfであり、低い摩擦係数が得られ、耐
摩耗性にも優れておりプレス加工用工具に適しているこ
とが分かった。
【0023】また、実施例2〜5は、より摩擦係数が低
く、かつ、より摩耗量も少ないため、炭窒化チタン粉末
TiCxN1-X の組成は、0.2≦X≦0.8が好まし
いことが分かった。同様の理由から、0.5≦X≦0.
7(実験例3,4)がより好ましいことが分かった。
く、かつ、より摩耗量も少ないため、炭窒化チタン粉末
TiCxN1-X の組成は、0.2≦X≦0.8が好まし
いことが分かった。同様の理由から、0.5≦X≦0.
7(実験例3,4)がより好ましいことが分かった。
【0024】(第2の実施の形態)この実施の形態で
は、炭窒化チタン粉末として上記実験例4のTiC0.7
N0. 3 (X=0.7)を使用し、この炭窒化チタン粉末
と上記と同様のSUS316Lで構成した焼結助剤用粉
末との混合比が異なる6つの実験例用の混合物、すなわ
ち比較例1(SUS:4重量%)、実験例7(SUS:
6重量%)、実験例8(SUS:10重量%)、実験例
9(SUS:15重量%)、実験例10(SUS:40
重量%)、比較例2(SUS:45重量%)を作成し
た。その他は上記と同様の条件で焼結し、得られた各実
験例7〜10、比較例1,2について押付け荷重を0.
7kgfとした以外は、上記と同様の摩擦摩耗試験を行
った。その結果を表2に示す。
は、炭窒化チタン粉末として上記実験例4のTiC0.7
N0. 3 (X=0.7)を使用し、この炭窒化チタン粉末
と上記と同様のSUS316Lで構成した焼結助剤用粉
末との混合比が異なる6つの実験例用の混合物、すなわ
ち比較例1(SUS:4重量%)、実験例7(SUS:
6重量%)、実験例8(SUS:10重量%)、実験例
9(SUS:15重量%)、実験例10(SUS:40
重量%)、比較例2(SUS:45重量%)を作成し
た。その他は上記と同様の条件で焼結し、得られた各実
験例7〜10、比較例1,2について押付け荷重を0.
7kgfとした以外は、上記と同様の摩擦摩耗試験を行
った。その結果を表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】その結果、本発明の範囲内で調整した実験
例7〜10では摩擦係数が0.3〜0.55、摩耗量が
3〜18×10-7mm2 /kgfであり、低い摩擦係数
が得られ、耐摩耗性にも優れておりプレス加工用工具に
適していることが分かった。
例7〜10では摩擦係数が0.3〜0.55、摩耗量が
3〜18×10-7mm2 /kgfであり、低い摩擦係数
が得られ、耐摩耗性にも優れておりプレス加工用工具に
適していることが分かった。
【0027】比較例1では、焼結性が悪く、測定するこ
とができなかった。比較例2では、摩擦係数、摩耗量と
もに著しく増加し、プレス加工用工具として適さないこ
とが分かった。また、実験例7〜9では、より摩擦係数
が低く、かつより摩耗量も少ないため、焼結助剤用粉末
の混合量は6〜15重量%が好ましいことが分かった。
とができなかった。比較例2では、摩擦係数、摩耗量と
もに著しく増加し、プレス加工用工具として適さないこ
とが分かった。また、実験例7〜9では、より摩擦係数
が低く、かつより摩耗量も少ないため、焼結助剤用粉末
の混合量は6〜15重量%が好ましいことが分かった。
【0028】(第3の実施の形態)この実施の形態で
は、焼結助剤用粉末として3つの実験例用の金属、すな
わち実験例11(Ni:6重量%)、実験例12(F
e:6重量%)、実験例13(SUS316L:6重量
%)を使用し、その他は上記と同様の条件で炭窒化チタ
ン焼結体を形成し、摩擦摩耗試験を行った。比較検討の
ため、炭窒化チタン焼結体に代わる3種のサンプル、す
なわち比較例3(Si3 N4 )と、比較例4(SKD1
1)、および比較例5(超硬合金)についても押付け荷
重及び、摺動距離を変化させた以外は、同様の試験を行
った。この試験結果を図2〜図5に示す。
は、焼結助剤用粉末として3つの実験例用の金属、すな
わち実験例11(Ni:6重量%)、実験例12(F
e:6重量%)、実験例13(SUS316L:6重量
%)を使用し、その他は上記と同様の条件で炭窒化チタ
ン焼結体を形成し、摩擦摩耗試験を行った。比較検討の
ため、炭窒化チタン焼結体に代わる3種のサンプル、す
なわち比較例3(Si3 N4 )と、比較例4(SKD1
1)、および比較例5(超硬合金)についても押付け荷
重及び、摺動距離を変化させた以外は、同様の試験を行
った。この試験結果を図2〜図5に示す。
【0029】図2および図3は、押付け荷重0.7kg
fおよび1.4kgf、摺動距離8.1kmと16.2
kmと24.3kmの条件で測定した摩擦係数を示す一
方、図4および図5は、押付け荷重0.7kgfおよび
1.4kgf、摺動距離8.1kmと16.2kmと2
4.3kmの条件で測定した摩耗量を示す。
fおよび1.4kgf、摺動距離8.1kmと16.2
kmと24.3kmの条件で測定した摩擦係数を示す一
方、図4および図5は、押付け荷重0.7kgfおよび
1.4kgf、摺動距離8.1kmと16.2kmと2
4.3kmの条件で測定した摩耗量を示す。
【0030】この結果、本発明の範囲内で調整した実験
例11〜13のサンプルの摩擦係数は各比較例3〜5と
比べて著しく小さく、また摩耗量は比較例5の超硬合金
よりは多いものの、他の比較例3,4の材質と比べて小
さい。
例11〜13のサンプルの摩擦係数は各比較例3〜5と
比べて著しく小さく、また摩耗量は比較例5の超硬合金
よりは多いものの、他の比較例3,4の材質と比べて小
さい。
【0031】ここで、図2を見ると、比較例4は、摺動
距離が8.1kmから24.3kmに増加すると、摩擦
係数が約0.6増加している。また、図3を見ると、比
較例5も同様に、摩擦係数が約0.45増加している。
このように、摺動距離とともに、摩擦係数が著しく大き
くなる現象は、溶着が起こっているためである。したが
って、比較例4,5では溶着が発生していることが分か
った。しかし、実験例11〜13では、摩擦係数はほと
んど増加せず、一番増加の多いもの(図3中の比較例1
1参照)でも、0.1しか増加せず、溶着が発生してい
ないことが分かった。
距離が8.1kmから24.3kmに増加すると、摩擦
係数が約0.6増加している。また、図3を見ると、比
較例5も同様に、摩擦係数が約0.45増加している。
このように、摺動距離とともに、摩擦係数が著しく大き
くなる現象は、溶着が起こっているためである。したが
って、比較例4,5では溶着が発生していることが分か
った。しかし、実験例11〜13では、摩擦係数はほと
んど増加せず、一番増加の多いもの(図3中の比較例1
1参照)でも、0.1しか増加せず、溶着が発生してい
ないことが分かった。
【0032】以上のことから、本発明の実施例11〜1
3は摩擦係数が低く、耐摩耗性にも優れ、溶着も起こら
ず、トータルとしてみた場合に最も耐用寿命が長く、製
品を傷つけない特性を有していることが確認された。
3は摩擦係数が低く、耐摩耗性にも優れ、溶着も起こら
ず、トータルとしてみた場合に最も耐用寿命が長く、製
品を傷つけない特性を有していることが確認された。
【0033】又、図3を見ると、焼結助剤用粉末とし
て、FeやFeを含むSUS316Lを用いた実験例1
2,13は、Niを用いた実験例11に比べて、摩擦係
数が小さく、潤滑性が高いことが分かった。
て、FeやFeを含むSUS316Lを用いた実験例1
2,13は、Niを用いた実験例11に比べて、摩擦係
数が小さく、潤滑性が高いことが分かった。
【0034】(第4の実施の形態)この実施の形態で
は、上記実験例4の炭窒化チタン焼結体、すなわちTi
C0.7 N0.3 (X=0.7)の炭窒化チタン94重量
%、SUS316Lの焼結助剤用粉末6重量%の混合物
から成形・焼結したものを用いて、図6に示すプレス加
工用工具である絞り型1を実験例14として作製し、こ
れを使って厚さ1mmのパイプ(材質:SKD11)を
加工し、その耐用回数を測定した。この耐用回数として
は、工具自身が摩耗や溶着により傷つき使用できなくな
るまでの回数あるいは製品を傷つけて正常なものを加工
できなくなるまでの回数をどちからの現象が先に起こっ
た時点で測定した。また曲げ強度と破壊靭性値について
も測定した。
は、上記実験例4の炭窒化チタン焼結体、すなわちTi
C0.7 N0.3 (X=0.7)の炭窒化チタン94重量
%、SUS316Lの焼結助剤用粉末6重量%の混合物
から成形・焼結したものを用いて、図6に示すプレス加
工用工具である絞り型1を実験例14として作製し、こ
れを使って厚さ1mmのパイプ(材質:SKD11)を
加工し、その耐用回数を測定した。この耐用回数として
は、工具自身が摩耗や溶着により傷つき使用できなくな
るまでの回数あるいは製品を傷つけて正常なものを加工
できなくなるまでの回数をどちからの現象が先に起こっ
た時点で測定した。また曲げ強度と破壊靭性値について
も測定した。
【0035】比較のため、炭窒化チタン焼結体に代わる
3種のサンプル、すなわち比較例6(超硬合金)、比較
例7(Si3 N4 )、比較例8(SKD11)について
も同様の試験を行った。その試験結果を表3に示す。
3種のサンプル、すなわち比較例6(超硬合金)、比較
例7(Si3 N4 )、比較例8(SKD11)について
も同様の試験を行った。その試験結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】その結果、本発明品である実験例14は、
耐用回数が26,500回と各比較例と比べて1.2倍
〜2.6倍ともっとも高いことが確認された。これは比
較例6〜8に代表される他の材質に比べて摩擦係数がも
っとも低く、溶着もおこらず、ある程度の機械的強度と
耐摩耗性を有しているためと考えられる。また実験例1
4では、曲げ強度が超硬合金の次に高く、破壊靭性がS
KD11の次に高くなっており、トータルでみた場合に
強度および靭性の両方ともに兼ね備えており、プレス加
工用工具として耐用できるレベルを示すことが確認され
た。
耐用回数が26,500回と各比較例と比べて1.2倍
〜2.6倍ともっとも高いことが確認された。これは比
較例6〜8に代表される他の材質に比べて摩擦係数がも
っとも低く、溶着もおこらず、ある程度の機械的強度と
耐摩耗性を有しているためと考えられる。また実験例1
4では、曲げ強度が超硬合金の次に高く、破壊靭性がS
KD11の次に高くなっており、トータルでみた場合に
強度および靭性の両方ともに兼ね備えており、プレス加
工用工具として耐用できるレベルを示すことが確認され
た。
【0038】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
炭窒化チタン焼結体を使用し、その炭窒化チタン粉末と
焼結助剤用粉末との成分組成を一定条件とすることによ
り、工具自身の耐用寿命が長く、被加工物を傷つけず、
低コスト化を図ることができる。
炭窒化チタン焼結体を使用し、その炭窒化チタン粉末と
焼結助剤用粉末との成分組成を一定条件とすることによ
り、工具自身の耐用寿命が長く、被加工物を傷つけず、
低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態で使用した摩擦摩耗試験
器の概要図。
器の概要図。
【図2】押付け0.7kgfの場合における摩擦係数の
測定結果を説明するグラフ。
測定結果を説明するグラフ。
【図3】押付け1.4kgfの場合における摩擦係数の
測定結果を説明するグラフ。
測定結果を説明するグラフ。
【図4】押付け0.7kgfの場合における摩耗量の測
定結果を説明するグラフ。
定結果を説明するグラフ。
【図5】押付け1.4kgfの場合における摩耗量の測
定結果を説明するグラフ。
定結果を説明するグラフ。
【図6】炭窒化チタン焼結体で作製した絞り型の概要
図。
図。
1 絞り型(プレス加工用工具) 10 油圧シリンダ 11 試料ホルダ 12 試料 13 回転式摩擦板
Claims (2)
- 【請求項1】 TiCX N1-X (0≦X≦1)の組成で
示される炭窒化チタン粉末60重量%以上94重量%以
下に、鉄族元素,合金鉄,ステンレス鋼の少なくとも一
種で構成される焼結助剤用粉末6重量%以上40重量%
以下を混合して焼結させた炭窒化チタン焼結体で構成し
たことを特徴とするプレス加工用工具。 - 【請求項2】 請求項1記載の発明において、前記炭窒
化チタン粉末はTiCX N1-X (0.2≦X≦0.8)
の組成で示されるものであることを特徴とするプレス加
工用工具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10065903A JPH11264047A (ja) | 1998-03-16 | 1998-03-16 | プレス加工用工具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10065903A JPH11264047A (ja) | 1998-03-16 | 1998-03-16 | プレス加工用工具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11264047A true JPH11264047A (ja) | 1999-09-28 |
Family
ID=13300398
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10065903A Pending JPH11264047A (ja) | 1998-03-16 | 1998-03-16 | プレス加工用工具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11264047A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011506763A (ja) * | 2007-12-14 | 2011-03-03 | シーバー フォーミング ソリューションズ ゲーエムベーハー | 金属粉末および/またはセラミック粉末とレーザ光線とを用いて金属粉末および/またはセラミック粉末から環状の回転対称のワークピースを製造する方法および装置 |
JP2015183280A (ja) * | 2014-03-26 | 2015-10-22 | 日立化成株式会社 | 粉末成形用ダイ |
-
1998
- 1998-03-16 JP JP10065903A patent/JPH11264047A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011506763A (ja) * | 2007-12-14 | 2011-03-03 | シーバー フォーミング ソリューションズ ゲーエムベーハー | 金属粉末および/またはセラミック粉末とレーザ光線とを用いて金属粉末および/またはセラミック粉末から環状の回転対称のワークピースを製造する方法および装置 |
JP2015183280A (ja) * | 2014-03-26 | 2015-10-22 | 日立化成株式会社 | 粉末成形用ダイ |
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