JPH11245359A - 金属ラミネート用白色フィルム - Google Patents

金属ラミネート用白色フィルム

Info

Publication number
JPH11245359A
JPH11245359A JP5032298A JP5032298A JPH11245359A JP H11245359 A JPH11245359 A JP H11245359A JP 5032298 A JP5032298 A JP 5032298A JP 5032298 A JP5032298 A JP 5032298A JP H11245359 A JPH11245359 A JP H11245359A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
layer
titanium oxide
polyester
metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5032298A
Other languages
English (en)
Inventor
Minoru Kishida
稔 岸田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP5032298A priority Critical patent/JPH11245359A/ja
Publication of JPH11245359A publication Critical patent/JPH11245359A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属板との熱ラミネート性、缶の成形性に優
れ、隠蔽性及び白度に優れ、製缶時に治具に傷が発生す
ることがなく、さらにレトルト処理後でも脆化すること
のない、金属缶の被覆に好適な白色フィルム及びフィル
ムラミネート金属板を提供する。 【解決手段】 エチレンテレフタレート単位を主体とす
るポリエステルに、酸化チタンを20〜50重量%配合
した組成物からなるフィルムであって、前記フィルム
が、酸化チタンを20重量%以下配合した層Sと、酸化
チタンを20〜60重量%配合した層Bとを、S/B/
Sの構成となるように積層したフィルムであって、フィ
ルムの平均結晶面配向度が0.3〜0.7の範囲であ
り、かつ、層Bの結晶面配向度が0.2〜0.6の範囲
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属ラミネート用
白色フィルムに関するものであり、前記白色フィルムと
金属とのラミネート金属板を製缶加工する際に優れた成
形加工性を有し、隠蔽性、白度に優れ、かつ、製缶加工
時の製缶用治具の磨耗の問題がなく、さらには、缶をレ
トルト処理した後のフィルムの耐衝撃性にも優れた、金
属缶の外面被覆に好適な金属ラミネート用白色フィルム
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、金属缶の内外面の腐食防止には、
熱硬化性樹脂を主成分とする溶剤型の塗料が塗布されて
いた。しかし、溶剤型塗料は塗膜を形成するために高温
での加熱が必要であり、その際に多量の溶剤が発生する
ため、作業の安全性および環境の面からも問題があっ
た。そのため、最近、熱可塑性樹脂フィルムによる金属
の被覆が提案され、特に加工性、耐熱性等に優れたポリ
エステルをベースとした金属ラミネート用フィルムの開
発が進められている。
【0003】熱可塑性樹脂フィルムで被覆した金属缶
は、鋼板、アルミ板等の金属板(メッキ等の表面処理を
施したものを含む)に熱可塑性樹脂フィルムをラミネー
トしたラミネート金属板を成形加工して製造される。こ
のような用途に用いられる熱可塑性樹脂フィルムには、
金属板とのラミネート性がよいこと、缶の成形性に
優れていること、つまり、缶の成形時にフィルムの剥
離、亀裂、ピンホール等の発生がないこと、缶成形後
の印刷、レトルト殺菌処理および長期の保存の際に脆化
しないこと等の数々の特性が同時に要求される。
【0004】また、缶外面には通常、印刷が施される
が、その際、下地の金属色を隠蔽する目的で白色塗料が
下塗され、その上に印刷が施されている。しかし、近
年、製造工程の簡略化(低エネルギー化、低コスト化)
や、環境問題に対する対策(非溶剤化)から白色フィル
ムの開発が進められている。そのため、缶外面用には、
前記の要求物性の他に、さらに隠蔽性、印刷性が要
求される。
【0005】このような金属ラミネート用白色フィルム
としては、ポリエステル樹脂に酸化チタンを高濃度とな
るように配合したものが開発されており、これまでにも
いくつかの提案がなされている。たとえば、共重合ポリ
エステルに酸化チタンを混合し、結晶配向度を一定範囲
内とすることにより、熱ラミネート性および成形性を改
良したものや(特開平5−170942)、高濃度の酸
化チタンのマスターチップと粘度分布の広い希釈ポリマ
ーとを混合することにより缶の加工性と耐衝撃性とを向
上する方法(特開平6−271686)等が提案されて
いる。
【0006】しかし、従来の白色フィルムでは白度や隠
蔽性が不充分であり、白色フィルムを被覆した上に、更
に白色塗料を被覆する必要があり、白色フィルムに対し
てさらに高い白度および隠蔽度が要求されていた。しか
し、白度や隠蔽性をさらに高めるために白色顔料を高充
填化した場合には、(a)フィルムの製造時、特に二軸
延伸時にフィルムの破断が発生して操業性が損なわた
り、(b)金属板へのラミネート性能の低下、(c)缶
の成形性の低下、(d)成形加工する時に金属製治具が
磨耗する、(e)フィルム表面への印刷に問題がある
(密着性の低下や印刷欠点が発生しやすい)という種々
の問題があった。
【0007】上記の種々の問題を解決するために、白色
顔料の含有量の異なる2種類の共重合ポリエステルを積
層した積層ポリエステルフィルム(特開平8−1699
64)が提案されているが、上記の(c)、(d)、
(e)の問題を解決することは困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、金属
板との熱ラミネート性、缶の成形性に優れ、隠蔽性及び
白度に優れ、製缶時の治具の磨耗や傷の発生がなく、さ
らにレトルト等の処理後にも脆化することのない、金属
缶の被覆に好適な白色フィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、エチレン
テレフタレート単位を主体とするポリエステル中に、酸
化チタン含有量の異なる2種類の層を3層に積層し、酸
化チタンを中央の層に高濃度となるように偏在化させ、
しかもフィルムの結晶面配向度を一定範囲内に調整する
ことにより上記の課題が解決できること、さらには、熱
ラミネート後のフィルムの結晶化特性を調整することに
より、レトルト処理後の耐衝撃性が改善されることを見
出し、本発明に到達した。
【0010】すなわち、本発明の要旨は、エチレンテレ
フタレート単位を主体とするポリエステルに、酸化チタ
ンを20〜50重量%配合した組成物からなるフィルム
であって、前記フィルムが、酸化チタンを20重量%以
下配合した層Sと、酸化チタンを20〜60重量%配合
した層Bとを、S/B/Sの構成となるように積層した
フィルムであって、フィルムの平均結晶面配向度が0.
3〜0.7の範囲であり、かつ、層Bの結晶面配向度が
0.2〜0.6の範囲であること金属ラミネート用白色
フィルムにある。
【0011】
【発明の実施形態】以下、本発明について詳細に説明す
る。
【0012】本発明におけるポリエステルは、エチレン
テレフタレート単位を主成分としたものであり、エチレ
ンテレフタレート単位は75mol%以上が好ましい。
エチレンテレフタレート単位が75mol%未満では結
晶性が低くなりフィルムの耐熱性が低下する。また、本
発明におけるポリエステルとしては、エチレンイソフタ
レート単位を5〜25mol%、さらに好ましくは7〜
20mol%共重合することにより、金属との熱ラミネ
ート性および缶の成形性を向上させることができる。
【0013】本発明におけるポリエステルには、本発明
の効果を損なわない範囲において、他の成分を共重合し
てもよい。他の共重合成分としては、酸成分としては、
フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナト
リウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジ
ピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダ
イマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、
イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサ
ンジカルボン酸等のジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息
香酸、ε−カプロラクトンや乳酸などが挙げられる。ま
た、アルコール成分としては、ジエチレングリコール、
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、
シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA
やビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等が挙げ
られる。さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロ
メリット酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペ
ンタエリスリトール等の3官能化合物等を少量用いても
よい。
【0014】外層Sと内層Bに使用されるポリエステル
は、同一のポリエステルでもよいし、また異なる組成の
ものでもよいが、S層のポリエステルの融点がB層のポ
リエステルのそれと同じか、それより低くすることによ
り、フィルムの強度、耐熱性、熱ラミネート性を良好に
バランスさせることが可能となる。
【0015】S層及びB層のポリエステルの極限粘度は
0.5以上が好ましく、さらに好ましくは0.6〜1.
2である。極限粘度が0.5未満の場合にはフィルムの
強度が低く、1.2を超える場合にはフィルムの生産性
が低下するので好ましくない。
【0016】S層とB層のポリエステルの極限粘度の差
は0.1以下、好ましくは0.09以下がよい。極限粘
度の差が0.1よりも大きいと、製膜時にフィルムにフ
ローマークが入るので好ましくない。フローマークと
は、粘度の異なる2種以上の樹脂がフィードブロックや
Tダイで合流する場合に発生する一種の樹脂の流動変
動、すなわち樹脂の流れ模様のことをいう。
【0017】本発明におけるポリエステルの重合方法に
特に限定はなく、エステル交換法、直重法等により重合
することができる。エステル交換触媒としては、Mg、
Mn、Zn、Ca、Li、Ti等が挙げられる。また、
重縮合触媒としては、Sb、Ti、Ge等の化合物が挙
げられる。重合後のポリエステルは、オリゴマーや、ア
セトアルデヒドを含有しているため、減圧もしくは不活
性ガス流通化、200℃以上の温度でさらに固相重合し
てこれらの含有量を低下させることが好ましい。
【0018】ポリエステルの重合においては必要に応じ
て、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤
等を添加することができる。酸化防止剤としては、たと
えばヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン
系化合物等を、熱安定剤としては、たとえばリン系化合
物等を、紫外線吸収剤としては、たとえばベンゾフェノ
ン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等を用いるこ
とができる。
【0019】本発明におけるフィルムの酸化チタンの含
有量は、B層は20〜60重量%、好ましくは25〜5
5重量%、最適には30〜50重量%である。B層の酸
化チタンの含有量が20重量%未満であるとフィルムの
白度、隠蔽性が不足する。また、60重量%を超える
と、フィルムの強度が低下してしまい、ラミネート後の
フィルムの成形性が劣る。
【0020】S層の酸化チタンの含有量は、20重量%
以下、好ましくは15重量%以下、最適には10重量%
以下である。S層の酸化チタンの含有量が20重量%を
超えると、金属板へのラミネート時、もしくはフィルム
をラミネートした金属板の製缶時に、治具の磨耗が発生
して、製造プロセスに多大な悪影響を与えたり、磨耗し
た金属や酸化チタンが缶加工時にフィルム表面に付着し
て印刷時に問題が発生したりすることがある。
【0021】酸化チタンは、必要に応じて公知の表面処
理を施して用いることができる。また、酸化チタンは予
め50〜70重量%のマスターバッチ化して用いてもよ
いし、フィルム化時にダイレクトに添加してもよい。
【0022】酸化チタンの平均粒径は0.1〜0.5μ
m 、好ましくは0.2〜0.5μmがよい。0.5μm
よりも大きいと、酸化チタンの単位重量あたりの全表面
積が少なくなり、フィルムの隠蔽性や白度が不足する場
合がある。また得られるフィルムの表面に凹凸ができ
て、光沢度が低くなったり印刷適性が低下したりする。
平均粒径が0.1μm 未満の場合は、平均粒径が可視光
線の波長よりも小さくなって、可視光線がフィルムを通
過するおそれがあり、フィルムの隠蔽性や白度が不足す
る場合がある。
【0023】本発明のポリエステルフィルムは、平均結
晶面配向度が0.3〜0.7の範囲であることが必要で
あり、好ましくは0.35〜0.65である。ここで、
平均結晶面配向度とは本発明のフィルム全体の結晶面配
向度の積算値である。平均結晶面配向度が0.7を超え
ると成形性が悪くなり、缶の成形時にフィルムの剥離や
破断が生じ易くなる。また、平均結晶面配向度が0.3
未満であると、フィルムの結晶性が低く、フィルム強度
が不足してフィルム製造時や熱ラミネート時に問題が生
じる。
【0024】また、本発明のポリエステルフィルムの内
層Bの結晶面配向度は0.2〜0.6の範囲であること
が必要であり、好ましくは0.25〜0.55である。
B層の結晶面配向度が0.6を超えると缶の成形性が低
下し、0.2未満ではラミネート金属板をレトルト処理
した後のフィルムの耐衝撃性が低下する。また、内層B
の結晶面配向度がフィルム全体の平均結晶面配向度より
低いことが好ましい。B層の結晶面配向度がフィルム全
体の平均面結晶配向度よりも高い場合には、フィルム全
体の特性をB層が支配することとなり、特にフィルム強
度に関してS層の効果が現れにくく、フィルム製造時に
破断が生じたり、缶の成形性が低下する場合がある。
【0025】本発明のポリエステルフィルムのB層の厚
みは5〜20μm 、好ましくは、10〜15μm であ
る。また、S層の厚みは0.5〜5μm 、好ましくは1
〜3μm である。B層の厚みが5μm 未満の場合、フィ
ルムの白度と隠蔽性が不足し、20μmを超えると過剰
品質となってコストパフォーマンスを失する恐れがあ
る。また、S層の厚みが0.5μm 未満の場合には、製
缶時に治具の磨耗を生じたり、印刷性が低下する場合が
ある。また、5μm を超えるとフィルムの強度は向上す
るが、白度や隠蔽性を高めることが困難となり、また缶
の成形時にS層とB層間の界面で剥離現象が起こり易く
なる。フィルムの全厚みは、絞り、シゴキ加工での成形
性を確保するためには、9〜25μm が好ましく、12
〜17μm の範囲がさらに好ましい。
【0026】本発明のフィルムは、次の方法によって製
造できる。すなわち、各層を構成する2種の樹脂組成物
を別々の押出機を用いて溶融し、フィードブロック法に
より重ね合わせてダイスより押し出す方法や、溶融した
2種の樹脂組成物をマルチマニホールドダイス中で重ね
合わせて押し出す方法や、両方法を組み合わせた方法等
を用いて、未延伸シートを製造する。次に、この未延伸
シートを、テンター式二軸延伸法あるいはインフレーシ
ョン法を用いて縦方向および横方向に延伸することによ
り、本発明のフィルムが得られる。あるいは、各層を構
成する2種の延伸フィルムを貼り合わせる方法を用いる
こともできる。
【0027】テンター式二軸延伸法を用いる場合には、
たとえば、S層及びB層を構成する2種のポリエステル
組成物を押出機に供給し、温度220〜280℃でシー
ト状に押し出し、このシートを室温以下の温度に調節し
た冷却ドラム上に密着させて冷却し未延伸シートを得
る。次に、得られた未延伸シートを必要に応じてMDに
1〜1.2倍程度の予備延伸した後、テンターにより温
度50〜150℃でMD及びTDにそれぞれ2〜4倍程
度の延伸倍率となるように二軸延伸し、さらに、TDの
弛緩率を数%として、80〜220℃で数秒間熱処理を
施すことによって二軸延伸フィルムを製造することがで
きる。
【0028】テンターによる二軸延伸方法としては、同
時二軸延伸法及び逐次二軸延伸法を用いることができる
が、本発明のポリエステル組成物のように、高含有量の
酸化チタンが充填されている場合にはフィルム延伸時に
破断しやすくなるが、同時二軸延伸法を用いることによ
り、この破断の発生を著しく低減させることができるの
で、同時二軸延伸法がより好ましい。
【0029】延伸後の熱処理は、フィルムの寸法安定性
を付与するために必要な工程であるが、その方法として
は、熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マ
イクロ波を照射する方法等の公知の方法がある。これら
の方法の中で、均一に精度良く加熱できることから熱風
を吹き付ける方法が最適である。
【0030】フィルム製膜性や製缶加工性を向上させる
ために、シリカ、アルミナ、カオリン等の無機滑剤を少
量添加して製膜してフィルム表面にスリップ性を付与す
ることが望ましい。また、フィルムの外観や印刷性を向
上させるために、フィルムにシリコーン化合物等を含有
させることもできる。また、金属とのラミネート性を向
上させるために、接着層等を二軸延伸フィルム製造工程
中にコーティングしたり(インラインコーティング)、
二軸延伸フィルムにコーティング(ポストコーティン
グ)してもよい。
【0031】本発明のポリエステルフィルムは、鋼板、
アルミ、ブリキ等の金属板に熱ラミネートされるが、金
属板が鋼板の場合には、クロム酸処理、リン酸処理、電
解クロム酸処理、クロメート処理等の化成処理や、ニッ
ケル、スズ、亜鉛、アルミ、砲金、真鍮、その他の各種
メッキ処理などを施した鋼板を用いることが好ましい。
【0032】本発明のポリエステルフィルムは、金属板
に熱ラミネートした後のフィルムのDSCによる昇温結
晶化ピーク温度Tcが130℃以下であることが好まし
く、120℃以下であることがさらに好ましい。Tcを
上記の範囲内とすることにより、金属缶をレトルト処理
した後のフィルムの耐衝撃性を向上させることができ
る。
【0033】上記の結晶化特性は、ポリエステルの組
成、粘度、フィルムの結晶性、及び、熱ラミネート条件
の各要素を組み合わせることによって得られる。本発明
の結晶化特性を有するラミネート金属板を得るために
は、熱ラミネート温度はポリエステルの融点(Tm)+
30℃以下が好ましく、特にTm+20℃以下がさらに
好ましい。
【0034】次に、本発明を実施例によってさらに具体
的に説明する。実施例及び比較例におけるフィルムの特
性値の測定法は次の通りである。
【0035】A.極限粘度 フェノール/四塩化エタンの等重量混合溶媒を用いて、
温度20℃で測定した溶液粘度から求めた。 B.フィルムの各層の厚み 延伸フィルムから、ミクロトームを用いて薄切片を採取
し、電子顕微鏡を使用してこの薄切片の各層の厚みを測
定した。 C.引張強度 ASTM D882に規定される測定方法に準じて、幅
10mm、長さ10cmの試料(n=5枚)で測定した。な
お、データはMDとTDの平均値で示した。 D.白度 JIS L 1015 7.11 白色度のC法(ハン
ターの方法)により測定した。 E.光学密度 Macbeth社製透過濃度計TD932を使用し、透
過ノズル系を3mmとし、入射光量I0 と透過光量Iを求
め、透過濃度Dを次式で算出し、これを光学密度とし
た。 D=−log(I0 /I) F.結晶面配向度 理学電機社製X線回折装置の極点試料台を用いて、フィ
ルムの結晶面(100)の3方向(長手方向MD、幅方
向TD、厚さ方向ND)の結晶配向指数 cos2φi を求
め、次式より結晶面配向度fc (ND)を求めた。 fc (ND)=(3cos2φi −1)/2 ただし、ベースラインとしては2θ=20°と30°を
結んだ直線を用いたが、白色顔料がアナターゼ型酸化チ
タンの場合には、その結晶面(101)がポリエステル
の結晶面(100)の近くに存在するために、α=0°
における酸化チタンに由来する反射ピーク強度を全ての
反射強度から減じた。なお、α=0°はフィルム表面に
垂直に結晶面(100)が配置された場合を表す。B層
の結晶面配向度は、フィルム表面層Sを砥石で削り、B
層の厚みを確認して測定した。 G.昇温結晶化ピーク温度(Tc) 金属体に熱ラミネートされたフィルムを塩酸水溶液(濃
塩酸/水=50/50)中に浸して金属板から剥離し、
水洗後、室温で乾燥したものを用い、Perkin E
lmer社製DSCを用いて、昇温速度20℃/min の
条件で測定した。 H.缶の成形性 240℃に加熱した金属ロールと、シリコンゴムロール
との間に、フィルムと厚み0.21mmのティンフリース
チール板とを重ね合わせて供給し、速度20m/min 、線
圧50kgf/cmで加熱接着し、ラミネート金属板を得た。
得られたラミネート金属板のフィルム側を缶胴外面とし
て、350ml相当の2ピース缶の深絞り成形を行った時
の状態を観察した。評価は、フィルムの剥離(浮き)や
白化が認められない場合を○、認められるものを×とし
た。 I.製缶用治具の摩耗性(耐傷性) 製缶時の治具の傷の発生状況によって評価した。上記の
缶の深絞り成形試験を100缶分実施し、深絞り成形に
使用する治具に発生する傷の有無を観察した。傷が認め
られない場合を○、傷が微かでも認められれば×とし
た。 J.耐衝撃性 ラミネート金属板を125℃で30min レトルト処理
後、23℃の雰囲気下において、50cmの高さから1kg
の重り(先端形状は直径1インチの球状)をフィルム側
に落下させたときのフィルムの状態を観察した。フィル
ムの剥離又は破断が目視で認められたものを××、硫酸
銅水溶液に浸した場合に金属の腐食が認められたものを
×、腐食が認められないものを○とした。
【0036】実施例1〜7、比較例1〜5 表1に示した層Sを構成するポリエステル樹脂組成物を
押出機1より温度280℃で溶融押出した。同様に、層
Bを構成するポリエステル樹脂組成物を押出機2より温
度280℃で溶融押出した。溶融した2種の樹脂をマル
チマニホールドダイス中で重ね合わせて、表1に示した
S/B/Sの3層構造としてTダイからシート状に押し
出し、表面温度18℃の冷却ドラムに密着させて冷却
し、厚さ100〜150μm の未延伸シートを得た。得
られた未延伸シートをテンター式同時二軸延伸機に供給
し、表1に示した条件で同時二軸延伸した後、TDの弛
緩率を5%として、温度155℃で4秒間の熱処理を施
した後、冷却して巻き取り、厚さ12〜17μmの白色
複層フィルムを得た。得られたフィルムの特性値、缶の
成形性等を表1に示した。表1において、IPAはイソ
フタル酸、SEAはセバシン酸を表す。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、優れた強度、隠蔽性、
白度を有し、金属板との熱ラミネート性及びこれを用い
た缶の成形性に優れた金属缶の被覆に好適な白色フィル
ムが提供される。また、本発明のフィルムを用いて製造
した缶をレトルト処理した後においても、優れた耐衝撃
性を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29C 55/16 B29C 55/16 B29K 67:00 105:16 B29L 7:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンテレフタレート単位を主体とす
    るポリエステルに、酸化チタンを20〜50重量%配合
    した組成物からなるフィルムであって、前記フィルム
    が、酸化チタンを20重量%以下配合した層Sと、酸化
    チタンを20〜60重量%配合した層Bとを、S/B/
    Sの構成となるように積層したフィルムであって、フィ
    ルムの平均結晶面配向度が0.3〜0.7の範囲であ
    り、かつ、層Bの結晶面配向度が0.2〜0.6の範囲
    である金属ラミネート用白色フィルム。
  2. 【請求項2】 ポリエステルが、エチレンテレフタレー
    ト単位95〜75モル%とエチレンイソフタレート単位
    5〜25モル%からなる請求項1記載の白色フィルム。
  3. 【請求項3】 金属板に熱ラミネートした後の、フィル
    ムの昇温結晶化ピーク温度Tcが130℃以下である請
    求項1又は2記載の白色フィルム。
JP5032298A 1998-03-03 1998-03-03 金属ラミネート用白色フィルム Pending JPH11245359A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5032298A JPH11245359A (ja) 1998-03-03 1998-03-03 金属ラミネート用白色フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5032298A JPH11245359A (ja) 1998-03-03 1998-03-03 金属ラミネート用白色フィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11245359A true JPH11245359A (ja) 1999-09-14

Family

ID=12855677

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5032298A Pending JPH11245359A (ja) 1998-03-03 1998-03-03 金属ラミネート用白色フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11245359A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005051171A (ja) * 2003-07-31 2005-02-24 Applied Materials Inc 基板処理装置
JP2016164259A (ja) * 2015-02-27 2016-09-08 東レ株式会社 ポリエステルフィルム
JP2019119048A (ja) * 2017-12-28 2019-07-22 ユニチカ株式会社 白色ポリエステルフィルム

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005051171A (ja) * 2003-07-31 2005-02-24 Applied Materials Inc 基板処理装置
JP2016164259A (ja) * 2015-02-27 2016-09-08 東レ株式会社 ポリエステルフィルム
JP2019119048A (ja) * 2017-12-28 2019-07-22 ユニチカ株式会社 白色ポリエステルフィルム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3329052B2 (ja) 金属板ラミネート用白色ポリエステルフィルム及びその製造方法
JP3753592B2 (ja) 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム
JP2000169600A (ja) 包装用ポリエステルフィルム
JP2001301025A (ja) 金属板貼合せ用二軸延伸着色ポリエステルフィルム
JP3293261B2 (ja) 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム
JP3181565B2 (ja) 金属缶胴部外面ラミネート用ポリエステルフィルム
KR100487087B1 (ko) 금속의표면에라미네이트되는백색의필름및그제조방법
JP4059966B2 (ja) 金属ラミネート用白色フィルム
JP3282376B2 (ja) 金属板ラミネート用白色ポリエステルフィルムの製造方法
JPH11245359A (ja) 金属ラミネート用白色フィルム
JP3033578B2 (ja) 鋼板貼り合わせ用ポリエステルフイルム
JP2004017438A (ja) 金属板ラミネート用白色積層ポリエステルフィルム
JP4121316B2 (ja) 金属板ラミネート用白色積層ポリエステルフィルム
JP2000177085A (ja) 貼合わせ用ポリエステルフィルム
JP3262995B2 (ja) 金属ラミネート用白色フィルム
JPH10180969A (ja) 金属ラミネート用白色フィルム及びその製造方法
JPH1060131A (ja) 金属ラミネート用白色ポリエステルフィルムとその製造法
JPH1044354A (ja) ポリエステル系フィルム、ラミネート金属板、その製造方法および金属容器
JP2007203569A (ja) 金属板貼り合わせ成形加工用積層フィルム
JPH11207908A (ja) 金属ラミネート用白色フィルム
JP3796880B2 (ja) 成形用二軸延伸ポリエステルフイルム
JP3022683B2 (ja) 製缶用金属板の缶外面側被覆に用いるポリエステルフィルム
JP3485003B2 (ja) ラミネート金属板の製造方法
JPH11254624A (ja) 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム
JP2002362528A (ja) 金属缶体およびポリエステルフィルムを積層した金属板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20050225

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070309

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20070327

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Effective date: 20070717

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02