JPH1126151A - マイクロ波加熱装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱室に被加熱物を上下２段に重ねて回転さ
せながら同時に加熱するマイクロ波加熱装置において、
少なくとも被加熱物の量を上下段に等しく収納した場合
に、両被加熱物を均等に加熱することができるようにす
る。 【解決手段】 そのため、加熱室１の側壁に給電口８を
設け、その給電口８の上下方向の略中央に金属製の載置
棚３を設け、その載置棚で加熱室を上部空間１５と下部
空間１６に区切り、それぞれの空間の上下寸法を略同一
にする。これによって上部空間１５と下部空間１６に均
一にマイクロ波が放射され、少なくとも被加熱物の量を
上下段に等しく収納した場合には、両被加熱物が均等に
加熱されるようになった。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、加熱室内に収納さ
れる食品を加熱調理するマイクロ波加熱装置に関し、特
に、被加熱物を２段に重ねて回転皿に載置して、同時に
加熱調理する機能を備えているものに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、被加熱物を２段に重ねて回転皿上
に載置して同時に加熱調理する機能を備えているマイク
ロ波加熱装置としては、実開昭６４−１３０４号の考案
が知られていた。

【０００３】その考案というのは、被加熱物を収納する
箱状の加熱室を備え、その加熱室には、マイクロ波を供
給する給電口と被加熱物を載置する回転皿を備え、その
給電口は、加熱室の側壁に設け、その回転皿には、被加
熱物を載置する載置面とそれを支える脚部を有する載置
棚を有し、しかも、その載置棚の上下方向の位置は、前
記給電口の上下方向の略中央に設けた構成のものであ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】この種のマイクロ波加
熱装置にあっては、被加熱物の量の多少に係わらず、上
下段に同量の被加熱物を収納した場合に、両被加熱物は
均等に加熱される必要がある。

【０００５】しかし、マイクロ波放射の上下方向への均
等分散は、載置棚、特に載置面の材質や被加熱物の量に
依存するが、上述従来の考案ではその点についての言及
が全くされていない。

【０００６】しかるに、 載置棚（上段の丸皿）が誘電体で構成されている場合
には、給電口に近い載置棚（上段の丸皿）の食品がマイ
クロ波の直射を受けることになり、上下段の均一加熱は
難しい。

【０００７】載置棚（上段の丸皿）が金属体で構成さ
れている場合には、載置棚周縁部と給電口の電磁結合生
じてマイクロ波は上下に分散するが、被加熱物の量が少
ない場合には加熱室で反射波が生じ、その影響を受けて
上下段の均一な分散は得られなくなる。

【０００８】上記の考案では、載置棚と加熱室の一部で
囲われる上部空間と、回転皿と載置棚及び加熱室の一部
で囲われる下部空間の上下寸法は明らかに異なってお
り、上下段で同一な反射の条件は得られない。したがっ
て、被加熱物の量が少ない場合には、反射の条件が異な
るために、必然的に上下段の被加熱物に加熱むらが生じ
る。

【０００９】従来技術は、以上のような問題を残してい
た。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題を解
決するものあり、その要点とするところは、被加熱物
を載置する載置棚の載置面を金属体で構成し、周辺部を
給電口に対向させて、その周辺部と給電口を電磁結合さ
せ被加熱物への直射を抑える。その載置面と加熱室の
一部で囲う上部空間と、回転皿と載置面及び加熱室の一
部で囲う下部空間のそれぞれの上下方向寸法を略同一と
することで、載置面で区切られる上部空間と下部空間の
共振特性（モード、Ｑ他）を略同一にし、両空間の反射
波が生じる条件を合致させて、被加熱物の量が少ない場
合でも、上下段のマイクロ波のパワー結合を略同一にす
る。

【００１１】これらによって上下段の加熱を均一化す
る。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明は上記のとおりのものであ
り、被加熱物の量の多少に係わらず、上下段に同量の被
加熱物を収納した場合に、両被加熱物の均一加熱が可能
な２段重ねの同時加熱を実現するものである。

【００１３】そのために、被加熱物を収納する加熱室を
備え、加熱室にはマイクロ波を供給する給電口と被加熱
物を載置する回転皿を備え、その給電口は、加熱室の側
壁に設け、その回転皿には、被加熱物を載置する載置面
とそれを支える脚部からなる載置棚を有し、しかもその
載置棚の被加熱物を載置する載置面の上下方向の位置は
前記給電口の上下方向の略中央に設けるとともに、 載置棚の被加熱物を載置する載置面を金属体で構成
し、 その載置面と加熱室の一部で囲う上部空間と、回転皿
と載置面及び加熱室の一部で囲う下部空間のそれぞれの
上下方向寸法を略同一とする構成としている。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の一実施例を説明する。

【００１５】図１において、１はマイクロ波加熱装置の
加熱室で、２は被加熱物を載置する回転皿で、耐熱性の
ある誘電体で構成する。３は回転皿上に着脱自在に設け
られた金属製の載置棚である。４は載置棚３に載せられ
た被加熱物、５は回転皿２に載せられた被加熱物、６は
本体、７は操作パネルを示す。

【００１６】図２において、８は給電口で加熱室１の側
壁（垂直壁）に設けられている。９はマグネトロンで、
１０は導波管であり、１１は回転皿２を支持する金属製
の支持台である。支持台１１はモータ１２に連結してお
り、このモータ１２の駆動力で回転する。回転皿２は支
持台１１上に着脱自在に設けられ、さらにその回転皿２
上には載置棚３が載せられる。載置棚３は載置面１３と
脚部１４からなる構造体であり、ステンレス製の棒材を
網状に組んだものである。

【００１７】加熱室１の寸法は、幅310・奥行310・高さ
215（mm）であり、導波管のマイクロ波進行方向の断面
寸法は幅90・高さ40（mm）である。したがって、マイク
ロ波の管内波長λは約140（mm）である。回転皿２の回
転軸は加熱室中央に位置させる。又、載置面１３は、給
電口８の中央部と略同一となる位置に配置する。

【００１８】各部の寸法はそれぞれ、Ｌ1＝100、Ｌ2＝9
0、Ｌ3＝56、Ｌ4＝32（mm）としている。Ｌ1とＬ2は載
置棚３の載置面１３で区切られる上部空間１５と下部空
間１６の上下方向寸法であるが、本実施例では全く同一
ではない。その差は10（mm）であり、導波管の管内波長
λに対し、λ／４以下としている。この程度の差であれ
ば略同一とみなすことができ、その影響は少ない。上部
空間１５と下部空間１６は略等しいので、マイクロ波の
放射特性に影響する共振モードや共振Ｑ等の基本特性は
略同一となる。

【００１９】Ｌ3は給電口８の上下方向の寸法で、Ｌ4は
載置棚３の載置面１３の周縁部１７と給電口８間の距離
である。Ｌ4はＬ3より小さく、Ｌ4＝λ／４としてい
る。これは、載置面１３の周縁部１７と給電口８との電
磁結合を高め、給電口８から放射されるマイクロ波の放
射方向を変える効果を高めるためである。Ｌ4がλ／４
を大幅に超えると、周縁部１７と給電口８との電磁結合
が弱まり、加熱室への直射成分が増えることになる。
又、Ｌ4がＬ3より大きいと同じく両者の電磁結合が弱ま
り加熱室への直射成分が増えることになる。

【００２０】本発明の一実施例の構成は以上のとおりで
あり、次にその動作について説明する。

【００２１】図２において、マグネトロン９より発する
電波は導波管１０を経て給電口８から加熱室１に供給さ
れる。この時、給電口８近傍において、図３に示すよう
な電磁結合が生じ、マイクロ波の分散が生じる。

【００２２】図３において、載置棚３の周縁部１７は給
電口８の上下方向の略中央に位置しており、図３中Ａ方
向とＢ方向に均等に放射される。Ａ方向及びＢ方向のマ
イクロ波の強さ（結合度）は、上下各段にそれぞれ同量
の被加熱物を収納した場合には、上部空間１５と下部空
間１６のマイクロ波特性で決る。両空間は略同一な寸法
構成にしてあるので、その特性は略同一となる。したが
って、上下段に均等なマイクロ波パワーが放射される。

【００２３】被加熱物５、４は回転皿２と載置棚３の上
に載せて加熱する。被加熱物の量が多い場合、図３に示
すマイクロ波の放射特性を得る。又、被加熱物の量が少
ない場合、図３に示すマイクロ波の放射特性を得るとと
もに加熱室１からの反射の条件が上部空間１４と下部空
間１５が略等しく、この場合でも両者は均等な加熱が行
われる。

【００２４】以上によって、上下段に置かれた量の等し
い被加熱物は、その量の多少に係わらず両者とも均等な
加熱が行われる。

【００２５】

【発明の効果】以上、本発明によれば上下２段に重ねて
回転させながら同時に加熱するマイクロ波加熱装置にお
いて、少なくとも同量の被加熱物を上下２段に重ねて加
熱する場合、その被加熱物の量の多少に係わらず、両被
加熱物を均等に加熱することができるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例の正面図でドアを取り除いた状態を示
す。

【図２】図１の要部断面図を示す。

【図３】図２の要部拡大図を示す。

【符号の説明】

１ 加熱室 ２ 回転皿 ３ 載置棚 ８ 給電口 １３ 載置面 １４ 脚部 １５ 上部空間 １６ 下部空間 １７ 周縁部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊池 厳夫 千葉県柏市新十余二３番地１ 株式会社日 立ホームテック内 (72)発明者 久田 敏彦 千葉県柏市新十余二３番地１ 株式会社日 立ホームテック内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被加熱物を収納する箱状の加熱室（１）
   を備え、その加熱室（１）にはマイクロ波を供給する給
   電口（８）と被加熱物を載置する回転皿（２）を備え、
   その給電口（８）は加熱室（１）の側壁に設けられ、そ
   の回転皿（２）は被加熱物を載置する載置棚（３）を載
   置し、しかもその被加熱物を載置する載置面（１３）の
   上下方向の位置は給電口（８）の上下の略中央とすると
   ともに載置棚（３）の載置面（１３）を金属体で構成
   し、かつその載置面（１３）と加熱室（１）の一部で囲
   う上部空間（１４）と、回転皿（２）と載置面（１３）
   及び加熱室（１）の一部で囲う下部空間（１５）のそれ
   ぞれの上下方向寸法を略同一としたことを特徴とするマ
   イクロ波加熱装置。