JPH11253811A - 酸素還元用マンガン錯体触媒 - Google Patents
酸素還元用マンガン錯体触媒Info
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- JPH11253811A JPH11253811A JP10057165A JP5716598A JPH11253811A JP H11253811 A JPH11253811 A JP H11253811A JP 10057165 A JP10057165 A JP 10057165A JP 5716598 A JP5716598 A JP 5716598A JP H11253811 A JPH11253811 A JP H11253811A
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/50—Fuel cells
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- Catalysts (AREA)
- Electrodes For Compound Or Non-Metal Manufacture (AREA)
- Inert Electrodes (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 溶存酸素分子を4電子還元・4プロトン移動
により還元して水に変換し、その自由エネルギーを電極
電位として効率よく取り出すことを可能とする高活性
で、安定性に優れた酸素還元錯体触媒を提供する。 【解決手段】 μ−オキソ二核マンガン(III) 錯体およ
びμ−オキソマンガン(III, IV) 混合原子価二核錯体
が、β−ジケトン配位子、テトラフェニルポルフィリ
ン、オクタエチルポルフィリン、プロトポルフィリンI
X、4−ピリジルポルフィリン等のポルフィリン系大環
状配位子、フタロシアニン系大環状配位子、アセチルア
セトンアルキレンジイミン系配位子、またはサリチルア
ルデヒドアルキレンジイミン系配位子をもって二核構成
された錯体系を、酸素還元触媒とする。
により還元して水に変換し、その自由エネルギーを電極
電位として効率よく取り出すことを可能とする高活性
で、安定性に優れた酸素還元錯体触媒を提供する。 【解決手段】 μ−オキソ二核マンガン(III) 錯体およ
びμ−オキソマンガン(III, IV) 混合原子価二核錯体
が、β−ジケトン配位子、テトラフェニルポルフィリ
ン、オクタエチルポルフィリン、プロトポルフィリンI
X、4−ピリジルポルフィリン等のポルフィリン系大環
状配位子、フタロシアニン系大環状配位子、アセチルア
セトンアルキレンジイミン系配位子、またはサリチルア
ルデヒドアルキレンジイミン系配位子をもって二核構成
された錯体系を、酸素還元触媒とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、マンガン
二核錯体触媒に関するものである。さらに詳しくは、こ
の出願の発明は、水および有機溶媒中の溶存酸素の還元
や、燃料電池の酸素還元電極触媒等として有用な、新し
い酸素還元用マンガン二核錯体触媒、並びにこれを用い
た酸素酸化触媒に関するものである。
二核錯体触媒に関するものである。さらに詳しくは、こ
の出願の発明は、水および有機溶媒中の溶存酸素の還元
や、燃料電池の酸素還元電極触媒等として有用な、新し
い酸素還元用マンガン二核錯体触媒、並びにこれを用い
た酸素酸化触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、酸素の電解還元に
ついては、1電子還元によるスーパーオキシドの生成
や、2電子還元による過酸化水素の生成が知られている
が、4電子還元による水の生成を可能とする方法やその
ための触媒に関してはあまり知られていない。4電子還
元では最も高い電位で酸素を還元することになるので、
この4電子還元を可能とする触媒が見出されるとする
と、この触媒は酸化力の強い酸化剤として利用すること
にもなる。しかも4電子還元では水を生成するため、そ
のための触媒は、クリーンなエネルギー変換系を提供す
ることができることになる。
ついては、1電子還元によるスーパーオキシドの生成
や、2電子還元による過酸化水素の生成が知られている
が、4電子還元による水の生成を可能とする方法やその
ための触媒に関してはあまり知られていない。4電子還
元では最も高い電位で酸素を還元することになるので、
この4電子還元を可能とする触媒が見出されるとする
と、この触媒は酸化力の強い酸化剤として利用すること
にもなる。しかも4電子還元では水を生成するため、そ
のための触媒は、クリーンなエネルギー変換系を提供す
ることができることになる。
【0003】たとえばこれまでにも、平滑な白金電極
は、強酸性下で酸素4電子還元を可能とする酸素還元と
して燃料電池に利用されている。しかしながら、これま
での酸素4電子還元系では過電圧が大きいことから、こ
のエネルギーロスを解決することが必要となる。そこ
で、これまでにも、そのための手段として数多くの電子
移動速度増加剤、すなわち電極触媒系の提案がなされて
きている。まず、コバルトポルフィリン二核錯体による
解決方法が試みられている(たとえば、F.C. Ansonet.
al., J. Am. Chem. Soc., 1980, 102, 6027)。だが、
触媒の作動速度が遅く、酸素還元電流が低い値にとどま
る結果となっている。また錯体の合成が極めて困難で収
率も悪く、酸素と錯体の反応機構も十分に解明されてい
ない。
は、強酸性下で酸素4電子還元を可能とする酸素還元と
して燃料電池に利用されている。しかしながら、これま
での酸素4電子還元系では過電圧が大きいことから、こ
のエネルギーロスを解決することが必要となる。そこ
で、これまでにも、そのための手段として数多くの電子
移動速度増加剤、すなわち電極触媒系の提案がなされて
きている。まず、コバルトポルフィリン二核錯体による
解決方法が試みられている(たとえば、F.C. Ansonet.
al., J. Am. Chem. Soc., 1980, 102, 6027)。だが、
触媒の作動速度が遅く、酸素還元電流が低い値にとどま
る結果となっている。また錯体の合成が極めて困難で収
率も悪く、酸素と錯体の反応機構も十分に解明されてい
ない。
【0004】また、酸素の4電子還元触媒として、一つ
のコバルトポルフィリン錯体に複数の電子供与錯体(た
とえばルテニウムアンミン錯体)を連結した多核錯体系
が報告されている(たとえば、F.C. Anson et. al., J.
Am. Chem. Soc., 1991, 113, 9564)。だが、観測され
た還元作動電位は期待されたほど高いものではなく、し
かも、錯体が分解したり、あるいは電極表面から溶液中
に溶け出す場合があり、とても実用に耐え得ないのが実
情である。
のコバルトポルフィリン錯体に複数の電子供与錯体(た
とえばルテニウムアンミン錯体)を連結した多核錯体系
が報告されている(たとえば、F.C. Anson et. al., J.
Am. Chem. Soc., 1991, 113, 9564)。だが、観測され
た還元作動電位は期待されたほど高いものではなく、し
かも、錯体が分解したり、あるいは電極表面から溶液中
に溶け出す場合があり、とても実用に耐え得ないのが実
情である。
【0005】一方、錯体合成が容易で且つ安定性に優れ
た酸素4電子還元触媒として、μ−オキソ二核鉄大環状
配位子錯体系が報告されている(E. Tsuchida et. al.,
Chem. Lett., 1998, in press)。しかしながら、この
μ−オキソ二核鉄錯体はその構造の特異性において注目
されるものであるが、触媒活性の安定性、その製造法の
点等において実用的に必ずしも満足できるものではなっ
た。
た酸素4電子還元触媒として、μ−オキソ二核鉄大環状
配位子錯体系が報告されている(E. Tsuchida et. al.,
Chem. Lett., 1998, in press)。しかしながら、この
μ−オキソ二核鉄錯体はその構造の特異性において注目
されるものであるが、触媒活性の安定性、その製造法の
点等において実用的に必ずしも満足できるものではなっ
た。
【0006】そこで、この出願の発明は、μ−オキソ二
核錯体系に着目し、以上のとおりの従来の技術的限界を
超えて、酸素還元電位が高く、触媒活性が高いと共にそ
の安定性にも優れ、その調製も容易な、酸素4電子還元
を可能とする、新しい酸素還元触媒としての錯体を提供
することを課題としている。
核錯体系に着目し、以上のとおりの従来の技術的限界を
超えて、酸素還元電位が高く、触媒活性が高いと共にそ
の安定性にも優れ、その調製も容易な、酸素4電子還元
を可能とする、新しい酸素還元触媒としての錯体を提供
することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この出願は、上記の課題
を解決するために、第1の発明として、−0.5〜2V
までの酸化電位を有する、2価、3価、4価、5価、6
価および7価のいずれかの原子価またはそれらの混合原
子価の、二核のマンガン錯体からなる酸素還元用マンガ
ン錯体触媒を提供する。
を解決するために、第1の発明として、−0.5〜2V
までの酸化電位を有する、2価、3価、4価、5価、6
価および7価のいずれかの原子価またはそれらの混合原
子価の、二核のマンガン錯体からなる酸素還元用マンガ
ン錯体触媒を提供する。
【0008】マンガン錯体は、2価マンガンイオンの半
径が大きく配平面からの偏移が大きいこと、3価マンガ
ン(5 Eg:t2g 3 eg )では Jahn-Teller効果が極め
て大きくアキシャル結合距離が長くなることより、2価
マンガンポルフィリンへのO 2 配位は2電子移動を経由
して4価オキソマンガンを生成するのが特徴となってい
るが、この出願の発明者は、このような特徴に着目して
鋭意研究を重ねた結果、マンガン錯体系が酸素の4電子
還元を極めて効率高く触媒することを見出し、前記のと
おりの発明を完成させた。
径が大きく配平面からの偏移が大きいこと、3価マンガ
ン(5 Eg:t2g 3 eg )では Jahn-Teller効果が極め
て大きくアキシャル結合距離が長くなることより、2価
マンガンポルフィリンへのO 2 配位は2電子移動を経由
して4価オキソマンガンを生成するのが特徴となってい
るが、この出願の発明者は、このような特徴に着目して
鋭意研究を重ねた結果、マンガン錯体系が酸素の4電子
還元を極めて効率高く触媒することを見出し、前記のと
おりの発明を完成させた。
【0009】そして、この出願は、前記第1の発明に関
し、第2の発明として、二核のマンガン錯体は、二つの
マンガン原子が架橋配位子によって架橋されたものであ
る酸素還元用マンガン錯体触媒をはじめ、第3の発明と
して、酸性条件下に使用される酸素還元用マンガン錯体
触媒を、第4の発明として、マンガン錯体は、単核マン
ガン錯体のハロゲン化物が強塩基との反応により形成さ
れる二核錯体である酸素還元用マンガン錯体触媒を、第
5の発明として、配位子が、シッフ塩基、β−ジケトン
系二座配位子、ポルフィリンおよびフタロシアニン大環
状配位子、およびジチオカルバメート系配位子のうちの
少くとも1種のものである酸素還元用マンガン錯体触媒
を、第6の発明として、配位子とともにアニオンを有す
る酸素還元用マンガン錯体触媒を、第7の発明として、
錯体は、μ−オキソ二核錯体である酸素還元用マンガン
錯体触媒を、第8の発明として、ジチオカルバメート配
位子、β−ジケトン配位子、ポルフィリン系大環状配位
子、フタロシアニン系大環状配位子、アセチルアセトン
アルキレンジイミン系配位子、およびサリチルアルデヒ
ドエチレンジイミン系配位子のうちの少くとも1種のも
のと、過塩素酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオ
ロリン酸、テトラフルオロメタンスルホン酸、トリフル
オロ酢酸、メタンスルホン酸、塩酸、過ヨウ素酸などの
アニオンをもって構成されているμ−オキソ二核錯体か
らなる酸素還元用マンガン錯体触媒を提供する。
し、第2の発明として、二核のマンガン錯体は、二つの
マンガン原子が架橋配位子によって架橋されたものであ
る酸素還元用マンガン錯体触媒をはじめ、第3の発明と
して、酸性条件下に使用される酸素還元用マンガン錯体
触媒を、第4の発明として、マンガン錯体は、単核マン
ガン錯体のハロゲン化物が強塩基との反応により形成さ
れる二核錯体である酸素還元用マンガン錯体触媒を、第
5の発明として、配位子が、シッフ塩基、β−ジケトン
系二座配位子、ポルフィリンおよびフタロシアニン大環
状配位子、およびジチオカルバメート系配位子のうちの
少くとも1種のものである酸素還元用マンガン錯体触媒
を、第6の発明として、配位子とともにアニオンを有す
る酸素還元用マンガン錯体触媒を、第7の発明として、
錯体は、μ−オキソ二核錯体である酸素還元用マンガン
錯体触媒を、第8の発明として、ジチオカルバメート配
位子、β−ジケトン配位子、ポルフィリン系大環状配位
子、フタロシアニン系大環状配位子、アセチルアセトン
アルキレンジイミン系配位子、およびサリチルアルデヒ
ドエチレンジイミン系配位子のうちの少くとも1種のも
のと、過塩素酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオ
ロリン酸、テトラフルオロメタンスルホン酸、トリフル
オロ酢酸、メタンスルホン酸、塩酸、過ヨウ素酸などの
アニオンをもって構成されているμ−オキソ二核錯体か
らなる酸素還元用マンガン錯体触媒を提供する。
【0010】また、この出願は、第9の発明として、上
記のいずれかの酸素還元触媒からなる有機物の酸素酸化
触媒を、第10の発明として、酸化電位0〜1.5V
の、芳香族化合物の酸素酸化触媒なども提供する。
記のいずれかの酸素還元触媒からなる有機物の酸素酸化
触媒を、第10の発明として、酸化電位0〜1.5V
の、芳香族化合物の酸素酸化触媒なども提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】この出願の発明は、上記のとおり
のマンガン錯体を触媒とすることにより酸素還元を可能
とするものであるが、以下にさらに詳細に説明する。ま
ず、この発明の酸素還元触媒に用いるマンガン錯体とし
ては、たとえば配位子がアセチルアセトン等のβ−ジケ
トン系二座配位子、テトラフェニルポルフィリン、オク
タエチルポルフィリン、プロトポルフィリンIX、4−ピ
リジルポルフィリン等ポルフィリン系大環状配位子、フ
タロシアニン系大環状配位子、アセチルアセトンアルキ
レンジイミン系配位子、サリチルアルデヒドアルキレン
ジイミン系配位子等のシッフ塩基配位子で構成されるμ
−オキソ二核錯体である。ここでは、二つのマンガンは
オキソ配位子によって架橋されているものが特徴の一つ
として示される。たとえば、特に、テトラフェニルポル
フィリンおよびオクタエチルポルフィリンが例示され
る。
のマンガン錯体を触媒とすることにより酸素還元を可能
とするものであるが、以下にさらに詳細に説明する。ま
ず、この発明の酸素還元触媒に用いるマンガン錯体とし
ては、たとえば配位子がアセチルアセトン等のβ−ジケ
トン系二座配位子、テトラフェニルポルフィリン、オク
タエチルポルフィリン、プロトポルフィリンIX、4−ピ
リジルポルフィリン等ポルフィリン系大環状配位子、フ
タロシアニン系大環状配位子、アセチルアセトンアルキ
レンジイミン系配位子、サリチルアルデヒドアルキレン
ジイミン系配位子等のシッフ塩基配位子で構成されるμ
−オキソ二核錯体である。ここでは、二つのマンガンは
オキソ配位子によって架橋されているものが特徴の一つ
として示される。たとえば、特に、テトラフェニルポル
フィリンおよびオクタエチルポルフィリンが例示され
る。
【0012】そしてこの発明のマンガン系酸素還元触媒
では、活性状態でのマンガンの数が重要である。例え
ば、この発明により新たに提供されるμ−オキソ型ある
いはジオキソマンガン型の二核錯体は単核のマンガン錯
体よりも高い4電子還元反応選択性を持っていること
で、触媒活性が発現する。電極表面上に修飾したμ−オ
キソマンガン二核錯体は酸性雰囲気で酸素4電子還元を
高い効率で触媒活性を発現する。これらの二核錯体は強
酸との反応により開裂され、お互いに向かい合った二つ
の単核マンガン錯体が生成されることにより酸素還元の
触媒活性を示すのがこの発明の一つの特徴である。
では、活性状態でのマンガンの数が重要である。例え
ば、この発明により新たに提供されるμ−オキソ型ある
いはジオキソマンガン型の二核錯体は単核のマンガン錯
体よりも高い4電子還元反応選択性を持っていること
で、触媒活性が発現する。電極表面上に修飾したμ−オ
キソマンガン二核錯体は酸性雰囲気で酸素4電子還元を
高い効率で触媒活性を発現する。これらの二核錯体は強
酸との反応により開裂され、お互いに向かい合った二つ
の単核マンガン錯体が生成されることにより酸素還元の
触媒活性を示すのがこの発明の一つの特徴である。
【0013】また、マンガンの価数は、2価、3価、4
価、5価、6価および7価であるのが好適である。特に
3価と4価のマンガン錯体が好ましい。そして、前記の
μ−オキソ二核錯体の安定性を重視するとの観点から
は、立体障害を軽減するため、配位子の構造を最適に考
慮することが望まれる。たとえばサリチリデンアルキル
ジアミン配位子の場合には、アルキル鎖の炭素数を2〜
4とするのが望ましい。またポルフィリン系大環状配位
子の場合には、フェニル環の高い立体障害を有するテト
ラフェニルポルフィリンより比較的平面性の高いオクタ
エチルポルフィリンの方が望ましい。
価、5価、6価および7価であるのが好適である。特に
3価と4価のマンガン錯体が好ましい。そして、前記の
μ−オキソ二核錯体の安定性を重視するとの観点から
は、立体障害を軽減するため、配位子の構造を最適に考
慮することが望まれる。たとえばサリチリデンアルキル
ジアミン配位子の場合には、アルキル鎖の炭素数を2〜
4とするのが望ましい。またポルフィリン系大環状配位
子の場合には、フェニル環の高い立体障害を有するテト
ラフェニルポルフィリンより比較的平面性の高いオクタ
エチルポルフィリンの方が望ましい。
【0014】この発明に使用することのできるマンガン
錯体を例示すれば、μ−オキソビス(サリチルアルデヒ
ドエチレンジイミナトマンガン(III))二核錯体、μ−オ
キソビス(サリチルアルデヒドプロピレンジイミナトマ
ンガン(III))二核錯体、μ−オキソビス(サリチルアル
デヒド−2,2−ジメチル−1,3−プロピレンジイミ
ナトマンガン(III))二核錯体、μ−オキソビス(サリチ
ルアルデヒド−1,4−ブチレンジイミナトマンガン(I
II))二核錯体、μ−オキソビス(アセチルアセトンエチ
レンジイミナトマンガン(III))二核錯体、μ−オキソビ
ス(アセチルアセトンプロピレンジイミナトマンガン(I
II))二核錯体、μ−オキソビス(アセチルアセトン−
2,2−ジメチル−1,3−プロピレンジイミナトマン
ガン(III))二核錯体、μ−オキソビス(アセチルアセト
ン−1,4−ブチレンジイミナトマンガン(III))二核錯
体などのμ−オキソマンガン(III) 二核シッフ塩基錯
体、μ−オキソビス(メソテトラフェニルポルフィリナ
トマンガン(III))二核錯体、μ−オキソビス(オクタエ
チルポルフィリナトマンガン(III))二核錯体、μ−オキ
ソビス(プロトポルフィリナト−IXマンガン(III))二核
錯体、μ−オキソビス(フタロシアニナトマンガン(II
I))二核錯体などのμ−オキソマンガン(III) 二核大環
状配位子錯体、μ−オキソビス(アセチルアセトナトマ
ンガン(III))二核錯体、μ−オキソビス(2,3−ヘプ
タンジオナトマンガン(III))二核錯体、μ−オキソビス
(1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオナ
トマンガン(III))二核錯体、μ−オキソビス(1,1,
1−トリメチル−2,4−ペンタンジオナトマンガン(I
II))二核錯体、μ−オキソビス(1−フェニル−1,3
−ペンタンジオナトマンガン(III))二核錯体などのμ−
オキソマンガン(III) 二核β−ジケトン配位子錯体、μ
−オキソビス(N,N′−エチレンビス(サリチリデン
アミナト)マンガン(III))二核錯体、μ−オキソビス
(N,N′−プロピレンビス(サリチリデンアミナト)
マンガン(III))二核錯体などのμ−オキソマンガン(II
I) 二核サレン系錯体、μ−オキソビス(サリチルアル
デヒドエチレンジイミナトマンガン(III,IV))トリヨー
ド二核錯体、μ−オキソビス(サリチルアルデヒドプロ
ピレンジイミナトマンガン(III,IV))ペンタヨージド二
核錯体、μ−オキソビス(サリチルアルデヒド−2,2
−ジメチル−1,3−プロピレンジイミナトマンガン(I
II, IV))トリヨード二核錯体、μ−オキソビス(サリチ
ルアルデヒド−1,4−ブチレンジイミナトマンガン(I
II, IV))テトラフルオロホウ酸塩二核錯体、μ−オキソ
ビス(アセチルアセトンエチレンジイミナトマンガン(I
II, IV))ヘキサフルオロリン酸塩二核錯体、μ−オキソ
ビス(アセチルアセトンプロピレンジイミナトマンガン
(III, IV))トリフルオロメタンスルホン酸塩二核錯体、
μ−オキソビス(アセチルアセトン−2,2−ジメチル
−1,3−プロピレンジイミナトマンガン(III, IV))過
塩素酸塩二核錯体、μ−オキソビス(アセチルアセトン
−1,4−ブチレンジイミナトマンガン(III, IV))過ヨ
ウ素酸塩二核錯体などのμ−オキソマンガン(III, IV))
混合原子価二核シッフ塩基錯体、μ−オキソビス(メソ
テトラフェニルポルフィリナトマンガン(III, IV))テト
ラフルオロホウ酸塩二核錯体、μ−オキソビス(オクタ
エチルポルフィリナトマンガン(III, IV))ヘキサフルオ
ロリン酸塩二核錯体、μ−オキソビス(プロトポルフィ
リナト−IXマンガン(III, IV))トリフルオロメタンスル
ホン酸塩二核錯体、μ−オキソビス(フタロシアニナト
マンガン(III, IV))過塩素酸塩二核錯体などのμ−オキ
ソマンガン(III, IV) 混合原子価二核大環状配位子錯
体、μ−オキソビス(アセチルアセトナトマンガン(II
I, IV))過ヨウ素酸塩二核錯体、μ−オキソビス(2,
3−ヘプタンジオナトマンガン(III, IV))メタンスルホ
ン酸塩二核錯体、μ−オキソビス(1,1,1−トリフ
ルオロ−2,4−ペンタンジオナトマンガン(III, IV))
塩酸塩二核錯体、μ−オキソビス(1,1,1−トリメ
チル−2,4−ペンタジオナトマンガン(III, IV))トリ
フルオロ酢酸塩二核錯体、μ−オキソビス(1−フェニ
ル−1,3−ペンタンジオナトマンガン(III, IV))テト
ラフルオロホウ酸塩二核錯体などのμ−オキソマンガン
(III, IV) 混合原子価二核β−ジケトン配位子錯体、μ
−オキソビス(N,N′−エチレンビス(サリチリデン
アミナト)マンガン(III, IV))ヘキサフルオロリン酸塩
二核錯体、μ−オキソビス(N,N′−プロピレンビス
(サリチリデンアミナト)マンガン(III, IV))トリフル
オロメタンスルホン酸塩二核錯体等が挙げられる。
錯体を例示すれば、μ−オキソビス(サリチルアルデヒ
ドエチレンジイミナトマンガン(III))二核錯体、μ−オ
キソビス(サリチルアルデヒドプロピレンジイミナトマ
ンガン(III))二核錯体、μ−オキソビス(サリチルアル
デヒド−2,2−ジメチル−1,3−プロピレンジイミ
ナトマンガン(III))二核錯体、μ−オキソビス(サリチ
ルアルデヒド−1,4−ブチレンジイミナトマンガン(I
II))二核錯体、μ−オキソビス(アセチルアセトンエチ
レンジイミナトマンガン(III))二核錯体、μ−オキソビ
ス(アセチルアセトンプロピレンジイミナトマンガン(I
II))二核錯体、μ−オキソビス(アセチルアセトン−
2,2−ジメチル−1,3−プロピレンジイミナトマン
ガン(III))二核錯体、μ−オキソビス(アセチルアセト
ン−1,4−ブチレンジイミナトマンガン(III))二核錯
体などのμ−オキソマンガン(III) 二核シッフ塩基錯
体、μ−オキソビス(メソテトラフェニルポルフィリナ
トマンガン(III))二核錯体、μ−オキソビス(オクタエ
チルポルフィリナトマンガン(III))二核錯体、μ−オキ
ソビス(プロトポルフィリナト−IXマンガン(III))二核
錯体、μ−オキソビス(フタロシアニナトマンガン(II
I))二核錯体などのμ−オキソマンガン(III) 二核大環
状配位子錯体、μ−オキソビス(アセチルアセトナトマ
ンガン(III))二核錯体、μ−オキソビス(2,3−ヘプ
タンジオナトマンガン(III))二核錯体、μ−オキソビス
(1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオナ
トマンガン(III))二核錯体、μ−オキソビス(1,1,
1−トリメチル−2,4−ペンタンジオナトマンガン(I
II))二核錯体、μ−オキソビス(1−フェニル−1,3
−ペンタンジオナトマンガン(III))二核錯体などのμ−
オキソマンガン(III) 二核β−ジケトン配位子錯体、μ
−オキソビス(N,N′−エチレンビス(サリチリデン
アミナト)マンガン(III))二核錯体、μ−オキソビス
(N,N′−プロピレンビス(サリチリデンアミナト)
マンガン(III))二核錯体などのμ−オキソマンガン(II
I) 二核サレン系錯体、μ−オキソビス(サリチルアル
デヒドエチレンジイミナトマンガン(III,IV))トリヨー
ド二核錯体、μ−オキソビス(サリチルアルデヒドプロ
ピレンジイミナトマンガン(III,IV))ペンタヨージド二
核錯体、μ−オキソビス(サリチルアルデヒド−2,2
−ジメチル−1,3−プロピレンジイミナトマンガン(I
II, IV))トリヨード二核錯体、μ−オキソビス(サリチ
ルアルデヒド−1,4−ブチレンジイミナトマンガン(I
II, IV))テトラフルオロホウ酸塩二核錯体、μ−オキソ
ビス(アセチルアセトンエチレンジイミナトマンガン(I
II, IV))ヘキサフルオロリン酸塩二核錯体、μ−オキソ
ビス(アセチルアセトンプロピレンジイミナトマンガン
(III, IV))トリフルオロメタンスルホン酸塩二核錯体、
μ−オキソビス(アセチルアセトン−2,2−ジメチル
−1,3−プロピレンジイミナトマンガン(III, IV))過
塩素酸塩二核錯体、μ−オキソビス(アセチルアセトン
−1,4−ブチレンジイミナトマンガン(III, IV))過ヨ
ウ素酸塩二核錯体などのμ−オキソマンガン(III, IV))
混合原子価二核シッフ塩基錯体、μ−オキソビス(メソ
テトラフェニルポルフィリナトマンガン(III, IV))テト
ラフルオロホウ酸塩二核錯体、μ−オキソビス(オクタ
エチルポルフィリナトマンガン(III, IV))ヘキサフルオ
ロリン酸塩二核錯体、μ−オキソビス(プロトポルフィ
リナト−IXマンガン(III, IV))トリフルオロメタンスル
ホン酸塩二核錯体、μ−オキソビス(フタロシアニナト
マンガン(III, IV))過塩素酸塩二核錯体などのμ−オキ
ソマンガン(III, IV) 混合原子価二核大環状配位子錯
体、μ−オキソビス(アセチルアセトナトマンガン(II
I, IV))過ヨウ素酸塩二核錯体、μ−オキソビス(2,
3−ヘプタンジオナトマンガン(III, IV))メタンスルホ
ン酸塩二核錯体、μ−オキソビス(1,1,1−トリフ
ルオロ−2,4−ペンタンジオナトマンガン(III, IV))
塩酸塩二核錯体、μ−オキソビス(1,1,1−トリメ
チル−2,4−ペンタジオナトマンガン(III, IV))トリ
フルオロ酢酸塩二核錯体、μ−オキソビス(1−フェニ
ル−1,3−ペンタンジオナトマンガン(III, IV))テト
ラフルオロホウ酸塩二核錯体などのμ−オキソマンガン
(III, IV) 混合原子価二核β−ジケトン配位子錯体、μ
−オキソビス(N,N′−エチレンビス(サリチリデン
アミナト)マンガン(III, IV))ヘキサフルオロリン酸塩
二核錯体、μ−オキソビス(N,N′−プロピレンビス
(サリチリデンアミナト)マンガン(III, IV))トリフル
オロメタンスルホン酸塩二核錯体等が挙げられる。
【0015】いずれのものにおいても、この発明では中
心金属にマンガンの2価〜7価の原子価変換が触媒活性
の役割を担い、配位子は主に酸化還元電位の調節に寄与
されるものと考えている。このため、前記に例示の配位
子以外であっても、溶液中で安定にマンガン二核錯体を
形成するものは、この触媒に含まれるものである。この
発明の酸素還元触媒は、構造が明確であるうえ、これを
溶存させると酸性下で、−0.5V以上の高い電位で酸
素の2電子、または4電子での電解還元を選択度高く可
能とする。そして、4電子還元の選択性が70%以上と
高いため高原子価マンガンの強い酸化力を利用して、均
一系で、有機化合物の酸素酸化反応を促進させる触媒と
しても働く。また、錯体を電極表面に固定して、不均一
系電極触媒とすることもでき、燃料電池の酸素還元電
極、酸素検出用センサーなどに利用することができる。
心金属にマンガンの2価〜7価の原子価変換が触媒活性
の役割を担い、配位子は主に酸化還元電位の調節に寄与
されるものと考えている。このため、前記に例示の配位
子以外であっても、溶液中で安定にマンガン二核錯体を
形成するものは、この触媒に含まれるものである。この
発明の酸素還元触媒は、構造が明確であるうえ、これを
溶存させると酸性下で、−0.5V以上の高い電位で酸
素の2電子、または4電子での電解還元を選択度高く可
能とする。そして、4電子還元の選択性が70%以上と
高いため高原子価マンガンの強い酸化力を利用して、均
一系で、有機化合物の酸素酸化反応を促進させる触媒と
しても働く。また、錯体を電極表面に固定して、不均一
系電極触媒とすることもでき、燃料電池の酸素還元電
極、酸素検出用センサーなどに利用することができる。
【0016】そして、この発明の酸素還元触媒は、系の
酸素還元毎に応じて2電子過程、4電子過程の制御が可
能のほか、たとえば活性酸素の溶存が好ましくないよう
な酸素酸化反応、高電位(酸素4電子還元熱力学電位)
での酸素還元等の利用目的に応じての使い分けが可能で
ある。以下、実施例を示し、さらに詳しく発明の実施の
形態について説明する。
酸素還元毎に応じて2電子過程、4電子過程の制御が可
能のほか、たとえば活性酸素の溶存が好ましくないよう
な酸素酸化反応、高電位(酸素4電子還元熱力学電位)
での酸素還元等の利用目的に応じての使い分けが可能で
ある。以下、実施例を示し、さらに詳しく発明の実施の
形態について説明する。
【0017】
【実施例】実施例1 蒸留精製ジクロロメタン25mlにμ−オキソビス(テ
トラフェニルポルフィリナトマンガン(III))二核錯体1
7mgとテトラブチルアンモニウムテトラフルオロホウ
酸塩0.83gを加え、純粋アルゴン気流下、常温で攪
拌しながらトリフルオロ酢酸14.3gを滴下した。こ
れを常温で10分程度攪拌した後、アルゴン気流下で3
室式電気化学測定セルに移動し、密閉の後、系を酸素ガ
スで置換した。電解は、作用電極にグラッシーカーボン
ディスク電極、白金リング電極、対極に白金ワイヤー電
極、参照電極に銀/塩化銀電極を用い、ディスク電極電
位を掃引して酸素還元電位に設定、同時に生成する過酸
化水素を独立に一定電位に設定したリング電極で酸化す
ることにより検出した。測定は静止系(サイクリックボ
ルタンメトリー)と対流系(回転リングディスクボルタ
ンメトリー)の両方で実施し、検出電流をX−Yレコー
ダーを用いてグラフ用紙に記録した。この結果、−0.
5Vに酸素4電子還元に由来する還元電流がディスク上
で検出された。リング電極で検出された過酸化水素の電
流値はごくわずかであった。使用した回転リングディス
ク電極の形状に由来する補足率Nは、フェロセン/フェ
ロセニウム対を用いて0.37と決定された。アルゴン
雰囲気下では、上述の酸素還元由来の還元電流は当然観
測されず、溶存錯体由来の酸化還元波(−0.5V)の
みとなる。酸素雰囲気下での補足率の値より、4電子還
元の選択度は70%以上と決定された。
トラフェニルポルフィリナトマンガン(III))二核錯体1
7mgとテトラブチルアンモニウムテトラフルオロホウ
酸塩0.83gを加え、純粋アルゴン気流下、常温で攪
拌しながらトリフルオロ酢酸14.3gを滴下した。こ
れを常温で10分程度攪拌した後、アルゴン気流下で3
室式電気化学測定セルに移動し、密閉の後、系を酸素ガ
スで置換した。電解は、作用電極にグラッシーカーボン
ディスク電極、白金リング電極、対極に白金ワイヤー電
極、参照電極に銀/塩化銀電極を用い、ディスク電極電
位を掃引して酸素還元電位に設定、同時に生成する過酸
化水素を独立に一定電位に設定したリング電極で酸化す
ることにより検出した。測定は静止系(サイクリックボ
ルタンメトリー)と対流系(回転リングディスクボルタ
ンメトリー)の両方で実施し、検出電流をX−Yレコー
ダーを用いてグラフ用紙に記録した。この結果、−0.
5Vに酸素4電子還元に由来する還元電流がディスク上
で検出された。リング電極で検出された過酸化水素の電
流値はごくわずかであった。使用した回転リングディス
ク電極の形状に由来する補足率Nは、フェロセン/フェ
ロセニウム対を用いて0.37と決定された。アルゴン
雰囲気下では、上述の酸素還元由来の還元電流は当然観
測されず、溶存錯体由来の酸化還元波(−0.5V)の
みとなる。酸素雰囲気下での補足率の値より、4電子還
元の選択度は70%以上と決定された。
【0018】この触媒系を用いてアルゴン雰囲気下で過
酸化水素の電解還元を実施したが、接触還元波は見られ
なかった。以上の事実より、触媒を介した酸素の直接4
電子還元による水生成が確認された。実施例2 超純水25mlにアンモニウムヘキサフルオロリン酸塩
0.41gを入れ、純アルゴン気流下、常温で攪拌しな
がら過塩素酸を0.5Mになるまで滴下した。これを常
温で10分程度攪拌したあと、アルゴン純粋気流下で3
室式電気化学測定セルに移動し、密閉のあと、系を酸素
ガスで置換した。0.5mMトルエン溶液5μlのμ−
オキソビス(オクタエチルポルフィリナトマンガン(II
I))二核錯体をスピンコーティングにより電極に修飾し
た。電解は、作用電極にグラッシーカーボンディスク電
極、白金リング電極、対極に白金ワイヤー電極、参照電
極に飽和カロメル電極を用い、ディスク電極電位に掃引
して酸素還元電位に設定、同時に生成する過酸化水素を
独立に一定電位に設定したリング電極で酸化することに
より検出した。測定は静止系(サイクリックボルタンメ
トリー)と対流系(回転リングディスクボルタンメトリ
ー)の両方で実施し、検出電流をX−Yレコーダーを用
いてグラフ用紙に記録した。この結果、−0.4Vに酸
素4電子還元に由来する還元電流がディスク上で検出さ
れた。リング電極で検出された過酸化水素の電流値はご
くわずかであった。使用した回転リングディスク電極の
形状に由来する補足率Nは、フェリシアン/フェリシニ
ウム対を用いて0.36と決定された。アルゴン雰囲気
下では、上述の酸素還元由来の還元電流は当然観測され
ず、溶存酸素錯体由来の酸化還元電位(−0.4V)の
みとなる。酸素雰囲気下での補足率の値より、4電子還
元の選択度は88%以上と決定された。
酸化水素の電解還元を実施したが、接触還元波は見られ
なかった。以上の事実より、触媒を介した酸素の直接4
電子還元による水生成が確認された。実施例2 超純水25mlにアンモニウムヘキサフルオロリン酸塩
0.41gを入れ、純アルゴン気流下、常温で攪拌しな
がら過塩素酸を0.5Mになるまで滴下した。これを常
温で10分程度攪拌したあと、アルゴン純粋気流下で3
室式電気化学測定セルに移動し、密閉のあと、系を酸素
ガスで置換した。0.5mMトルエン溶液5μlのμ−
オキソビス(オクタエチルポルフィリナトマンガン(II
I))二核錯体をスピンコーティングにより電極に修飾し
た。電解は、作用電極にグラッシーカーボンディスク電
極、白金リング電極、対極に白金ワイヤー電極、参照電
極に飽和カロメル電極を用い、ディスク電極電位に掃引
して酸素還元電位に設定、同時に生成する過酸化水素を
独立に一定電位に設定したリング電極で酸化することに
より検出した。測定は静止系(サイクリックボルタンメ
トリー)と対流系(回転リングディスクボルタンメトリ
ー)の両方で実施し、検出電流をX−Yレコーダーを用
いてグラフ用紙に記録した。この結果、−0.4Vに酸
素4電子還元に由来する還元電流がディスク上で検出さ
れた。リング電極で検出された過酸化水素の電流値はご
くわずかであった。使用した回転リングディスク電極の
形状に由来する補足率Nは、フェリシアン/フェリシニ
ウム対を用いて0.36と決定された。アルゴン雰囲気
下では、上述の酸素還元由来の還元電流は当然観測され
ず、溶存酸素錯体由来の酸化還元電位(−0.4V)の
みとなる。酸素雰囲気下での補足率の値より、4電子還
元の選択度は88%以上と決定された。
【0019】この触媒系を用いてアルゴン雰囲気下で過
酸化水素の電解還元を実施したが、接触還元波は見られ
なかった。以上の事実より、触媒を介した酸素の直接4
電子還元による水生成が確認された。実施例3 蒸留精製したクロロホルム100mlにμ−オキソビス
(オクタエチルポルフィリナトマンガン(III))二核錯体
0.5gを加え、純粋アルゴン気流下均一になるまで攪
拌した。さらにニトロソテトラフルオロホウ酸塩0.4
3gを加え、この溶液を30分攪拌したあと、溶媒を留
去し、残った固体を水で洗浄し、一晩真空乾燥した。得
られた粉末をジクロロメタン−ヘキサンから再結晶し
た。生成物のX軸結晶構造解析より、μ−オキソビス
(オクタエチルポルフィリナトマンガン(III, IV))テト
ラフルオロホウ酸塩混合原子価二核錯体の生成を確認し
た。実施例4 蒸留精製ジクロロメタン25mlにμ−オキソビス(テ
トラフェニルポルフィリナトマンガン(III, IV))テトラ
フルオロホウ酸塩混合原子価二核錯体18mgとテトラ
ブチルアンモニウムテトラフルオロホウ酸塩0.83g
を加え、純粋アルゴン気流下、常温で攪拌しながら3室
式電気化学測定セルに移動した。グラッシーカーボンデ
ィスク電極にμ−オキソビス(テトラフェニルボルフィ
リナトマンガン(III, IV))テトラフルオロホウ酸塩混合
原子価二核錯体のジクロロメタン溶液を滴下し、自然乾
燥させることによりマンガン二核錯体の修飾電極を作製
した。次に、この修飾電極を用いて、酸素飽和した酸性
水溶液での酸素還元を実施した。この場合、電解度はト
リフルオロ酢酸1.43gを含む超純水を使用した。参
照極には飽和カロメル電極を用いた。作用極の設定電位
を掃引すると、0.1Vに酸素還元由来の還元波が観測
された。過酸化水素の電解還元が見られないことによ
り、触媒系を介した酸素の直接4電子還元による水生成
が確認された。
酸化水素の電解還元を実施したが、接触還元波は見られ
なかった。以上の事実より、触媒を介した酸素の直接4
電子還元による水生成が確認された。実施例3 蒸留精製したクロロホルム100mlにμ−オキソビス
(オクタエチルポルフィリナトマンガン(III))二核錯体
0.5gを加え、純粋アルゴン気流下均一になるまで攪
拌した。さらにニトロソテトラフルオロホウ酸塩0.4
3gを加え、この溶液を30分攪拌したあと、溶媒を留
去し、残った固体を水で洗浄し、一晩真空乾燥した。得
られた粉末をジクロロメタン−ヘキサンから再結晶し
た。生成物のX軸結晶構造解析より、μ−オキソビス
(オクタエチルポルフィリナトマンガン(III, IV))テト
ラフルオロホウ酸塩混合原子価二核錯体の生成を確認し
た。実施例4 蒸留精製ジクロロメタン25mlにμ−オキソビス(テ
トラフェニルポルフィリナトマンガン(III, IV))テトラ
フルオロホウ酸塩混合原子価二核錯体18mgとテトラ
ブチルアンモニウムテトラフルオロホウ酸塩0.83g
を加え、純粋アルゴン気流下、常温で攪拌しながら3室
式電気化学測定セルに移動した。グラッシーカーボンデ
ィスク電極にμ−オキソビス(テトラフェニルボルフィ
リナトマンガン(III, IV))テトラフルオロホウ酸塩混合
原子価二核錯体のジクロロメタン溶液を滴下し、自然乾
燥させることによりマンガン二核錯体の修飾電極を作製
した。次に、この修飾電極を用いて、酸素飽和した酸性
水溶液での酸素還元を実施した。この場合、電解度はト
リフルオロ酢酸1.43gを含む超純水を使用した。参
照極には飽和カロメル電極を用いた。作用極の設定電位
を掃引すると、0.1Vに酸素還元由来の還元波が観測
された。過酸化水素の電解還元が見られないことによ
り、触媒系を介した酸素の直接4電子還元による水生成
が確認された。
【0020】
【発明の効果】この発明の酸素還元触媒は、酸素還元電
位が高く、触媒活性が高く、その安定性にも優れてい
る。そして、これを均一系触媒として使用することによ
り、マンガンの高い酸化力を利用して、有機化合物の酸
素酸化を図ることができ、進んで選択的な4電子酸化に
よる水の生成を伴う高い酸化電位を引き出すことができ
る。また、不均一系電極表面触媒として用いることによ
り、燃料電池の酸素還元電極、酸素センサーとしての用
途を提供するため、産業に資するところが極めて大き
い。
位が高く、触媒活性が高く、その安定性にも優れてい
る。そして、これを均一系触媒として使用することによ
り、マンガンの高い酸化力を利用して、有機化合物の酸
素酸化を図ることができ、進んで選択的な4電子酸化に
よる水の生成を伴う高い酸化電位を引き出すことができ
る。また、不均一系電極表面触媒として用いることによ
り、燃料電池の酸素還元電極、酸素センサーとしての用
途を提供するため、産業に資するところが極めて大き
い。
Claims (10)
- 【請求項1】 −0.5〜2Vまでの酸化電位を有す
る、2価、3価、4価、5価、6価および7価のいずれ
かの原子価またはそれらの混合原子価の、二核のマンガ
ン錯体からなることを特徴とする酸素還元用マンガン錯
体触媒。 - 【請求項2】 二核のマンガン錯体は、二つのマンガン
原子が架橋配位子により連結されたものである請求項1
の酸素還元用マンガン錯体触媒。 - 【請求項3】 酸性条件下に使用される請求項1または
2の酸素還元用マンガン錯体触媒。 - 【請求項4】 マンガン錯体は、単核マンガン錯体のハ
ロゲン化物が強塩基との反応により形成される二核錯体
である請求項1ないし3のいずれかの酸素還元用マンガ
ン錯体触媒。 - 【請求項5】 配位子が、シッフ塩基、β−ジケトン系
二座配位子、ポルフィリンおよびフタロシアニン大環状
配位子、およびジチオカルバメート系配位子のうちの少
くとも1種のものである請求項1ないし4のいずれかの
酸素還元用マンガン錯体触媒。 - 【請求項6】 配位子とともにアニオンを有する請求項
1ないし5のいずれかの酸素還元用マンガン錯体触媒。 - 【請求項7】 錯体は、μ−オキソ二核錯体である請求
項1ないし6のいずれかの酸素還元用マンガン錯体触
媒。 - 【請求項8】 ジチオカルバメート配位子、β−ジケト
ン配位子、ポルフィリン系大環状配位子、フタロシアニ
ン系大環状配位子、アセチルアセトンアルキレンジイミ
ン系配位子、およびサリチルアルデヒドエチレンジイミ
ン系配位子のうちの少くとも1種のものと、過塩素酸、
テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、テトラ
フルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、メタン
スルホン酸、塩酸、過ヨウ素酸などのアニオンをもって
構成されている請求項7のμ−オキソ二核錯体からなる
酸素還元用マンガン錯体触媒。 - 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかの酸素還元
触媒からなる有機物の酸素酸化触媒。 - 【請求項10】 酸化電位0〜1.5Vの、請求項9の
芳香族化合物の酸素酸化触媒。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05716598A JP3366566B2 (ja) | 1998-03-09 | 1998-03-09 | 酸素還元用マンガン錯体触媒 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05716598A JP3366566B2 (ja) | 1998-03-09 | 1998-03-09 | 酸素還元用マンガン錯体触媒 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11253811A true JPH11253811A (ja) | 1999-09-21 |
JP3366566B2 JP3366566B2 (ja) | 2003-01-14 |
Family
ID=13047957
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05716598A Expired - Fee Related JP3366566B2 (ja) | 1998-03-09 | 1998-03-09 | 酸素還元用マンガン錯体触媒 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3366566B2 (ja) |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6939630B2 (en) | 2001-08-29 | 2005-09-06 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Composite electrode for reducing oxygen |
JP2005281057A (ja) * | 2004-03-30 | 2005-10-13 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 燃料電池型反応装置 |
JP2006059578A (ja) * | 2004-08-18 | 2006-03-02 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 固体高分子形燃料電池用カソード電極触媒とその製造方法 |
JP2006202686A (ja) * | 2005-01-24 | 2006-08-03 | Asahi Kasei Corp | 金属化合物の燃料電池用電極触媒 |
WO2008111569A1 (ja) * | 2007-03-09 | 2008-09-18 | National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology | 燃料電池用電極触媒 |
JP2008258150A (ja) * | 2007-03-09 | 2008-10-23 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 燃料電池用電極触媒 |
US7695850B2 (en) | 2005-08-25 | 2010-04-13 | Panasonic Corporation | Electrode for use in oxygen reduction |
US8114803B2 (en) | 2005-02-03 | 2012-02-14 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Catalyst material and process for preparing the same |
US9786925B2 (en) | 2004-04-22 | 2017-10-10 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Fuel cell and fuel cell use gas diffusion electrode |
CN107652436A (zh) * | 2016-07-23 | 2018-02-02 | 金华职业技术学院 | 一种不同价双核锰(ii,iii)一维双带状配位聚合物及其制备方法 |
-
1998
- 1998-03-09 JP JP05716598A patent/JP3366566B2/ja not_active Expired - Fee Related
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