JPH11254874A - 生分解性ファイル用具 - Google Patents

生分解性ファイル用具

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JPH11254874A
JPH11254874A JP10080462A JP8046298A JPH11254874A JP H11254874 A JPH11254874 A JP H11254874A JP 10080462 A JP10080462 A JP 10080462A JP 8046298 A JP8046298 A JP 8046298A JP H11254874 A JPH11254874 A JP H11254874A
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JP
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resin
lactone
biodegradable
file
weight
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JP10080462A
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English (en)
Inventor
Masahiro Ishikawa
雅博 石川
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分解性、成形性、機械的特性に優れた樹脂ま
たは樹脂組成物を成形して生分解性ファイル用具を提供
すること。 【解決手段】 ポリカプロラクトン30重量部と脂肪族
ポリエステル70重量部からなるラクトン含有樹脂を押
出成形して得られたシートをファイル、ファイル・バイ
ンダー、ファイル・ホルダー、ファイル・ケース、ファ
イル・キャリングバッグ、ファイル・ボックス等の生分
解性ファイル用具に加工する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラクトン樹脂単独
からなるもしくは該ラクトン樹脂と他の生分解性樹脂か
ら成るラクトン含有樹脂、又は該ラクトン含有樹脂と樹
脂添加剤からなるラクトン含有樹脂組成物を成形してな
る生分解性ファイル用具であって、分解性、成形性、機
械的特性に優れたものでありファイル、ファイル・バイ
ンダー、ファイル・ホルダー、ファイル・ケース、ファ
イル・キャリングバッグ、ファイル・ボックス等の事務
用品に使用される。
【0002】
【従来の技術】従来、ファイル、ファイル・バインダ
ー、ファイル・ホルダー、ファイル・ケース、ファイル
・キャリングバッグ、ファイル・ボックス等に用いられ
ているファイル用具には、紙等の天然素材、又はポリオ
レフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の合成樹脂が主に
使用されている。しかし、紙等の天然素材では水分に弱
いので、使用範囲に限界がある。合成樹脂から製造され
たファイル用具は、廃棄する際、ゴミの量を増すうえ
に、埋設すると半永久的に地中に残留し、投棄された場
合は景観を損なうという問題を生じている。これまで、
自然環境下で分解する生分解性ファイル用具は存在しな
かった。そこで、これらの問題を解決するために、近
年、生分解性樹脂が注目されている。ここに生分解性樹
脂とは、材料としての使用時には汎用のプラスチックス
とほぼ同等の物性を持つが、廃棄後、土上、土壌中、堆
肥中、活性汚泥中、水中等の自然環境下においては速や
かにバクテリアやカビ等の微生物により生化学的に、又
は温度、湿度、光等の自然条件により、分解、資化され
る高分子をいい、微細に分解され、ものによっては最終
的には二酸化炭素と水になる。
【0003】脂肪族ポリエステル樹脂は、α,ω−2官
能脂肪族アルコールと、α,ω−2官能脂肪族カルボン
酸の重縮合で得られるポリエステル樹脂で代表される
が、一般的に融点が低く、従来のポリオレフィンの代替
としては使用できるものではない。ところが、ある種の
ポリエステル樹脂は融点が100℃以上で、熱可塑性を
有することが知られており、合成検討が行われてきた。
すなわち、コハク酸と1,4−ブタンジオールから得ら
れるポリエステル樹脂、コハク酸とエチレングリコール
から得られるポリエステル樹脂、シュウ酸とネオペンチ
ルグリコールから得られるポリエステル樹脂、シュウ酸
と1,4−ブタンジオールから得られるポリエステル樹
脂、シュウ酸とエチレングリコールから得られるポリエ
ステル樹脂等がそれらに相当する。このうち、シュウ酸
から得られるポリエステル樹脂は特に熱安定性が悪く、
高分子量に至らないが、コハク酸から得られるポリエス
テル樹脂は熱安定性が比較的良好であり、合成の工夫が
行われてきた。しかし、これらコハク酸系の脂肪族ポリ
エステル樹脂であっても、一般的な装置を用いて重縮合
する場合、高分子量にするのは難しく、実用的な機械強
度を有する樹脂は得られにくい。
【0004】そこで、ポリエステル樹脂の分子末端水酸
基をポリイソシアネート等を用いてウレタン結合により
高分子量化することが行われている。ここで用いるポリ
イソシアネートは芳香族系よりも脂肪族系の方が生分解
性に優れた性質を示すことから、ヘキサメチレンジイソ
シアネート等がしばしば用いられる。このようにして、
低分子量の脂肪族ポリエステル樹脂を高分子量化し、機
械特性を確保して、射出成形、ブロー成形、繊維化、フ
ィルム化等の加工に対応させている。ところが、これら
脂肪族ポリエステル樹脂であっても結晶性が高かった
り、前記のようにウレタン結合を樹脂分子内に導入した
場合、微生物による生分解性が通常低下するという問題
がある。
【0005】従来、生分解性樹脂としては上記諸要求を
満足させるために、特定のポリエステル系生分解性樹脂
の他、澱粉−EVOH(エチレン−ビニルアルコール共
重合体)系樹脂、EVOH系樹脂−脂肪族ポリエステル
系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂−ポリオレフィン系
樹脂等、ブレンド系の樹脂組成物が知られており、これ
らの樹脂又は樹脂組成物はシート等各種の形状に成形さ
れて実用に供されているが、生分解性ファイル用具とし
て要求される物性、廃棄後に要求される生化学的分解性
等の他、シート等の製造時に要求される成形性において
バランスの採れた、優れた樹脂組成物は未だ提案されて
いない。特開平8−188706号公報には、生分解性
樹脂であるポリカプロラクトン(以下、PCLと略称す
ることがある)80〜100重量%と、生物によって産
出される生分解性直鎖状ポリエステル系樹脂20〜0重
量%との混合物100重量部に対して滑剤0.3〜0.
8重量部を配合してなる組成物を成形して得られた生分
解性プラスチックシートが開示されているが、シート成
形時の機械的強度に問題があり、シートを量産すること
は困難であるばかりか、該シートは生ゴミと共にコンポ
スト化装置に投入してもシートの生化学的分解に100
日もかかるので、分解速度は十分速いとは言えない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明はこの
ような技術的背景の下に、ラクトン樹脂を使用した分解
性、成形性、機械的特性に優れた樹脂または樹脂組成物
を成形して得られた生分解性ファイル用具を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者はかかる目的を
達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリカプロラクトン
を代表例とするラクトン樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂
に、滑剤、可塑剤、熱安定剤等を添加することにより、
シートの成形性、シート物性、廃棄後の生分解性等の点
においてバランスの取れた生分解性ファイル用具が得ら
れることを見出し、また脂肪族ポリエステル樹脂単独も
しくはウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂単独で生分
解性を向上させるよりも、ポリカプロラクトンを配合・
混練することにより、混練した樹脂を分解する菌が環境
中に存在する確率が上がること、更に一旦分解が始まる
と、表面積が広がり、表面が親水性になり、菌が生育し
やすくなる環境ができること等の理由により、単一の樹
脂の場合より、分解性が向上することを見出し本発明を
完成するに至った。
【0008】すなわち本発明の第1は、ラクトン樹脂
(a)単独もしくはラクトン樹脂(a)と他の生分解性
樹脂(b)とからなるラクトン含有樹脂(c)、又は該
ラクトン含有樹脂(c)と樹脂添加剤(d)からなるラ
クトン含有樹脂組成物(e)を成形してなる生分解性フ
ァイル用具を提供する。本発明の第2は、ラクトン樹脂
(a)が、ε−カプロラクトン、4−メチルカプロラク
トン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,
3,5−トリメチルカプロラクトンなどの各種メチル化
カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラ
クトン、δ−バレロラクトン、エナントラクトンの単独
重合体又はこれらの2種以上のモノマーの共重合体、こ
れらの単独又は共重合体の混合物である本発明の第1に
記載の生分解性ファイル用具を提供する。本発明の第3
は、他の生分解性樹脂が、合成及び/又は天然高分子で
ある本発明の第1〜2のいずれかに記載の生分解性ファ
イル用具を提供する。本発明の第4は、合成高分子が、
脂肪族ポリエステル、生分解性セルロースエステル、ポ
リペプチド、ポリビニルアルコール、又はこれらの混合
物からなる本発明の第3に記載の生分解性ファイル用具
を提供する。本発明の第5は、天然高分子が、澱粉、セ
ルロース、紙、パルプ、綿、カラギーナン、キチン・キ
トサン質、天然直鎖状ポリエステル系樹脂、又はこれら
の混合物からなる本発明の第3に記載の生分解性ファイ
ル用具を提供する。本発明の第6は、樹脂添加剤が可塑
剤、熱安定剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、帯電
防止剤、難燃剤、流滴剤、抗菌剤、防臭剤、充填材、着
色剤又はこれらの混合物である本発明の第1〜5のいず
れかに記載の生分解性ファイル用具を提供する。本発明
の第7は、ラクトン樹脂1〜80重量%、脂肪族ポリエ
ステル99〜20重量%(ラクトン樹脂と脂肪族ポリエ
ステルの合計は100重量%)からなる本発明の第1〜
6のいずれかに記載の生分解性ファイル用具を提供す
る。本発明の第8は、ラクトン樹脂がポリ−ε−カプロ
ラクトンであり、脂肪族ポリエステルがこはく酸・1,
4−ブタンジオールポリエステル、こはく酸・エチレン
グリコールポリエステル、又はこはく酸/アジピン酸・
1,4−ブタンジオールコポリエステルである本発明の
第7に記載の生分解性ファイル用具を提供する。本発明
の第9は、ポリカプロラクトンと脂肪族ポリエステルの
合計100重量部とタルク10〜50重量部からなる本
発明の第8に記載の生分解性ファイル用具を提供する。
本発明の第10は、生分解性繊維で強化された本発明の
第1〜9のいずれかに記載の生分解性ファイル用具を提
供する。本発明の第11は、一軸又は二軸延伸された本
発明の第1〜10のいずれかに記載の生分解性ファイル
用具を提供する。本発明の第12は、片側又は両側の表
面に梨地模様を有する本発明の1〜11のいずれかに記
載の生分解性ファイル用具を提供する。本発明の第13
は、ファイル、ファイル・バインダー、ファイル・ホル
ダー、ファイル・ケース、ファイル・キャリングバッグ
またはファイル・ボックスに使用される本発明の1〜1
2のいずれかに記載の生分解性ファイル用具を提供す
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において使用されるラクト
ン樹脂は、ラクトンモノマーの単独重合体、2種以上の
ラクトンモノマーからなるラクトン共重合体、ラクトン
モノマーとラクトンモノマー以外のモノマーとの共重合
体、及びこれらの混合物が挙げられる。ラクトンモノマ
ーとしては、ε−カプロラクトン;4−メチルカプロラ
クトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,
3,5−トリメチルカプロラクトンなどの各種メチル化
カプロラクトン;β−プロピオラクトン;γ−ブチロラ
クトン;δ−バレロラクトン;エナントラクトン等が挙
げられる。ラクトンモノマーと共重合されるラクトンモ
ノマー以外のモノマーとしては、乳酸、ヒドロキシプロ
ピオン酸、ヒドロキシ酪酸等の脂肪族ヒドロキシカルボ
ン酸;後述する脂肪族ポリエステルで例示される脂肪族
ジオール及び脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
【0010】ポリカプロラクトンは、例えばアルコール
などの活性水素を開始剤とし、ε−カプロラクトンを常
法の開環重合を行うことにより得られるものである。前
記開始剤の官能数は、特に制限はなく、2官能や3官能
のものが好ましく使用できる。ポリカプロラクトンの分
子量は、低分子量から高分子量まで使用できるが、低分
子量のポリカプロラクトンを使用した場合は、混練樹脂
の耐熱性や機械強度の低下が大きくなるので添加量が制
限されるが、樹脂組成物の溶融粘度が低下し、成形性が
向上する等のメリットが現れる。しかし高分子量のポリ
カプロラクトンを使用する方が配合率を多くすることが
でき、耐熱性、機械特性、生分解性をいずれも高くバラ
ンスさせることが可能であり、より好ましい。具体的に
は数平均分子量で1,000〜200,000、更には
5,000〜100,000のポリカプロラクトンが好
ましく使用できる。なお、200,000よりも高い数
平均分子量を有するものも問題なく使用可能であるが、
このような分子量の非常に高いポリカプロラクトンを得
るのは難しく、現実的ではない。ポリカプロラクトンと
しては例えばプラクセルH(ダイセル化学工業(株)
製)等が挙げられる。
【0011】本発明においては、ポリラクトンに他の生
分解性樹脂を併用してもよい。他の生分解性樹脂として
は、ラクトン樹脂に併用して生分解性ファイル用具に成
形され得る樹脂であれば特に限定されず、各種公知の合
成及び/又は天然高分子が使用される。合成高分子とし
ては、後述する脂肪族ポリエステル、生分解性セルロー
スエステル、ポリペプチド、ポリビニルアルコール、又
はこれらの混合物が挙げられる。天然高分子としては、
澱粉、セルロース、紙、パルプ、綿、毛、絹、カラギー
ナン、キチン・キトサン質、天然直鎖状ポリエステル系
樹脂、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0012】合成高分子としての脂肪族ポリエステル樹
脂とは、ラクトン樹脂以外のポリエステル樹脂であり、
縮合重合系で得られた脂肪族ポリエステル樹脂である。
上記脂肪族ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸、ポリ
乳酸コポリマー等のヒドロキシカルボン酸のポリマー、
コポリマー;低分子脂肪族ジカルボン酸と低分子脂肪族
ジオールとのポリエステル、コポリエステル等が挙げら
れる。ポリ乳酸としては、例えば、ECOPLA(カー
ギル社製)、ラクティ(島津製作所製)等が挙げられ
る。低分子脂肪族ジカルボン酸と低分子脂肪族ジオール
とのポリエステルとしては、炭素数1〜10の直鎖又は
分岐脂肪族ジオールと、炭素数1〜10の直鎖又は分岐
脂肪族ジカルボン酸からのポリエステルが好ましい。ジ
オール含有量は、20重量%〜70重量%であり、かつ
脂肪族ジカルボン酸含有量30重量%〜80重量%のも
のが用いられる。脂肪族ポリエステル樹脂としては、G
PCによる標準ポリスチレン換算で数平均分子量が2
0,000以上200,000以下、好ましくは40,
000以上のものが使用できる。分子量が低い脂肪族ポ
リエステル樹脂をジイソシアネートと反応させて、分子
量を大きくしたものを使用することもできる。ジイソシ
アネートとしては脂肪族イソシアネートが好ましく、例
えばヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシ
アネートメチルエステル{OCN-(CH24-CH(-
NCO)(-COOCH3)}、トリメチルヘキサメチレ
ンジイソシアネート等が挙げられる。市販のジオール/
脂肪族ジカルボン酸からのポリエステルとしては、ポリ
エチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポ
リブチレンサクシネート/アジペート等の生分解性のポ
リエステル樹脂、例えば、ビオノーレ#1000シリー
ズ、#3000シリーズ、#6000シリーズ(昭和高
分子(株)製)等を例示することができる。
【0013】ポリカプロラクトンとポリ乳酸を用いる場
合は、配合重量比率は、99/1〜1/99であり、好
ましくは90/10〜60/40である。ポリカプロラ
クトンとジオール/脂肪族ジカルボン酸からのポリエス
テルを用いる場合は、重量比率1/99〜80/20、
好ましくは50/50〜20/80の範囲で配合され
る。脂肪族ポリエステル樹脂とポリカプロラクトンを混
練する場合は、両者に相溶性の有ることが混練して得ら
れる樹脂組成物の機械特性の面から好ましいが、両者の
相溶性が無い場合は、例えば、被混練樹脂成分とポリカ
プロラクトン成分の共重合体等の相溶化剤、例えば両者
の中間の極性を有する樹脂等の添加も好ましく使用でき
る。ポリ乳酸、ジオール/脂肪族シカルボン酸からのポ
リエステル、ポリカプロラクトンの生分解ポリマーの三
種を混合して用いる場合は、ジオール/脂肪族シカルボ
ン酸からのポリエステルとポリカプロラクトンの混合比
率が20/80〜80/20であり、ポリ乳酸とポリカ
プロラクトンの混合比率が20/80〜80/20であ
るように配合する。
【0014】上記生分解性セルロースエステルとして
は、酢酸セルロース、セルロースブチレート、セルロー
スプロピオネート等の有機酸エステル;硝酸セルロー
ス、硫酸セルロース、リン酸セルロース等の無機酸エス
テル;セルロースアセテートプロピオネート、セルロー
スアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレ
ート、硝酸酢酸セルロース等の混成エステルが例示でき
る。これらのセルロースエステルは、単独でまたは二種
以上混合して使用できる。これらのセルロースエステル
のうち有機酸エステル、特に酢酸セルロースが好まし
い。
【0015】前記合成高分子としてのポリペプチドとし
ては、ポリアミノ酸およびポリアミドエステル等が例示
できる。
【0016】前記澱粉としては、生澱粉、加工澱粉及び
これらの混合物が挙げられる。生澱粉としてはトウモロ
コシ澱粉、馬鈴箸澱粉、甘藷澱粉、コムギ澱粉、キャッ
サバ澱粉、サゴ澱粉、タピオカ澱粉、コメ澱粉、マメ澱
粉、クズ澱粉、ワラビ澱粉、ハス澱粉、ヒシ澱粉等が挙
げられ、加工澱粉としては、物理的変性澱粉(α−澱
粉、分別アミロース、湿熱処理澱粉等)、酵素変性澱粉
(加水分解デキストリン、酵素分解デキストリン、アミ
ロース等)、化学分解変性澱粉(酸処理澱粉、次亜塩素
酸酸化澱粉、ジアルデヒド澱粉等)、化学変性澱粉誘導
体(エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン化澱
粉、架橋澱粉等)などが挙げられる。上記の中、エステ
ル化澱粉としては、酢酸エステル化澱粉、コハク酸エス
テル化澱粉、硝酸エステル化澱粉、リン酸エステル化澱
粉、尿素リン酸エステル化澱粉、キサントゲン酸エステ
ル化澱粉、アセト酢酸エステル化澱粉など;エーテル化
澱粉としては、アリルエーテル化澱粉、メチルエーテル
化澱粉、カルボキシメチルエーテル化澱粉、ヒドロキシ
エチルエーテル化澱粉、ヒドロキシプロピルエーテル化
澱粉など;カチオン化澱粉としては、澱粉と2−ジエチ
ルアミノエチルクロライドの反応物、澱粉と2,3−エ
ポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの反
応物など;架橋澱粉としては、ホルムアルデヒド架橋澱
粉、エピクロルヒドリン架橋澱粉、リン酸架橋澱粉、ア
クロレイン架橋澱粉などが挙げられる。上記澱粉の添加
量は特に限定されるものではないが、上記添加目的を効
果的に達成するためには、ラクトン樹脂、又はラクトン
樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂の合計量100重量部に
対して、10〜80重量部が好ましいが、25〜50重
量部の範囲が特に好ましい。
【0017】本発明で用いる滑剤としては、一般に用い
られるものが使用可能である。たとえば、脂肪酸エステ
ル、炭化水素樹脂、パラフィン、高級脂肪酸、オキシ脂
肪酸、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂
肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多
価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステ
ル、脂肪族アルコール、多価アルコール、ポリグリコー
ル、ポリクリセロール、金属石鹸、変性シリコーンまた
はこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、脂肪酸エ
ステル、炭化水素樹脂等が挙げられる。配合量は、ラク
トン樹脂、又はラクトン樹脂と他の生分解性樹脂との合
計100重量部に対し、滑剤を0.05〜5重量部、好
ましくは、0.1〜3重量部を添加する。0.05重量
部未満であると効果が充分でなく、5重量部をこえると
ロールに巻きつかなくなり、物性も低下する。市販品と
しては、リケスターEW−100(理研ビタミン社製)
やヘキストワックスOP(ヘキスト社製)等が挙げられ
る。
【0018】本発明で用いる可塑剤としては、脂肪族二
塩基酸エステル、フタル酸エステル、ヒドロキシ多価カ
ルボン酸エステル、ポリエステル系可塑剤、脂肪酸エス
テル、エポキシ系可塑剤またはこれらの混合物が挙げら
れる。たとえば、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(D
OP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジイソ
デシル(DIDP)等のフタル酸エステル、アジピン酸
−ジ−2−エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジイ
ソデシル(DIDA)等のアジピン酸エステル、アゼラ
イン酸−ジ−2−エチルヘキシル(DOZ)等のアゼラ
イン酸エステル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘ
キシル、アセチルクエン酸トリブチル等のヒドロキシ多
価カルボン酸エステル、ポリプロピレングリコールアジ
ピン酸エステル等のポリエステル系可塑剤であり、これ
らは一種または二種以上の混合物で用いられる。好まし
くは、アゼライン酸−ジ−2−エチルヘキシル(DO
Z)が挙げられる。これら可塑剤の添加量としては、ラ
クトン樹脂、又はラクトン樹脂と他の生分解性樹脂との
合計100重量部に対して、3〜30重量部の範囲が好
ましい。さらに、好ましくは5〜15重量部である。3
重量部未満であると、破断伸びや衝撃強度が低くなり、
また30重量部をこえると、破断強度や衝撃強度の低下
をまねくので好ましくない。
【0019】本発明で用いる熱安定剤としては、脂肪族
カルボン酸塩がある。脂肪族カルボン酸としては、特に
脂肪族ヒドロキシカルボン酸が好ましい。脂肪族ヒドロ
キシカルボン酸としては、乳酸、ヒドロキシ酪酸等の天
然に存在するものが好ましい。塩としては、ナトリウ
ム、カルシウム、アルミニウム、バリウム、マグネシウ
ム、マンガン、鉄、亜鉛、鉛、銀、銅等の塩が挙げられ
る。これらは、一種または二種以上の混合物として用い
ることができる。添加量としては、ラクトン樹脂、又は
ラクトン樹脂と他の生分解性樹脂との合計100重量部
に対して、0.5〜10重量部の範囲で、好ましくは、
0.5〜5重量部の範囲である。上記範囲で熱安定剤を
用いると、衝撃強度(アイゾット衝撃値)が向上し、破
断伸び、破断強度、衝撃強度のばらつきが小さくなる効
果がある。
【0020】前記ラクトン樹脂、ラクトン樹脂組成物又
は更に前記各種添加剤を加えた組成物に対して、必要に
応じて、光分解又は生分解促進剤、前記樹脂組成物成分
としてのラクトン樹脂及び脂肪族ポリエステル樹脂以外
の樹脂成分(例えば、エチレン/酢酸ビニル共重合体
(EVA)やその他のポリオレフィン、水素添加スチレ
ンーブタジエンゴム、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ
ヒドロキシブチレート等)、前記澱粉以外の天然高分子
(例えば、多糖類系高分子、セルロース系高分子、タン
パク質系高分子等)、直径が50ミクロン以下の、紙よ
り製造した微粉末粒子、熱安定剤、増量剤、タルク、炭
酸カルシウム等の充填剤、滑剤、着色剤、難燃剤、耐水
化剤、自動酸化剤、紫外線安定剤、架橋剤、抗菌剤、除
草剤、酸化防止剤、脱臭剤等を添加することができる。
又、澱粉変性剤として、尿素、アルカリ土類、アルカリ
金属水酸化物及びこれらの混合物も添加可能である。無
機充填剤としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、
マイカ、珪酸カルシウム、ホワイトカーボン、石綿、陶
土(焼成)、ガラス繊維等が挙げられる。タルク、炭酸
カルシウム等の充填剤は、ラクトン樹脂、例えばポリカ
プロラクトン、と脂肪族ポリエステル、例えばポリブチ
レンサクシネート、の合計100重量部と充填剤、例え
ばタルク、10〜50重量部の比率で混合される。
【0021】上記エチレン/酢酸ビニル共重合体として
は、エチレン含有量10〜70重量%かつ酢酸ビニル含
有量30〜90重量%のものが挙げられるが、好ましく
は、エチレン含有量20〜40重量%かつ酢酸ビニル含
有量60〜80重量%のものである。酢酸ビニル含有量
が30重量%未満であると、破断伸びが小さくなり、酢
酸ビニル含有量が90重量%をこえると、衝撃強度(ア
イゾット衝撃値)が小さくなる。重量平均分子量として
は5万〜50万程度が望ましい、5万未満であると、破
断強度、降伏強度が低下し、破断伸びも小さくなる。ま
た、50万をこえると破断強度が低下する。添加量とし
ては、ラクトン樹脂、又はラクトン樹脂と他の生分解性
樹脂との合計100重量部に対して、EVA5〜70重
量部であるが、好ましくは10〜30重量部である。E
VAが5重量部未満であると、充分な破断伸びや衝撃強
度が得られず、EVAが70重量部をこえると、本組成
物の透明性が低下し、強度も大きく低下する。市販のE
VAとしては、エバスレン250、310P,450P
(大日本インキ社製)などが挙げられる。本発明を生分
解性ファイル用具に応用した場合、EVAが添加されて
いると低温での収縮率が向上する(低温収縮性に優れ
る)ので、好ましい。
【0022】上記光分解促進剤としては、例えば、ベン
ゾイン類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェ
ノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン
などのベンゾフェノンとその誘導体;アセトフェノン、
α,α−ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノ
ンとその誘導体;キノン類;チオキサントン類;フタロ
シアニンなどの光励起材、アナターゼ型酸化チタン、エ
チレン−ー酸化炭素共重合体、芳香族ケトンと金属塩と
の増感剤などが例示される。これらの光分解促進剤は、
1種又は2種以上併用できる。
【0023】上記生分解促進剤には、例えば、オキソ酸
(例えば、グリコール酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リ
ンゴ酸、などの炭素数2〜6程度のオキソ酸)、飽和ジ
カルボン酸(例えば、修酸、マロン酸、コハク酸、無水
コハク酸、グルタル酸、などの炭素数2〜6程度の低級
飽和ジカルボン酸など)などの有機酸;これらの有機酸
と炭素数1〜4程度のアルコールとの低級アルキルエス
テルが含まれる。好ましい生分解促進剤には、クエン
酸、酒石酸、リンゴ酸などの炭素数2〜6程度の有機
酸、及び椰子殻活性炭等が含まれる。これらの生分解促
進剤も1種又は2種以上併用できる。
【0024】以下、本発明に係るラクトン樹脂をその代
表例であるポリカプロラクトンを用いて説明する。ポリ
カプロラクトンとしては、数平均分子量が10,000
〜1,000,000が好ましいが、100,000〜
500,000のものが特に好ましい。上記分子量のポ
リカプロラクトンはJIS K6726の規定による相
対粘度1.15〜2.80を有するものであり、特に好
ましくは1.50〜2.80を有するものである。市販
のポリカプロラクトンとしてはプラクセル(ダイセル化
学社製)等が挙げられる。
【0025】本発明に用いられる樹脂組成物の好適例と
しては、具体的には、主要ポリマー成分としてのラクト
ン樹脂と合成脂肪族ポリエステル樹脂の混合物及び脂肪
酸アミドからなり、さらに、液状滑剤、微粉末シリカ及
び/又は澱粉を添加したものである。脂肪酸アミド、液
状滑剤、微粉末シリカ、澱粉等を添加する場合には、ラ
クトン樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂の混合物を樹脂と
いい、その添加割合を該樹脂に対する比率で示す。樹脂
組成物は、メルトフローインデックス(MI)が190
℃における荷重2160gで測定して、0.5〜20g
/10minが好ましく、特に1〜5g/10minが
適している。上記ポリカプロラクトンと脂肪族ポリエス
テル樹脂は混合して使用される。ポリカプロラクトンと
脂肪族ポリエステル樹脂の配合重量比率は、ポリカプロ
ラクトン70〜5重量%であり、脂肪族ポリエステル樹
脂が30〜95重量%であり、好ましくはポリカプロラ
クトンの配合重量比率は、60重量%以下、特に好まし
くは40〜10重量%である。脂肪族ポリエステル樹脂
の配合量が90重量%を越えると生分解性が遅くなった
り、逆に30重量%未満では、例えばファイル用具に加
工した場合には耐熱性が乏しい。ポリカプロラクトンの
配合割合は、上記割合を超えるときには、ファイル用具
の高温時の機械的物性が不足するようになる。脂肪酸ア
ミドは公知のものが使用できるが、その中で、本発明に
よる製品の用途が多岐に亘るため、安全性が高く、且
つ、FDA(米国食品医薬品局)に登録されているエチ
レンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、オ
レイン酸アミド、エルカ酸アミドがよい。脂肪酸アミド
の配合割合は、主要ポリマー成分としての樹脂量100
重量部に対し0.2〜5重量部、望ましくは0.3〜
1.5重量部の範囲で添加される。0.2重量部以下で
はブロッキング防止効果が少なく、一方5重量部より多
いとファイル用具の滑りも大きくなり過ぎ、印刷適性、
接着性等も悪くなる。液状滑剤としては、融点が70℃
以下の、好ましくは常温で液状のものが使用される。液
状滑剤としては、パラフィンワックス;ステアリルアル
コール;ステアリン酸;及びステアリン酸ブチル、ステ
アリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラ
ステアレート、ステアリルステアレート等のステアリン
酸エステル類などが挙げられる。液状滑剤として最も望
ましい流動パラフインは、経口急性毒性(ラット)LD
50が5g/kgであるので非常に安全であり、食品衛
生法の食品添加物として認められていて、非常に好都合
の材料である。液状滑剤を混合する場合は、樹脂を含む
全体の系が、上述のそれぞれの固体滑剤の融点以上のと
きは実用上使用可能であるが、望ましくは、室温におい
て液体である流動パラフィンを使用することが作業上最
もよい。主要ポリマー成分としてのポリカプロラクトン
や脂肪族ポリエステル樹脂は、通常ペレットもしくはビ
ーズ状で供給される。嵩比重の極めて小さい微粉末シリ
カ等を均一に混合する時、どうしてもペレットもしくは
ビーズの表面をウェットにしなければならない。ウェッ
ティング剤としての流動パラフインの添加量は、ポリカ
プロラクトン及び脂肪族ポリエステル樹脂の合計量10
0重量部に対して、0.1〜3重量部、望ましくは0.
2〜0.7重量部の範囲で添加される。3重量部を超え
るとタンブラーの内面がべたついて安定な製造が困難と
なり、0.1重量部未満では効果が少ない。微粉末シリ
カは、湿式法でつくられたシリカや、四塩化ケイ素の酸
水素焔中での高温加水分解により製造されたシリカでも
よいが、粒径が50nm以下のものがよく、本発明では
熱可塑性のポリカプロラクトンと脂肪族ポリエステル樹
脂中に加熱混練され、この時、かなりの高い剪断力が作
用し二次凝集粒子がほぐされ、製品のファイル用具のブ
ロッキング防止効果を発揮する。微粉末シリカの添加量
は、樹脂量100重量部に対して0.1〜3重量部の範
囲で添加される。澱粉を、樹脂100重量部に対して、
10〜80重量部、望ましくは25〜50重量部の範囲
で添加することができる。
【0026】ラクトン樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂の
ような生分解性樹脂との混練方法は、一般的な方法が好
ましく使用でき、具体的にはペレットや粉体、固体の細
片等をヘンシェルミキサーやリボンミキサーで乾式混合
し、単軸や2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダ
ー、ミキシングロールなどの公知の溶融混合機に供給し
て溶融混練することができる。また、液状のポリカプロ
ラクトンを添加する場合でも、同様の方法で混練するこ
とができる。
【0027】本発明の生分解性ファイル用具は、ラクト
ン含有樹脂(c)、又はラクトン含有樹脂組成物(e)
を直接ファイル用具に成形することもできるが、Tダイ
型押出機等を使用してシート状に成形して、得られたシ
ートをファイル用具の展開図にしたがって裁断したり、
必要な箇所を接着又は融着したりしてファイル用具に加
工される。シートは、一軸又は二軸延伸されていてもよ
い。
【0028】ファイル用具としては、ファイル、ファイ
ル・バインダー、ファイル・ホルダー、ファイル・ケー
ス、ファイル・キャリングバッグまたはファイル・ボッ
クス等が挙げられる。ファイルとは、0.1〜0.5m
m程度の薄手のシートを二つ折りして、1ないし3面を
接着又は融着したもので、例えばA4番の紙等を1ない
し数十枚程度中に入れることができるものである。ファ
イル・バインダーとは、0.3〜3mm程度の厚手のシ
ートをコの字状に折り、その間にA4番の紙等を多数枚
中に綴じることができるものである。ファイル・バイン
ダーには、紙等を綴じるために、従来から用いられてい
る二穴用のパイプ(ロッド)式バンドや紙をルーズリー
フ状に綴じることができる多穴型バンドを設けることが
できる。これらのバンド類は、本発明のファイル用具と
同じ樹脂を使用しても、異なる樹脂であっても、金属で
あってもよいが、同じ樹脂を使用することにより、両者
を高周波ウェルダー等で融着させることができるので、
全体が生分解性となる。ファイル・ホルダーとは、0.
5〜3.0mm程度の長手のシートを二つ折りして長手
方向の両端に引っかけるための棒状ないし帯状支持部を
有し、事務用机の引き出し等の中に設けられた枠に、帯
状支持部を掛けてファイル・ホルダーをぶら下げ、二つ
折りにしたファイル・ホルダー内にA4番の紙等を1な
いし数十枚程度中に入れることができるものである。フ
ァイル・ケースとは、厚さ0.5〜30mm程度の箱状
で、箱の少なくとも一面、特に厚さに相当する面が開孔
しており、内部にA4番の紙等を数枚〜数百枚程度中に
入れて、立てかけて保管することができるものである。
ファイル・ボックスとは、厚さ30mm程度以上の箱状
で、箱の少なくとも一面が、特に上面が開孔しており、
内部にA4番の紙等を数十枚〜数百枚程度や書類等を中
に入れて、机上等に載せておくことができるものであ
る。同材質又は異材質の蓋が設けられていてもよい。フ
ァイル・キャリングバッグとは、ファイル・ケースまた
はファイル・ボックス状の物に同材質の蓋部等を設けて
持ち運びに便利なようにしたものであり、同材質又は異
材質の持ち手等を付けることができる。ファイル用具
は、透明でも不透明でも、染料又は顔料で着色されてい
ても、印刷されていても、模様があってもよい。ファイ
ル用具は、互いに接触した場合にくっ付きあったりしな
いように、梨地模様が施されていてもよい。ファイル用
具の中に入れられる物は、上記で例示したA4番の紙に
限らず、写真、ノート、書籍、袋、文房具、フロッピー
・ディスク、その他保管可能な物は何でも入れることが
できる。
【0029】本発明で提供されるラクトン樹脂と生分解
性樹脂との組成物は、下記JISK6950で規定する
都市下水汚泥中での4週間培養後の分解率が10%以
上、好ましくは20%以上、特に好ましくは30%を上
回り、ファイル用具の他に、従来のポリオレフィンの代
替として広範な用途に使用することができる。特に環境
に放置されやすい物品用途に用いることが好ましい。サ
ンプルの生分解性評価方法は、JIS K6950に準
じた活性汚泥を使用する方法や、土壌中の埋設、海水中
や河川中への浸漬、コンポストでの評価など種々ある
が、以下の実施例では、一般フィールドでの分解性と相
関関係があるとされるJIS K6950に準じて行っ
た。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、実施例中「%」及び「部」とあるのは、特に断りの
ない限り重量基準を表す。メルトインデックスは190
℃における2160g加重の時の値である。
【0031】[実施例1]ポリカプロラクトン(PCLH
7(ダイセル化学工業(株)製))30部とポリ1,4
−ブタンジオール−コハク酸エステル(ビオノーレ#1
001(昭和高分子(株)製))70部を2軸スクリュ
ータイプのベント式押出機(40mm径)に入れ、ダイ
ス温度180℃で押出してラクトン含有樹脂のペレット
を得た。このラクトン含有樹脂の融点は約110℃であ
り、メルトインデックスは2g/10minであった。
調製したペレットを用いて以下の如き成形条件でTダイ
押出法によりファイル用具用シートを製造し、シートの
物性を測定した。結果を表1に示す。 成形条件 押出機:40mm径押出機 スクリュー:L/D=28、MDPE(中密度ポリエチ
レン)用スクリュー Tダイ:幅50mm、ギャップ3.0mm 押出温度:シリンダー先端部において170℃ ダイ温度:170℃ 樹脂温度(T1):160℃ スクリュー回転数:15rpm 吐出量:15kg/hr 縦延伸倍率:5倍
【0032】[実施例2]実施例1で使用したポリカプロ
ラクトン30部とポリ1,4−ブタンジオール−コハク
酸エステル70部からなるラクトン含有樹脂70部に対
してタルク30部を加えて、2軸スクリュータイプのベ
ント式押出機(40mm径)に入れ、ダイス温度180
℃で押出してラクトン含有樹脂組成物のペレットを得
た。調製したペレットを用いて実施例1と同様の成形条
件でTダイ押出法によりシートを製造し、シートの物性
を測定した。結果を表1に示す。
【0033】[比較例1]ポリプロピレンのペレットを用
いて実施例1と同様の成形条件でTダイ押出法によりシ
ートを製造し、ファイル用具の物性を測定した。結果を
表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】この結果、従来のポリプロピレン製又はポ
リ塩化ビニル製のファイル用具並以上のファイル用具が
得られた。また、実施例1、2及び比較例1のファイル
用具を、下記方法により生分解性試験を行った結果、活
性汚泥による分解では実施例1と2のファイル用具は2
8日間で約60%が分解したが、比較例1のファイル用
具は全く分解しなかった。 生分解性試験方法:上記で得られたファイル用具を粉砕
し、前記都市下水汚泥環境下により28日間の生分解性
試験に供した。
【0036】(実施例3)コハク酸(Mw=118)3
5.4gと1,4−ブタンジオール(Mw=90)2
9.1gとテトライソプロピルチタネート0.02gを
攪拌機、分流管、ガス導入管、減圧用管を備えたフラス
コに入れ、窒素雰囲気常圧下、200℃で2時間、引き
続いて徐々に減圧にしながら、0.5mmHg以下に到
達した後、200℃で5時間攪拌し、水及び過剰の1,
4−ブタンジオールを系内から留出除去し、ポリエステ
ル樹脂を合成した。次に、窒素雰囲気常圧下、200℃
でヘキサメチレンジイソシアネート(Mw=168)を
0.8g添加して、分子量を上げたポリエステル樹脂
(A)を合成した。ポリエステル樹脂(A)の数平均分
子量はGPCによる標準スチレン換算で約44,00
0、重量平均分子量は約185,000であった。ポリ
エステル樹脂(A)とポリカプロラクトンとの混練およ
びシートサンプルの成形は、以下の方法で行った。ポリ
エステル樹脂(A)を100重量部と、ポリカプロラク
トン「PCLH7」(ダイセル化学工業製,数平均分子
量70,000)11.1重量部をラボプラストミルに
供給して150℃、30rpmで混練し、トルクが安定
した後、更に10分間加熱混練した。得られた樹脂組成
物を加熱プレス成形し、150×150×1mmシート
を作製した。加熱プレス成形は、金型に必要量の樹脂を
入れて予熱(150℃,10分間)し、加圧成形(15
0℃,100kg/cm2,10分間)した後、自然放
冷し、金型からシートを取り出す方法で行った。
【0037】(実施例4)コハク酸ジメチル(Mw=1
46)43.8g、1,4−ブタンジオール29.1
g、テトライソプロピルチタネート0.02gを攪拌
機、分流管、ガス導入管、減圧用管を備えたフラスコに
入れ、窒素雰囲気常圧下、190℃で2時間、引き続い
て徐々に減圧にしながら、1〜0.5mmHgで200
℃に昇温して8時間攪拌し、更に0.5〜0.1mmH
gで210〜220℃に昇温して5時間攪拌し、メタノ
ール及び過剰の1,4−ブタンジオールを系内から留出
除去し、ポリエステル樹脂(B)を合成した。ポリエス
テル樹脂(B)の数平均分子量は約38000、重量平
均分子量は約75000であった。ポリエステル樹脂
(B)とポリカプロラクトンとの混練とシートサンプル
の成形は、以下の方法で行った。ポリエステル樹脂
(B)を100重量部と、ポリカプロラクトン「PCL
H1P」(ダイセル化学工業製,数平均分子量10,0
00)11.1重量部をラボプラストミルに供給して1
50℃、30rpmで、トルクが安定した後、10分間
加熱混練した。得られた樹脂組成物を、加熱プレス成形
して150×150×1mmシートを作製した。加熱プ
レス成形は、金型に必要量の樹脂を入れて予熱(150
℃,10分間)し、加圧成形(150℃,100kg/
cm2,10分間)した後、自然放冷し、金型からシー
トを取り出す方法で行った。
【0038】(比較例2)ポリエステル樹脂(A)をラ
ボプラストミル中で150℃、30rpmでトルクが安
定した後、10分間加熱混練した樹脂を、加熱プレス成
形して150×150×1mmシートを作製した。加熱
プレス成形は、金型に必要量の樹脂を入れて予熱(15
0℃,10分)し、加圧成形(150℃,100kg/
cm2,10分間)した後、自然放冷し、金型からシー
トを取り出す方法で行った。
【0039】(比較例3)ポリエステル樹脂(B)をラ
ボプラストミル中で、150℃、30rpmでトルクが
安定した後10分間、加熱混練した樹脂を、加熱プレス
成形して150×150×1mmシートを作製した。加
熱プレス成形は、金型に必要量の樹脂を入れて予熱(1
50℃,10分間)し、加圧成形(150℃,100k
g/cm2,10分間)した後、自然放冷し、金型から
シートを取り出す方法で行った。
【0040】機械特性、耐熱性、生分解性等の評価は各
成形シートから、次の形状のサンプルを得て行った。機
械特性の評価はダンベル形状のシートを、耐熱性は30
mm角のシートを、溶融粘度はシート樹脂の細片を、生
分解性はシート樹脂のパウダーをサンプルとした。評価
方法及び結果は以下の表2に示した。
【0041】
【表2】
【0042】表2によると、実施例3、4の実際の生分
解性結果は、ポリエステル樹脂(A)、(B)およびポ
リカプロラクトンの混合比率から期待される生分解率
(実施例3では10%、実施例4では22%)よりも、
それぞれ約260%と100%改善されていることが分
かる。これはポリエステル樹脂(A)、(B)はポリカ
プロラクトンにより、誘引分解したものと考えることが
できる。以上のことから、ポリカプロラクトンを混練す
ることにより、被混練脂肪族ポリエステル樹脂の融点低
下等物性の低下を殆ど伴うことなく、混練による生分解
性の改善効果が明らかである。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、成形性、使用時の物
性、廃棄後の化学的分解性等の点、特ににそれ自体では
比較的生分解性の高くない脂肪族ポリエステル樹脂やウ
レタン結合を含む等の理由で生分解性が低くなった高分
子量脂肪族ポリエステル樹脂の生分解性を簡単に向上さ
せることができるようになり、バランスのとれた、生分
解性樹脂を使用した生分解性ファイル用具が得られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 3/00 C08L 3/00 67/02 67/02 67/04 67/04 // C08J 5/00 CFD C08J 5/00 CFD C08L 67:00

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラクトン樹脂(a)単独もしくはラクト
    ン樹脂(a)と他の生分解性樹脂(b)とからなるラク
    トン含有樹脂(c)、又は該ラクトン含有樹脂(c)と
    樹脂添加剤(d)からなるラクトン含有樹脂組成物
    (e)を成形してなる生分解性ファイル用具。
  2. 【請求項2】 ラクトン樹脂(a)が、ε−カプロラク
    トン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメ
    チルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラ
    クトンなどから選ばれるメチル化カプロラクトン、β−
    プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラ
    クトン、エナントラクトンの単独重合体又はこれらの2
    種以上のモノマーの共重合体、これらの単独又は共重合
    体の混合物である請求項1に記載の生分解性ファイル用
    具。
  3. 【請求項3】 他の生分解性樹脂が、合成及び/又は天
    然高分子である請求項1〜2のいずれかに記載の生分解
    性ファイル用具。
  4. 【請求項4】 合成高分子が、脂肪族ポリエステル、生
    分解性セルロースエステル、ポリペプチド、ポリビニル
    アルコール、又はこれらの混合物からなる請求項3に記
    載の生分解性ファイル用具。
  5. 【請求項5】 天然高分子が、澱粉、セルロース、紙、
    パルプ、綿、カラギーナン、キチン・キトサン質、天然
    直鎖状ポリエステル系樹脂、又はこれらの混合物からな
    る請求項3に記載の生分解性ファイル用具。
  6. 【請求項6】 樹脂添加剤が可塑剤、熱安定剤、滑剤、
    酸化防止剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、難燃剤、流滴
    剤、抗菌剤、防臭剤、充填材、着色剤又はこれらの混合
    物である請求項1〜5のいずれかに記載の生分解性ファ
    イル用具。
  7. 【請求項7】 ラクトン樹脂1〜80重量%、脂肪族ポ
    リエステル99〜20重量%(ラクトン樹脂と脂肪族ポ
    リエステルの合計は100重量%)からなる請求項1〜
    6のいずれかに記載の生分解性ファイル用具。
  8. 【請求項8】 ラクトン樹脂がポリ−ε−カプロラクト
    ンであり、脂肪族ポリエステルがこはく酸・1,4−ブ
    タンジオールポリエステル、こはく酸・エチレングリコ
    ールポリエステル、又はこはく酸/アジピン酸・1,4
    −ブタンジオールコポリエステルである請求項7に記載
    の生分解性ファイル用具。
  9. 【請求項9】 ポリカプロラクトンと脂肪族ポリエステ
    ルの合計100重量部とタルク10〜50重量部からな
    る請求項8に記載の生分解性ファイル用具。
  10. 【請求項10】 生分解性繊維で強化された請求項1〜
    9のいずれかに記載の生分解性ファイル用具。
  11. 【請求項11】 一軸又は二軸延伸された請求項1〜1
    0のいずれかに記載の生分解性ファイル用具。
  12. 【請求項12】 片側又は両側の表面に梨地模様を有す
    る請求項1〜11のいずれかに記載の生分解性ファイル
    用具。
  13. 【請求項13】 ファイル、ファイル・バインダー、フ
    ァイル・ホルダー、ファイル・ケース、ファイル・キャ
    リングバッグまたはファイル・ボックスに使用される請
    求項1〜12のいずれかに記載の生分解性ファイル用
    具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011078285A1 (ja) * 2009-12-25 2011-06-30 富士フイルム株式会社 成形材料、成形体、及びその製造方法、並びに電気電子機器用筐体

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