JPH11255516A - TiO2 粉体の製造方法 - Google Patents

TiO2 粉体の製造方法

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JPH11255516A
JPH11255516A JP10076639A JP7663998A JPH11255516A JP H11255516 A JPH11255516 A JP H11255516A JP 10076639 A JP10076639 A JP 10076639A JP 7663998 A JP7663998 A JP 7663998A JP H11255516 A JPH11255516 A JP H11255516A
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tio
powder
complex
producing
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JP10076639A
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Kazumi Okabe
部 参 省 岡
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単位面積当たりの触媒活性が飛躍的に高いT
iO2 粉体を製造することができるTiO2 粉体の製造
方法を提供する。 【解決手段】 TiO2 粉体の製造方法は、アルミニウ
ムをTiO2 結晶のチタン席に均一に置換型固溶させた
TiO2 粉体であって、アルミニウムのチタン席を占め
る席占有率が0.01%〜0.5%であるTiO2 粉体
の製造方法において、(a)オキシポリカルボン酸と、
(b)ポリオール化合物と、(c)(−Ti−O−Al
−O−Ti−)の化学結合を有する複合アルコキシドと
を反応させて水溶性の複合カルボン酸エステル錯体オリ
ゴマーを得た後、その複合カルボン酸エステル錯体オリ
ゴマーの溶液を噴霧熱分解することによって、TiO2
粉体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はTiO2 粉体の製
造方法に関し、特にたとえば、光触媒、光合成などの光
化学反応を効率よく生じさせるための光化学反応用のT
iO2 粉体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】TiO2 を光励起させると、電子と正孔
とが分離・生成し、強い酸化還元作用を周囲の物質に及
ぼす。この作用を利用して、水の酸化・還元、有害物質
の分解、殺菌、有機合成などが行われる。従来より、比
表面積が大きくかつ結晶性の高いTiO2 が高効率の光
化学反応を示すと言われている。その合成法が、以下の
ように、種々検討されている。 (1)チタンアルコキシドをトルエンに溶解し、オート
クレーブ中で気相から水分を供給して加水分解すると同
時に結晶成長させる。 (2)層状粘土化合物の層間にTiO2 を入れる。 (3)チタン酸カリウムを原料とするトンネル構造を有
するTiO2 粉体を合成する。 (4)逆ミセル内水相を利用してTiO2 粉体を合成す
る。 (5)また、最近ではTiO2 にTiO2 以外の種々の
酸化物をドープあるいは被覆することによって効率を改
善する試みが行われており、TiO2 にカリウム化合物
および/または燐化合物とアルミニウム化合物との双方
をドープまたは被覆する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
微細かつ高結晶性のTiO2 粉体では、1次粒子が小さ
くなる程凝集が進み、反応物の拡散が悪くなって、単位
表面積当たりの触媒能が劣化するとともに、加熱による
劣化も進みやすいという問題点がある。また、上述の問
題点を解決するために、担体に超微粒子TiO2 を凝集
することなく担持させる方法がある。しかしながら、こ
の方法では、担体も含めた体積や重量当たりの触媒活性
能を高くすることが不可能である。また、針状などの球
形以外の異形状のTiO2 粒子を用いることも考えられ
るが、この方法では、反応の選択性という新機能は発現
するが、触媒活性自体は向上しないという問題点があ
る。さらに、従来の方法では、アルミニウム化合物が均
一かつ十分にTiO2 結晶のチタン席に置換固溶せず、
添加効果が示現しない問題点がある。
【0004】それゆえに、この発明の主たる目的は、単
位面積当たりの触媒活性が飛躍的に高いTiO2 粉体を
製造することができるTiO2 粉体の製造方法を提供す
ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明にかかるTiO
2 粉体の製造方法では、上述の技術課題を解決するた
め、TiO2 結晶のチタン席にアルミニウムを確実にか
つ均一に置換固溶させるため以下に述べる手段を用いて
いる。この発明にかかるTiO2 粉体の製造方法は、ア
ルミニウムをTiO2 結晶のチタン席に均一に置換型固
溶させたTiO2 粉体であって、アルミニウムのチタン
席を占める席占有率が0.01%〜0.5%であるTi
2 粉体の製造方法において、(a)オキシポリカルボ
ン酸と、(b)ポリオール化合物と、(c)(−Ti−
O−Al−O−Ti−)の化学結合を有する複合アルコ
キシドとを反応させて水溶性の複合カルボン酸エステル
錯体オリゴマーを得た後、その複合カルボン酸エステル
錯体オリゴマーの溶液を噴霧熱分解する、TiO2 粉体
の製造方法である。この発明にかかるTiO2 粉体の製
造方法では、たとえば、複合カルボン酸エステル錯体オ
リゴマーの溶液を温度500℃〜850℃の雰囲気中に
噴霧して熱分解することによって光化学反応用のTiO
2 粉体を得る。
【0006】得られるTiO2 結晶のチタン席にアルミ
ニウムを置換固溶させるためには、まず、オキシポリカ
ルボン酸およびポリオール化合物と反応させる前に、
(−Ti−O−Al−O−Ti−)の化学結合を有する
前駆体が必要となってくる。一般的に、Ti4+とAl3+
の混合溶液にアルカリの沈澱剤を添加して沈澱を生成さ
せたのでは、Ti4+とAl3+が沈澱を生成するpHが違
うので、沈澱が落ちるpHが低いTi4+から沈澱を生成
し、続いてpHの高いところで沈澱が落ちるAl3+が沈
澱を生成する。したがって、一般的な方法では、チタン
{Ti(OH)4 }とアルミニウム{Al(OH)3
の混合沈澱となっており、目的の(−Ti−O−Al−
O−Ti−)の化学結合を有するものが得られない。こ
の発明では、Tiアルコキシド、Alアルコキシドを用
いて溶剤中のわずかに含まれている水分によって部分加
水分解および重縮合反応が還流させている間に起こり、
(−Ti−O−Al−O−Ti−)の化学結合を有する
複合アルコキシドを合成させることを可能としている。
ところが、得られる複合アルコキシドは水分に対して敏
感で水分と反応していきゲル化してしまうという欠点を
有している。この発明では、さらに、水分に対して安定
な形にするために、オキシポリカルボン酸およびポリオ
ール化合物と反応させることで水溶性の複合カルボン酸
エステル錯体オリゴマー溶液を合成し、複合アルコキシ
ド溶液の不安定性を改良している。また、この複合カル
ボン酸エステル錯体オリゴマーは複合アルコキシドのア
ルコキシ基とカルボン酸の−COOH基と反応して−C
OOTi−O−Al(COO)O−TiOOC−を形成
しおよびポリオールの−OH基とカルボン酸の−COO
H基と反応してエステル樹脂化(オリゴマー化)して水
に対して安定でかつ−Ti−O−Al−O−Ti−の化
学結合を破壊することなく維持している。
【0007】この発明に用いることが可能なオキシポリ
カルボン酸としては、クエン酸が最も代表的な酸である
が、他にリンゴ酸、メソ酒石酸、葡萄酸あるいはメコン
酸などのカルボン酸の使用が可能である。Tiアルコキ
シドとしては、一般的なTi(OR)4 {Rはアルキル
基を表し、Cn 2n+1で示される}アルコキシドが挙げ
られ、Ti(OMe)4 {OMeはメトキシ基を表
す}、Ti(OEt)4 {OEtはエトキシ基を表
す}、Ti(OPrn 4 {OPrn はノルマルプロポ
キシ基を表す}、Ti(OPri 4 {OPri はイソ
プロポキシ基を表す}、Ti(OBun 4 {OBun
はノルマルブトキシ基を表す}、Ti(OBusec 4
{OBusec は第2級ブトキシ基を表す}、Ti(OB
tert4 {OButertは第3級ブトキシ基を表す}な
どを代表例として列挙できるが、これらのアルコキシド
に限定されない。また、Tiアルコキシドとしては、T
i(OR)4-n (acac)n として表されるもので、
上記のTi(OR)4 のORの一部をacacで置き換
えたアルコキシドも使用が可能である。さらに、Tiア
ルコキシドとしては、Ti(OR)4-n (RCOO)n
として表されるもので、上記のTi(OR)4 のORの
一部を脂肪酸に置き換えたアルコキシドも使用が可能で
ある。また、Tiアルコキシドとしては、Ti(OR)
4-n (alkanolamine)n として表されるも
ので、上記のTi(OR)4 のORの一部をalkan
olamine(アルカノールアミン)に置き換えたア
ルコキシドの使用も可能である。alkanolami
neは、一般的にNH2 (ROH)、NH(RO
H)2 、NH(ROH)3 の形で表され、RはCn 2n
で示すアルキル基である。alkanolamineと
しては、TEA(トリエタノールアミン)、DEA(ジ
エタノールアミン)、MEA(モノエタノールアミン)
が代表例として列挙できるが、これらのalkanol
amineに限定されない。Alアルコキシドとして
は、一般的なAl(OR)3 {Rはアルキル基を表し、
n 2n+1で示される}アルコキシドが挙げられ、Al
(OBun 3 {OBun はノルマルブトキシ基を表
す}、Al(OBusec 3 {OBusec は第2級ブト
キシ基を表す}、Al(OButert3 {OButert
第3級ブトキシ基を表す}、Al(OPrn 3 {OP
n はノルマルプロポキシ基を表す}、Al(OP
i 3 {OPri はイソプロポキシ基を表す}、Al
(OEt)3 {OEtはエトキシ基を表す}、Al(O
Me)3 {OMeはメトキシ基を表す}などを代表例と
して列挙できるが、これらのアルコキシドに限定されな
い。また、Alアルコキシドとしては、Al(OR)
3-n (acac)n として表されるもので、上記のAl
(OR)3 のORの一部をacacで置換したアルコキ
シドについても使用が可能である。ポリオール化合物と
しては、エチレングリコール、プロピレングリコール、
ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリ
グリコール、テトラエチレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコ
ールの他、グリセリンなどの3価アルコール、4価アル
コール、5価アルコールなど任意の多価アルコールを単
独あるいは組み合わせて使用できる。また、エステル化
を行い水溶性の複合カルボン酸エステル錯体オリゴマー
溶液を合成する温度はオキシカルボン酸が分解しない温
度で、通常140℃以下で行われるが、100℃〜13
0℃の範囲内で行うのが好適である。140℃を越える
と、重合反応が進み過ぎて反応溶液の粘度が高くなり粘
稠になり過ぎて後工程に支障をきたし好ましくない。
【0008】そして、この発明では、得られる水溶性の
複合カルボン酸エステル錯体オリゴマー溶液は、触媒毒
となるCl- 、SO4 2- を含んでいないので、得られる
TiO2 粉体の触媒活性能を悪くすることがない。ま
た、この発明では、噴霧熱分解法でTiO2 粉体を合成
しており、水溶性の複合カルボン酸エステル錯体オリゴ
マー溶液が熱分解炉中に噴霧供給されてから1秒程度で
回収部に到達し、熱履歴時間が非常に短いので、粒子の
粒成長が起こらず凝集が少なく、非常に微細なTiO2
粉体を得ることを可能としている。
【0009】この発明の上述の目的、その他の目的、特
徴および利点は、以下の発明の実施の形態の詳細な説明
から一層明らかとなろう。
【0010】
【発明の実施の形態】(実施例)Ti(OPri
4 {OPri はイソプロポキシ基を表す}とAl(OP
i3 {OPri はイソプロポキシ基を表す}とを種
々の比率で混合した混合アルコキシド溶液にMeOC2
4 OH{Meはメチル基を表す}を加えて115℃で
反応を行い、アルコール交換反応で生成するC3 7
Hを蒸留で留去して(−Ti−O−Al−O−Ti−)
の化学結合を有する複合アルコキシド溶液を得た。ま
た、オキシポリカルボン酸の1種のクエン酸と、ポリオ
ール化合物の1種のエチレングリコールを用意した。次
に、モル比で(Ti+Al):クエン酸:エチレングリ
コール=1.0:1.5:1.0になるように各々を反
応容器に仕込み、反応容器をオイルバスにセットして1
25℃で攪拌しながら3時間反応を行い水溶性の複合カ
ルボン酸エステル錯体オリゴマー溶液を合成した。得ら
れた水溶性の複合カルボン酸エステル錯体オリゴマー溶
液に純水を加えて希釈をしTiO2 濃度で0.25mo
l/lになるように調整した。調整した複合カルボン酸
エステル錯体オリゴマー溶液を550℃に加温された熱
分解炉に霧状に噴霧し吹き込み熱分解を行いTiO2
体の合成・回収を行った。得られたTiO2 粉体につい
て、X線回折で分析し、SSA(比表面積)を測定し、
2 5 OH−H2 O系溶液中に懸濁させ、H2 PtC
6 を添加し高圧水銀灯の光を照射しTiO2 粉体上に
Ptを沈着させ、引き続き光を照射しながら水素ガスの
発生量を測定した。これらのSSAの測定結果を表1に
示し、これらの水素ガスの発生量の測定結果を表2に示
す。
【0011】(比較例)TiO(NO3 2 およびAl
(NO3 3 を溶解した混合水溶液を実施例と同様に5
50℃に加温した熱分解炉に霧状に吹き込み熱分解を行
いTiO2 粉体の合成・回収を行った。なお、Alのド
ープ量は、0.20mol%である。得られたTiO2
粉体について、X線回折で分析し、SSAを測定し、C
2 5 OH−H2 O系溶液中に懸濁させ、H2 PtCl
6 を添加し高圧水銀灯の光を照射しTiO2 粉体上にP
tを沈着させ、引き続き光を照射しながら水素ガスの発
生量を測定した。このSSAの測定結果も表1に示し、
この水素ガスの発生量の測定結果も表2に示す。
【0012】また、参考TiO2 粉体として高効率光触
媒として標準的なp−25(日本エアロジル社製)のT
iO2 粉体、および硫酸法で合成した高比表面積TiO
2 粉末についても、SSAの測定結果を表1に示し、水
素ガスの発生量の測定結果を表2に示す。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】表2の結果を見てわかるように、Al置換
固溶量が0mol%のとき、p−25のTiO2 粉体と
同等程度の水素発生能を示し、Al置換固溶量が増加し
ていくに従い置換型固溶の効果が現れ水素発生能が高く
なっていく。Al置換固溶量が0.20〜0.25mo
l%のとき、効果が最大になっている。Al置換固溶量
が0.40〜0.50mol%になると、効率は若干減
少する傾向は見られるが、標準光触媒であるp−25の
TiO2 粉体に比べて3倍近く効率が高くなっている。
なお、Al置換固溶量が0.50mol%を越えると急
激に効率が下がり、触媒活性能が低下している。この結
果から適性なAl置換固溶量は0.05〜0.50mo
l%、すなわち、AlのTi席を占める席占有率が0.
05〜0.50%の間にあることが好ましいと言える。
【0016】p−25のTiO2 粉体はTiCl4 の蒸
気を熱分解炉に吹き込み熱分解を行う方法で得られるT
iO2 粉体である。硫酸法によるTiO2 粉体はTiO
SO4 の加水分解で得られる湿式法によるものである。
Alをドープしていない3種類(この発明の方法によ
る、p−25、硫酸法による)のTiO2 粉体の触
媒活性能を比較すると、この発明の方法によるTiO2
粉体≧p−25のTiO2 粉体≫硫酸法によるTiO2
粉体の順序になっている。これらのX線回折での分析の
結果では、本発明のTiO2 粉体および硫酸法のTiO
2 粉体はアナターゼ(anatase)で、p−25は
(アナターゼ+ルチル)の混相であるが、実際には硫酸
法で得られるTiO2 粉体は熱処理がないので他の2種
類に比べての結晶性が低くなっているため、このような
結果になったものと考えられる。Alをドープしていく
と触媒活性が向上していくが、この場合はTiの席の一
部がAlによって置換されるので表面の電子状態がドー
プしないTiO2 粉体と異なりh+ とe- の再結合が生
じにくくなった結果として触媒活性の向上になったもの
と思われる。しかしながら、Alの置換が0.5mol
%を越えると、h+ とe- の再結合が起こりやすい状態
になり触媒活性が低下していくものと思われる。ところ
が、Alを0.20mol%ドープしたTiO2 粉体で
も、この発明の方法によるTiO2 粉体と比較例の方法
によるTiO2 粉体とにおいては、この発明の方法によ
るものは比較例の方法によるものの6倍も触媒活性が高
くなっている。この差はドープしたAlの固溶の仕方が
違っていることが考えられる。そこで、Alのドープ量
を0.05〜0.30mol%にしてこの発明の方法と
比較例の方法とでTiO2 粉体を合成し、TiO2 粉体
のリートベルト法によるX線回折での分析を行って違い
の確認を検討した。その結果を表3に示す。
【0017】
【表3】
【0018】リートベルト法は、結晶構造が決まった物
質の構成元素がその結晶構造内のどの席に位置している
かを調べるのに好適で、その結果の確かさはR因子とい
う指標で示される。R因子は、その値が小さい程、結果
が正しいとされる。TiとOとの原子位置を固定し、T
i席にAlが固溶していると仮定して、その固溶量を変
化させてR因子を求めた。表3の結果を見てわかるよう
に、この発明の方法で得られるTiO2 粉体はAlが
0.20mol%の所でR因子は最も小さくなってお
り、仕込んだAlが全てTi席に存在していることを示
している。しかしながら、比較例の方法で得られるTi
2 粉体ではR因子が最も小さくなるのは0mol%の
所であり、すなわち仕込のAlはTi席に存在せず別の
相を形成するかまたは侵入型固溶を示している。ここ
で、Alをドープした場合、Alの固溶形式に触媒活性
が左右され、触媒活性を高くするには置換型固溶するこ
とが必須条件であることが明白である。比較例の方法の
ように単にTi4+とAl3+の混合溶液を噴霧熱分解した
のではAl置換型固溶のTiO2 粉体は得られず、この
発明の方法のように(a)オキシポリカルボン酸と
(b)ポリオール化合物と(c)(−Ti−O−Al−
O−Ti−)の化学結合を有する複合アルコキシドとを
反応させて得られる水溶性の複合カルボン酸エステル錯
体オリゴマー溶液を噴霧熱分解する方法を採らなけれ
ば、Al置換型固溶のTiO2 粉体が得られないことが
明らかになった。
【0019】この発明の方法は、噴霧熱分解法特有の自
己化学的破砕(self−chemical brea
k down)作用によって、生成されるTiO2 粉体
は自動的に微細化され微細な粉体となっていき、従来の
技術に見られない特色を有するTiO2 粉体の製造方法
である。そこで、熱分解温度を変化した時のTiO2
体の結晶相の結果を表4に示す。
【0020】
【表4】
【0021】表4に示す結果を見てわかるように、熱分
解温度を変化させることで得られるTiO2 粉体の結晶
形を、自由に、アナターゼ100%、アナターゼとルチ
ル(rutile)との混合物、ルチル100%のTi
2 粉体に合成することが可能であるが、TiCl4
熱分解したのでは、アナターゼとルチルとの混合物、ル
チル100%のTiO2 粉体は合成が可能であるけれど
も、アナターゼ100%のTiO2 粉体は合成できない
という欠点がある。また、TiO2 粉体の合成技術とし
て水熱処理(hydrothermaltreatme
nt)により微細なTiO2 粉体を合成する方法がある
が、この方法であるとブルッカイト(brookit
e)相が一部生成するという問題点がある。光触媒活性
能の強度の順序はアナターゼ≧ルチル≫ブルッカイトと
なっており、ブルッカイト相が生成するということは光
触媒としては致命的なことで、水熱処理による合成方法
は良い方法とは言いがたい。AlをドープしていないT
iO 2 粉体の水素発生量を見ると、この発明のAl−0
mol%のTiO2 粉体≧p−25のTiO2 粉体とい
う結果になっているが、p−25のTiO2 粉体には約
20%程度のルチルが含まれていて、この発明の方法で
得られたTiO2 粉体にはルチルが含まれておらず、こ
の差が光触媒活性能に現れたものであると考えられる。
【0022】この発明の方法で得られたTiO2 粉体、
p−25のTiO2 粉体、水熱処理で得られたTiO2
粉体および硫酸法によるTiO2 粉体について、水素ガ
スの発生量を測定し、それらの光触媒活性能の比較を表
5に示す。
【0023】
【表5】
【0024】表5に示す結果を見てわかるように、水熱
処理によるTiO2 粉体は光触媒活性能が最も低くなっ
ており、少量のブルッカイト相が光触媒活性能を低下さ
せていることが明白である。この事実から高光触媒活性
能のTiO2 粉体はルチルおよびブルッカイト相を含ま
ないアナターゼ100%のTiO2 粉体が好ましいこと
が明白である。
【0025】
【発明の効果】この発明によれば、単位面積当たりの触
媒活性が飛躍的に高い光化学反応用のTiO2 粉体を製
造することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムをTiO2 結晶のチタン席
    に均一に置換型固溶させたTiO2 粉体であって、アル
    ミニウムのチタン席を占める席占有率が0.01%〜
    0.5%であるTiO2 粉体の製造方法において、 (a)オキシポリカルボン酸と、 (b)ポリオール化合物と、 (c)(−Ti−O−Al−O−Ti−)の化学結合を
    有する複合アルコキシドとを反応させて水溶性の複合カ
    ルボン酸エステル錯体オリゴマーを得た後、その複合カ
    ルボン酸エステル錯体オリゴマーの溶液を噴霧熱分解す
    る、TiO2 粉体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記複合カルボン酸エステル錯体オリゴ
    マーの溶液を温度500℃〜850℃の雰囲気中に噴霧
    して熱分解する、請求項1に記載のTiO2粉体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記TiO2 粉体は光化学反応用であ
    る、請求項1または請求項2に記載のTiO2 粉体の製
    造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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