JPH11246595A - 制癌作用を有する生理活性物質、その生産菌、製造方法および用途 - Google Patents

制癌作用を有する生理活性物質、その生産菌、製造方法および用途

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JPH11246595A
JPH11246595A JP10062074A JP6207498A JPH11246595A JP H11246595 A JPH11246595 A JP H11246595A JP 10062074 A JP10062074 A JP 10062074A JP 6207498 A JP6207498 A JP 6207498A JP H11246595 A JPH11246595 A JP H11246595A
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srt
glycoprotein
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kda
molecular weight
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Hidenao Takazawa
秀直 高沢
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Senka Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制癌作用DNA合成抑制および阻害作用、癌
細胞アポトーシス誘導作用、プロテアーゼ作用を有する
アスパラギン型糖鎖を有する分子量34〜83kDaの
糖タンパク質、又はそれらの混合物、その生産菌、製造
方法および用途を得るものである。 【解決手段】 Con.Aに吸着するアスパラギン型糖
鎖を有する分子量34〜83kDaの糖タンパク質を生
産することができる、アスペルギルス属に属する微生物
を培養し、該培養物からCon.Aに吸着するアスパラ
ギン型糖鎖を有する分子量34〜83kDaの糖タンパ
ク質、又はそれらの混合物を採取するCon.Aに吸着
するアスパラギン型糖鎖を有する分子量34〜83kD
aの糖タンパク質、またはそれらの混合物の製造であ
る。 【効果】 制癌作用を有する物質は固型癌、腹水型癌、
多形細胞肉腫、癌の転移抑制、口腔腫瘍の治療に有用で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は制癌作用を有するア
スパラギン型糖鎖を有する分子量34〜83kDaの糖
タンパク質、またはそれらの混合物、その生産菌、製造
方法および用途に関する。
【0002】
【従来の技術】真菌類に属するアスペルギルス(Asp
erigillus)は、古くから、味そやしょう油な
どに食品添加物(病原真菌学、南山堂、東京、78−8
0頁、1987)として用いられているが、一方では殺
菌効果を有する(White.E.C.et al.,
J.Bacteriol.45:p433−442、1
943)ことも知られている。しかしながら、このよう
な効果を応用するための研究については、少ないことが
報告されている(Dutcher.J.G.,J.Bi
ol.Chem.,171:321−339、194
7)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、このよう
なアスペルギルス(Asperigillus)の作用
に着目して、そのガン細胞、歯肉細胞等に及ぼす影響の
検討を行ってきた。即ち、本発明者は、従来からよく知
られているように、植物成分がヒトを始めとする動物体
に対して種々の生理作用を有していることに着目し、植
物体に存在または寄生する微生物にも何らかの同様の作
用があるものと考え、植物体より種々の微生物を分離し
て、その生理活性作用を長年にわたり研究してきた。
【0004】その結果、植物体を構成する種々の部分、
例えば穀物、野菜類、樹木などの幹、葉、根、種子、花
びら、花粉などから分離したアスペルギルス属に属する
微生物、アスペルギルス フラブス(Aperigil
lus flavus)SRT株の菌体抽出物に腫瘍細
胞に対する増殖抑制効果、アポトーシス(apopto
sis)作用を見出し、本発明を完成した。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、制癌作用、ア
ポトーシス(apoptosis)作用、プロテアーゼ
作用等の生理活性を有する生理活性物質、その生産菌、
製造方法および用途に関するものである。本発明はCo
n.Aに吸着するアスパラギン型糖鎖を有する分子量3
4〜83kDaの糖タンパク質、またはそれらの混合物
に関するものであリ、その分子量が74kDa、65k
Da、52kDa、41kDa、34kDaである糖タ
ンパク質の混合物に関する。
【0006】本発明は糖タンパク質、またはそれらの混
合物はアスペルギルス属の微生物に由来し、そのアスペ
ルギルス属の微生物がアスペルギルス フラブス SR
T株に関するものである。更に本発明はCon.Aに吸
着するアスパラギン型糖鎖を有する分子量34〜83k
Daの糖タンパク質を生産することができるアスペルギ
ルス属に属する微生物に関する。
【0007】本発明は更にCon.Aに吸着するアスパ
ラギン型糖鎖を有する分子量34〜83kDaの糖タン
パク質を生産することができるアスペルギルス属に属す
る微生物を培養し、該培養物からCon.Aに吸着する
アスパラギン型糖鎖を有する分子量34〜83kDaの
糖タンパク質、またはそれらの混合物を採取するCo
n.Aに吸着するアスパラギン型糖鎖を有する分子量3
4〜83kDaの糖タンパク質、またはそれらの混合物
の製造方法に関する。
【0008】本発明は更にCon.Aに吸着するアスパ
ラギン型糖鎖を有する分子量34〜83kDaの糖タン
パク質を生産することができるアスペルギルス属に属す
る微生物、その菌体破砕物、またはそれから採取された
Con.Aに吸着するアスパラギン型糖鎖を有する分子
量34〜83kDaの糖タンパク質、またはそれらの混
合物を有効成分として含有する制癌剤、ガン細胞、アポ
トーシス誘導剤、プロテアーゼ活性物質、およびDNA
合成抑制剤ないし阻害剤に関する。
【0009】本発明は更に固型癌の治療に使用される制
癌剤、腹水型癌の治療に使用される制癌剤、多形細胞肉
腫の治療に使用される制癌剤に関する。本発明は更に癌
の転移を抑制するために使用される制癌剤に関し、本発
明は更にまた口腔腫瘍の治療に使用される制癌剤に関す
る。
【0010】上記種々の目的を達成するために、本発明
者は以下に述べる方法にしたがって植物体より微生物の
分離を試みた。 1.各種の植物体、たとえば草、樹木、穀類、種子等を
採取し、種類別にまとめたものを水道水にて洗浄し、再
溜水で二度すすぎ、室内にて自然乾燥(overnig
ht)をする。ただし、室内上空からの落下菌等を防ぐ
ためフードによって避けた。
【0011】2.このようにして乾燥した植物を種類毎
に小さくまとめる。 3.種類別毎にまとめたものを少しづつホモジナイザー
(ガラス製20ml用、岩城ガラス社製、日本)または
乳鉢、乳棒(磁製120mφ、東京硝子器材社製、日
本)を用いて物理的にすり潰しをする。ただし、植物体
の樹木や根については、予めカッター等で細かく切断し
ておく。
【0012】4.すり潰した全てのものを再溜水を用い
て懸濁液状として集める。 5.懸濁液をガラス試験管にとり、種類別毎での濃度等
の違いを再溜水を用いてできるだけ均一に近づけ、最終
容量を一定量にそろえる。 6.オートクレーブ(型式HA−240MII、平山製
作所社製、日本)にて、121℃、15分で処理して、
雑菌を滅菌する。
【0013】7.市販の調製済み25mg/Lクロラム
フエニコール含ポテトデキストロース寒天/プラスチッ
クシャーレ(90mmφ、コージン バイオ社製、日
本)上に上記で得た上清を0.8ml/LP程度を種類
別毎に準備したプレート各5枚上に撒き、全体に行きわ
たるようによくロッキングした後、37℃インキュベー
タ(型式1H42/42M、ヤマト科学社製、日本)内
に静置する。
【0014】8.10日目当たりからコロニー(集落)
の確認ができる。 9.コロニーが直径8mm〜15mm程度のときに収穫
する。収穫は5ml用スクリュー管ビン(ラボラン、l
ot.No.9−852−04、盛栄堂社製、日本) 10.以上のようにして分離した菌は、−20℃フリー
ザー(型式EV200N×K、Whirlpool社
製、米国)以下、または室温(20〜25℃)でも長期
保存可能である。
【0015】本発明物質を生産する能力を有する微生物
はアスペルギルス属に属するが、例えば本発明者が植物
体より分離したアスペルギルス属に属するアスペルギル
スフラブス(Aspergillus flavus)
SRT菌株は、本発明に最も有効に使用される菌株の一
例であって、本菌株の菌学的性状を示すと次のとおりで
ある。
【0016】I.本菌株はポテトデキストロース寒天培
地、ツアペック寒天培地、麦芽エキス寒天培地で良好に
生育し、分生子の着生も良好である。ポテトデキストロ
ース寒天培地に生育したコロニーを顕微鏡で観察する
と、不完全菌亜門は頂のう全体より形成され、メトレは
13〜16×4〜4.8μ、フイアライドは7〜9.5
×2〜2.4μ、分生子は直径1.0〜1.8μ、その
形は球形〜だ円形、壁面は粗面〜いぼ状である。
【0017】II.培養上の諸性状 (1)本菌株の培養所見を下記の表1に示す。本所見は
各種培地上で25℃、10日間培養した場合の肉眼的に
観察した結果である。
【0018】
【表1】
【0019】(2)ポテトデキストロース寒天培地にお
ける37℃、15日間培養した場合の生育状態は非常に
旺盛(15mm以上)である。一方、4℃、15日間培
養した場合(低温室内)は、生育しなかった。
【0020】III.生理学的性状 (1)生育温度範囲 :25〜38℃ (2)至適生育温度範囲 :36.5〜37℃ (3)生育pH範囲 :5.4〜7.5 (4)至適生育pH範囲 :6.7〜7.2 (5)好気性、嫌気性の区別:好気性
【0021】上記の菌株の形態的特徴、培養上の諸性
状、生理学的性状に基づき、菌類図鑑下(1991年)
(講談社、日本)との比較により、本菌株をアスペルギ
ルス属に属する一菌株と同定し、アスペルギルス フラ
ブス(Aspergillusflavus)SRTと
命名した。本菌株は、日本国茨城県つくば市東1丁目1
番3号に所在の通商産業省工業技術院生命工学工業技術
研究所に「SRT」として平成7年3月3日に寄託し、
受託番号はFERM BP−5030である。
【0022】本発明の物質を得るためには、先ずアスペ
ルギルス フラブス(Aspergillus fla
vus)、好ましくはアスペルギルス フラブス SR
T(FERM BP−5030)株が培地に培養され
る。培養は真菌類の培養に用いられる一般的な培地を用
い、工業的には通気攪拌深部培養法により培養が行われ
る。培養温度は真菌の培養に適した温度、18〜37
℃、好ましくは20〜28℃である。培養時間は菌体が
充分に発育するまで行うことがよく、通常5〜15日
間、好ましくは5〜12日間、特に好ましくは7日間で
ある。培養終了後、菌体を遠心分離、フイルタープレス
濾過等の処理により分離する。
【0023】菌体の分離に際しては必要により濾過助
剤、例えばケイ澡土(セライト)等が加えられる。分離
された菌体は、真菌に菌体破壊に通常用いられる方法、
例えば酵素処理による細胞壁の溶解と界面活性剤を組み
合わせた方法または物理的方法(ポットミル回転台、型
式ANZ−50S:日陶科学社製)により破壊される。
酵素処理は例えばノボザイム234とセルラーゼ(1:
10(w/w)、和光純薬社製、日本)を用い、30
℃、2時間の処理で行われる。酵素処理の後に界面活性
剤、例えばドデシル硫酸ナトリウムにより菌の破壊が効
率的に行われる。
【0024】次に菌体を破壊したものの組成を調べるた
めに、以下の分析を行った。(ただし、表中のSRT−
KAは培養5日間の場合、SRT−KBは培養12日間
の場合のデータである。)
【0025】目的 1.菌体破砕液の分析 1−1 UVスペクトル測定 1−2 タンパク質の等電点測定 1−3 タンパク質の分子量測定 1−4 プロテアーゼ活性測定 2.糖タンパク質の分離と分子量推定 3.核酸(DNA)含量の測定
【0026】実験方法は以下のとおりである。 1.UVスペクトル測定 (1)測定方法 試料を蒸留水で50倍希釈後、UV領域(200〜36
0nm)の吸収スペクトルを測定した。同じく蒸留水の
UVスペクトルを測定し、試料のスペクトルより差し引
いた。 (2)使用装置 UV2200(島津製作所社製、日本)
【0027】2.タンパク質の等電点測定 等電点は電気泳動法によりタンパク質の等電点を測定し
た。 (1)ゲルの種類:Ampholine PAG Pl
ate pH3.5〜9.5(フアルマシア社製、米
国) (2)染色法 :CBB染色 (3)等電点推定:画像解析装置(日本国ATTO社
製、AE−6900M)を用い、同時に泳動した等電点
マーカー蛋白質の移動度を基準に目的タンパク質の等電
点を推定した。
【0028】3.タンパク質の分子量測定 SDS−ポリアクリルアミドによる電気泳動法によりタ
ンパク質の分子量を測定した。 (1)ゲルの種類:4〜20% SDS−PAGEミニ
ゲル(TEFCO社製、米国) (2)染色法 :CBB染色 (3)分子量推定:画像解析装置(日本国ATTO社
製、AE−6900M)を用い、同時に泳動した分子量
マーカー蛋白質の移動度を基準に目的タンパク質の分子
量を推定した。
【0029】4.プロテアーゼ活性の測定 カゼインを基質としてプロテアーゼにより遊離したアミ
ノ酸およびペプチドをフェノール法を用いて定量する。
以下に具体的な手順を示す。
【0030】 対 照 標 準 試 料 緩衝液 1.0ml 1.0ml 1.0ml 基質 1.0ml 1.0ml 1.0ml 塩酸溶液 0.2ml − 0.2ml CaCl2 溶液 0.2ml 0.2ml − ↓37℃、5分 チロシン溶液 − 0.20ml − 試料 − − 0.20ml ↓37℃、10分 ↓ ←TCA溶液2.0ml 試料 0.20ml 0.20ml − CaCl2 溶液 − − 0.20ml ↓0℃、10分 ↓3000rpm、10分 ↓ろ過(マイレスクHV、0.45μm) ろ過液 1.5ml 1.5ml 1.5ml Na2 CO3 溶液 5.0ml 5.0ml 5.0ml フォーリン試薬 1.0ml 1.0ml 1.0ml ↓0℃、20分 A578 測定
【0031】上記手順中において、緩衝液としては0.
1M Na2 4 7 (ほう酸)pH7.5、基質とし
ては2%カゼインpH7.5、HCl溶液としては0.
05N HCl、CaCl2 溶液としては0.002M
CaCl2 、チロシン溶液としては5.0mMチロシ
ン(0.05N HCl中)、TCA溶液としては0.
1Mトリクロロ酢酸、Na2 CO3 溶液としては0.4
M Na2 CO3 、フォーリン試薬としてはフォーリン
試薬を蒸留水で3倍希釈したもの、試料としては菌体破
砕液をCaCl2 溶液で10倍希釈したものである。
【0032】計算方法 ΔASample=ASample−ABlank ΔAStandard=1/2×ΔASample/Δ
AStandard[U/ml]* 尚、1U:1分間に1μMチロシンに相当するアミノ酸
またはペプチドを遊離させる酵素活性
【0033】5.レクチンカラムによる糖タンパク質の
分離 (1)カラムの種類:コンカナバリンA(Con.A)
−アガロース(生化学工業社製、日本) (2)分離条件 カラムの緩衝液* による平衡化 ↓ 菌体破砕液のカラムへの吸着 ↓ 未吸着のタンパク質の溶出 ↓ 溶出液**によるカラムに吸着したタンパク質の分取
【0034】上記の分離条件において、 *:カラムの緩衝液;50mM Tris−HCl(p
H7.2)、0.1MNaCl、1mM MgCl2
1mM CaCl2 **:溶出液;0.2M メチル−α−D−マンノシド
を含む上記緩衝液
【0035】6.DNA含量の測定 菌体破砕液についてCeriottiの方法1,2)に従
い、インドールとデオキシリボースとの呈色反応による
DNAの定量を行った。 試料および標準DNA 1ml ↓ 濃塩酸0.5mlを加える ↓ 0.04%(w/v)インドール0.5mlを加える ↓100℃、10分 クロロホルム 2ml ↓ 抽出 1分 ↓3000rpm、10分 水層 ↓ OD490 測定
【0036】尚、上記の工程において、クロロホルム2
ml→抽出1分→水層の操作を3回繰り返す。 標準DNA:ニシン精子DNA2.5、5、10、2
0、40μg/mlである。
【0037】以上の分析結果は、以下に示すとおりであ
る。 1−1.UVスペクトル 図1に試料(培養5日間のSRT−KA)および図2に
試料(培養12日間のSRT−KB)のUVスペクトル
を示した。220nm付近に大きな吸収ピークをもち、
280nm付近に肩を持っている。これは試料に含まれ
る蛋白質の寄与が大きいものと思われる。
【0038】1−2.タンパク質の等電点測定 図3に試料(培養5日間のSRT−KA)および試料
(培養12日間のSRT−KB)の等電点電気泳動の結
果を示した。SRT−KAは符号1として示され、SR
T−KBは符号2として示され、符号3は等電点マーカ
ーである。矢印で示したタンパク質の推定等電点は高い
方よりそれぞれpH7.2、7.0、6.2、5.5、
4.6及び4.0であり、pH3.5〜9.5の間にま
んべんなくタンパク質が存在している。特にpH3.5
〜5.5の酸性側に多くのタンパク質が存在している。
【0039】1−3.タンパク質の分子量測定 図4に試料(培養5日間のSRT−KA)および試料
(培養12日間のSRT−KB)のSDS−ポリアクリ
ルアミド電気泳動の結果を示した。SRT−KAは符号
1として示され、SRT−KBは符号2として示され、
矢印で示したタンパク質の推定分子量は分子量の高い方
よりそれぞれ74、58、35、29kDaであり、特
に6.5〜74kDaの間に多くのタンパク質が存在し
ている。一方、74kDa以上の高分子側には、ほとん
ど蛋白質が存在しない。
【0040】1−4.プロテアーゼ活性の測定 下記表2に試料SRT−KAおよびSRT−KBのプロ
テアーゼ活性(数値データ)をそれぞれ示す。
【0041】
【表2】
【0042】上記表2の値をもとにして菌体破砕液のプ
ロテアーゼ活性を計算したところ表3に示す結果が得ら
れた。
【0043】
【表3】
【0044】2.糖タンパク質の分離および分子量推定 図5は試料SRT−KAの菌体破砕液の分離であり、図
6は試料SRT−KBの菌体破砕液の分離である。図5
及び図6において、符号1は菌体破砕液であり、2〜4
は未吸着画分50、100、150μl、5〜7は吸着
画分100、200、300μlであり、8は分子量マ
ーカー、矢印で示したタンパク質の推定分子量は分子量
の高い方よりそれぞれ74、65、52、41、34k
Daである。このように菌体破砕液には多くのタンパク
質が存在しており、そのうちの分子量34〜83kDa
のいくつかのタンパク質がCon.A−アガロースに吸
着された。このことから数種類の糖タンパク質が存在す
ることがわかる。
【0045】3.DNA含量の測定 下記表4に菌体破砕液のDNA含量の数値データを示
す。DNA濃度と吸光度の関係は図7に示すように直線
になる。
【0046】
【表4】
【0047】図7を利用して菌体破砕液のDNA濃度を
求めると下記表5に示す結果が得られた。
【0048】
【表5】
【0049】参考文献 1)G.Ceriotti,J.Biol.Chem.
198,297(1952) 2)G.Ceriotti,J.Biol.Chem.
214,59(1955)
【0050】精製に用いるレクチンとして最も一般的に
使用されているCon.Aを選択したが、Con.Aは
アスパラギン(Asn)型糖鎖の一部であるC−3,
3,6位のヒドロキシル基が未置換であるα−マンノー
ス残基を2つ以上もつ高マンノース型および複合型2本
側鎖の糖鎖に結合する。Con.A−アガロースを用い
た分離で幾つかのタンパク質がカラムに吸着されており
(図5および図6)、菌体破砕液中にはCon.Aに吸
着するアスパラギン型糖鎖をもった糖タンパク質が存在
することが認められる。
【0051】本発明の実施にあたっては、前記したアス
ペルギルス フラブス SRT(FERM BP−50
30)株を使用することが最も好ましい一例であるが、
菌は通常極めて変位し易いものであり、従って、アスペ
ルギルス フラブス SRT(FERM BP−503
0)株の天然および人工変異株は勿論のこと、同菌株が
属するアスペルギルス フラブスであって、本発明の物
質を生産し得る菌株はすべて本発明に含まれる。
【0052】
【発明の実施の態様】実施例1 アスペルギルス フラブス SRT(FERM BP−
5030)の保存培養寒天斜面培地から一白金耳菌体を
採取し、これを500ml容バッフル三枚羽付フラスコ
中の液体培地100mlに接種し、27℃にて10日間
振とう培養し、種培養を得た。このものを液体培地10
リットルを含有する30リットルジャーファメンターに
移植して、5日間および12日間27℃、通気量1リッ
トル/分、攪拌150〜200rpmにて培養した。
【0053】各々培養終了後、菌体を遠心分離にて分離
して、湿菌体各1gを得た。乾燥菌体10mg当たり
0.5mgのノボザイム234とセルラーゼ(1:10
(w/w))を加え、30℃にて2時間処理を行った。
反応後、50mMリン酸緩衝液pH7.2でよく洗浄
し、1%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)にて菌体
を破壊した。菌体破壊処理液を10g、20分間遠心分
離して、上清を集め、凍結乾燥し、乾燥粉末1mgを得
た。
【0054】このようにして得られた凍結乾燥粉末の一
部をとり、少量の50mMリン酸緩衝液pH2.2に溶
解し、Ampholine PAGプレートpH3.5
〜9.5(フアルマシア社製、米国)による等電点電気
泳動およびSDS−ポリアクリルアミド電気泳動(SD
S−PAGE)を行い、タンパク質組成分析を行うとと
もにCBB染色を行った。電気泳動条件は下記のとおり
常法により行った。
【0055】(1)ゲルの種類 イ)Ampholine PAGプレート pH3.5
〜9.5(フアルマシア社製、米国) ロ)4〜20% SDS−PAGEミニゲル(TEFC
O社製、米国) (2)染色法 CBB染色 (3)泳動試料は下記表6に示すとおり。
【0056】
【表6】
【0057】電気泳動終了後のゲル内のパターンを画像
解析装置を用い、同時に泳動した分子量マーカー蛋白質
の移動度を基準にし、目的タンパク質の分子量を推定し
た。その結果、CBB染色は図5および図6に示す通り
であった。約34〜83kDaに多くのタンパク質のバ
ンドが観察された。
【0058】実施例2 実施例1で得られた凍結乾燥粉末1mgを50mMリン
酸緩衝液pH7.2、50mlに溶解し、糖タンパク質
の分離を行った。糖タンパク質を特異的に吸着するレク
チンカラムとしてはCon.A−アガロースカラム(長
さ5cm×直径1.5cm、生化学工業社製、日本)を
用いて分画した。そのタンパク質組成をSDS−ポリア
クリルアミド電気泳動(SDS−PAGE、TEFCO
社製、米国)により分析した。
【0059】1.レクチンカラムによる糖タンパク質の
分離 (1)カラムの種類 コンカナバリンA(Con.A)
−アガロース (2)分離の手順 カラムの緩衝液* による平衡化 ↓ 実施例1で得られた凍結乾燥粉末のリン酸緩衝液溶解物
のカラムへの吸着 ↓ 未吸着のタンパク質分取(素通り画分) ↓ 溶出液**によるカラムに吸着したタンパク質の分取(溶
出画分) 上記の分取した溶出画分は、それぞれ凍結乾燥した。
【0060】尚、*:カラムの緩衝液;50mM Tr
is−HCl(pH7.2)、0.1M NaCl、1
mM MgCl2 、1mM CaCl2 **:溶出液;0.2Mメチル−α−D−マンノシドを
含む上記の緩衝液
【0061】2.電気泳動条件 常法によりSDS−PAGEを行った。 (1)ゲルの種類 4〜20%SDS−PAGEミニゲ
ル(TEFCO社製、米国) (2)染色法 CBB染色
【0062】精製に用いるレクチンとしては、最も一般
的に使用れているCon.Aを選択した。Con.Aは
アスパラギン(Asn)型糖鎖の一部であるC−3,
4,6位のヒドロキシル基が未置換であるα−マンノー
ス残基を2つ以上もつ高マンノース型および複合型2本
側鎖の糖鎖に結合する。Con.A−アガロースを用い
た分離では、幾つかのタンパク質がカラムに吸着されて
おり、CBB染色性が見られた。このことから、菌体破
砕液中にCon.Aに吸着するアスパラギン型糖鎖を持
った糖タンパク質が存在することが判った。
【0063】実施例3 SRT−K(lot.960705:菌糸培養期間8日
間)の長期 連続投与による抗腫瘍効果試験 I.目的 SRT−K(lot.960705)の投与回数と抗腫
瘍効果について検討する目的で動物実験を実施した。S
RT−Kの抗腫瘍効果については、既にマウスの実験腫
瘍(S−180)を腹腔内(腹水型)・皮下(固型)に
移植して、SRT−Kの隔日5回(10日間)の投与に
より抗腫瘍効果を認めている(特願平8−255588
号)。
【0064】本発明は上記と同様の腫瘍(S−180)
を用いた実験系で、移植腫瘍細胞数の少ない担癌マウス
にSRT−Kの隔日7回投与(14日間)ならびに14
回投与(28日間)を行い、SRT−K投与回数と移植
腫瘍細胞数の制限が延命効果、腫瘍の発育抑制効果にお
よぼす影響について検討を行った。各投与群の体重、赤
血球数、白血球数、ヘモグロビン量、臓器重量を計測し
て、SRT−K投与の影響について既報の結果と比較検
討を行った。
【0065】II. 材料および方法 1)供試動物 マウス(ddy雄、4週令、72匹:SLC)を4週令
で購入して1週間の予備飼育を行った後、5週令で実験
に供した。 2)SRT−K(lot.960705)原液 本実験に用いた試料は、平成8年5月7日に透析・濾過
滅菌処理された量産ロットであり、総タンパク量5.1
3mg/mlの淡褐色透明水溶液である。
【0066】3)SRT−K投与量と投与方法 試料の投与量と投与径路は以下の2系統について実施し
た。 a)腹水型腫瘍マウスにはSRT−K原液0.1ml
(タンパク量513μg/マウス、約15.4mg/k
g)を生理食塩水で2倍に希釈して腹腔内(0.2ml
/マウス)に隔日投与を行った。対照群にも生理食塩水
(0.2ml/マウス)の隔日投与を実施した。
【0067】b)固型腫瘍マウスにはSRT−K原液2
0μl(タンパク量102μg/マウス、約3.0mg
/kg)をマイクロシリンジ(MS−N100、伊藤製
作所社製、日本)を用いて固型腫瘍局所中央に隔日投与
した。同様に対照群にも同容量(20μl)の生理食塩
水の投与を行った。
【0068】また腹水型ならびに固型腫瘍ともにSRT
−Kの投与回数は7回(14日間)実施した後に、さら
に投与を隔日に7日(計14回、28日)継続した群
(投与継続群)と投与を中止して同量の生理食塩水を投
与した群(投与中止群)を作製した。SRT−Kの投与
は腫瘍細胞の移植後2日目より投与を開始した。
【0069】4)実験腫瘍 マウスの多形細胞肉腫であるサルコーマ180(sar
coma−180:S−180)を用いた。本実験で
は、担癌マウスに対するSRT−Kの長期(最長28日
間)に及ぶ投与を考慮して、少ない量の細胞を移植し
た。すなわち、腹水型には腫瘍細胞5×106 /0.2
mlを腹腔内に接種し、固型腫瘍作成には左大腿部外側
皮下に5×105 /20μlの細胞を接種した。
【0070】5)体重の測定 マウスの体重はSRT−K投与前に実施した。 6)赤血球数、白血球数およびヘモグロビン量の測定 腫瘍移植後14日目および28日目にマウスをクロロホ
ルムを用いて薬殺し、心臓尖刺によるヘパリン加採血を
行い、直ちに自動血球計数機(SysmexF−/30
0、東亜医療電子社製、日本)にて測定した。
【0071】7)臓器と腫瘍重量の測定 採血終了後、肝臓、腎臓、脾臓、胸腺および腫瘍の重量
を測定した。腹水型腫瘍は腹腔内の腫瘍(腹水)を乾綿
に吸着させ、体重より減じた重量を腹水量とした。ま
た、固型腫瘍は左大腿部より腫瘍を摘出して、その重量
を計測した。
【0072】8)統計処理 個々の項目の測定値はStudent’s t−tes
tによる処理を行い、5%(p<0.05)、1%(p
<0.01)および0.1%(p<0.01)水準で有
意差を検討した。
【0073】9)実験群 腫瘍移植部位およびSRT−Kの投与回数により以下の
9群を作成した。 A)正常対照群 1)無処置対照群(n=8) B)腹水型腫瘍(腫瘍細胞移植2日目より投与開始隔日
7回投与) 2)腹水型対照群(生理食塩水腹腔内投与0.2ml/
マウス n=8) 3)腹水型SRT−K投与群(SRT−K腹腔内投与
0.2ml/マウスn=8)
【0074】C)固型腫瘍(腫瘍細胞移植2日目より投
与開始隔日7回投与) 4)固型対照群(生理食塩液腫瘍内投与20μl/マウ
ス n=8) 5)固型SRT−K投与群(SRT−K腫瘍内投与20
μl/マウス n=8)
【0075】D)腹水型腫瘍(腫瘍細胞移植2日目より
投与開始隔日7回投与後、さらに14日間実験継続) 6)腹水型SRT−K継続投与群(継続してSRT−K
を隔日7回追加投与 n=7) 7)腹水型投与中止群(SRT−Kの投与を中止して生
理食塩水を隔日7回投与 n=8)
【0076】E)固型腫瘍(腫瘍細胞移植2日目より隔
日7回投与後、さらに14日間実験継続) 8)固型SRT−K継続投与群(継続してSRT−Kを
隔日7回追加投与n=7) 9)固型投与中止群(SRT−Kの投与を中止して生理
食塩水を隔日7回投与 n=6)
【0077】III. 試験結果 III −1.腹水型腫瘍に対するSRT−Kの抗腫瘍効果
は下記の表7〜12に示す通りであった。 1)腹水型腫瘍各群の体重変動は下記表7に示すとおり
である。SRT−K投与群の体重は、腫瘍移植後14日
目まで各群合計(n=24)した数値で表示し、15日
以後はSRT−K投与継続群(n=7)ならびに投与中
止群(n=8)に分けて示した。
【0078】
【表7】
【0079】尚、表7中において、1):正常対照群
(無処置対照群)、2):腹水型腫瘍対照群(生理食塩
水0.2ml/マウス投与)、3):SRT−K投与群
(SRT−K原液0.1mlを生理食塩水で希釈し、
0.2ml/マウス投与隔日7回投与n=24)、
4):SRT−K継続投与群(継続してSRT−K0.
2ml/マウスを隔日7回追加投与n=8)、5):S
RT−K投与中止群(SRT−Kの投与を中止して生理
食塩水0.2ml/マウスを隔日7回投与n=8)を示
す。生理食塩水およびSRT−Kは腫瘍細胞を腹腔に接
種後2日目より投与を開始した。正常対照群に対する有
意差(16日以後は投与継続群に対する有意差)*:p
<0.05、**:p<0.01、***:p<0.0
01。
【0080】上記表7から明らかなように、腫瘍細胞を
移植前の各群の平均体重は29.2〜29.9gの範囲
にあり、統計的な有意差は見られなかった。腹腔内に腫
瘍移植後4日目より移植各群(腹水対照群・SRT−K
投与群)の体重は正常対照群に対して有意(p<0.0
01、p<0.01)な増加が見られ、移植8日目以後
は腹水対照群にのみ有意(p<0.01〜p<0.00
1)な増加が認められ、その傾向は14日目(129
%、p<0.001まで継続した。一方、腫瘍移植15
日目以降のSRT−K投与継続群およびSRT−K投与
中止群の間では体重の有意差は認められなかった。
【0081】2)腹水型マウス各群の延命効果は下記表
8に示すとおりである。
【0082】
【表8】
【0083】尚、上記表8中において、↓:矢印はSR
T−Kおよび生理食塩水の投与日を示す。1):正常対
照群(無処置対照群)、2):腹水型腫瘍対照群(生理
食塩水0.2ml/マウス投与)、3):SRT−K投
与群(SRT−K0.2ml/マウス投与)を示す。
【0084】上記表8から明らかなように、腫瘍移植後
14日目までの各群の生存率は、腹水対照群では移植後
12日目より死亡例(生存率7/8、88%)が見ら
れ、13日目でさらに1匹(6/8、75%)、14日
目で2匹(4/8、50%)の死亡例が確認された。ま
た、SRT−K投与群では移植後12日目まで全個体が
生存(24/24、100%)し、翌13日目に1匹の
死亡例(23/24、96%)が見られた。
【0085】
【表9】
【0086】尚、上記表9中において、↓:矢印はSR
T−Kおよび生理食塩水の投与日を示す。1):SRT
−K継続投与群(SRT−K0.2ml/マウスを継続
して隔日7回投与)、2):SRT−K投与中止群(S
RT−Kの投与を中止して生理食塩水0.2ml/マウ
スを隔日7回投与)を示す。
【0087】上記表9から明らかなように、腫瘍移植後
15日以降の生存率は、SRT−K投与継続群で18日
(6/7)、21日(5/7)、22日(4/7)、2
4日(3/7)、26日(2/7)目にそれぞれ1匹の
死亡例が見られた。SRT−Kの投与中止群において
も、18日(7/8)、19日(6/8)22日(5/
8)、24日(4/8)、26日(3/8)、27日
(2/8)目に各1匹ずつの死亡例が確認され、実験最
終日(28日目)では両群に生存率の差は見られなかっ
た。
【0088】3)腹水型腫瘍マウス各群の白血球・赤血
球数およびヘモグロビン量は下記表10に示すとおりで
ある。
【0089】
【表10】 尚、上記表10中において、正常対照群に対する有意差
**:p<0.01、***:p<0.001。
【0090】上記表10から明らかなように、SRT−
K7回投与(14日目)の腹水対照群の白血球数は正常
対照群(8525±222/μl)に対して約3.6倍
の有意の(p<0.001)増加が見られ、SRT−K
投与群でも3.3倍の有意(p<0.001)の増加が
認められた。また、SRT−K継続投与群ならびに投与
中止群(28日目)でも約3.0倍および1.4倍の増
加傾向が見られた。
【0091】更に、前記表10から明らかなように、赤
血球数ならびにヘモグロビン量では、正常対照群(RB
C:806±2.8×104 、Hb:13.8±0.2
0g/dl)に対して低下傾向が見られ、SRT−K7
回投与群(14日目)に有意差(p<0.001)を伴
う低下が認められた。
【0092】4)腹水型マウス各群の臓器および腫瘍重
量は下記表11および表12に示すとおりである。
【0093】
【表11】
【0094】尚、表11中において、腫瘍接種後14日
目および28日目(最終腹腔内投与後24時間)の臓器
・腹水重量(mg)。対照群に対する有意差(腹水量で
は腹水対照群に対する有意差)*:p<0.05、*
*:p<0.01、***:p<0.001。
【0095】上記表11から明らかなように、正常対照
群の主要臓器重量(100%)に対して腹水対照群(1
4日目)の臓器重量は、肝臓(86%、p<0.0
5)、腎臓(70%、p<0.01)、脾臓(68%、
p<0.01)、胸腺(31%、p<0.001)と有
意の減少が認められた。SRT−K0.2ml投与群
(14日目)では、腎臓(78%、p<0.05)、胸
腺(56%、p<0.001)と正常対照群に対し、有
意の減少が見られたが脾臓重量は199%(p<0.0
1)と有意差を伴う増加が見られた。
【0096】一方、28日目のSRT−K投与継続群な
らびに投与中止群では、肝臓(100%、105%):
腎臓(98%、109%)、胸腺(96%、137%)
の重量が正常対照群の数値にまで回復し、脾臓の重量は
さらに増加(238%、200%)する傾向を示した。
【0097】
【表12】 尚、腹水減少効果の判定は、解剖時の腹水対照群平均体
重の20%ならびに腹水対照群の平均腹水量の50%
(腹水重量9000mg)以下のマウスを有効例とし
た。
【0098】上記表12から明らかなように、腹水貯留
量は腹水対照群(n=4 14日目有効例25%)の平
均18725±3818mgに対し、SRT−K0.2
ml投与群(n=8 14日目、有効例75%)ではそ
の平均は5430mg±29mgで約29%の減少が認
められた。また、28日目の投与継続群ならびに投与中
止群では、生存マウスはともに2匹のみで、腹水量の平
均はそれぞれ9045mgと450mgでSRT−Kの
投与中止群で腹水量の貯留が少ない印象を与えるが、生
存例が少なく明らかな結果は得られなかった。
【0099】III −2.固型腫瘍に対するSRT−K投
与の抗腫瘍効果については表13〜表16に示す通りで
ある。 1)固型腫瘍各群の体重変動は下記表13に示すとおり
である。
【0100】
【表13】
【0101】尚、上記表13中において、1):正常対
照群(無処置対照群)、2):固型腫瘍対照群(生理食
塩水20μl/マウスを2週間7回投与)、3):SR
T−K投与群(SRT−K原液20μl/マウスを隔日
7回投与n=24)、4):SRT−K継続投与群(継
続してSRT−K原液20μl/マウスを隔日7回追加
投与n=7)、5):SRT−K投与中止群(SRT−
Kの投与を中止して生理食塩水20μl/マウスを隔日
7回投与n=6)を示す。生理食塩水およびSRT−K
は腫瘍細胞を腹腔に接種後2日目より投与を開始した。
正常対照群に対する有意差(16日以後は投与継続群に
対する有意差)*:p<0.05、***:p<0.0
01。
【0102】上記表13から明らかなように、腫瘍細胞
を移植前の各群の平均体重は29.2〜29.3gの範
囲にあり、統計的な差は見られなかった。SRT−K投
与群では左大腿部皮下に腫瘍移植後2〜4および8日目
に正常対照群に対して有意な体重の減少(p<0.00
1)が見られた以外、15日以降の各群にも有意差を伴
う体重の増減は認められなかった。
【0103】2)固型型マウス各群の延命効果 固型腫瘍移植後14日目までの各群の生存率は表13に
体重の変動とともに示した。固型対照群で移植後14日
目の解剖当日に死亡例4匹(生存率4/8、50%)が
見られ、SRT−K投与群では12日目に1匹(23/
24、95%)、14日目で2匹(21/24、87
%)の死亡例が確認された。一方、腫瘍移植後15日以
降ではSRT−K投与継続群(n=7)およびSRT−
Kの投与中止群(n=6)において実験最終日(28日
目)まで死亡例は見られなかった。
【0104】3)固型マウス各群の白血球・赤血球数お
よびヘモグロビン量について下記表14に示した。
【0105】
【表14】
【0106】尚、表14中において、腫瘍接種後14日
目(最終腫瘍内投与後24時間)の血液より測定。正常
対照群に対する有意差*:p<0.05、**:p<
0.01、***:p<0.001。
【0107】上記表14から明らかなように、固型対照
群(14日目)の白血球数は正常対照群(8525±2
22、100%)に対して有意の増加(258%、p<
0.05)が見られ、SRT−K投与群(14日目)に
おいても同様に有意の増加(197%、p<0.01)
が認められた。28日目のSRT−K投与継続群では1
21%とやや増加傾向が見られるものの有意差は認めら
れず、投与中止群では247%と有意差(p<0.00
1)と伴う増加が認められた。
【0108】一方、赤血球数では正常対照群(806±
2.8×104 、100%)に対して固型対照群(14
日目、94%)およびSRT−K投与継続群(21日
目、88%)と減少傾向を示したが、有意差を伴うもの
ではなく、他の各群では正常対照群と近似な数値であっ
た。また、ヘモグロビン量は正常対照群(13.8±
0.20g/dl、100%)に対して各群とも低値
(82〜97%)を示し、固型対照群(14日目、90
%、p<0.05)、SRT−K投与継続群(28日
目、83%、p<0.01)および投与中止群(28日
目、88%、p<0.05)の各投与群で有意な減少が
認められた。
【0109】4)固型マウス各群の臓器および腫瘍重量
については表15および表16に示す通りである。固型
腫瘍マウスの臓器および腫瘍重量(mg)については下
記表15に示すとおりである。
【0110】
【表15】
【0111】尚、表15中において、腫瘍接種後14〜
28日目(最終腹腔内投与後24時間)の臓器・腫瘍重
量(mg)。正常対照群に対する有意差(腫瘍では固型
対照群に対して)*:p<0.05、**:p<0.0
1、***:p<0.001。
【0112】上記表15から明らかなように、正常対照
群の臓器重量(100%)に対して固型対照群(14日
目)では、肝臓(110%)、腎臓(96%)、脾臓
(249%、P<0.01)、胸腺(94%)で重量の
増減が見られた。SRT−K投与群(14日目)では、
肝臓(96%)および腎臓(82%、p<0.001)
重量の減少が見られ、脾臓(209%、p<0.00
1)で有意な増加が認められたが、胸腺(98%)では
重量に変化は見られなかった。
【0113】また、28日目解剖のSRT−K投与継続
群ならびに投与中止群においても脾臓(206%、p<
0.001ならびに226%、p<0.05)の有意な
増加傾向を示し、腎臓(94%、95%)ならびに胸腺
(76%、78%)では有意差を伴わない重量の低下が
見られた。
【0114】固型腫瘍マウスのSRT−K投与による腫
瘍縮小効果については、下記表16に示すとおりであ
る。
【0115】
【表16】 尚、判定は固型対照群の平均腫瘍重量の50%(104
0mg)以下に低下した腫瘍を縮小例とした。
【0116】上記表16から明らかなように、腫瘍につ
いては固型対照群(14日目)で2081±777(1
00%)の重量を示し、SRT−K投与群(14日目)
で平均641mg(30%)、投与継続群(28日目)
で平均397mg(19%)および投与中止群(28日
目)で平均1356mg(65%)と減少し、腫瘍縮小
効果が認められたが個体により差が見られ、有意差は認
められなかった。
【0117】固型腫瘍に対するSRT−Kの腫瘍効果を
まとめると、固型対照群の個々の腫瘍重量は123〜5
769mgの範囲にあり、この平均腫瘍重量の50%
(1040mg)以下に縮小した腫瘍を縮小例(有効
例)と設定したとき、固型対照群では8匹中4匹(50
%)が縮小例であった。
【0118】IV.考察 IV−1.S−180腹水型腫瘍に対するSRT−K長
期投与による抗腫瘍効果について:実施例ではSRT−
K(原液0.1ml:総タンパク量513μg/0.1
ml/マウスを生理食塩水に2倍希釈して0.2ml/
マウス投与)の長期連続投与(SRT−K投与継続群:
28日間、14回投与)による抗腫瘍効果を途中で中止
した群(SRT−K投与中止群:14日間、7回投与)
と比較検討した。28日間(4週)の観察に耐え得る担
癌マウスを作成するためにS−180癌細胞の移植数を
制限した細胞数(腹水型:5×106 /0.2ml/マ
ウス)腹腔内に移植した。
【0119】本試験の腹水型対照群マウスの生存率は、
移植後11日目まで100%(8/8)であり、12日
目で始めて死亡例(1匹)が見られ、移植細胞数の多い
報告(5×108 /マウス、7×107 マウス)におい
て7日目より死亡例が確認されていることから、移植細
胞数の制限により死亡例の発生が5日間遅延した結果と
なった。また、SRT−K投与群では移植後13日目に
24匹中1匹(23/24、生存率96%)に死亡例が
見られたが、15日以後の投与継続群ならびに投与中止
群では移植17日目まで死亡例が見られず、移植18日
以後よりこの両群には死亡例の出現に差異は見られなか
った。
【0120】SRT−Kの7回投与後(移植14日目)
における腹水量はSRT−K投与群で5430±210
mgであり、腹水対照群の腹水量(18725±381
8mg)の約29%にまで減少して、SRT−Kの有効
例は6/8(75%)と判定された。移植14日目以後
のSRT−K投与継続群ならびに中止群については、経
時的な生存率の差はなく、また生存マウスが各群とも2
匹と少なく腹水量についてもその差異を判定することが
できなかった。
【0121】これらの結果を総合的に考えると、大量の
腫瘍細胞を移植されたマウスの腹腔内で急激な増殖を示
す細胞に対してはSRT−K原液0.1mlの投与は抗
腫瘍効果を示すに至らないが、本試験のごとく移植腫瘍
細胞数を制限し、ヒトの場合により近い緩やかに発育し
た腫瘍細胞には抗腫瘍効果を示すことが明らかとなっ
た。また、移植する細胞数を制限した場合においても腹
腔内で十分に発育した腹水型腫瘍(移植15日目以後)
にはSRT−Kの抗腫瘍効果が期待できないと思われ
た。
【0122】血液の性状からみると、本試験では正常対
照群に対してSRT−K投与群の白血球数の増加と赤血
球数・ヘモグロビン量の減少傾向が見られ、SRT−K
投与の影響と思われる。すなわち、SRT−Kを投与し
ていない腹水対照群にも同様な結果が得られており、担
癌マウスにも現れる影響であるが、投与量に依存して発
現していることからSRT−Kの投与による影響が示唆
された。臓器の重量では腹水対照群で有意な減少(p<
0.01)を示した脾臓重量がSRT−Kの投与により
顕著な増加(p<0.01)が認められた。また、胸腺
重量も明らかな減少(p<0.001)が見られた。
【0123】IV−2.S−180固型腫瘍に対するS
RT−K長期投与による抗腫瘍効果について:S−18
0固型腫瘍では、腫瘍細胞を左大腿部外側皮下に5×1
5 /20μl/マウスの腫瘍細胞を移植して数日の後
に自然治癒が認められた個体(約10%)をデータより
削除したが、固型腫瘍対照群で7匹中2匹に腫瘍重量2
00mg前後の個体が存在した。
【0124】SRT−K投与群で移植後12〜14日目
に2匹(2/12)の死亡例が見られた以外、実験最終
日の28日目まで各実験群とも死亡例は認められなかっ
た。これらより、移植細胞数が制限された場合には自然
治癒の個体が増加し、腫瘍細胞が生着したマウスでは比
較的順調に増殖する個体と遅延する個体が出現すると思
われた。
【0125】SRT−K投与による抗腫瘍効果は、固型
対照群の腫瘍重量(2081±777mg)に対してS
RT−Kの7回投与群(641±146mg)で約30
%の縮小が認められ、効果の判定では固型対照群の4/
8(50%)に対してSRT−K投与群7/8(88
%)が有効と明らかであった。また、移植28日目のS
RT−K連続投与群(SRT−K14回投与)と投与中
止群においても、投与中止群の腫瘍重量(1356±1
212mg)に対して投与継続群の腫瘍重量(397±
299mg)は約29%であり、顕著な縮小効果が見ら
れた。しかし、実験開始時の移植細胞数が少ないことか
ら腫瘍重量に個体差が発生し、有意差は見られなかっ
た。
【0126】血球数の増減や臓器重量の変動に関して
は、固型腫瘍においても白血球の増加傾向ならびに赤血
球数・ヘモグロビン量の減少、さらには脾臓重量の増加
および胸腺重量の低下傾向が見られ、腹水型腫瘍と同様
SRT−K投与の影響が示唆された。
【0127】V.まとめ 1.SRT−Kの原液0.1ml(タンパク量513μ
g)の投与は、移植細胞数を制限され増殖速度の比較的
遅いS−180腹水型腫瘍マウスに対して有効であっ
た。 2.腹腔内に投与されたSRT−Kは、担癌マウス(腹
水型)の白血球数の増加と赤血球数およびヘモグロビン
量の減少に関与することが認められた。
【0128】3.腹水型腫瘍マウスに投与されたSRT
−Kは、脾臓重量を顕著に増加させ胸腺重量を減少させ
ることが認められた。 4.SRT−K原液20μl(タンパク量102μg)
の投与は、移植細胞数の少ないS−180固型腫瘍に対
して顕著な抗腫瘍作用を示し、その効果は投与回数に依
存することが示唆された。
【0129】5.固型腫瘍マウスにおいてもSRT−K
の投与は、白血球数を増加ならびに赤血球数およびヘモ
グロビン量を減少させ、また脾臓重量の増加と胸腺重量
の減少に関与することが認められた。
【0130】実施例4 SRT−K(lot.960705)並びにSRT−K
A(lot.970503A)の形状(液体保存/凍結
乾燥)の差異による抗腫瘍効果試験 I.目的 SRT−Kの製造ロット(lot.960705/lo
t.970503A)の抗腫瘍効果と形状、すなわち液
体保存試料および凍結乾燥試料の抗腫瘍効果について検
討する目的で動物実験を行った。SRT−Kの腫瘍効果
については、既にマウスの実験腫瘍(S−180)を腹
腔内(腹水型)・皮下(固型)に移植して、SRT−K
の隔日5回(10間)の投与により抗腫瘍効果を認めて
いる(実施例3、特願平8−255588号)。
【0131】本試験も同様に腫瘍(S−180)を用い
た実験系で実施し、SRT−Kのロット並びに保存形状
の差異による腫瘍の発育抑制効果に及ぼす影響について
検討を行った。また、各投与群の体重、赤血球数、白血
球数、ヘモグロビン量、臓器重量を計測して、SRT−
K投与の影響を既報の結果と比較した。
【0132】II. 材料および方法 1)供試動物 マウス(ddY雄86匹:SLC)を4週齢で購入して
1週間の予備飼育を行った後、5週齢で実験に用いた。 2)SRT−K製造ロット 本実験には以下の2ロットのSRT−Kを使用した。 a)SRT−K(lot.960705;以下、SRT
−K705と略称する)原液:1996年7月5日に製
造されたロットで、総タンパク量5.13mg/mlの
淡褐色透明水溶液である。 b)SRT−KA(lot.970503A;以下、S
RT−KA503Aと略称する)原液:1997年5月
3日に製造されたロットでSRT−K705に比べやや
褐色の透明水溶液である。
【0133】3)SRT−Kの形状 各ロットとも液体(液状)の状態で凍結保存した液体保
存試料と凍結乾燥した状態で保存した凍結乾燥試料の2
種類で比較実験を行った。 4)投与量と投与方法 2種類のSRT−Kの投与量は一定量の凍結乾燥された
各試料より乾燥重量を求め、SRT−K705の乾燥重
量(21.433mg/ml)にSRT−KA503A
の乾燥重量を合わせて調整(1:1.884)し原液と
した。
【0134】投与経路は下記の2系統について実施し
た。 a)腹水型腫瘍マウスにはSRT−K705及びSRT
−KA503Aの各原液0.1mlを生理食塩水で2倍
に希釈して腹腔内(0.2ml/マウス)に隔日投与を
行った。対照群にも生理食塩水(0.2ml/マウス)
の隔日投与を実施した。 b)固型腫瘍マウスには各原液を20μlをマイクロシ
リンジ(MS−N100、伊藤製作所社製)を用いて固
型腫瘍局所中央に隔日投与した。同様に対照群にも同容
量(20μl)の生理食塩水の投与を行った。また、腹
水型腫瘍および固型腫瘍ともにSRT−Kの投与は5回
(10日間)とし、腫瘍細胞の移植後2日目より毎回同
時刻に実施した。
【0135】5)実験腫瘍 マウスの多形細胞肉腫であるサルコーマ180(S−1
80)を用いた。本試験では腹水型には腫瘍細胞3×1
7 /0.2mlを腹腔内に接種し、固型腫瘍作成には
右大腿部外側筋肉内に4.4×106 /20μlの細胞
を接種した。
【0136】6)体重の測定 マウスの体重は、10:00〜12:00のSRT−K
投与前に実施した。 7)赤血球数、白血球数およびヘモグロビン量の測定 腫瘍移植後11日目にマウスをエチルエーテルを用いて
薬殺し、心臓尖刺によるヘパリン加採血を行い、直ちに
自動血球計数機(Sysmex F−/300、東亜医
療電子社製)にて測定した。
【0137】8)臓器と腫瘍重量の測定 採血終了後、肝臓、腎臓、脾臓、胸腺および腫瘍の重量
を測定した。腹水型腫瘍は、腹腔内の腫瘍(腹水)を乾
綿に吸着させ体重より減じた重量を腹水量とした。ま
た、固型腫瘍は右大腿部より腫瘍を摘出して、その重量
を計測した。 9)統計処理 個々の項目の測定値は、Student’s t−te
stによる処理を行い、5%(p<0.05)、1%
(p<0.01)および0.1%(p<0.001)水
準で有意差を検討した。
【0138】10)実験群の作成 SRT−Kの各ロットおよび形状により以下の11群を
作成した。 A)正常対照群 1)無処置対照群(n=7) B)腹水型腫瘍(腫瘍細胞移植2日目より腹腔内に投与
開始、隔日5回投与) 2)腹水型対照群(生理食塩水腹腔内投与0.2ml/
マウス n=7) 3)腹水型SRT−K705投与群(液体保存試料原液
0.1ml/マウス、腹腔内投与 n=8)
【0139】4)腹水型SRT−K705投与群(凍結
乾燥試料原液0.1ml/マウス、腹腔内投与 n=
8) 5)腹水型SRT−KA503A投与群(液体保存試料
原液0.1ml/マウス、腹腔内投与 n=8) 6)腹水型SRT−KA503A投与群(凍結乾燥試料
原液0.1ml/マウス、腹腔内投与 n=8)
【0140】C)固型腫瘍(腫瘍細胞移植2日目より腫
瘍内に投与開始隔日5回投与) 7)固型対照群(生理食塩液腫瘍内投与20μl/マウ
ス n=8) 8)固型SRT−K705投与群(液体保存試料原液2
0μl/マウス、腫瘍内投与 n=8)
【0141】9)固型SRT−K705投与群(凍結乾
燥試料原液20μl/マウス、腫瘍内投与 n=8) 10)固型SRT−KA503A投与群(液体保存試料
原液20μl/マウス、腫瘍内投与 n=8) 11)固型SRT−KA503A投与群(凍結乾燥試料
原液20μl/マウス、腫瘍内投与 n=8)
【0142】III. 試験結果 III −1.腹水型腫瘍に対するSRT−K各ロットの抗
腫瘍効果は表17〜表20に示す通りである。 1)腹水型腫瘍マウスの体重の変動についての実験結果
は下記表17に示す通りである。
【0143】
【表17】
【0144】尚、表17中において、↓:矢印は投与
(腹腔内)を示す。1):正常対照群(無処置対照
群)、2):腹水型腫瘍対照群(生理食塩水0.2ml
/マウス投与)、3):SRT−K投与群(SRT−
K、lot.705液体保存、原液0.1ml/マウス
投与)、4):SRT−K投与群(SRT−K、lo
t.705凍結乾燥、原液0.1ml/マウス投与)、
5):SRT−K投与群(SRT−KA、lot.50
3A液体保存、原液0.1ml/マウス投与)、6):
SRT−K投与群(SRT−KA、lot.503A凍
結乾燥、原液0.1ml/マウス投与)を示す。
【0145】生理食塩水および各SRT−Kは腫瘍細胞
を腹腔に接種後2日目より投与を開始して隔日に5回実
施した。正常対照群に対する有意差*:p<0.05、
**:p<0.01、***:p<0.001。
【0146】上記表17から明らかなように、腫瘍細胞
を移植前の各群の平均体重は29.2〜29.6gの範
囲にあり、統計的な有意差は見られなかった。また、正
常対照群(無処置対照群)は本実験の飼育環境下で実験
期間中を通して正常な発育が見られた。実験群では、腹
腔内に腫瘍移植後4日目より移植各群(腹水対照群:S
RT−K705、SRT−KA503A投与各群)の体
重は正常対照群に対して有意(p<0.05、p<0.
001)な増加が見られた。
【0147】しかし、SRT−KA503A(凍結乾燥
試料)投与群では、移植6日目以後10日目まで、SR
T−KA503A(液体保存試料)投与群では、移植1
0日目に正常対照群に対して平均体重の増加が見られた
ものの有意差は認められなかった。また、本実験では腫
瘍移植後10日目までに実験各群で死亡例は見られなか
った。
【0148】2)腹水型マウス各群の白血球・赤血球数
およびヘモグロビン量についての実験結果は下記表18
に示す通りである。
【0149】
【表18】
【0150】尚、上記表18中において、A:各SRT
−Kロットの液体保存試料、B:各SRT−Kロットの
凍結乾燥試料。腫瘍接種後11日目(最終腹腔内投与後
24時間)の血液より測定。正常対照群に対する有意差
**:p<0.01、***:p<0.001。
【0151】本実験の解剖時(腫瘍移植後11日目)に
おける正常対照群の白血球数は、3514±236/μ
lであり、この数値を指数(100%)で表示すると、
腹水対照群で475%(p<0.001)、SRT−K
705(液体保存試料)で648%(p<0.00
1)、SRT−K705(凍結乾燥試料)で467%
(p<0.001)ならびにSRT−KA503A(液
体保存試料)で517%、SRT−KA503A(凍結
保存試料)で544%(p<0.001)と有意の増加
が見られた。
【0152】また、赤血球数ならびにヘモグロビン量で
は、正常対照群(RBC:785±14.4×104
μl、Hb:12.8±0.16g/dl:各100
%)に対して腹水対照群で赤血球数36%(p<0.0
01)、ヘモグロビン量44%(p<0.001)と有
意な低下傾向が見られ、SRT−K投与各群でも赤血球
数61〜71%(p<0.01〜P<0.001)及び
ヘモグロビン量68〜77%(p<0.01〜p<0.
001)と正常対照群に対して有意差を伴う低下が認め
られた。
【0153】3)腹水型マウス各群の臓器および腫瘍重
量についての実験結果は下記の表19に示す通りであ
る。
【0154】
【表19】
【0155】尚、上記表19中において、A:各SRT
−Kロットの液体保存試料、B:各SRT−Kロットの
凍結乾燥試料。腫瘍接種後11日目(最終腹内投与後2
4時間)の臓器・腹水重量。正常対照群に対する有意差
(腹水量では腹水対照群に対する有意差)*:p<0.
05、**:p<0.01、***:p<0.001.
【0156】上記表19から明らかなように、正常対照
群の主要臓器重量(100%)に対して腹水対照群の臓
器重量は、肝臓(70%、p<0.001)、腎臓(6
4%、p<0.001)、胸腺(64%、p<0.00
1)と有意の減少が認められた。SRT−K705の液
体保存試料、凍結乾燥試料投与群では正常対照群に対し
て肝重量で98%および95%と有意差を伴わない減少
傾向が見られたが、SRT−KA503Aの液体保存試
料、凍結乾燥試料投与群ではそれぞれ88%、82%と
有意(p<0.05)な減少が認められた。
【0157】また、SRT−K705、SRT−KA5
03A投与各群の腎臓(68〜70%)、胸腺(19〜
30%)では正常対照群に対して有意(すべてp<0.
001)の減少が見られた。一方、脾重量は正常対照群
(100%)に対して腹水対照群で177%(p<0.
01)およびSRT−K705、SRT−KA503A
投与各群で161〜208%と有意差(p<0.05〜
p<0.001)を伴う増加がすべての群に見られた。
【0158】腹水型腫瘍マウスのSRT−K(lot.
705)及びSRT−KA(lot.503A)投与に
よる腹水減少効果は下記表20に示す通りである。
【0159】
【表20】
【0160】尚、上記表20中において、A:SRT−
K各ロットの液体保存試料、B:SRT−K各ロットの
凍結乾燥試料。腹水減少効果の判定基準は、解剖時の腹
水対照群の平均腹水量の50%(腹水重量9910m
g)以下のマウスを有効例とした。腹水対照群における
有意差*:p<0.05、***:p<0.001。
【0161】上記表20から明らかなように、腹水対照
群(n=7)の腹水貯水量は、平均19820±135
1mg(100%)であり、その平均腹水量の50%
(9910mg)以下に減少した個体を有効例とした。
腹水対照群に対して、SRT−K705液体保存試料投
与群(n=8 有効例1/8)では平均15130mg
±1327mg(76%)で約23%の減少(p<0.
05)、SRT−K705凍結乾燥試料投与群(n=8
有効例1/8)では14890mg±1145mg
(75%)で約25%の減少(p<0.05)が認めら
れた。
【0162】また、SRT−KA503A液体保存試料
投与群(n=8 有効例3/8)では、平均11680
mg±2275mg(58%)で約42%の減少(p<
0.05)、更にSRT−KA503A凍結乾燥試料投
与群(n=8 有効例5/8)では9900mg±17
35mg(49%)で約51%の減少(p<0.00
1)が認められた。尚、SRT−Kのロット別での腹水
減少効果有効率は、SRT−K705(液体保存試料+
凍結乾燥試料)で、12.5%(2/16)、SRT−
KA503A(液体保存試料+凍結乾燥試料)では、5
0%(8/16)であった。
【0163】III −2.固型腫瘍に対するSRT−K投
与の抗腫瘍効果は表21〜表24に示す通りである。 1)固型腫瘍各群の体重の変動についての実験結果は下
記表21に示す通りであった。
【0164】
【表21】
【0165】尚、表21中において、↓:矢印は投与
(腫瘍内)を示す。1):正常対照群(無処置対照
群)、2):固型腫瘍対照群(生理食塩水20μl/マ
ウス投与)、3):SRT−K投与群(SRT−K、lo
t.705液体保存 原液20μl/マウス投与)、
4):SRT−K投与群(SRT−K、lot.705
凍結乾燥 原液20μl/マウス投与)、5):SRT
−K投与群(SRT−KA、lot.503A液体保存
原液20μl/マウス投与)、6):SRT−K投与
群(SRT−KA、lot.503A凍結乾燥 原液2
0μl/マウス投与)を示す。
【0166】生理食塩水およびSRT−Kは腫瘍細胞を
右大腿部筋肉内に接種後2日目より投与を開始して隔日
に5回実施した。正常対照群に対する有意差*:p<
0.05、**:p<0.01。
【0167】上記表21から明らかなように、腫瘍細胞
の移植前の各群の平均体重は、29.2〜29.5gの
範囲にあり統計的な差は見られなかった。右大腿部に腫
瘍を移植された各群では、移植後2日目に正常対照群に
対して一過性の体重減少が見られたが、移植後4日目よ
り増加傾向が見られ、特に固型対照群およびSRT−K
705液体保存試料投与群に有意な体重増加(p<0.
05)が認められ、この傾向は移植10日目まで継続し
た。他のSRT−K投与各群では有意差を伴う変動は見
られなかった。
【0168】2)固型腫瘍マウス各群の白血球・赤血球
数およびヘモグロビン量についての実験結果は下記表2
2に示す通りである。
【0169】
【表22】
【0170】尚、表22中において、A:各SRT−K
ロットの液体保存試料、B:各SRT−Kロットの凍結
乾燥試料。腫瘍接種後11日目(最終腫瘍内投与後24
時間)の血液より測定。正常対照群に対する有意差*:
p<0.05、**:p<0.01、***:p<0.
001。
【0171】上記表22から明らかなように、固型対照
群の白血球数は正常対照群(3514±236μl、1
00%)に対して有意の増加(335%、p<0.00
1)が見られ、SRT−K投与各群(SRT−K、SR
T−KA)においても同様に有意の増加(401〜52
4%、p<0.001)が認められた。赤血球数では正
常対照群(785±14.4×104 μl、100%)
に対して固型対照群(84%、p<0.01)で有意な
減少がみられ、SRT−K705凍結乾燥試料投与群
(98%)以外、すべてのSRT−K投与群(SRT−
K、SRT−KA)で有意差を伴う減少が認められた
(80〜89%、p<0.01〜p<0.001)。
【0172】またヘモグロビン量は正常対照群(12.
8±0.16g/dl、100%)に対して固型対照群
(82%、p<0.001)ならびにSRT−KA50
3A投与各群(87〜96%、p<0.01〜p<0.
05)で有意な減少が見られたが、SRT−K705投
与各群(94〜100%)では有意差を伴う数値の変動
は見られなかった。
【0173】3)固型マウス各群の臓器および腫瘍重量
についての実験結果は下記表23および表24に示す通
りである。固型腫瘍マウスの臓器重量および腹水重量の
実験結果は下記表23に示す通りである。
【0174】
【表23】
【0175】尚、表23中において、A:各SRT−K
ロットの液体保存試料、B:各SRT−Kロットの凍結
乾燥試料。腫瘍接種後11日目(最終腹腔内投与後24
時間)の臓器・腫瘍重量。正常対照群に対する有意差
(腫瘍重量では固型対照群に対する有意差)*:p<
0.05、**:p<0.01、***:p<0.00
1。
【0176】上記表23から明らかなように、正常対照
群の臓器重量(100%)に対して固型対照群では、肝
臓(159%、p<0.001)、脾臓(418%、p
<0.001)で有意な増加、腎臓(93%)、胸腺
(69%、p<0.05)で減少が見られた。この傾向
はSRT−K投与各群(SRT−K、SRT−KA)に
おいても肝臓(129〜139%、p<0.001)お
よび脾臓(372〜424%、p<0.001)重量が
すべての群で有意に増加し、腎臓(86〜99%、p<
0.05)および胸腺(57〜78%、p<0.05〜
p<0.001)で重量の減少が見られた。
【0177】4)固型腫瘍マウスのSRT−K(lo
t.705)およびSRT−KA(lot.503A)
投与による腫瘍縮小効果についての実験結果は下記表2
4に示す通りである。
【0178】
【表24】
【0179】尚、表24中において、A:各SRT−K
ロットの液体保存試料、B:各SRT−Kロットの凍結
乾燥試料。腫瘍縮小効果の判定基準は、解剖時の固型対
照群の平均腫瘍重量の50%(2371mg)以下のマ
ウスを有効例とした。固型対照群に対する有意差**:
p<0.01、***:p<0.001。
【0180】上記表24から明らかなように、腫瘍重量
では固型対照群4743±267mg(100%)と比
較的に個体差の少ない重量を示した。SRT−K液体保
存試料投与群の腫瘍重量平均は2794mg(58%、
p<0.001)、SRT−K凍結乾燥試料投与群で3
124mg(65%、p<0.01)、SRT−KA5
03A液体保存試料では2856mg(60%、p<
0.001)およびSRT−KA503A凍結乾燥試料
で3064mg(64%、p<0.01)と有意差を伴
う縮小効果が認められた。
【0181】固型腫瘍に対するSRT−Kの抗腫瘍効果
は表24から明らかなように、固型対照群の個々の腫瘍
重量は3632〜6140mgの範囲にあり、この平均
腫瘍重量の50%(2371mg)以下に縮小した腫瘍
を有効例と設定したとき、SRT−K投与各群で8匹中
1〜3匹(12.2〜37.5%)に腫瘍縮小効果が認
められた。尚、SRT−Kのロット別の有効率は、SR
T−K705(液体保存試料+凍結乾燥試料)で18.
7%(3/16)であり、SRT−KA503A(液体
保存試料+凍結乾燥試料)で25%(4/16)であっ
た。
【0182】IV.考察 IV−1.S−180腹水型腫瘍に対するSRT−Kロ
ットならびに形状の差異による抗腫瘍効果について:S
RT−K(lot.960705)ならびにSRT−K
A(lot.970503A)のロット間ならびに形状
(液体保存/凍結乾燥)の差異による抗腫瘍効果につい
て検討を加えた。実施例では上記のSRT−K2ロット
抗腫瘍効果とその安定性について液体(凍結)保存と凍
結乾燥保存による抗腫瘍効果いついて試験を実施した。
2ロットのSRT−Kは凍結乾燥処理を行って乾燥重量
を求め、両ロットとも1ml中21.433mgに調整
して試料とした。各SRT−K試料の投与経路は、腹腔
内ならびに腫瘍局所として隔日5回(10日間)の投与
を実施して腫瘍移植後11日目に解剖を行った。
【0183】本試験では腹水型腫瘍および固型腫瘍各群
のマウスに死亡例が見られず実験終了日まですべて生存
した。腹水腫瘍におけるSRT−Kの効果は、腹水対照
群の腹水量平均(19820±1351mg)に対して
有意に抑制しており、特にSRT−KA凍結乾燥試料投
与群で顕著(腹水量9900±1735mg)であっ
た。
【0184】SRT−K705とSRT−KA503A
の2ロット間の腹水腫瘍に対する抗腫瘍効果は、有効例
(前者は16匹中2匹、12.5%、後者は16匹中8
匹、50%)および腹水貯留量(前者は平均15010
mg/マウス、後者は平均10790mg/マウス)か
らSRT−KA503Aが高いと判定された。また、液
体保存試料と凍結乾燥試料との間には明らかな抗腫瘍効
果の差異は認められなかった。
【0185】血液の性状からみると、本試験では正常対
照群に対してSRT−K投与群の白血球数の増加と赤血
球数・ヘモグロビン量の減少傾向が見られる。SRT−
Kを投与していない腹水対照群にも同様な結果が得られ
ており、担癌マウスに現れる影響であるが、投与量に依
存して発現していることから、SRT−Kの投与による
影響が示唆された。
【0186】しかし、本試験では赤血球数ならびにヘモ
グロビン量が腹水対照群の数値よりいずれも高値であ
り、生体の貧血症状が改善されている結果が得られ、こ
の原因がSRT−K投与による直接的影響か、もしくは
担癌状態が改善されたことに起因する二次的な反応かは
不明である。臓器の重量では、腹水対照群で見られた肝
臓、腎臓、胸腺重量の有意な低下および脾臓重量の有意
な増加傾向がSRT−Kの投与により各群認められた。
【0187】IV−2.S−180固型腫瘍に対するS
RT−Kロットならびに形状の差異による抗腫瘍効果に
ついて:S−180固型腫瘍では、腫瘍細胞を右大腿部
外側筋肉内に4.4×106 /マウスの腫瘍細胞を移植
して2日後よりSRT−K各試料を腫瘍中心部に20μ
l投与した。
【0188】SRT−K投与による抗腫瘍効果は固型対
照群の腫瘍重量(4743±267mg)に対してSR
T−Kの投与各群では2794〜3124mgの範囲に
あり、すべての群で有意な減少(42〜35%の縮小)
が認められた。縮小した腫瘍の重量よりSRT−Kのロ
ット(SRT−K705、SRT−KA503A)間お
よび形状(液体保存試料と凍結乾燥試料)に明らかな抗
腫瘍効果の差は見られなかった。また、有効例の判定で
は固型対照群では自然に縮小した例が見られず、SRT
−K投与各群では、8匹中1〜3の有効例が見られたが
ロット間(SRT−K705は3/16、18%、SR
T−KA503Aは4/16、25%)で差が見られな
かった。
【0189】血球数の増減や臓器重量の変動に関して
は、固型腫瘍においても本試験の腹水型腫瘍のSRT−
K投与各群と同じく、白血球の増加傾向ならびに赤血球
数・ヘモグロビン量の減少、更には肝臓、腎臓、胸腺重
量の低下、脾臓重量の増加傾向が見られた。また、この
傾向はSRT−KA凍結乾燥試料投与群で顕著であり、
抗腫瘍効果と合わせ考えると本試料の活性の一部と推察
された。
【0190】V.まとめ 1.SRT−K(lot.960705)及びSRT−
KA(lot.970503A)の2ロットの原液0.
1ml(乾燥重量ともに21.4mg/ml)の腹腔内
投与は、S−180腹水腫瘍に対してともに有効であ
り、特に後者SRT−KA(lot.970503A)
に強い抗腫瘍効果が認められた。
【0191】2.S−180固型腫瘍に対してSRT−
K(lot.960705)およびSRT−KA(lo
t.970503A)のSRT−K原液20μl(乾燥
重量ともに21.4mg/ml)の腫瘍内投与は、とも
に明らかな抗腫瘍効果を示し、上記2ロット間でその効
果に差は見られなかった。
【0192】3.S−180腹水型腫瘍ならびにS−1
80固型腫瘍に対するSRT−K(2ロット)の抗腫瘍
効果は、形状(液体保存、凍結乾燥)によって変化する
ことなく安定であった。 4.SRT−K(lot.960705)およびSRT
−KA(lot.970503A)の投与は、担癌マウ
ス(腹水型・固型)の白血球数の増加、赤血球数および
ヘモグロビン量の減少に関与することが示唆された。 5.SRT−K(lot.960705)およびSRT
−KA(lot.970503A)の投与は、担癌マウ
ス(腹水型・固型)脾重量を顕著に増加させ胸腺重量を
減少させることが認められた。
【0193】実施例5 本発明生理活性物質による癌細胞のアポプトシス誘導作
用 実験操作 1.アガロースゲル電気泳動法 アポトーシス(apoptosis)に伴うDNA断片
は、180〜200bpの整数倍の小さなフラグメント
であるため、1.5〜2%という高濃度のアガロースゲ
ルを用いた。泳動は水平な位置にゲルを置き上を泳動バ
ッフアーで覆うサブマリン型の方式で行った。
【0194】2.器具 (1)電子レンジ(三菱電子レンジ RR−50、三菱
電気社製、日本) (2)UVトランスイルミネータ(DT型卓上照射装置
PA3型及び写真撮影装置(MP−4X型ポラロイドカ
メラ一式) (3)インスタントフイルム(ポラロイド667、日本
ポラロイド社製)
【0195】3.試薬 (1)アガロース (2)エチジウムブロマイド溶液 10mg/ml (3)DNAマーカー123塩基対ラダー(Gibco
BRL社製)
【0196】 4.試薬の調製 (1)トリスホウ酸EDTA(TBE泳動用バッフアー)保存液:TBE10 溶液 Tris base 108g ホウ酸 55g 0.5M EDTA(pH8.0) 40ml ──────────────── 計 1リットル 室温保存(本溶液用の試薬錠剤が市販されている)、用時10倍希釈
【0197】 (2)ゲルローディング液(6倍溶液) (最終濃度) ブロムフェノールブルー(BPB) 25mg(0.25%) ショ糖 4g ────────────────── 計 10ml
【0198】操作 下記の1)〜6)の工程を順次行う。 1)アガロース2gにゲル泳動用バッフアー100ml
を加え、電子レンジで加温溶解させた。70℃位になっ
たらゲルメーカー板に流し、直ちにコームを差し込みゲ
ルメーカー板、小で15ml、大で25ml、厚さ4〜
5mmのゲルを作製した。アガロースが冷却後コームを
外した(低温で保存可能)。 2)次にDNA試料は前記でのDNA抽出液+TEバッ
フアー5:ゲルローディング液1となるように混合する
(全量で6〜15μl)。
【0199】3)上記の混合サンプルおよびDNA分子
量マーカーの試料をゲル上のウエルに入れる。 4)泳動槽に泳動バッフアーを入れ、エチジンブロマイ
ド12mlを加え混合した。試料をつけたアガロースゲ
ルプレートをセット後、50Vで5分間位泳動を行い、
BPB(和光純薬社製)がゲルに入るのを確認してから
(泳動方向確認)一時停止し、ゲル上に泳動バッフアー
を3〜5mm覆う程度に追加した。
【0200】5)50Vで泳動を続け、マーカー色素が
先端付近にきたら終了する。 6)バックグランドの蛍光を落とすためゲルを水に浸
し、20〜30分ゆっくりと振とう後、UVトランスイ
ルミネーターでDNAの蛍光を検出し、写真撮影を行っ
た(ポラロイドカメラ使用)。
【0201】DNAZol試薬 細胞溶解 1)DNAzol 1ml+1.0×107 cells
(0.1mlの液体サンプル)をピペッテイングで混ぜ
た。 2)全量100mlになるように遠心して上清を除き、
0.9%NaClで細胞を洗浄した。
【0202】3)遠心して上清を除き、4℃の低温液
(20mM Tris−HCl pH8.0、10mM
EDTA)中に浮遊させた。 4)4000rpm、10分間遠心し上清を除き、1.
0×107 cellsに対して1ml DNAzolを
加え、ピペッテイングで混ぜた。
【0203】DNAの沈殿 1)DNAzol 1mlに対して0.5ml 100
%エタノールを添加すると、DNAの沈殿が起き分離し
た。 2)サンプルを横にして静かにシエイクし、これを1〜
3分間室温においた。 3)DNAの沈殿をピペットのチップで巻き付けるよう
にして取り出し、新しいチューブの壁に沿って移した。
【0204】4)静かに注意深く上清をすて、DNAの
沈殿をチューブの底に移した。 5)1分間程チューブを立てておき、チューブの底に溜
まっているものを吸引した。 6)DNAの存在が確認されないときは4℃、1〜2分
間、4000gで遠心し、DNAをペレットにした。
【0205】DNA洗浄 1)DNA沈殿を2回、95%エタノールで洗浄した。 2)各洗浄では3〜6回チューブを横にし、静かにシエ
イクしてDNAを浮遊させた。 3)チューブの底に落ちつかせるために0.5〜1分間
チューブを立てておき、後エタノールをピペッテイング
又は注ぐことで移した。
【0206】DNA溶解 1)5〜15分間室温でチューブの蓋を開けてDNAを
乾燥させた。 2)DNAを8mM NaOHにピペットのチップを通
してゆっくりと注ぎ入れて完全に溶解させた。 3)8mM NaOHを加えてDNAが0.2〜0.3
μg/mlの濃度になるようにする。
【0207】種類 ヒト腎臓の癌細胞;KU−21 1)培養方法 培地 :10%仔牛血清培養液 細胞数:1×106 /ml/10ml、6枚(コントロ
ール3枚、KU−21 3枚) 時間 :10時間程度(overnight cult
ure)
【0208】2)SRT−Kの感作処理 lot.970503A 感作量:1ml 濃度 :最終濃度を約10パーセント/totalとす
る 時間 :6時間 コントロールとしてPBS(−)緩衝液 1ml/to
tal(10%)
【0209】3)結果 処理前の細胞は図8のように底面に着床し、一定の形態
をとっている。また、球状は分列前のものである。これ
はSRT−Kの感作処理をすることによってほぼ100
%分裂状態になる(図9参照)。この形状はしばらく続
くがやがて縮小し消滅してゆく。これらのことから、細
胞の増殖にはG1 (合成準備期)、S期(合成期)、G
2 期(分裂準備期)、M期(分裂期)を繰り返して行く
が、癌細胞に関しては分裂が不可能であり、合成ができ
ないと判断させれる。従って、形態学的にみて細胞死は
ネクロース様ではなく、アポトーシス様である。
【0210】種類 ヒト歯肉由来正常線維芽細胞:GF 1)培養方法 培地 :10%仔牛血清培養液 細胞数:1×106 /ml/10ml、6枚(コントロ
ール3枚、GF3枚) 時間 :10時間程度
【0211】2)SRT−Kの感作処理 lot.970503A 感作量:1ml 濃度 :最終濃度を約10パーセント/totalとす
る 時間 :6時間 コントロールとしてPBS(−)緩衝液 1ml/to
tal(10%)
【0212】3)結果 細胞形状は一定の形態をとっている(図10参照)。感
作処理をすると細胞は一時ダメージを受けるが、感作時
間内に復活し分裂を開始する。コントロールと比較して
あまり大きな差異がなくなる。時間経過とともに同じ形
状をもち(図11参照)、明らかに癌細胞とは異なるこ
とが認められる。従って、形態学的に細胞はネクロース
様に破壊されず、アポトーシス様に起こっていることが
判断される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による生理活性物質(培養5日間による
SRT−KA)のUVスペクトルである。
【図2】本発明による生理活性物質(培養12日間によ
るSRT−KB)のUVスペクトルである。
【図3】本発明による生理活性物質の菌体破砕液の等電
点電気泳動図であり、符号1は5日間培養したSRT−
KAの等電点電気泳動図であり、符号2は12日間培養
したSRT−KBの等電点電気泳動図であり、符号3は
等電点マーカーを示すものである。
【図4】本発明による生理活性物質の菌体破砕液のSD
S−ポリアクリルアミド電気泳動図であり、符号1は5
日間培養したSRT−KAの電気泳動図であり、符号2
は12日間培養した試料SRT−KBの電気泳動図であ
る。
【図5】本発明による生理活性物質(SRT−KA)の
Con.A−アガロースによる菌体破砕液の分離結果を
示すものである。
【図6】本発明による生理活性物質(SRT−KB)の
Con.A−アガロースによる菌体破砕液の分離結果を
示すものである。
【図7】本発明による生理活性物質のDNA濃度と吸光
度との関係を示す。
【図8】ヒト腎臓の癌細胞(KU−21)をSRT−K
で処理する前の細胞の状態を示したものである。
【図9】ヒト腎臓の癌細胞(KU−21)をSRT−K
で処理した後の細胞の状態を示したものである。
【図10】ヒト歯肉由来正常線維芽細胞(GF)をSR
T−Kで処理する前の細胞の状態を示したものである。
【図11】ヒト歯肉由来正常線維芽細胞(GF)をSR
T−Kで処理した後の細胞の状態を示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C12N 1/20 C12R 1:67) (C12P 21/00 C12R 1:67)

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Con.Aに吸着するアスパラギン型糖
    鎖を有する、分子量34〜83kDaの糖タンパク質、
    またはそれらの混合物。
  2. 【請求項2】 分子量が74kDaであることを特徴と
    する請求項1に記載の糖タンパク質。
  3. 【請求項3】 分子量が65kDaであることを特徴と
    する請求項1に記載の糖タンパク質。
  4. 【請求項4】 分子量が52kDaであることを特徴と
    する請求項1に記載の糖タンパク質。
  5. 【請求項5】 分子量が41kDaであることを特徴と
    する請求項1に記載の糖タンパク質。
  6. 【請求項6】 分子量が34kDaであることを特徴と
    する請求項1に記載の糖タンパク質。
  7. 【請求項7】 分子量がそれぞれ、74kDa、65k
    Da、52kDa、41kDa、34kDaであること
    を特徴とする請求項1に記載の糖タンパク質の混合物。
  8. 【請求項8】 アスペルギルス属の微生物に由来するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の糖タンパク質、または
    それらの混合物。
  9. 【請求項9】 アスペルギルス属の微生物がアスペルギ
    ルス フラブスであることを特徴とする請求項8に記載
    の糖タンパク質、またはそれらの混合物。
  10. 【請求項10】 アスペルギルス フラブスがアスペル
    ギルス フラブスSRTであることを特徴とする請求項
    9に記載の糖タンパク質、またはそれらの混合物。
  11. 【請求項11】 アスペルギルス フラブスがアスペル
    ギルス フラブスSRT(FERM BP−5030)
    であることを特徴とする請求項10に記載の糖タンパク
    質、またはそれらの混合物。
  12. 【請求項12】 制癌作用を有することを特徴とする請
    求項1に記載の糖タンパク質、またはそれらの混合物。
  13. 【請求項13】 Con.Aに吸着するアスパラギン型
    糖鎖を有する分子量34〜83kDaの糖タンパク質を
    生産することができるアスペルギルス属に属することを
    特徴とする微生物。
  14. 【請求項14】 アスペルギルス属の微生物がアスペル
    ギルス フラブスであることを特徴とする請求項13に
    記載の微生物。
  15. 【請求項15】 アスペルギルス フラブスがアスペル
    ギルス フラブスSRT(FERM BP−5030)
    であることを特徴とする請求項14に記載の微生物。
  16. 【請求項16】 Con.Aに吸着するアスパラギン型
    糖鎖を有する分子量34〜83kDaの糖タンパク質を
    生産することができるアスペルギルス属に属する微生物
    を培養し、該培養物からCon.Aに吸着するアスパラ
    ギン型糖鎖を有する分子量34〜83kDaの糖タンパ
    ク質、またはそれらの混合物を採取することを特徴とす
    るCon.Aに吸着するアスパラギン型糖鎖を有する分
    子量34〜83kDaの糖タンパク質、またはそれらの
    混合物の製造方法。
  17. 【請求項17】 Con.Aに吸着するアスパラギン型
    糖鎖を有する分子量34〜83kDaの糖タンパク質を
    生産することができるアスペルギルス属の微生物の培養
    菌体を酵素および界面活性剤で処理することにより破壊
    し、Con.Aに吸着するアスパラギン型糖鎖を有する
    分子量34〜83kDanの糖タンパク質、またはそれ
    らの混合物を採取することを特徴とする請求項16に記
    載の製造方法。
  18. 【請求項18】 酵素がノボザイムおよびセルラーゼで
    あることを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
  19. 【請求項19】 ノボザイムとセルラーゼが1:10
    (w/w)の比率であることを特徴とする請求項18に
    記載の製造方法。
  20. 【請求項20】 Con.Aに吸着するアスパラギン型
    糖鎖を有する分子量34〜83kDaの糖タンパク質を
    生産することができるアスペルギルス属に属する微生
    物、その菌体破砕物、またはそれから採取されたCo
    n.Aに吸着するアスパラギン型糖鎖を有する分子量3
    4〜83kDaの糖タンパク質、またはそれらの混合物
    を有効成分として含有することを特徴とする制癌剤。
  21. 【請求項21】 固型癌の治療に使用されることを特徴
    とする請求項20に記載の制癌剤。
  22. 【請求項22】 腹水型癌の治療に使用されることを特
    徴とする請求項20に記載の制癌剤。
  23. 【請求項23】 多形細胞肉腫の治療に使用されること
    を特徴とする請求項20に記載の制癌剤。
  24. 【請求項24】 癌の転移を抑制するために使用される
    ことを特徴とする請求項20に記載の制癌剤。
  25. 【請求項25】 口腔腫瘍の治療に使用されることを特
    徴とする請求項20に記載の制癌剤。
  26. 【請求項26】 菌糸の破砕が物理的手段による破砕で
    ある請求項17に記載の製造方法。
  27. 【請求項27】 培養が5〜12日間であることを特徴
    とする請求項16に記載の製造方法。
  28. 【請求項28】 DNA合成抑制作用または阻害作用を
    有することを特徴とする請求項1に記載の糖タンパク
    質、またはそれらの混合物。
  29. 【請求項29】 癌細胞に対してアポトーシスを起こ
    し、正常細胞に対してはアポトーシスを起こす確率が低
    い性質を有することを特徴とする請求項1に記載の糖タ
    ンパク質、またはそれらの混合物。
  30. 【請求項30】 プロテアーゼ活性を有することを特徴
    とする請求項1に記載の糖タンパク質、またはそれらの
    混合物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006043353A1 (ja) * 2004-10-18 2006-04-27 Actice Co., Ltd. 細胞死誘導剤及び抗癌剤

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