JPH11245330A - 加工密着性に優れたポリアミド樹脂被覆金属板の製造方法、ポリアミド樹脂被覆金属板およびそれを用いた容器 - Google Patents
加工密着性に優れたポリアミド樹脂被覆金属板の製造方法、ポリアミド樹脂被覆金属板およびそれを用いた容器Info
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- JPH11245330A JPH11245330A JP10063885A JP6388598A JPH11245330A JP H11245330 A JPH11245330 A JP H11245330A JP 10063885 A JP10063885 A JP 10063885A JP 6388598 A JP6388598 A JP 6388598A JP H11245330 A JPH11245330 A JP H11245330A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 絞り加工や絞りしごき加工を施した際に、層
間剥離や樹脂層におけるクラックの発生などの欠陥が生
じず、さらに加工後に熱処理を施した際にも皮膜剥離を
生じることがない、加工密着性および加工後耐熱密着性
に優れたポリアミド樹脂被覆金属板の製造方法、その製
造方法を用いて製造したポリアミド樹脂被覆金属板を提
供する。 【解決手段】 一定のX線回折条件で測定した場合に一
定範囲の回折強度を有するポリアミド樹脂を、ポリアミ
ド樹脂の融点以上の温度に加熱された金属板上に当接し
て積層した後急冷することからなるポリアミド樹脂被覆
金属板の製造方法において、積層後のポリアミド樹脂の
X線回折強度が一定範囲となるように積層作業条件を制
御することによって目的とするポリアミド樹脂被覆金属
板が得られる。
間剥離や樹脂層におけるクラックの発生などの欠陥が生
じず、さらに加工後に熱処理を施した際にも皮膜剥離を
生じることがない、加工密着性および加工後耐熱密着性
に優れたポリアミド樹脂被覆金属板の製造方法、その製
造方法を用いて製造したポリアミド樹脂被覆金属板を提
供する。 【解決手段】 一定のX線回折条件で測定した場合に一
定範囲の回折強度を有するポリアミド樹脂を、ポリアミ
ド樹脂の融点以上の温度に加熱された金属板上に当接し
て積層した後急冷することからなるポリアミド樹脂被覆
金属板の製造方法において、積層後のポリアミド樹脂の
X線回折強度が一定範囲となるように積層作業条件を制
御することによって目的とするポリアミド樹脂被覆金属
板が得られる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工密着性に優れ
たポリアミド樹脂被覆金属板の製造方法、ポリアミド樹
脂被覆金属板およびそれを用いた容器に関する。より詳
細には、絞り加工や絞りしごき加工、およびそれらの加
工に加えてさらなる加工を施した際に、層間剥離や樹脂
層におけるクラックの発生などの欠陥が生じず、さらに
加工後に熱処理を施した際にも皮膜剥離を生じることが
ない、加工密着性および加工後耐熱密着性に優れたポリ
アミド樹脂被覆金属板の製造方法、その製造方法を用い
て製造したポリアミド樹脂被覆金属板、およびそのポリ
アミド樹脂被覆金属板を絞り加工または絞りしごき加工
してなる容器、特にコンデンサー外装用に使用される容
器に関する。
たポリアミド樹脂被覆金属板の製造方法、ポリアミド樹
脂被覆金属板およびそれを用いた容器に関する。より詳
細には、絞り加工や絞りしごき加工、およびそれらの加
工に加えてさらなる加工を施した際に、層間剥離や樹脂
層におけるクラックの発生などの欠陥が生じず、さらに
加工後に熱処理を施した際にも皮膜剥離を生じることが
ない、加工密着性および加工後耐熱密着性に優れたポリ
アミド樹脂被覆金属板の製造方法、その製造方法を用い
て製造したポリアミド樹脂被覆金属板、およびそのポリ
アミド樹脂被覆金属板を絞り加工または絞りしごき加工
してなる容器、特にコンデンサー外装用に使用される容
器に関する。
【0002】
【従来の技術】表面処理鋼板、アルミニウム合金板など
の金属板にポリアミド樹脂を積層してなるポリアミド樹
脂被覆金属板が、加工性、耐食性、電気絶縁性などのポ
リアミド樹脂の優れた特性を活かして、電解コンデンサ
ーの外装用容器など、種々の分野で用いられている。こ
れらの殆どの用途においては、ポリアミド樹脂被覆金属
板は多少なりとも成形加工されて使用されるため、ポリ
アミド樹脂層が成形加工時に剥離したり、破壊したりし
ないことが不可欠である。そのため、加工密着性に優れ
たポリアミド樹脂被覆金属板を得ることを目的として、
次のような様々な試みが行われている。
の金属板にポリアミド樹脂を積層してなるポリアミド樹
脂被覆金属板が、加工性、耐食性、電気絶縁性などのポ
リアミド樹脂の優れた特性を活かして、電解コンデンサ
ーの外装用容器など、種々の分野で用いられている。こ
れらの殆どの用途においては、ポリアミド樹脂被覆金属
板は多少なりとも成形加工されて使用されるため、ポリ
アミド樹脂層が成形加工時に剥離したり、破壊したりし
ないことが不可欠である。そのため、加工密着性に優れ
たポリアミド樹脂被覆金属板を得ることを目的として、
次のような様々な試みが行われている。
【0003】例えば、動的弾性率が1.0×103〜1.5×10
10 dyne/cm2のナイロン系エラストマーや耐衝撃性ナイ
ロンを、シランカップリング剤を塗布したアルミニウム
板に溶融押出して積層したもの(特開昭62-198453 号公
報)、表面をサンドブラストなどを用いて機械的に粗面
化後、直流電解エッチングを施してミクロピットを形成
させたアルミニウム板を加熱し、その上にポリアミド系
フィルムを積層したもの(特開昭63-141722 号公報)、
接着剤を塗布したアルミニウム板に、6−ナイロン樹
脂、6−ナイロンエラストマー、ナイロン系ポリマーア
ロイから選ばれた中間層と、鉛筆硬度H以上のナイロン
樹脂の上層からなる2層を溶融押出によりラミネートし
たもの(特開昭64-72840号公報)、X線光電子分光法に
よる表面分析スペクトル値が一定値以下のエポキシ樹脂
塗膜を有する金属素材表面にポリアミド樹脂を積層した
もの(特開平1-238931号公報)、脂肪酸又はヒドロキシ
メチル置換フェノールからなる塗膜を350゜C 以上の加熱
温度で熱処理してなる熱変性皮膜を有する金属素材表面
にポリアミド樹脂を積層したもの(特開平3-2036号公
報)、酸化防止剤を0.5重量%〜2.5重量%添加したまた
は添加しない、球晶の最大径が10μm 以下であるポリア
ミド系樹脂層を、接着剤を塗布したアルミニウム板に溶
融押出し積層したもの(特開平8-1857号公報)などが提
案されている。
10 dyne/cm2のナイロン系エラストマーや耐衝撃性ナイ
ロンを、シランカップリング剤を塗布したアルミニウム
板に溶融押出して積層したもの(特開昭62-198453 号公
報)、表面をサンドブラストなどを用いて機械的に粗面
化後、直流電解エッチングを施してミクロピットを形成
させたアルミニウム板を加熱し、その上にポリアミド系
フィルムを積層したもの(特開昭63-141722 号公報)、
接着剤を塗布したアルミニウム板に、6−ナイロン樹
脂、6−ナイロンエラストマー、ナイロン系ポリマーア
ロイから選ばれた中間層と、鉛筆硬度H以上のナイロン
樹脂の上層からなる2層を溶融押出によりラミネートし
たもの(特開昭64-72840号公報)、X線光電子分光法に
よる表面分析スペクトル値が一定値以下のエポキシ樹脂
塗膜を有する金属素材表面にポリアミド樹脂を積層した
もの(特開平1-238931号公報)、脂肪酸又はヒドロキシ
メチル置換フェノールからなる塗膜を350゜C 以上の加熱
温度で熱処理してなる熱変性皮膜を有する金属素材表面
にポリアミド樹脂を積層したもの(特開平3-2036号公
報)、酸化防止剤を0.5重量%〜2.5重量%添加したまた
は添加しない、球晶の最大径が10μm 以下であるポリア
ミド系樹脂層を、接着剤を塗布したアルミニウム板に溶
融押出し積層したもの(特開平8-1857号公報)などが提
案されている。
【0004】これらのポリアミド樹脂を積層した金属板
は、絞り加工を施したのみでは加工部分のポリアミド樹
脂が剥離し難いが、加工後に後加熱を施した場合、例え
ば、260〜270゜Cに加熱した半田浴中に20秒程度浸漬した
場合に、樹脂層が剥離することがあり、必ずしも十分な
加工後耐熱密着性を有しているとは言い難い。
は、絞り加工を施したのみでは加工部分のポリアミド樹
脂が剥離し難いが、加工後に後加熱を施した場合、例え
ば、260〜270゜Cに加熱した半田浴中に20秒程度浸漬した
場合に、樹脂層が剥離することがあり、必ずしも十分な
加工後耐熱密着性を有しているとは言い難い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、絞り加工や
絞りしごき加工、およびそれらの加工に加えてさらなる
加工を施した際に、層間剥離や樹脂層におけるクラック
の発生などの欠陥が生じず、さらに加工後に熱処理を施
した際にも皮膜剥離を生じることがない、加工密着性お
よび加工後耐熱密着性に優れたポリアミド樹脂被覆金属
板の製造方法、その製造方法を用いて製造したポリアミ
ド樹脂被覆金属板を提供することを技術課題とする。
絞りしごき加工、およびそれらの加工に加えてさらなる
加工を施した際に、層間剥離や樹脂層におけるクラック
の発生などの欠陥が生じず、さらに加工後に熱処理を施
した際にも皮膜剥離を生じることがない、加工密着性お
よび加工後耐熱密着性に優れたポリアミド樹脂被覆金属
板の製造方法、その製造方法を用いて製造したポリアミ
ド樹脂被覆金属板を提供することを技術課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のポリアミド樹脂
被覆金属板の製造方法は、下記に示すX線回折条件で測
定した場合の回折強度が7000〜50000カウント/秒(CPS)
であるポリアミド樹脂を、ポリアミド樹脂の融点以上の
温度に加熱された金属板の少なくとも片面上に当接して
積層した後急冷することからなるポリアミド樹脂被覆金
属板の製造方法において、積層後のポリアミド樹脂の回
折強度が、下記に示すX線回折条件で測定した場合に 5
00〜7500カウント/秒(CPS) となるように制御すること
を特徴とする。 [X線回折条件] ・ターゲット(X線管):Cu-Kα ・回折角度(2θ):23.7゜ ・管電圧:50kV ・管電流:190mA ・計数時間:1秒 積層は、加熱溶融したポリアミド樹脂を押し出して積層
するものであることが望ましい。この方法は、1軸また
は2軸方向に延伸してなるポリアミド樹脂フィルムまた
は未延伸のポリアミド樹脂フィルムを金属板に当接し、
1対のラミネートロールを用いて両者を挟み付けて圧着
して積層することを特徴とする。そして、当接して積層
後の急冷は、5秒以内に室温以下まで急冷することが望
ましく、ポリアミド樹脂は、ナイロン−6であることが
好ましい。さらに、ポリアミド樹脂からなる層と金属板
との間に、接着剤層を介在させることが好ましく、接着
剤は、アクリル樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、
エポキシ樹脂系接着剤、ポリエステル樹脂系接着剤のい
ずれか1種であることが望ましい。
被覆金属板の製造方法は、下記に示すX線回折条件で測
定した場合の回折強度が7000〜50000カウント/秒(CPS)
であるポリアミド樹脂を、ポリアミド樹脂の融点以上の
温度に加熱された金属板の少なくとも片面上に当接して
積層した後急冷することからなるポリアミド樹脂被覆金
属板の製造方法において、積層後のポリアミド樹脂の回
折強度が、下記に示すX線回折条件で測定した場合に 5
00〜7500カウント/秒(CPS) となるように制御すること
を特徴とする。 [X線回折条件] ・ターゲット(X線管):Cu-Kα ・回折角度(2θ):23.7゜ ・管電圧:50kV ・管電流:190mA ・計数時間:1秒 積層は、加熱溶融したポリアミド樹脂を押し出して積層
するものであることが望ましい。この方法は、1軸また
は2軸方向に延伸してなるポリアミド樹脂フィルムまた
は未延伸のポリアミド樹脂フィルムを金属板に当接し、
1対のラミネートロールを用いて両者を挟み付けて圧着
して積層することを特徴とする。そして、当接して積層
後の急冷は、5秒以内に室温以下まで急冷することが望
ましく、ポリアミド樹脂は、ナイロン−6であることが
好ましい。さらに、ポリアミド樹脂からなる層と金属板
との間に、接着剤層を介在させることが好ましく、接着
剤は、アクリル樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、
エポキシ樹脂系接着剤、ポリエステル樹脂系接着剤のい
ずれか1種であることが望ましい。
【0007】本発明のポリアミド樹脂被覆金属板は、先
に記載のX線回折条件で測定した場合の回折強度が、50
0〜7500カウント/秒(CPS)であるポリアミド樹脂を、金
属板の少なくとも片面に被覆してなることを特徴とす
る。積層は、加熱溶融したポリアミド樹脂を前記金属板
の少なくとも片面上に押し出して積層してなるものであ
ることが好ましく、この被覆金属板は、1軸または2軸
方向に延伸してなるポリアミド樹脂フィルムか又は未延
伸のポリアミド樹脂フィルムかを、金属板の少なくとも
片面上に当接し、1対のラミネートロールを用いて両者
を挟み付けて圧着して積層してなるものであることが好
ましい。そして、ポリアミド樹脂は、ナイロン−6であ
ることが望ましく、ポリアミド樹脂からなる層と前記金
属板との間に、接着剤層が介在されていることも望まし
い。この接着剤は、アクリル樹脂系接着剤、ウレタン樹
脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ポリエステル樹脂
系接着剤のいずれかであることが望ましい。本発明の容
器は、ポリアミド樹脂被覆金属板を、絞り加工又は絞り
しごき加工してなることを特徴とし、この容器は、コン
デンサー外装用容器であることが望ましい。
に記載のX線回折条件で測定した場合の回折強度が、50
0〜7500カウント/秒(CPS)であるポリアミド樹脂を、金
属板の少なくとも片面に被覆してなることを特徴とす
る。積層は、加熱溶融したポリアミド樹脂を前記金属板
の少なくとも片面上に押し出して積層してなるものであ
ることが好ましく、この被覆金属板は、1軸または2軸
方向に延伸してなるポリアミド樹脂フィルムか又は未延
伸のポリアミド樹脂フィルムかを、金属板の少なくとも
片面上に当接し、1対のラミネートロールを用いて両者
を挟み付けて圧着して積層してなるものであることが好
ましい。そして、ポリアミド樹脂は、ナイロン−6であ
ることが望ましく、ポリアミド樹脂からなる層と前記金
属板との間に、接着剤層が介在されていることも望まし
い。この接着剤は、アクリル樹脂系接着剤、ウレタン樹
脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ポリエステル樹脂
系接着剤のいずれかであることが望ましい。本発明の容
器は、ポリアミド樹脂被覆金属板を、絞り加工又は絞り
しごき加工してなることを特徴とし、この容器は、コン
デンサー外装用容器であることが望ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】ナイロンなどのポリアミド樹脂を
金属板に被覆した場合、ポリエチレンテレフタレートな
どのポリエステル樹脂を被覆した金属板と比較して、密
着性、特に加工密着性に劣っていることが知られてい
る。特に、樹脂の融点以上に加熱した金属板に樹脂フィ
ルムを当接し、1対のラミネートロールで両者を挟み付
けて積層して被覆する、いわゆるフィルムラミネート法
を用いた場合、十分な加工密着性を有するポリアミド樹
脂被覆金属板を得ることは極めて困難である。ポリエス
テル樹脂を被覆した金属板においては、金属板との優れ
た密着性を得るためには、金属板と接する部分の樹脂が
非晶質化していることが不可欠であることが知られてお
り、ポリアミド樹脂においても同様に、金属板と接する
部分の樹脂を非晶質化する必要がある。しかしながら、
ポリアミド樹脂はポリエステル樹脂に比べて結晶化速度
が極めて大きく、そのため、加熱した金属板との接触に
よって溶融した樹脂が金属板の冷却により固化する場
合、金属板との接触界面近傍の樹脂が急速に結晶化し、
その部分の樹脂中にに非晶質樹脂が十分に残存せず、密
着性に乏しくなる。
金属板に被覆した場合、ポリエチレンテレフタレートな
どのポリエステル樹脂を被覆した金属板と比較して、密
着性、特に加工密着性に劣っていることが知られてい
る。特に、樹脂の融点以上に加熱した金属板に樹脂フィ
ルムを当接し、1対のラミネートロールで両者を挟み付
けて積層して被覆する、いわゆるフィルムラミネート法
を用いた場合、十分な加工密着性を有するポリアミド樹
脂被覆金属板を得ることは極めて困難である。ポリエス
テル樹脂を被覆した金属板においては、金属板との優れ
た密着性を得るためには、金属板と接する部分の樹脂が
非晶質化していることが不可欠であることが知られてお
り、ポリアミド樹脂においても同様に、金属板と接する
部分の樹脂を非晶質化する必要がある。しかしながら、
ポリアミド樹脂はポリエステル樹脂に比べて結晶化速度
が極めて大きく、そのため、加熱した金属板との接触に
よって溶融した樹脂が金属板の冷却により固化する場
合、金属板との接触界面近傍の樹脂が急速に結晶化し、
その部分の樹脂中にに非晶質樹脂が十分に残存せず、密
着性に乏しくなる。
【0009】本発明においては、ポリアミド樹脂の結晶
化について検討し、X線回折法を用いてポリアミド樹脂
の回折強度を測定した場合に、回折角度(2θ)=23.7゜
の(002)面の回折強度がポリアミド樹脂の結晶化の程度
を表すことに着目した。そして金属板に被覆する前後の
(002)面の回折強度を測定し、金属板に被覆した後の(00
2)面の回折強度が一定範囲内にある場合に、加工密着性
および加工後耐熱密着性に優れたポリアミド樹脂被覆金
属板が得られることが判明した。
化について検討し、X線回折法を用いてポリアミド樹脂
の回折強度を測定した場合に、回折角度(2θ)=23.7゜
の(002)面の回折強度がポリアミド樹脂の結晶化の程度
を表すことに着目した。そして金属板に被覆する前後の
(002)面の回折強度を測定し、金属板に被覆した後の(00
2)面の回折強度が一定範囲内にある場合に、加工密着性
および加工後耐熱密着性に優れたポリアミド樹脂被覆金
属板が得られることが判明した。
【0010】以下、本発明を具体的に説明する。本発明
のポリアミド樹脂被覆金属板に用いる金属板としては、
鋼板、ニッケル、錫、亜鉛、銅などの金属を単層めっき
してなる単層めっき鋼板、これらの金属の2種以上を複
層めっきしてなる複層めっき鋼板、これらの金属の2種
以上からなる合金をめっきしてなる合金めっき鋼板、こ
れらの鋼板およびめっき鋼板にクロム水和酸化物からな
る単層皮膜を形成させる重クロム酸溶液中の電解処理、
または上層がクロム水和酸化物、下層が金属クロムから
なる2層皮膜を形成させる電解クロム酸処理などの化成
処理による皮膜を被覆してなる各種の表面処理鋼板、ス
テンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、
およびクロム水和酸化物からなる単層皮膜を形成させる
上記の化成処理や、他の化成処理である浸漬クロム酸処
理、リン酸クロム酸処理、さらにアルカリ溶液または酸
溶液によるエッチング処理、または陽極酸化処理を施し
てなるアルミニウム板、アルミニウム合金板などを用い
ることができる。上記のクロム水和酸化物からなる単層
皮膜を形成させる場合、皮膜量はクロムとして3〜30mg/
m2であることが好ましい。また上記の上層がクロム水和
酸化物、下層が金属クロムからなる2層皮膜を形成させ
る場合、上層のクロム水和酸化物の量はクロムとして5
〜30mg/m2、下層の金属クロムの量は20〜200mg/m2であ
ることが好ましい。
のポリアミド樹脂被覆金属板に用いる金属板としては、
鋼板、ニッケル、錫、亜鉛、銅などの金属を単層めっき
してなる単層めっき鋼板、これらの金属の2種以上を複
層めっきしてなる複層めっき鋼板、これらの金属の2種
以上からなる合金をめっきしてなる合金めっき鋼板、こ
れらの鋼板およびめっき鋼板にクロム水和酸化物からな
る単層皮膜を形成させる重クロム酸溶液中の電解処理、
または上層がクロム水和酸化物、下層が金属クロムから
なる2層皮膜を形成させる電解クロム酸処理などの化成
処理による皮膜を被覆してなる各種の表面処理鋼板、ス
テンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、
およびクロム水和酸化物からなる単層皮膜を形成させる
上記の化成処理や、他の化成処理である浸漬クロム酸処
理、リン酸クロム酸処理、さらにアルカリ溶液または酸
溶液によるエッチング処理、または陽極酸化処理を施し
てなるアルミニウム板、アルミニウム合金板などを用い
ることができる。上記のクロム水和酸化物からなる単層
皮膜を形成させる場合、皮膜量はクロムとして3〜30mg/
m2であることが好ましい。また上記の上層がクロム水和
酸化物、下層が金属クロムからなる2層皮膜を形成させ
る場合、上層のクロム水和酸化物の量はクロムとして5
〜30mg/m2、下層の金属クロムの量は20〜200mg/m2であ
ることが好ましい。
【0011】本発明においては、上記の金属板にポリア
ミド樹脂を被覆するが、ポリアミド樹脂は、加熱溶融し
た樹脂をダイスから直接金属板上に押し出して積層する
押出法や、樹脂の融点以上に加熱した金属板に樹脂フィ
ルムを当接し、1対のラミネートロールで両者を挟み付
けて積層して被覆するフィルムラミネート法のいずれの
方法によって被覆されてもよいが、前述したように、絞
り加工や絞りしごき加工、およびそれらの加工に加えて
さらなる加工を施した際に、層間剥離や樹脂層における
クラックの発生などの欠陥が生じず、さらに加工後に熱
処理を施した際にも皮膜剥離を生じることがない、優れ
た加工密着性および加工後耐熱密着性を得るためには、
下記に示すように、積層条件を厳密にコントロールする
必要がある。
ミド樹脂を被覆するが、ポリアミド樹脂は、加熱溶融し
た樹脂をダイスから直接金属板上に押し出して積層する
押出法や、樹脂の融点以上に加熱した金属板に樹脂フィ
ルムを当接し、1対のラミネートロールで両者を挟み付
けて積層して被覆するフィルムラミネート法のいずれの
方法によって被覆されてもよいが、前述したように、絞
り加工や絞りしごき加工、およびそれらの加工に加えて
さらなる加工を施した際に、層間剥離や樹脂層における
クラックの発生などの欠陥が生じず、さらに加工後に熱
処理を施した際にも皮膜剥離を生じることがない、優れ
た加工密着性および加工後耐熱密着性を得るためには、
下記に示すように、積層条件を厳密にコントロールする
必要がある。
【0012】ポリアミド樹脂被覆金属板のポリアミド樹
脂層を下記に示す条件でX線回折すると、図1に示すよ
うに回折角度(2θ)=23.7゜にポリアミド樹脂のα型結
晶の(002)面の回折強度を示すシャープなピークが観察
される。 [X線回折条件] ・ターゲット(X線管):Cu-Kα ・回折角度(2θ):23.7゜ ・管電圧:50kV ・管電流:190mA ・計数時間:1秒 図1において、積層温度が高くなるほど、回折強度が低
下しているが、これはとりもなおさず、積層温度が高く
なるほど金属板から樹脂中に伝導される熱量が増加し、
それに伴って熱溶解する量が増加し、急冷して固化した
樹脂中に非晶樹脂が多くなり、結晶樹脂が少なくなるこ
とを意味している。すなわち、X線回折強度は樹脂中の
結晶樹脂の量と相関性がある。この (002)面におけるX
線回折強度と、ポリアミド樹脂被覆金属板を絞り加工
し、260〜270゜Cに加熱した半田浴中に20秒程度浸漬した
後の密着性を表す加工後耐熱密着性との関係を調べる
と、図2に示すようにX線回折強度の低下に伴って加工
後耐熱密着性が向上する。すなわち、ポリアミド樹脂の
結晶樹脂量の減少に伴って加工後耐熱密着性が向上する
ことがわかる。
脂層を下記に示す条件でX線回折すると、図1に示すよ
うに回折角度(2θ)=23.7゜にポリアミド樹脂のα型結
晶の(002)面の回折強度を示すシャープなピークが観察
される。 [X線回折条件] ・ターゲット(X線管):Cu-Kα ・回折角度(2θ):23.7゜ ・管電圧:50kV ・管電流:190mA ・計数時間:1秒 図1において、積層温度が高くなるほど、回折強度が低
下しているが、これはとりもなおさず、積層温度が高く
なるほど金属板から樹脂中に伝導される熱量が増加し、
それに伴って熱溶解する量が増加し、急冷して固化した
樹脂中に非晶樹脂が多くなり、結晶樹脂が少なくなるこ
とを意味している。すなわち、X線回折強度は樹脂中の
結晶樹脂の量と相関性がある。この (002)面におけるX
線回折強度と、ポリアミド樹脂被覆金属板を絞り加工
し、260〜270゜Cに加熱した半田浴中に20秒程度浸漬した
後の密着性を表す加工後耐熱密着性との関係を調べる
と、図2に示すようにX線回折強度の低下に伴って加工
後耐熱密着性が向上する。すなわち、ポリアミド樹脂の
結晶樹脂量の減少に伴って加工後耐熱密着性が向上する
ことがわかる。
【0013】ポリエステル樹脂の (002)面のX線回折強
度を上記の条件で測定した場合、通常7000〜50000カウ
ント/秒(CPS)の回折強度を示すが、本発明において
は、このポリアミド樹脂を金属板に積層した後のポリア
ミド樹脂の回折強度が500〜7500CPSの範囲内にあるよう
に、積層条件を制御しなくてはならない。上記の条件で
測定した金属板に積層した後のポリアミド樹脂の回折強
度が7500CPS を越え、樹脂の結晶性が残存している場合
は、加工後の弾性応力が大きく、この弾性応力がポリア
ミド樹脂と金属板との密着力より大きいために加工後に
ポリアミド樹脂が金属板から剥離し、必要とする加工密
着性および加工後耐熱密着性が得られない。一方、500C
PS未満の回折強度を有するポリアミド樹脂を被覆した金
属板を得ることは極めて困難である。
度を上記の条件で測定した場合、通常7000〜50000カウ
ント/秒(CPS)の回折強度を示すが、本発明において
は、このポリアミド樹脂を金属板に積層した後のポリア
ミド樹脂の回折強度が500〜7500CPSの範囲内にあるよう
に、積層条件を制御しなくてはならない。上記の条件で
測定した金属板に積層した後のポリアミド樹脂の回折強
度が7500CPS を越え、樹脂の結晶性が残存している場合
は、加工後の弾性応力が大きく、この弾性応力がポリア
ミド樹脂と金属板との密着力より大きいために加工後に
ポリアミド樹脂が金属板から剥離し、必要とする加工密
着性および加工後耐熱密着性が得られない。一方、500C
PS未満の回折強度を有するポリアミド樹脂を被覆した金
属板を得ることは極めて困難である。
【0014】押出法を用いてポリアミド樹脂を被覆する
場合は、ポリアミド樹脂を融点以上に加熱して溶融さ
せ、Tダイなどのダイスからポリアミド樹脂の融点以
上、好ましくは融点 (Tm)〜Tm+100゜Cに加熱した金属板
に直接押し出して積層し、できるだけ短時間以内、好ま
しくは積層後5秒以内、より好ましくは2秒以内に水中
に浸漬、または水スプレーするなどして室温以下まで冷
却する。このように急速冷却することによって溶融した
ポリアミド樹脂が結晶化することを防止し、500〜7500C
PSの回折強度を得ることが可能となる。金属板の加熱温
度がTm未満である場合は、積層後5秒以内に室温以下ま
で冷却してもポリエステル樹脂が結晶化して回折強度が
7500CPSを越えるため、目的とする加工密着性および加
工後耐熱密着性が得られない。金属板を Tm+100゜Cを越
える温度に加熱すると、金属板上に押し出されたポリア
ミド樹脂が熱分解するので好ましくない。
場合は、ポリアミド樹脂を融点以上に加熱して溶融さ
せ、Tダイなどのダイスからポリアミド樹脂の融点以
上、好ましくは融点 (Tm)〜Tm+100゜Cに加熱した金属板
に直接押し出して積層し、できるだけ短時間以内、好ま
しくは積層後5秒以内、より好ましくは2秒以内に水中
に浸漬、または水スプレーするなどして室温以下まで冷
却する。このように急速冷却することによって溶融した
ポリアミド樹脂が結晶化することを防止し、500〜7500C
PSの回折強度を得ることが可能となる。金属板の加熱温
度がTm未満である場合は、積層後5秒以内に室温以下ま
で冷却してもポリエステル樹脂が結晶化して回折強度が
7500CPSを越えるため、目的とする加工密着性および加
工後耐熱密着性が得られない。金属板を Tm+100゜Cを越
える温度に加熱すると、金属板上に押し出されたポリア
ミド樹脂が熱分解するので好ましくない。
【0015】フィルムラミネート法を用いてポリアミド
樹脂を被覆する場合は、連続的に進行する長尺帯状の金
属板を、ポリアミド樹脂の融点以上、好ましくは融点(T
m)〜Tm+100゜Cに加熱し、この加熱金属板に前記のX線
回折条件で測定した(002)面の回折強度が7000〜50000(C
PS)である未延伸フィルム、または1軸延伸もしくは2
軸延伸して結晶配向させたフィルムを当接し、60゜C以上
Tm未満の温度に加熱した1対のラミネートロールで両者
を挟み付けて積層した後、できるだけ短時間以内、好ま
しくは積層後5秒以内、より好ましくは2秒以内に水中
に浸漬、または水スプレーするなどして室温以下まで冷
却する。ポリアミド樹脂のフィルムはその1面が樹脂の
融点以上に加熱された金属板から伝導する熱により加熱
され、他面が樹脂の融点以下の温度を有するラミネート
ロールによって冷却されるため、フィルム厚さ方向にお
いて、金属板に近い部分ほど融点以上の高温に加熱さ
れ、ラミネートロールに近い部分ほど融点以下の温度と
なり、フィルム中に厚さ方向で温度勾配が生じ、その温
度勾配に基づいて樹脂の結晶状態が定まる。すなわち、
金属板近傍では非晶質となり、ラミネートロール近傍で
は結晶性が残存した結晶状態となる。この結晶状態は金
属板の加熱温度およびラミネートロール温度、さらに樹
脂フィルムが金属板とラミネートロール温度に接触して
いる時間、すなわち金属板の送り速度によって定まり、
金属板の加熱温度およびラミネートロール温度が高く、
接触時間が短いほど(接触時間が長い場合は、金属板か
らの熱がラミネートロールとの長時間の接触により多く
奪われる)樹脂フィルムの加熱される度合いが大きくな
り、非晶質樹脂の量が増加する。このように、樹脂フィ
ルムの結晶状態は、金属板の加熱温度、ラミネートロー
ル温度、および金属板の送り速度によって制御しうる
が、それに加えてラミネートロールで両者を挟み付けて
積層した後、できるだけ短時間以内、好ましくは積層後
5秒以内に水中に浸漬する必要がある。このように急速
冷却することによって溶融したポリアミド樹脂が結晶化
することを防止し、500〜7500CPSの回折強度を得ること
が可能となる。
樹脂を被覆する場合は、連続的に進行する長尺帯状の金
属板を、ポリアミド樹脂の融点以上、好ましくは融点(T
m)〜Tm+100゜Cに加熱し、この加熱金属板に前記のX線
回折条件で測定した(002)面の回折強度が7000〜50000(C
PS)である未延伸フィルム、または1軸延伸もしくは2
軸延伸して結晶配向させたフィルムを当接し、60゜C以上
Tm未満の温度に加熱した1対のラミネートロールで両者
を挟み付けて積層した後、できるだけ短時間以内、好ま
しくは積層後5秒以内、より好ましくは2秒以内に水中
に浸漬、または水スプレーするなどして室温以下まで冷
却する。ポリアミド樹脂のフィルムはその1面が樹脂の
融点以上に加熱された金属板から伝導する熱により加熱
され、他面が樹脂の融点以下の温度を有するラミネート
ロールによって冷却されるため、フィルム厚さ方向にお
いて、金属板に近い部分ほど融点以上の高温に加熱さ
れ、ラミネートロールに近い部分ほど融点以下の温度と
なり、フィルム中に厚さ方向で温度勾配が生じ、その温
度勾配に基づいて樹脂の結晶状態が定まる。すなわち、
金属板近傍では非晶質となり、ラミネートロール近傍で
は結晶性が残存した結晶状態となる。この結晶状態は金
属板の加熱温度およびラミネートロール温度、さらに樹
脂フィルムが金属板とラミネートロール温度に接触して
いる時間、すなわち金属板の送り速度によって定まり、
金属板の加熱温度およびラミネートロール温度が高く、
接触時間が短いほど(接触時間が長い場合は、金属板か
らの熱がラミネートロールとの長時間の接触により多く
奪われる)樹脂フィルムの加熱される度合いが大きくな
り、非晶質樹脂の量が増加する。このように、樹脂フィ
ルムの結晶状態は、金属板の加熱温度、ラミネートロー
ル温度、および金属板の送り速度によって制御しうる
が、それに加えてラミネートロールで両者を挟み付けて
積層した後、できるだけ短時間以内、好ましくは積層後
5秒以内に水中に浸漬する必要がある。このように急速
冷却することによって溶融したポリアミド樹脂が結晶化
することを防止し、500〜7500CPSの回折強度を得ること
が可能となる。
【0016】上記のフィルムラミネート法において、金
属板の加熱温度がTm未満の場合は樹脂が加熱溶融しない
ので非晶化せず樹脂を金属板に粘着させることができな
い。一方、Tm+100゜C を越えると金属板上に押し出され
たポリアミド樹脂が熱分解するので好ましくない。ま
た、ラミネートロール温度が60゜C未満の場合は、金属板
をTm+100゜C 付近の温度に加熱しても樹脂フィルムがラ
ミネートロールによって冷却される度合いが大きくな
り、積層後のフィルムの回折強度が7500CPS を越えるた
めに、目的とする加工密着性および加工後耐熱密着性が
得られない。フィルム積層後の冷却条件の好適範囲は、
押出法におけるのと同様の理由で同様の範囲とする。な
お、上記のようにして得られたポリアミド樹脂被覆金属
板を、抵抗加熱、誘電加熱などの加熱手段を用いて再度
Tm〜Tm+100゜Cに加熱した後、5秒以内に室温以下まで
急冷させることにより、樹脂フィルムの殆ど全体を均一
な低X線回折強度とすることも可能である。
属板の加熱温度がTm未満の場合は樹脂が加熱溶融しない
ので非晶化せず樹脂を金属板に粘着させることができな
い。一方、Tm+100゜C を越えると金属板上に押し出され
たポリアミド樹脂が熱分解するので好ましくない。ま
た、ラミネートロール温度が60゜C未満の場合は、金属板
をTm+100゜C 付近の温度に加熱しても樹脂フィルムがラ
ミネートロールによって冷却される度合いが大きくな
り、積層後のフィルムの回折強度が7500CPS を越えるた
めに、目的とする加工密着性および加工後耐熱密着性が
得られない。フィルム積層後の冷却条件の好適範囲は、
押出法におけるのと同様の理由で同様の範囲とする。な
お、上記のようにして得られたポリアミド樹脂被覆金属
板を、抵抗加熱、誘電加熱などの加熱手段を用いて再度
Tm〜Tm+100゜Cに加熱した後、5秒以内に室温以下まで
急冷させることにより、樹脂フィルムの殆ど全体を均一
な低X線回折強度とすることも可能である。
【0017】上記のポリアミド樹脂としては、6−ナイ
ロン、11−ナイロン、12−ナイロン、66−ナイロ
ン、610−ナイロン、612−ナイロン、およびこれ
らのナイロン樹脂の2種類以上からなる共重合ナイロン
を用いることが可能で、さらに、6−ナイロン、66−
ナイロンなどをハードセグメントとし、ポリエーテル、
ポリエステルなどをソフトセグメントとしたポリアミド
系エラストマーを用いることも可能である。金属板に被
覆された後のこれらのポリアミド樹脂の厚さは10〜50μ
mであることが好ましく、より好ましくは15〜30μmであ
る。10μm 未満の場合は金属板にしわなどを生じさせ
ず、均一に積層することが極めて困難であり、さらに、
得られた樹脂被覆金属板を絞り加工や絞りしごき加工し
た際に樹脂層に亀裂を生じやすく、耐食性、電気絶縁性
が著しく劣化する。一方、50μm を越えると経済的に不
利となる。
ロン、11−ナイロン、12−ナイロン、66−ナイロ
ン、610−ナイロン、612−ナイロン、およびこれ
らのナイロン樹脂の2種類以上からなる共重合ナイロン
を用いることが可能で、さらに、6−ナイロン、66−
ナイロンなどをハードセグメントとし、ポリエーテル、
ポリエステルなどをソフトセグメントとしたポリアミド
系エラストマーを用いることも可能である。金属板に被
覆された後のこれらのポリアミド樹脂の厚さは10〜50μ
mであることが好ましく、より好ましくは15〜30μmであ
る。10μm 未満の場合は金属板にしわなどを生じさせ
ず、均一に積層することが極めて困難であり、さらに、
得られた樹脂被覆金属板を絞り加工や絞りしごき加工し
た際に樹脂層に亀裂を生じやすく、耐食性、電気絶縁性
が著しく劣化する。一方、50μm を越えると経済的に不
利となる。
【0018】本発明のポリエステル樹脂被覆金属板は、
上記のように樹脂を金属板に熱融着することにより得ら
れるが、樹脂被覆金属板の加工程度によっては密着性が
十分ではなかったり、また使用環境によっては耐食性が
不足する場合もある。このような場合、ポリアミド樹脂
と金属板の間に、接着剤からなる層を介在させて積層す
ることにより、必要とする加工性や耐食性を得ることが
できる。接着剤としては、アクリル樹脂系接着剤、ウレ
タン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ポリエステ
ル樹脂系接着剤などから選択される。これらの接着剤は
金属板、フィルムラミネート法で積層する場合は金属板
または樹脂フィルムのいずれかに薄膜状で塗布可能であ
ることが好ましく、さらに、溶媒などに希釈し、ロール
コート、スプレーコート、バーコートなどの手法を用い
て塗布した、揮発分である溶媒などを乾燥除去した後、
粘着性を示さないものであることが好ましい。
上記のように樹脂を金属板に熱融着することにより得ら
れるが、樹脂被覆金属板の加工程度によっては密着性が
十分ではなかったり、また使用環境によっては耐食性が
不足する場合もある。このような場合、ポリアミド樹脂
と金属板の間に、接着剤からなる層を介在させて積層す
ることにより、必要とする加工性や耐食性を得ることが
できる。接着剤としては、アクリル樹脂系接着剤、ウレ
タン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ポリエステ
ル樹脂系接着剤などから選択される。これらの接着剤は
金属板、フィルムラミネート法で積層する場合は金属板
または樹脂フィルムのいずれかに薄膜状で塗布可能であ
ることが好ましく、さらに、溶媒などに希釈し、ロール
コート、スプレーコート、バーコートなどの手法を用い
て塗布した、揮発分である溶媒などを乾燥除去した後、
粘着性を示さないものであることが好ましい。
【0019】接着剤の塗布量としては、溶媒などを揮発
除去させた後の乾燥重量で0.1〜5.0g/m2であることが好
ましく、0.2〜2.0g/m2であることがより好ましい。塗布
量が0.1g/m2 未満である場合は金属板または樹脂上に連
続した均一な薄膜状に塗布することが極めて困難であ
り、接着剤の塗布による加工密着性や耐食性の改善効果
が殆ど認められない。一方、塗布量が5.0g/m2 を越えて
もそれ以上の加工密着性や耐食性の改善効果が認められ
ず、塗布後の乾燥にも長時間を要し、経済的に好ましく
なくなる。
除去させた後の乾燥重量で0.1〜5.0g/m2であることが好
ましく、0.2〜2.0g/m2であることがより好ましい。塗布
量が0.1g/m2 未満である場合は金属板または樹脂上に連
続した均一な薄膜状に塗布することが極めて困難であ
り、接着剤の塗布による加工密着性や耐食性の改善効果
が殆ど認められない。一方、塗布量が5.0g/m2 を越えて
もそれ以上の加工密着性や耐食性の改善効果が認められ
ず、塗布後の乾燥にも長時間を要し、経済的に好ましく
なくなる。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 [実施例1]厚さ0.26mmの電解クロム酸処理鋼板(金属ク
ロム量:110mg/m2、クロム水和酸化物量:18mg/m2 (ク
ロムとして))を 270゜Cに加熱し、その上に樹脂の融点
以上に加熱溶融した6−ナイロン(融点: 218゜C)をT
ダイより押し出し、厚さ30μmとなるように積層し、1秒
後に18゜Cの水中に浸漬し急冷した(試料No 1)。
る。 [実施例1]厚さ0.26mmの電解クロム酸処理鋼板(金属ク
ロム量:110mg/m2、クロム水和酸化物量:18mg/m2 (ク
ロムとして))を 270゜Cに加熱し、その上に樹脂の融点
以上に加熱溶融した6−ナイロン(融点: 218゜C)をT
ダイより押し出し、厚さ30μmとなるように積層し、1秒
後に18゜Cの水中に浸漬し急冷した(試料No 1)。
【0021】[実施例2]実施例1と同様の電解クロム酸
処理鋼板を 250゜Cに加熱し、その片面上に樹脂の融点以
上に加熱溶融した実施例1と同様の6−ナイロン(融
点: 218゜C)をTダイより押し出し、厚さ30μmとなる
ように積層し、2秒後に18゜Cの水中に浸漬し急冷した
(試料No 2)。
処理鋼板を 250゜Cに加熱し、その片面上に樹脂の融点以
上に加熱溶融した実施例1と同様の6−ナイロン(融
点: 218゜C)をTダイより押し出し、厚さ30μmとなる
ように積層し、2秒後に18゜Cの水中に浸漬し急冷した
(試料No 2)。
【0022】[実施例3]連続的に進行する厚さ0.30mmの
リン酸クロム酸処理を施した長尺帯状のアルミニウム合
金板(JIS 5052 H24、クロム水和酸化物量:20mg/m2
(クロムとして))を 270゜Cに加熱し、その片面に6−ナ
イロンの未延伸フィルム(融点: 218゜C、厚さ:30μm
、(002)面のX線回折強度:8000CPS)を当接し、1対
のラミネートロールで両者を挟み付けて積層し、1秒後
に 18゜Cの水中に浸漬し急冷した。(試料No 3)。
リン酸クロム酸処理を施した長尺帯状のアルミニウム合
金板(JIS 5052 H24、クロム水和酸化物量:20mg/m2
(クロムとして))を 270゜Cに加熱し、その片面に6−ナ
イロンの未延伸フィルム(融点: 218゜C、厚さ:30μm
、(002)面のX線回折強度:8000CPS)を当接し、1対
のラミネートロールで両者を挟み付けて積層し、1秒後
に 18゜Cの水中に浸漬し急冷した。(試料No 3)。
【0023】[実施例4]連続的に進行する実施例3と同
様の長尺帯状のアルミニウム合金板を 250゜Cに加熱し、
その片面に6−ナイロンの1軸延伸フィルム(融点: 2
20゜C、厚さ:20μm、(002)面のX線回折強度:40000CP
S)を当接し、1対のラミネートロールで両者を挟み付
けて積層し、2秒後に18゜Cの水中に浸漬し急冷した(試
料No 4)。
様の長尺帯状のアルミニウム合金板を 250゜Cに加熱し、
その片面に6−ナイロンの1軸延伸フィルム(融点: 2
20゜C、厚さ:20μm、(002)面のX線回折強度:40000CP
S)を当接し、1対のラミネートロールで両者を挟み付
けて積層し、2秒後に18゜Cの水中に浸漬し急冷した(試
料No 4)。
【0024】[実施例5]連続的に進行する実施例3と同
様の長尺帯状のアルミニウム合金板を 270゜Cに加熱し、
その片面に6−ナイロンの2軸延伸フィルム(融点: 2
22゜C、厚さ:20μm、(002)面のX線回折強度:45000CP
S)を当接し、1対のラミネートロールで両者を挟み付
けて積層し、3秒後に18゜Cの水中に浸漬し急冷した(試
料No 5)。
様の長尺帯状のアルミニウム合金板を 270゜Cに加熱し、
その片面に6−ナイロンの2軸延伸フィルム(融点: 2
22゜C、厚さ:20μm、(002)面のX線回折強度:45000CP
S)を当接し、1対のラミネートロールで両者を挟み付
けて積層し、3秒後に18゜Cの水中に浸漬し急冷した(試
料No 5)。
【0025】[実施例6]連続的に進行する実施例3と同
様の長尺帯状のアルミニウム合金板を 260゜Cに加熱し、
その片面に実施例5と同様の6−ナイロンの2軸延伸フ
ィルムを当接し、1対のラミネートロールで両者を挟み
付けて積層し、3秒後に 18゜Cの水中に浸漬し急冷した
(試料No 6)。
様の長尺帯状のアルミニウム合金板を 260゜Cに加熱し、
その片面に実施例5と同様の6−ナイロンの2軸延伸フ
ィルムを当接し、1対のラミネートロールで両者を挟み
付けて積層し、3秒後に 18゜Cの水中に浸漬し急冷した
(試料No 6)。
【0026】[実施例7]連続的に進行する実施例3と同
様の長尺帯状のアルミニウム合金板を 240゜Cに加熱し、
その片面に実施例5と同様の6−ナイロンの2軸延伸フ
ィルムを当接し、1対のラミネートロールで両者を挟み
付けて積層し、5秒後に 18゜Cの水中に浸漬し急冷した
(試料No 7)。
様の長尺帯状のアルミニウム合金板を 240゜Cに加熱し、
その片面に実施例5と同様の6−ナイロンの2軸延伸フ
ィルムを当接し、1対のラミネートロールで両者を挟み
付けて積層し、5秒後に 18゜Cの水中に浸漬し急冷した
(試料No 7)。
【0027】[実施例8]連続的に進行する実施例3と同
様の長尺帯状のアルミニウム合金板を 270゜Cに加熱し、
その片面に6−ナイロンの2軸延伸フィルム(融点: 2
22゜C、厚さ:20μm、(002)面のX線回折強度:30000CP
S)を当接し、1対のラミネートロールで両者を挟み付
けて積層し、5秒後に 18゜Cの水中に浸漬し急冷した(試
料No 8)。
様の長尺帯状のアルミニウム合金板を 270゜Cに加熱し、
その片面に6−ナイロンの2軸延伸フィルム(融点: 2
22゜C、厚さ:20μm、(002)面のX線回折強度:30000CP
S)を当接し、1対のラミネートロールで両者を挟み付
けて積層し、5秒後に 18゜Cの水中に浸漬し急冷した(試
料No 8)。
【0028】[実施例9]連続的に進行する実施例8と同
様の長尺帯状のアルミニウム合金板を 270゜Cに加熱し、
その片面に実施例8と同様の6−ナイロンの2軸延伸フ
ィルムを当接し、1対のラミネートロールで両者を挟み
付けて積層し、7秒後に 18゜Cの水中に浸漬し急冷した
(試料No 9)。
様の長尺帯状のアルミニウム合金板を 270゜Cに加熱し、
その片面に実施例8と同様の6−ナイロンの2軸延伸フ
ィルムを当接し、1対のラミネートロールで両者を挟み
付けて積層し、7秒後に 18゜Cの水中に浸漬し急冷した
(試料No 9)。
【0029】[実施例10]連続的に進行する実施例8と
同様の長尺帯状のアルミニウム合金板を 270゜Cに加熱
し、その片面に、アクリル系接着剤を乾燥重量で 1.5g/
m2となるように樹脂フィルムの片面に塗布した実施例8
と同様の6−ナイロンの2軸延伸フィルムを当接し、1
対のラミネートロールで両者を挟み付けて積層し、5秒
後に 18゜Cの水中に浸漬し急冷した(試料No 10)。
同様の長尺帯状のアルミニウム合金板を 270゜Cに加熱
し、その片面に、アクリル系接着剤を乾燥重量で 1.5g/
m2となるように樹脂フィルムの片面に塗布した実施例8
と同様の6−ナイロンの2軸延伸フィルムを当接し、1
対のラミネートロールで両者を挟み付けて積層し、5秒
後に 18゜Cの水中に浸漬し急冷した(試料No 10)。
【0030】[実施例11]連続的に進行する実施例8と
同様の長尺帯状のアルミニウム合金板を 270゜Cに加熱
し、その片面に、ウレタン系接着剤を乾燥重量で 1.2g/
m2となるように樹脂フィルムの片面に塗布した実施例8
と同様の6−ナイロンの2軸延伸フィルムを当接し、1
対のラミネートロールで両者を挟み付けて積層し、5秒
後に 18゜Cの水中に浸漬し急冷した(試料No 11)。
同様の長尺帯状のアルミニウム合金板を 270゜Cに加熱
し、その片面に、ウレタン系接着剤を乾燥重量で 1.2g/
m2となるように樹脂フィルムの片面に塗布した実施例8
と同様の6−ナイロンの2軸延伸フィルムを当接し、1
対のラミネートロールで両者を挟み付けて積層し、5秒
後に 18゜Cの水中に浸漬し急冷した(試料No 11)。
【0031】[実施例12]連続的に進行する実施例8と
同様の長尺帯状のアルミニウム合金板を 270゜Cに加熱
し、その片面に、エポキシ系接着剤を乾燥重量で 1.0g/
m2となるように樹脂フィルムの片面に塗布した実施例8
と同様の6−ナイロンの2軸延伸フィルムを当接し、1
対のラミネートロールで両者を挟み付けて積層し、5秒
後に 18゜Cの水中に浸漬し急冷した(試料No 12)。
同様の長尺帯状のアルミニウム合金板を 270゜Cに加熱
し、その片面に、エポキシ系接着剤を乾燥重量で 1.0g/
m2となるように樹脂フィルムの片面に塗布した実施例8
と同様の6−ナイロンの2軸延伸フィルムを当接し、1
対のラミネートロールで両者を挟み付けて積層し、5秒
後に 18゜Cの水中に浸漬し急冷した(試料No 12)。
【0032】[実施例13]連続的に進行する実施例8と
同様の長尺帯状のアルミニウム合金板を 270゜Cに加熱
し、その片面に、ポリエステル系接着剤を乾燥重量で
1.4g/m2となるように樹脂フィルムの片面に塗布した実
施例8と同様の6−ナイロンの2軸延伸フィルムを当接
し、1対のラミネートロールで両者を挟み付けて積層
し、5秒後に 18゜Cの水中に浸漬し急冷した(試料No 1
3)。以上のようにして作成した試料No 1〜13の各樹脂
被覆金属板を乾燥した後、下記のX線回折条件で樹脂層
の(200)面のX線回折強度を測定した。 [X線回折条件] ・ターゲット(X線管):Cu-Kα ・回折角度(2θ):23.7゜ ・管電圧:50kV ・管電流:190mA ・計数時間:1秒 結果を表1に示す。
同様の長尺帯状のアルミニウム合金板を 270゜Cに加熱
し、その片面に、ポリエステル系接着剤を乾燥重量で
1.4g/m2となるように樹脂フィルムの片面に塗布した実
施例8と同様の6−ナイロンの2軸延伸フィルムを当接
し、1対のラミネートロールで両者を挟み付けて積層
し、5秒後に 18゜Cの水中に浸漬し急冷した(試料No 1
3)。以上のようにして作成した試料No 1〜13の各樹脂
被覆金属板を乾燥した後、下記のX線回折条件で樹脂層
の(200)面のX線回折強度を測定した。 [X線回折条件] ・ターゲット(X線管):Cu-Kα ・回折角度(2θ):23.7゜ ・管電圧:50kV ・管電流:190mA ・計数時間:1秒 結果を表1に示す。
【0033】[加工密着性の評価]次に、試料No 1〜13の
各樹脂被覆金属板を直径80mmの円板に打ち抜き、山田式
深絞り試験機を用いて、樹脂被覆面が外面となるように
して絞り比1.97で円筒状のカップに成形加工した。加工
された側壁部における樹脂層の剥離程度を肉眼で下記の
5段階の評点で評価した。 評点5:剥離が認められない。 評点4:円筒の上端開口部のみにわずかに剥離が認めら
れる。 評点3:円筒の上端開口部から下方 5mmの範囲の側壁部
に剥離が認められる。 評点2:円筒の上端開口部から下方10mmの範囲の側壁部
に剥離が認められる。 評点1:円筒の側壁部全体に剥離が認められる。
各樹脂被覆金属板を直径80mmの円板に打ち抜き、山田式
深絞り試験機を用いて、樹脂被覆面が外面となるように
して絞り比1.97で円筒状のカップに成形加工した。加工
された側壁部における樹脂層の剥離程度を肉眼で下記の
5段階の評点で評価した。 評点5:剥離が認められない。 評点4:円筒の上端開口部のみにわずかに剥離が認めら
れる。 評点3:円筒の上端開口部から下方 5mmの範囲の側壁部
に剥離が認められる。 評点2:円筒の上端開口部から下方10mmの範囲の側壁部
に剥離が認められる。 評点1:円筒の側壁部全体に剥離が認められる。
【0034】[加工後耐熱密着性の評価]上記のようにし
て得られた円筒状のカップの上端開口部を260〜270゜Cに
加熱した溶融半田浴中に20秒間浸漬した後、側壁部にお
ける樹脂層の剥離程度を肉眼で上記の5段階の評点で評
価した。結果を表1に示す。
て得られた円筒状のカップの上端開口部を260〜270゜Cに
加熱した溶融半田浴中に20秒間浸漬した後、側壁部にお
ける樹脂層の剥離程度を肉眼で上記の5段階の評点で評
価した。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】表1に示すように、本発明の樹脂被覆金属
板は、優れた加工密着性および加工後耐熱密着性を有し
ている。
板は、優れた加工密着性および加工後耐熱密着性を有し
ている。
【0037】次いで上記実施例の試料No 1〜13のうち、
本発明として区分した試料No 1 〜5、8、10〜13 の樹脂
被覆金属板を総絞り比0.32、総しごき率35%の加工条件
で直径10mm、高さ22mmの円筒状のコンデンサー容器に成
形したところ、いずれの円筒容器においても、樹脂層の
剥離は認められなかった。
本発明として区分した試料No 1 〜5、8、10〜13 の樹脂
被覆金属板を総絞り比0.32、総しごき率35%の加工条件
で直径10mm、高さ22mmの円筒状のコンデンサー容器に成
形したところ、いずれの円筒容器においても、樹脂層の
剥離は認められなかった。
【0038】
【発明の効果】以上のように、本発明のポリアミド樹脂
被覆金属板は、金属板に熱接着した後の樹脂フィルムの
結晶性が低下しているために、加工密着性および加工後
耐熱密着性に優れており、コンデンサー容器のような、
絞りしごき加工で成形加工される容器として良好に適用
することができる。
被覆金属板は、金属板に熱接着した後の樹脂フィルムの
結晶性が低下しているために、加工密着性および加工後
耐熱密着性に優れており、コンデンサー容器のような、
絞りしごき加工で成形加工される容器として良好に適用
することができる。
【図1】回折角度(2θ)=23.7゜で観測されるポリアミ
ド樹脂のα型結晶の(002)面のX線回折強度のピークを
示す図である。
ド樹脂のα型結晶の(002)面のX線回折強度のピークを
示す図である。
【図2】ポリアミド樹脂被覆金属板における、ポリアミ
ド樹脂のX線回折強度と樹脂層の加工後耐熱密着性の関
係を示す図である。
ド樹脂のX線回折強度と樹脂層の加工後耐熱密着性の関
係を示す図である。
Claims (15)
- 【請求項1】 下記に示すX線回折条件で測定した場合
の回折強度が7000〜50000カウント/秒(CPS)であるポリ
アミド樹脂を、ポリアミド樹脂の融点以上の温度に加熱
された金属板の少なくとも片面上に当接して積層した後
急冷することからなるポリアミド樹脂被覆金属板の製造
方法において、積層後のポリアミド樹脂の回折強度が、
下記に示すX線回折条件で測定した場合に 500〜7500カ
ウント/秒(CPS) となるように制御することを特徴とす
る、加工密着性に優れたポリアミド樹脂被覆金属板の製
造方法。 [X線回折条件] ・ターゲット(X線管):Cu-Kα ・回折角度(2θ):23.7゜ ・管電圧:50kV ・管電流:190mA ・計数時間:1秒 - 【請求項2】 前記ポリアミド樹脂の積層が、加熱溶融
したポリアミド樹脂を押し出して積層するものである請
求項1に記載のポリアミド樹脂被覆金属板の製造方法。 - 【請求項3】 前記ポリアミド樹脂の積層が、1軸また
は2軸方向に延伸してなるポリアミド樹脂フィルム、ま
たは未延伸のポリアミド樹脂フィルムを当接し、1対の
ラミネートロールを用いて両者を挟み付けて圧着して積
層するものである請求項1に記載のポリアミド樹脂被覆
金属板の製造方法。 - 【請求項4】 前記当接して積層後の急冷が、5秒以内
に室温以下まで急冷することを特徴とする請求項1〜3
のいずれかに記載のポリアミド樹脂被覆金属板の製造方
法。 - 【請求項5】 前記ポリアミド樹脂が、ナイロン−6で
ある請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂被
覆金属板の製造方法。 - 【請求項6】 前記ポリアミド樹脂からなる層と前記金
属板との間に、接着剤層を介在させることを特徴とする
請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂被覆金
属板の製造方法。 - 【請求項7】 前記接着剤が、アクリル樹脂系接着剤、
ウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ポリエ
ステル樹脂系接着剤のいずれか1種であることを特徴と
する、請求項6に記載のポリアミド樹脂被覆金属板の製
造方法。 - 【請求項8】 請求項1に記載のX線回折条件で測定し
た場合の回折強度が、500〜7500カウント/秒(CPS)であ
るポリアミド樹脂を、金属板の少なくとも片面に被覆し
てなる加工密着性に優れたポリアミド樹脂被覆金属板。 - 【請求項9】 前記ポリアミド樹脂が、加熱溶融したポ
リアミド樹脂を前記金属板の少なくとも片面上に押し出
して積層してなることを特徴とする、請求項8に記載の
ポリアミド樹脂被覆金属板。 - 【請求項10】 前記ポリアミド樹脂が、1軸または2
軸方向に延伸してなるポリアミド樹脂フィルムか又は未
延伸のポリアミド樹脂フィルムであり、これらのフィル
ムを前記金属板の少なくとも片面上に当接し、1対のラ
ミネートロールを用いて両者を挟み付けて圧着して積層
してなることを特徴とする、請求項8に記載のポリアミ
ド樹脂被覆金属板。 - 【請求項11】 前記ポリアミド樹脂が、ナイロン−6
である請求項8〜10のいずれかに記載のポリアミド樹
脂被覆金属板。 - 【請求項12】 前記ポリアミド樹脂からなる層と前記
金属板との間に、接着剤層を介在させてなる請求項8〜
11のいずれかに記載のポリアミド樹脂被覆金属板。 - 【請求項13】 前記接着剤が、アクリル樹脂系接着
剤、ウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ポ
リエステル樹脂系接着剤のいずれか1種である請求項1
2に記載のポリアミド樹脂被覆金属板。 - 【請求項14】 請求項8〜13のいずれかに記載のポ
リアミド樹脂被覆金属板を、絞り加工又は絞りしごき加
工してなる容器。 - 【請求項15】 前記容器が、コンデンサー外装用容器
である請求項14に記載の容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10063885A JPH11245330A (ja) | 1998-03-02 | 1998-03-02 | 加工密着性に優れたポリアミド樹脂被覆金属板の製造方法、ポリアミド樹脂被覆金属板およびそれを用いた容器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10063885A JPH11245330A (ja) | 1998-03-02 | 1998-03-02 | 加工密着性に優れたポリアミド樹脂被覆金属板の製造方法、ポリアミド樹脂被覆金属板およびそれを用いた容器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11245330A true JPH11245330A (ja) | 1999-09-14 |
Family
ID=13242200
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10063885A Pending JPH11245330A (ja) | 1998-03-02 | 1998-03-02 | 加工密着性に優れたポリアミド樹脂被覆金属板の製造方法、ポリアミド樹脂被覆金属板およびそれを用いた容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11245330A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6811893B2 (en) | 2000-07-31 | 2004-11-02 | Mitsubishi Plastics, Inc. | Aluminum plate with thermoplastic resin coating and formed article comprising the same |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO1997038147A1 (fr) * | 1996-04-10 | 1997-10-16 | Toyo Kohan Co., Ltd. | Procede de production de plaques en alliage d'aluminium enduites de resine et destinees a des boites de conserve etirees et calandrees |
-
1998
- 1998-03-02 JP JP10063885A patent/JPH11245330A/ja active Pending
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Legal Events
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---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
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A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040524 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20040618 |