JPH1125419A - 薄膜磁気ヘッド - Google Patents

薄膜磁気ヘッド

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JPH1125419A
JPH1125419A JP17263697A JP17263697A JPH1125419A JP H1125419 A JPH1125419 A JP H1125419A JP 17263697 A JP17263697 A JP 17263697A JP 17263697 A JP17263697 A JP 17263697A JP H1125419 A JPH1125419 A JP H1125419A
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JP
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film
thin
gap
less
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JP17263697A
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English (en)
Inventor
Osamu Ishikawa
理 石川
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 渦電流損失を抑えて高周波数領域における透
磁率を向上させるとともに、非磁性絶縁膜を介在させる
ことに起因する磁束の漏洩を抑制して、記録再生出力を
大幅に向上させる薄膜磁気ヘッドを提供する。 【解決手段】 少なくとも上層コア6を、第1の磁性膜
9上に非磁性絶縁膜10を介して第2の磁性膜10が積
層された積層膜構造とし、非磁性絶縁膜10の膜厚を、
50nm未満かつギャップ長に対して1/10以下とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばハードディ
スク等の磁気記録媒体に対し情報の書き込みまたは読出
しをするのに好適な薄膜磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】ハードディスク等の磁気記録媒体に対
し、情報信号の記録再生を行う磁気ヘッドとして、薄膜
磁気ヘッドが知られている。この薄膜磁気ヘッドは、磁
気回路を構成する上層コア、下層コア及びギャップ膜等
を蒸着やスパッタ等の成膜技術により形成しているの
で、容易に狭トラック化を図ることができるという利点
を有し、高密度記録に対応した磁気ヘッドとして広く利
用されてきている。
【0003】この薄膜磁気ヘッドの磁気コアの材料とし
ては、従来よりNi−Fe合金が用いられてきた。しか
しながら、ハードディスク等のさらなる高密度記録化、
記録周波数の向上にともない、磁気コアもさらに高い飽
和磁束密度を有するとともに高周波数領域において高い
透磁率を有するものが要求されている。
【0004】そこで、特開平5−290329号公報に
示す如く、磁気コアをNi−Fe合金めっき膜と高飽和
磁束密度を有する磁性膜との積層膜により構成して、飽
和磁束密度の向上及び高周波数領域における透磁率の向
上を図るようにした薄膜磁気ヘッドが提案されている。
【0005】この薄膜磁気ヘッドは、Ni−Fe合金め
っき膜と高飽和磁束密度を有する磁性膜との間に非磁性
絶縁膜を介在させ、磁気コアを膜厚方向に分断すること
により、磁気コアの磁区が安定化して透磁率が向上し、
渦電流損失が抑えられ、特に高周波数領域において良好
な特性を発揮するようになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、磁気コ
アを構成するNi−Fe合金めっき膜と高飽和磁束密度
を有する磁性膜との間に非磁性絶縁膜を介在させた薄膜
磁気ヘッドにおいては、この非磁性絶縁膜が疑似ギャッ
プとして作用して、非磁性絶縁膜が形成された箇所から
磁束が漏洩してしまうことがある。そして、この薄膜磁
気ヘッドは、この漏洩磁束の量が多いと、出力ロスが大
きくなって、大幅な記録再生出力の向上が望めないとの
問題があった。
【0007】そこで、本発明は、磁気コアの渦電流損失
を抑えて高周波数領域における透磁率を向上させるとと
もに、非磁性絶縁膜を介在させることに起因する磁束の
漏洩を抑制して、記録再生出力を大幅に向上させる薄膜
磁気ヘッドを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した目
的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、Ni−Fe合金
めっき膜等の磁性膜と飽和磁束密度の高い磁性膜との間
に介在させた非磁性絶縁膜の膜厚を、50nm未満かつ
磁気ギャップの間隔の1/10以下とすることにより、
非磁性絶縁膜が形成された箇所からの磁束の漏洩を記録
再生に悪影響を及ぼさない程度に抑えることができるこ
とを見出した。
【0009】本発明に係る薄膜磁気ヘッドは、このよう
な知見に基づいて創案されたものであり、基板上に設け
られた下層コアと、この下層コア上に設けられ、磁気ギ
ャップを構成する非磁性層と、この非磁性層に埋設され
た導体コイルと、非磁性層上に設けられ、下層コアとと
もに閉磁路を構成する上層コアとを備えている。
【0010】そして、この薄膜磁気ヘッドの上層コア
は、非磁性層上に設けられた第1の磁性膜と、この第1
の磁性膜上に設けられた非磁性絶縁層と、この非磁性絶
縁層上に設けられた第2の磁性膜とを備え、第1の磁性
膜の飽和磁束密度が、第2の磁性膜の飽和磁束密度より
も高く、非磁性絶縁膜の膜厚が、50nm未満かつ上記
磁気ギャップの間隔の1/10以下であることを特徴と
している。
【0011】上層コアの第1の磁性膜は、磁気ギャップ
を構成する非磁性層側に配されることにより、その高飽
和磁束密度性を十分に発揮し、薄膜磁気ヘッドの記録再
生出力を大幅に向上させる。
【0012】また、非磁性絶縁膜は、第1の磁性膜と第
2の磁性膜とを分断し、磁気コアの磁区を安定化させる
とともに、渦電流損失を抑えて、特に高周波数領域にお
ける透磁率を向上させる。
【0013】そして、この薄膜磁気ヘッドは、非磁性絶
縁膜の膜厚が50nm未満かつ磁気ギャップの間隔の1
/10以下とされることにより、磁束の漏洩が記録再生
に悪影響を及ぼさない程度に抑えられる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る薄膜磁気ヘッ
ドの実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】この薄膜磁気ヘッド1は、図1に示すよう
に、基板2上に下層コア3が形成され、下層コア3上に
非磁性層4及び導体コイル5を介して上層コア6が形成
されている。
【0016】基板2としては、例えばチタン酸カリウ
ム,アルミナ,アルチック等の非磁性材料よりなる基
板、あるいはMn−Zn系フェライト,Ni−Zn系フ
ェライト等の強磁性材料よりなる基板が使用される。
【0017】基板2上には、下層コア3が形成されてい
る。この下層コア3は、良好な軟磁気特性を有し、且つ
熱的に安定な強磁性材料からなり、例えばパーマロイ等
のNi−Fe合金により構成される。また、下層コア3
の材料として、Ni−Fe合金の他に、Fe−Al系合
金、Fe−M−(C,N)(M;Al,Ta,Zr,
W)系合金、Fe−Al−Si系合金、Fe−Si−C
o系合金、Fe−Al−Ge系合金、Fe−Si−Ge
系合金、Fe−Co−Si−Al系合金等の強磁性金属
材料、あるいはFe−Ga−Si系合金の耐蝕性や耐摩
耗性の一層の向上を図るために、Fe,Ga,Co(F
eの一部をCoで置換したものを含む。),Siを基本
組成とする合金に、Ti,Cr,Mn,Zr,Nb,M
o,Ta,W,Ru,Os,Rh,Ir,Re,Ni,
Pb,Pt,Hf,Vの少なくとも一種を添加したもの
を用いるようにしてもよい。これら磁性材料は上記特性
を有するとともに、スパッタリング法等による膜形成が
可能であり、生産性を得る上でも有利である。
【0018】下層コア3上には、非磁性層4と導体コイ
ル5とが形成されている。非磁性膜4は、磁気記録媒体
対向面aに臨むように形成されるギャップ膜7と、導体
コイル5の周囲に形成される平坦化層8とにより構成さ
れている。
【0019】ギャップ膜7は、磁気ギャップgを構成す
る膜であり、例えばSiO2 やTa2 5 等の非磁性膜
からなる。また、平坦化層8は、下層コア3の表面を平
坦化して導体コイル5の形成を容易にするとともに、導
体コイル5上を覆って上層コア6の形成を容易にするた
めのものであり、形成が容易でかつ精密な形状が得られ
る感光性材料等により形成される。
【0020】導体コイル5は、CuやAl等の導電金属
材料よりなり、平坦化層8に埋め込まれた形で、所定間
隔の複数ターン渦巻状に形成されている。
【0021】非磁性層4上には、上層コア6が形成され
ている。上層コア6は、導体コイル5の渦巻の中央部か
ら磁気記録媒体対向面aの近傍に跨がって形成され、渦
巻の中央部で下層コア3と接続されている。一方、磁気
記録媒体対向面aの近傍では、上層コア6は磁気ギャッ
プgを構成するギャップ膜7を挟んで下層コア3と対向
する。したがって、上層コア6は、磁気ギャップgを介
して下層コア3と磁気的に結合され、下層コア3ととも
に閉磁路を構成する。また、上層コア6と下層コア3間
には、非磁性層4に埋設された導体コイル5が挟み込ま
れ、これら上層コア6、下層コア3及び導体コイル5に
より磁気回路部が構成される。
【0022】上層コア6は、高飽和磁束密度を獲得する
ために、非磁性層4上に形成された第1の磁性膜9と、
この第1の磁性膜9上に形成された非磁性絶縁膜10
と、この非磁性絶縁膜10上に形成された第2の磁性膜
11とからなる積層膜構造とされる。
【0023】第1の磁性膜9としては、例えばCoを含
有する非晶質合金等の1T(テスラ)以上の飽和磁束密
度を有する磁性材料が用いられる。具体的には、Co−
Zr−Nb系非晶質合金等が用いられる。
【0024】また、第1の磁性膜9としては、Coを含
有する非晶質合金の他に、センダスト、Fe−Ga−S
i−Ru合金、Fe−M−(C,N)微結晶合金薄膜の
ような結晶系の磁性材料を用いてもよい。なお、センダ
ストやFe−Ga−Si−Ru合金等は、良好な軟磁性
をもたせるために高熱処理を施す必要があるので、これ
らを第1の磁性膜9として用いる場合には、非磁性層4
の材料として、耐熱性の高いAl2 3 やSiO2 を用
いることが望ましい。
【0025】この第1の磁性膜9の膜厚は、1μm以下
に設定することが望ましい。Coを含有する非晶質合金
を第1の磁性膜9の材料として用いた場合、第1の磁性
膜9は、ドライプロセスによって形成されることにな
り、形成に時間がかかるとともに、形状にばらつきが生
じやすい傾向がある。しかし、第1の磁性膜9は、その
膜厚を1μm以下に設定することにより、形成時間の短
縮が図られるとともに、形状のばらつきを最小限に抑え
ることができる。
【0026】また、第1の磁性膜9は、その膜厚が1μ
m以下に設定されても、非磁性層4側、すなわち磁気ギ
ャップg側に配されることにより、その高飽和磁束密度
性を十分に発揮することができる。
【0027】第1の磁性膜9上に形成される非磁性絶縁
膜10としては、例えばAl2 3やSiO2 、Ta2
5 等が用いられる。この非磁性絶縁膜10は、第1の
磁性膜9と第2の磁性膜11間に介在されることによ
り、上層コア6を厚さ方向に磁気的及び電気的に分断す
る。
【0028】非磁性絶縁膜10上に形成される第2の磁
性膜11としては、下層コア3に用いた材料がいずれも
適用可能であり、例えばパーマロイ等のNi−Fe合金
が用いられる。パーマロイ等のNi−Fe合金は、電解
メッキにより成膜可能なため、第2の磁性膜11として
パーマロイ等のNi−Fe合金を用いれば、精密なコア
形状を容易に形成できるとともに、磁気コア形成時間を
短縮し、薄膜磁気ヘッド1の生産性を向上させることが
できる。
【0029】上層コア6は、以上のように、非磁性層4
側、すなわち磁気ギャップg側に、1T以上の飽和磁束
密度を有する磁性材料からなる第1の磁性膜9を配する
ことにより、高飽和磁束密度性を発揮して、薄膜磁気ヘ
ッド1の記録再生出力を向上させることができる。
【0030】また、第1の磁性膜9と第2の磁性膜11
間に非磁性絶縁膜10を介在させることにより、上層コ
ア6は厚さ方向に磁気的及び電気的に分断され、磁区を
安定化させることができるとともに、渦電流損失が抑え
られ、特に高周波数領域における透磁率を向上させるこ
とができる。
【0031】ところで、薄膜磁気ヘッド1は、上層コア
6を厚さ方向に分断する非磁性絶縁膜10が、疑似ギャ
ップとして作用してしまうことがあるという問題があ
る。そして、薄膜磁気ヘッド1は、非磁性絶縁膜10の
膜厚tを厚く設定すると、この疑似ギャップからの磁束
の漏洩が大となり、記録再生出力の低下を招くばかり
か、記録再生に悪影響を及ぼしてしまうことになる。そ
こで、この薄膜磁気ヘッド1においては、非磁性絶縁膜
10の膜厚tを、50nm未満かつ磁気ギャップgの間
隔に対して1/10以下に設定するようにしている。
【0032】薄膜磁気ヘッド1は、このように、非磁性
絶縁膜10の膜厚tが50nm未満かつ磁気ギャップg
の間隔に対して1/10以下とされることにより、非磁
性絶縁膜10を形成した箇所からの磁束の漏洩が、記録
再生に悪影響を及ぼさない程度に抑えられる。また、こ
の薄膜磁気ヘッド1は、非磁性絶縁膜10の膜厚tを3
0nm未満かつ磁気ギャップgの間隔に対して1/17
以下であれば、さらに磁束の漏洩が抑制され、記録再生
出力が大幅に向上する。
【0033】なお、以上は、上層コア6のみを、第1の
磁性膜9と第2の磁性膜11とこれらの間に介在される
非磁性絶縁膜10とからなる積層膜構造とした例につい
て説明したが、本発明に係る薄膜磁気ヘッド1は、下層
コア3も上層コア6と同様に、積層膜構造としてもよ
い。この場合も、磁気ギャップgに隣接する側に飽和磁
束密度が1T以上の磁性膜を形成し、非磁性絶縁膜によ
って下層コア6が厚さ方向に磁気的及び電気的に分断さ
れるようにする。そして、非磁性絶縁膜の膜厚は、50
nm未満かつ磁気ギャップgの間隔に対して1/10以
下、好ましくは、30nm未満かつ磁気ギャップgの間
隔に対して1/17以下に設定する。
【0034】薄膜磁気ヘッド1は、このように下層コア
3も積層膜構造とすることにより、高周波数領域におけ
る透磁率がさらに向上し、より大きな記録再生出力が得
られる。
【0035】また、この薄膜磁気ヘッド1は、図2に示
すように、基板2と下層コア3間に、磁気抵抗効果素子
(以下、MR素子22という。)によって磁気記録媒体
からの磁気信号を検出する磁気抵抗効果型磁気ヘッド部
(以下、MRヘッド部21という。)を設けて、いわゆ
る複合型薄膜磁気ヘッド20として用いられるようにし
てもよい。
【0036】この複合型薄膜磁気ヘッド20は、薄膜磁
気ヘッド1の下層コア3から上層コア6にわたる部分に
より、情報信号の記録を行い、MRヘッド部21により
情報信号の再生を行うようになされている。
【0037】MRヘッド部21は、パーマロイ等の磁性
材料よりなり、基板2上に形成された下部シールドコア
23上に、Al23等よりなる第1の絶縁層24が成膜
されている。そして、この第1の絶縁層24上にMR素
子22が、その長手方向が磁気記録媒体対向面aと垂直
になるように配され、かつ、その一方の端面が磁気記録
媒体対向面aに露出するように形成されている。
【0038】MR素子22の後端部上には、このMR素
子22にセンス電流を供給するための後端電極25が設
けられ、MR素子22の前端部上、即ち磁気記録媒体対
向面a側には、このMR素子22にセンス電流を提供す
るための先端電極26が設けられている。
【0039】また、MR素子22上には、第2の絶縁層
27を介してこのMR素子22にバイアス磁界を印可す
るためのバイアス導体28が設けられている。そして、
後端電極及25びバイアス導体28上にAl23等より
なる第2の絶縁層27が成膜されている。
【0040】そして、先端電極26及び第2の絶縁層2
7上にパーマロイ等の磁性材料よりなる上部シールドコ
ア29が成膜されてなる。なお、この上部シール度コア
29は、図2に示すように、上述した薄膜磁気ヘッド1
の下層コア3と兼用されることが望ましい。
【0041】このMRヘッド部21は、後端電極25及
び先端電極26を介してMR素子22にセンス電流が供
給されると、このセンス電流が、磁気記録媒体対向面a
に沿ってMR素子22の長手方向に流される。そして、
このセンス電流により、磁気記録媒体からの磁気による
MR素子22の抵抗値が変化する。MRヘッド部21
は、このMR素子22の抵抗値の変化を検出することに
より、磁気記録媒体から情報信号を再生している。
【0042】複合型薄膜磁気ヘッド20は、このMRヘ
ッド部21上に、上述した下層コア3、非磁性層4、導
体コイル5及び上層コア6がそれぞれ形成されている。
そして、上層コア6は、第1の磁性膜9と第2の磁性膜
11とこれらの間に介在される非磁性絶縁膜10とから
なる積層膜構造とし、非磁性絶縁膜の膜厚は、50nm
未満かつ磁気ギャップgの間隔に対して1/10以下、
好ましくは、30nm未満かつ磁気ギャップgの間隔に
対して1/17以下に設定する。なお、これらの各構成
要素の詳細については、上述した薄膜磁気ヘッド1の場
合と同様であるので、図2中に同一の符号を付して、説
明を省略する。
【0043】この複合型薄膜磁気ヘッド20は、上層コ
ア6が、第1の磁性膜9と第2の磁性膜11とこれらの
間に介在される非磁性絶縁膜10とからなる積層膜構造
とされることにより、高周波数領域における透磁率が向
上し、大きな記録再生出力を得ることができる。
【0044】また、この複合型薄膜磁気ヘッド20は、
非磁性絶縁膜の膜厚が、50nm未満かつ磁気ギャップ
gの間隔に対して1/10以下に設定されることによ
り、非磁性絶縁膜10を形成した箇所からの磁束の漏洩
が、記録再生に悪影響を及ぼさない程度に抑えられる。
【0045】
【実施例】本発明の効果を確認すべく、以下のような実
験を行った。
【0046】まず、上層コアを、飽和磁束密度の高い磁
性膜上に非磁性絶縁膜を介してNi−Fe合金めっき膜
が積層された積層膜構造とすることによる効果を確認し
た。すなわち、上層コアを、膜厚が0.6μmのCo−
Zr−Nb膜と、膜厚が40nmのAl23膜と、膜厚
が2.9μmのNi−Fe合金メッキ膜よりなる積層膜
構造とした薄膜磁気ヘッド(実施例1)を作製し、Ni
−Fe合金メッキ膜のみで上層コアを構成した薄膜磁気
ヘッド(比較例1)と、透磁率の周波数依存性を比較し
た。結果を図3に示す。なお、図2中●は、実施例1の
各周波数領域における透磁率を示し、図2中○は、比較
例1の各周波数領域における透磁率を示している。
【0047】図2から明らかなように、薄膜磁気ヘッド
は、上層コアを積層膜構造とすることにより、特に高周
波数領域における透磁率が向上することがわかる。
【0048】次に、薄膜磁気ヘッド上層コアを、飽和磁
束密度の高い磁性膜上に非磁性絶縁膜を介してNi−F
e合金めっき膜が積層された積層膜構造とした薄膜磁気
ヘッドにおいて、非磁性絶縁膜の膜厚と疑似ギャップの
漏洩磁力による出力ロスとの関係を検討した。
【0049】(薄膜磁気ヘッドの作製)以下のようにし
て複数の薄膜磁気ヘッドを作製した。すなわち、まず、
アルミナ層とアルチック層との2層構造からなる基板上
に、下層コアとなるNi−Fe合金メッキ層を形成し
た。そして、この下層コア上に、ギャップ膜となるSi
2 膜及び絶縁層を形成し、絶縁層に埋め込むかたちで
Cuからなる導体コイルを形成した。そして、ギャップ
膜及び絶縁層上に、上層コアを形成した。
【0050】上層コアは、高飽和磁束密度軟磁性膜上に
非磁性絶縁膜を介してNi−Fe合金めっき膜が積層さ
れた積層膜により構成した。ここでは、高飽和磁束密度
軟磁性膜として、Co−Zr−Nb系非晶質合金を用
い、非磁性絶縁膜としては、Al2 3 膜を用いた。そ
して、磁気ギャップのギャップ長及び非磁性絶縁膜の膜
厚を変更して、複数の薄膜磁気ヘッドを作製した。
【0051】それぞれの薄膜磁気ヘッドのギャップ長及
び非磁性絶縁膜の膜厚は、以下に示す通りである。
【0052】 実施例2 ギャップ長 0.5μm 非磁性絶縁膜の膜厚 30nm 非磁性絶縁膜の膜厚のギャップ長に対する比率 約1/17 実施例3 ギャップ長 0.5μm 非磁性絶縁膜の膜厚 50nm 非磁性絶縁膜の膜厚のギャップ長に対する比率 1/10 実施例4 ギャップ長 0.3μm 非磁性絶縁膜の膜厚 30nm 非磁性絶縁膜の膜厚のギャップ長に対する比率 1/10 実施例5 ギャップ長 0.6μm 非磁性絶縁膜の膜厚 50nm 非磁性絶縁膜の膜厚のギャップ長に対する比率 1/12 比較例2 ギャップ長 0.5μm 非磁性絶縁膜の膜厚 100nm 非磁性絶縁膜の膜厚のギャップ長に対する比率 1/5 比較例3 ギャップ長 0.5μm 非磁性絶縁膜の膜厚 70nm 非磁性絶縁膜の膜厚のギャップ長に対する比率 約1/7 比較例4 ギャップ長 0.6μm 非磁性絶縁膜の膜厚 60nm 非磁性絶縁膜の膜厚のギャップ長に対する比率 1/10 (評価)実施例2乃至5、比較例2乃至4の薄膜磁気ヘ
ッドを用いて孤立波をディスク状の磁気記録媒体に記録
した。そして、それぞれの孤立波を磁気抵抗効果型磁気
ヘッドを用いて再生し、波形を評価した。
【0053】実施例2の薄膜磁気ヘッドを用いて記録さ
れた孤立波は、図4に示すように、波形にほとんど乱れ
がみられず、非磁性絶縁膜が疑似ギャップとして作用し
ても、ほとんど磁束の漏洩がないことがわかる。
【0054】実施例3の薄膜磁気ヘッドを用いて記録さ
れた孤立波は、図5に示すように、多少波形が乱れてい
るものの、波形のピーク以外の箇所でめだった突起が生
じておらず、非磁性絶縁膜が疑似ギャップとして作用し
ても、磁束の漏洩がわずかであることがわかる。
【0055】実施例4の薄膜磁気ヘッドを用いて記録さ
れた孤立波も、図6に示すように、多少波形が乱れてい
るものの、波形のピーク以外の箇所でめだった突起が生
じておらず、非磁性絶縁膜が疑似ギャップとして作用し
ても、磁束の漏洩がわずかであることがわかる。
【0056】実施例5の薄膜磁気ヘッドを用いて記録さ
れた孤立波も、図7に示すように、多少波形が乱れてい
るものの、波形のピーク以外の箇所でめだった突起が生
じておらず、非磁性絶縁膜が疑似ギャップとして作用し
ても、磁束の漏洩がわずかであることがわかる。
【0057】比較例2の薄膜磁気ヘッドを用いて記録さ
れた孤立波は、図8に示すように、波形のピーク以外の
箇所に大きな突起が生じており、磁束の漏洩による出力
ロスが大きいことがわかる。
【0058】比較例3の薄膜磁気ヘッドを用いて記録さ
れた孤立波も、図9に示すように、波形のピーク以外の
箇所に大きな突起が生じており、磁束の漏洩による出力
ロスが大きいことがわかる。
【0059】比較例4の薄膜磁気ヘッドを用いて記録さ
れた孤立波も、比較例2及び3を用いた場合ほどではな
いが、図10に示すように、波形のピーク以外の箇所に
突起が生じており、磁束の漏洩による出力ロスが大きい
ことがわかる。
【0060】以上の結果から、上層コアを、飽和磁束密
度の高い磁性膜上に非磁性絶縁膜を介してNi−Fe合
金めっき膜が積層された積層膜構造とした薄膜磁気ヘッ
ドにおいて、非磁性絶縁膜の膜厚を50nm未満かつギ
ャップ長に対して1/10以下とすることにより、磁束
の漏洩が抑制され、良好な記録再生出力が得られること
がわかる。
【0061】
【発明の効果】本発明に係る薄膜磁気ヘッドは、上層コ
アが、飽和磁束密度の高い第1の磁性膜とNi−Fe合
金めっき膜等の第2の磁性膜とが、非磁性絶縁膜を介し
て積層された積層膜構造とされ、第1の磁性膜が、磁気
ギャップ側に配されているので、高飽和磁束密度性が十
分に発揮され、記録再生出力が大幅に向上する。
【0062】また、本発明に係る薄膜磁気ヘッドは、上
層コアが非磁性絶縁膜により厚さ方向に分断されるの
で、上層コアの磁区が安定化するとともに、渦電流損失
が抑えられて、特に高周波数領域における透磁率が向上
する。
【0063】また、この薄膜磁気ヘッドは、非磁性絶縁
膜の膜厚が50nm未満かつギャップ長に対して1/1
0以下とされているので、磁束の漏洩が記録再生に悪影
響を及ぼさない程度に抑えられ、良好な記録再生出力を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜磁気ヘッドを示す要部断面図であ
る。
【図2】本発明の他の薄膜磁気ヘッドを示す要部断面図
である。
【図3】薄膜磁気ヘッドの透磁率の周波数依存性を示す
図である。
【図4】本発明の実施例に係る薄膜磁気ヘッドにより記
録された孤立波を示す図である。
【図5】本発明の他の実施例に係る薄膜磁気ヘッドによ
り記録された孤立波を示す図である。
【図6】本発明の更に他の実施例に係る薄膜磁気ヘッド
により記録された孤立波を示す図である。
【図7】本発明の更に他の実施例に係る薄膜磁気ヘッド
により記録された孤立波を示す図である。
【図8】比較例に係る薄膜磁気ヘッドにより記録された
孤立波を示す図である。
【図9】他の比較例に係る薄膜磁気ヘッドにより記録さ
れた孤立波を示す図である。
【図10】更に他の比較例に係る薄膜磁気ヘッドにより
記録された孤立波を示す図である。
【符号の説明】
1 薄膜磁気ヘッド、3 下層コア、4 絶縁層、5
導体コイル、6 上層コア、9 第1の磁性膜、10
非磁性絶縁膜、11 第2の磁性膜、20 複合型薄膜
磁気ヘッド、21 MRヘッド部、22 MR素子、

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に設けられた下層コアと、 上記下層コア上に設けられ、磁気ギャップを構成する非
    磁性層と、 上記非磁性層に埋設された導体コイルと、 上記非磁性層上に設けられ、上記下層コアとともに閉磁
    路を構成する上層コアとを備え、 上記上層コアは、 上記非磁性層上に設けられた第1の磁性膜と、 上記第1の磁性膜上に設けられた非磁性絶縁膜と、 上記非磁性絶縁層上に設けられた第2の磁性膜とを備
    え、 上記第1の磁性膜の飽和磁束密度が、上記第2の磁性膜
    の飽和磁束密度よりも高く、 上記非磁性絶縁膜の膜厚が、50nm未満かつ上記磁気
    ギャップの間隔の1/10以下であることを特徴とする
    薄膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 上記第1の磁性膜は、Ni−Fe合金か
    らなることを特徴とする請求項1記載の薄膜磁気ヘッ
    ド。
  3. 【請求項3】 上記第2の磁性膜は、Coを含有する非
    晶質合金からなることを特徴とする請求項1記載の薄膜
    磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 上記下層コアは、 上記非磁性層下に設けられた第3の磁性膜と、 上記第3の磁性膜下に設けられた第2の非磁性絶縁層
    と、 上記第2の非磁性絶縁層下に設けられた第4の磁性膜と
    を備え、 上記第3の磁性膜の飽和磁束密度が、上記第4の磁性膜
    の飽和磁束密度よりも高く、 上記第2の非磁性絶縁膜の膜厚が、50nm未満かつ上
    記磁気ギャップの間隔の1/10以下であることを特徴
    とする請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 上記基板と上記下層コア間には、磁気抵
    抗効果素子によって磁気記録媒体からの磁気信号を検出
    する磁気抵抗効果型磁気ヘッド部が設けられていること
    を特徴とする請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。
JP17263697A 1997-06-27 1997-06-27 薄膜磁気ヘッド Withdrawn JPH1125419A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7961428B2 (en) 2006-07-04 2011-06-14 Tdk Corporation Thin-film magnetic head having magnetic layer with non-magnetic layer therewithin

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US7961428B2 (en) 2006-07-04 2011-06-14 Tdk Corporation Thin-film magnetic head having magnetic layer with non-magnetic layer therewithin

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