JPH11262612A

JPH11262612A - 脱臭フィルター

Info

Publication number: JPH11262612A
Application number: JP10068904A
Authority: JP
Inventors: Junji Harada; 純二原田; Katsushi Ogami; 勝志大上; Toshimitsu Nakajima; 敏充中島
Original assignee: Mitsubishi Paper Mills Ltd
Current assignee: Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority date: 1998-03-18
Filing date: 1998-03-18
Publication date: 1999-09-28

Abstract

(57)【要約】【課題】本発明の課題は、光触媒、吸着剤、エレクトレ
ットシートを効果的に使用して圧力損失の小さい空気清
浄化部品を供給することにある。【解決手段】光触媒シートと吸着脱臭シート、あるいは
吸着脱臭シートとエレクトレットシート、あるいは光触
媒シートとエレクトレットシートをそれぞれ交互にコル
ゲート加工した複合コルゲートを用いることにより、脱
臭、抗菌、除塵性能が長期間持続する空気清浄化フィル
ターを得る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は脱臭フィルターに関
し、さらに詳しくは、吸着剤による脱臭作用、エレクト
レットシートによる除塵作用、光反応性半導体の光触媒
作用により、悪臭や細菌などの有害物質を分解除去可能
あるいは浮遊塵の除去を行い、かつ励起光の有効利用お
よび高度の通気性を具備する脱臭フィルターに関する。

【０００２】

【従来の技術】工場などにおける工業的に発生する悪臭
や有害化学物質、多量の廃棄物を排出する飲食店やホテ
ルなどのサービス産業における廃棄物に起因した悪臭な
どによる従来からの環境汚染の問題に加えて、最近のア
メニティ志向の高まりに伴い、一般生活空間、例えば室
内や自動車内の悪臭、有害化学物質、花粉、浮遊塵や浮
遊細菌などによる室内環境汚染の問題がクローズアップ
されており、これら有害物質の除去に対するニーズが急
速に高まっている。

【０００３】悪臭や有害化学物質などの有害物質の除去
方法としては、活性炭やゼオライトなどの多孔性物質、
いわゆる吸着剤による吸着除去が一般的である。しかし
ながら、吸着剤は大部分の有害物質に対して吸着作用し
か示さず、一定量の有害物質を吸着すると除去性能が著
しく低下する、あるいは、周囲の温度や有害物質の濃度
如何では一度吸着した有害物質が離脱してしまうという
問題点があった。

【０００４】このような問題を解決するために、触媒を
用いて有害物質を分解除去する方法が考案されている。
有害物質の分解除去能を有する材料は各種知られている
が、中でも酸化チタンに代表される光触媒が近年大きな
注目を集めている。例えば、Ｃｕｎｄａｌｌらは、Ｊ．
Ｏｉｌ．Ｃｈｅｍ．Ａｓｓｏｃ．１９７８，６１，３５
１において、酸化チタンに紫外線を照射した場合、水と
アルコールの混合系でアルコールが分解されることを報
告している。さらに特開昭６１−１３５６６９号公報に
おいては、酸化亜鉛などの光触媒に紫外光を照射する
と、悪臭物質である硫黄化合物が分解されることが報告
されている。これら光触媒による分解反応においては、
反応の進行に伴って光触媒が消費されることはなく、光
に曝露されている限りその分解能力は半永久的である。
このような光触媒反応は界面反応であり、光触媒と分解
対象物との接触機会が多いほど効率的に進行する。従っ
て、光触媒の形状としては、比表面積を大きくとれる粉
体であることが好ましいが、光触媒を粉体のまま使用す
ることは難しく、何らかの方法を用いて適当な支持体に
担持固定する必要がある。

【０００５】これまでにも、例えば特開平１−１８９３
２２号公報や実開平２−４５１３０号公報に開示されて
いるように、単位体積当たりの光照射を受ける触媒量を
高めた光触媒の担持方法が考案されている。

【０００６】コルゲート状光触媒フィルターにおいて
は、圧力損失の問題は少なく、単位体積あたりの光照射
を受ける触媒量が大きいという特徴があるが、光触媒の
特性として多量の臭気物質を分解するには光量が律速と
なることが多く、脱臭効果を十分に発揮できないという
問題があった。また、空気清浄を行う場合に空気中の
塵、花粉、タバコの煙などの除去を行わなければ光触媒
シートの表面が汚れてしまい、光触媒機能を果たせなく
なるという問題があった。このような問題を避けるため
に脱臭フィルターや除塵フィルターを光触媒フィルター
の全面に設置すると空気清浄で非常に重要な要因である
圧力損失の低下を招くというジレンマが存在した。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、空気
清浄のためのフィルターにおいて、圧力損失を低下させ
ずに効率よく悪臭や細菌などの有害物質を除去し、浮遊
塵や浮遊菌の除去を行う長時間使用できる脱臭フィルタ
ーを提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため、鋭意検討した結果、本発明に到達した
ものである。

【０００９】吸着剤を含有する吸着脱臭シートと、光触
媒を含有する光触媒シートを交互に積層してコルゲート
に形成したことを特徴とする脱臭抗菌フィルター。

【００１０】光触媒を含有する光触媒シートと、エレク
トレットシートを交互に積層してコルゲートに形成した
ことを特徴とする脱臭抗菌除塵フィルター。

【００１１】吸着剤を含有する吸着脱臭シートと、エレ
クトレットシートを交互に積層してコルゲートに形成し
たことを特徴とする脱臭除塵フィルター。

【００１２】吸着剤を含有する吸着脱臭シートと、光触
媒を含有する光触媒シートを交互に積層してコルゲート
に形成したことを特徴とする脱臭抗菌フィルターあるい
は光触媒を含有する光触媒シートと、エレクトレットシ
ートを交互に積層してコルゲートに形成したことを特徴
とする脱臭抗菌除塵フィルターに光が当たるように設計
された空気清浄機。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の脱臭フィルター
に係わる構成要素を詳細に説明する。

【００１４】本発明において用いられる光触媒シートに
担持される光触媒は、光の照射によってその触媒反応を
促進させるものであって、その種類は特に限定されるこ
とはない。例えば、特開平２−２７３５１４号公報に開
示されているものを挙げることが可能であり、酸化亜
鉛、三酸化タングステン、酸化チタン、酸化セリウムな
どの金属酸化物が好ましく、これらの中でも、酸化チタ
ンは、構造安定性、光触媒としての能力、取り扱い上の
安全性などを考慮した場合、特に好ましい材料である。
酸化チタンとしては、従来汎用の酸化チタンの他、含水
酸化チタン、メタチタン酸、オルソチタン酸、水酸化チ
タンと呼称されているチタン酸化物または水酸化物を全
て包含する。酸化チタンの製造方法としては、硫酸チタ
ニル、塩化チタン、有機チタン化合物などを必要に応じ
て核形成用種子の共存下で加水分解する方法（加水分解
法）、必要に応じて核形成用種子を共存させながら、硫
酸チタニル、塩化チタン、有機チタン化合物などにアル
カリ剤を添加して中和する方法（中和法）、加水分解お
よび中和法で得られた酸化チタンを焼成する方法（焼成
法）などが挙げられ、何れの製法によって得られた酸化
チタンでも用いることができる。

【００１５】また、上記の光触媒に白金、金、パラジウ
ム、ロジウム、ルテニウムなどの金属、酸化ルテニウ
ム、酸化ニッケルなどの金属酸化物を担持させることに
よって、光触媒の機能を一層高めることも可能である。
これらは光触媒の表面に担持してもよいし、光触媒シー
ト中に混合してもよい。なお、光触媒への金属、金属酸
化物の担持は、含浸法、イオン交換法、光電析法、混練
法などの従来公知の技術によって行われる。

【００１６】本発明の光触媒シートは、通常用いられる
材料によって作製される。その種類は特に限定されるこ
とはないが、例えば、各種の紙、不織布、樹脂フィルム
などのシート、セラミック、ガラス、金属、木材などを
用いることができる。本発明においては、光触媒を担持
した繊維状シート、例えば紙、不織布、布帛などは多孔
質構造であり、光触媒と臭気物質との接触の機会が多い
ため、特に好ましい。

【００１７】上記の各種材料に光触媒を担持させ、本発
明の光触媒シートを得る方法としては、例えば各種の
紙、不織布、樹脂フィルムなどのシートに、光触媒を抄
き込み、含浸、練り込みなどの各種の方法により担持さ
せる方法が挙げられ、このようにして得られた光触媒シ
ートをコルゲート状に加工する。あるいは、酸化チタ
ン、酸化亜鉛などの光触媒を、そのままコルゲートの構
成材料としてもよい。さらには、吸着剤の吸着効率が低
下するが、あらかじめコルゲート状部材とした吸着構造
体に、各種の光触媒を担持させたり、光触媒シート中で
活性炭やシリカゲルなどの吸着剤を光触媒と併用しても
よい。

【００１８】本発明の脱臭フィルターに用いられるコル
ゲート構造体は、ＪＩＳＺ１５１６−１９９５「外
装用段ボール」に準拠して作製される。例えば、ライナ
上に中しんを接合した片段ボールを順次接着剤で積層さ
せてコルゲートブロックを作製し、コルゲートブロック
のライナ面に対して垂直に、あるいは一定の角度で斜め
に切断してコルゲート状の脱臭フィルターとすればよ
い。コルゲートとは形状が異なるが、展張時に四角形あ
るいは六角形となるいわゆるハニカムフィルターに関し
ては、構成するシートに一定の巾で複数本の線状に糊付
けし、その上に別の構成シートを重ね合わせ、ピッチを
ずらせて一定の巾で複数本の線状に糊付けしさらに別の
構成シートを重ね合わせるという工程でハニカムブロッ
クを作製し、糊ラインに直交する形、あるいは一定の角
度を保って断裁し、展張すればハニカムフィルターが得
られる。

【００１９】本発明の空気清浄機においては、光触媒シ
ートを使用した脱臭抗菌フィルターあるいは脱臭抗菌除
塵フィルターに光が当たるように設計された構成を有す
る。光源の波長としては光触媒の励起光（酸化チタンな
らば４００ｎｍ以下）を含有すれば良く、ブラックライ
ト、ケミカルランプ、殺菌灯、蛍光灯、太陽光などがフ
ィルターに効率よく当たるように設計されていればよ
い。

【００２０】本発明で用いられる吸着剤は、悪臭や細菌
などの有害物質を吸着するために用いられるものであ
る。一時的に暗所になるような使用環境、光量の少ない
使用環境、あるいは吸着過程が律速段階となる有害物質
が低濃度で存在するような使用環境においても吸着剤の
吸着作用によって高度の有害物質除去能を維持すること
が可能となる。なお、吸着能のみならず、触媒作用をも
同時に有する吸着剤も好ましい材料の一つである。

【００２１】さらに驚いたことには、吸着剤を含有して
なる吸着脱臭シートを、先の光触媒シートと交互に積層
してコルゲート構造を形成し、光触媒と吸着剤とを近傍
に位置させることにより、吸着剤にて悪臭などの成分が
濃縮されるためか脱臭効率が良く、光触媒で効率的に悪
臭成分を分解することが可能であるため脱臭寿命が長く
なる効果が見いだされた。

【００２２】吸着剤の例として例えば無機吸着剤として
は、活性炭、活性白土、天然および合成ゼオライト、セ
ピオライト、酸化鉄などの鉄系化合物、酸化亜鉛、酸化
マグネシウム、シリカ、シリカ−酸化亜鉛複合物、シリ
カ−アルミナ−酸化亜鉛複合物、複合フィロケイ酸塩、
あるいはこれらの混合物などが挙げられる。有機吸着剤
としては各種アルコール化合物、エーテル化合物、カル
ボン酸化合物、アミン系化合物、金属有機化合物、芳香
族化合物、複素環化合物、ペンテン類、フラボノイド
類、キレート化合物、セルロース、リグニン、及びこれ
らの化合物と金属との錯体など各種化合物が挙げられ
る。

【００２３】本発明に係わるエレクトレットシートは、
半永久的に電気分極を保持し、外部に対して電気力を及
ぼすシートあるいはフィルターであって、その静電気力
によって粒子を捕捉するものである。帯電方法として
は、エレクトロエレクトレット、熱エレクトレット、ラ
ジオエレクトレット、メカノエレクトレット、フォトエ
レクトレット、マグネットエレクトレットなどが挙げら
れるが、工業的に不織布フィルターで用いられているの
は、主にエレクトロエレクトレットおよび熱エレクトレ
ットであり、材料としてはポリプロピレンが用いられる
ことが多い。

【００２４】不織布は嵩高で３次元空隙が存在するた
め、コロナ放電などによる帯電処理では安定した帯電効
果を得ることが難しい。しかしながら、コロナ放電など
で帯電処理を施したフィルムを繊維状に断裁、それを不
織布化したスプリットファイバーエレクトレットシート
や、メルトブロー紡糸時および溶融紡糸時に高電圧を印
加して熱エレクトレット的に繊維を帯電させたメルトブ
ロー不織布式エレクトレットシートおよびスパンボンド
不織布式エレクトレットシートなどは、安定した分極電
荷を得ることができる。なお、メルトブロー不織布式エ
レクトレットシートは単体では力学的強度が小さいた
め、乾式不織布やスパンボンドなどを貼り合わせて使用
されるのが一般的である。

【００２５】本発明ではこのようなエレクトレットシー
トと光触媒シートが近傍にあれば、光触媒の寿命を縮め
る大きな要因である塵、埃、タバコの煙（オイルミス
ト）などが効率よく捕集されるため光触媒シートが高寿
命化できることを見いだした。エレクトレットシートで
作製したコルゲートを光触媒シートで作製したコルゲー
トの風上に配置しても同様の光触媒の高寿命化が達成で
きるが、空気清浄装置にとって非常に重要な要素である
圧力損失が増大するという問題がある。本発明の方法で
は圧力損失を増大させずに光触媒の高寿命化が達成でき
る。同じくエレクトレットシートと吸着脱臭シートによ
るコルゲートでは、圧力損失を増大させることなく脱臭
と除塵の両方を行うことができ、効率的な空気清浄が可
能になる。

【００２６】

【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

【００２７】本発明に使用される光触媒シートは市販の
物（三菱製紙製、ＰＭ−ＩＮ−ＣＤ；目付５０ｇ／
ｍ²）を用いた。エレクトレットシートも市販の物を用
いた（東燃製、ＰＯ−４０−ＵＬ−ＥＯＧ；目付４０ｇ
／ｍ²）。吸着脱臭シートは市販の不織布（倉敷繊維加
工製、ＦＬ４０）に活性炭とアクリル系接着剤を分散し
た塗液を含浸、乾燥させて作製した（目付；６０ｇ／ｍ
²）。

【００２８】「コルゲート部材の製造」上記のようにし
て作製した光触媒シート、エレクトレットシート、吸着
脱臭シートについて、上述のＪＩＳＺ１５１６−１
９９５「外装用段ボール」に準拠して、ライナと中しん
を積層して、ピッチ２．６ｍｍ、高さ１．５ｍｍの単段
コルゲートを製造し、単段コルゲートを積層してコルゲ
ートブロックとした。さらにこのコルゲートブロックを
厚み１０ｍｍ（縦、横とも１００ｍｍ）にスライスし、
コルゲート部材とした。

【００２９】実施例１吸着脱臭シートをライナーに、光触媒シートを中しんに
用いてコルゲート部材を作製し、脱臭抗菌フィルターと
した。

【００３０】実施例２光触媒シートをライナーに、エレクトレットを中しんに
用いてコルゲート部材を作製し、脱臭抗菌除塵フィルタ
ーとした。

【００３１】実施例３吸着脱臭シートをライナーに、エレクトレットを中しん
に用いてコルゲート部材を作製し、脱臭除塵フィルター
とした。

【００３２】実施例４筐体の中に実施例１で得られた脱臭抗菌フィルターと、
その一面にブラックライトの光があたるように蛍光灯設
備をとりつけ、さらに脱臭抗菌フィルターを通過して風
が流れるようにファンをとりつけて空気清浄機１を作製
した。

【００３３】実施例５筐体の中に実施例２で得られた脱臭抗菌除塵フィルター
と、その一面にブラックライトの光があたるように蛍光
灯設備をとりつけ、さらに脱臭抗菌除塵フィルターを通
過して風が流れるようにファンをとりつけて空気清浄機
２を作製した。

【００３４】比較例１吸着脱臭シートのみで作製したコルゲート部材（厚み５
ｍｍ）と、光触媒シートのみで作製したコルゲート部材
（厚み５ｍｍ）をコルゲートの目を揃えて貼合せ、脱臭
抗菌フィルターとした。

【００３５】比較例２光触媒シートのみで作製したコルゲート部材（厚み５ｍ
ｍ）と、エレクトレットシートのみで作製したコルゲー
ト部材（厚み５ｍｍ）をコルゲートの目を揃えて貼合
せ、脱臭抗菌除塵フィルターとした。

【００３６】比較例３吸着脱臭シートのみで作製したコルゲート部材（厚み５
ｍｍ）と、エレクトレットシートのみで作製したコルゲ
ート部材（厚み５ｍｍ）をコルゲートの目を揃えて貼合
せ、脱臭除塵フィルターとした。

【００３７】比較例４吸着脱臭シートのみで作製したコルゲート部材（厚み１
０ｍｍ）と、光触媒シートのみで作製したコルゲート部
材（厚み１０ｍｍ）をコルゲートの目を揃えて貼合せ、
脱臭抗菌フィルターとした。

【００３８】比較例５光触媒シートのみで作製したコルゲート部材（厚み１０
ｍｍ）と、エレクトレットシートのみで作製したコルゲ
ート部材（厚み１０ｍｍ）をコルゲートの目を揃えて貼
合せ、脱臭抗菌除塵フィルターとした。

【００３９】比較例６吸着脱臭シートのみで作製したコルゲート部材（厚み１
０ｍｍ）と、エレクトレットシートのみで作製したコル
ゲート部材（厚み１０ｍｍ）をコルゲートの目を揃えて
貼合せ、脱臭除塵フィルターとした。

【００４０】比較例７吸着脱臭シートのみで作製したコルゲート部材（厚み１
０ｍｍ）を脱臭フィルターとした。

【００４１】比較例８光触媒シートのみで作製したコルゲート部材（厚み１０
ｍｍ）を脱臭抗菌フィルターとした。

【００４２】比較例９エレクトレットシートのみで作製したコルゲート部材
（厚み１０ｍｍ）を除塵フィルターとした。

【００４３】以上、実施例および比較例で得られたフィ
ルターは、以下の方法で試験を行い、その性能を評価し
た。

【００４４】＜脱臭性能＞内部にファンを設置した密閉
容器中に実施例、比較例で得られた一定面積のフィルタ
ーを置き、容器中にアセトアルデヒドを１００ｐｐｍ注
入し、３０分後の容器中のアセトアルデヒド濃度（ｐｐ
ｍ）をガスクロマトグラフで測定した。フィルターに光
触媒シートを含むものは、密閉容器中に設置した６Ｗの
ブラックランプによりコルゲート断面に光があたるよう
にした。光触媒シートを使用していないフィルターは光
を照射することなく同様の測定を行った。

【００４５】＜通気性＞ＪＩＳＢ９９０８に準拠し
て、実施例および比較例のフィルターの圧力損失を風速
１ｍ／秒で測定した。圧力損失が小さい方が通気性が優
れる。

【００４６】＜除塵性＞実施例および比較例のフィルタ
ーに風速５．３ｃｍ／秒で風を通過させた場合の大気塵
中の０．３〜０．５μｍの粒子の除去率を測定した。

【００４７】＜脱臭寿命＞実施例および比較例のフィル
ターに風速５．３ｃｍ／秒でタバコ煙を含む風を通過さ
せ、フィルターの前後でアセトアルデヒド濃度を測定し
てアセトアルデヒド除去率を算出した。このアセトアル
デヒド除去率が試験開始直後のアセトアルデヒド除去率
の半分になるまでの時間を脱臭寿命（単位：時間）とし
た。なお、フィルターに光触媒シートが使用されている
ものはブラックライトの光を照射しながら同様の測定を
行った。

【００４８】＜抗菌性＞実施例および比較例のフィルタ
ーに大腸菌を含む原液を滴下し、蛍光灯で６時間照射し
た後に水で洗い流して培地の上で培養した。元々の原液
をシャーレに滴下して同じく蛍光灯で６時間照射した後
に水で洗い流して培地の上で培養したものをブランクと
した。フィルターに滴下して培養した細菌数が、ブラン
クの百分の１を越える場合を抗菌性が劣、百分の１以下
の場合を抗菌性が有、千分の１以下の場合を抗菌性が優
で判定した。

【００４９】上記の方法により試験を行い、その性能を
評価した結果について、表１に記載する。また実施例
４、５の空気清浄機については１立米の密閉容器にてタ
バコを燃焼させ、各々脱臭性、脱臭・除塵性を確認し、
空気清浄化作用があることを確かめた。

【００５０】

【表１】

【００５１】表１の結果から、以下のことが判る。

【００５２】光触媒シートと吸着脱臭シートを組み合わ
せたコルゲートを用いた実施例１の場合は、光触媒と吸
着剤が近傍にあるため脱臭性能が高く、かつ吸着脱臭シ
ートで吸着した臭気分も光触媒で分解できるため脱臭寿
命が長くなる効果がある。光触媒シートからなるコルゲ
ートと吸着脱臭シートからなるコルゲートを組み合わせ
た比較例１の場合は、脱臭性能はある程度のレベルに達
するが吸着脱臭シートを効率良く再生できず、吸着剤が
飽和してしまうと脱臭性能の寿命に到達してしまう。こ
のため初期の脱臭性能を長時間維持することはできな
い。また光触媒シートのコルゲート部分、吸着脱臭シー
トのコルゲ−ト部分が短いため、それぞれの性能を十分
発揮するまえに風が通り抜けてしまうためか実施例１に
比べると脱臭、抗菌の効率が良くない。それぞれのシー
トを１０ｍｍずつの厚みで作製した比較例４のコルゲー
トは、脱臭、抗菌などの性能は良いが、空気清浄機に組
み込む場合に重要な圧損が上昇しており、一定条件で風
量が少なくなり、ファンの回転音が大きくなるため好ま
しくない。

【００５３】光触媒シートとエレクトレットシートを組
み合わせたコルゲートを用いた実施例２の場合は、エレ
クトレットシートの使用により除塵性が高く、光触媒シ
ート部分に塵埃が付着しないため光の照射効率が高く脱
臭性能を長期間維持することができる。光触媒シートか
らなるコルゲートとエレクトレットシートからなるコル
ゲートを組み合わせた比較例２の場合は、光触媒シート
のコルゲート部分、エレクトレットシートのコルゲート
部分が短いため、それぞれの性能を十分発揮するまえに
風が通り抜けてしまうためか実施例２に比べると脱臭、
抗菌、除塵の効率が良くない。それぞれのシートを１０
ｍｍずつの厚みで作製した比較例５のコルゲートは、脱
臭、抗菌、除塵などの性能は良いが、空気清浄機に組み
込む場合に重要な圧損が上昇しており、一定条件で風量
が少なくなり、ファンの回転音が大きくなるため好まし
くない。

【００５４】吸着脱臭シートとエレクトレットシートを
組み合わせたコルゲートを用いた実施例３の場合は、エ
レクトレットシートの使用により除塵性が高く、吸着剤
部分に塵埃が付着しないため脱臭性能を長期間維持する
ことができる。吸着脱臭シートからなるコルゲートとエ
レクトレットシートからなるコルゲートを組み合わせた
比較例３の場合は、吸着脱臭シートのコルゲート部分、
エレクトレットシートのコルゲ−ト部分が短いため、そ
れぞれの性能を十分発揮するまえに風が通り抜けてしま
うためか実施例３に比べると脱臭、除塵の効率が良くな
い。それぞれのシートを１０ｍｍずつの厚みで作製した
比較例６のコルゲートは、脱臭、除塵などの性能は良い
が、空気清浄機に組み込む場合に重要な圧損が上昇して
おり、一定条件で風量が少なくなり、ファンの回転音が
大きくなるため好ましくない。

【００５５】吸着脱臭シートのみからなる比較例７のフ
ィルターでは、初期の脱臭性能には優れるが、吸着脱臭
シートの再生ができず、吸着剤が飽和してしまうと脱臭
性能の寿命に到達してしまう。光触媒シートのみからな
る比較例８のフィルターでは脱臭寿命には優れるが、初
期の脱臭性能に幾分劣るものになる。エレクトレットシ
ートのみからなる比較例９のフィルターでは、除塵性に
は優れるが、脱臭、抗菌性能は殆ど期待できない。

【００５６】

【発明の効果】本発明ではエレクトレットシート、光触
媒シート、吸着脱臭シートがそれぞれ近傍にある形でコ
ルゲートを構成するため光触媒の寿命を縮める大きな要
因である塵、埃、タバコの煙（オイルミスト）などが効
率よく捕集され、光触媒シートが高寿命化できる。本発
明の方法では圧力損失を増大させずに光触媒の高寿命化
が達成できる他、エレクトレットシートと吸着脱臭シー
トによるコルゲートでは、圧力損失を増大させることな
く脱臭と除塵の両方を行うことができ、光触媒シートを
使用したフィルターには抗菌性もあり、効率的な空気清
浄が可能になり、効率的な空気清浄化の手段になり得る
ものである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号ＦＩＡ６１Ｌ 9/16 Ａ６１Ｌ 9/16 ＤＢ０１Ｄ 46/00 ３０２Ｂ０１Ｄ 46/00 ３０２ 53/04 53/04 Ａ 53/38 Ｂ０１Ｊ 35/02 Ｊ 53/81 35/04 ３１１Ａ 53/86 Ｂ３１Ｆ 1/20 Ｂ０１Ｊ 35/02 Ｂ０１Ｄ 53/34 １１６Ｊ 35/04 ３１１ 53/36 ＨＢ３１Ｆ 1/20 Ｊ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】吸着剤を含有する吸着脱臭シートと、光
触媒を含有する光触媒シートを交互に積層してコルゲー
トに形成したことを特徴とする脱臭抗菌フィルター。
【請求項２】光触媒を含有する光触媒シートと、エレ
クトレットシートを交互に積層してコルゲートに形成し
たことを特徴とする脱臭抗菌除塵フィルター。
【請求項３】吸着剤を含有する吸着脱臭シートと、エ
レクトレットシートを交互に積層してコルゲートに形成
したことを特徴とする脱臭除塵フィルター。
【請求項４】請求項１あるいは請求項２記載の脱臭抗
菌フィルターあるいは脱臭抗菌除塵フィルターに光が当
たるように設計された空気清浄機。