JPH11254365A - 吸着装置 - Google Patents

吸着装置

Info

Publication number
JPH11254365A
JPH11254365A JP8260998A JP8260998A JPH11254365A JP H11254365 A JPH11254365 A JP H11254365A JP 8260998 A JP8260998 A JP 8260998A JP 8260998 A JP8260998 A JP 8260998A JP H11254365 A JPH11254365 A JP H11254365A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
suction
suction side
valve
valve chamber
valve body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8260998A
Other languages
English (en)
Inventor
Akiyoshi Kawano
秋吉 川野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP8260998A priority Critical patent/JPH11254365A/ja
Publication of JPH11254365A publication Critical patent/JPH11254365A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manipulator (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】運搬機等の吸着装置において、装置を小型化
し、また、弁体のメンテナンスを少なくする。 【解決手段】吸着装置Aは、吸引側部材1と、弁部材2
と吸着側部材3とよりなり、吸引側部材1は、吸引側通
気口金具111を有する本体部材11と、切欠部121
を有する補助部材12とよりなる。弁部材2は、弁室を
形成する弁室凹部211と吸引側通気口213を有する
本体部材21と上面に凹凸221が設けられている弁体
22と吸着側通気口231が設けられている上部補助部
材23と、吸着側通気口241が設けられている下部補
助部材24からなる。吸着側部材3は吸着口31が設け
らている。使用時はねじ4を使用し、吸引側部材1と弁
部材2とを重層し一体化し、重層し一体化した弁部材2
の下面に吸着側部材3が貼着される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は吸着装置及び吸着方
法に関する。更に詳しくは、被吸着体を吸着するに当り
被吸着体側の吸着面の構造の影響を受けにくくしたもの
であって、浮遊塵埃等を吸引することから生じる装置
の故障防止を図り、また、装置全体としての厚さを薄
くできるようにして装置の小型化を可能とし、更に、
構成部品の構造をシンプルにして装置の製造を容易にす
ると共に分解組立が簡単であるようにしたものに関す
る。
【0002】
【従来の技術】真空ポンプ等による空気の吸引作用を利
用した吸着装置を使用して被吸着物を吸着し、吸着した
状態で被吸着物を移動したり運搬したりする運搬機は既
に知られている。最近では、吸着装置の吸着面よりも狭
い面を有する被吸着物を吸着できるものや、被吸着物の
表面が異形であったり、被吸着物そのものが空気透過性
を有する被吸着物も吸着できるようにした吸着装置も提
案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような吸着装置
の用途や使用場所は様々であり、用途や使用場所等に適
した吸引装置が要求される。例えば木材の加工工場で部
材の運搬に使用される場合は、切削粉等に考慮を払う必
要がある。即ち、木材加工工場で使用される吸引装置は
浮遊している木材の切削粉を吸引するため、吸引した切
削粉等が原因で装置が故障しないように配慮する必要が
ある。
【0004】また、切削粉を吸引して故障が生じた場合
でも、簡単に分解掃除ができることも必要である。更
に、吸着装置が大型化すると、重量も嵩むためにそれを
保持する装置も強度を上げる必要から大型化する。ま
た、大型の吸着装置は被吸着物を狭い箇所に移動させる
場合にその大きさが邪魔になり、それだけの理由で使用
できない場合も生じる。従って吸着装置自体はできるだ
け小型で、その厚さもできるだけ薄いことも要求され
る。
【0005】本発明の目的は、被吸着体を吸着するに当
り被吸着体側の吸着面の構造の影響を受けにくくした吸
着装置において、浮遊塵埃等を吸引することから生じる
故障防止を図り、また、装置全体としての厚さを薄くで
きるようにして装置の小型化を可能とし、更には、構成
部品の構造をシンプルにして装置の製造を容易にすると
共に分解組立が簡単であるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1の発明にあっては、
吸引側からの吸気により被吸着物を吸着する複数の吸着
口と、当該各吸着口とそれぞれ連通する弁室と、を備え
ており、当該弁室は、吸引側へ連通する吸引側通気口
と、上記吸着口へ連通する吸着側通気口を有し、上記弁
室内には、弁体が上記吸引側通気口と上記吸着側通気口
の間を移動可能な状態で収容してある吸引装置であっ
て、上記弁体が上記吸引側通気口側に吸着された状態で
弁体と吸引側接触部との間に弁室内と吸引側とを通気さ
せる通気手段が形成されるよう構成されていることを特
徴とする、吸着装置である。
【0007】第2の発明にあっては、弁体のうち吸引側
通気口側との接触部、または/及び弁室のうち吸引側通
気口を囲む周縁部には、上記弁体が上記吸引側通気口側
に吸着されたときに弁室内と吸引側を通気させる通気部
形成手段が設けてあることを特徴とする、第1の発明に
係る吸着装置である。
【0008】第3の発明にあっては、上記通気部形成手
段が、接触部に形成されている独立または実質的に独立
した所要数の凹凸であることを特徴とする、第2の発明
に係る吸着装置である。
【0009】第4の発明にあっては、弁体が板状である
ことを特徴とする、第1、2または3の発明に係る吸着
装置である。
【0010】第5の発明にあっては、各構成部材が平板
状または比較的高さの低い直方体状であり、これらの構
成部材を重層し、固着具で分解可能に組み立てたことを
特徴とする、第4の発明に係る吸着装置である。
【0011】第6の発明にあっては、複数の吸着口を備
えた吸着面で被吸着物を吸着する方法であって、吸気側
からの吸気により、上記各吸着口に各々連通している弁
室に移動可能に収容された弁体を吸引側通気口側に吸着
し、該吸着に当たっては、吸引側通気口を通気不可能に
閉塞しないで、弁体と吸引側通気口側の接触部との間に
通気部を形成して各吸着口が弱吸気状態となるように
し、上記各吸着口のうち、所要の吸着口が被吸着物によ
り塞がれたときは、塞がれた弁室内の空気が吸引される
ことによって該弁室内は被吸着物を吸着可能なまでに負
圧になり、しかも吸引側通気口側の接触部から弁体の吸
着が解除され、被吸着物により塞がれていない残りの吸
着口は、上記弱吸気状態に保つようにしたことを特徴と
する、吸着方法である。
【0012】(作 用) 吸着装置の吸着側に被吸着物を接触させる。 吸引側から吸引すると弁室内の空気圧が吸着口内の
空気圧より小さくなり、弁体が吸引側通気口側に引き寄
せられ吸着される。
【0013】 全ての弁体は吸着されて弁室の吸引側
接触部に接触し、吸引側通気口を閉塞した状態になる。
しかし、弁体が吸引側通気口側に吸着された状態で弁体
と吸引側接触部との間に弁室内と吸引側とを通気させる
凹凸などの通気手段が形成されるよう構成されているの
で、吸引側通気口は完全には閉塞されてはおらず、吸着
口に通じる弁室と吸引側に通じる通気口とは互いに通気
できる。これにより、被吸着物が接触している部分の吸
着口内の空気圧も常圧よりも漸次小さくなり、被吸着物
は吸着側部材の吸着面に吸着され始める。
【0014】 このとき、被吸着物が接触していない
部分の吸着口内の空気圧はほぼ常圧に近い状態である。
しかし、弁体は吸い上げられ弁室の吸引側接触部に接触
し、若干の通気性はあるが、吸引側通気口は実質的には
塞がれているので、被吸着物を吸着していない吸着口か
ら空気が多量に導入されることはなく、当該吸引側通気
口内の空気圧は常圧よりも小さくなっている。従って、
被吸着物が接触している部分の吸着口内を常圧よりも小
さい空気圧に維持することができ、被吸着物の吸着側部
材の吸着面への吸着状態をそのまま維持することができ
る。なお、弁体の凹凸に併せて、または、この凹凸の代
わりに、吸引側接触部に通気性を与えるための凹凸を設
けることもできる。
【0015】 更に、吸引を続けると、被吸着物が接
触している部分において、吸引側通気口内の空気圧は更
に小さくなり、同時に、弁室内と吸着口内の空気圧も更
に小さくなり、被吸着物は吸着側部材の吸着面に強く吸
着する。このとき、吸引側通気口内と弁室内と吸着口内
の空気圧はほぼ同じ圧力となり圧力差が小さくなるの
で、弁室内の弁体は、吸引側通気口側の接触部からの吸
着が解除される。このとき弁室と吸着口は通気可能な状
態である。
【0016】 一方、被吸着物が接触していない部分
の吸着口内の空気圧はほぼ常圧に近く、弁室内と吸着口
内との圧力差は大きいので、弁体は吸引側接触部に接触
したままである。従って、若干の通気性はあるが、弁体
は吸引側通気口を実質的に塞いでいるので、被吸着物が
接触している部分の吸着口内を常圧よりも小さい空気圧
のままに維持することができ、被吸着物の吸着側部材の
吸着面への強い吸着を維持することができる。
【0017】 吸着側部材の下面に吸着している被吸
着物を外すときは、吸引側の吸引を止める。吸引が止ま
ると、弁室内は直ぐ常圧に近い状態となり、その状態が
吸着口に伝わる。その結果、上記全ての部分の圧力差は
なくなり、ほぼ常圧に近い状態となり、被吸着物は吸着
側部材の吸着面から外れる。
【0018】弁体は吸引側通気口と吸着側通気口の間を
移動可能な状態で収容してあり、弁体が吸引側通気口側
に吸着された状態で弁体と吸引側接触部との間に弁室内
と吸引側とを通気させる通気手段が形成されるよう構成
されている。従って、被吸着物を吸着するときの吸引時
に、仮に、弁室に異物が侵入したとしても、異物は弁体
を避けてそのまま吸引側通気口から吸引されるか、弁体
によって吸引を阻止されるか、或いは弁体と吸引側接触
部との間に挟まれる等の状況が考えられるが、弁体と通
気部が異物によって全て塞がってしまう可能性は極めて
小さく、従って吸着装置への被吸着物の吸着が阻害され
ることを防止することができる。
【0019】また、異物が弁体と吸引側接触部との間に
挟まれる等の状態が生じたとしても弁体が吸引側接触部
から離れたときは、異物は脱落し弁室から排出される。
このように、通気部に異物が進入することから生じる故
障や、通気部に侵入した異物を取り除く作業等のメンテ
ナンスをなくすことができる。
【0020】通気部形成手段は弁体のうち吸引側通気口
側との接触部、または弁室のうち吸引側通気口を囲む周
縁部、或いはその双方に設けることができる。また、通
気部形成手段が、独立または実質的に独立した所要数の
凹凸であるものは、多数の通気部を形成することができ
る。従って、弁室に異物が侵入しても、通気部が当該異
物によって全て塞がってしまう可能性は小さく、吸着装
置への被吸着物の吸着が阻害されるのをより確実に防止
することができる。また、通気部に侵入した異物を取り
除く作業等の煩雑なメンテナンスを、更に、少なくする
ことができる。なお、表面に凹凸を設ける加工は、型成
形等により比較的容易にでき、コストを安価にすること
ができる。
【0021】弁体が板状の場合は、弁室の高さを低くす
ることができるので、吸着装置を小型化することが容易
である。
【0022】また、装置を構成する各構成部材が平板状
または比較的高さの低い直方体状であり、これらの構成
部材を重層し、固着具で分解可能に組み立てるようにす
れば、装置の製造が容易であり、分解も簡単である。
【0023】また、上記補助部材、弁体部材、吸着側部
材等を全て高分子成形体で成形すれば、型成形や打ち抜
き成形等により得られるので、製造コストが安くなる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明を図面に示した実施の形態
に基づき更に詳細に説明する。図1は本発明に係る吸着
装置の分解斜視図である。図中Aは吸着装置である。吸
着装置Aは、吸引側部材1と、当該吸引側部材1の下面
に接する弁部材2と、当該弁部材2の下面に接する吸着
側部材3と、を備えており、全体としてやや厚手の直方
体状に形成されている。
【0025】吸引側部材1は、金属製の本体部材11
と、柔軟性高分子で成形された補助部材12を備えてい
る。本体部材11は、上面中心に真空ポンプに接続する
ための吸引側通気口金具111を有する。本体部材11
は、四隅と長辺の中心の計六か所にねじ孔112を有す
る。補助部材12は、上記吸引側通気口金具111と弁
部材2に設けられている複数の弁室211とを連通する
切欠部121を有する。また、上記ねじ孔112と合致
する個所にねじ挿通孔122を有する。
【0026】弁部材2は、硬質高分子で成形された本体
部材21と、柔軟性高分子で円盤状に成形された複数の
弁体22と、柔軟性高分子で成形された上部補助部材2
3と硬質高分子で成形された下部補助部材24と、を備
えている。本体部材21は、下面側に開口部を有する複
数の弁室211と、当該弁室211の上面壁の中心に貫
通して設けられている吸引側通気口213と、を有す
る。また、本体部材21は、上記ねじ挿通孔122と合
致する個所にねじ挿通孔212を有する。
【0027】弁体22の上面には、各々が独立した凹凸
221が設けられている。該凹凸221は、吸引側通気
口縁面214との間で多数の通気部を形成する。弁体2
2の直径は弁室211の内径よりやや小さく、厚さは弁
室211の高さよりも薄い。そうして弁体22は、吸引
側通気口213と吸着側通気口231との間を移動可能
な状態で弁室211内に収容されている。
【0028】弁室211の中心部に対応して、上部補助
部材23には複数の吸着側通気口231が、また、下部
補助部材24には上記吸着側通気口231と同じ大きさ
の複数の吸着側通気口241が、それぞれ設けられてい
る。上部補助部材23と下部補助部材24は、上記ねじ
挿通孔212と合致する箇所に、組み合わせたときに連
通するねじ挿通孔232と242とをそれぞれ有する。
【0029】上記吸着側通気口231には通気溝233
が連続して設けられている。通気溝233の長さは、本
体部材21と上部補助部材23を組み合わせたとき、弁
室211の周壁まで達するように設定されており、弁体
22が吸着側通気口231を塞いだ状態で上部補助部材
23上に載置されたときに、通常は、通気溝233の先
端が弁体22周縁より外側に出るように形成されている
(図3、図5及び図6参照)。
【0030】吸着側部材3は柔軟性高分子(例えば、ポ
リウレタン発泡体)で成形されている。吸着側部材3に
は、上記吸着側通気口231、241に対応し、直径が
それら吸着側通気口より大きい複数の吸着口31が上下
に貫通して設けられている。
【0031】吸着装置Aとして使用するときは、6本の
ねじ4を上記各ねじ挿通孔242、232、212、1
22には挿通し、ねじ孔112に螺合し、吸引側部材1
と弁部材2とを固定して一体とする。更に、上記のよう
にして一体となった弁部材22の下部補助部材24の下
面には吸着側部材3が貼着される。
【0032】(作 用)図2ないし図6を参照して、被
吸着物の被吸着面が吸着側部材3の吸着面よりも小さい
場合(複数の吸着口31のうちの一部で吸着する場合)
における本実施の形態の作用を説明する。図2は吸着装
置が被吸着物を吸着し始めた状態を示す要部断面図であ
る。図3は図2における弁室中での弁体の状態を示す拡
大図である。吸着装置Aの吸着側部材3の下面に被吸着
物5を接触させる。吸引側部材1の本体部材11の吸引
側通気口金具111を真空ポンプ(図示はしていない)
に吸引管Pを使用して接ぐ。真空ポンプを運転すると、
弁室211内の空気圧が吸着口31内の空気圧より小さ
くなり、弁体22が吸引側通気口213に引き寄せられ
る。
【0033】なお、真空ポンプを運転しながら、吸着装
置Aの吸着側部材3の下面に被吸着物5を接触させても
よい。この場合も、通常は、上記とほぼ同じく、弁室2
11内の空気圧が吸着口31内の空気圧より小さくな
り、弁体22が吸引側通気口213に引き寄せられる。
弁体22が吸引側通気口213に僅かな間隙を有する状
態で引き寄せられていることも考えられるが、弁体22
の作用は上記の場合と同じである。
【0034】このような現象、即ち、弁室211内の空
気圧が吸着口31内の空気圧より小さくなり、弁体22
が吸引側通気口213側に引き寄せられるという現象
は、被吸着物5が接触している部分の弁体22(図2の
左側の三つ)と被吸着物5が接触していない部分の弁体
22(図2の右側の二つ)の両方に生じる。そして、全
ての弁体22は弁室211の上面壁214に接触し、吸
引側通気口213を実質的に塞いだ状態になる。
【0035】しかし、弁体22は上面に凹凸221が設
けられており、弁体22と上面壁214との間には多数
の通気部が形成されるので、吸引側通気口213は完全
には塞がれておらず、吸着口31に通じる弁室221と
吸引側に通じる通気口213とは互いに通気できる状態
となる。これにより、被吸着物5が接触している部分の
吸着口31内の空気圧も常圧よりも漸次小さくなり、被
吸着物5は吸着側部材3の吸着面に吸着され始める。
【0036】このとき被吸着物5が接触していない部分
の吸着口31内の空気圧は、ほぼ常圧に近い状態であ
る。しかし、弁体22は吸い上げられ弁室211の上面
壁214に接触し、若干の通気性はあるが、吸引側通気
口213を実質的に塞いでいるので、被吸着物5を吸着
していない吸着口31から空気が多量に導入されること
はなく、当該吸引側通気口213内の空気圧は常圧より
も小さくなっている。従って、被吸着物5が接触してい
る部分の吸着口31内を常圧よりも小さい空気圧に維持
することができ、被吸着物5の吸着側部材3の吸着面へ
の吸着状態をそのまま維持することができる。なお、弁
体22上面の上記凹凸221に併せて、または、上記凹
凸221の代わりに、吸引側通気口213の縁表面また
は上面壁214に通気性を与えるための凹凸を設けるこ
ともできる。
【0037】図4は吸着装置に被吸着物が強く吸着した
状態を示す要部断面図である。図5は図4における弁室
中での弁体の状態を示す拡大図である。図6は弁室中で
弁体が吸着側通気口を塞いでいる状態を拡大して示す平
面説明図である。上記図2及び図3の状態になった後、
更に真空ポンプで吸引を続ける。すると、被吸着物5が
接触している部分において、吸引側通気口213内の空
気圧は更に小さくなり、同時に、弁室211内と吸着口
31内の空気圧も更に小さくなり、被吸着物5は吸着側
部材3の吸着面に強く吸着する。
【0038】このとき、吸引側通気口213内と弁室2
11内と吸着口31内の空気圧は、ほぼ同じ圧力となり
圧力差が小さくなるので、弁室211内の弁体22は上
面壁214から離れ、下方に自然落下して上部補助部材
23の上面に接するか、または、僅かに浮いたような状
態となる。このとき、通気溝233は弁体22の周縁部
より出ており、弁室211と吸着口31は通気可能な状
態である。
【0039】一方、被吸着物5が接触していない部分の
吸着口31内の空気圧はほぼ常圧に近く、弁室211内
と吸着口31内との圧力差は大きいので、図3に示され
ている状態と同じようになり、弁体22は弁室211の
上面壁214に接触したままである。従って、若干の通
気性はあるが、弁体22は吸引側通気口213を実質的
に塞いでいるので、被吸着物5が接触している部分の吸
着口31内を常圧よりも小さい空気圧のままに維持する
ことができ、被吸着物5の吸着側部材3の吸着面への強
い吸着を維持することができる。
【0040】吸着側部材3の下面に吸着している被吸着
物5を外すときは、真空ポンプの吸引を止める。真空ポ
ンプの吸引が止まると、弁室211内は直ちに常圧に近
い状態となり、その状態が通気溝233により吸着側通
気口231、241と吸着口31に伝わる。その結果、
上記全ての部分の圧力差はなくなり、被吸着物5は吸着
側部材3の吸着面から外れる。
【0041】なお、本実施の形態のように、補助部材、
弁体部材、吸着側部材等を全て高分子成形体で成形すれ
ば、型成形や打ち抜き成形等により得られるので、製造
コストが安くなる。
【0042】本明細書で使用している用語と表現は、あ
くまでも説明上のものであって、なんら限定的なもので
はなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等
価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の
技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能である。
【0043】
【発明の効果】本発明は上記構成を備え、次の効果を有
する。 (a) 弁体は吸引側通気口と吸着側通気口の間を移動可
能な状態で収容してあり、弁体が吸引側通気口側に吸着
された状態で弁体と吸引側接触部との間に弁室内と吸引
側とを通気させる通気手段が形成されるよう構成されて
いる。従って、被吸着物を吸着するときの吸引時に、仮
に、弁室に異物が侵入したとしても、異物は弁体を避け
てそのまま吸引側通気口から吸引されるか、弁体によっ
て吸引を阻止されるか、或いは弁体と吸引側接触部との
間に挟まれる等の状況が考えられるが、弁体と通気部が
異物によって全て塞がってしまう可能性は極めて小さ
く、従って吸着装置への被吸着物の吸着が阻害されるこ
とを防止することができる。また、異物が弁体と吸引側
接触部との間に挟まれる等の状態が生じたとしても弁体
が吸引側接触部から離れたときは、異物は脱落し弁室か
ら排出される。このように、通気部に異物が進入するこ
とから生じる故障や、通気部に侵入した異物を取り除く
作業等のメンテナンスをなくすことができる。
【0044】(b) 通気部形成手段が、独立または実質
的に独立した所要数の凹凸であるものは、多数の通気部
を形成することができる。従って、弁室に異物が侵入し
ても、通気部が当該異物によって全て塞がってしまう可
能性は小さく、吸着装置への被吸着物の吸着が阻害され
るのをより確実に防止することができる。また、通気部
に侵入した異物を取り除く作業等の煩雑なメンテナンス
を、更に、少なくすることができる。なお、表面に凹凸
を設ける加工は、型成形等により比較的容易にでき、コ
ストを安価にすることができる。
【0045】(c) 弁体が板状の場合は、弁室の高さを
低くすることができるので、吸着装置を小型化すること
が容易である。
【0046】(d) また、装置を構成する各構成部材が
平板状または比較的高さの低い直方体状であり、これら
の構成部材を重層し、固着具で分解可能に組み立てるよ
うにすれば、装置の製造が容易であり、分解も簡単であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吸着装置の分解斜視図。
【図2】吸着装置が被吸着物を吸着し始めた状態を示す
要部断面図。
【図3】図2における弁室中での弁体の状態を示す拡大
図。
【図4】吸着装置に被吸着物が強く吸着した状態を示す
要部断面図。
【図5】図4における弁室中での弁体の状態を示す拡大
図。
【図6】弁室中で弁体が吸着側通気口を塞いでいる状態
を拡大して示す平面説明図。
【符号の説明】
A 吸着装置 P 吸引管 1 吸引側部材 11 本体部材 111 吸引側通気口金具 112 ねじ孔 12 補助部材 121 切欠部 122 ねじ挿通孔 2 弁部材 21 本体部材 211 弁室 212 ねじ挿通孔 213 吸引着側通気口 214 上面 22 弁体 221 凹凸 23 上部補助部材 231 吸着側通気口 232 ねじ挿通孔 233 通気溝 24 下部補助部材 241 吸着側通気口 242 ねじ挿通孔 3 吸着側部材 31 吸着口 4 ねじ 5 被吸着物
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年2月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 吸着装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は吸着装置及び吸着方
法に関する。更に詳しくは、被吸着体を吸着するに当り
被吸着体側の吸着面の構造の影響を受けにくくしたもの
であって、浮遊塵埃等を吸引することから生じる装置
の故障防止を図り、また、装置全体としての厚さを薄
くできるようにして装置の小型化を可能とし、更に、
構成部品の構造をシンプルにして装置の製造を容易にす
ると共に分解組立が簡単であるようにしたものに関す
る。
【0002】
【従来の技術】真空ポンプ等による空気の吸引作用を利
用した吸着装置を使用して被吸着物を吸着し、吸着した
状態で被吸着物を移動したり運搬したりする運搬機は既
に知られている。最近では、吸着装置の吸着面よりも狭
い面を有する被吸着物を吸着できるものや、被吸着物の
表面が異形であったり、被吸着物そのものが空気透過性
を有する被吸着物も吸着できるようにした吸着装置も提
案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような吸着装置
の用途や使用場所は様々であり、用途や使用場所等に適
した吸引装置が要求される。例えば木材の加工工場で部
材の運搬に使用される場合は、切削粉等に考慮を払う必
要がある。即ち、木材加工工場で使用される吸引装置は
浮遊している木材の切削粉を吸引するため、吸引した切
削粉等が原因で装置が故障しないように配慮する必要が
ある。
【0004】また、切削粉を吸引して故障が生じた場合
でも、簡単に分解掃除ができることも必要である。更
に、吸着装置が大型化すると、重量も嵩むためにそれを
保持する装置も強度を上げる必要から大型化する。ま
た、大型の吸着装置は被吸着物を狭い箇所に移動させる
場合にその大きさが邪魔になり、それだけの理由で使用
できない場合も生じる。従って吸着装置自体はできるだ
け小型で、その厚さもできるだけ薄いことも要求され
る。
【0005】本発明の目的は、被吸着体を吸着するに当
り被吸着体側の吸着面の構造の影響を受けにくくした吸
着装置において、浮遊塵埃等を吸引することから生じる
故障防止を図り、また、装置全体としての厚さを薄くで
きるようにして装置の小型化を可能とし、更には、構成
部品の構造をシンプルにして装置の製造を容易にすると
共に分解組立が簡単であるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、第1の発明に
あっては、吸引側からの吸気により被吸着物を吸着する
複数の吸着口と、当該各吸着口とそれぞれ連通する弁室
と、を備えており、当該弁室は、吸引側へ連通する吸引
側通気口と、上記吸着口へ連通する吸着側通気口を有
し、上記弁室内には、弁体が上記吸引側通気口と上記吸
着側通気口の間を移動可能な状態で収容してある吸引装
置であって、上記弁体が上記吸引側通気口側に吸着され
た状態で弁体と吸引側接触部との間に弁室内と吸引側と
を通気させる通気手段を備えており、上記弁体の周縁部
と上記弁室の周壁間には空隙が形成され、弁体が弁室の
底部 に接触している状態において、上記吸着側通気口と
弁室とは上記空隙部分に開口した通気溝を介し連通して
いることを特徴とする、吸着装置である。
【0007】第2の発明にあっては、通気手段は、弁体
のうち吸引側通気口との接触部または/及び弁室のうち
吸引側通気口を囲む周縁部に設けられた、独立または実
質的に独立した所要数の凹凸であることを特徴とする、
第1の発明に係る吸着装置である。
【0008】第3の発明にあっては、弁体が板状である
ことを特徴とする、第1または第2の発明に係る吸着装
置である。
【0009】第4の発明にあっては、各構成部材が平板
状または比較的高さの低い直方体状で、これらの構成部
材を重層し、固着具で分解可能に組み立てたことを特徴
とする、第3の発明に係る吸着装置である。
【0010】(作 用) 吸着装置の吸着側に被吸着物を接触させる。 吸引側から吸引すると弁室内の空気圧が吸着口内の
空気圧より小さくなり、弁体が吸引側通気口側に引き寄
せられ吸着される。
【0011】 全ての弁体は吸着されて弁室の吸引側
接触部に接触し、吸引側通気口を閉塞した状態になる。
しかし、弁体が吸引側通気口側に吸着された状態で弁体
と吸引側接触部との間に弁室内と吸引側とを通気させる
凹凸などの通気手段が形成されるよう構成されているの
で、吸引側通気口は完全には閉塞されてはおらず、吸着
口に通じる弁室と吸引側に通じる通気口とは互いに通気
できる。これにより、被吸着物が接触している部分の吸
着口内の空気圧も常圧よりも漸次小さくなり、被吸着物
は吸着側部材の吸着面に吸着され始める。
【0012】 このとき、被吸着物が接触していない
部分の吸着口内の空気圧はほぼ常圧に近い状態である。
しかし、弁体は吸い上げられ弁室の吸引側接触部に接触
し、若干の通気性はあるが、吸引側通気口は実質的には
塞がれているので、被吸着物を吸着していない吸着口か
ら空気が多量に導入されることはなく、当該吸引側通気
口内の空気圧は常圧よりも小さくなっている。従って、
被吸着物が接触している部分の吸着口内を常圧よりも小
さい空気圧に維持することができ、被吸着物の吸着側部
材の吸着面への吸着状態をそのまま維持することができ
る。なお、弁体の凹凸に併せて、または、この凹凸の代
わりに、吸引側接触部に通気性を与えるための凹凸を設
けることもできる。
【0013】 更に、吸引を続けると、被吸着物が接
触している部分において、吸引側通気口内の空気圧は更
に小さくなり、同時に、弁室内と吸着口内の空気圧も更
に小さくなり、被吸着物は吸着側部材の吸着面に強く吸
着する。このとき、吸引側通気口内と弁室内と吸着口内
の空気圧はほぼ同じ圧力となり圧力差が小さくなるの
で、弁室内の弁体は、吸引側通気口側の接触部からの吸
着が解除される。このとき弁室と吸着口は通気可能な状
態である。
【0014】 一方、被吸着物が接触していない部分
の吸着口内の空気圧はほぼ常圧に近く、弁室内と吸着口
内との圧力差は大きいので、弁体は吸引側接触部に接触
したままである。従って、若干の通気性はあるが、弁体
は吸引側通気口を実質的に塞いでいるので、被吸着物が
接触している部分の吸着口内を常圧よりも小さい空気圧
のままに維持することができ、被吸着物の吸着側部材の
吸着面への強い吸着を維持することができる。
【0015】 吸着側部材の下面に吸着している被吸
着物を外すときは、吸引側の吸引を止める。吸引が止ま
ると、弁室内は直ぐ常圧に近い状態となり、その状態が
通気溝 を介して吸着口に伝わる。その結果、上記全ての
部分の圧力差はなくなり、ほぼ常圧に近い状態となり、
被吸着物は吸着側部材の吸着面から外れる。
【0016】弁体は吸引側通気口と吸着側通気口の間を
移動可能な状態で収容してあり、弁体が吸引側通気口側
に吸着された状態で弁体と吸引側接触部との間に弁室内
と吸引側とを通気させる通気手段が形成されるよう構成
されている。従って、被吸着物を吸着するときの吸引時
に、仮に、弁室に異物が侵入したとしても、異物は弁体
を避けてそのまま吸引側通気口から吸引されるか、弁体
によって吸引を阻止されるか、或いは弁体と吸引側接触
部との間に挟まれる等の状況が考えられるが、弁体と通
気部が異物によって全て塞がってしまう可能性は極めて
小さく、従って吸着装置への被吸着物の吸着が阻害され
ることを防止することができる。
【0017】また、異物が弁体と吸引側接触部との間に
挟まれる等の状態が生じたとしても弁体が吸引側接触部
から離れたときは、異物は脱落し弁室から排出される。
このように、通気部に異物が進入することから生じる故
障や、通気部に侵入した異物を取り除く作業等のメンテ
ナンスをなくすことができる。
【0018】通気手段は、弁体のうち吸引側通気口側と
の接触部、または弁室のうち吸引側通気口を囲む周縁
部、或いはその双方に設けることができる。また、通気
手段が独立または実質的に独立した所要数の凹凸である
ものは、多数の通気部を形成することができる。従っ
て、弁室に異物が侵入しても、通気部が当該異物によっ
て全て塞がってしまう可能性は小さく、吸着装置への被
吸着物の吸着が阻害されるのをより確実に防止すること
ができる。また、通気部に侵入した異物を取り除く作業
等の煩雑なメンテナンスを、更に少なくすることができ
る。なお、表面に凹凸を設ける加工は、型成形等により
比較的容易にでき、コストを安価にすることができる。
【0019】弁体が板状の場合は、弁室の高さを低くす
ることができるので、吸着装置を小型化することが容易
である。
【0020】また、装置を構成する各構成部材が平板状
または比較的高さの低い直方体状であり、これらの構成
部材を重層し、固着具で分解可能に組み立てるようにす
れば、装置の製造が容易であり、分解も簡単である。
【0021】また、上記補助部材、弁体部材、吸着側部
材等を全て高分子成形体で成形すれば、型成形や打ち抜
き成形等により得られるので、製造コストが安くなる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明を図面に示した実施の形態
に基づき更に詳細に説明する。図1は本発明に係る吸着
装置の分解斜視図である。図中Aは吸着装置である。吸
着装置Aは、吸引側部材1と、当該吸引側部材1の下面
に接する弁部材2と、当該弁部材2の下面に接する吸着
側部材3と、を備えており、全体としてやや厚手の直方
体状に形成されている。
【0023】吸引側部材1は、金属製の本体部材11
と、柔軟性高分子で成形された補助部材12を備えてい
る。本体部材11は、上面中心に真空ポンプに接続する
ための吸引側通気口金具111を有する。本体部材11
は、四隅と長辺の中心の計六か所にねじ孔112を有す
る。補助部材12は、上記吸引側通気口金具111と弁
部材2に設けられている複数の弁室211とを連通する
切欠部121を有する。また、上記ねじ孔112と合致
する個所にねじ挿通孔122を有する。
【0024】弁部材2は、硬質高分子で成形された本体
部材21と、柔軟性高分子で円盤状に成形された複数の
弁体22と、柔軟性高分子で成形された上部補助部材2
3と硬質高分子で成形された下部補助部材24と、を備
えている。本体部材21は、下面側に開口部を有する複
数の弁室211と、当該弁室211の上面壁の中心に貫
通して設けられている吸引側通気口213と、を有す
る。また、本体部材21は、上記ねじ挿通孔122と合
致する個所にねじ挿通孔212を有する。
【0025】弁体22の上面には、各々が独立した凹凸
221が設けられている。該凹凸221は、吸引側通気
口縁面214との間で多数の通気部を形成する。弁体2
2の直径は弁室211の内径よりやや小さく、厚さは弁
室211の高さよりも薄い。そうして弁体22は、吸引
側通気口213と吸着側通気口231との間を移動可能
な状態で弁室211内に収容されている。
【0026】弁室211の中心部に対応して、上部補助
部材23には複数の吸着側通気口231が、また、下部
補助部材24には上記吸着側通気口231と同じ大きさ
の複数の吸着側通気口241が、それぞれ設けられてい
る。上部補助部材23と下部補助部材24は、上記ねじ
挿通孔212と合致する箇所に、組み合わせたときに連
通するねじ挿通孔232と242とをそれぞれ有する。
【0027】上記吸着側通気口231には通気溝233
が連続して設けられている。通気溝233の長さは、本
体部材21と上部補助部材23を組み合わせたとき、弁
室211の周壁まで達するように設定されており、弁体
22が吸着側通気口231を塞いだ状態で上部補助部材
23上に載置されたときに、通常は、通気溝233の先
端が弁体22周縁より外側に出るように形成されている
(図3、図5及び図6参照)。
【0028】吸着側部材3は柔軟性高分子(例えば、ポ
リウレタン発泡体)で成形されている。吸着側部材3に
は、上記吸着側通気口231、241に対応し、直径が
それら吸着側通気口より大きい複数の吸着口31が上下
に貫通して設けられている。
【0029】吸着装置Aとして使用するときは、6本の
ねじ4を上記各ねじ挿通孔242、232、212、1
22には挿通し、ねじ孔112に螺合し、吸引側部材1
と弁部材2とを固定して一体とする。更に、上記のよう
にして一体となった弁部材22の下部補助部材24の下
面には吸着側部材3が貼着される。
【0030】(作 用)図2ないし図6を参照して、被
吸着物の被吸着面が吸着側部材3の吸着面よりも小さい
場合(複数の吸着口31のうちの一部で吸着する場合)
における本実施の形態の作用を説明する。図2は吸着装
置が被吸着物を吸着し始めた状態を示す要部断面図であ
る。図3は図2における弁室中での弁体の状態を示す拡
大図である。吸着装置Aの吸着側部材3の下面に被吸着
物5を接触させる。吸引側部材1の本体部材11の吸引
側通気口金具111を真空ポンプ(図示はしていない)
に吸引管Pを使用して接ぐ。真空ポンプを運転すると、
弁室211内の空気圧が吸着口31内の空気圧より小さ
くなり、弁体22が吸引側通気口213に引き寄せられ
る。
【0031】なお、真空ポンプを運転しながら、吸着装
置Aの吸着側部材3の下面に被吸着物5を接触させても
よい。この場合も、通常は、上記とほぼ同じく、弁室2
11内の空気圧が吸着口31内の空気圧より小さくな
り、弁体22が吸引側通気口213に引き寄せられる。
弁体22が吸引側通気口213に僅かな間隙を有する状
態で引き寄せられていることも考えられるが、弁体22
の作用は上記の場合と同じである。
【0032】このような現象、即ち、弁室211内の空
気圧が吸着口31内の空気圧より小さくなり、弁体22
が吸引側通気口213側に引き寄せられるという現象
は、被吸着物5が接触している部分の弁体22(図2の
左側の三つ)と被吸着物5が接触していない部分の弁体
22(図2の右側の二つ)の両方に生じる。そして、全
ての弁体22は弁室211の上面壁214に接触し、吸
引側通気口213を実質的に塞いだ状態になる。
【0033】しかし、弁体22は上面に凹凸221が設
けられており、弁体22と上面壁214との間には多数
の通気部が形成されるので、吸引側通気口213は完全
には塞がれておらず、吸着口31に通じる弁室221と
吸引側に通じる通気口213とは互いに通気できる状態
となる。これにより、被吸着物5が接触している部分の
吸着口31内の空気圧も常圧よりも漸次小さくなり、被
吸着物5は吸着側部材3の吸着面に吸着され始める。
【0034】このとき被吸着物5が接触していない部分
の吸着口31内の空気圧は、ほぼ常圧に近い状態であ
る。しかし、弁体22は吸い上げられ弁室211の上面
壁214に接触し、若干の通気性はあるが、吸引側通気
口213を実質的に塞いでいるので、被吸着物5を吸着
していない吸着口31から空気が多量に導入されること
はなく、当該吸引側通気口213内の空気圧は常圧より
も小さくなっている。従って、被吸着物5が接触してい
る部分の吸着口31内を常圧よりも小さい空気圧に維持
することができ、被吸着物5の吸着側部材3の吸着面へ
の吸着状態をそのまま維持することができる。なお、弁
体22上面の上記凹凸221に併せて、または、上記凹
凸221の代わりに、吸引側通気口213の縁表面また
は上面壁214に通気性を与えるための凹凸を設けるこ
ともできる。
【0035】図4は吸着装置に被吸着物が強く吸着した
状態を示す要部断面図である。図5は図4における弁室
中での弁体の状態を示す拡大図である。図6は弁室中で
弁体が吸着側通気口を塞いでいる状態を拡大して示す平
面説明図である。上記図2及び図3の状態になった後、
更に真空ポンプで吸引を続ける。すると、被吸着物5が
接触している部分において、吸引側通気口213内の空
気圧は更に小さくなり、同時に、弁室211内と吸着口
31内の空気圧も更に小さくなり、被吸着物5は吸着側
部材3の吸着面に強く吸着する。
【0036】このとき、吸引側通気口213内と弁室2
11内と吸着口31内の空気圧は、ほぼ同じ圧力となり
圧力差が小さくなるので、弁室211内の弁体22は上
面壁214から離れ、下方に自然落下して上部補助部材
23の上面に接するか、または、僅かに浮いたような状
態となる。このとき、通気溝233は弁体22の周縁部
より出ており、弁室211と吸着口31は通気可能な状
態である。
【0037】一方、被吸着物5が接触していない部分の
吸着口31内の空気圧はほぼ常圧に近く、弁室211内
と吸着口31内との圧力差は大きいので、図3に示され
ている状態と同じようになり、弁体22は弁室211の
上面壁214に接触したままである。従って、若干の通
気性はあるが、弁体22は吸引側通気口213を実質的
に塞いでいるので、被吸着物5が接触している部分の吸
着口31内を常圧よりも小さい空気圧のままに維持する
ことができ、被吸着物5の吸着側部材3の吸着面への強
い吸着を維持することができる。
【0038】吸着側部材3の下面に吸着している被吸着
物5を外すときは、真空ポンプの吸引を止める。真空ポ
ンプの吸引が止まると、弁室211内は直ちに常圧に近
い状態となり、その状態が通気溝233により吸着側通
気口231、241と吸着口31に伝わる。その結果、
上記全ての部分の圧力差はなくなり、被吸着物5は吸着
側部材3の吸着面から外れる。
【0039】なお、本実施の形態のように、補助部材、
弁体部材、吸着側部材等を全て高分子成形体で成形すれ
ば、型成形や打ち抜き成形等により得られるので、製造
コストが安くなる。
【0040】本明細書で使用している用語と表現は、あ
くまでも説明上のものであって、なんら限定的なもので
はなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等
価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の
技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能である。
【0041】
【発明の効果】本発明は上記構成を備え、次の効果を有
する。 (a)弁体は吸引側通気口と吸着側通気口の間を移動可
能な状態で収容してあり、弁体が吸引側通気口側に吸着
された状態で弁体と吸引側接触部との間に弁室内と吸引
側とを通気させる通気手段が形成されるよう構成されて
いる。従って、被吸着物を吸着するときの吸引時に、仮
に、弁室に異物が侵入したとしても、異物は弁体を避け
てそのまま吸引側通気口から吸引されるか、弁体によっ
て吸引を阻止されるか、或いは弁体と吸引側接触部との
間に挟まれる等の状況が考えられるが、弁体と通気部が
異物によって全て塞がってしまう可能性は極めて小さ
く、従って吸着装置への被吸着物の吸着が阻害されるこ
とを防止することができる。また、異物が弁体と吸引側
接触部との間に挟まれる等の状態が生じたとしても弁体
が吸引側接触部から離れたときは、異物は脱落し弁室か
ら排出される。このように、通気部に異物が進入するこ
とから生じる故障や、通気部に侵入した異物を取り除く
作業等のメンテナンスをなくすことができる。
【0042】(b)通気手段が、独立または実質的に独
立した所要数の凹凸であるものは、多数の通気部を形成
することができる。従って、弁室に異物が侵入しても、
通気部が当該異物によって全て塞がってしまう可能性は
小さく、吸着装置への被吸着物の吸着が阻害されるのを
より確実に防止することができる。また、通気部に侵入
した異物を取り除く作業等の煩雑なメンテナンスを、更
に少なくすることができる。なお、表面に凹凸を設ける
加工は、型成形等により比較的容易にでき、コストを安
価にすることができる。
【0043】(c)弁体が板状の場合は、弁室の高さを
低くすることができるので、吸着装置を小型化すること
が容易である。
【0044】(d)装置を構成する各構成部材が平板状
または比較的高さの低い直方体状であり、これらの構成
部材を重層し、固着具で分解可能に組み立てるようにす
れば、装置の製造が容易であり、分解も簡単である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吸着装置の分解斜視図。
【図2】吸着装置が被吸着物を吸着し始めた状態を示す
要部断面図。
【図3】図2における弁室中での弁体の状態を示す拡大
図。
【図4】吸着装置に被吸着物が強く吸着した状態を示す
要部断面図。
【図5】図4における弁室中での弁体の状態を示す拡大
図。
【図6】弁室中で弁体が吸着側通気口を塞いでいる状態
を拡大して示す平面説明図。
【符号の説明】 A 吸着装置 P 吸引管 1 吸引側部材 11 本体部材 111 吸引側通気口金具 112 ねじ孔 12 補助部材 121 切欠部 122 ねじ挿通孔 2 弁部材 21 本体部材 211 弁室 212 ねじ挿通孔 213 吸引着側通気口 214 上面 22 弁体 221 凹凸 23 上部補助部材 231 吸着側通気口 232 ねじ挿通孔 233 通気溝 24 下部補助部材 241 吸着側通気口 242 ねじ挿通孔 3 吸着側部材 31 吸着口 4 ねじ 5 被吸着物

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸引側からの吸気により被吸着物を吸着
    する複数の吸着口(31)と、当該各吸着口(31)とそれぞれ
    連通する弁室(211)と、を備えており、 当該弁室(211)は、吸引側へ連通する吸引側通気口(213)
    と、上記吸着口(31)へ連通する吸着側通気口(231)を有
    し、 上記弁室(211)内には、弁体(22)が上記吸引側通気口(21
    3)と上記吸着側通気口(231)の間を移動可能な状態で収
    容してある吸引装置であって、 上記弁体(22)が上記吸引側通気口(213)側に吸着された
    状態で弁体(22)と吸引側接触部との間に弁室(211)内と
    吸引側とを通気させる通気手段が形成されるよう構成さ
    れていることを特徴とする、 吸着装置。
  2. 【請求項2】 弁体(22)のうち吸引側通気口(213)側と
    の接触部、または/及び弁室(211)のうち吸引側通気口
    (213)を囲む周縁部(214)には、上記弁体(22)が上記吸引
    側通気口(213)側に吸着されたときに弁室(211)内と吸引
    側を通気させる通気部形成手段が設けてあることを特徴
    とする、 請求項1記載の吸着装置。
  3. 【請求項3】 上記通気部形成手段が、接触部に形成さ
    れている独立または実質的に独立した所要数の凹凸(22
    1)であることを特徴とする、 請求項2記載の吸着装置。
  4. 【請求項4】 弁体(22)が板状であることを特徴とす
    る、 請求項1、2または3記載の吸着装置。
  5. 【請求項5】 各構成部材が平板状または比較的高さの
    低い直方体状であり、これらの構成部材を重層し、固着
    具で分解可能に組み立てたことを特徴とする、 請求項
    4記載の吸着装置。
  6. 【請求項6】 複数の吸着口を備えた吸着面で被吸着物
    を吸着する方法であって、 吸気側からの吸気により、上記各吸着口に各々連通して
    いる弁室に移動可能に収容された弁体を吸引側通気口側
    に吸着し、該吸着に当たっては、吸引側通気口を通気不
    可能に閉塞しないで、弁体と吸引側通気口側の接触部と
    の間に通気部を形成して各吸着口が弱吸気状態となるよ
    うにし、 上記各吸着口のうち、所要の吸着口が被吸着物により塞
    がれたときは、塞がれた弁室内の空気が吸引されること
    によって該弁室内は被吸着物を吸着可能なまでに負圧に
    なり、しかも吸引側通気口側の接触部から弁体の吸着が
    解除され、 被吸着物により塞がれていない残りの吸着口は、上記弱
    吸気状態に保つようにしたことを特徴とする、 吸着方法。
JP8260998A 1998-03-13 1998-03-13 吸着装置 Pending JPH11254365A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8260998A JPH11254365A (ja) 1998-03-13 1998-03-13 吸着装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8260998A JPH11254365A (ja) 1998-03-13 1998-03-13 吸着装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11254365A true JPH11254365A (ja) 1999-09-21

Family

ID=13779228

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8260998A Pending JPH11254365A (ja) 1998-03-13 1998-03-13 吸着装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11254365A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1621492A1 (en) * 2004-07-09 2006-02-01 Vuss ApS Lifting device
JP2010120068A (ja) * 2008-11-21 2010-06-03 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 接合装置
JP2012187679A (ja) * 2011-03-11 2012-10-04 Mitsubishi Heavy Ind Ltd チャック装置
EP2361860A3 (de) * 2010-02-24 2013-12-18 Krones AG Unterdruck-Greifervorrichtung
JP2014008564A (ja) * 2012-06-28 2014-01-20 Kyocera Crystal Device Corp 吸着ノズル、吸着装置及び機器製造方法
WO2023198983A1 (fr) * 2022-04-15 2023-10-19 Defitech Caisson d'aspiration apte à être désassemblé pour un préhenseur

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1621492A1 (en) * 2004-07-09 2006-02-01 Vuss ApS Lifting device
JP2010120068A (ja) * 2008-11-21 2010-06-03 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 接合装置
EP2361860A3 (de) * 2010-02-24 2013-12-18 Krones AG Unterdruck-Greifervorrichtung
JP2012187679A (ja) * 2011-03-11 2012-10-04 Mitsubishi Heavy Ind Ltd チャック装置
JP2014008564A (ja) * 2012-06-28 2014-01-20 Kyocera Crystal Device Corp 吸着ノズル、吸着装置及び機器製造方法
WO2023198983A1 (fr) * 2022-04-15 2023-10-19 Defitech Caisson d'aspiration apte à être désassemblé pour un préhenseur
FR3134531A1 (fr) * 2022-04-15 2023-10-20 Defitech Caisson d’aspiration apte à être désassemblé pour un préhenseur

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5374021A (en) Vacuum holder particulary useful as a vacuum table
JP4204302B2 (ja) 収納容器
KR20130086391A (ko) 열교환 환기 장치
JP3960787B2 (ja) 精密基板収納容器
JPWO2005049287A1 (ja) 真空吸着ヘッド、その真空吸着ヘッドを用いた真空吸着装置及びテーブル
KR20050101172A (ko) 진공흡착 헤드
TWI438132B (zh) 吸附式傳輸裝置
JPH11254365A (ja) 吸着装置
TW201402427A (zh) 抑制灰塵等侵入的基板收納容器
KR20210157158A (ko) 레이저 가공용 공정 테이블 및 이를 포함하는 레이저 가공장치
WO2022230678A1 (ja) ポンプ装置
JP2002137183A (ja) 吸着パッド
JP2002144270A (ja) 吸着ジグ及び被搬送物の搬送方法
JPH0753912Y2 (ja) 真空吸着装置
WO2019198276A1 (ja) 身体支持装置用マニホールド、および身体支持装置
CN110834160A (zh) 一种吸盘及激光切割机
JP5105590B2 (ja) 空気吸込み口の清掃装置
CN108807255B (zh) 膜状工件吸附装置
JP5506511B2 (ja) フィルム貼り合わせ装置
JP2721896B2 (ja) 試料吸着装置
CN218183639U (zh) 吸附装置与加工设备
JPH07231033A (ja) 基板保持装置
JP2009206156A (ja) 基板収納容器の排出用ポート
TW201642383A (zh) 去膜裝置以及使用該去膜裝置的去膜方法
CN219997472U (zh) 吸盘、吸附机构及曝光设备